ゆいみお!第六話(終)
ゆいみお!第6話(最終回)です
「いよいよだね、澪ちゃん!」
「あ、あぁ…そうだな、唯!」
「澪ちゃん、そっちは壁だよ」
「…あぁっ!どおりで…唯が白くて平べったいなって思ってたんだよ」
「もー、澪ちゃん緊張しすぎ!」
「あ、あぁ…そうだな、唯!」
「澪ちゃん、そっちは壁だよ」
「…あぁっ!どおりで…唯が白くて平べったいなって思ってたんだよ」
「もー、澪ちゃん緊張しすぎ!」
いよいよ迎えた演芸大会本番
「ゆいみお」の二人は控室で出番を待っている
「ゆいみお」の二人は控室で出番を待っている
唯の誘いからできたこのユニット
一週間前唯の家で行った集中合宿以降は、休憩時間と部活後のわずかな時間しか練習できなかった
しかし、演奏する曲「わたしの恋はホッチキス」は元々練習してきた曲であり、それぞれの課題は明確であった
唯はミスなく演奏すること。澪はしっかりと歌いきること
そして二人共通の課題は、それぞれのソロパートを演奏しきること
これらの課題克服を目指し、練習を重ねた
一週間前唯の家で行った集中合宿以降は、休憩時間と部活後のわずかな時間しか練習できなかった
しかし、演奏する曲「わたしの恋はホッチキス」は元々練習してきた曲であり、それぞれの課題は明確であった
唯はミスなく演奏すること。澪はしっかりと歌いきること
そして二人共通の課題は、それぞれのソロパートを演奏しきること
これらの課題克服を目指し、練習を重ねた
日曜日はぎこちなさがあった二人だったが、月曜からは今まで通りの関係で練習ができた
澪はあきらめて、唯は開き直っている様子が窺えた
澪はあきらめて、唯は開き直っている様子が窺えた
「唯は相変わらず緊張してないみたいだな」
「えへへー、だってこの衣装きれるんだもん」
「別に私は制服でもよかったのに…」
「駄目だよ!せっかくの晴れ舞台なんだから」
「えへへー、だってこの衣装きれるんだもん」
「別に私は制服でもよかったのに…」
「駄目だよ!せっかくの晴れ舞台なんだから」
二人が本番に向けて選んだ衣装は、昨年の学際で着たミニ浴衣だった
しかし、唯はアクシデントでこの衣装を着て舞台に上がれなかった
だからもう一度着たいという唯の強い希望から、この衣装に決まった
学際の時は季節からファーがつけられたが、今回はそれは取り払われ浴衣のみで演奏をする
しかし、唯はアクシデントでこの衣装を着て舞台に上がれなかった
だからもう一度着たいという唯の強い希望から、この衣装に決まった
学際の時は季節からファーがつけられたが、今回はそれは取り払われ浴衣のみで演奏をする
「なんか、あっという間だったねー」
「んっ、何がだ?」
「私たちがペアを組んで本番が来るまでだよ」
「あぁ…元々準備期間が短かったからな」
「…んもうっ、そういう意味じゃないよ!」
「えっ?!…そうなの?」
「…」ガタッ
「んっ、何がだ?」
「私たちがペアを組んで本番が来るまでだよ」
「あぁ…元々準備期間が短かったからな」
「…んもうっ、そういう意味じゃないよ!」
「えっ?!…そうなの?」
「…」ガタッ
無言で立ち上がる唯
「ど…どうしたんだ…唯」
唯の行動に驚く澪
「おトイレ!」バタンッ
そう言って控室から出る唯
「…澪ちゃんのバカ」
控室の外で唯が呟く
「…あぁ、分かってる…私にとっては、夢のような時間だったよ」
一人残された澪が呟く
1週間前、自分の唯への気持ちに気付いた澪
しかし気付いたきっかけが、唯に好きな人がいることを知ったときという皮肉なものとなった
それからの1週間は、唯への思いは封印し、本番へ向けての練習に集中した
だが二人での練習を終え一人になったとき、唯への思いは爆発する
そのぶつけどころのない思いに悩み、枕をぬらす夜が続いた澪
そして悩み続けた結果、澪は一つの答えを出す
しかし気付いたきっかけが、唯に好きな人がいることを知ったときという皮肉なものとなった
それからの1週間は、唯への思いは封印し、本番へ向けての練習に集中した
だが二人での練習を終え一人になったとき、唯への思いは爆発する
そのぶつけどころのない思いに悩み、枕をぬらす夜が続いた澪
そして悩み続けた結果、澪は一つの答えを出す
「(これが終わったら…唯に…)」
また、唯も…
「(これが終わったら…澪ちゃんに…)」
二人がそれぞれの決意を持って本番を迎える
刻一刻と迫る出番の時、ステージの袖で出番を待つ二人
元々緊張しぃの澪は、ほとんど声を発することがなかった
しかし、いつもは本番前までいつも通りな唯も言葉数が減っていた
元々緊張しぃの澪は、ほとんど声を発することがなかった
しかし、いつもは本番前までいつも通りな唯も言葉数が減っていた
「…唯、大丈夫か?」
いつもと様子の違う唯を心配して、澪が声をかける
「…えっ?!大丈夫だよ」
「…」
「…」
そう言う唯の笑顔は、いつもとは違うかなりぎこちないものだった
そして、声がわずかだが震えているのを澪は聞き逃さなかった
そして、声がわずかだが震えているのを澪は聞き逃さなかった
「唯、緊張してるのか?」
「えぇっ?!…ま、まっさかー…澪ちゃんじゃないんだからー」
「えぇっ?!…ま、まっさかー…澪ちゃんじゃないんだからー」
平静を装ってる唯だったが、明らかにいつもと違う
そう確信した澪は…
そう確信した澪は…
「唯っ!…」
「ひゃっ!…もーっ、どうしたの澪ちゃーん」
「ひゃっ!…もーっ、どうしたの澪ちゃーん」
唯の手を握り、手の温度を確かめた
「…唯、すっごく手冷たいよ」
「えっ…わ、私は…心があったかいから、手は冷たいんだよー…前そう言ったでしょ」
「えっ…わ、私は…心があったかいから、手は冷たいんだよー…前そう言ったでしょ」
確かに、唯は去年の冬にそう言った
しかし今日は夏の日差しが照り返し、真夏日になろうかというくらいの暑さだった
唯の手は、その暑さを感じさせないくらい冷たかった…まるで今日が真冬であると感じるほどに
しかし今日は夏の日差しが照り返し、真夏日になろうかというくらいの暑さだった
唯の手は、その暑さを感じさせないくらい冷たかった…まるで今日が真冬であると感じるほどに
「(…一緒に演奏するのが、私しかいないから唯…緊張してるのかな)」
澪は、唯の緊張の原因は自分にあると思った
軽音部でステージに立つ際は、ムードメーカーの律、安心感を与える紬、癒しを与える梓と、唯の緊張をほぐす人物がいた
しかし澪はステージに立つまで緊張しっぱなしで、周りを見る余裕なんてなかった
軽音部でステージに立つ際は、ムードメーカーの律、安心感を与える紬、癒しを与える梓と、唯の緊張をほぐす人物がいた
しかし澪はステージに立つまで緊張しっぱなしで、周りを見る余裕なんてなかった
「ほ、ほら澪ちゃん…次、私たちだよ」
ゆいみおの前の演技者がステージに上がる
このままステージに上がれば、唯は確実に失敗する
そう澪は確信した。なんとかして唯の緊張をほぐさないと…1年の学際の時、唯が自分にしてくれたように
このままステージに上がれば、唯は確実に失敗する
そう澪は確信した。なんとかして唯の緊張をほぐさないと…1年の学際の時、唯が自分にしてくれたように
「…唯、大丈夫だから」
「えっ…」
「私がいるから、安心して」
「澪ちゃん…」
「えっ…」
「私がいるから、安心して」
「澪ちゃん…」
真剣な眼差しを唯に向け、澪が続ける
「これまで私が一番近くで、唯の演奏、声を聞いてきた。その私が保証する、唯は大丈夫。だから、安心して演奏して」
「…」
「唯の隣には、いつも私がいるから」
「…」
「唯の隣には、いつも私がいるから」
この言葉を聞いて、唯の手に体温が戻ってくるのを感じる
「今までもこれからも、それは変わらない…」
そう言いきると、一旦唯から視線を外す澪
唯の手はあっという間に熱くなっていた
唯の手はあっという間に熱くなっていた
「…うん、そうだよね…そうだよ!」
「唯…」
「唯…」
唯がいつものトーンで話し出す
「ずっと、放課後ティータイムで…私も一番近くで澪ちゃんの演奏と声…聞いてきたよ」
「うん…」
「だから、澪ちゃんも大丈夫!安心して歌ってね!」
「うん…」
「だから、澪ちゃんも大丈夫!安心して歌ってね!」
いつもの笑顔を澪に向ける
「うん、分かった」
自分の精一杯の笑顔を唯に向ける澪
『次は、エントリーNo.15「ゆいみお」です』
出番を告げるアナウンスが響く
「いよいよ出番だよ澪ちゃん!」
「あぁ行こう、唯!」
「あぁ行こう、唯!」
ステージへと上がる二人
二人の間の手は、繋がったままで
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「終わっちゃったねー」
「うん…」
「うん…」
本番を終え二人は今、公園のベンチに腰掛けている
「優勝…できなかったね…」
「うん…」
「うん…」
結果としては、二人は優勝できなかった
しかい、オリジナル曲を歌い、二人の息の合った演奏・歌唱が評価され3位という大健闘を見せた
しかい、オリジナル曲を歌い、二人の息の合った演奏・歌唱が評価され3位という大健闘を見せた
「3位でも、賞品でるんだね」
「そうだな」
「これ使って、二人でお出かけしようね!」
「あぁ」
「そうだな」
「これ使って、二人でお出かけしようね!」
「あぁ」
3位の賞品として貰ったのは、映画のペアチケット
そしていつか遊びに行く約束をする二人
そしていつか遊びに行く約束をする二人
「…」
「…」
「…」
二人の間に流れる無言の時
演奏終了後から、二人の会話、言葉数が減っていた
それはまるで、何かを言うタイミングを窺っているかのように見える
演奏終了後から、二人の会話、言葉数が減っていた
それはまるで、何かを言うタイミングを窺っているかのように見える
しばらくたって…その時は、来る…
「「あ、あのっ!」」
「あっ!…ゆ、唯…何だ?…」
「そういう澪ちゃんこそ…何?」
「あっ!…ゆ、唯…何だ?…」
「そういう澪ちゃんこそ…何?」
言いだしたタイミングがかぶり照れる二人
「あ…えーっと…唯から先に言ってくれないか?」
「うーん…澪ちゃん、先に言って?」
「い、いや!唯が先に言ってくれ!」
「ううん!澪ちゃんから先に言って!」
「うーん…澪ちゃん、先に言って?」
「い、いや!唯が先に言ってくれ!」
「ううん!澪ちゃんから先に言って!」
どちらが先に言うかで譲り合う二人
そんなやりとりが続いて…
そんなやりとりが続いて…
「うぅ…分かった…私が先に言うよ…」
「うん!」
「うん!」
根負けして澪が先に言うことになった
「じゃ、じゃあ…言うぞ」
「う、うん…」
「う、うん…」
ベンチのとなり通し、澪は自分の真正面を見ながら言葉を放ち
唯は自分の足元を見ながら、澪の言葉を待つ
唯は自分の足元を見ながら、澪の言葉を待つ
「私は…唯と一緒に練習できたこの1週間…すっごく楽しかった」
「…えっ」
「…えっ」
澪の言葉に驚き、顔を上げる唯
「なんか2年になってから、唯と一緒にいることが減って…だからこの1週間は、1年の頃みたいで…
すごく楽しかったんんだ。あぁ、前はこんなだったなって…」
「…」
すごく楽しかったんんだ。あぁ、前はこんなだったなって…」
「…」
澪の言葉を、しっかりと聞く唯
「唯といることの楽しさ以外にも…気付いたことがあるんだ…でもそれは、今となっては遅いことかもしれないけど」
ついに澪が決心する
「先週の合宿の夜、唯好きな人いるか聞いたろ」
「う、うん…」
「あのときさ、私はいないって言った後…唯はいるって言ったろ」
「うん…」
「それ聞いた時、すっごく胸が痛んだんだ…その痛みがどこからくるのか…その理由が、分かったんだ」
「…」
「う、うん…」
「あのときさ、私はいないって言った後…唯はいるって言ったろ」
「うん…」
「それ聞いた時、すっごく胸が痛んだんだ…その痛みがどこからくるのか…その理由が、分かったんだ」
「…」
澪の言葉に集中し、返事ができない唯
そして澪は深く息を吸い…
そして澪は深く息を吸い…
「私は、唯が好きだということに…唯、好きだ。友だちとしてではなく、一人の女性として…愛している」
澪が唯に告白する。澪は唯の手を握り、視線を唯にまっすぐに向ける
「っ……」
澪の告白を受け、言葉を失う唯
「ただ、私の気持ちを…聞いてほしかった…迷惑かもしれないけど、もう抑えられなかったんだ」
澪はずっと視線を唯から外さない
しかし唯は、上げていた顔を再び下げる
しかし唯は、上げていた顔を再び下げる
「…ひっ…ふぇっ…うっ…うえぇぇーん」
「えっ?!ゆ、唯ぃ?!」
「えっ?!ゆ、唯ぃ?!」
突然泣き出した唯に驚く澪
「うえぇぇーん…えぇーん」
「あっ…の…その…迷惑とかだったら…断っても構わなんだ…その…ただ、私の気持ちを…聞いてほしかっただけなんだ」
「あっ…の…その…迷惑とかだったら…断っても構わなんだ…その…ただ、私の気持ちを…聞いてほしかっただけなんだ」
動揺する澪
「ふぇっ…ぢ、ぢがうのー…ぐすっ…」
「えっ?!違うって何が?」
「べづに…ぶぇ、めいわぐなんがじゃ…ないがらぁー」
「えっ?!違うって何が?」
「べづに…ぶぇ、めいわぐなんがじゃ…ないがらぁー」
泣きながら自分の気持ちを伝える唯
「えっ…迷惑じゃないって…」
「ぐすっ…わ、わたしも…澪ちゃんのこと…好きだから、大好きだから…嬉しかったのー!」
「ぐすっ…わ、わたしも…澪ちゃんのこと…好きだから、大好きだから…嬉しかったのー!」
泣きやみ、澪の告白に応える唯
「…えっ、今何て?…」
「だからー、私も澪ちゃんと一緒で大好きなの!澪ちゃんのこと愛してるの!」
「だからー、私も澪ちゃんと一緒で大好きなの!澪ちゃんのこと愛してるの!」
感極まり大声で再び告白する唯
「…と、いうことは…」
「りょ、両想い…ってこと、だよね」
「「や、やったー!!」」
「りょ、両想い…ってこと、だよね」
「「や、やったー!!」」
お互いの思いを確認し合い喜ぶ二人
「えっと…唯は、いつからその…私のこと、好きなんだ?…」
「うーんっとね…1年の頃は、綺麗でかわいいなぁーって思ってるだけだったんだけ…」
「う、うん…」
「ちゃんと澪ちゃんのこと好きだって思ったのは…2年になってからかな」
「えぇっ?!そんな前から?」
「うーんっとね…1年の頃は、綺麗でかわいいなぁーって思ってるだけだったんだけ…」
「う、うん…」
「ちゃんと澪ちゃんのこと好きだって思ったのは…2年になってからかな」
「えぇっ?!そんな前から?」
結構前から唯が自分のことを好きだったことに驚く澪
「うん…澪ちゃんのこと好きだって気付いたら…澪ちゃんとお話したり、練習するの…恥ずかしくなって…」
「…で、律や梓とコミュニケーションとるようになったのか?」
「あずにゃんは可愛いし、りっちゃんといると楽しいから…全部ってわけじゃないけど…少しは、あるかな」
「はぁーっ…そうだったのか」
「…で、律や梓とコミュニケーションとるようになったのか?」
「あずにゃんは可愛いし、りっちゃんといると楽しいから…全部ってわけじゃないけど…少しは、あるかな」
「はぁーっ…そうだったのか」
唯とのコミュニケーションが減った理由を知り、安心したようなそうでないような気持ちの澪
「でもよかったよぉー、澪ちゃんから先に好きだって言ってもらえて」
「んっ…だったら、さっき唯も告白しようと思ってたのか?」
「えへへーそうだよ!」
「んっ…だったら、さっき唯も告白しようと思ってたのか?」
「えへへーそうだよ!」
笑顔でVサインをする唯
「そうだったのか…なら私のこの1週間は、取り越し苦労だったのか…」
「そんなことないよ!私は1年以上悩んだんだから!」
「あぁそうだった…ごめんな唯、待たせて」
「うぅん、いいんだよ!両想いになれたんだし!」
「そうだな」
「そんなことないよ!私は1年以上悩んだんだから!」
「あぁそうだった…ごめんな唯、待たせて」
「うぅん、いいんだよ!両想いになれたんだし!」
「そうだな」
お互い笑顔で向き合う
「えへへ…これからよろしくね、澪ちゃん!」
「あぁ…こちらこそ、唯!」
「あぁ…こちらこそ、唯!」
二人を夏の真っ赤な夕日が照らし出す
まっすぐに延びた二人の影が、これから続く二人の関係が長く続いていくのを示しているかのように見えた
まっすぐに延びた二人の影が、これから続く二人の関係が長く続いていくのを示しているかのように見えた
以上です
なかなか続きを投下できず、お待たせしたことをお詫びいたします
約1年ぶりとなる長編の続きものだったのですが、終わらせることができました
これもスレの皆様のおかげです、ありがとうございました
約1年ぶりとなる長編の続きものだったのですが、終わらせることができました
これもスレの皆様のおかげです、ありがとうございました
これでゆいみお!は一旦終了します
でも、この後の二人について色々と妄想済みですのでまたssが出来次第ひっそりとあげていきたいと思います
でも、この後の二人について色々と妄想済みですのでまたssが出来次第ひっそりとあげていきたいと思います
最後にこのssを読んでいただいた全ての唯澪ファンの皆様、ありがとうございました
初出:1->>621