勝手にコンサルティング福井
座・タイムリーふくい(20071013)
最終更新:
c291
-
view
定点観測
観測対象
- 座・タイムリーふくい(2007年10月13日放送分)
テーマ
- ふるさとが消える?どうする限界集落
出演
司会
ゲスト
- 県会議員 仲倉典克
- 歴史家 舟澤茂樹
- 福井大学大学院 准教授 川本義海
観測結果
65歳が過半数を占めるいわゆる限界集落の問題が深刻化している。高齢化のため地域のコミュニティーが成り立たなくなってきているところに行政の財政難が重なり、将来が描けずにいる。国の調査では2000あまりの集落がいずれ消滅する可能性があるとされ福井県においても例外ではない。行政はこの問題にどう向き合うべきか、住民はどうすべきか、地方分権を提唱する猪瀬直樹氏のインタビューを交え議論する。
2週続けて限界集落問題か~。ちょっと力入りすぎじゃない?とりあえず番組内で示された資料。
集落の高齢者(65歳以上)割合 平成18年調査
50%以上 | 平成11年比 | |
全国(62,273) | 7878(12.7%) | +199.5% |
北陸(1,673) | 216(12.9%) | +177.1% |
↑国交省の調査らしい。この資料での集落の定義は不明。
はじめに松枝アナだけど、猪瀬氏の本を読んだのかなんだか知らないけど、いくらなんでも洗脳され…じゃなくて影響受けすぎじゃないの?自分の意見を言う場面があっても良いとは思うけど、司会者なんだから「集落移転で限界集落が消滅することで問題解決」という血も涙も無い機械的な政策こそが唯一の現実的な解決策というトーンで話を進めるのはフェアじゃない。
舟澤氏はその改革派・松枝アナに対する抵抗勢力として頑張ってた感じ。
「行政効率だけを考えて集落を消滅させることは、歴史、文化、伝統を無視すること。」
「限界集落になってしまったのは住民の責任という訳じゃない。限界集落に人を戻すと言うことを政治や行政の責任で出来ないのか。」
「勝山市の小原地区では古民家研究という事で大学が入るなど活動している。千葉県野田市では農業の株式会社化で対応するなど、努力している」
「行政効率だけを考えて集落を消滅させることは、歴史、文化、伝統を無視すること。」
「限界集落になってしまったのは住民の責任という訳じゃない。限界集落に人を戻すと言うことを政治や行政の責任で出来ないのか。」
「勝山市の小原地区では古民家研究という事で大学が入るなど活動している。千葉県野田市では農業の株式会社化で対応するなど、努力している」
歴史家の先生の話だから仕方ないのだが、焼け石に水の話が多い感じ。歴史、文化、伝統が大事ってのは理解するんだけど、いきなり遠野物語的な価値観を提示されても、改革に毒された一般人はなかなかついてこれないし、全てひっくるめて諸行無常って側面があることも理解して欲しいと思う。
川本氏は学者らしく現実的で無難な発言内容。「国民の関心は都市に向かっているが、今後は山村や農村に目を向けられる可能性もないではない」とか「移住は無理でも環境をキーワードに限界集落に都市部の観光客を誘致すれば」とか。基本的には打つ手無しって考えみたいだけど、今さらながらグリーンツーリズム云々などの展開でソフトランディング志向って感じだろうか。
仲倉県議はこの問題に熱心なようだが、「国や県は中山間地域対策にもっと予算をつけろ!」以外のメッセージは特に無かった。
原渕アナが言っていた、「若者が定住する以外に観光や交流などで打つ手は無いのか?」については、原渕アナのご意見だけに、一ファンとしては効果が無いとは断言はしないけど、現実問題としては安らかに消滅に向かわせるためのモルヒネ注射程度の効果しかないというのが実態だろう。この辺りは俺も川本氏の意見に近い。
どうする限界集落???
結論から言えば、「どうすべきかは集落による」だと思う。お役所風に言うなら「地域住民の感情や費用対効果も踏まえ、個別集落の実態に合わせてきめ細やかに対応」するしかない。「なんだそれ?もっと斬新な切り口でブッタ切れ!」というブーイングが聞こえてきそうだが、集落放棄して移転となると、なかなかねえ…。
確かに車で山道を走っていると、「こんなところに集落が…」みたいなところに出くわすことがある。ここでいったいどうやって生計を立て生活しているのかと不思議に思いつつも問題意識は持っていた。今回の話もそんな地域の話だと思って良いだろう。
とは言っても限界集落という便利そうなキーワードを安易に振り回すべきじゃないと思う。集落人口の50%以上が65歳以上という状況は楽観視できる状況ではないが、だからと言って即「限界集落=自助・共助・公助が機能しない」と考えるのは短絡的だ。マスコミ得意の勝手なラベリングをする前に、自助・共助・公助が機能していない地域がどこかを見極めることが重要だと思う。いつ書いたのかも覚えてないが、以前コンパクトシティ依存症の項で、「駅前活性化の前にバスもまともに来ない、コンビニどころか自動販売機も無いような集落に行き、一人暮らしのお年寄りと片っ端から話でもしてこい!!」と書いたのもそういう意味だ。
冒頭の資料だと北陸で216集落ってことで、福井の限界集落は60程度かなあと推察されるが、俺の勝手な印象だと、幾らなんでもマズイ状況で移転も含めて早急に対応しないといけない消滅前夜レベルの集落は、多分福井県内に5~10程度だと思う。それ以外の集落についてはまあゆっくり考えればいいだろう。それじゃヤバイ?でもヤバイかヤバクないかなんて誰が決めるの?学者?行政?いくらなんでもテレビじゃないわな~。この問題は無理やり引っ張ってきて予防接種を打たないといけないような話じゃない。だから、いろんな活性化策を講じつつ、何年も何年もかけてゆっくり考えればいいと思うし、それでも消滅前夜の状況に至ってしまったら、その時に対処すればいいと思う。
あと「行政コストの削減」なんてことが物事を考えるスタートラインになることがそもそもオカシイと思うんだが、それを言い出すと天下の財務省が国是として掲げる「2011年度までにプライマリーバランスを黒字化」にケチをつけることになり、ひいては妙な罪状をでっち上げられて刑務所行き!のリスクさえ高まってしまう微妙なゾーンに話が行ってしまいそうなので、残念ながらこの辺で止めとくわ。
(以上越071015)
(以上越071015)