概要

ロズの戦いとは、蜉蝣時代の戦乱の中で、アルファ696年4月、ロー・レアルス国軍とシャリアル国軍の間に起きた戦いである。


戦闘に至るまでの背景


▲695年3月における勢力図

ロー・レアルス国が、686年のリファードの戦い敗戦時の混乱によってシャリアル国に奪われた領土は、ギルミアの戦いで、ほぼ奪還していた。
ロズ地方だけは未だにシャリアル国のものとなっていたが、ルーディア包囲網の戦いによりバルド国が陥落したことにより、ベルザフィリス国との正面決戦に兵力を向けた今が奪還のチャンスと、メファイザスは軍勢を派遣した。


両軍の戦力

攻撃側 守備側

ロー・レアルス国軍
軍勢
シャリアル国軍
総兵力16000 兵力 総兵力4000
ドルトン 総指揮 クレット
軍師
主要参戦者

ドルトン

ゼノス

ドゥバ

フェリシア


クレット

メイ





戦闘経緯


すでに、ベルザフィリス国との戦いに向けて、この地を放棄して戦線を縮小させていたシャリアル国に、クレット以外名のある将軍はいなかった。
兵数的にも勝ち目はなく、本来ならば速やかに撤退するべきだったが、戦わずして後退することを恥と思った一部の近視眼的部隊が、ロー・レアルス国軍に挑む。

しかし、ロー・レアルス国の先陣は最強の猛将ゼノス、脇を固めるのはその養女にして既に一軍を任さられたフェリシアドゥバという隙のない布陣であり、シャリアル国残留部隊は無駄に戦場に屍を晒すだけであった。

ただし、近年の研究によるとこの時メスローが「援軍を送るから、それまで踏みとどまる様に」と命令するが、派遣された援軍が悪天候による川の氾濫により渡河できず、間に合わなかったとする説もある。
これが事実なら、彼らは決して目先のことを考えて無駄な戦いを仕掛けたのではなく、本国からの援軍を信じて踏みとどまったこととなるが、後世の創作では、メスローを悪人像にするため、援軍を派遣すると言いながら、あえて派遣しなかったとするものも多い。

また、シャリアル国国境部隊が援軍を待たずに決戦に挑まざるを得なかったのは、食料部隊が早い段階で降伏した為である。
後方から食料を輸送していたメイは、慣れない土地で道に迷い、偵察にきていたフェリシア部隊と不運にも遭遇する。
この時、敵に奪われるくらいなら食料を燃やすべきと部下に進言されるが、「食料は農民が一年かけて作り上げたもの、軽々しく燃やせるものではない」とメイは降伏した。
この行動が、「最初からロー・レアルス国と内通していたのでは」と疑われ、本国に残されていたメイの家族は処刑されるが、そのことを知ったゼノスは、この戦いの後彼女を厚く遇した。
しかし、彼女の迂闊な行動が結果的に援軍を待たずに国境部隊を決戦に向かわせた遠因であることを考えると、「人柄と功績は必ずしも比例しない」という一例として後世にまで語られることとなる。


戦いの結末

これまでも戦場で雌雄を決した結果としての敗北はあったが、この戦いは、かつては大陸に覇を唱えていたシャリアル国が、窮地に立たされてはじめたことを内外に示す一戦であった。
しかし、この後すぐにシャリアル国が攻め込まれることはなかった。
ベルザフィリス国のディルセアは、現時点でロー・レアルス国と戦うのは時期尚早と考え、シャリアル国を緩衝材として残したまま、まずはアル国との決戦に備えることにする。
一方、ロー・レアルス国においても、この段階で国境を接する国をこれ以上増やすのは得策ではないと、シャリアル国を残すことを決意。
皮肉なことに、シャリアル国は、ベルザフィリスロー・レアルス国それぞれの都合により、延命することとなる。 


最終更新:2024年08月17日 13:44