「明かり、消せよ」
「何を今更。……これほど美しい体を眺めずして何の情事か」
褥の上に体を落とさせ、幸村は熱に任せて笑う。
政宗の顔が羞恥にゆがむ。隙を狙って唇を奪う。久しぶりの唇の感触を思うままに貪る。
上半身の刺激だけで濡れた花弁に手をやり、具合を探る。ぴくりと政宗の体が跳ねた。
逃げる舌を追いかけて絡め取る。体の間に差し込まれた腕は体で抑え付ける。
政宗の顔が揺れた。僅かに滲んだ恐怖の色を見つける。しかし政宗の脚は緩やかな形で開かれ、
幸村の手を受け入れている。
腰が幸村の指に合わせて甘く揺れ、呼吸に艶が帯びる。
本当に、天邪鬼なお人だ。
「急くな」
「そちらこそ」
唇を離し、笑ってみせる。政宗は幸村の夜着をつかんだ。柔らかな胎内の中でも一際
柔らかな部分を擦ると、眉を寄せる。
「何を今更。……これほど美しい体を眺めずして何の情事か」
褥の上に体を落とさせ、幸村は熱に任せて笑う。
政宗の顔が羞恥にゆがむ。隙を狙って唇を奪う。久しぶりの唇の感触を思うままに貪る。
上半身の刺激だけで濡れた花弁に手をやり、具合を探る。ぴくりと政宗の体が跳ねた。
逃げる舌を追いかけて絡め取る。体の間に差し込まれた腕は体で抑え付ける。
政宗の顔が揺れた。僅かに滲んだ恐怖の色を見つける。しかし政宗の脚は緩やかな形で開かれ、
幸村の手を受け入れている。
腰が幸村の指に合わせて甘く揺れ、呼吸に艶が帯びる。
本当に、天邪鬼なお人だ。
「急くな」
「そちらこそ」
唇を離し、笑ってみせる。政宗は幸村の夜着をつかんだ。柔らかな胎内の中でも一際
柔らかな部分を擦ると、眉を寄せる。
顰(ひそみ)に倣うという言葉がある。
古、大陸に国主を虜にした美女がいた。彼女は胸に持病を抱えており、胸を抑えて眉間にシワをよせ
苦しむ姿が一番美しいと言われた。当時の女は、己の姿を省みずに顔を顰めて彼女の真似をしたという。
傾国の美女がどれほどの美貌だったのかなど知らない。
ただ、政宗の一番美しい顔は閨でのみ見せるこの顔だと思う。
女の艶が滲み、それでいて眼光は鋭く美しい。
信玄の言葉は冗談だったのだろうが、幸村には冗談に聞こえなかった。
彼女が傾国の美女なら、己は国を傾けた愚かな男か。
女の機嫌を第一としたが故に、国を傾け滅ぼす男となるのか。
父祖伝来のこの地を荒らし、それで彼女が笑うなら。
国を傾けても構わないとすら思う。
けれど政宗はそれを許さない。
万人の幸せ。彼女はいつもそれを考える。
己も万人の一人だというのに。
古、大陸に国主を虜にした美女がいた。彼女は胸に持病を抱えており、胸を抑えて眉間にシワをよせ
苦しむ姿が一番美しいと言われた。当時の女は、己の姿を省みずに顔を顰めて彼女の真似をしたという。
傾国の美女がどれほどの美貌だったのかなど知らない。
ただ、政宗の一番美しい顔は閨でのみ見せるこの顔だと思う。
女の艶が滲み、それでいて眼光は鋭く美しい。
信玄の言葉は冗談だったのだろうが、幸村には冗談に聞こえなかった。
彼女が傾国の美女なら、己は国を傾けた愚かな男か。
女の機嫌を第一としたが故に、国を傾け滅ぼす男となるのか。
父祖伝来のこの地を荒らし、それで彼女が笑うなら。
国を傾けても構わないとすら思う。
けれど政宗はそれを許さない。
万人の幸せ。彼女はいつもそれを考える。
己も万人の一人だというのに。
ばくん、と心の臓が鳴り、体が跳ねた。
何かが腹にかかった。政宗は訝んで顔を腹に向けた。青臭い匂いを嗅ぐ。
手を腹に滑らせると、馴染んだ感覚があった。吐き出されたそれを手に取り、険しい目を幸村に向ける。
視線がそれる。
「……その」
「早漏」
「うくっ」
はっきり言ってやると、幸村は目に涙を溜めた。本気で悔しいらしい。
「興奮しすぎなんだよ。少しは余裕を持って楽しめよ」
幸村に縋って体を起こす。腹についた幸村の精液を手に取り、舐めてみせる。幸村の顔が
赤くなり、続いて青くなった。忙しい男だ。
「な、なななななな」
「綺麗にしなきゃ駄目だろ? それとも……お前がやってくれるのか?」
べっとりとついた精がついた手を見せて笑うと、幸村の唇が固く結ばれた。
手を掴まれる。顔が寄った。舌の感触。
手を腹に滑らせると、馴染んだ感覚があった。吐き出されたそれを手に取り、険しい目を幸村に向ける。
視線がそれる。
「……その」
「早漏」
「うくっ」
はっきり言ってやると、幸村は目に涙を溜めた。本気で悔しいらしい。
「興奮しすぎなんだよ。少しは余裕を持って楽しめよ」
幸村に縋って体を起こす。腹についた幸村の精液を手に取り、舐めてみせる。幸村の顔が
赤くなり、続いて青くなった。忙しい男だ。
「な、なななななな」
「綺麗にしなきゃ駄目だろ? それとも……お前がやってくれるのか?」
べっとりとついた精がついた手を見せて笑うと、幸村の唇が固く結ばれた。
手を掴まれる。顔が寄った。舌の感触。
冗談の、つもりだったのだが。
政宗は毛穴という毛穴が開くような感覚に襲われた。叫んで逃げ出したいのをぐっと堪え、
幸村が精を舐め取るのを眺める。
じわじわと血が昇ってくる。ぴちゃぴちゃと音を立てて舐める様子はやけに政宗の情を煽り、
中途半端な愛撫を施されたせいで熱の籠った体が痛いほど疼く。
もっと、欲しい。
幸村の目が、じっと政宗を見た。熱を帯びた黒い目。ぼんやりとしていたと気づき、政宗は顔を
慌てて引き締めた。
ずるずると幸村の顔が下がる。腹を舐められた。ただ精を舐めるだけではなく、臍の辺りを執拗に
舐められる。甘い痺れに、熱い息を吐く。
「これで、よいか?」
「まだだ。――まさか、これでThe Endってわけじゃねぇだろ」
虚勢を張る。一度息を吐き出し、呼吸を整え幸村を見据える。
視線がぶつかる。火花が散る。
花影ワヤン9
幸村が精を舐め取るのを眺める。
じわじわと血が昇ってくる。ぴちゃぴちゃと音を立てて舐める様子はやけに政宗の情を煽り、
中途半端な愛撫を施されたせいで熱の籠った体が痛いほど疼く。
もっと、欲しい。
幸村の目が、じっと政宗を見た。熱を帯びた黒い目。ぼんやりとしていたと気づき、政宗は顔を
慌てて引き締めた。
ずるずると幸村の顔が下がる。腹を舐められた。ただ精を舐めるだけではなく、臍の辺りを執拗に
舐められる。甘い痺れに、熱い息を吐く。
「これで、よいか?」
「まだだ。――まさか、これでThe Endってわけじゃねぇだろ」
虚勢を張る。一度息を吐き出し、呼吸を整え幸村を見据える。
視線がぶつかる。火花が散る。
花影ワヤン9




