「そういえば、慶次殿はなぜこのような所に?」
月明かりの中改めて見れば、いつもの大脇差も半弓も持っていない。
慶次殿達首代は、普段特別に与えられる仕事はない。
ただし一朝ことある時はたちまち剽悍無比のいくさ人へと変ずるのだ。
「不寝番がね、具合が悪いというから変わってやったんだ」
言って内緒だよ、と人差し指を口の前で立てる。
それは、つまり…
「は、はれんちであるぞ…」
不寝番とは、楼内の行灯や灯明に点火する、油さしの事だ。
もちろんそれは、遊女達が事を行っている部屋内も行うもので…
「よし、じゃあ、幸村も行く?」
「は?い、いや、某は…」
突拍子もなくとんでもない事を言われて、素っ頓狂な声を上げてしまった。
「何事もべんきょーべんきょーっと」
両手を上げて拒否する自分を、無理にでも引っ張って行きそうな勢いの慶次殿の手をくぐり抜けて、一目散に逃げ出した。
あぁ、某、やはりすぐに全てを受け入れられる程の度量は持ち合わせておりませぬ。
精進、致しますぞ。
月明かりの中改めて見れば、いつもの大脇差も半弓も持っていない。
慶次殿達首代は、普段特別に与えられる仕事はない。
ただし一朝ことある時はたちまち剽悍無比のいくさ人へと変ずるのだ。
「不寝番がね、具合が悪いというから変わってやったんだ」
言って内緒だよ、と人差し指を口の前で立てる。
それは、つまり…
「は、はれんちであるぞ…」
不寝番とは、楼内の行灯や灯明に点火する、油さしの事だ。
もちろんそれは、遊女達が事を行っている部屋内も行うもので…
「よし、じゃあ、幸村も行く?」
「は?い、いや、某は…」
突拍子もなくとんでもない事を言われて、素っ頓狂な声を上げてしまった。
「何事もべんきょーべんきょーっと」
両手を上げて拒否する自分を、無理にでも引っ張って行きそうな勢いの慶次殿の手をくぐり抜けて、一目散に逃げ出した。
あぁ、某、やはりすぐに全てを受け入れられる程の度量は持ち合わせておりませぬ。
精進、致しますぞ。




