『イワン・デニーソヴィチの一日』(いわんでにーそヴィちのいちにち、原題:Один день Ивана Денисовича)は、ロシアの作家アレクサンドル・ソルジェーニツィン(Aleksandr Solzhenitsyn、1918–2008)が1962年に『新世界』誌に発表した中編小説で、スターリン時代の強制収容所(グラグ)を初めて公に描いた衝撃作。フルシチョフの「雪解け」期に検閲を突破し、ソ連国内で数百万部を売り上げ、世界的に反体制文学の象徴となった。ソルジェーニツィン自身が8年間収容所に服役した体験を基にしている。
あらすじ
物語は1951年の冬、シベリアの強制労働収容所で過ごす囚人イワン・デニーソヴィチ・シューホフの一日を、朝の起床から夜の就寝まで克明に追う。極寒の朝、病気を装って寝坊しようとするが失敗し、点呼、朝食、強制労働(煉瓦積み)、昼食、夕食、賄賂や小さな「幸運」(余分のパンやタバコ)で一日を生き延びる。収容所は残酷だが、シューホフは「今日はまあまあいい一日だった」と満足して終わる。語り手は三人称限定で、シューホフの視点に寄り添い、淡々とした口語体で描かれる。