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魂の拠り所(後編) ◆BEQBTq4Ltk


まるで標本にされた昆虫のようだ。
 身体の至る所を鉄パイプで貫通され大地に固定されたエンヴィーの姿は正に置物だ。

 巨躯を活かし豪快に戦闘していたものの、その図体の大きさが仇となった。

 タツミが前線で気を引きつけている間に白井黒子は何本もの鉄パイプをエンヴィーに突き刺した。
 何度も何度も繰り返される中、ストックされている賢者の石の回復速度を凌駕し始め、ホムンクルスは動けずにいた。


「く……お前も天城雪子みたいに殺してやる、殺してやるからな」

「此方の台詞ですわ。暴れると更に刺しますわよ」

「やってみろよ人間風情が調子に乗りやが――エドワード……エルリック」


 苛ついたエンヴィーが目にしたのは気付けば錬成陣の上に立つ鋼の錬金術師だった。
 所々に傷を覆っているものの、致命傷は受けていなようだ。


「戻ってきたってことは……」

「おう! 目が覚めればこいつは美樹さやかだぜ」

「よかった……本当によかった」


 事実として本当に美樹さやかが助かった証拠は無い。
 解るのは錬成した本人であるエドワードだけだが、タツミは彼を疑わなかった。
 言葉は感謝の念だ。もう振り返れない誤ちに向き合う奇跡を得た故に。


「よぉエンヴィー……お前らは殺し合いを企てて何を考えてやがんだ?」

「あん? 何言ってんだよ。僕だって巻き込まれたんだぞ。ラースやプライドは知らないけどね。
 少なくとも一緒に行動していたキンブリーも僕と同じ立場だよ。まさか名簿にホムンクルスの名前があったからって勝手に決めつけてる?」

「て、テメェ……」


 動きを抑制されていようがホムンクルスの口は良く回る。
 その言葉に苛立つエドワードだが、顔つきは神妙であった。


「なんだよその顔は」

「お前達、まさか見捨てられた訳じゃないよな」


「――――――どうしてお前はあの時も今も、ニンゲンにそんな哀れむような目でこっちを見るなああああああああああああ!!」


「こいつ何処にそんな体力が残ってんだよ!?」

「やるしかありませんわね」

「エンヴィー……お前……」


 暴れ狂う嫉妬の体現者は己の身体を強引に動かし固定されていた鉄パイプを弾き飛ばす。
 その場で跳躍するとエドワード達を押し潰そうと、しかしその場には誰もいない。

「ちょこまかと逃げてさああああああああああああああ」

 テレポート。
 何度もやられているその能力にホムンクルスは更に苛立ちを募らせる。

「なんだよどいつもこいつも! 苦しめても何度だって立ち向かって来やがって!
 天城雪子の時もだ、美樹さやかの時だって……ああ! なんなんだよお前らニンゲンは!?
 キンブリーの野郎もエンブリヲの野郎にも……今はお前達に――あぁ、屈辱だ……屈辱だよォ!!」

「うるさいな貴様。
 折角のタツミとの再会なのに――凍れ」






 まるで時が止まったようだった。

 その女の登場に誰一人して気付くことは無かった。

「おっと、気配を殺していたからな。気付かないのも無理はない」

 そして全てを見透かしているかのように解答を吐くと――エンヴィーの巨躯が凍り始める。




「貴方は何者ですの……?」

エスデス、聞いたことは無いか?」

ウェイブさんやセリューさんの……」

「ほう。あいつらと出会ったのか。
 セリューは残念だがウェイブは面白い成長を遂げているぞ」

「エスデス……何してんだよテメェ」

「エドワードか。首輪の解析は進んでいるか?」

「何してるかって聞いてんだよ!」

「見れば解るだろうに――なぁ、タツミ」

「その身体……あんた程の奴がどうしてそんな……」


 氷の女王エスデスは帝都に置ける最強の存在であり、殺し合い参加者の中でも最強格の強さを誇る。
 その女を見ろ。彼女を元の世界から知っているタツミは驚くばかりだった。

 左腕は斬り裂かれており、身体の半身が黒く焼け焦げだ。生々しい火傷は見ているだけで痛覚を刺激される。

「私のことを心配してくれるのか――嬉しいぞタツミ!」

「――ッ!?」

 生きている右腕で急にタツミを抱き始めたエスデスには全員が困惑していた。
 遠巻きで眺めている小泉花陽ヒルダでさえ異変に気付いている。

「お前は何なんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

「やかましい奴だな――もう死ね」

 エスデスが指を弾くとエンヴィーの顔が凍り始めた。
 その光景に対しタツミは彼女の腕を振り解き剣を向ける。

 エドワードは既に走り始めており、拳を握り氷の女王に迫る。

「何やってんだよエスデス」

「邪魔をするな」

 しかし接近の間にエスデスは氷の壁を生成すると、エドワードの動きは止まってします。
 錬成した刃で破壊しようと試みるも一撃では壊れない。


「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
 なんなんだよ本当にお前らニンゲンは……ははっ、おかしいだろ? 身体の感覚が失われていく」


「え、エンヴィー!!」


「あはははははははははは! このエンヴィーがまたニンゲンに負ける!?
 なんて屈辱だ……ハハ、嗤われずにいられるか、ふざけんな、お前らも嗤えよ!!」


「………………お前」


「じゃあなエドワード・エルリック。精々あがけよ、この腐った世界でニンゲン共がどれだけ醜かろうと」


 ホムンクルスが凍る際に見せた表情は嘲笑うかのような悪魔のそれだった。
 けれど、瞳はどこか哀愁が漂っており、悲しさを感じさせる程に弱い。

 エンヴィーの最期を見届けたエドワードの感情は本人すら解らない。
 今、解ることと云えば、許せない女が一人、立っていることだけだ。


「む――ホムンクルスか。ブラッドレイ程では無いがまあいい。耐久力のテストだ」


 凍結されたエンヴィーの前に立ったエスデスは右足を一歩後退させる。
 何をするかと思えば空間を抉り取るような回し蹴りを披露し始めたのだ。
 その規格外な威力はエンヴィーの首だけを蹴り飛ばし、その首はヒルダ達の前にまで届く。


「――ッ、危ない!!」


 突然の事態に反応出来ない小泉花陽だが、ヒルダは僅かに動けていた。
 なけなしの力を込め、動けない彼女を押し飛ばす。

 しかしヒルダ自身は動けていないため、氷塊の直撃を受けてしまう。
 身体が押し潰され、臓器や骨が悲鳴を挙げる。
 奇跡的に息はあるようだが、瀕死体であり彼女周辺には血の池が出来ている。

 そして。


『二度目の干渉を確認しました。二十秒後に爆発いたします』


 その音声は世界の終わりを告げるようだった。



「ふざけん、なよ……っそ」


 叫ぶ元気も残っていない。
 ヒルダが知るよしも無いが、エンヴィーの首輪は一度、警告されていた。
 エンブリヲの干渉によって既にイエローカード状態だった枷に違反が加われば赤となる。

 巻き込まれた側からすれば溜まったもんでは無い。

「ヒルダさん! い、今たすけ」

「来んな!!」

 小泉花陽の身体がビクッと震え走りだした足が止まる。
 ヒルダが氷塊の下敷きになっているのは己の鈍臭さが原因だった。
 自分が居なければヒルダは無傷だった。その事実が小泉花陽の心を締め付ける。

 幸い――かどうかは不明だが、首輪の音声が聞こえているのはヒルダだけである。
 凍っているため音声が外にまで響いていないのが原因である。

 そして厳密にはもう一つだけ不運が重なった。
 それはエンヴィーの生命である。

 本来の首輪であれば、死んだ段階でその機能を失い幾ら干渉した所で警告は発生しない。
 エンヴィーの首はエスデスによって飛ばされているため、既に死んでいる――と普通なら思うだろう。
 彼の本体はまだ生きている。けれど脳天が凍っているため外に避難出来ない状態だ。

 彼はこの世界に留まっているが凍っているが故に身動きが取れない。
 そのため彼の首輪は生きており、因果がヒルダに襲い掛かっていることになる。


「なあ」


 ヒルダの声は掠れており、聞き取れるのがやっとの段階だ。

「お前は生きろ。
 それとエンブリヲには気を付けろよな」

 その言葉に自然と小泉花陽の瞳に涙が浮かぶ。
 何故、そんなことを言うのか。まるでこれから死ぬかのようだ。
 まだ、生きている。一緒に脱出する仲間では無かったのだろうか。

 カチカチと無情に進む音が最期に聞く世界になろうとは。ヒルダはどうしようもない状況に笑っていた。
 ふと遠くを見るとエスデスに対し三人が戦っており、此方に来ようとしているものの、来れそうには無さそうだ。

「人間でこんな氷なんてどんなチートなんだよあい……つ……ぐ」




 縦横無尽に暴れ廻るエスデスはとてもじゃないが人間には見えない。
 普通の人間にしては恵まれた身体能力と戦闘技術を持つタツミ。
 瞬間移動と云うこちらもチート地味た能力を操る白井黒子。
 最早なんでもありの謎の力を使うエドワード・エルリック。

 この三人が束になっても劣勢にならない辺り、あのエスデスは規格外の存在なのだろう。

 そんなことを考えてる間に、もう直爆発だ。






「呆気なさ過ぎる……戦い眺めてたら流れ弾もらって爆発死……笑えない」





 殺し合いに巻き込まれた時点で多くの人間は運命を歪められている。
 誰もが生き残れる訳では無く、誰も劇的に死ねる訳も無い。

 抗えぬ現実には――屈するしか無い。



「あぁ……あたしもそっちにい、くぜ……っ」



 カチリ、と二十の音が響き終わり――エンヴィーの首輪が爆発した。










「おっと爆発させる能力は持っていないぞ」


 その音を聞いたエスデスは首を傾げながらも三人相手に一歩も譲らない。

 テレポートの奇襲は全て出現地点を予測し予め氷塊を無数に飛ばすことで対処。
 接近戦を挑むタツミに対してはそれに応えるべく氷の剣を精製し対峙。
 エドワードの錬金術に関してはありとあらゆる氷のゴリ押しで封じていた。


「ひ、ヒルダ……?」

「――――――――――――。
 白井! あの女の子だけでも連れて逃げろォ!!」




 エドワードの叫びに白井黒子は首だけ動かすと瞬間移動の行使に移行する。
「ボサッとすんなタツミ!」
 動く二人に対し爆発四散したヒルダの現実を受けいられないタツミは固まっていた。
 しかし、意識を取り戻しすかさず白井黒子に向けバッグを放り投げた。


「それには悠と銀が眠ってる! そいつらも一緒に逃がしてくれ!」
「かしこまりましたわ。わたくしが戻るまで耐えてくださいまし」
「は!? お前もそのまま逃げろ馬鹿!」
「む、馬鹿って言う方が――失礼ッ」


 バッグを受け取った白井黒子は迫る氷塊を回避するためにその場から消える。
「地獄の果てまで追ってやる。さぁ、逃げるがいい!」
「さっせかよおおお!!」
 氷塊を無限に精製し射出するエスデスの正面に回り込んだタツミは剣を振るいその行動を止める。
 その一撃は防がれるが相手の左腕欠損を狙い脇腹に蹴りが――決まった。
「それでこそ私が愛する男だタツミィ!!」


 蹴りの直撃を貰ってもエスデスは止まらずに氷の剣でタツミに斬り掛かる。
 剣を横に構え防ぐも、片腕からは信じられない力で押し負けてしまう。
「どこにそんな力が」
 などと愚痴を零す暇も無く空を見上げれば巨大な氷塊が落ちて来ているではないか。
 そのサイズはざっと――エンヴィーを遥かに凌駕していた。
「やれるかエドワード!?」
「やるしかねえ……やるしかねえぞ!」









「何がありましたの!?」


 小泉花陽の元へ駆け寄る白井黒子は状況を確認する。
 ヒルダだったものは木っ端微塵に吹き飛んでおり、残っているのは彼女の首輪だけだ。
 残飯のようにぐちゃぐちゃと転がる肉片が異臭を放ち、この世を地獄だと錯覚させるようだ。


「わ、……庇って、そr,…………ばくは………………」

「――ッ、安心してくださいまし。一緒に此処から逃げますわよ」


 彼女は当然のように放心状態だった。
 思えばこれまでの彼女は懸命に頑張っていた。
 エンヴィーの襲来により天城雪子が死んだ時も彼女は生き抜いた。
 白井黒子は知らないがその後もセリューとの件や図書館での戦闘でも彼女は運良く生き残っていた。

 まるで幸運の女神に愛されているように。
 けれどここは地獄だ。女神も天使も存在しない。



 ぺたりと座り込んだ彼女の瞳から溢れるように涙が溢れている。
 大地には水溜りが発生しており、それ程流したのかと心配する黒子だが水分は一つではない。
 強烈な出来事に下の方から水分も流れ、彼女は失禁していた。
 それでも意識を失っていない辺り、強い心を持っているとも言えるのだが。


「さぁ此処から――ッ!?」

「白井さん……?」


 背後から伝わる熱は氷塊が突き刺さった証だ。
 見えない場所だが見なくても解る。致命傷では無いが立つのが辛い。
 膝を着く白井黒子であるが、此処で倒れる訳にも行かないのだ。

 エドワードが、タツミが。そして小泉花陽も戦っている。
 自分だけ怠けては要られないのだ。此処は――抗う場面だ。


「もう少し楽しもうではないか――さぁこのエリアから逃げてみろ!」


 エスデスが指を弾くと――信じられない事態が会場に発生する。
 最早規格外を超えており些細な事では驚かないと思っていた四人に衝撃が走る。



 彼らを包み込むように氷壁が発生し、その高さはざっと見、百メートル級だ。


「く――耐えなさい、白井黒子。小泉さんだけで、……っ」

「白井さん!? ち、血が……」

「気にしないでくださいまし。これぐら――い、なんとも……え?」


 余談ではあるが、魔女から始まった一連の戦闘規模はこれまでの戦いの中でも図一だ。
 近くに居なくても、遠くからでも音や光景を確認出来る程である。

 この騒ぎに駆けつける参加者もいるだろう。それは不思議ではない。
 それを踏まえてでも白井黒子は固まってしまう。



 何故、この人が居るのか。

 会いたかった。

 心の底から求めていた。

 けれど、怖かった。

 自分の中に存在する彼女が消えるのが怖かった。

 実際に遭遇すると頭の中が真っ白になる。

 それでも声を振り絞った。


「この壁に風穴を空けてくださいまし――お姉様」





 会いたい気持ちはあった。

 実際に会ってみると、なんだろう。



 殺せる気はするけど、身体も脳も動かない。

 私はまだ甘い。



 でも、少しだけまだあの頃に戻れるような気がした。

 そんなこと、許される訳も無いのに。



 この手は汚れているから。

 あの頃に戻れても、私だけ一生黒いままだから。



 でも。




「この壁に風穴を空けてくださいまし――お姉様」




 黒子の声を聞いて身体が自然に動いていた。







 小泉花陽がこれまでに見た異能の中ではロイ・マスタングが操る焔が印象に残っていた。
 圧倒的な殲滅力を持ったその力は、天城雪子の件もあり嫌でも脳裏に焼き付いている。

 そして今回目撃した超電磁砲――レールガンもまた想像を絶する代物だった。
 急に雷光が輝いたかと思えば、風が吹き終わると同時に氷壁には大きな穴が空いていた。


「氷が一瞬で……す、すごい」


 明らかに自分とは生きている世界の違う人間とは恐ろしいものである。
 どんな状況でも立ち向かう姿はまるで正義の味方だった。
 方向性は違えど、あのセリューでさえ人を魅了する何かを秘めていたのだ。

 小泉花陽にとって氷は忘れられないトラウマである。
 一度――ペットショップに襲われた時には片腕が氷結してしまったこともある。
 その時はマスタングと白井黒子の救出により何とかなったものの、簡単には忘れられない。

 エスデスを見るとそのトラウマが再発しそうになっていたが、雷光はそれを凌駕した。


「これを持って逃げてください、早く」

「これは……でも、白井さんも!」


 急にバッグを渡されてしまい戸惑う小泉花陽は白井黒子にも逃走を促す。
 自分には戦う力は無い。けれど自分だけ逃げるのは、悔しかった。


「そのバッグには悠さんと銀さん……という二人の参加者が眠っていますの」


 説明を受けた所で、白井黒子が逃げない理由の解説になってない。
 強い瞳で訴える小泉花陽であるが、白井黒子は背中を見せて言い放った。


「わたくしにはまだやらなくちゃいけないことが――さぁ、早く!」


 その背中はエスデスの氷塊によって血だらけだった。
 今にも倒れそうなその身体でも、白井黒子は立ち上がった。

 かっこいい。

 不謹慎ではあるが、そんな感想さえ生まれてしまう程に正義の味方のソレに近い。

 そしてその背中を持つ人間は皆――覚悟を決めている。
 ロイ・マスタングも、ウェイブもそうだった。


「生きて……また、絶対に会いましょう、そしてみんなで……っ!」


「勿論ですわ――後で会いましょう小泉さん」


 その会話を最期に小泉花陽は走る。
 彼女の生命は最早、彼女だけのものではない。

 ヒルダが生かしてくれた。

 鳴上悠と銀の生命も預かっている。

 生き抜け。

 他の参加者が絶望に負けず抗ったように。

 己も、戦え。




【F-4/一日目/真夜中】



【小泉花陽@ラブライブ!】
[状態]:疲労(大)、精神的疲労(大)、右腕に凍傷(処置済み、後遺症はありません) 失禁
[装備]:音ノ木坂学院の制服
[道具]:デイパック@2、基本支給品@2、スタミナドリンク×5@アイドルマスター シンデレラガールズ、スペシャル肉丼の丼@PERSONA4 the Animation 、寝具(六人分)@現地調達、サイマティックスキャン妨害ヘメット@PSYCHO PASS‐サイコパス‐ テニスラケット×2ライフル@現実(武器庫の武器)、ライフルの予備弾×6(武器庫の武器)、鳴上悠、銀
[思考・行動]
基本方針:皆と共に生き残る。
0:生き抜く。
1:この場から離れる。
2:穂乃果が心配。
3;μ'sの仲間や天城雪子、由比ヶ浜結衣の死へ対する悲しみと恐怖。
4:セリムや卯月を探したい
5:雪乃には無事で居て欲しい。
[備考]
※参戦時期はアニメ第一期終了後。




【鳴上悠@PERSONA4 the Animation】
[状態]:疲労(極大)、気絶  デイパックの中
[装備]:なし
[道具]:千枝の首輪
[思考・行動]
基本方針:殺し合いを止める。
0:……。
1:さやかを元に戻す。その為に佐倉杏子を探す。
2:未央に渋谷凛のことを伝える。エンブリヲが殺した訳じゃない……?
3:足立さんが真犯人なのか……?
4:エンブリヲを止める。
5:マスタングを見つけ出し、ぶっ飛ばす。
6:里中……。
[備考]
※登場時期は17話後。
※ペルソナの統合を中断したことで、17話までに登場したペルソナが再度使用可能になりました。ただしベルゼブブは一度の使用後6時間使用不可。
回復系、即死系攻撃や攻撃規模の大きいものは制限されています。
※ペルソナチェンジにも多少の消耗があります。
※イザナギに異変が起きています。


【銀@DARKER THAN BLACK 黒の契約者】
[状態]:疲労(大)  キンブリーに若干の疑い、観測霊の異変?に対する恐怖、気絶 デイパックの中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1~2 、カマクラ@やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。
[思考]
基本:…………。
1:黒を探す。
2:千枝……。
3:怖い。
[備考]
※千枝、雪子、モモカと情報を交換しました。
※制限により、観測霊を飛ばせるのは最大1エリア程です



「お姉様――お久しぶりですの」

「そうね……抱きついたりしないのね」

「わたくしはTPOをわきまえていますから」

「あんた、どの口が言うのよ」

「この口ですわ」

「もう……まったく」

「それで、お姉様はどんな人達と出会ったのですか?」

「私? ……あそこにいるチビ錬金術師とか」

「そうですか。わたくしは沢山の人達と出会いましたわ」

「私は思ったよりも会ってない、かな」

「ロイ・マスタングさん、ウェイブさん、小泉さん、高坂さんを始め沢山の人達と」

「その人達には会ってない」

「その中にキング・ブラッドレイと云う方もいましたですの」







「――そう、なんだ」






 それまでは感動の再会を果たした親友同士だった。
 能力者という枷を外せば等身大の女子中学生である彼女達。
 だが、キング・ブラッドレイの名前が出た瞬間に、その空気は錆び付いた。



「じゃあ知ってるのよね」


「何をですの」


「私の口から言わせるの?
 そんな嫌な奴だったっけあんたは?」


「お姉様の口から聞かないと信じませんの」


「信じないってやっぱ知ってるじゃん」


「知りません」「知ってる」「知りません」「知ってる」「知りません」


「いい加減にしないと怒るわよあんた」


「わたくしはお姉様の口から聞かないと――信じられる訳ありませんの」

「――黒子」


















「私はもう二人も殺してんのよ……もう、あんたの知る超電磁砲じゃないの」





 空気が止まる。
 一切の雑音が発生せず、御坂美琴の余韻が空間を永遠と漂う。

 その静寂を破るのが一滴の雫である。


「どうして……其処までお姉様はあの殿方のために――願いを叶えるつもりに」


 溢れる涙を拭いてくれる者はいない。
 止めることも無く、ただただ流れる続ける涙を御坂美琴は見ていた。


「だから――もう私はあんたの知ってる」

「おだまり!」


 御坂美琴の足元に鉄パイプが現れ、それは白井黒子なりの牽制だった。
 涙を雑に制服で拭うと、涙目ながらその瞳は戦闘時のものと色褪せない。


「あんた、私とやるつもりなの」

「ええ――それが」

「風紀委員だから、でしょ」










「風紀委員である以前にわたくしは白井黒子という一人の人間として貴方を止めますわ――お姉様」


 覚悟を決めた白井黒子は有無を言わさず鉄パイプを御坂美琴へ仕向ける。
 目の前に居る常盤台の英雄は、確実に誰もが知るあの超電磁砲だ。

 止めるために。
 もう、未知を間違わせないために。

 飛ばす鉄パイプは一本所では無い。
 ありったけだ。四方八方を包む鉄パイプの嵐が御坂美琴に襲い掛かる。


 しかし。


「あんたが私に勝てる訳ないでしょ……ばか」


 電撃を圧縮し己を中心に一斉放出。迫る鉄パイプは全て電撃に弾かれ大地に落ちる。
 猛攻をたった一手で止めた御坂美琴であるが、無論、本気などでは無い。
 DIOとの戦闘時の半分の半分以下の出力で白井黒子の攻撃を終了させるその力は学園都市の中でも最強格の超能力者である。


「こんな簡単に止められると流石にしょっ……っ」


 次なる一手を考える白井黒子だが、大地に膝を落としてしまう。
 無理もないだろう。小泉花陽を逃がす際に喰らった氷塊の傷口が開き始め鮮血が駄々漏れる。
 立っているのが奇跡のレベルであり、能力の行使などもってのほかだ。

「此処で止まってはわたくしもおねえさ……ま」

 美しい。
 それ程に眩く輝く雷光は誰もが憧れる超電磁砲だ。

 果てなき闇を捌くような雷撃が白井黒子に放たれた。





 エンヴィーを超える氷塊に対しエドワードは錬金術で大地を隆起させ抗っていた。
 彼に氷塊が大地に着陸した場合、その余波でこのエリアが沈む可能性すらある。
 此処で手を抜けば大勢の人間が死んでしまう。それを防ぐためにも此処は譲れない場面だ。


 彼が氷塊に掛かりっきりのため、エスデスの相手はタツミが単体で行う必要がある。


 しかし。


「どうした、その程度では勝つどころか傷一つすら付けれんぞ!」


 片腕を失ってもその強さは健在であり、タツミを簡単に往なしていた。
 彼も彼女も連戦により疲労が蓄積している。そして、その度合はエスデスが圧倒的である。
 それを感じさせない程まに振る舞う姿は正に圧巻であり、帝都最強の名に恥じない。


「俺が此処で負けたらお前はまた沢山の人を殺す……それが許せないッ!」

「まだ奇跡的に誰も殺していないがな」

「知るかッ! 遅かれ早かれ――ッ!」

「その熱き思い……やはりお前は最高だなタツミ!
 来い、私が全て受け止めてやるから、思う存分に暴れろ!」

「殺しを遊びでやってんじゃねえええええええええええ!!」


 一歩踏み込んだ段階で左ジャブを飛ばしエスデスの顔面を狙うも首捻り回避されてしまう。
 そのまま歩み続け右膝を腹に叩き込むも氷によって防がれる。
 剣を横に薙ぎ払うも上体反らしで回避され、逆に腹へ蹴りを貰ってしまう。

 蹌踉めきながらも諦めずに立ち向かい、渾身の右ストレートを放つも、やはり回避。
 剣を逆手に持ち肩を狙うも氷の膜を貫けずに終わってしまう。

「ああああああああああああああああああああ」

 強引に力で押し通し、エスデスの右肩を貫こうとするも氷は砕けない。
 剣を軸に左上段回し蹴りを行うも、氷の壁が発生し遮られてしまう。



 短時間の戦闘ではあるが、圧倒的差と苛立ち、焦りに加え疲労の蓄積も重なりタツミ達の体力は限界だった。
 エドワードにしても連戦に加え擬似の人体錬成を行っているため、身体への負荷は相当だろう。
 白井黒子も能力の連発に加えエスデスの氷によって傷を負っている。

 今、この場で万全な戦士など存在しない。

 駆け付けた青の女ですら、気絶からの復帰したばかりで足がふらついているのだから。


「おま……」


「色々言いたいことはあるし、そっちもあるけど今は――この敵を倒すことが先だよね」


「先程まで倒れていた女ではないか。戦えるのか?」








「勿論……元魔法少女改め――ペルソナ」






 タツミからしてみれば彼女が立っていること自体が奇跡だった。
 健全なその姿に心から救われた気分になるも、まだなにも終わってはいない。
 寧ろ、スタートラインにやっと並んだぐらいだ。

 そして彼女が使役するその存在は鳴上悠や里中千枝が使っていた存在と同義だった。

 本当の自分と向き合った人間が使えるもう一つの自分。
 仮面や影、パーソナリティと総称されるそれらを纏めて彼らはこう呼ぶ――ペルソナと。


「オクタヴィア……これが新しい「あたし」の力」


 空間より這い出しペルソナは誰もが見かけたあの魔女と同じ姿だった。
 擬似・真理とマヨナカテレビの複合空間に取り残され真の自分を受けいれた美樹さやかの新しい能力。


「降り注げ――スティンガー・レイン!! ってね!」


 オクタヴィアが剣をタクトのように振るうとエスデスの上空には無限の剣が現れる。
 そしてさやかの言葉通り降り注ぐ――も、氷壁によって全て防がれて終わるのだが。


「な……こいつ、強すぎな……あれ、立てな……わっ」


 エスデスに理不尽な文句の一つでも言おうとした所で美樹さやかは蹌踉めく。
 気絶上がりの状態で初のペルソナ。それも精神と肉体が安定していない段階での使役だ。

 身体に絶大な負担が掛かり、立っていられなくなる程に疲労が襲い掛かる。

 戦場でこんな隙を見せたら殺される。
 何としてでも立ち上がりたい美樹さやかではあるが、叶わずに倒れる所をタツミに支えられた。


「無理すんなよ。後は俺に任せろ」

「う、うん……お願い……ね」


 そっと美樹さやかから手を離すと大地に突き刺した剣を引き抜き、エスデスを睨む。
 ――相打ち覚悟じゃないとエスデスには勝てない。刺し違えてでも殺す。
 既にこの生命は平和のために捧げると誓っている。サヨもイエヤスも。
 シェーレもブラートも。皆が皆、明日を生きれる訳では無い。
 そしてタツミも同じであり、明日の礎になる覚悟はとうの昔に完了している。


「なあ、タツミ。お前は髪の短い方が好みなのか?」

「んなモンしるかよ。これで最期にしようぜエスデス……お前を、葬る!」

「面白い……この私を葬――ッ」

 言葉の途中ではあるが口元を抑えたエスデスの掌は血で染まっている。
 他人から見れば彼女の身体は限界を超えている。
 片腕が存在せず、半身は焼かれているその姿からどうしてまだ戦えるのかは大きい疑問だ。

 仮に生き抜いた所で、その生命が保つ保証は無いだろう。
 死期を悟ったのかは不明だが、これまでにない笑顔を浮かべ氷の女王は叫ぶ。


「お前を受け止めてやるタツミ――立ち残った者が勝者だ」


 そして死合に臨む。


 大地を駆けるタツミは止まらない。
「……そこの女といい感じだったからショートが好みかと思ったがまあいい。
 その気迫、その顔立ち、その覚悟! やはりお前は私が唯一愛した存在だよタツミ」

 歓喜によって放たれる氷塊を剣で撃ち落としながら走り続け、その速度は落とさない。
 漏らした氷塊が身体に刺さろうと、足に刺さろうとタツミは止まらない。

 左肩に。

 右脇腹に。

 右膝に。

 胸に。

 至る所に氷塊が突き刺さろうと、彼は止まらない。


 ――平和のためにも、みんなのためにも俺は止まれない。


 身体全体が血液で彩られ、肌色は最早肉眼では捉えられない。
 それでも、彼は走り続ける。


 ――誰かが手を汚さなくちゃいけないなら、俺がその役目を引き受ける。


 剣を掲げる。
 エスデスはもう目と鼻の先である。
 遂にこの刃が、闇の正義の信念が彼女に届こうとしていた。



「終わりだエスデス……何もかもッ!!」


 その信念は確かにエスデスへ届いた。
 右肩から全てを削ぎ落とし、彼女は両腕を失った。

 好機を逃す程、タツミは愚かでは無い。
 追撃を仕掛けようとした所で無情にも氷槍が彼の心臓を貫いた。


「っそ……届かないか……」


「何を言っている、誇れ。
 お前の剣は確かに私の右腕を斬り裂いた。それは変えようのない事実だ」


 タツミの表情は後悔に満ちていた。
 エスデスに褒められようが、決して嬉しがらずにその瞳を閉じる。
 闇に生きる正義の味方が最期に見たのは仕留めきれなかった標的だった。


「すまんなタツミ。両腕が無ければお前を抱くことすら出来ない」


「だから――もう少しだけ待っていてくれ」


 自分に寄り掛かるタツミを丁寧に寝かしたエスデスは最期の獲物を殺すために歩む。
 それはエドワード・エルリックでは無い。
 彼が防いでいた氷塊は雷光によって破壊されていた。

 その犯人こそが御坂美琴――待ち侘びた獲物だ。

倒れている美樹さやか、エドワード・エルリック、白井黒子。
 この状況で立っているのはエスデスと御坂美琴の二人だけだ。

 互いの視線が交差し、雷光と氷塊がぶつかり合った音がゴングとなる。


「両腕が無かろうと容赦はしないから」

「してみろ。その瞬間にお前を殺す」

「好き勝手にはさせねえからな」

「お姉様を止めるのは……」

「邪魔だエドワード」

「あんたは引っ込んでなさい黒子」


 割って入るエドワードと白井黒子であるが、対峙する二名の眼中には収まっていない。
 寧ろ、邪魔扱いされて始末だ。しかし、満身創痍の彼らが彼女達を止めることなど不可能である。

「勘違いすんじゃないわよ。
 あんた達の相手はこの女の後……そうね。それまではアインクラッドにでも行って休んでいれば?」

「な、何を言っていますのお姉様」

「だからボロボロなんだから首輪何とかで治療してもらいなさいよ。
 首輪がないなら……さっきあんたのバッグに堕ちてた首輪入れといたからそれ使いなさい」

「それを私が大人しく聞くとでも?」

「どうせ全員殺すの。でもね、適当に死なれるとそれなりに後味悪いのよ」

「お姉様――何を言って」


「喚くな、押し出してやる」







 終わりの見えない会話に痺れを切らしたエスデスが氷壁の波でエドワードと白井黒子をこのエリアから押し出す。


「ま、くそ、御坂ァ!」
「お姉様、黒子は……黒子は!!」


 流れる圧倒的な力に抗えぬまま、彼はあっという間に上のエリアに移動していた。
 何も出来なかった。
 エンヴィーの襲撃も、さやかの魔女も、エスデスも、御坂美琴も。
 彼らは何一つ止めることも、救うことも出来なかった。


 ヒルダとタツミ。
 二人の生命を犠牲にした所で彼らは何を得たのか。


 完璧な敗北である。


 白井黒子は溢れる涙を止めることが出来ない。
 エドワード・エルリックは情けない自分を許せなかった。


 敗者達の夜はまだまだ続く。





【F-4(南)/一日目/真夜中(放送直前)】




【エドワード・エルリック@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST】
[状態]:疲労(極大)、ダメージ(極大)、精神的疲労(大)、全身に打撲、右の額のいつもの傷、数本骨折、気絶寸前
[装備]:無し
[道具]:デイパック×2、基本支給品×2、ゼラニウムの花×3(現地調達)@現実、不明支給品0~2、ガラスの靴@アイドルマスターシンデレラガールズ、パイプ爆弾×2(ディパック内)@魔法少女まどか☆マギカ
[思考]
基本:主催の広川をぶっ飛ばす。
0:……アインクラッドへ。
1:大佐を元の世界に連れ戻して中尉にブン殴らせる。
2:大佐やアンジュ、前川みくの知り合いを探したい。
3:エンブリヲ、御坂、エスデス、槙島聖護、ホムンクルスを警戒。ただし、ホムンクルスとは一度話し合ってみる。
4:一段落ついたらみくを埋葬する。
5:首輪交換制度は後回し。
[備考]
※登場時期はプライド戦後、セントラル突入前。
※前川みくの知り合いについての知識を得ました。
※ホムンクルス達がこの殺し合いに関与しているのではと疑っています。関与していない可能性も考えています。
※仕組みさえわかれば首輪を外すこと自体は死に直結しないと考えています。
狡噛慎也タスクと軽く情報交換しました。
※エスデスに嫌悪感を抱いていますが、彼女の言葉は認めつつあります。
※仮説を立てました。


【マオ@DARKER THAN BLACK 黒の契約者】
[思考]
基本:帰る。
0:エドワードと共に行動する。




【白井黒子@とある科学の超電磁砲】
[状態]:疲労(極大)、精神的疲労(極大)、悲しみと無力感、穂乃果に対する負い目、背中に重症、絶望
[道具]:デイパック、基本支給品、、首輪×3(婚后光子巴マミ、ヒルダ)、扇子@とある科学の超電磁砲、エカテリーナちゃん@とある科学の超電磁砲 、鉄パイプ@28
[思考・行動]
基本方針:お姉様や仲間となれそうな者を探す。
1:…………
2:アインクラッドへ進む。
[備考]
※参戦時期は不明。
※御坂美琴が殺し合いに乗っているということを確信しました。
※槙島が出会った人物を全て把握しました。
※アンジュ、キリト、黒と情報交換しました
※エンブリヲと軽く情報交換しました。



 残された女は互いを視界に捉えそれぞれの全開を貯めていた。

「露払いはしておいた」

「意外と気が利くのねあんた」

「お前が迷っていてはその雷光が鈍るからな。
 そんな力を持っていながらどうして躊躇う? 弱者を蹂躙し覇道を目指せ」

「あんたみたいになれたら……今だけは幸せだったかもね。
 どうせそんな身体じゃまともに戦えないでしょ、一撃で眠らせて――あげるからねッ」


 放物線を描くコインに雷撃を纏わせ全開の一撃を放つ御坂美琴の代名詞、超電磁砲。
 今まで見たこともないその一撃にエスデスは狂気の表情を浮かべ、全開の氷塊を射出する。

「ブドーをも超えるその雷光――素晴らしい!
 素晴らしいぞ御坂美琴!! あぁ、私は今、最高だ」




 強者の戦いは人々を魅了する。
 憧れの戦いは未来と希望を人々に与える。

 形や方向性は違えどエスデスと御坂美琴の力は参加者の中でも最強格だ。
 その二つがぶつかり合えば、全開の殺し合いになることは免れない。

 決着は一瞬で決まる。
 必殺の一撃に駆け引きなど存在せずに、答えは単純だ。

 最期に生きていた者が勝者となる。



 仮にエスデスが万全の状態なら勝負は解らなかっただろう。
 これまでに重ねたロイ・マスタングとキング・ブラッドレイ。
 二名との激戦は無視出来ない程にまで彼女の身体を蝕んでいた。

 本来ならばマスタングとの戦いで焼け死んでいても可怪しくない。

 キング・ブラッドレイに斬り裂かれていても不思議ではない。

 此処まで戦えただけでも奇跡だ。

 故に勝者は最初から決まっており、敗者も決まっていた。

 それでも勝利を信じ戦い抜いたエスデスは――将としての器に相応しい人物と云えるだろう。




 ――最期はお前と一緒だ……タツミ。




 雷光に包まれる中、最期に氷の女王が寄り添ったのは最愛の存在だった。









「気絶している中悪いけど――ごめんね」



 最期に残った御坂美琴の周囲には誰も残っていない。
 彼女が来る前に離れた小泉花陽も、死んでいったエンヴィーもヒルダも居ない。

 目の前から消えたエドワードと白井黒子も見えない所にまで移動している。
 タツミの死体は――エスデスと共に消えた。


 最期に残った者が勝者だ。


 だが、胸に残るのは爽快感あるものでは無い。


 この戦いの果てに彼女は何を見るのか。


 本当に■■■■のために優勝するのか。


 覚悟は決めていた。


 だが、白井黒子と出会った時に心は揺らいだ。


 その甘さ故に彼女を殺せなかった。


 その覚悟無き信念が参加者を二人も逃がしてしまった。


 自分は何処に進んでいるのか解らない。


 けれど、手は汚れているのだ。もう、あの頃のようには笑えない。


 彼女に帰る場所など無いのだ。


 だから、本当は止まっちゃ行けなかった。


 だから、本当にこれが最期の御坂美琴だから。


 そのけじめに。



「本当にごめんなさい……私には謝ることしか出来ない」



 気絶していた美樹さやかに電流を走らせることで、御坂美琴の覚悟は決まる。
 もう引き返せない。


 例え相手が白井黒子だっとしても。


 彼女は全ての参加者を――殺す。




【初春飾利@とある科学の超電磁砲 死亡】
【エンヴィー@鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST 死亡】
【ヒルダ@クロスアンジュ 天使と竜の輪舞 死亡】
【タツミ@アカメが斬る! 死亡】
【エスデス@アカメが斬る! 死亡】
【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ 死亡】





【F-5/一日目/真夜中(放送直前)】




【御坂美琴@とある科学の超電磁砲】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(小)、深い悲しみ 、自己嫌悪、人殺しの覚悟
[装備]:コイン@とある科学の超電磁砲×2 、回復結晶@ソードアート・オンライン(3時間使用不可)、能力体結晶@とある科学の超電磁砲
[道具]:基本支給品一式、アヴドゥルの首輪、大量の鉄塊
[思考]
基本:優勝する。でも黒子たちと出会ったら……。
1:ゆっくりとアインクラッドへ向かう。(黒子との遭遇を避けるため)
2:もう、戻れない。戻るわけにはいかない。
3:戦力にならない奴は始末する。 ただし、いまは積極的に無力な者を探しにいくつもりはない。
4:ブラッドレイは殺さない。するとしたら最終局面。
5:殺しに慣れたい。
[備考]
※参戦時期は不明。
※槙島の姿に気付いたかは不明。
※ブラッドレイと休戦を結びました。
※アヴドゥルのディパックは超電磁砲により消滅しました。
※マハジオダインの雷撃を確認しました。




172:『男らしく』でいこう タツミ GAME OVER
鳴上悠 186:その手で守ったものは(前編)
168:Look at me 美樹さやか GAME OVER
173:電子の海 高坂穂乃果 186:その手で守ったものは(前編)
初春飾利 GAME OVER
エンブリヲ 186:その手で守ったものは(前編)
エンヴィー GAME OVER
169:僕たちの行方 白井黒子 189:LEVEL5-judgelight-
小泉花陽 186:その手で守ったものは(前編)
ヒルダ GAME OVER
178:掴みかけた糸口 エドワード・エルリック 189:LEVEL5-judgelight-
179:WILD CHALLENGER(前編) 御坂美琴 186:その手で守ったものは(前編)
エスデス GAME OVER
最終更新:2016年06月07日 11:25