「あのな。覚悟決まった。行くわ、んでツラ見てくるぜぇ、ちゃんとな」
みみっちい策こね回して、この国どうかしようとする毛利、嫌で嫌で堪らないが。
曖昧な言い方をしたというのに、兄さんは察してにこりと笑った。
かわいくねーよなあ、コトの後にこんな話する女。
兄さんはどんなのが好みなんだい。
「うん、案外いー男かもしれないし」
「ねえって。ありえね」
兄さんの顔は優しかった。
「諦めてるのはちかちゃんに似合わないでしょ」
「おおよ」
こっちが喰ってやるぜ毛利元就。お前は俺を喰らえるか?
俺は兄さんと契った。色々なことを教えられた。
毛利、てめえが勝とうが俺を貪れようが、俺はもう、兄さんのものでてめーのもんじゃねえぞ。
例え愛する日が来たとしても、この一夜はかけがえがないものだ。後悔はねえ。
みみっちい策こね回して、この国どうかしようとする毛利、嫌で嫌で堪らないが。
曖昧な言い方をしたというのに、兄さんは察してにこりと笑った。
かわいくねーよなあ、コトの後にこんな話する女。
兄さんはどんなのが好みなんだい。
「うん、案外いー男かもしれないし」
「ねえって。ありえね」
兄さんの顔は優しかった。
「諦めてるのはちかちゃんに似合わないでしょ」
「おおよ」
こっちが喰ってやるぜ毛利元就。お前は俺を喰らえるか?
俺は兄さんと契った。色々なことを教えられた。
毛利、てめえが勝とうが俺を貪れようが、俺はもう、兄さんのものでてめーのもんじゃねえぞ。
例え愛する日が来たとしても、この一夜はかけがえがないものだ。後悔はねえ。
……愛してる、にーさん。
「いい目だね。火がついてるみたいだ」
「はっは!にーさんのが熱かったぜ!」
ちゅ、と口づけて笑った。
「とーぜんでしょーが。──ちかちゃん。あんたが見て歩くなら、俺と違って世の中いろんなモンがいっぱいあるかもね」
毛利のことかい?噂でしかしらねえさ、確かに。何でそこまで子孫が欲しいか家が大切か、しらねえよ。
解る日が来るか来ないか、解ったとして一層嫌になるか……そうじゃないかも。
「なあなあ兄さん、さっきの紐一本くれや。売れとはいわねえ、くれ」
兄さんは眉をしかめる。
「えー、商売ものだよあれ」
「代わりに俺のサリーやるから」
とうの昔に脱ぎ捨てた布を示す。結構上物の絹だ。裾をまつってあるだけで、他の何にでも仕立て直せる。
「高いんじゃない?ていうか、あれなくちゃ帰れないでしょ」
くくっと笑った。遠慮してるらしいが、計算高さが商人らしい。
「ま、暗いうちならどーとでもならぁ。チョーリーまでやっちまっちゃ帰れねぇがな」
「蝶利?」
また変な発音に笑う。
「でけえ反物みてーのがサリー布、その下のぴったりしてるのがチョーリー、印度の着物だよ。
あっつい国の服だからな、夏場はけっこう良いモンだぜ。兄さんも着てみるかい?」
兄さんも笑った。
「いーよ、あげる。一番欲しいの見繕って持って行きなよ」
「おいおい、そこは一番似合うの見繕ってくれるもんだろが。───それにな」
僅かに言いよどんだ。
「アレぁ気に入りなんだ。……持っててくれたら嬉しいじゃねぇか、なぁ?」
兄さんは子供のワガママ聞くような顔で頷いて、一度額に口づけて腕枕を止めた。
起きあがってごそごそと箱を探る。
その背中が愛おしい。だって夜明けが来たら、お別れだ。
「はっは!にーさんのが熱かったぜ!」
ちゅ、と口づけて笑った。
「とーぜんでしょーが。──ちかちゃん。あんたが見て歩くなら、俺と違って世の中いろんなモンがいっぱいあるかもね」
毛利のことかい?噂でしかしらねえさ、確かに。何でそこまで子孫が欲しいか家が大切か、しらねえよ。
解る日が来るか来ないか、解ったとして一層嫌になるか……そうじゃないかも。
「なあなあ兄さん、さっきの紐一本くれや。売れとはいわねえ、くれ」
兄さんは眉をしかめる。
「えー、商売ものだよあれ」
「代わりに俺のサリーやるから」
とうの昔に脱ぎ捨てた布を示す。結構上物の絹だ。裾をまつってあるだけで、他の何にでも仕立て直せる。
「高いんじゃない?ていうか、あれなくちゃ帰れないでしょ」
くくっと笑った。遠慮してるらしいが、計算高さが商人らしい。
「ま、暗いうちならどーとでもならぁ。チョーリーまでやっちまっちゃ帰れねぇがな」
「蝶利?」
また変な発音に笑う。
「でけえ反物みてーのがサリー布、その下のぴったりしてるのがチョーリー、印度の着物だよ。
あっつい国の服だからな、夏場はけっこう良いモンだぜ。兄さんも着てみるかい?」
兄さんも笑った。
「いーよ、あげる。一番欲しいの見繕って持って行きなよ」
「おいおい、そこは一番似合うの見繕ってくれるもんだろが。───それにな」
僅かに言いよどんだ。
「アレぁ気に入りなんだ。……持っててくれたら嬉しいじゃねぇか、なぁ?」
兄さんは子供のワガママ聞くような顔で頷いて、一度額に口づけて腕枕を止めた。
起きあがってごそごそと箱を探る。
その背中が愛おしい。だって夜明けが来たら、お別れだ。




