思い切り走ると、少し気が済んだ。
見下げ果てたのは、政宗にか、自分自身にか。
見下げ果てたのは、政宗にか、自分自身にか。
打ち合いながら、政宗を見ていた。
軍団のなかでさえ、どこにいるのか一目で分かる姿を間近で見ていた。
昨夜、まともに見つめるのが辛かったその姿を、真正面から。
戦いであれば、見る物に困ることなど無い。
その脚の向かう先踏み込む先、その手の先、読み取って体が反応するのみ。
嬉しかった。
やはり我が生涯の好敵手。
あの時投げられた言葉のように、永遠に戦い続けたい。
これなら何も困らずに、自分のままでいられる。
ふ、と。
政宗の表情が変わった。
喜悦に嗤っていた口元が引き締まり、炯々と輝く目が眇められ、隙が生まれた。
軍団のなかでさえ、どこにいるのか一目で分かる姿を間近で見ていた。
昨夜、まともに見つめるのが辛かったその姿を、真正面から。
戦いであれば、見る物に困ることなど無い。
その脚の向かう先踏み込む先、その手の先、読み取って体が反応するのみ。
嬉しかった。
やはり我が生涯の好敵手。
あの時投げられた言葉のように、永遠に戦い続けたい。
これなら何も困らずに、自分のままでいられる。
ふ、と。
政宗の表情が変わった。
喜悦に嗤っていた口元が引き締まり、炯々と輝く目が眇められ、隙が生まれた。
どうしてあの時、撃ちかからなかったのだろう。
自分自身こそ、勝負をなんだと思っているのか。
なんども謝っていた政宗。
責め立てた自分が、心底嫌だった。
謝らないでいてくれれば、良かった。
「――某は」
あの時謝らなかったなら?
それは、そのまま口づけをされたかったと言うことか?
「破廉恥でござるっ………」
自分自身こそ、勝負をなんだと思っているのか。
なんども謝っていた政宗。
責め立てた自分が、心底嫌だった。
謝らないでいてくれれば、良かった。
「――某は」
あの時謝らなかったなら?
それは、そのまま口づけをされたかったと言うことか?
「破廉恥でござるっ………」
いくつも痣が出来ていた。
当たり前か、と手早く汗を流して寝巻に着替えた。
幸村が来てから、日々の密度が濃い。濃すぎるくらいだ。
とっとと寝てしまえ、と寝室にはいると、そこには見慣れた姿があった。
「……幸村?」
床で待っているという報告はなかった。
幸村はまだむくれて、子供のように頬を膨らませていた。
「左様にござる」
短く答える声がやはり怒っている。
問いつめに来たか、怒りをぶつけに来たか、と真向かいに腰を下ろした。
幸村の視線が、するりと逃げる。怒りで紅潮した頬が、炎に照り映えている。
短い、ふわふわした髪も小さな炎のようだった。
もう一度謝罪したところで、受け入れはしないのだろう。
さりとて、どう声を掛ければいいものか。
考えあぐねていると、幸村の方から口を開いた。
「何故、くっ、くくく、口づけなどされた」
噛みまくっているのが可笑しかったが、笑うわけにも行かない。
「……言ったろ。思わず、ってな。オレにも解らねえよ。
しちまったもんは、しちまったんだ」
「誰彼構わず、ああいうことをされるのか?」
何を言っているんだコイツは、と呆れかえってその目を見る。
「あのな幸村。挨拶のkissってな、こういうのを言うんだ」
頬に唇を掠らせると、幸村の体が固まった。
政宗は目だけで笑う。
「唇にするわけねえだろ」
その言葉で硬直がとける。
「あ、ああああああぁ挨拶でこのようなっ………!」
怒気をはらんだ声音に、政宗は何度か目を瞬かせた。
この表情に見え隠れする、微かな感情を知っている。
「安心しな。アンタ以外にはしない」
過剰なほどまなじりがつり上がる。解りやすい。
当たり前か、と手早く汗を流して寝巻に着替えた。
幸村が来てから、日々の密度が濃い。濃すぎるくらいだ。
とっとと寝てしまえ、と寝室にはいると、そこには見慣れた姿があった。
「……幸村?」
床で待っているという報告はなかった。
幸村はまだむくれて、子供のように頬を膨らませていた。
「左様にござる」
短く答える声がやはり怒っている。
問いつめに来たか、怒りをぶつけに来たか、と真向かいに腰を下ろした。
幸村の視線が、するりと逃げる。怒りで紅潮した頬が、炎に照り映えている。
短い、ふわふわした髪も小さな炎のようだった。
もう一度謝罪したところで、受け入れはしないのだろう。
さりとて、どう声を掛ければいいものか。
考えあぐねていると、幸村の方から口を開いた。
「何故、くっ、くくく、口づけなどされた」
噛みまくっているのが可笑しかったが、笑うわけにも行かない。
「……言ったろ。思わず、ってな。オレにも解らねえよ。
しちまったもんは、しちまったんだ」
「誰彼構わず、ああいうことをされるのか?」
何を言っているんだコイツは、と呆れかえってその目を見る。
「あのな幸村。挨拶のkissってな、こういうのを言うんだ」
頬に唇を掠らせると、幸村の体が固まった。
政宗は目だけで笑う。
「唇にするわけねえだろ」
その言葉で硬直がとける。
「あ、ああああああぁ挨拶でこのようなっ………!」
怒気をはらんだ声音に、政宗は何度か目を瞬かせた。
この表情に見え隠れする、微かな感情を知っている。
「安心しな。アンタ以外にはしない」
過剰なほどまなじりがつり上がる。解りやすい。




