翻字(ほんじ)
英transliteration, 仏translittération, 独Transliteration
英transliteration, 仏translittération, 独Transliteration
『言語学大辞典術語』
ある文字体系によって書かれた言語の記録を別の文字体系に移し変えることを翻字という.翻字は普通,文字と文字の間に1対1の関係が成り立つように行なうもので,音を表わすための音声表記や音韻表記とは基本的に異なる.
ある文字体系によって書かれた言語の記録を別の文字体系に移し変えることを翻字という.翻字は普通,文字と文字の間に1対1の関係が成り立つように行なうもので,音を表わすための音声表記や音韻表記とは基本的に異なる.
翻字の方法は使用場面や目的などによりさまざまであるが,実際には,ギリシア文字やキリル文字をローマ字に置き換える場合のように,1文字を複数の文字によって置き換えることもある.
また翻字は,1つの言語内で行なわれることもある.たとえば,日本では,万葉仮名で書かれた奈良時代の 日本語を現代の仮名やローマ字などによって書き表わすような場合がある.この場合,当時の音声を推定して音声表記をしたり,音韻論的解釈を加えて音韻表記をしたりすることも可能であるが,これらはあくまでも推定や解釈であり,必ずしも正しいとは限らない.そこで,もとの資料を資料としてそのまま書き表す場合は翻字によって示すのがよい.