十三夜 その3(ifルート)
子猫が居なかったルート
澪「あれ?居ない?」
段ボールの中はタオルと私が毎日あげてたミルクの容器だけだった。
澪「どこ行ったんだ?おーいゆいーみおー!」
段ボールの周りも探してみる・・・・・居ない。
澪「えっ?嘘だろ?」キョロキョロ
いくら歩けとはいえまだミルクしか飲んでいない子猫。そこらの野良犬や野良猫にあったらどうなるかはわかるはず・・・
澪「おーい出てこいよー!ゆいー!みおー!ミルク持ってきたからさー」
いつも傍にいた人が急に居なくなる。そんな気分を私は味わった。それは人出なくても同じ事だった。
澪「どこ行ったんだよぉ・・ぐす・・・急に・居なくならないでよぉ」ポロポロ
唯と秘密に育ててた子猫。それが突然居なくなる事は私が涙を流すほど悲しかった。言い換えればそれだけ私も惹かれていた。
結局、散々捜しても見付からなかったから神社の賽銭箱の近くに座って唯を待った。ゆいとみおを・・・・そして・・まだ来てない唯を思って・・・涙を流しながら・・・
結局、散々捜しても見付からなかったから神社の賽銭箱の近くに座って唯を待った。ゆいとみおを・・・・そして・・まだ来てない唯を思って・・・涙を流しながら・・・
「・・・・・ん・・・」
「・ぉ・・・ゃ・・・ん・」
澪「ん?」パチ
唯「ゴメンね。遅くなっちゃった」テヘヘ
唯が来た時には私は眠っていたらしい。唯は気付いているのか。
澪「そうだ唯!ゆいとみおがんん!」
人差し指で口を塞がれてしまった。私を落ち着かせたかったのか、暫くしてその人差し指を自分の唇に付けた。そして唯は言った。
唯「夜だから落ち着いて」
澪「でっでもゆいにみおが・・・」
唯「うん。知ってる。居なくなっちゃったんだよね」
澪「唯は何とも思わないのか?」グス
唯「悲しいよ。2人で内緒で飼っててなついてたもん」
澪「じゃっじゃあ何で・・・」ポロポロ
また涙が頬に流れ出た。唯は泣いてないのに・・・
唯「もしゆいとみおが帰って来た時私も泣いてたら笑われちゃうじゃん」
ダキッ
唯「わわっ!」
余りに唯がカッコ良かったから唯に抱き付いてしまった。それに理由は他にもある。
澪「・・・・もうちょっとだけ」グス
唯「えっ?」
澪「もうちょっとだけこのままにさせて欲しい。今の顔は誰にも見せたくないから」グス
唯「なら元気の出るおまじない。教えてあげよっか」
唯はそう言うと無理矢理私の頭を掴みそしてそのまま私の唇に唯は自分の唇を重ねてきた。
唯「・・・・・」
澪「!」
唯は目を閉じている。間近で見る唯の顔。普段の柔和な顔からはとても想像つかない。それくらい唯は綺麗だった。
ゆっくり触れ重なっていた唇が離れる。そして唯はゆっくり目を開けた。
唯「・・・・・///」
唯「どうだった?///」
顔が赤い。それは唯の顔でもあるし私の顔でもある。それだけ緊張したってことだ。私はともかく、あのライブですら平気な唯までもが・・・
澪「初めてだったんだぞ」
唯「いや・・・だったかな?」
雲に隠れていた月が私達を照らす。神社の小さい電灯よりも明るい光が唯の顔を照らすと暗いとはいえ、私にも判るくらい赤かった。
唯「そっその実は昔、憂といっぱいしてて///・・・憂が言ってくれたんだよ。お姉ちゃんのキスはどんな人でも元気になるおまじないだよって///」
澪「ふーん。私は初めてだったのに唯は憂ちゃんとたくさんふーん」
なんか憂ちゃんに負けたみたいな気がした。それがなんか悔しく感じたから拗ねてみた。
唯「えっ?でっでも憂以外は・・・」アセアセ
澪「憂ちゃんとはたくさんしたんでしょ。ふーん」
唯「あっそっそんなぁ」シュン
ちょっと拗ねただけでこんなにへこむとは思ってなかった。さっき慰めてくれた唯に申し訳ない気がした。
澪「悪かったよ。唯もそんな顔は似合わないよ」
唯「そっそんな顔してないもん!」
澪「そのふてくされてる感じの顔のことだよ」
唯「あぅ・・・」
澪「でも、ありがとう」
さっきのことで唯に感謝を伝えた。
唯「・・・・」プイ
だがそっぽを向かれてしまった。
澪「唯~悪かったってちょっと意地悪しすぎたよ~」
唯「・・・・」プイ
澪「こうすればどうだ」ダキッ
唯「わわ!!」
もう一回不意を突いて唯を後ろから抱きしめてみた。
澪「どうだ~唯、私からこうやって抱きつくのは律にもしてないんだぞ~」ギュー
唯「ううう///」
ついでと言うのは何だけど唯に大事なことを聞いてみることにした。
澪「なあ唯、このまま聞いてくれ」
唯「・・・・」
澪「その・・・さっきのキスは・・・・」
唯「・・・・ょ」
澪「え?」
唯「好きだよ」
澪「え?・・・え?」
唯「澪ちゃんの事好きだよ」
澪「え?あえ?」
頭がうまく回転しない。唯が好き。私を?
唯「澪ちゃんは私のことどうなの?」
いつの間にか私を振りほどいて正面にいる唯。
唯「私はもう言ったよ。答えてくれるかな?」
月が再び雲に隠れて周りが暗くなる。当然唯の顔も見えなくなった。
澪「私は・・・・」
素直な気持ちは唯のことは好き。ただ、それは友達として・・・唯の好きはどんな好きなんだろう。普段の唯の好きなのか?そんな感じは全くしない。
澪「唯の好きって・・・」
唯「・・・多分澪ちゃんが思ってる意味だと思う」
澪「私は・・・・唯と一緒に・・・」
澪「いる時はとても楽しかった。律や梓にムギとは違って唯と一緒に居ること自体が楽しかった。だから・・・」
唯に手をさしのべる。
澪「唯の事が好きだから・・・これからも一緒にいてくれないか?」
だけど、唯は手を握ってくれなかった。
ダキッ
何かが抱きついてきた感触。ふわふわした・・・ほわほわした・・・ムギとは違った癖毛を持ち・・・暖かい・・・唯が。
唯「うう・・・ぐすひっく・・・うええええん」ポロポロ
澪「おっおい唯!」
突然唯が泣いてしまってちょっと焦ってしまった。
唯「違うの・・・ひっくうれし・・の・・うええ・・・まさか・・みぉちゃんが・・・わたじのごどひっくずきだと・・・・思ってなかっひっくたから」ポロポロ
澪「・・・・よしよし。泣かないで唯。唯に泣いてる顔なんて似合わないよ」ナデナデ
唯はなかなか泣きやまない。それを私は抱きしめて唯に私を、私は唯を感じ取った。
結局、唯が泣きやんだのは再び月が顔を出してからだ。
結局、唯が泣きやんだのは再び月が顔を出してからだ。
時刻はもう11時を回っていた。結局ゆいとみおは帰ってこなかった。私と唯はまだ神社にいた。
唯「ではこれから恋人記念日にお月見をしよう!」
澪「なんでまたお月見?」
唯「今日は十三夜だよ!」
澪「そっか。でも私なんにも準備なんか・・・」
してない。そう言う前に唯はまた人差し指で私の口を塞いだ。
唯「今日私が遅れたのはジャジャーン!お着き準備をしていたからです!」
澪「おお!三方に団子、里芋・・・食べ物ばっかりじゃないか」
唯「でももう結構お腹空いてない?」
澪「・・・それもそうだな」クス
唯「準備完了それじゃあ食べる前に先に月を見よう」
澪「珍しく唯らしい」
唯「失礼な!私だって優先順位くらいあるんだよ!!」
澪「言ってみてよ」
唯「3番に食事!2番に憂!1番は澪ちゃん!!」
澪「///」
ちょっとうれしかった。けど唯にばれたくなかった。顔が赤いなんて・・・
唯「でも今はお月見が一番かな~」
澪「むっ!」
そう唯は空を眺めた。なんか今日唯と付き合えたとはいえいきなり優先順位が取られるのがなんか嫌だった。
唯「あっ!澪ちゃん月だよ!ほらって・・んん!」
だから月が見えるときと同時に唯にキスしてやった。どんな顔するか楽しみだ!
終わり。
おまけ
唯と月見をした次の日の放課後
梓「そういえば昨日家に小さい猫が来たんですよ」
不意に梓がそんなことを言った。子猫?まさかね。
律「へぇ。どんな猫?」
梓「真っ黒と寅っぽい色の子猫です。そうですね・・・唯先輩と澪先輩みたいな」
唯「!」
澪「!」
私と唯は大体想像がついたらしい。
紬「へぇ~。見てみたいわ~」
梓「いいですよ」
唯「あずにゃん。私もみたい!」
梓「ええどうぞ」
梓の家
梓「この子達です」
唯澪「あーーーー!!」
律「なっ!何だ!いきなり大声出して!?」
唯「みおー!」
澪「ゆいー!」
梓いわく家に帰ったら玄関辺りでうろうろしていて飼い猫らしくもなさそうだから保護したという。代わりに私たちも育ててたこと説明した。
律「それで2人で帰ってたのか」
紬「可愛いわね~」
澪「良かったよ~」
唯「そうだね~」
梓「じゃあ私がこのままゆいとみおを引き取って良いですか?」
唯「みおをよろしくね♪」
澪「ゆいを頼むな」
梓「任せてください!」
終わり。