「はぁっ……!」
強く突かれる。
たまらず声を上げた。唐突に始まった律動は、半兵衛を快楽の頂へと導いていく。
昇るのに落ちていく。浮遊というより墜落に近い感覚。
深い深い、闇よりも尚深い闇。
闇の深さを知っている。一度捕らえられれば、逃げ出すことなどできない。
拳を握った。すぐそこまでそれは来ている。捕まえなければ。
「あ……ああっ………」
揺さぶられ、突き入れられ、ひゅうひゅうと喉がなる。言いたいことがいっぱいあるのに声にならない。
半兵衛を捕らえて離さない闇を秀吉はあっさり光に塗り替えてしまう。
「辛いか、半兵衛」
動きを緩やかなものに変え、秀吉は額に張り付いた半兵衛の髪を払った。
すぐそこまで来ていたものが逃げた。半兵衛は目尻に涙が浮かぶのを感じた。
「大……丈夫、大丈夫だから……っ」
顔を一心に体に押し付けた。自分から腰を揺らす。
秀吉は何かを察したかのように唇を引き結ぶ。腰を掴み、強く揺する。
半兵衛は背をしならせた。覆い被さるように秀吉が半兵衛を追いかけ、口付ける。
落下しないように強く腕を掴んだ。
もうすぐ。もうすぐそれが掴める。
強く突かれる。
たまらず声を上げた。唐突に始まった律動は、半兵衛を快楽の頂へと導いていく。
昇るのに落ちていく。浮遊というより墜落に近い感覚。
深い深い、闇よりも尚深い闇。
闇の深さを知っている。一度捕らえられれば、逃げ出すことなどできない。
拳を握った。すぐそこまでそれは来ている。捕まえなければ。
「あ……ああっ………」
揺さぶられ、突き入れられ、ひゅうひゅうと喉がなる。言いたいことがいっぱいあるのに声にならない。
半兵衛を捕らえて離さない闇を秀吉はあっさり光に塗り替えてしまう。
「辛いか、半兵衛」
動きを緩やかなものに変え、秀吉は額に張り付いた半兵衛の髪を払った。
すぐそこまで来ていたものが逃げた。半兵衛は目尻に涙が浮かぶのを感じた。
「大……丈夫、大丈夫だから……っ」
顔を一心に体に押し付けた。自分から腰を揺らす。
秀吉は何かを察したかのように唇を引き結ぶ。腰を掴み、強く揺する。
半兵衛は背をしならせた。覆い被さるように秀吉が半兵衛を追いかけ、口付ける。
落下しないように強く腕を掴んだ。
もうすぐ。もうすぐそれが掴める。
「好きだ」
唐突にそれは言葉になった。
秀吉の動きが激しくなる。粘ついた水音。打ち付けあう音。自分の呼吸。秀吉の呼吸。
すべてが半兵衛を絶頂へと押し上げる。
「ぁ――――っ!!」
快感が半兵衛の体内を駆け巡る。
迎えたこともないような頂点に、脳髄を叩かれたような衝撃を覚えた。
拳を握った。光を捕まえたと感じた。
手を広げれば光は花となり、花は花びらを零してすぐに消える。
半兵衛は秀吉に体を預けた。だらりと腕を下げる。体のどこにも力が入らない。
視線だけを褥にやるが、花びらなどどこにも見えない。
甘い匂いを嗅いだ。花の匂いだとすぐに分かった。闇に咲いた光の花の匂い。
芳しい匂いは確かに嗅いだことがあるものなのに、
半兵衛はすぐに思い出すことができなかった。
秀吉の動きが激しくなる。粘ついた水音。打ち付けあう音。自分の呼吸。秀吉の呼吸。
すべてが半兵衛を絶頂へと押し上げる。
「ぁ――――っ!!」
快感が半兵衛の体内を駆け巡る。
迎えたこともないような頂点に、脳髄を叩かれたような衝撃を覚えた。
拳を握った。光を捕まえたと感じた。
手を広げれば光は花となり、花は花びらを零してすぐに消える。
半兵衛は秀吉に体を預けた。だらりと腕を下げる。体のどこにも力が入らない。
視線だけを褥にやるが、花びらなどどこにも見えない。
甘い匂いを嗅いだ。花の匂いだとすぐに分かった。闇に咲いた光の花の匂い。
芳しい匂いは確かに嗅いだことがあるものなのに、
半兵衛はすぐに思い出すことができなかった。
色香を含んだ唇を僅かに開け、目尻を赤く染めて息を荒げる半兵衛の姿は、
どんな傾国の美女よりも美しいと感じた。
気遣わねば簡単に壊れてしまいそうな体。大丈夫、などと言われてもにわかには信じられない。
何か、よくない病を得ているのではないか。
「……くちなし」
傍らで褥に体を横たえていた半兵衛がぽつりとつぶやいた。
「どうした? 半兵衛」
「何でもないよ。ちょっと、……ね」
「おかしな奴だ」
腕を半兵衛の頭に回す。半兵衛は少し驚いたように眉を上げ、それから笑った。
仮面をつけていないせいだろう、別人のように表情が豊かだった。
「上田を、攻めるか?」
「……今は軍を立て直すことに専念するべきだ。君の軍だから、少しも気が抜けないよ」
後戯にしては殺伐とした会話を交わす。
髪を梳き、抱き込んだ。苦しいよ、と腕の中で半兵衛は笑う。
「上田を攻めるとなると厄介だよ。籠城に優れた構造に、武田騎馬隊に真田忍隊、
城主の真田幸村、あと伊達政宗。みんな相手にしなきゃいけない」
「我が、すべて潰してみせようぞ」
「できるだろうね、君なら……。でも、今は無理だよ。軍を立て直してからにしよう」
半兵衛の瞼が重くなる。半兵衛は秀吉の腕に頭を預け、微笑む。
「お休み。いい夢を」
いつもの言葉が甘美な響きを含んでいることを、はたして半兵衛は気づいているのだろうか。
どんな傾国の美女よりも美しいと感じた。
気遣わねば簡単に壊れてしまいそうな体。大丈夫、などと言われてもにわかには信じられない。
何か、よくない病を得ているのではないか。
「……くちなし」
傍らで褥に体を横たえていた半兵衛がぽつりとつぶやいた。
「どうした? 半兵衛」
「何でもないよ。ちょっと、……ね」
「おかしな奴だ」
腕を半兵衛の頭に回す。半兵衛は少し驚いたように眉を上げ、それから笑った。
仮面をつけていないせいだろう、別人のように表情が豊かだった。
「上田を、攻めるか?」
「……今は軍を立て直すことに専念するべきだ。君の軍だから、少しも気が抜けないよ」
後戯にしては殺伐とした会話を交わす。
髪を梳き、抱き込んだ。苦しいよ、と腕の中で半兵衛は笑う。
「上田を攻めるとなると厄介だよ。籠城に優れた構造に、武田騎馬隊に真田忍隊、
城主の真田幸村、あと伊達政宗。みんな相手にしなきゃいけない」
「我が、すべて潰してみせようぞ」
「できるだろうね、君なら……。でも、今は無理だよ。軍を立て直してからにしよう」
半兵衛の瞼が重くなる。半兵衛は秀吉の腕に頭を預け、微笑む。
「お休み。いい夢を」
いつもの言葉が甘美な響きを含んでいることを、はたして半兵衛は気づいているのだろうか。




