現代ファシル語 | ||
Majiad Faþir | ||
発音 | IPA:[maʐiad faθiɹ] | |
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基礎情報 | 目次 | |
発祥地域 | ファタムジア島 | |
使用国 | 府語圏を参照 | |
話者数 | 不明(12億人以上) | |
話者数の順位 | 1位 | |
言語系統 |
ファシル語族 ・ファシル語派 ・現代ファシル語 |
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公的地位 | ||
国際公用語 |
NRM MAM |
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公用語 |
ファタ・モルガナ帝国 北ワーレリア連邦 クラージナ共和国 レム・フーミ共和国 レミア民国 マズストュミア共和国 ルフィスマ連邦共和国 桜羅連合社会主義共和国 他 |
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統制機関 | ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() |
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言語コード | ||
WJLC | MFM |
現代ファシル語
(げんだいファシルご、Majiad Fathir、[maʐiad faθiɹ])は、ファタムジア島を始めとする世界中で使用される言語。
ファシア語、ファタ語
とも。現代ファシル語の内、ファタ・モルガナ国内で使用される標準語を現代標準ファシル語、または
ファシル・ファシア語
と呼称する。
発祥地であるファタ・モルガナ帝国の公用語(ファルキア)である他、旧ファ帝植民地における公用語や通用語(ワーレリア大陸のディノグティア、クラージナ共和国のクラージニー、レム・フーミ共和国のレミューミー、アウメア大陸東部地域のユーミュジーなど)という形で世界中で使用されている。その言語的影響力から数多くの学習者を抱え、世界最多の総話者数を有する。グランダ語と共に国際公用語と見做されており、NRM,MAMなどの各枠組みにおいて公用語の地位を有している。
ファシル語はアウレージ大陸系ともオリエンス系とも異なる独立語族であるファシル語族に属する。
発祥地であるファタ・モルガナが世界帝国であった為に極めて広汎な地域に拡大しつつも各言語変種間の言語的一体性が維持されてきた。それ故に現在のファシル語は多極的言語となっており、国ごとに制定されたものを除けば所謂標準語と呼ばれるものは存在しない。
ファシル語族の先祖にあたるファシル祖語はフールナ大陸南東部にて発生した言葉であり、紀元前5000年頃に話されていたと考えられている。その分布は紀元前3000年頃には大陸沿岸部からファタムジア島全域にかけて拡散しており、最初に大陸から出たファシア系人種の内ファタムジア島へ進出した人々とレムファータ方面へ進出した人々でそれぞれ話していた言葉がファシル語派、レムフ語派に分化したとされる。現代府語の直系の先祖にあたる上古ファシル語はファタムジア島への進出に関しては実は後発の部類であり、ディーニス語やミャクニン語の方が先んじて島内へ広まっていたと言われ、更に当時のファタムジア島にはファシル語族に属さない未知の言語も分布していたという記録が存在しているが、資料の不足によりこれらの研究は全く進んでいない。
ファタムジアのファシア民族がファタ・モルガナ帝国の成立を見ると、その版図の拡大によって西部マーゼラの言葉である古代ファシル語が勢力を強め、北部のミャクニン語や東部のディーニス語を駆逐するに至る。ただしディーニス語に関してはこの時点ではファタムジア島外であるレカイオ島、ユイニオ島に残っている。
前1400年から前1000年頃までのファタムジアでは交易などを通じて齎されたエレイス語の影響が強く、数学などといった学術の用語を中心に大量の語彙がこの時期に借用されている。またそれをきっかけとしてファシル語とその近縁の諸語との間に乖離が発生し始めた。サーカ(x,
x
)を[ʃ]ではなく[s]の音で発音する様になったのも同時期である。
前1000年以降、フールナ人のファタムジア流入が始まり島内にフールナ語の勢力が形成される。それによってファシル語の中にもフールナ語からの借用語彙と硬口蓋音が持ち込まれ、グレンゾ地方を中心として方言差が大きくなり始めた。前300年ほどまではファタムジア島内の統一が喪失している時期であり、ファシル語の言語的一体性も失われる危険性があった。前100年ほどまでがおおむね古代ファシル語と呼ばれる言葉が話された時代であったが、その時点で既に聖典に記述される言葉と比べてかなり乖離が生じている。
古代府語と現代ファシル語へと続く中期以降の府語とを明確に分けるに至った出来事がユース・ラスキント(Yus Lathkint)と呼ばれる現象である。ユース・ラスキントとは前100年頃からユーレリア暦200年頃にかけて発生した音韻的、文法的な変遷を指す。まず、前100年頃までの古末期ファシル語において「名詞と設置詞を音声的に区切らず発音し、更に書き言葉においてもスペースを空けずに綴字する」という行為が行われるようになっており、これがユーレリア暦100年頃から始まった言語教育制度の整備に伴い編纂されたファシル語正書法に取り入れられ、やがて一般名詞の格変化という形に再構築され普及することとなった。これによって語順に依存せず文中での語の役割が示されるようになったことで、文学界を中心に語順の入れ替えが頻繁に行われるようになった。この影響がファシル語に与えた影響は凄まじく、ある意味画期的なものであった。この変化によってファシル語における表現の幅は極めて多彩になった一方で、文法規則の寛容化といった形で古府語との乖離もまた大きなものとなった。更に、元々無声軟口蓋摩擦音([x])で発音されていたハフ(h,
h
)の長音記号化と、それに伴って長音化したhに付いていた母音の廃止、幾つかの音の脱落などが発生し、それらが言語政策の中で定着するに至った。
その後のファシル語史は、ユーレリア暦500年頃のそり舌音の消失(歯茎音化)、1100年頃の二重母音の硬口蓋化などの幾つかの音韻論上の変化を経た緩やかなものであった。次にファシル語が劇的な変化を経験するのは航海探検の始まる1300年代であった。
1313年のエイラータ入植、1319年のクラージナ入植と立て続けにファタ・モルガナ帝国による海外入植が行われそれに伴ってファシル語も遥か遠方に拡散するに至る。現在のクラージナアクセント、エイラータアクセントはこの時期のファシル語をルーツとして独自に変化したものである。更に1357年と1361年のアウメア入植の結果アウメア大陸に誕生したファシル語圏においては、現代においても地名など一部の言葉に口蓋化音が残っていたり、更に長音強勢が割れて二重母音に変化する現象('a→'aɪ、'ɛ→'ɛɪ)など本国の府語には無い特徴が見られる。また東海岸のユーミア女皇領の地域と南西部のタラニアとでは別々に入植が行われており、同じ大陸であるにも関わらずこれらの地域のファシル語には類似点が少ない。
更に1500年代に入ると現代での最も大規模な府語圏であるワーレリア大陸にファシル語が進出することとなる。アウメア上陸期のファシル語の特徴であった二重母音の硬口蓋化がこの時期には消失しており、ワーレリアのファシル語にもこれは見られない。概ね現代のファシル語と近い形である近代のファシル語を母体としたワーレリアアクセントは他の方言と比べると音韻的には本国のものに近い特徴を持つものの、後の1600年代の本国にて発生するイントネーションの変化(第二音節の強勢が第一音節に移動する)の影響は受けておらず、更に早口な労働者階級の喋り方を母体としたワーレリアアクセントでは極めて顕著なリンキングが発生しており、特定の例外を除いて語頭の子音は直前の単語の最後の子音から直接繋がる形で脱落するなどやはり本国のアクセントから乖離している。
このようにして世界中に拡散したファシル語はそれぞれの地域で別々に変化し、今日のファシル語に見られる多彩な方言差に至っている。
古代ファシル語に比べると曖昧な母音や似通った子音が統合される方向へと進んでいる。
ファシル語は6つの基本母音を持つが、二重母音や長母音の変化などにより下記に当てはまらない音価が大量に発生している。
ラテン字転写 | 名称ラテン字転写 | 名称カナ転写 | 標準音 | 自由異音 |
a | ah | アー | [a] | [ä],[ɑ] |
æ | ah-ram | アー・ラム | [æ] | [a] |
i | ih | イー | [i] | |
u | au | ユー | [ʊ] | |
o | oi | オー | [o] | |
e | em | エム | [ɛ] | [e̞] |
基本的に文字と音価が単射でなく、同じ文字でも語中での位置やリエゾンなどの影響を受けて異なる音価を持つことが多い。
ラテン字転写 | 名称 | 名称カナ転写 | 標準音 | 自由異音 |
th | thi | スィー | [θ] | |
s | se | セー | [s] | |
sh | she | シェー | [ʃ] | [ʂ] |
x | xak | サク | [sʼ] | [s] |
z | za | ザー | [z] | |
j | ji | ジー | [d͡ʒ] | [ʒ] |
f | fi | フィー | [f] | |
v | vi | ヴィー | [v] | |
b | be | ベー | [b] | |
m | me | メー | [m] | |
t | te | テー | [t] | [ʈ] |
tz | tze | ツェー | [t͡s] | |
d | de | デー | [d] | |
k | ke | ケー | [k] | |
q | qi | クィー | [q] | |
g | ge | ゲー | [ɡ] | |
w | we | ウェー | [w] | |
n | ne | ネー | [n] | |
c | cu | キュー | [c] | |
r | ra | ラー | [ɹ] | [ɹ̠] |
l | le | レー | [l] | [ɾ] |
ry | rye | リェー | [ɾʲ] | |
y | ye | イェー | [j] | |
p | pe | ペー | [p] | |
h | haf | ハフ | [h] | [χ],[x] |
ファシル文字を用いる。
音韻上の区別を表す記号として'が使用される。この記号を語中に挟むことで、前後の音素が連続しないことを表す。
古典語に比べ動詞、名詞において役割を明示する活用が発達していることから語順が入れ替わっても文の意味が崩壊しにくくなっている。この為口語においては語順の入れ替わりが比較的頻繁に発生する。
古代ファシル語ではそのような活用は存在せず、語順の入れ替わりに関して厳格な文法ルールが適用される為現代のファシル語話者の古典学習における障壁となっている。
コピュラとして"Fun"(~である)、"Fuhs"(~になる)がある。通常の動詞と同様に意味によって活用する。主語によって変化する事は、後述の特殊な活用(神性を主語に置く際にのみ使用される神格形)を除き起こり得ない。
ファシル語の冠詞は定冠詞と不定冠詞が存在する。両者は直後の名詞が既出の物を指すか否かによって使い分けられ、既に言及のあるものには定冠詞が付くとされる。
とはいえ口語においては専ら使用されず、一部の文語で必要とされる程度である。
"aw"は不特定の物で且つ今まで言及の無かったものに付く不定冠詞であり、「一つの」という意味を持つ。
"mer"は不定冠詞とは反対に特定の物且つ既に言及されたものに使用される定冠詞であり、「その」という意味を持つ。
現府語には人称代名詞の格変化が存在する。
ファシル語には名詞の格変化が存在し、格によっては文内での語の移動が発生する。
語順はSOV型を取る。
現府語は主題優勢言語であり、わざわざ明記する必要はないと判断された主語は省かれることが多い。
文型 | 語順 | 例文 | 日本語対訳 | 備考 |
1文型 ~Rugrr 1 | SV | Tha bas. | 私は話す。 | 最も基礎的な文型。主語-動詞の順で配置される。 |
2文型 ~Rugrr 2 | SCV | Ad aehin fun. | 彼は危ない奴です。 | 主語-補語-動詞。コピュラ"Fun"は特に簡素な文においてしばしば省略される。 |
3文型 ~Rugrr 3 | SOV | Ad nahathin vazfae. | 彼は道を走った。 | 主語-目的語-動詞の順で配置される。2文型と並んで最もよく出現する文型である。 |
4文型 ~Rugrr 4 | SOOV | Tha byuerexi doamin byek. | 私はあなたに夕食を作る。 | 主語-目的語-目的語-動詞。 |
5文型 ~Rugrr 5 | SOCV | Tha mer falkin Kroazhnih vagae. | 私はその島にクラージニーと命名した。 | 主語-目的語-補語-動詞。4文型と異なりOとCはイコールの関係となる。 |
5文型においては一部の動詞が特別な意味を持つことがある。
語 | 5文型における意味 | 通常の意味 | 備考 |
qis | OをCにする | する、行なう | |
pax | OをCにする | 近付く | 一方的にその状態にする際に使用される |
tzor | OをCにする | 強いる | 意に反して、強制的にその状態にする際に使用される |
vazf | OをCにする | 走る | 高次の状態に持って行くニュアンスで使用される |
frau | OをCと見做す | 見る | |
win | OをCに減らす、省く | 斬る | |
shalou | OをCに変える | 変わる | |
xous | OをCにしておく | 保つ | |
nean | OをCに確定する | 決める |
ファシル語には固有の否定詞"Nerzhe"が存在するものの、否定文に於いては通常使用されない。単に動詞に否定の接尾辞を付随させるだけで平叙文を否定文に変えることが出来るからである。否定詞は疑問文に対する応答などで登場する。
基本的に平叙疑問文の形式を取り、文頭に"Qis"を配置するだけで疑問形となる。また疑問詞も存在し、時期や場所、理由などを問うことも出来る。
語 | 意味 |
Ezne | 何を、何が |
Baeze | どっちを、どっちが |
Cron | いつ |
Reza | なぜ |
Khole | どこ |
Xig | どのように |
Wad | だれ |
疑問詞を用いる場合は、疑問詞-目的語or補語-動詞の語順を取る。疑問詞の有る疑問文で用いられるのは平叙文と同じく主格である。
例文 | 対訳 |
Wad byuer fun? | アンタ誰? |
疑問文を一つの名詞節として文中に取り込んだ関節疑問文では疑問詞が関係詞として現れる。
例文 | 対訳 |
形態素"ya"を間に挟んだ上で複数の疑問詞を抱合した「いつどこで」などの複数の条件を問う複合疑問詞という概念が存在する。
例:
Ezneyareza | Ezne-ya-reza | 何をなぜ |
命令文においてはVOS型となる。多くの場合において感嘆符が使用されるが、正書法において必須とされている訳では無い。
命令形に言う主語は命令の対象であり、命令文において代名詞の活用における対格が登場する。命令の対象が第三者で無い場合、しばしば主語が省略される。つまり、単に動詞を発するだけでも命令形たりうる。
文型 | 語順 | 例文 | 日本語対訳 | 備考 |
6文型 ~Rugrr 6 | VS | 大抵の場合、この文型で使用されるのは自動詞である。 | ||
7文型 ~Rugrr 7 | VOS | 動詞-目的語-主語(命令の対象)。 | ||
8文型 ~Rugrr 8 | VCS | 7文型との使い分けは、してほしい(Qis)のか、なってほしい(Mihs)のかの違い。 | ||
9文型 ~Rugrr 9 | VOOS | |||
10文型 ~Rugrr 10 | VOCS | 同じく9文型との使い分けは、してほしい(Qis)のか、なってほしい(Mihs)のかの違い。10文型はO=Cの状態にすることを命令する文。 |
命令文においては主語に命令の対象が置かれ、一般的な命令文では二人称代名詞が置かれることで直接的な命令を表した。然し、命令文の主語に「あなた」以外の第三者を置く場合、間接命令文と呼ばれるものとなる。
Byek doamin adae. |
例えばこの様に命令文の主語に三人称単数代名詞の男性対格(彼)を置く。すると当然命令の対象はその「彼」になる訳であるが、ではこの文章自体の発言された相手は文においてどのような立ち位置となるだろうか。無論、機械的に命令の対象を「あなた」から「彼」に挿げ替えただけでは、相手に命令を下す文であるにも関わらず文章の受け手側が一切言及を受けない、統語論的に破綻した文となってしまう。故にこの様な命令文では受け手が明文的な言及を受けていないながらも会話の破綻を回避する為に文の受け手も言及を「受けた」ものとして扱われる。
意味論的には名前通り、間接的な命令文として解釈される。上の例文では「彼(adhae)」に「夕食(doam)」を「作らせる(byek)」ことを受け手に対し命令する文章となるので、訳すならば「彼に夕食を作らせろ。」となる。
詰まる所、「誰々に何々させる」ことを「あなたに」命令するのが間接命令文である。
前述の間接命令文から理論を逆輸入して使役を表すことが出来る。用法としては単純であり、間接命令文の文頭に使役自体の主体となる主語を置くだけである。
留意すべき点として、命令文では主語が命令の対象として目的語的に扱われたのに対し、使役文では使役の対象は純粋に目的語として扱われる。使役の対象として置かれる代名詞は命令文と同じく対格である。命令の対象として置かれる対格の直後に命令された動作の対象である目的格が置かれることも珍しくない為、両者の混同には注意を払うべきである。
文型 | 語順 | 例文 | 日本語対訳 |
11文型 ~Rugrr 11 | SVOO | Tha byek doamin adae. | 私は彼に夕食を作らせる。 |
ファシル語の口語は文法ルールが比較的緩く、通常的には使役文ではなく平叙文や命令文で使役を表す。これは文語における正書法や古府語では許容されない。
例文 | 日本語対訳 | 備考 |
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Tha adae doamin byekev. | 私は彼に夕食を作らせる。 | |
Guerkev zame nelia. | 森に行こうよ。 | 口語の命令、使役においてはしばしば目的語より先に主語がずれる。 |
Guerkev zame nelia? | 森に行かない? | 同じ文でも文末のアクセントによってニュアンスが異なる。 |
疑問詞は関係詞の役割も果たす。その場合は関係詞節の文頭に現れる。関係詞節の末尾には「~を」に相当する意味合いのrinという副詞が登場する。
例文 | 日本語対訳 | 備考 |
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Tha xig adae arzhae mere ӕlga. | 彼らがどのようにして来たのか知りたい。 | 文語としてより適切な表現。 |
Xig adae arzhae ӕlgonzh. | 主語を省略し、助動詞mereを動詞の願望形で代用。 |
ファシル語の形容詞は凡そ二種に分類される。d形容詞とi形容詞である。両者の違いは主にその成立経緯と、文中の何処に配置されるかである。
これらの形容詞は語尾がdであるかiaであるかによって判別され、これらの何方も語尾に配置されない例外はほとんど皆無と言って良く、また極まれに登場するdでもiaでも終わらない形容詞は基本的に全てd形容詞に含まれる。
d形容詞は"Axid"(遠い)や"Huleid"(文化的な)などの様にその語尾がdの音であることからこの名称で呼ばれる。
接続位置は修飾対象の直前である。稀に登場する"Yukushih"(正義の)のようなdで終わらない例外の形容詞は全てd形容詞として扱われる。
一般名詞や基礎語彙から派生した形容詞が主にdho形容詞となる。
ia形容詞はd形容詞の対となる概念で、主に固有名詞などに形態素"ia"が接続することで生まれる抱合語的性格の品詞であり、他の語の派生語として生まれるものがほとんどである。接続位置は修飾対象の直後である。
例:
単語 | 意味 | 用例 | 用例の意味 |
Uenmparzhia | 女皇の | wahna uenmparzhia | 女皇の所有物 |
ファシル語の接辞は一般名詞、動詞、一部の形容詞などに汎用的に接続し、高等語彙の発達にあたって中核的なファクターとなってきた。
ファシル語の数詞には基数詞及び単一の順序数詞が存在する。
アラビア数字 | 基数詞 | 序数詞 |
1 | Dih | Distih |
2 | Ur | Urtih |
3 | Yuver | Yuvrih |
4 | Futh | Futhih |
5 | Xind | Xinthih |
6 | Mirv | Mirvih |
7 | Cerzh | Cerzhih |
8 | Gunth | Gunthih |
9 | Nev | Nevih |
10 | Air | Airih |
11 | Aird | Airdih |
12 | Arur | Arurih |
13 | Ayuver | Ayuverih |
14 | Aifuth | Aifuthih |
15 | Aixind | Aixindih |
16 | Aimirv | Aimirvih |
17 | Aicerzh | Aicerzhih |
18 | Aigunth | Aigunthih |
19 | Ainev | Ainevih |
0 | Vos | Vosih |
ファシル語は固有の数詞としての倍数詞などを持たず、基本的に序数の後ろに助数詞を置いて数量を表現する。
助数詞 | 意味 |
yurra | 倍数を表す。~倍。 |
mig | 分数を表す。直前には序数、直後には基数を用いる。~分の^。 |
link | 集合数詞を代用する助数詞。~組。 |
qir | 反復数詞を代用する助数詞。~回。 |
cron | ~時間。 |
liot | ~分。 |
mez | ~秒。 |
なお、個数や人数を数える場合は単に序数詞を使用する。また年を表す場合も序数詞のみを使う。
オリエンス諸語由来の優れた命数法が取り入れられており、古代ファシル語が長大すぎる接頭辞を使用していたのに対して現代ファシル語ではより短い接尾辞が存在している。万以降は十から百の接尾辞と抱合して使用する。各位は上から一つずつ表される。
例えば「25」をファシル語の数詞で表現したい場合、先ず20を表す為に"ur"に"air"を付け、その後ろに5を表す"xind"を置き、"urair xind"とする。
コンマは4桁ごとに振られる。
命数法 | 位取り接尾辞 | 漢数字 | 記号 |
air | -air | 十 | A |
arf | -arf | 百 | R |
aft | -aft | 千 | S |
axr | -axr | 万 | X |
elsh | -elsh | 億 | E |
eyr | -eyr | 兆 | Y |
emaf | -emaf | 京 | M |
acas | -acas | 垓 | C |
数字表記 | アラビア数字 | 読み |
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21,3485 | 21,3485 | urairaxr dihaxr yuveraft futharf gunthair xind |
190,3899 | 190,3899 | diharfaxr nevairaxr yuveraft guntharf nevair nev |
助動詞は動詞の直前に配置される。
現府語においては動詞の活用が発達しており、"parf"などの例外を除き助動詞は一般的に使用されない。
助動詞 | 意味 |
Pin | ~できる |
New | ~するつもりである |
Tzahl | ~しなければならない |
Brez | ~しなければならない,~に違いない |
Ryuhn | ~する必要がある |
Han | ~するべきである |
Parf | ~に慣れている |
Mere | ~したい |
接置詞は基本的に後置詞を取り、それぞれの格に呼応して現れる。
「修飾内容→設置詞→修飾対象」の語順を取り、「修飾対象→設置詞→修飾内容」の順序を取る古府語とは反対である。
接続詞は文章などを接続して仲介する品詞。接続詞の意味によって前後の文の関係が規律される。
ファシル語の形容詞は接頭辞による意味の変化が存在する。
形容詞の比較級、最上級はそれぞれ"Ar""Zahr"の接頭辞を付けて表す。
形容詞に否定的な意味を追加する接頭辞"Yugn"が存在する。
接頭辞 | 意味 | 用例 |
Ar | より~な | Arvint→Ararvint |
Zahr | 最も~な | Ashend→Zahrashend |
Yugn | ~でない | Tlid→Yugntlid |
府語圏(Fathiratha)はファシル語が主な言語として使用される地域を包括した呼称である。
ファタ・モルガナ帝国が世界中に植民地や影響圏を建設した結果それらの地域にはファシル語が浸透しており、現在でも政府が公用語として定めていたり、通用語や作業語としての地位が保たれていることが多い。
府語の発祥地域はファタムジア島であり府語を母語とする人口が最も多いのはワーレリア地域であるが、それ以外の地域にも府語は根差している。府語には他の言語にあるような中心地域が消失しており、画一的に「ファシル語と言えばこれ」と決することは困難である。
方言の分布図 |
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