「幸村!面をあげい!」
信玄はすいと前を向いて腹の底に響く声を上げた。
「お、お館様っ……」
「幸村よ!男には、泣いても良い時と言う物がみっつある。そのうちの一つが……女に振られた時と知れぃ!」
ええええええ。ちょ、何ですかそれは。旦那は結構良く泣くよ!?
しかし呆れる佐助を余所に、幸村は涙を滂沱と流した。
目の幅涙、と言う奴である。
「っう、ぐ、おやがだ、ざばぁあぁああああああっ!!!」
まるきり子供の泣き方に情けなくなる。
「諦めきれぬのであれば、儂をも越える真に良い男となった時、再び迎えに行くが良い!」
熱い魂が注入される。
「ぅぉやがたざっばぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
本当になだれ起きたらどうすんの。これ。
「幸村よ!それでもフラれた時には、潔く諦めぃ!」
「ごのゆぎむら、ぎもにめいじっ…うぅぅ…わがりまじだぁぁあっ!」
鼻水……いいやもう……
飽きることのない師弟問答が続く。信玄はにいいと笑ってひときわ大きく声を張り上げた。
信玄はすいと前を向いて腹の底に響く声を上げた。
「お、お館様っ……」
「幸村よ!男には、泣いても良い時と言う物がみっつある。そのうちの一つが……女に振られた時と知れぃ!」
ええええええ。ちょ、何ですかそれは。旦那は結構良く泣くよ!?
しかし呆れる佐助を余所に、幸村は涙を滂沱と流した。
目の幅涙、と言う奴である。
「っう、ぐ、おやがだ、ざばぁあぁああああああっ!!!」
まるきり子供の泣き方に情けなくなる。
「諦めきれぬのであれば、儂をも越える真に良い男となった時、再び迎えに行くが良い!」
熱い魂が注入される。
「ぅぉやがたざっばぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
本当になだれ起きたらどうすんの。これ。
「幸村よ!それでもフラれた時には、潔く諦めぃ!」
「ごのゆぎむら、ぎもにめいじっ…うぅぅ…わがりまじだぁぁあっ!」
鼻水……いいやもう……
飽きることのない師弟問答が続く。信玄はにいいと笑ってひときわ大きく声を張り上げた。
「二度振られた、その時には儂が貰う!力の限り精進せいよ!」
幸村は叫び返さず、がくんと顎を落とした。
もちろん佐助も落とした。ちょっと、何言ってるんですか。
幸村は叫び返さず、がくんと顎を落とした。
もちろん佐助も落とした。ちょっと、何言ってるんですか。
いつきと一緒に雨戸を閉めた。
村長の家にでも厄介になるかな、と思っていた政宗の腕を引いたのは、いつきだった。
うちに泊まってけろ、という可愛らしいねだり声に頷いて、ここにいる。
いつきはかなり太いつっかえ棒で、慎重に戸締まりをしていた。
手を貸すと、ありがとな、と素朴な礼が返る。
「いい、泊めてもらってんのはこっちだ」
「ううん、姉ちゃんが一緒にいたら心強いし、おら嬉しいだよ」
嬉しいのは結構な事だが。
「心強い?狼でも来るのか、この村は」
つややかな髪を解きながら、いつきは軽く首を振る。
「村の姉ちゃん達が、用心しとけって」
父母はとっくの昔に居ないと、皆が寄り集まった夕餉の時に小耳に挟みはしたが。
ふとい、つ、き、ちゃーんと奇声を発するおっさんを思い出す。
上田城の虜74/かんなびのさと19
村長の家にでも厄介になるかな、と思っていた政宗の腕を引いたのは、いつきだった。
うちに泊まってけろ、という可愛らしいねだり声に頷いて、ここにいる。
いつきはかなり太いつっかえ棒で、慎重に戸締まりをしていた。
手を貸すと、ありがとな、と素朴な礼が返る。
「いい、泊めてもらってんのはこっちだ」
「ううん、姉ちゃんが一緒にいたら心強いし、おら嬉しいだよ」
嬉しいのは結構な事だが。
「心強い?狼でも来るのか、この村は」
つややかな髪を解きながら、いつきは軽く首を振る。
「村の姉ちゃん達が、用心しとけって」
父母はとっくの昔に居ないと、皆が寄り集まった夕餉の時に小耳に挟みはしたが。
ふとい、つ、き、ちゃーんと奇声を発するおっさんを思い出す。
上田城の虜74/かんなびのさと19




