「これでも痛い、か?」
「うう…我慢できぬことはないのでござるが…できれば、さ、触らずに」
ずきずきする。辛い。
しかしずきずきと痛むのは表面ではなく内部のような気がする。
羞恥はとっくの昔に臨界点を超えていて、何がなんだかわからない。
気づけば乱れた裾を割って、手のひらが脚の内側に触れている。
反射的に脚をもがかせると、掌が足先のほうへと下がっていった。
「これでも?」
同じ言葉を繰り返される。
聞き返す前に、胸に唇が落ちた。吸って痕をつけようとはせずに、ただ舐める。
「っ、う、くっ」
痛いだけではない、しかし痛みがないわけでもない。
「声、堪えるなよ。言えって、言ったろ」
余裕ぶっているはずの声が、今はそう聞こえない。
懇願しているような、困惑しているような、いや、やはり何もわからない。
「わからな、――、まさ、っ」
体をよじる。
うなじを噛まれる。動物の甘がみに似て、そう痛くはなかった。
そう、痛く苦しいばかりでないことがいくつも重なり、積もって幸村を追い詰めている。
いつからか息が荒い。
しがみ付きたい、と強く思って腕を伸ばす。
「…泣くな、よ」
政宗の息も荒いと、その頃になってやっと解った。
帯がいつの間にか解けていることも、やけに汗ばんでいることも、寝巻きは既に腕にかかっているだけということも、政宗の体が外気を遮って寒くなかったことも、やっと解った。
「…大丈夫にござれば」
「ああ、…アンタ、イイ女だ」
政宗の体が鞭のようにしなる。
「ぐっ、――っ……ぅ!」
違和感の強い痛み。しがみ付いた腕にこもらない力を精一杯かき集めた。
「うう…我慢できぬことはないのでござるが…できれば、さ、触らずに」
ずきずきする。辛い。
しかしずきずきと痛むのは表面ではなく内部のような気がする。
羞恥はとっくの昔に臨界点を超えていて、何がなんだかわからない。
気づけば乱れた裾を割って、手のひらが脚の内側に触れている。
反射的に脚をもがかせると、掌が足先のほうへと下がっていった。
「これでも?」
同じ言葉を繰り返される。
聞き返す前に、胸に唇が落ちた。吸って痕をつけようとはせずに、ただ舐める。
「っ、う、くっ」
痛いだけではない、しかし痛みがないわけでもない。
「声、堪えるなよ。言えって、言ったろ」
余裕ぶっているはずの声が、今はそう聞こえない。
懇願しているような、困惑しているような、いや、やはり何もわからない。
「わからな、――、まさ、っ」
体をよじる。
うなじを噛まれる。動物の甘がみに似て、そう痛くはなかった。
そう、痛く苦しいばかりでないことがいくつも重なり、積もって幸村を追い詰めている。
いつからか息が荒い。
しがみ付きたい、と強く思って腕を伸ばす。
「…泣くな、よ」
政宗の息も荒いと、その頃になってやっと解った。
帯がいつの間にか解けていることも、やけに汗ばんでいることも、寝巻きは既に腕にかかっているだけということも、政宗の体が外気を遮って寒くなかったことも、やっと解った。
「…大丈夫にござれば」
「ああ、…アンタ、イイ女だ」
政宗の体が鞭のようにしなる。
「ぐっ、――っ……ぅ!」
違和感の強い痛み。しがみ付いた腕にこもらない力を精一杯かき集めた。
熱く燃えて力がみなぎるのが戦ならば、
熱さに力が萎えて心細く、不安さを互いの身で埋めるのが床か。
熱さに力が萎えて心細く、不安さを互いの身で埋めるのが床か。
「い、いたっ、いた、た、まさ、つっ、く、るし…」
なんとなくそう思うと、泣き言が唇を割った。
言っても構わないと思う。堪える矜持が不必要な時も、あるのではないかと――
だから腰でずって、逃げてしまいたい。けれど、逃げれば寒く不安だ。
痛みの先に、彼はいるのか。
そう思って、脚をからめて縋りついた。
「ああ、…ああ、悪いな、…オレも痛えよ、幸村」
政宗の声も、浮かされて切れ切れだ。
「力、抜けよ」
ささやいて頬をなでられる。
優しくしようと、掌が髪をなで頬をなで、泣きじゃくる幸村を宥めている。
余計に泣きそうになって、額を押し付けた。すこし安心する。
顔を押し付けるのは、ここに来て生まれた癖なのかもしれない。今も心音が聞こえる。
自分のそれと混ざり合った、どちらの物ともつかない激しい心音が。
なんとなくそう思うと、泣き言が唇を割った。
言っても構わないと思う。堪える矜持が不必要な時も、あるのではないかと――
だから腰でずって、逃げてしまいたい。けれど、逃げれば寒く不安だ。
痛みの先に、彼はいるのか。
そう思って、脚をからめて縋りついた。
「ああ、…ああ、悪いな、…オレも痛えよ、幸村」
政宗の声も、浮かされて切れ切れだ。
「力、抜けよ」
ささやいて頬をなでられる。
優しくしようと、掌が髪をなで頬をなで、泣きじゃくる幸村を宥めている。
余計に泣きそうになって、額を押し付けた。すこし安心する。
顔を押し付けるのは、ここに来て生まれた癖なのかもしれない。今も心音が聞こえる。
自分のそれと混ざり合った、どちらの物ともつかない激しい心音が。




