タイプ:ワイルド ◆wlyXYPQOyA
C-4上空。
その制空権をいつ強奪したかは知らないが、奇妙な未確認飛行物体が我が物顔で飛んでいた。
その制空権をいつ強奪したかは知らないが、奇妙な未確認飛行物体が我が物顔で飛んでいた。
あれは誰だ。鳥か、飛行機か。いや、スーパーマンか。
それとも強欲の渦巻く街の悪を制裁する蝙蝠の姿の英雄か。
違う。この飛行物体はそのどれにも当てはまりはしない。
鳥でも飛行機でもない。その名はカズマ。シェルブリットのカズマだ。
そしてそれを「自分の新しい足だ」と言わんばかりに制御(?)しているのが、二挺拳銃(トゥー・ハンド)のレヴィ。
空を飛んでいるのはこの二人の暴れん坊である。
それとも強欲の渦巻く街の悪を制裁する蝙蝠の姿の英雄か。
違う。この飛行物体はそのどれにも当てはまりはしない。
鳥でも飛行機でもない。その名はカズマ。シェルブリットのカズマだ。
そしてそれを「自分の新しい足だ」と言わんばかりに制御(?)しているのが、二挺拳銃(トゥー・ハンド)のレヴィ。
空を飛んでいるのはこの二人の暴れん坊である。
止まらない男と止まらない女。
この二人の進行は最早誰にも止められることは無い。
この二人の進行は最早誰にも止められることは無い。
「しかし本当にクレイジーだ! メイドインジャパンにここまで有難味を感じる日が来るとはな!」
「俺の生まれはロストグラウンドだ! 大体テメェは俺に乗ってるんじゃなくて「俺に乗せられてる」んだ! 勘違いすんな!」
「おーっと、妙にうるさいエンジンだな。ここが訴訟大国ならお前はリコールされてたところだ」
「うるせぇ、落とすぞ! ……出来る限りスピードアップしてやるから黙ってろッ!」
「いいねぇいいねぇ! ”最高にハイってやつ” だ!」
「俺の生まれはロストグラウンドだ! 大体テメェは俺に乗ってるんじゃなくて「俺に乗せられてる」んだ! 勘違いすんな!」
「おーっと、妙にうるさいエンジンだな。ここが訴訟大国ならお前はリコールされてたところだ」
「うるせぇ、落とすぞ! ……出来る限りスピードアップしてやるから黙ってろッ!」
「いいねぇいいねぇ! ”最高にハイってやつ” だ!」
相も変わらず罵りあうが、それでも二人は仲良く(?)空を飛び続ける。
それは以前の二人ではありえない光景であったが――今となっては不思議ではない。
何せ今は、お互い共通の目的と意思を持っている。しかも、それはとてつもなく強く、固い。
おまけにここまで色々あったが、幸運にも現在は互いの機嫌は良い方だ。
カズマは思うが侭に暴れたことで気分も良好。
レヴィは今現在のこのクレイジーな状態で気持ちが高ぶっている。
そのおかげか、たとえ軽い罵りあいになろうとも相手を蹴落としたくなるような心地になることは無かったのだ。
それは以前の二人ではありえない光景であったが――今となっては不思議ではない。
何せ今は、お互い共通の目的と意思を持っている。しかも、それはとてつもなく強く、固い。
おまけにここまで色々あったが、幸運にも現在は互いの機嫌は良い方だ。
カズマは思うが侭に暴れたことで気分も良好。
レヴィは今現在のこのクレイジーな状態で気持ちが高ぶっている。
そのおかげか、たとえ軽い罵りあいになろうとも相手を蹴落としたくなるような心地になることは無かったのだ。
――だが、この境地に至るまでには本当に色々な事があった。
始まりは突然の邂逅。そしてそれによって生じた真剣勝負。
二度に渡る衝撃の再会。更にそのまま再戦という名の大暴れのおまけ付き。
遂には「仕事」を遂行するエージェントとしての共同戦線。
カズマとレヴィは、そうした時間を積み重ねてここまで来ているのだ。
二度に渡る衝撃の再会。更にそのまま再戦という名の大暴れのおまけ付き。
遂には「仕事」を遂行するエージェントとしての共同戦線。
カズマとレヴィは、そうした時間を積み重ねてここまで来ているのだ。
振り返ってみると、壮絶だ。
『絶対にィィィィィィィィィ!!! 許さねェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!』
『Fuck it all! なんだってんだあのバケモノ野郎は!? 腕に爆薬でも仕込んでんのか!?』
『Fuck it all! なんだってんだあのバケモノ野郎は!? 腕に爆薬でも仕込んでんのか!?』
――考え得る限り、最悪の出会い方だった。
『さぁボウヤ、素敵な素敵な血祭り(ブラッド・パーティー)の始まりだ。せいぜい上手にダンスを踊ってくれよ』
『撃滅の――――セカンドブリットォォォォォォォォォ!!!』
『撃滅の――――セカンドブリットォォォォォォォォォ!!!』
――考え得る限り、最悪の開戦だった。
『ケッ、言われなくても出てくつもりだったさ! テメェらなんかとチマチマやってちゃ日が暮れるんだよ!!』
――考え得る限り、最も煮え切らない別れだった。
『よぉ、やっと起きたか大将。随分とご機嫌な頭してるな』
『テメェは――』
『テメェは――』
――考え得る限り、最も煮え切らない再会だった。
『そこのテメェ、レヴィっつったな! テメェの名前も刻んだからな! さっきの借りはいつかぜってェ返す! 覚えとけ!』
『あーウルセー。腰抜けのボウヤはさっさとどこかへ行っちまえタコ。
もしノコノコとあたしの前に姿見せてみろ。そんときは、今度こそその脳天に鉛弾ブチ込んでやるよ』
『あーウルセー。腰抜けのボウヤはさっさとどこかへ行っちまえタコ。
もしノコノコとあたしの前に姿見せてみろ。そんときは、今度こそその脳天に鉛弾ブチ込んでやるよ』
――考え得る限り、今までで最も穏やかな別れだった。
『はん、またてめえに会えるとは思わなかったな。いいツラになったじゃねえか』
『そりゃあこっちのセリフだ』
『そりゃあこっちのセリフだ』
――考え得る限り、今までで最も穏やかな再会だった。
今になって考えると、あまりにもお騒がせだった。もし誰かがこの話を聞けば、とんだ笑い話だと処理されるだろう。
だが本人達にとっては必死に今日までを生きてきた中で生まれた騒動なのであり、当人達にとっては笑えない話である。
だが本人達にとっては必死に今日までを生きてきた中で生まれた騒動なのであり、当人達にとっては笑えない話である。
だがカズマは思う。
レヴィと組むのも悪くは無い。
気に食わない奴だがなぜか今はそう思えてしまう。
――当然、共闘している状況が故にそう考えないと「やってられない」部分はある。
ほんの少しの心の亀裂が、共闘を強制終了させる火種になりかねないからだ。
だがそういった義務的なものを一切跳ね除けて考えたとしても
カズマはレヴィにこれ以上の反発を起こす気にはならなかった。
気に食わない奴だがなぜか今はそう思えてしまう。
――当然、共闘している状況が故にそう考えないと「やってられない」部分はある。
ほんの少しの心の亀裂が、共闘を強制終了させる火種になりかねないからだ。
だがそういった義務的なものを一切跳ね除けて考えたとしても
カズマはレヴィにこれ以上の反発を起こす気にはならなかった。
やはりあの大暴れが効いたのだろうか。
自分を今突き動かしているほとんどは、固い意志と目的への執念だ。
己を突き通したい。自分の我侭を真っ直ぐと貫き通したい。それだけだったはずだ。
だが今では「レヴィと共に大暴れをしたい」という欲求で動いている部分も少なからずある。
己を突き通したい。自分の我侭を真っ直ぐと貫き通したい。それだけだったはずだ。
だが今では「レヴィと共に大暴れをしたい」という欲求で動いている部分も少なからずある。
本気で戦った相手だからだろうか。
何故だろう。レヴィには背中を預けてしまっても良いと思い始めている。
腹が立つ言い草ばかりで鬱陶しいだけのこの女が、妙に頼もしく思える。
腹が立つ言い草ばかりで鬱陶しいだけのこの女が、妙に頼もしく思える。
今なら何でも出来そうな気がしてしまう。
そしてレヴィも思う。
カズマとの共闘もまんざらではないと。
相手は直球馬鹿のオタンコナスベイビーであり、気に食わない相手のはずだ。
だが今は何故だかカズマと共に戦ってみたいという欲求が生まれてしまっている。
敵がどんなクソッタレであろうとも、カズマと共に戦ってみたい。
何故だろう。何故なのだろう。
相手は直球馬鹿のオタンコナスベイビーであり、気に食わない相手のはずだ。
だが今は何故だかカズマと共に戦ってみたいという欲求が生まれてしまっている。
敵がどんなクソッタレであろうとも、カズマと共に戦ってみたい。
何故だろう。何故なのだろう。
やはりあの大暴れが効いたのだろうか。
今の自分はあくまで「仕事」をしているだけの筈だった。
さっさと仕事をして帰りたかっただけの筈なのに、今は謎の高揚感が自分を包んでいる。
何故だかカズマを頼もしく思い、彼と共闘をしたいと思い始めている。
さっさと仕事をして帰りたかっただけの筈なのに、今は謎の高揚感が自分を包んでいる。
何故だかカズマを頼もしく思い、彼と共闘をしたいと思い始めている。
本気で戦った相手だからだろうか。
よくは解らない。だがこんな気分もたまには良い。
空を飛ぶなんていう不思議パワーまで持ったこのカズマに、背中を預けたくなるのも悪くは無い。
空を飛ぶなんていう不思議パワーまで持ったこのカズマに、背中を預けたくなるのも悪くは無い。
今なら何でも出来そうな気がしてしまう。
「なぁ、カズマ」
「あ? なんだよ……?」
「あ? なんだよ……?」
突然、トーンダウンした声でレヴィが口を開いた。
それに対してカズマは、怪訝そうな表情でその言葉の続きを促く。
それに対してカズマは、怪訝そうな表情でその言葉の続きを促く。
「色々、あったな」
感慨深そうに呟いたレヴィに、カズマはその言葉を肯定する。
確かに色々あった。ありすぎて頭がパンクしそうなくらいだった、と思う。
確かに色々あった。ありすぎて頭がパンクしそうなくらいだった、と思う。
「なんだかんだで気に食わねェ奴の所為で、もう ”残ってる人間も10人とちょっと” 。
本当に色々あった所為で、たった二日で ”こう” なっちまった。
しかもあげくに”あたしらの周りですら” 色々と状況が移り変わっちまってる.
こうなるとここから先に ”まだ何かあっても” おかしくない。いや、”絶対に色々ある” はずだ」
本当に色々あった所為で、たった二日で ”こう” なっちまった。
しかもあげくに”あたしらの周りですら” 色々と状況が移り変わっちまってる.
こうなるとここから先に ”まだ何かあっても” おかしくない。いや、”絶対に色々ある” はずだ」
珍しく、真剣な面持ちで語るレヴィ。
だがカズマはそれを見てもそれをからかう事をしなかった。
だがカズマはそれを見てもそれをからかう事をしなかった。
「そうだな。名前を刻んだ相手が死んだり、何の因果か手前と空飛んでたり……色々あった。
変わらねぇモンもあるが……やっぱり今は色々と変わっちまうことの方が多い。手前の言うとおりだ」
「そこで提案なんだが……」
変わらねぇモンもあるが……やっぱり今は色々と変わっちまうことの方が多い。手前の言うとおりだ」
「そこで提案なんだが……」
カズマの親身な答え。それを聞いたレヴィは一旦言葉を止め、右手の人差し指をピンと立てる。
そしてニヤリと邪悪な笑みを浮かべながらはっきりと口にした。
そしてニヤリと邪悪な笑みを浮かべながらはっきりと口にした。
「後でボコりたい奴がいる。手伝ってくれねぇか?」
「……はぁ?」
「だからさっき言っただろ? ”あたしらの周りでも色々移り変わった” し、”これからも色々ある可能性が高い” わけだ」
「なるほど……だからその前にそいつをさっさと殴っておきたいって事か」
「……はぁ?」
「だからさっき言っただろ? ”あたしらの周りでも色々移り変わった” し、”これからも色々ある可能性が高い” わけだ」
「なるほど……だからその前にそいつをさっさと殴っておきたいって事か」
カズマの表情がその言葉と共に綻んだ。
それは、久しぶりに見せる「戦い以外での笑顔」だ。
それは、久しぶりに見せる「戦い以外での笑顔」だ。
「勝手にやってろって言いてェが……今ならテメェの提案、呑んでやるよ。そいつの名前は?」
「ゲイナーだ。しっかし困ったもんだ。”てめえと一緒に行動してると、やけにあの坊やが殴りたく” なっちまった」
「へぇ……寂しくなったのか?」
「ハッ! 坊やがいないせいであたしが寂しいって? 馬鹿言うなよカズマ。そんな事より約束、頼んだぜ」
「オッケェ、じゃあ刻んだ! それじゃあ……さっさと仕事にカタつけて来ないとなァァァッ!!」
「ゲイナーだ。しっかし困ったもんだ。”てめえと一緒に行動してると、やけにあの坊やが殴りたく” なっちまった」
「へぇ……寂しくなったのか?」
「ハッ! 坊やがいないせいであたしが寂しいって? 馬鹿言うなよカズマ。そんな事より約束、頼んだぜ」
「オッケェ、じゃあ刻んだ! それじゃあ……さっさと仕事にカタつけて来ないとなァァァッ!!」
叫びと共に、満面の笑み――そう、それもまた邪悪な――を浮かべながらカズマはスピードを上げた。
「おいおいまだまだスピード出るんじゃねぇか! やっぱクレイジーだぜ!」というレヴィの言葉を風の音で掻き消す程に。
「おいおいまだまだスピード出るんじゃねぇか! やっぱクレイジーだぜ!」というレヴィの言葉を風の音で掻き消す程に。
そんな事を考えていた頃だろうか。
二人が突然、”巨大な何か” に出会ったのは。
二人が突然、”巨大な何か” に出会ったのは。
”巨大な何か”――それは蒼い壁のように見えた。
「ぁあ!?」
「オイオイなんだよあの巨大な蒼いの!」
「俺が知るか!」
「オイオイなんだよあの巨大な蒼いの!」
「俺が知るか!」
蒼く、透明なそれは人の形をしていた。
だがそれは人と言うにはあまりにも大きすぎた。
大きくぶ厚く重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに壁だった。
だがそれは人と言うにはあまりにも大きすぎた。
大きくぶ厚く重く、そして大雑把すぎた。
それはまさに壁だった。
いくら距離が遠いと言えど、そんな巨大な驚愕物体が現れてはひとたまりも無い。
カズマは進行を急停止。空中で静止して様子を見ることにした。
レヴィも黙って――否、何も言えずにカズマの背中でそれを眺める。
カズマは進行を急停止。空中で静止して様子を見ることにした。
レヴィも黙って――否、何も言えずにカズマの背中でそれを眺める。
だが数秒程そうしていると、巨大な半透明人間は消えてしまった。
「…………」
「…………」
「…………」
多少の間と静寂。
それを体感した後、二人は口を開いた。
それを体感した後、二人は口を開いた。
「おい、見たか?」
「ああ、見たよ。あれがアルターなら相当ヤバいだろうな」
「ああ、見たよ。あれがアルターなら相当ヤバいだろうな」
カズマとレヴィは半ば呆然としながら呟く。
だがあれを見たのだ。 ”こう” なっても仕方が無いだろう。
だがあれを見たのだ。 ”こう” なっても仕方が無いだろう。
「ありゃどう見てもヤバい。あたしの勘と理論が ”全身全霊でそれを呼びかけて” やがる」
二人が見た物――神人と呼ばれてた蒼い巨大な物体――の存在。
そして更に、その巨大な物体が一瞬で姿を消すというおまけ付き。明らかに異常な状況だった。
士気が高揚していた二人の出鼻を挫くには十分だ。
そして更に、その巨大な物体が一瞬で姿を消すというおまけ付き。明らかに異常な状況だった。
士気が高揚していた二人の出鼻を挫くには十分だ。
「一瞬で解けやがったのが妙だがな……だが推測は出来る」
「そうか、じゃあ言ってみな」
「簡単だ。ただ一時的に解いたか、それとも使い手が倒れやがったか……とにかくえらい状況だってのは確かだ!」
「そうか。じゃあ急ぐしかねぇな!」
「そうか、じゃあ言ってみな」
「簡単だ。ただ一時的に解いたか、それとも使い手が倒れやがったか……とにかくえらい状況だってのは確かだ!」
「そうか。じゃあ急ぐしかねぇな!」
だがそれでも彼らは止まらない。止まるわけには行かない。
止まってはいけなかった。止まるべき状況ではないのだ。
止まってはいけなかった。止まるべき状況ではないのだ。
――だが信じられないことに、出鼻を挫く様な出来事は再び起こる。
「……今度は何だ?」
「……ドア?」
「……ドア?」
カズマ達の真上にに突如、暖色に彩られたドアが出現したのだ。
しかもそのドアは制止するわけでもなく、ゆっくりとカズマ達に向かって落ちていく。
いや、それだけではない。”それ” は突然勢い良く開かれ――そして中からあるものが飛び出してきた。
しかもそのドアは制止するわけでもなく、ゆっくりとカズマ達に向かって落ちていく。
いや、それだけではない。”それ” は突然勢い良く開かれ――そして中からあるものが飛び出してきた。
「土偶!?」
「何だテメェはッ!!」
「何だテメェはッ!!」
そう。土偶だ。しかしそれはただの土偶ではない。
ある者に忠誠を誓った特注の土偶――そう、その名は!
ある者に忠誠を誓った特注の土偶――そう、その名は!
「土偶ではない……スラン! 我が名は……俺の名はスランだ!
グリフィス様の為……俗物共は、死ねぇぇぇええぇぇぇぇえぇえええぇぇえっッっっッッ!!」
グリフィス様の為……俗物共は、死ねぇぇぇええぇぇぇぇえぇえええぇぇえっッっっッッ!!」
スランと名乗る満身創痍の土偶。それはなんとカズマに向かって急速落下を行った。
ただそれだけのダイナミックな動きは、動きを止めた相手にぶつける全身全霊の体当たりと化す。
そう、それは即ちカズマ達にとってはまさに回避不可能の奇襲!
ただそれだけのダイナミックな動きは、動きを止めた相手にぶつける全身全霊の体当たりと化す。
そう、それは即ちカズマ達にとってはまさに回避不可能の奇襲!
「どぅァっ!?」
その奇襲自体は見事に成功した。
カズマの体がスランの体当たりをまともに喰らい、地上へと落ちていく。
だが、それは致命傷には至らなかった。スランの奇襲には速さと――高さが足りなかった。
カズマとレヴィは着地に失敗して屋根に体を打ちつけたものの無傷。
要するに真下にあった住居の屋根に落下しただけで済んだのである。
カズマの体がスランの体当たりをまともに喰らい、地上へと落ちていく。
だが、それは致命傷には至らなかった。スランの奇襲には速さと――高さが足りなかった。
カズマとレヴィは着地に失敗して屋根に体を打ちつけたものの無傷。
要するに真下にあった住居の屋根に落下しただけで済んだのである。
「よう、クソ土偶野朗! なかなか痛ェ攻撃だった……効いたぜオイ!」
「……いきなりあたしらの上から落ちてくるなんて……良い身分じゃねぇか!」
「……いきなりあたしらの上から落ちてくるなんて……良い身分じゃねぇか!」
これ以上無い程眉間に皺を寄せたカズマがスランに対し叫ぶ。
それに一寸遅れて、起き上がったレヴィが罵倒を重ねた。
しかしスランは答えない。体から煙を起こしながらもどこでもドアと共に着地。
中破したドアを一瞥し、カズマとレヴィを見据えていた。
それに一寸遅れて、起き上がったレヴィが罵倒を重ねた。
しかしスランは答えない。体から煙を起こしながらもどこでもドアと共に着地。
中破したドアを一瞥し、カズマとレヴィを見据えていた。
だがやはりそれが気に入らないのがカズマという男だった。
すぐに悪態を重ね、更には前へ前へと進んでいく。
すぐに悪態を重ね、更には前へ前へと進んでいく。
「まぁとにかく俺らを狙ったのは拙かったな……今の俺ら相手じゃ、死ぬぜ!」
「ちょっと待ちなカズマ!」
「ぁあ!?」
「ちょっと待ちなカズマ!」
「ぁあ!?」
突然レヴィが、既に敵を倒す気でいるカズマを制止した。
カズマは一旦動きを停止し、レヴィの行動を待つ。
それを確認したレヴィはスランに対し、尋ねた。
カズマは一旦動きを停止し、レヴィの行動を待つ。
それを確認したレヴィはスランに対し、尋ねた。
「てめえ……今、グリフィスって言ったよな? グリフィス様の為、って確かに言った」
カズマはそこでやっと気付いた。
目の前の土偶が確かに「グリフィス」という名を叫んだ、その事にだ。
だがそんなカズマの反応を見ず、レヴィは続ける。
目の前の土偶が確かに「グリフィス」という名を叫んだ、その事にだ。
だがそんなカズマの反応を見ず、レヴィは続ける。
「そこで尋ねるが、そのグリフィスって坊やは ”アタシらをどの程度までおちょくる気でいやがる” んだ?
”返答によっちゃあたしはてめえを撃つ” し、返答によっちゃ”そのグリフィスも撃ってやる” よ。だから答えろ、人形野朗」
「答える義務は無い……ただ、お前達は……グリフィス様の礎として死ねばいい、それだけだ……」
”返答によっちゃあたしはてめえを撃つ” し、返答によっちゃ”そのグリフィスも撃ってやる” よ。だから答えろ、人形野朗」
「答える義務は無い……ただ、お前達は……グリフィス様の礎として死ねばいい、それだけだ……」
ただただ冷たく言い放つスラン。
それは感情が無いかの様であり、それでいて威圧感を放っていた。
しかしそこで大人しく「はいそうですか」と言う二人ではない。
それは感情が無いかの様であり、それでいて威圧感を放っていた。
しかしそこで大人しく「はいそうですか」と言う二人ではない。
「そうかい。どうやら聞く耳持たないらしいぜ、カズマ」
「そうだな。どうする?」
「そうだな。どうする?」
レヴィは一瞬考えを巡らせた。
だが、それも本当に「一瞬」。すぐに結論は出た。
だが、それも本当に「一瞬」。すぐに結論は出た。
「時間が惜しい。手早く ”ヤッちまおう” ぜ!」
「オッケェ! その提案、引き受けた!」
「だが ”手早く” だ! 解ってンな!?」
「当然!!」
「オッケェ! その提案、引き受けた!」
「だが ”手早く” だ! 解ってンな!?」
「当然!!」
真っ直ぐとスランを見据えるカズマとレヴィ。
その向こうでは、幾分小さくなった蒼い巨人が姿を現していた。
その向こうでは、幾分小さくなった蒼い巨人が姿を現していた。
「おいカズマ、見てみな。あのクレイジーなヤツがまた見えるぜ」
「お……本当だな。あの蒼いの……また出やがったのか」
「さっきのと比べりゃ幾分小さいが……ヤバいな」
「そうだな。ありゃ急げって事だ」
「お……本当だな。あの蒼いの……また出やがったのか」
「さっきのと比べりゃ幾分小さいが……ヤバいな」
「そうだな。ありゃ急げって事だ」
早速巨人の姿を遠目で確認したレヴィとカズマは言葉を交わす。
そしてカズマが拳を突き出し、レヴィがソード・カトラスとイングラムを構えた。
二人の行動は単純な宣戦布告。目の前の敵を斃してやるという明確な意思表示だ。
スランは二人のその姿を眺め、ゆっくりと間合いを取るように後退する。
互いの準備は万全。こうして戦いは呆気なく始まりを告げる。
そしてカズマが拳を突き出し、レヴィがソード・カトラスとイングラムを構えた。
二人の行動は単純な宣戦布告。目の前の敵を斃してやるという明確な意思表示だ。
スランは二人のその姿を眺め、ゆっくりと間合いを取るように後退する。
互いの準備は万全。こうして戦いは呆気なく始まりを告げる。
標的は土偶。戦場は住宅地。
踏みしめるは屋根。見上げれば広がる大空。
踏みしめるは屋根。見上げれば広がる大空。
――考え得る限り、最も平和な景色だった。
まずは牽制とばかりにレヴィがベレッタを二発。
左手に持ったそれは痛快な音を立て、敵を穿とうと襲い掛かる。
だがスランはそれをどうにか横へ回避した。
左手に持ったそれは痛快な音を立て、敵を穿とうと襲い掛かる。
だがスランはそれをどうにか横へ回避した。
「ハッ! あたしの弾をよけるたァ……限界突破にも程があるぜ手前!」
「どけレヴィ! 次は俺の出番ッッだァァァァァアアアアアア!!」
「どけレヴィ! 次は俺の出番ッッだァァァァァアアアアアア!!」
スランの呟きとレヴィの軽口を一切無視し、カズマが跳躍する。
そして「いつもの様に」拳を打ち下ろす。標的は勿論、スランだ。
そして「いつもの様に」拳を打ち下ろす。標的は勿論、スランだ。
「シェルブリットォォオオオオオオオオオオオ!!」
だがカズマの攻撃はただの拳での殴打ではない。
シェルブリットの特性は最早説明するまでも無い。
それを知るスランとレヴィは、同じタイミングで各々後退した。
シェルブリットの特性は最早説明するまでも無い。
それを知るスランとレヴィは、同じタイミングで各々後退した。
何かが爆発したような音が響いた。
上がる土煙。木材の破片などが降り注ぎ、遂には戦場の一部が崩れ去っていく。
上がる土煙。木材の破片などが降り注ぎ、遂には戦場の一部が崩れ去っていく。
「ハッ! 敵を一匹殴るのに家を何棟ぶち壊してんだ!
やっぱりクールで腹の立つ攻撃だ! ”ずっとそう思ってた” よ!」
やっぱりクールで腹の立つ攻撃だ! ”ずっとそう思ってた” よ!」
カズマが土煙から姿を現すのを待たず、レヴィは再び動く。
住居を構成していた木材の破片の雨を掻い潜りながら
図らずも土煙に身を隠したスランがいるであろう方向を勘で定め、ベレッタを撃った。
住居を構成していた木材の破片の雨を掻い潜りながら
図らずも土煙に身を隠したスランがいるであろう方向を勘で定め、ベレッタを撃った。
――だが当たらなかったらしく、反応は無い。
仕方が無いので様子を見ていると、代わりに土煙からカズマが姿を現した。
住居の倒壊の所為で少し顔を汚した彼は、少々機嫌が悪いようだ。
仕方が無いので様子を見ていると、代わりに土煙からカズマが姿を現した。
住居の倒壊の所為で少し顔を汚した彼は、少々機嫌が悪いようだ。
「よぉカズマ。いい顔になったじゃねぇか」
「テメェがその拳銃でさっさとカタをつけねぇからだろうが」
「テメェがその拳銃でさっさとカタをつけねぇからだろうが」
早速噛み付いてくるカズマに対し、やれやれとばかりにため息をつくレヴィ。
だが今はいがみ合う場面ではない。それくらいはレヴィにも解る。
だが今はいがみ合う場面ではない。それくらいはレヴィにも解る。
「いちいちうるせんだよてめえは……ほら行くぞ!」
「……あいよ!」
「……あいよ!」
二人は再びスランに対し攻撃を試みた。
敵は脳天を割られているというこれ以上ない手負い。
状況は状況だが、敵を倒すという点から見れば嬉しい状態だ。
敵は脳天を割られているというこれ以上ない手負い。
状況は状況だが、敵を倒すという点から見れば嬉しい状態だ。
「本ッ当によく避けやがって! ああこのクソ土偶野朗!」
「馬鹿みたいに外してんじゃねぇ! 後は俺に任せてろ! 行くぜオイ!!」
「馬鹿みたいに外してんじゃねぇ! 後は俺に任せてろ! 行くぜオイ!!」
だが、幾度となく二人が攻撃をしようともそれは当たらなかった。
「ああ畜生! もっとだ、もっと輝けェェェ!!」
「ハンッ! 馬鹿はテメェの方じゃねぇか!」
「ハンッ! 馬鹿はテメェの方じゃねぇか!」
すばしっこくスランは逃走、回避をこなす。
「ぁあ? まだ避けるのか……立ち止まってくれりゃ ”もっと楽に昇天させてやる” ってのに」
「全くだ! ああ腹が立ってきた! 当たれ! 当たれェェェエエエエ!」
「全くだ! ああ腹が立ってきた! 当たれ! 当たれェェェエエエエ!」
何故ここまで避けるのか。何故動けるのか。
疑問を膨らませながらレヴィとカズマはスランに攻撃を仕掛けるが、無意味に終わる。
何故だ。どうして。なんでだよ。ふざけんな。後でボコる。絶対ボコる。っていうか撃つ。風穴開ける。
蜂の巣だ。イライラしてくる。殺してやる。ボコボコにしてやんよ。ちょっとそこ並べ。歯ァ食いしばれ。
様々な口汚い言葉が浮かんでは消え、浮かんでは消える。だが攻撃は当たらず住居を傷つけるだけ。
いたずらに銃弾と力を浪費する消耗戦と化していた。
疑問を膨らませながらレヴィとカズマはスランに攻撃を仕掛けるが、無意味に終わる。
何故だ。どうして。なんでだよ。ふざけんな。後でボコる。絶対ボコる。っていうか撃つ。風穴開ける。
蜂の巣だ。イライラしてくる。殺してやる。ボコボコにしてやんよ。ちょっとそこ並べ。歯ァ食いしばれ。
様々な口汚い言葉が浮かんでは消え、浮かんでは消える。だが攻撃は当たらず住居を傷つけるだけ。
いたずらに銃弾と力を浪費する消耗戦と化していた。
カズマとレヴィは知らないだろう。
スランがグリフィスに対し恐ろしく忠誠を誓っているという事を。
そして知る由も無いだろう。
スランは自身のその忠誠によって、精神が肉体を凌駕し限界を超えていたという事を。
そして、これは知るべきであった。
スランは最後の時間と力の全てを、時間稼ぎにのみ費やしているという事を。
スランがグリフィスに対し恐ろしく忠誠を誓っているという事を。
そして知る由も無いだろう。
スランは自身のその忠誠によって、精神が肉体を凌駕し限界を超えていたという事を。
そして、これは知るべきであった。
スランは最後の時間と力の全てを、時間稼ぎにのみ費やしているという事を。
「大体テメェはなんだ! 何で右手の銃を使わねェんだ!? 両方持ってる意味は何だ!? ただの飾りか!?」
「必殺の武器をバカスカ使うアホはいねぇだろうが! てめえみたいに無尽蔵じゃねぇんだ! もっとスマートに考えろ!」
「必殺の武器をバカスカ使うアホはいねぇだろうが! てめえみたいに無尽蔵じゃねぇんだ! もっとスマートに考えろ!」
そして来た。遂にこの時が来てしまった。最悪の時間が二人に訪れる。
スランの事情を知ることもなく、カズマとレヴィは言い争いを始めてしまったのである。
先程は上手く堪えたというのに、それを忘れてしまったかのようだ。
スランの事情を知ることもなく、カズマとレヴィは言い争いを始めてしまったのである。
先程は上手く堪えたというのに、それを忘れてしまったかのようだ。
「だからその必殺を当てればいいだろうが!」
「てめえがそれを言うか!? さっきから家を御陀仏にしてる癖によ! おかげでいつまで経っても木材の破片と土煙で視界が晴れねぇんだ!」
「てめえがそれを言うか!? さっきから家を御陀仏にしてる癖によ! おかげでいつまで経っても木材の破片と土煙で視界が晴れねぇんだ!」
元々短気な性格同士。こうならないのが不自然――奇跡であったくらいだ。
こんな事をしている時間の猶予は無いというのに、遂にはお互いに手が出る始末であった。
こんな事をしている時間の猶予は無いというのに、遂にはお互いに手が出る始末であった。
「ンだと!? ふざけんな! ああ、一瞬でもテメェに期待した俺がバ……」
「そりゃこっちのセリフだ! この甘ったれベイ……」
「そりゃこっちのセリフだ! この甘ったれベイ……」
が、互いに襟首を掴み合ったところでそれは止んだ。
先にある蒼い巨人の姿が脳裏に浮かび、制止させたのだ。
先にある蒼い巨人の姿が脳裏に浮かび、制止させたのだ。
「……あたしらが、こんなことしてる場合じゃなかったな」
「チッ……俺が目的を忘れるなんてな。馬鹿げた話だ」
「チッ……俺が目的を忘れるなんてな。馬鹿げた話だ」
互いの手が縺れた感情と共に振り解かれる。
”今はこうしている場合ではないのだ” と、二人は必死に自身に言い聞かせた。
個人の甘さで仕事がお釈迦になるなど、馬鹿げ過ぎている。
カズマは腕を回し、レヴィはベレッタの弾倉を予備の物へと取り替えながら仕切り直しを試みた。
”今はこうしている場合ではないのだ” と、二人は必死に自身に言い聞かせた。
個人の甘さで仕事がお釈迦になるなど、馬鹿げ過ぎている。
カズマは腕を回し、レヴィはベレッタの弾倉を予備の物へと取り替えながら仕切り直しを試みた。
「よし、仕切り直しだ……喧嘩は仕事が終わってからにしよう。
それでだ。いいか? 見る限り今の土偶野朗は ”あたしらの攻撃を避けるばかり” だ。
”疑問は浮かぶが、はっきりと解るのは唯一つ”……この状況じゃ時間と弾を ”くっちまう” だけだってことだ。
そこでだ……どうする? なんか言いたいことがあれば……今の寛大なあたしなら聞いてやらないでもない」
それでだ。いいか? 見る限り今の土偶野朗は ”あたしらの攻撃を避けるばかり” だ。
”疑問は浮かぶが、はっきりと解るのは唯一つ”……この状況じゃ時間と弾を ”くっちまう” だけだってことだ。
そこでだ……どうする? なんか言いたいことがあれば……今の寛大なあたしなら聞いてやらないでもない」
土煙が晴れ、スランが再び姿を現す。
だがそれを今は一旦無視し、レヴィはカズマへと相談を持ちかけた。
カズマは殺気立ちながらスランを一瞥し、レヴィの会話に乗る。
だがそれを今は一旦無視し、レヴィはカズマへと相談を持ちかけた。
カズマは殺気立ちながらスランを一瞥し、レヴィの会話に乗る。
「そうだな……敵も必死だ。多分今は互いに時間が惜しい状況なんだろうよ。
しかし解せねぇのが……避けるばっかりで攻撃をしてくる気がしないって所か」
「ああ。あの土偶野朗は必死にあたしらの攻撃を避けるだけ……。
だが、”だからこそあたしらの時間だけが消費されて” やがる。つまりは……」
「なるほど。あいつはただ時間稼ぎをしてるって事か…………気にいらねぇな!」
「今こうして話してるあたしらを攻撃しないのが何よりの証ってヤツさ。
だが落ち着きな。いいか? ”敵が攻撃をしてこない” んだ。それならこっちも柔軟に対応しやすい」
しかし解せねぇのが……避けるばっかりで攻撃をしてくる気がしないって所か」
「ああ。あの土偶野朗は必死にあたしらの攻撃を避けるだけ……。
だが、”だからこそあたしらの時間だけが消費されて” やがる。つまりは……」
「なるほど。あいつはただ時間稼ぎをしてるって事か…………気にいらねぇな!」
「今こうして話してるあたしらを攻撃しないのが何よりの証ってヤツさ。
だが落ち着きな。いいか? ”敵が攻撃をしてこない” んだ。それならこっちも柔軟に対応しやすい」
スランが時間稼ぎをしているのは明白だった。
こちらを注意深く観察し、避けることだけに従事する。
彼も手負いの身。限界近い今ではそれだけで精一杯なのだろう。
レヴィとカズマはそれを利用し、小声で相談を開始する。
こちらを注意深く観察し、避けることだけに従事する。
彼も手負いの身。限界近い今ではそれだけで精一杯なのだろう。
レヴィとカズマはそれを利用し、小声で相談を開始する。
「一番いいのは相手の動きを止めるって事だ。だがあたしの武器に足止めに有利な物は無い」
「じゃあ俺のシェルブリットで……」
「それも考えたが、足止めに使ってもただいたずらに視界を奪うだけだ」
「じゃあ俺のシェルブリットで……」
「それも考えたが、足止めに使ってもただいたずらに視界を奪うだけだ」
そう、シェルブリットの強力な拳が住居を倒壊させて土煙や木材の雨を降らせることは立証済みだ。
それではいけない。いくら力が強いといえど、当たらなければ意味は無いのだ。
それではいけない。いくら力が強いといえど、当たらなければ意味は無いのだ。
「だからてめえのその腕は ”とどめ” にしておきたい。だったら方法は一つ。
あたしが足止めをして、手前のそのシェルなんたらで止めを刺すしかない。実に単純、クールな戦法だ」
「そりゃそうだが……で、足止めはどうする?」
「だからそれを今あたしらが必死に思いつこうとしてるんじゃねぇか。本末転倒だコラ」
あたしが足止めをして、手前のそのシェルなんたらで止めを刺すしかない。実に単純、クールな戦法だ」
「そりゃそうだが……で、足止めはどうする?」
「だからそれを今あたしらが必死に思いつこうとしてるんじゃねぇか。本末転倒だコラ」
レヴィは忌々しく呟き、デイバッグを漁った。中には相変わらず妙な道具や様々な銃器がある。
だがどれも強力な足止めにはならないだろう。拳銃でいくら波状攻撃を試みようとも、結局当たらなければ意味は無い。
だがどれも強力な足止めにはならないだろう。拳銃でいくら波状攻撃を試みようとも、結局当たらなければ意味は無い。
「大体どうしてテメェの銃が当たらねぇんだよ」
「……体が痛くて照準があわせづらい」
「……バカか?」
「うるせぇ! 大体てめえが墜落しなきゃこんなことには……ん?」
「どうした?」
「……体が痛くて照準があわせづらい」
「……バカか?」
「うるせぇ! 大体てめえが墜落しなきゃこんなことには……ん?」
「どうした?」
悪態をつきながらバッグを弄り、レヴィはある物を発見した。
それを掴み、握り締め、確信する。
それを掴み、握り締め、確信する。
「カズマ……これなら簡単に行けるぜ」
「へぇ、マジかよ」
「ああ。てめえは暫く様子を見てろ。あたしが ”どう見てもチャンスです” ってくらいの隙を作ってやる。
それまでお茶でも煤ってな。手前は ”ただタイミング良く拳をぶっ放してくれればそれで良い” んだ」
「へぇ、マジかよ」
「ああ。てめえは暫く様子を見てろ。あたしが ”どう見てもチャンスです” ってくらいの隙を作ってやる。
それまでお茶でも煤ってな。手前は ”ただタイミング良く拳をぶっ放してくれればそれで良い” んだ」
レヴィが右手にイングラムM10サブマシンガン、左手に予備弾倉を持つ。
見れば標的は無駄な体力の消費を避けるためか、もしくはこちらを観察するためか
先程から同じ場所に立っていた様だ。一歩もその場を動いていなかった。
それならそれで都合が良い。
見れば標的は無駄な体力の消費を避けるためか、もしくはこちらを観察するためか
先程から同じ場所に立っていた様だ。一歩もその場を動いていなかった。
それならそれで都合が良い。
――作戦、開始。
唐突に会話を終え、レヴィがイングラムを右手で放った。
強い反動を引き換えに、多くの弾丸がスランを襲う。
強い反動を引き換えに、多くの弾丸がスランを襲う。
「おお、相変わらず避けてくれるじゃねぇか!」
だがスランはそれすらも避ける。避け続けていた。
ギガゾンビに造られた特別製のツチダマは自身の限界を超えて久しい。
だがレヴィも振動によって再び蓄えられる体の痛みを堪えながら、負けじと射撃を続けていた。
右から左へ、イングラムの射線をずらしながらスランを追っていく。
ギガゾンビに造られた特別製のツチダマは自身の限界を超えて久しい。
だがレヴィも振動によって再び蓄えられる体の痛みを堪えながら、負けじと射撃を続けていた。
右から左へ、イングラムの射線をずらしながらスランを追っていく。
――カキン
弾が切れた。
だが問題は無い。空になった弾倉を外し予備を入れる。これでまた元通りだ。
しかし、”仕切り直し” ではない。レヴィの策はまだ続くのだ。
その証拠にレヴィは既に他の屋根に飛び移っていたスランに対し、再びイングラムを掃射する。
住宅地に似合わない軽快な音が再び鳴り響き、罪の無い屋根に風穴を開けていく。
それをスランは真っ直ぐに右方向へと移動する事によって回避し、イングラムの弾丸が彼の道なりにそれを追う。
そうしていると、スランは屋根の ”へり” へと到達しようとしていた。
だが問題は無い。空になった弾倉を外し予備を入れる。これでまた元通りだ。
しかし、”仕切り直し” ではない。レヴィの策はまだ続くのだ。
その証拠にレヴィは既に他の屋根に飛び移っていたスランに対し、再びイングラムを掃射する。
住宅地に似合わない軽快な音が再び鳴り響き、罪の無い屋根に風穴を開けていく。
それをスランは真っ直ぐに右方向へと移動する事によって回避し、イングラムの弾丸が彼の道なりにそれを追う。
そうしていると、スランは屋根の ”へり” へと到達しようとしていた。
「さぁどうする!? ”Jump or Dead” だ! Go! Go! Go!」
レヴィの急かす様な叫び。それに焚き付けられたか、焦りを覚えたか。
死ぬわけにはいかなかったか、死を恐れてしまったか。
スランは逃走経路を別の屋根に定め、飛び移ろうと跳躍した。
それを確認したレヴィは、待っていたとばかりに不敵な笑みを浮かべてデイバッグに左手を突っ込んだ。
取り出すは必勝への布石。そう、”あの時レヴィの運命を変えた” あの道具だ。
死ぬわけにはいかなかったか、死を恐れてしまったか。
スランは逃走経路を別の屋根に定め、飛び移ろうと跳躍した。
それを確認したレヴィは、待っていたとばかりに不敵な笑みを浮かべてデイバッグに左手を突っ込んだ。
取り出すは必勝への布石。そう、”あの時レヴィの運命を変えた” あの道具だ。
「Too bad.(残念でした)」
スランの着地地点に目掛け、レヴィは光を照射した。
屋根の光が照らされた部分には突然、切り抜いたような穴が出現する。
屋根の光が照らされた部分には突然、切り抜いたような穴が出現する。
「何だ、とっ!?」
意表を付かれたとばかりに、スランは叫び声を残して穴へと姿を消してしまった。
そして穴はその役目を終えたと同時に塞がれ、元へと戻る。残ったのはただの屋根だ。
だが、そう――これで終わり。チェックメイトだ。
そして穴はその役目を終えたと同時に塞がれ、元へと戻る。残ったのはただの屋根だ。
だが、そう――これで終わり。チェックメイトだ。
「今だカズマァァァァアアアアアア!!」
レヴィが叫ぶと、背後から風を切る音がする。それはカズマのシェルブリットが飛行を開始した合図だ。
背中のプロペラを再び回転させ、彼は宙を舞う。行き先はスランの落下した住居の真上である。
背中のプロペラを再び回転させ、彼は宙を舞う。行き先はスランの落下した住居の真上である。
「オッケェ……この作戦の締めは、この俺が引き受けた!」
「いいかカズマ! ”標的(ターゲット)は唯一つ(オンリーワン)” だ!
温い坊やじゃねぇんだ! てめえもさっきの陽動を見てたんなら何をすればいいか解るよな!?」
「当たり前だ! それじゃァ……行くぜ!」
「いいかカズマ! ”標的(ターゲット)は唯一つ(オンリーワン)” だ!
温い坊やじゃねぇんだ! てめえもさっきの陽動を見てたんなら何をすればいいか解るよな!?」
「当たり前だ! それじゃァ……行くぜ!」
カズマの拳が輝く。それは全てを破壊する太陽の色をしていた。
レヴィはその輝きを楽しそうに眺める。死んだような目が珍しく輝いている。
レヴィはその輝きを楽しそうに眺める。死んだような目が珍しく輝いている。
「All right, I'm counting on you.(じゃ、任せたぜ)」
――爆音が轟いた。
それから数十秒後。
周りと同じように倒壊してしまった住居を見下ろすレヴィ。
原形を留めていない家だったものを眺め、笑みを浮かべた。
周りと同じように倒壊してしまった住居を見下ろすレヴィ。
原形を留めていない家だったものを眺め、笑みを浮かべた。
「カズマぁ! 終わったか!?」
機嫌が元通りになったのか、レヴィは幾分楽しそうな声色で名を呼ぶ。
「おいこら、昼寝でもしてんのか? カズマ!」
「うるせぇよ!」
「うるせぇよ!」
いつもの様な反発を起こしながら、カズマが瓦礫から姿を現した。
表情を見てみれば、どうやら怪我も懸念事項も無いようだ。
表情を見てみれば、どうやら怪我も懸念事項も無いようだ。
「で、終わったか?」
「ああ、終わったぜ。これが証拠だ」
「ああ、終わったぜ。これが証拠だ」
少しばかり消耗したのかアルターを解除している右手で、カズマは何かを振り投げた。
レヴィはそれを怪訝そうに受け取ったが、その ”何か” を見た瞬間不敵な笑みを浮かべた。
それを見たカズマも、満足感からか同じような笑みを浮かべる。
レヴィはそれを怪訝そうに受け取ったが、その ”何か” を見た瞬間不敵な笑みを浮かべた。
それを見たカズマも、満足感からか同じような笑みを浮かべる。
その ”何か” は――あのツチダマ、スランの残骸だった。
再起不能なまでに破壊された土人形を、カズマが証拠として投げ渡したのだ。
そうしてスランの死を確認したレヴィは、それを後ろへと投げ捨てながら溜息混じりに口を開いた。
再起不能なまでに破壊された土人形を、カズマが証拠として投げ渡したのだ。
そうしてスランの死を確認したレヴィは、それを後ろへと投げ捨てながら溜息混じりに口を開いた。
「バッチリだぜ、お疲れさん。しっかし手ごわかったな。ああ、腹が立つ」
「だいぶ時間を食っちまった……俺はともかく、テメェは間に合うかよ?」
「また背中に乗せてくれるんなら間に合うだろうな」
「そうかよ。そういう事なら仕方ねェ!」
「だいぶ時間を食っちまった……俺はともかく、テメェは間に合うかよ?」
「また背中に乗せてくれるんなら間に合うだろうな」
「そうかよ。そういう事なら仕方ねェ!」
瓦礫を分解し、カズマは再びシェルブリットを構築し始めた。
カズマの右腕があっという間に太陽の色をした右腕へと変貌を遂げる。
カズマの右腕があっという間に太陽の色をした右腕へと変貌を遂げる。
「よし、じゃあ飛び乗れ!」
「OK!」
「OK!」
完成したシェルブリットを早速地面に撃ちつけ、カズマは再び空へと跳躍する。
レヴィはそのカズマへと跳躍。そしてどうにかぎりぎりで背中へと飛びついた。
そして再び二人は急ぐ。目的地は唯一つ、片腕を失った蒼い巨人だ。
レヴィはそのカズマへと跳躍。そしてどうにかぎりぎりで背中へと飛びついた。
そして再び二人は急ぐ。目的地は唯一つ、片腕を失った蒼い巨人だ。
「さぁ早く行くぜ!」
「指図すんな……ってオイ、あれ見ろ!」
「どうした?」
「ガキが走ってやがる」
「指図すんな……ってオイ、あれ見ろ!」
「どうした?」
「ガキが走ってやがる」
だが突然カズマが何かに気付き、レヴィへと報告をした。
レヴィが目を細めて景色を見下ろすと、確かに走っている少年が見えた。
どうやら彼も、同じ目的地に向かって走っているらしい。
レヴィが目を細めて景色を見下ろすと、確かに走っている少年が見えた。
どうやら彼も、同じ目的地に向かって走っているらしい。
「接触するか?」
「ああ、そうだな。接触したほうがいいだろ」
「オッケェ。じゃあ、万一ギガゾンビの手下だったら困るから準備しとけ」
「いや、大丈夫だろ……よく見りゃあのガキの行き先はあたしらと同じみたいだ。
それにここは当初の目的地に近い領域……ここらへんで保護対象がうろうろしててもおかしくは無い」
「やっぱそうだよな。よし、じゃあ尋ねてみるか」
「ああ、そうだな。接触したほうがいいだろ」
「オッケェ。じゃあ、万一ギガゾンビの手下だったら困るから準備しとけ」
「いや、大丈夫だろ……よく見りゃあのガキの行き先はあたしらと同じみたいだ。
それにここは当初の目的地に近い領域……ここらへんで保護対象がうろうろしててもおかしくは無い」
「やっぱそうだよな。よし、じゃあ尋ねてみるか」
レヴィの提案を呑んだカズマはすぐに少年目指して飛行を開始した。
勿論シェルブリットは、”どうみても一般人” といった相手に追い付けぬ性能ではない。
すぐに目的は達成され、カズマは少年の真上を取る。そしてストレートに叫んだ。
勿論シェルブリットは、”どうみても一般人” といった相手に追い付けぬ性能ではない。
すぐに目的は達成され、カズマは少年の真上を取る。そしてストレートに叫んだ。
「おいそこのガキ! ハルヒとキョンってヤツを知らねぇか!?」
突然の邂逅。そして質問。
その謎の連携に驚いたのか、少年が足を止めてこちらを見た。
その謎の連携に驚いたのか、少年が足を止めてこちらを見た。
「突然で悪かったな、坊や。で、あたしらはキョンとハルヒとかってヤツらを探してんだ。
トグサってヤツに頼まれたんだが……何でも良い、知ってる情報を寄越してくれ!
別に知らねぇんだったら知らねぇで良い! まぁテメェが敵だったら容赦しねェが……どうだ?」
トグサってヤツに頼まれたんだが……何でも良い、知ってる情報を寄越してくれ!
別に知らねぇんだったら知らねぇで良い! まぁテメェが敵だったら容赦しねェが……どうだ?」
レヴィのフォローらしき言葉の羅列。それを聞いた少年は、更に驚いた表情を形作った。
そのことに気付いたレヴィが「まさか何か知っているのか?」更なる問いに移行しようとした刹那。
そのことに気付いたレヴィが「まさか何か知っているのか?」更なる問いに移行しようとした刹那。
「トグサ……トグサって人に頼まれたってのは本当ですか!?」
「当たり前だ!」
「当たり前だ!」
突然、少年の方からアプローチがかかった。
レヴィはそのアプローチをすぐさま受け取り、叫びで返す。
すると少年は少し考え、そして口を開いた。
レヴィはそのアプローチをすぐさま受け取り、叫びで返す。
すると少年は少し考え、そして口を開いた。
「それに貴方達は確かあの……」
「あ?」
「……よし、じゃあ信じて話します! 俺がそのキョンです! ハルヒも向こうに……あの巨人の足元にいると思います!」
「何ッ!?」
「あ?」
「……よし、じゃあ信じて話します! 俺がそのキョンです! ハルヒも向こうに……あの巨人の足元にいると思います!」
「何ッ!?」
今度はレヴィが驚きの表情を浮かべることになった。
まさか確保対象の一人にいきなり出会い、更にもう一人の情報が得られるとは。
しかもキョンの示した方向を見れば、確かに人間が二名。合間見えている。
まさか確保対象の一人にいきなり出会い、更にもう一人の情報が得られるとは。
しかもキョンの示した方向を見れば、確かに人間が二名。合間見えている。
一人は女子高生。そして、もう一人は……青い服の女性。
レヴィがそこまで確認した瞬間、突然カズマに声をかけられた。
レヴィがそこまで確認した瞬間、突然カズマに声をかけられた。
「悪ィ、レヴィ。お前は後でキョンと一緒に追い付いて来い」
「ああ? なんであたしが後手に回らなきゃなんねぇんだよ」
「ああ? なんであたしが後手に回らなきゃなんねぇんだよ」
レヴィが怪訝そうに尋ねるが、カズマはいつもの様な悪態で返さなかった。
「――ボコる相手が、出来た」
「……カズマ?」
「いいから背中から降りろ! 早く!」
「……カズマ?」
「いいから背中から降りろ! 早く!」
カズマに急かされ、レヴィは背中から飛び降りた。
一体何があったのかと、レヴィの頭に更なる疑問が浮かぶ。
一体何があったのかと、レヴィの頭に更なる疑問が浮かぶ。
刹那、カズマが腹の底から吠えた。
「テメェかァァァァァアアアアアアアアアアアアア!!!!」
叫びと共に、彼は一気に目的地へと距離を詰める様に飛んでいった。
いや、よく見れば彼の狙いは ”目的地” ではない。
あの涼宮ハルヒと思わしき少女と合間見える、剣を持った女性。
いや、よく見れば彼の狙いは ”目的地” ではない。
あの涼宮ハルヒと思わしき少女と合間見える、剣を持った女性。
カズマの狙いは、明らかにそれであった。
先行して飛び立っていったカズマを、レヴィは呆れ混じりに眺めていた。
『あたしの提案とは言え……土偶を家ごと潰すなんて事を迷わずやりきった奴だからな。
まぁこんくらいの独断専行をする位の血の気はあるよな……もうちょっとあたしみたいにクールになれよ……』
まぁこんくらいの独断専行をする位の血の気はあるよな……もうちょっとあたしみたいにクールになれよ……』
ロックが聞いたら迷わず突っ込みそうなことを心中で呟いたが、それもすぐに終了。
レヴィは頭を切り替え、キョンに対して口を開いた。
レヴィは頭を切り替え、キョンに対して口を開いた。
「あー、訳がわからねぇ……つーか、初っ端からあいつに遅れを取るとはな」
「あなたは……それにあの人、どうして……」
「詳しいことは走りながらだ……とにかく急ぐぞ!」
「え? は、はい!」
「あなたは……それにあの人、どうして……」
「詳しいことは走りながらだ……とにかく急ぐぞ!」
「え? は、はい!」
レヴィがキョンを急かすと、キョンはレヴィの後を付いてまた必死に走り出した。
時間の惜しい今では、そうでもしないと仕事に支障が出てしまう。
時間の惜しい今では、そうでもしないと仕事に支障が出てしまう。
だというのに突然、レヴィはキョンに話しかけられた。
「……ところであなたの名前、レヴィさんですよね?」
「なんで知ってんだ?」
「なんで知ってんだ?」
ふと、レヴィも沸いた疑問をキョンにぶつける。
すると彼はすぐに答えを返してくれた。
すると彼はすぐに答えを返してくれた。
「病院の騒動、見てましたから。あのさっきの男の人と大暴れしてたでしょう?」
「ああ、あれか……だが坊やには関係の無い話だ。今のこの状況じゃ特に意味も無……あ」
「ど、どうしたんですか? 何で急に立ち止まるんですか?」
「ああ、あれか……だが坊やには関係の無い話だ。今のこの状況じゃ特に意味も無……あ」
「ど、どうしたんですか? 何で急に立ち止まるんですか?」
”病院での騒動、見てましたから”。
その言葉をキョンから聞いたレヴィが不意に立ち止まった。
答えた本人は怪訝そうな表情でそれを眺めており、不気味な静寂が辺りを包む。
そうしていると、レヴィが般若の形相で振り向いた。
その言葉をキョンから聞いたレヴィが不意に立ち止まった。
答えた本人は怪訝そうな表情でそれを眺めており、不気味な静寂が辺りを包む。
そうしていると、レヴィが般若の形相で振り向いた。
「じゃあ、あれ……”見た” んだな?」
「あ、あれって?」
「あれだよ。カズマとやりあってたときの……!」
「あ、あれって?」
「あれだよ。カズマとやりあってたときの……!」
キョンの襟首を掴み、形相を押さえぬままにレヴィが問う。
明確な暴力。そんなものに縁の無かったキョンは縮み上がる。
そして迫力に負けた彼は、ついつい正直にあの言葉を口にしてしまった。
明確な暴力。そんなものに縁の無かったキョンは縮み上がる。
そして迫力に負けた彼は、ついつい正直にあの言葉を口にしてしまった。
「ああ、あの魔法少女みたいな変身の事でs」
「それだそれェ! いいからそれを今から全部忘れろォォォオオオオオオ!!」
「それだそれェ! いいからそれを今から全部忘れろォォォオオオオオオ!!」
――ズガン!
【C-4/市街地/2日目-昼】
【カズマ@スクライド】
[状態]:疲労、強い決意、全身に中程度の負傷(処置済)、西瓜臭い、全身に少々の痛み
[装備]:なし
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-1)、翠星石の首輪、エンジェルモートの制服
[思考]
基本:気にいらねぇモンは叩き潰す、欲しいモンは奪う。もう止まったりはしねぇ、あとは進むだけだ!
1:セイバーを斃す!
2:キョン達、特に涼宮ハルヒを守り、病院へと送り届ける。
3:首輪を外してギガゾンビをぶっとばす。
4:そのためにはレヴィとも協力する。
[備考]
※いろいろ在ったのでグリフィスのことは覚えていません。
※のび太のデイパックを回収しました。
※レヴィに対する評価が少し上がっています。
【カズマ@スクライド】
[状態]:疲労、強い決意、全身に中程度の負傷(処置済)、西瓜臭い、全身に少々の痛み
[装備]:なし
[道具]:デイバッグ、支給品一式(食料-1)、翠星石の首輪、エンジェルモートの制服
[思考]
基本:気にいらねぇモンは叩き潰す、欲しいモンは奪う。もう止まったりはしねぇ、あとは進むだけだ!
1:セイバーを斃す!
2:キョン達、特に涼宮ハルヒを守り、病院へと送り届ける。
3:首輪を外してギガゾンビをぶっとばす。
4:そのためにはレヴィとも協力する。
[備考]
※いろいろ在ったのでグリフィスのことは覚えていません。
※のび太のデイパックを回収しました。
※レヴィに対する評価が少し上がっています。
【レヴィ@BLACK LAGOON】
[状態]:脇腹、及び右腕に銃創(処置済み)、背中に打撲。
頭からバカルディを被ったため少々酒臭い、疲労、全身に少々の痛み、現在キョンを殴打中。
[装備]:ソード・カトラス(残弾15/15、予備残弾×26発)、ベレッタM92F(残弾15/15)
[道具]:デイバッグ×2、支給品一式×2、イングラムM10サブマシンガン(残弾15/30、予備弾倉30発×1)
グルメテーブルかけ(使用回数:残り16品)、ぬけ穴ライト、テキオー灯、
バカルディ(ラム酒)×1本、割れた酒瓶(凶器として使える)、エクソダスと首輪解除に関して纏めたメモ
[思考]
基本:バトルロワイアルからの脱出。物事なんでも速攻解決!! 銃で!!
1:「キョンが!」「忘れるまで!」「殴るのをやめないッ!」
2:多分いるギガゾンビの手下相手に大暴れする。
3:カズマ、キョンと共にハルヒ達とやらを見つけて病院へと送り届ける。
4:ゲイナーやゲインのエクソダスとやらに協力する。
5:カズマをぶっ飛ばすのは後でいいか。
6:機会があればゲインともやり合いたい。
7:バリアジャケットは絶対もう着ないし、ロックには秘密。秘密を洩らす者がいたら死の制裁を加える。
8:仕事が終わったらカズマに約束を守ってもらう。
[備考]
※双子の名前は知りません。
※魔法などに対し、ある意味で悟りの境地に達しました。
※ゲイナー、レヴィ共にテキオー灯の効果は知りません。
※空を飛んだり暴れたりで気分は上々です。
※カズマに対する評価が少し上がっています。
[状態]:脇腹、及び右腕に銃創(処置済み)、背中に打撲。
頭からバカルディを被ったため少々酒臭い、疲労、全身に少々の痛み、現在キョンを殴打中。
[装備]:ソード・カトラス(残弾15/15、予備残弾×26発)、ベレッタM92F(残弾15/15)
[道具]:デイバッグ×2、支給品一式×2、イングラムM10サブマシンガン(残弾15/30、予備弾倉30発×1)
グルメテーブルかけ(使用回数:残り16品)、ぬけ穴ライト、テキオー灯、
バカルディ(ラム酒)×1本、割れた酒瓶(凶器として使える)、エクソダスと首輪解除に関して纏めたメモ
[思考]
基本:バトルロワイアルからの脱出。物事なんでも速攻解決!! 銃で!!
1:「キョンが!」「忘れるまで!」「殴るのをやめないッ!」
2:多分いるギガゾンビの手下相手に大暴れする。
3:カズマ、キョンと共にハルヒ達とやらを見つけて病院へと送り届ける。
4:ゲイナーやゲインのエクソダスとやらに協力する。
5:カズマをぶっ飛ばすのは後でいいか。
6:機会があればゲインともやり合いたい。
7:バリアジャケットは絶対もう着ないし、ロックには秘密。秘密を洩らす者がいたら死の制裁を加える。
8:仕事が終わったらカズマに約束を守ってもらう。
[備考]
※双子の名前は知りません。
※魔法などに対し、ある意味で悟りの境地に達しました。
※ゲイナー、レヴィ共にテキオー灯の効果は知りません。
※空を飛んだり暴れたりで気分は上々です。
※カズマに対する評価が少し上がっています。
【キョン@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:疲労、全身各所に擦り傷、憤りと強い決意、レヴィに殴られ中。
[装備]:バールのようなもの、ニューナンブ(残弾4)
[道具]:なし
[思考]
基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
1:「あァァァんまりだァァアァ!!」
2:カズマ、レヴィと共にハルヒと合流、絶対に守る。
3:是が非でも、トグサと接触してデーターを検分してもらい、ディスクも手に入れる
4:書き込みしてきた人物と再び接触を図る
5:病院にいるであろう凛には、最大限、警戒を払う。水銀燈の死について考えるのは保留。
[備考]
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照。
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「仲間を探して」参照。
※ハルヒ、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
※ジョーカー等の情報をかなり信じています。
[状態]:疲労、全身各所に擦り傷、憤りと強い決意、レヴィに殴られ中。
[装備]:バールのようなもの、ニューナンブ(残弾4)
[道具]:なし
[思考]
基本:殺し合いをする気はない、絶対に皆で帰る
1:「あァァァんまりだァァアァ!!」
2:カズマ、レヴィと共にハルヒと合流、絶対に守る。
3:是が非でも、トグサと接触してデーターを検分してもらい、ディスクも手に入れる
4:書き込みしてきた人物と再び接触を図る
5:病院にいるであろう凛には、最大限、警戒を払う。水銀燈の死について考えるのは保留。
[備考]
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「ミステリックサイン」参照。
※キョンがノートパソコンから得た情報、その他考察は「仲間を探して」参照。
※ハルヒ、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
※ジョーカー等の情報をかなり信じています。
【C-4南東端・D-4北東端の境界/2日目/日中】
【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:頭部に中度の打撲(動くのに問題は無し) 、
かなり疲労、高熱(行動に支障)、自分の能力に対して知覚
[装備]:クローンリキッドごくう(使用回数:残り2回)、
[道具]:デイバック×9、支給品一式×8(食料7食分消費、水1/5消費)、
鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)、
RPG-7×2(スモーク弾×1、照明弾×1)、クロスボウ、タヌ機(1回使用可能)
暗視ゴーグル(望遠機能付き・現在故障中)、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)
高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)
ダイヤの指輪、のろいウザギ、ハーモニカ、デジヴァイス、真紅のベヘリット
ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ、
トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚
【薬局で入手した薬や用具】
鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬
抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー
※種類別に小分けにしてあります。
着せ替えカメラ(使用回数:残り17回)、コルトSAA(弾数:0/6発-予備弾無し)
コルトM1917(弾数:0/6発-予備弾無し)、スペツナズナイフ×1
簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬、AK-47カラシニコフ(0/30)
[思考]
基本:団長として、SOS団のメンバーや知り合いと一緒にゲームから脱出するために力を尽くす。
1:セイバーは絶対に許さない
2:病院にいるというトグサと接触し、ドラえもんからディスクを手に入れる
3:書き込みしてきた人物が気になる
4:病院にいるかもしれない凛は最大限に警戒
5:団員の命を危機に陥らせるかもしれない行動は、できるだけ避ける
6:水銀燈がなぜ死んだのか考えるのは保留
[備考]
※腕と頭部には、風の包帯が巻かれています。
※偽凛がアルルゥの殺害犯だと思っているので、劉鳳とセラスを敵視しなくなりました
※キョン、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました
※ジョーカーの情報を信じ始めています
※怒りや憤りなど、ストレスを感じると神人を召還できるようになりました。
他にも参加者などに何らかの影響を及ぼせるかもしれませんがその効果は微弱です。
神人の戦闘力もかなり低くなっています。
【涼宮ハルヒ@涼宮ハルヒの憂鬱】
[状態]:頭部に中度の打撲(動くのに問題は無し) 、
かなり疲労、高熱(行動に支障)、自分の能力に対して知覚
[装備]:クローンリキッドごくう(使用回数:残り2回)、
[道具]:デイバック×9、支給品一式×8(食料7食分消費、水1/5消費)、
鶴屋の巾着袋(支給品一式と予備の食料・水が入っている)、
RPG-7×2(スモーク弾×1、照明弾×1)、クロスボウ、タヌ機(1回使用可能)
暗視ゴーグル(望遠機能付き・現在故障中)、インスタントカメラ×2(内一台は使いかけ)
高性能デジタルカメラ(記憶媒体はSDカード)、携帯電話(各施設の番号が登録済み)
ダイヤの指輪、のろいウザギ、ハーモニカ、デジヴァイス、真紅のベヘリット
ホ○ダのスーパーカブ(使用不能)、E-6駅・F-1駅の電話番号のメモ、
トグサが書いた首輪の情報等が書かれたメモ1枚
【薬局で入手した薬や用具】
鎮痛剤/解熱剤/胃腸薬/下剤/利尿剤/ビタミン剤/滋養強壮薬
抗生物質/治療キット(消毒薬/包帯各種/鋏/テープ/注射器)/虫除けスプレー
※種類別に小分けにしてあります。
着せ替えカメラ(使用回数:残り17回)、コルトSAA(弾数:0/6発-予備弾無し)
コルトM1917(弾数:0/6発-予備弾無し)、スペツナズナイフ×1
簡易松葉杖、どんな病気にも効く薬、AK-47カラシニコフ(0/30)
[思考]
基本:団長として、SOS団のメンバーや知り合いと一緒にゲームから脱出するために力を尽くす。
1:セイバーは絶対に許さない
2:病院にいるというトグサと接触し、ドラえもんからディスクを手に入れる
3:書き込みしてきた人物が気になる
4:病院にいるかもしれない凛は最大限に警戒
5:団員の命を危機に陥らせるかもしれない行動は、できるだけ避ける
6:水銀燈がなぜ死んだのか考えるのは保留
[備考]
※腕と頭部には、風の包帯が巻かれています。
※偽凛がアルルゥの殺害犯だと思っているので、劉鳳とセラスを敵視しなくなりました
※キョン、トウカ、魅音、エルルゥ、ロックらと詳しい情報交換を行いました。
※キョンの持つノートPC内の情報を得て、考察しました
※ジョーカーの情報を信じ始めています
※怒りや憤りなど、ストレスを感じると神人を召還できるようになりました。
他にも参加者などに何らかの影響を及ぼせるかもしれませんがその効果は微弱です。
神人の戦闘力もかなり低くなっています。
【セイバー@Fate/ Stay night】
[状態]:全身に軽度の裂傷と火傷、頭部に重症(治療済み)、疲労(中)、魔力消費(大)、これ以上無く強い決意、腹三分
[装備]:小夜の刀(前期型)@BLOOD+
[道具]:支給品一式×3(食料は通常支給-1)、スコップ
[思考・状況]
基本:参加者を殺す
1:少年達を殺し、その後は休憩を取る。
2:エクスカリバーを手に入れる、必要ならば所持者を殺害する
3:絶対に生き残り、願いを叶えて選定の儀式をやり直す。
[状態]:全身に軽度の裂傷と火傷、頭部に重症(治療済み)、疲労(中)、魔力消費(大)、これ以上無く強い決意、腹三分
[装備]:小夜の刀(前期型)@BLOOD+
[道具]:支給品一式×3(食料は通常支給-1)、スコップ
[思考・状況]
基本:参加者を殺す
1:少年達を殺し、その後は休憩を取る。
2:エクスカリバーを手に入れる、必要ならば所持者を殺害する
3:絶対に生き残り、願いを叶えて選定の儀式をやり直す。
【住職ダマA(スラン) 機能停止】
※C-4住宅地の住居のいくつかが倒壊しています
※スランはカズマによって住居ごと吹き飛ばされた為、瓦礫の中に破片が埋まっています
※スランはカズマによって住居ごと吹き飛ばされた為、瓦礫の中に破片が埋まっています