元服した時、精通を迎えた時、初陣の時。
すべての機会を逃したのは佐助の意地だった。
精通を迎えた若君が相談するのは側にいた佐助で、佐助は初めての精を飲み下し、快楽を教えた。
戦の高ぶりを処理してやった事もあるが、交わりはしなかった。
幸村から求めさせてやらなければ意味がない、ずっとそう思っていたからだ。
下働きの娘と幸村が笑いながら話していた。
まだ若い娘は守ってやりたくなるような可愛らしさ、けれど娘らしく円やかな身体つきをしていて。
それは俺のものなのに。
あからさまに幸村を誘った事はない。
言葉の端で、仕草で、誘った。
艶っぽさとは無縁のような佐助だが、不思議と今まで男を誘うのに失敗したことはない。
だが、幸村は。
確かに佐助の誘いを理解したようなのに、何も言わなければ何もしないのだ。
他の男と寝なかったのは、幸村という御馳走を堪能する為だったのに、今ではまるで幸村の為に貞操を守っているかのようだ。
「俺の負け、なのかなあ、大旦那様」
餓えている。
佐助の肉体もそうだが、すでに異能の制御に僅かだが支障をきたしている。
認めなければいけない。
男なら誰でもいい。
誰でもいいのなら、幸村がいい。
すべての機会を逃したのは佐助の意地だった。
精通を迎えた若君が相談するのは側にいた佐助で、佐助は初めての精を飲み下し、快楽を教えた。
戦の高ぶりを処理してやった事もあるが、交わりはしなかった。
幸村から求めさせてやらなければ意味がない、ずっとそう思っていたからだ。
下働きの娘と幸村が笑いながら話していた。
まだ若い娘は守ってやりたくなるような可愛らしさ、けれど娘らしく円やかな身体つきをしていて。
それは俺のものなのに。
あからさまに幸村を誘った事はない。
言葉の端で、仕草で、誘った。
艶っぽさとは無縁のような佐助だが、不思議と今まで男を誘うのに失敗したことはない。
だが、幸村は。
確かに佐助の誘いを理解したようなのに、何も言わなければ何もしないのだ。
他の男と寝なかったのは、幸村という御馳走を堪能する為だったのに、今ではまるで幸村の為に貞操を守っているかのようだ。
「俺の負け、なのかなあ、大旦那様」
餓えている。
佐助の肉体もそうだが、すでに異能の制御に僅かだが支障をきたしている。
認めなければいけない。
男なら誰でもいい。
誰でもいいのなら、幸村がいい。
「こんばんはー」
「む、佐助か」
いつの間にか幸村は戦の前の高ぶりを抑える術を知った。
夜中まで鍛練する事はなくなり、敬愛するおやかたさまに薦められた書を苦しそうな顔で読んで、やがてそのまま寝てしまう。
そんな幸村を床に連れていき布団をかける佐助の心情を幸村は考えた事があるだろうか。
「ね、旦那。高ぶってるんでしょう。俺と遊びませんか?」
にこりと微笑めば、幸村が怪訝そうな顔を見せる。
膝を滑らすようにその目の前に行く。
邪魔な書を脇に寄せて、下から覗きこんで、笑う。
「む、佐助か」
いつの間にか幸村は戦の前の高ぶりを抑える術を知った。
夜中まで鍛練する事はなくなり、敬愛するおやかたさまに薦められた書を苦しそうな顔で読んで、やがてそのまま寝てしまう。
そんな幸村を床に連れていき布団をかける佐助の心情を幸村は考えた事があるだろうか。
「ね、旦那。高ぶってるんでしょう。俺と遊びませんか?」
にこりと微笑めば、幸村が怪訝そうな顔を見せる。
膝を滑らすようにその目の前に行く。
邪魔な書を脇に寄せて、下から覗きこんで、笑う。




