「うおおおこれは!真言宗立川流秘儀密事教読本!」
「さすがだな、知っておったか」
「マジか!?なんでそんなもんがうちにあるんだ!」
「我が最近手に入れたのだ。写しではないぞ。総本山で使われていた、正真正銘の本物だ」
かすかに上気した元就の顔を、自慢げな笑いが彩った。
「さすがだな、知っておったか」
「マジか!?なんでそんなもんがうちにあるんだ!」
「我が最近手に入れたのだ。写しではないぞ。総本山で使われていた、正真正銘の本物だ」
かすかに上気した元就の顔を、自慢げな笑いが彩った。
説明しよう。真言宗立川流とは、外法、裏密教とも呼ばれる、呪術に長けた真言宗の一派だ。
また立川流では、男女の交合を修行、秘術の手法として用いていた。
そのあまりの非道徳性、危険性に、室町時代には時の政府の迫害にあい、近頃では表立って
信仰するものはない。
だがあんだーぐらうんどでは、未だに根強い人気を誇る宗派なのである。
また立川流では、男女の交合を修行、秘術の手法として用いていた。
そのあまりの非道徳性、危険性に、室町時代には時の政府の迫害にあい、近頃では表立って
信仰するものはない。
だがあんだーぐらうんどでは、未だに根強い人気を誇る宗派なのである。
「なんつう危ないものを……ていうか、どうやって手に入れたんだ?」
「毛利の情報網、舐めるでないわ。我は目的のためには手段は選ばぬ」
「はあ?目的って……まさか、これのためにか?」
「営みの手引書としても使えると聞いたからな。これの他、最近九州にできた新興宗教にも
南蛮渡りの教読本があるという情報を得ていたが、こたびは日本古来の技にこだわってみた」
「いや、いきなり次元が高すぎねえか」
さすがに呆れながら、ぼろぼろの巻物を見つめる。
ただの古びた巻物のようだが、いわれてみれば確かに禍々しい気を放っている。
よりによって外法の総本家みたいなところから、よくも手に入れたものだ。大方、真っ当な
方法ではないだろう。変な呪いでもかけられたらどうする気だと、ちょっとだけ腹が立つ。
しかし、やるとなったら危険も顧みず、その道の一流を目指すあたりはさすが元就。見事な
オタク魂だ。同族としてそこには素直に感心する。
それにしてもこいつは、本当に無駄遣いが嫌いなんだろうかと首をひねる良人を見上げ、
微笑む元就の目が、ふいにぎらりと光を放った。
「読んでみるか?なかなか参考になるぞ。……直接的表現ばかりが能の、貴様の南蛮渡りの
危な絵とは、格が違うというものだ」
「毛利の情報網、舐めるでないわ。我は目的のためには手段は選ばぬ」
「はあ?目的って……まさか、これのためにか?」
「営みの手引書としても使えると聞いたからな。これの他、最近九州にできた新興宗教にも
南蛮渡りの教読本があるという情報を得ていたが、こたびは日本古来の技にこだわってみた」
「いや、いきなり次元が高すぎねえか」
さすがに呆れながら、ぼろぼろの巻物を見つめる。
ただの古びた巻物のようだが、いわれてみれば確かに禍々しい気を放っている。
よりによって外法の総本家みたいなところから、よくも手に入れたものだ。大方、真っ当な
方法ではないだろう。変な呪いでもかけられたらどうする気だと、ちょっとだけ腹が立つ。
しかし、やるとなったら危険も顧みず、その道の一流を目指すあたりはさすが元就。見事な
オタク魂だ。同族としてそこには素直に感心する。
それにしてもこいつは、本当に無駄遣いが嫌いなんだろうかと首をひねる良人を見上げ、
微笑む元就の目が、ふいにぎらりと光を放った。
「読んでみるか?なかなか参考になるぞ。……直接的表現ばかりが能の、貴様の南蛮渡りの
危な絵とは、格が違うというものだ」
涼しい風が吹き込む室内にいるというのに、背中にどっと汗が吹き出した。
思わず、足の間に座り込んだ妻の顔を覗き込むが、同時に細い指にまたぐらを強く掴まれ、
動きが止まる。
文字通り、急所を握られて動けない元親の前で、巻物を放り出した元就が再び手を伸ばし、
布団の下を探り出した。
やがてゆっくりと取り出された、ひどく色合いの鮮やかな数枚の絵に、今度は心臓が跳ね上がった。
細い指につままれたそれは、どれもこれも、金や茶色の髪をしたやたら大柄な女が、
裾の広がった着物を大胆にめくり上げ、秘部や乳房を晒している絵だった。
同じくらい大柄な男と、くんずほぐれつ交わりあっているものもある。色だけでなく、
描写も異様に鮮明だ。
どれもこれも、実に見覚えがある品だ。
「お、おま、それ、どっから……重機の設計図んなかに隠しといたはずだぞ!」
「先日、書を借りようとお前の部屋にいってな。どこにあるかわからぬので、
少々探してみたら出てきた。やはり貴様のものか。随分大事にしまってあったな」
少しは部屋を片付けろと、いつも言っておるだろうと、囁く声は妙に優しいが、細い目元は
据わったままだ。
言葉の出ない元親の目の前で、その目が再度、光を放った。
「……どうーせ我にはこんな、冬瓜みたいな乳はないわ!」
「なにいってんだお前!」
慌ててにじり寄ろうとするが、急所をつかまれたままなので文字通り手も出ない。
細くて非力に見えるが、相手は浪速必携や、それより重量のある輪刀を軽々使いこなす女だ。
下手に動くのは危険すぎる。
じんわりとこちらを睨む怖い目に、背中を脂汗が流れ落ちた。
思わず、足の間に座り込んだ妻の顔を覗き込むが、同時に細い指にまたぐらを強く掴まれ、
動きが止まる。
文字通り、急所を握られて動けない元親の前で、巻物を放り出した元就が再び手を伸ばし、
布団の下を探り出した。
やがてゆっくりと取り出された、ひどく色合いの鮮やかな数枚の絵に、今度は心臓が跳ね上がった。
細い指につままれたそれは、どれもこれも、金や茶色の髪をしたやたら大柄な女が、
裾の広がった着物を大胆にめくり上げ、秘部や乳房を晒している絵だった。
同じくらい大柄な男と、くんずほぐれつ交わりあっているものもある。色だけでなく、
描写も異様に鮮明だ。
どれもこれも、実に見覚えがある品だ。
「お、おま、それ、どっから……重機の設計図んなかに隠しといたはずだぞ!」
「先日、書を借りようとお前の部屋にいってな。どこにあるかわからぬので、
少々探してみたら出てきた。やはり貴様のものか。随分大事にしまってあったな」
少しは部屋を片付けろと、いつも言っておるだろうと、囁く声は妙に優しいが、細い目元は
据わったままだ。
言葉の出ない元親の目の前で、その目が再度、光を放った。
「……どうーせ我にはこんな、冬瓜みたいな乳はないわ!」
「なにいってんだお前!」
慌ててにじり寄ろうとするが、急所をつかまれたままなので文字通り手も出ない。
細くて非力に見えるが、相手は浪速必携や、それより重量のある輪刀を軽々使いこなす女だ。
下手に動くのは危険すぎる。
じんわりとこちらを睨む怖い目に、背中を脂汗が流れ落ちた。




