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吼えぬ孤狼その後7

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「うーん、コレでよかったのかねえ…」

真田の居城・上田城で、武田の忍は、一人うなだれていた。
何を悩んでいるのかというと、一月前に小太郎に教えた避妊薬についてだ。

間もなくして、小田原城が豊臣軍に急襲され、北条の将や兵の殆どが命を落とした。
その後、豊臣は瞬く間に潰え、北条は小田原城を取り戻した。
風魔小太郎の仕業に違いない。

そして、風魔小太郎と共に姿を消していた北条家当主は、しばらく見ない内にすっかり女らしくなっていた。
何というか、あどけなさや清楚な佇まいはそのままに、随分と大人びていて、風貌は変わらないのに、まるで別人の様に見えた。

小太郎に、女にされたのだろう。…確証はないが、多分そうに違いないと佐助は踏んでいる。

佐助からしてみれば、氏政は傀儡君主にしか見えない。
小太郎の力だけで、今の北条は成り立っている。
もはや氏政は、小太郎には逆らえないだろう。
――女にされたのは、氏政の合意の上だったのだろうか。それとも…

佐助は、少し罪の意識を感じている。
我が身可愛さ・命惜しさとはいえ、小太郎にあんなモノ教えなければ良かったかもしれないと。

…まあそれでも後悔はしてないんだけど。…だって、あんなのと殺りあいたくないっしょ普通。

どんなに酷い事も汚い事もさらりとやってのける冷酷・冷淡な忍ではあるけれど、こういう中途半端な良心の呵責は持ち合わせていたりする。
佐助も「俺様もまだまだ甘いねえー」と、ちょっと自分自身に呆れた。

感慨にふける暇など忍には不要といわんばかりに、忍の主が慌しく駆けてきた。

「さすけええええええええ」
「何ですか暑苦しい」
「武田道場で共に修行するぞ!」
「え?今から?ちょっと待って下さいよ、えーと…お面何処やったっけ…」
「面?」
「あ、な、何でもないです!ああ、そうそう。今度北条がこっちに挨拶に来るらしいんで、覚えておいてくださいよ。」
「何?北条殿が?おお、そういえば、此度の戦、誠に見事な巻き返しでござったな!是非一度手合わせ願いたい!」
「ちょっと旦那。あの白いお姫様に挑むのは止めてくださいよ。あの人はあんたと違って、か弱いんだから。
挑むなら、いつも傍にくっついてる忍にしてくださいな。…命の保障はしかねるけど。」
「む、忍?ああ、確かにあの者、かなりの使い手と見える。いつも氏政殿の傍に控え、氏政殿を敵から守っておる。
さぞや忠義に厚い忍なのであろうな!」

幸村の言うように、小太郎はいつも氏政の傍にいた。
氏政を何者からも傷つけられないように。
…まるで、自分以外の手に触れさせないように。

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