自身を引き抜いてから、溢れる精液を懐紙で拭いた。それすら快楽に溺れた体には
刺激となるらしく、政宗は肢体を妖しくくねらせる。
久しぶりの政宗の体に溺れ切ったせいか、清々しい心持ちだった。このまま庭に出て
槍の稽古がしたいくらいだ。
政宗は逆のようで、指すら満足に動かせていない。ごろんと褥に転がったまま動こうとしないので
汗を拭き、脱ぎ捨てた夜着を纏わせた。気をやったような顔をしているので唾を与えるように口付けた。
ゆるゆると眼に力が戻り、政宗は何度か具合を確かめるように瞬き、ふわりと微笑んだ。
とてつもなく可愛い。
褥に寝転び、深い口付けを何度か交わす。もう一度くらいならいけるかと思うが、過ぎた快楽は
堕落を生むので自制する。
「なぁ……」
甘い息をつきながら、政宗は上掛けを引き上げた。声をかけられているのだと気づき、
幸村は顔を向けた。上掛けに潜り込み、政宗の隣に寝転ぶ。
「明日、山に行こう。……桜、探そうぜ」
「承知」
「山菜も摂ろうぜ。ワラビ、嫌いか?」
「ワラビ餅なら」
「甘味かよ。ワラビ粉がどれだけいると思ってんだ?」
くすくす笑いながら、政宗は気だるげに幸村の首に腕を絡めてきた。体をくっつけてくるので
腰に腕を回す。
目を閉じて呼吸を穏やかなものにする。腕の中の温かいものが何度か動き、やがて落ち着いた。
腕の中で政宗が眠る。
明日も明後日も、彼女を抱いて眠れる。
なんと幸せなことだろう。
刺激となるらしく、政宗は肢体を妖しくくねらせる。
久しぶりの政宗の体に溺れ切ったせいか、清々しい心持ちだった。このまま庭に出て
槍の稽古がしたいくらいだ。
政宗は逆のようで、指すら満足に動かせていない。ごろんと褥に転がったまま動こうとしないので
汗を拭き、脱ぎ捨てた夜着を纏わせた。気をやったような顔をしているので唾を与えるように口付けた。
ゆるゆると眼に力が戻り、政宗は何度か具合を確かめるように瞬き、ふわりと微笑んだ。
とてつもなく可愛い。
褥に寝転び、深い口付けを何度か交わす。もう一度くらいならいけるかと思うが、過ぎた快楽は
堕落を生むので自制する。
「なぁ……」
甘い息をつきながら、政宗は上掛けを引き上げた。声をかけられているのだと気づき、
幸村は顔を向けた。上掛けに潜り込み、政宗の隣に寝転ぶ。
「明日、山に行こう。……桜、探そうぜ」
「承知」
「山菜も摂ろうぜ。ワラビ、嫌いか?」
「ワラビ餅なら」
「甘味かよ。ワラビ粉がどれだけいると思ってんだ?」
くすくす笑いながら、政宗は気だるげに幸村の首に腕を絡めてきた。体をくっつけてくるので
腰に腕を回す。
目を閉じて呼吸を穏やかなものにする。腕の中の温かいものが何度か動き、やがて落ち着いた。
腕の中で政宗が眠る。
明日も明後日も、彼女を抱いて眠れる。
なんと幸せなことだろう。
翌日、政宗と幸村は山に入った。
一面桜の海、とはいかないが、若葉萌える中にぽつりと薄紅色を落とす桜というのも趣がある。
「山桜で一首詠めよ」
八重の桜を見上げ、幸村は呻く。
「やま……ざくら……さくら……」
「俺はもうできたぞ」
「なんと!」
桜の中に埋もれている佐助を見つけ、政宗は手を振った。佐助は困ったような顔をして
手を振り返してくる。
「して、どのような歌で」
「お前ができたらな」
佐助が桜の中から登場する。いつもの装束に大きな手裏剣。今すぐ戦に出られそうだ。
「何してるんだよお前」
「あのねぇ、お二人がどーんなに強くても、陰ながら護衛するのが忍びの役目ってもんなのよ。
……その鮭うまそうだね。もらっていーい?」
弁当を広げていた政宗の手に佐助の目が行く。政宗は幸村を一度見てから鮭を指でつまんだ。
握り飯に鮭が二つ。時間がなかったです、と言わんばかりの中身に我ながらため息を覚える。
時間があれば松花堂弁当に挑戦したかったのだが。
「皮は食うなよ」
政宗は鮭を皮と身に分け、皮を食べながら佐助の手に鮭の身を置いた。佐助は笑いながら
政宗の隣に座って鮭を頬張った。
「うまいねぇ、さすがだわ」
「thank you。人から言われると嬉しいねぇ」
「ああああああっ!!」
幸村の絶叫が轟く。二人はぎょっとして幸村を見た。鬼の形相で佐助を睨む。
「佐助ぇ、それもこれも俺のものだ!」
「それ」と佐助を指差し、これと政宗を指した。砂煙を上げる勢いで二人に駆け寄り、
間にどっかと座り込む。政宗と佐助は体を動かして幸村が座る場所を作った。
「俺は「これ」か。……弁当食うな」
握り飯に伸びた手に平手を打つ。
「そのような無体な。政宗殿は俺の妻だろう」
「俺は物じゃねぇし鮭でもねぇ」
「む」
幸村は言葉に詰まった。鮭と同列に扱ったことを怒られているのだとようやく気づき、
頭を下げる。
花影ワヤン13
一面桜の海、とはいかないが、若葉萌える中にぽつりと薄紅色を落とす桜というのも趣がある。
「山桜で一首詠めよ」
八重の桜を見上げ、幸村は呻く。
「やま……ざくら……さくら……」
「俺はもうできたぞ」
「なんと!」
桜の中に埋もれている佐助を見つけ、政宗は手を振った。佐助は困ったような顔をして
手を振り返してくる。
「して、どのような歌で」
「お前ができたらな」
佐助が桜の中から登場する。いつもの装束に大きな手裏剣。今すぐ戦に出られそうだ。
「何してるんだよお前」
「あのねぇ、お二人がどーんなに強くても、陰ながら護衛するのが忍びの役目ってもんなのよ。
……その鮭うまそうだね。もらっていーい?」
弁当を広げていた政宗の手に佐助の目が行く。政宗は幸村を一度見てから鮭を指でつまんだ。
握り飯に鮭が二つ。時間がなかったです、と言わんばかりの中身に我ながらため息を覚える。
時間があれば松花堂弁当に挑戦したかったのだが。
「皮は食うなよ」
政宗は鮭を皮と身に分け、皮を食べながら佐助の手に鮭の身を置いた。佐助は笑いながら
政宗の隣に座って鮭を頬張った。
「うまいねぇ、さすがだわ」
「thank you。人から言われると嬉しいねぇ」
「ああああああっ!!」
幸村の絶叫が轟く。二人はぎょっとして幸村を見た。鬼の形相で佐助を睨む。
「佐助ぇ、それもこれも俺のものだ!」
「それ」と佐助を指差し、これと政宗を指した。砂煙を上げる勢いで二人に駆け寄り、
間にどっかと座り込む。政宗と佐助は体を動かして幸村が座る場所を作った。
「俺は「これ」か。……弁当食うな」
握り飯に伸びた手に平手を打つ。
「そのような無体な。政宗殿は俺の妻だろう」
「俺は物じゃねぇし鮭でもねぇ」
「む」
幸村は言葉に詰まった。鮭と同列に扱ったことを怒られているのだとようやく気づき、
頭を下げる。
花影ワヤン13




