幸村は怒りにまかせて槍を振るっていた。
心が波立つときは一心に武芸に励むに限る。
信玄が死んだときも、朝から晩まで槍を振るった。
体が疲れ果てた頃には波がおさまっているから。
呆然と目を見開いた政宗の顔が去来する。ひどく傷ついた顔をしていた。
「某は未熟者でござる」
だが己は何も間違ったことは言っていないはずだ。謝る筋合いがない。
あの時は本当に驚き心配したのだ。単騎突っ込んで何もないわけがない。
もし、もし首など取られたら・・・!と思うと肝が冷えた。
しかし己は大将で。陣を離れるわけには行かなくて。
「しかし・・・あの時、言うべき事は他にあったはずだ、な・・・」
槍を止め、呟く。
帰還した政宗が大した傷もないのをただただ安堵したのは本当だ。
心配した、無事で良かった、心はありがたいがもうやめてくれ・・・
いくらでも今ならもっといい選択肢を思いつく。
政宗がつっぱしったのも分からなくは無いのだ。
彼女にはもう幸村しか頼れるものがいなくて、
しかも母に邪険にされた幼少期の反動か愛されたい欲求は人一倍持っていて。
だから、なんとか幸村の歓心を買いたかったのだろう。
何をも恐れぬ独眼竜がたった一つ怯えることが幸村に嫌われることである、ということに確信を持ったとき、何とも言えず庇護欲に駆られ、決して彼女を傷つけないようにしようと己に誓ったというのに。
今日、自分自身の言葉で彼女を傷つけた。
「某は本当に若輩者だ」
「まーったくだねー」
にゅっと目の前に突然現れた腹心の忍に心臓が止まるかと思った。
「うぉお!?さ、佐助?!心でも読んだか!新たな忍の術を会得したのだな!」
「術じゃ無いよ。旦那に長いことお仕えしてりゃそれくらい分かりまさぁね。
つうか分かってるなら今からでも言いに行けばいいじゃない」
ため息混じりで諭され、幸村はしゅんと俯いた。
「しかし、怒っておられるだろう。某などしばらく見たくもないと言われたら、某は・・・心痛のあまり死んでしまう!!!」
「おーげさ!!なにこれ、超絶痴話喧嘩じゃん!やってらんねええええ!」
天下一の忍が思わず心の声まで吐露してしまうバカップルさ。
しかし、すぐ平静を取り戻し、気を取り直して宥めるのはさすがである。
「大丈夫だよ。向こうこそ旦那が怒ってるって思っててしょんぼりしてるよ」
「真か・・・」
「うん、本当。てゆーか旦那が早く行って助けてあげないと可哀想」
「かっかわいそう!?助ける!?な、なにがあったのだぁああ!佐助ぇええ」
不穏な単語に面白いくらいに動揺する幸村。
佐助は旦那は本当に面白いなぁと内心爆笑しながら事の顛末を教えた。
心が波立つときは一心に武芸に励むに限る。
信玄が死んだときも、朝から晩まで槍を振るった。
体が疲れ果てた頃には波がおさまっているから。
呆然と目を見開いた政宗の顔が去来する。ひどく傷ついた顔をしていた。
「某は未熟者でござる」
だが己は何も間違ったことは言っていないはずだ。謝る筋合いがない。
あの時は本当に驚き心配したのだ。単騎突っ込んで何もないわけがない。
もし、もし首など取られたら・・・!と思うと肝が冷えた。
しかし己は大将で。陣を離れるわけには行かなくて。
「しかし・・・あの時、言うべき事は他にあったはずだ、な・・・」
槍を止め、呟く。
帰還した政宗が大した傷もないのをただただ安堵したのは本当だ。
心配した、無事で良かった、心はありがたいがもうやめてくれ・・・
いくらでも今ならもっといい選択肢を思いつく。
政宗がつっぱしったのも分からなくは無いのだ。
彼女にはもう幸村しか頼れるものがいなくて、
しかも母に邪険にされた幼少期の反動か愛されたい欲求は人一倍持っていて。
だから、なんとか幸村の歓心を買いたかったのだろう。
何をも恐れぬ独眼竜がたった一つ怯えることが幸村に嫌われることである、ということに確信を持ったとき、何とも言えず庇護欲に駆られ、決して彼女を傷つけないようにしようと己に誓ったというのに。
今日、自分自身の言葉で彼女を傷つけた。
「某は本当に若輩者だ」
「まーったくだねー」
にゅっと目の前に突然現れた腹心の忍に心臓が止まるかと思った。
「うぉお!?さ、佐助?!心でも読んだか!新たな忍の術を会得したのだな!」
「術じゃ無いよ。旦那に長いことお仕えしてりゃそれくらい分かりまさぁね。
つうか分かってるなら今からでも言いに行けばいいじゃない」
ため息混じりで諭され、幸村はしゅんと俯いた。
「しかし、怒っておられるだろう。某などしばらく見たくもないと言われたら、某は・・・心痛のあまり死んでしまう!!!」
「おーげさ!!なにこれ、超絶痴話喧嘩じゃん!やってらんねええええ!」
天下一の忍が思わず心の声まで吐露してしまうバカップルさ。
しかし、すぐ平静を取り戻し、気を取り直して宥めるのはさすがである。
「大丈夫だよ。向こうこそ旦那が怒ってるって思っててしょんぼりしてるよ」
「真か・・・」
「うん、本当。てゆーか旦那が早く行って助けてあげないと可哀想」
「かっかわいそう!?助ける!?な、なにがあったのだぁああ!佐助ぇええ」
不穏な単語に面白いくらいに動揺する幸村。
佐助は旦那は本当に面白いなぁと内心爆笑しながら事の顛末を教えた。
破廉恥な!と断続的に叫びつつも全て聞いた幸村は槍を放り出して脱兎のごとく走り去った。
その槍を拾い上げながら佐助は幸村を見送る。
「ほんとーにいい夫婦だよねー」
と言いながら。
その槍を拾い上げながら佐助は幸村を見送る。
「ほんとーにいい夫婦だよねー」
と言いながら。




