概要

ディジィの戦いとは、ザールック3326年10月、ビーストバリア国と、アトレティア国軍鬼龍軍との間で起きた戦いである。

鬼龍軍という存在は、その立ち位置が複雑である。
所属する者のほぼ全員が、もともとはビーストバリア国の民であり、対立からビーストバリア国北部の領土へ移り渡った者達だった為、ビーストバリア国の内乱というのが本来の呼び方であるが、その鬼龍の力を利用できると考え、アトレティア国は、将軍位とダルスバード艦隊を与え、鬼龍自身もアトレティア国への忠誠を口にした。
その為、鬼龍軍が駐屯する地域は、「アトレティア国の飛び地領土」とも呼べ、「ビーストバリア国」対「アトレティア国」という呼び方も当てはまる。


戦闘に至るまでの背景


▲3326年前後の勢力図

リゼルバ攻略戦における大敗により、戦力を大きく失ったビーストバリア国は、その後長年の宿敵である鬼龍軍に苦しい戦いを強いられ、国境部隊は次々と撃破されていた。

前回のフォルッカの戦いにおいては、商人であるコルディアの情報が有効に使われたが、その後、コルディアは、アーズ国の使者を買収して偽の書状を送り、ビーストバリア国とアーズ国の間に火種をまこうとしたり、リゼルバ攻略戦においてモルコア国が出陣できなかった事態を作ったりと、自身の商売を潤すため、戦いをわざと長引かせていることが発覚、追手を逃れてビーストバリア国から姿を消した。
これまでの情報も、全てコルディアを通して鬼龍たちにわたっていると思われたビーストバリア国は、基本戦略から再構築しなければならなかった。

情報源も失い、完全に後手に回ったビーストバリア国に対して、鬼龍軍は首都を一気に陥落させるべく全軍を出陣させる。
これを迎え撃つべく、ビーストバリア国軍も全軍を出陣させ、ディジィ平原に布陣する。

既に同盟国アーズ国の援軍を期待できない彼らは、国王の名代として、ベルーマまでもが戦意高揚のため陣頭に立ち、ここでなんとしても敵軍を食い止めなければならなかった。


両軍の戦力

攻撃側 守備側

アトレティア国軍 鬼龍軍
軍勢
ビーストバリア国軍
総兵力45000 兵力 総兵力24000
鬼龍 総指揮 ベルーマ
軍師
主要参戦者

鬼龍

飛翔

翡翠

ウェンディ

ガイラ

ベルーマ

黒狼

火龍

青龍


戦闘経緯


兵力の差は歴然であった、にも関わらず、両軍は見通しのいい平原に布陣したのである。
これを、正面からの決戦と正直に信じるほど鬼龍はあまくはなく、ビーストバリア国軍が密かに艦隊を背後に動かし、奇襲を仕掛けようとしていることを見破り、自軍の艦隊を背後に伏せておいた。
そして決戦は幕を開け、ビーストバリア艦隊はその予測通り背後に回ろうとするが、背面に展開されていた艦隊に邪魔されて奇襲は完全に失敗、地上部隊は兵力の差から押し込まれていく。


首都防衛の士気から序盤こそ優勢に戦うが、長期戦になれば数の差は覆いきれず、もはや決戦の敗北とそこから首都への進撃は防ぎきれないと誰もが覚悟した。
だがそのとき、鬼龍部隊が一斉に撤退していく。
何が起きたかわからないビーストバリア国軍だが、それは霊虎が使者として向かったフレイミスト国が、援軍を派遣した為ということを知ることとなる。

フレイミスト国軍は、全軍出陣により手薄になった鬼龍軍の領土を堂々と渡ると、背後から迫り、守備軍として待機していた翡翠部隊を撃破し壊滅させる。
そして、退路を絶たれて挟撃される事を恐れた鬼龍部隊が速やかに撤退したことを知ると、目的を達したと、素早く全軍を引き上げさせた。


戦いの結末

フレイミスト国に、ビーストバリア国を救う義理はなかった。
だが、使者として単独でやってきた霊虎の説得と「今後、鬼龍の領土を好きに奪って構わない(内乱であるため、本来ならビーストバリアの領土である)」という条件により、リョウは動いた。

この時点では誰も知る由はなかったが、後に両国は敵対することとなる。
しかし、フレイミスト国は、このディジィの戦いから、潜在的に「ビーストバリア国は弱い」という意識があった為、相手を侮り、勝利を逃すことになったと言われる。
ただし、リョウだけは「獣は、餌を喰らい強くなっていく……奴らはまだ餌を食べていないだけだ。今は弱い、だが将来強くなるかもしれん……少なくとも、あの霊虎という男は強かった。もっとも、未来の事は誰にもわからん、明日には別の獣の餌にされるかもしれないがな」と、この時点で将来の可能性には気づいていたという。




最終更新:2024年08月18日 01:36