チェンジ・ロワイアル@ ウィキ
Animal Change 〜一歩前進?〜
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「じゃあ、入ろっか」
「お、おう」
「お、おう」
心なしか緊張しているリトとは反対に、いろはは臆さず足を踏み入れる。
まず目に入ったのは綺麗に並んだソファー。
年季が入っているのだろう、パイプ足の部分が少々錆び付いていた。
自動販売機の明かりが、奥に続く通路を照らしている。
室内を見回しているリトへ声を掛けた。
まず目に入ったのは綺麗に並んだソファー。
年季が入っているのだろう、パイプ足の部分が少々錆び付いていた。
自動販売機の明かりが、奥に続く通路を照らしている。
室内を見回しているリトへ声を掛けた。
「それじゃあまず、一階からだね」
「ああ、分かったよ」
「ああ、分かったよ」
警戒しつつも及び腰にはならず、並んで歩き出した。
黎斗と分かれた後、二人は自分達がいる市街地を調べてみることにした。
もしかしたら黎斗以外にも参加者がいるかもしれないからだ。
気味が悪いくらいに静まり返った街を歩き続け、やがてとある施設を発見した。
警察署。警察官の勤務場所として広く知られる建造物だ。
こんなものまであるのかと少しばかり驚いているリトへ、いろはは警察署の探索を提案した。
ここへ駆け寄り警察に助けを求める、といった理由では勿論ない。
バトルロワイアルの一施設に警察の人間がいるはずはなく、そもそも警察が介入してどうにかなる案件ではないだろう。
周囲にある民家と比べて目立つこの施設なら、参加者が立ち寄る可能性も高い。
もし誰もいなくても、身を守る武器が手に入るかもしれないのだ。
もしかしたら黎斗以外にも参加者がいるかもしれないからだ。
気味が悪いくらいに静まり返った街を歩き続け、やがてとある施設を発見した。
警察署。警察官の勤務場所として広く知られる建造物だ。
こんなものまであるのかと少しばかり驚いているリトへ、いろはは警察署の探索を提案した。
ここへ駆け寄り警察に助けを求める、といった理由では勿論ない。
バトルロワイアルの一施設に警察の人間がいるはずはなく、そもそも警察が介入してどうにかなる案件ではないだろう。
周囲にある民家と比べて目立つこの施設なら、参加者が立ち寄る可能性も高い。
もし誰もいなくても、身を守る武器が手に入るかもしれないのだ。
(にしても、凄いな環さんは…)
隣を歩く女性を見上げ、思わず感心する。
殺し合いの最中とはいえ、警察署に忍び込むという行為にリトは少しばかり抵抗があった。
なのにいろははこうして堂々としている。
自分に支給品の確認を促した時といい、こんな状況でも冷静さを失わないのは、魔法少女としての場数を踏んできているからだろうか。
仮にも高校生の自分が年下の少女に引っ張られる形となっているのは、何とも情けなく感じる。
殺し合いの最中とはいえ、警察署に忍び込むという行為にリトは少しばかり抵抗があった。
なのにいろははこうして堂々としている。
自分に支給品の確認を促した時といい、こんな状況でも冷静さを失わないのは、魔法少女としての場数を踏んできているからだろうか。
仮にも高校生の自分が年下の少女に引っ張られる形となっているのは、何とも情けなく感じる。
(まぁ、そういうのは今に始まった事じゃないか…)
妹を始めとして、自身を取り巻く少女達の顔がポンポン浮かぶ。
いろはに見えないように苦笑いを浮かべつつ、しかしいざという時は自分も出来る事をやらねばと気を引き締める。
魔法を使えず武器らしい武器も持っていないが、女の子一人に押し付けてじっとしているだけ、というのは御免だ。
いろはに見えないように苦笑いを浮かべつつ、しかしいざという時は自分も出来る事をやらねばと気を引き締める。
魔法を使えず武器らしい武器も持っていないが、女の子一人に押し付けてじっとしているだけ、というのは御免だ。
粗方の部屋を調べ終えた二人は、一階の待合室で腰を下ろしていた。
自分達以外に参加者はおらず、人がいた形跡も見当たらなかった。
念の為に署内の電話を使ってみたが、どれも反応は無し。
外部との連絡手段を絶つくらいは当然やっているだろうと予想できた為、これに関してはさほど落胆しなかった。
では何か役立つ物は見つけられたのかと言えば、あるにはあったと言う所か。
警察官の基本的な装備である警棒、日本警察が正式採用している拳銃。
以上をそれぞれ二つずつ手に入れられた。
自分達以外に参加者はおらず、人がいた形跡も見当たらなかった。
念の為に署内の電話を使ってみたが、どれも反応は無し。
外部との連絡手段を絶つくらいは当然やっているだろうと予想できた為、これに関してはさほど落胆しなかった。
では何か役立つ物は見つけられたのかと言えば、あるにはあったと言う所か。
警察官の基本的な装備である警棒、日本警察が正式採用している拳銃。
以上をそれぞれ二つずつ手に入れられた。
「何だろうな…もっといっぱいあるイメージだったんだけど…」
「うーん、そこまで都合良くはいかないね」
「うーん、そこまで都合良くはいかないね」
警察署と言うからにはもっと沢山の銃火器や防弾シールド等があると考えていた為、この成果には肩透かしを食らう。
とはいえ何も見つからないよりはマシだ。
ついでにもう一つ、武器として使える物を発見する事ができた。
ただそれは警察が使うイメージとはかけ離れた物だったが。
とはいえ何も見つからないよりはマシだ。
ついでにもう一つ、武器として使える物を発見する事ができた。
ただそれは警察が使うイメージとはかけ離れた物だったが。
「何でこんなのがあるんだろ……」
「さぁ……」
「さぁ……」
草刈り用鎌と分銅を鎖で繋いだ、所謂鎖鎌と言う武器。
漫画で忍者が使っていそうな物が何故警察署にあったのか。
ミスマッチにも程があるが、一応何かの役に立つかもと思い回収した。
それに放置して後々危険な参加者に拾われるのを防ぐ事にもなる。
漫画で忍者が使っていそうな物が何故警察署にあったのか。
ミスマッチにも程があるが、一応何かの役に立つかもと思い回収した。
それに放置して後々危険な参加者に拾われるのを防ぐ事にもなる。
互いのデイパックに回収品を仕舞うと、いろはは改めて自分の状態に首を傾げた。
(自分で言うのも何だけど、今日の私、本当に凄い落ち着いてるなぁ)
もしも普段のいろはであればリトと同じく、殺し合いであろうと警察署に忍び込み銃を持ち去るなど、少々腰が引けていただろう。
それがどうだ。少しも取り乱さず、身体は幼いが中身は年上の少年を引っ張っている。
これでは本当にやちよのような、「頼れるお姉さん」になったようだ。
魔法少女としてリトを守らなければという義務感のようなものが、いろはに冷静さを齎しているのか、
それとも高町なのはの肉体となった事で精神に影響が及んでいるのか。
それがどうだ。少しも取り乱さず、身体は幼いが中身は年上の少年を引っ張っている。
これでは本当にやちよのような、「頼れるお姉さん」になったようだ。
魔法少女としてリトを守らなければという義務感のようなものが、いろはに冷静さを齎しているのか、
それとも高町なのはの肉体となった事で精神に影響が及んでいるのか。
(大丈夫、だよね……?)
後者の可能性を考え、いろはは少しだけ恐くなった。
今はまだ冷静な思考ができるという程度の影響しかない。
だが長くなのはの肉体に入っていたら、別の影響も受けてしまうのではないか。
思考も、下手をすれば記憶までもが環いろはから高町なのはに塗り替えられてしまい、
みかづき荘の皆や、ういの事を忘れてしまう可能性が無いとは言い切れない。
二度も妹の記憶を失い、更には大切な友だちの事まで頭から抜け落ちるなどいろはには耐えられない。
今はまだ冷静な思考ができるという程度の影響しかない。
だが長くなのはの肉体に入っていたら、別の影響も受けてしまうのではないか。
思考も、下手をすれば記憶までもが環いろはから高町なのはに塗り替えられてしまい、
みかづき荘の皆や、ういの事を忘れてしまう可能性が無いとは言い切れない。
二度も妹の記憶を失い、更には大切な友だちの事まで頭から抜け落ちるなどいろはには耐えられない。
「環さん?大丈夫か?」
掛けられた言葉にいろははハッとして声の主を見る。
急に黙り込んだいろはを心配してか、リトが不安気に見上げていた。
余計な心配をかけさせてしまったと申し訳なく感じる。
今考えたのはいろはの推測に過ぎない。
確たる証拠もないのに不安がっていては、リトも迷惑だろう。
急に黙り込んだいろはを心配してか、リトが不安気に見上げていた。
余計な心配をかけさせてしまったと申し訳なく感じる。
今考えたのはいろはの推測に過ぎない。
確たる証拠もないのに不安がっていては、リトも迷惑だろう。
「何でもない、大丈夫だよ」
自身の考えを話してリトを混乱させるつもりはなく、笑みを浮かべて誤魔化した。
リトの方も少々釈然としないものがありつつも、笑みを向けて来た相手に食い下がる事はしなかった。
すっかり慣れてしまった愛想笑い。
身体が変わってもこういう部分は変わらないんだなと、自嘲気味な思いが浮かんだ。
リトの方も少々釈然としないものがありつつも、笑みを向けて来た相手に食い下がる事はしなかった。
すっかり慣れてしまった愛想笑い。
身体が変わってもこういう部分は変わらないんだなと、自嘲気味な思いが浮かんだ。
◆◆◆
「うわっ…」
「おっきいねぇ…」
「おっきいねぇ…」
警察署を後にした二人は黎斗の指定した合流場所、風都タワーに来ていた。
橋を渡って街の外に向かおうかとも考えたが、今から出て行っては黎斗との合流に間に合わなくなるかもしれない。
自分達が出会った唯一の参加者だ、待ち惚けさせて無駄に関係をギクシャクさせたくも無い。
ならここは一足先に風都タワーへ赴き黎斗を待ち、合流し情報を交換した上で街の外へ出ようとなった。
それに風都タワーは黎斗が合流場所に選んだだけあって、ここら一帯で最も目を引く建造物だ。
ならば自分達が警察署を探索している間に、誰かが訪れていたとしても不思議は無い。
或いは黎斗以外の参加者がやって来る可能性だってある。
親しい者の身体が巻き込まれていないかを急ぎ確認したいリトとしては、そんな悠長なと思わないでもなかったが、
一人で焦って飛び出し、いろはや黎斗へ迷惑を掛けたいとも思わない。
よってここはいろはの提案に賛同した。
橋を渡って街の外に向かおうかとも考えたが、今から出て行っては黎斗との合流に間に合わなくなるかもしれない。
自分達が出会った唯一の参加者だ、待ち惚けさせて無駄に関係をギクシャクさせたくも無い。
ならここは一足先に風都タワーへ赴き黎斗を待ち、合流し情報を交換した上で街の外へ出ようとなった。
それに風都タワーは黎斗が合流場所に選んだだけあって、ここら一帯で最も目を引く建造物だ。
ならば自分達が警察署を探索している間に、誰かが訪れていたとしても不思議は無い。
或いは黎斗以外の参加者がやって来る可能性だってある。
親しい者の身体が巻き込まれていないかを急ぎ確認したいリトとしては、そんな悠長なと思わないでもなかったが、
一人で焦って飛び出し、いろはや黎斗へ迷惑を掛けたいとも思わない。
よってここはいろはの提案に賛同した。
到着し風都タワーを見上げると、その大きさに感嘆の声が漏れた。
遠目にも姿を確認出来た事から分かってはいたが、間近で見るとやはり迫力を感じる。
付近の高層マンションを容易く追い越し、巨大な風車がゆっくりと回転している。
今が殺し合いなどでなければ観光気分で眺めていられただろうが、残念ながら呑気に見上げ続けている訳にもいかない。
遠目にも姿を確認出来た事から分かってはいたが、間近で見るとやはり迫力を感じる。
付近の高層マンションを容易く追い越し、巨大な風車がゆっくりと回転している。
今が殺し合いなどでなければ観光気分で眺めていられただろうが、残念ながら呑気に見上げ続けている訳にもいかない。
自動ドアを抜けエントランスホールへ入る。
当たり前だが本来いるであろう受付スタッフは影も形も見当たらず、照明がチケット売り場を寂しげに照らしていた。
いろはが真っ先に確認したのは入口近くにある案内板。
タワー内部の説明が簡易に記されたそれには、展望台の事も書かれていた。
特に第二展望台は街全体を見渡せるとのこと。
であれば付近の様子をチェックするのに丁度良いと判断、リトも特に断る理由は無く、早速移動する事となった。
当たり前だが本来いるであろう受付スタッフは影も形も見当たらず、照明がチケット売り場を寂しげに照らしていた。
いろはが真っ先に確認したのは入口近くにある案内板。
タワー内部の説明が簡易に記されたそれには、展望台の事も書かれていた。
特に第二展望台は街全体を見渡せるとのこと。
であれば付近の様子をチェックするのに丁度良いと判断、リトも特に断る理由は無く、早速移動する事となった。
エレベーターへ足を運ぶ最中、リトはふとある事を思った。
自分もいろはも殺し合いに乗らず元の体に戻ろうとしている。
だが主催者達がそんな真似を許すはずは無く、仮に戻れる方法が見つかったとしても、首輪を爆破されればジ・エンドだ。
ならば先に首輪を外す必要があるのだが、リトにそんな技能は無い。
首輪解除が可能な人物で真っ先に思い付くのはララだ。
発明家でもある彼女ならば首輪をどうにかできるかもしれない。
尤も、ララ本人は殺し合いには不参加である為、彼女の力を借りるのは不可能であるが。
自分もいろはも殺し合いに乗らず元の体に戻ろうとしている。
だが主催者達がそんな真似を許すはずは無く、仮に戻れる方法が見つかったとしても、首輪を爆破されればジ・エンドだ。
ならば先に首輪を外す必要があるのだが、リトにそんな技能は無い。
首輪解除が可能な人物で真っ先に思い付くのはララだ。
発明家でもある彼女ならば首輪をどうにかできるかもしれない。
尤も、ララ本人は殺し合いには不参加である為、彼女の力を借りるのは不可能であるが。
(…いや何考えてんだよ俺!ララや皆が巻き込まれて良いはず無いだろ!)
ほんの一瞬でもララの不在を残念がった自分へ怒りを抱く。
殺し合いのせいで彼女達が傷ついたり、誰かを傷つけなければならない状況に追い込まれるなどあっていいはずが無い。
殺し合いのせいで彼女達が傷ついたり、誰かを傷つけなければならない状況に追い込まれるなどあっていいはずが無い。
「結城さん?どうしたの?」
自然と険しい表情になっていたのだろう。
警察署の時とは反対に、いろはが心配そうに見つめていた。
警察署の時とは反対に、いろはが心配そうに見つめていた。
「あ、いや、この首輪を外すにはどうしたら良いのか分かんなくてさ…」
「首輪、かぁ…」
「首輪、かぁ…」
顎に手当てて考え込む。
いろは自身に首波を外せる能力は無い。
スマホの操作にも苦戦するというのに、精密機械の解析など不可能である。
いろは自身に首波を外せる能力は無い。
スマホの操作にも苦戦するというのに、精密機械の解析など不可能である。
「誰か機械に強い人に任せるくらいしか今は思い浮かばないかな」
「そっか…。まぁそうだよな……いや待てよ?」
「そっか…。まぁそうだよな……いや待てよ?」
何かを思い出したようにリトはデイパックを開く。
取り出したのはユーノ・スクライアのプロフィール用紙。
プロフィールを凝視するリトに、何が書かれているのかといろはも覗き込む。
最初に確認した時はそこまで深く考えていなかったが、ユーノが使える魔法に一つ、首輪をどうにかできるかもしれないものがあった。
経歴の欄を見ると、ユーノは初めて地球に来た際、魔法で動物の姿になっていたと記されている。
取り出したのはユーノ・スクライアのプロフィール用紙。
プロフィールを凝視するリトに、何が書かれているのかといろはも覗き込む。
最初に確認した時はそこまで深く考えていなかったが、ユーノが使える魔法に一つ、首輪をどうにかできるかもしれないものがあった。
経歴の欄を見ると、ユーノは初めて地球に来た際、魔法で動物の姿になっていたと記されている。
「動物?ライオンとかに変身したの?」
「いや、もっと小さい…フェレットになったみたいだ」
「フェレット……あっ、そういう事か」
「いや、もっと小さい…フェレットになったみたいだ」
「フェレット……あっ、そういう事か」
いろはもリトが何に気付いたのかを察した。
ユーノの肉体に填められている首輪は、人間の子ども用サイズと言うべき大きさ。
だがもしも今の身体よりも小さい、フェレットの姿になれば人間サイズの首輪も外れるのではないか。
試してみる価値は十分ある。
問題はどうやったらフェレットに変身できるかがさっぱり分からないことだ。
ユーノの肉体に填められている首輪は、人間の子ども用サイズと言うべき大きさ。
だがもしも今の身体よりも小さい、フェレットの姿になれば人間サイズの首輪も外れるのではないか。
試してみる価値は十分ある。
問題はどうやったらフェレットに変身できるかがさっぱり分からないことだ。
「肝心の魔法の使い方が分からないんじゃあ、意味ないか…」
「うーん…集中してイメージしてみる、とか?」
「イメージ?」
「うん。自分が動物の姿になる瞬間を強く思い浮かべれば、何か起きるんじゃないかな?」
「うーん…集中してイメージしてみる、とか?」
「イメージ?」
「うん。自分が動物の姿になる瞬間を強く思い浮かべれば、何か起きるんじゃないかな?」
そう言われて思い出すのは、以前に何度か人間以外の姿に変身してしまった時のこと。
ネズミのような小さい動物になった事もあれば、妹の下着という生物ですらないものになったこともある。
下着はともかく、ネズミになった際の感覚は役に立つかもしれない。
ネズミのような小さい動物になった事もあれば、妹の下着という生物ですらないものになったこともある。
下着はともかく、ネズミになった際の感覚は役に立つかもしれない。
集中してあの時の感覚をイメージする。
人間の手足から、小さな動物の足へ。
人間の体から、毛に覆われ尻尾が生えた体へ。
自分の肉体がまるっきり別の生物へと変わった感覚を、頭に強く思い浮かべる。
すると奇妙な事に、ある言葉が思い浮かんだ。
それはリトの知らない言葉。だが疑問を抱くより先に、奇妙な言葉を自然と口に出していた。
人間の手足から、小さな動物の足へ。
人間の体から、毛に覆われ尻尾が生えた体へ。
自分の肉体がまるっきり別の生物へと変わった感覚を、頭に強く思い浮かべる。
すると奇妙な事に、ある言葉が思い浮かんだ。
それはリトの知らない言葉。だが疑問を抱くより先に、奇妙な言葉を自然と口に出していた。
「“――――”」
何かの呪文にも聞こえる言葉だった。
それが引き金となったのか、リトの姿はあっという間に変化した。
少年の肉体が見る見るうちに縮み、人間のものとはかけ離れた形へとなる。
リトが立っていた場所には、柔らかそうな体毛に覆われた一匹の小動物がいた。
それが引き金となったのか、リトの姿はあっという間に変化した。
少年の肉体が見る見るうちに縮み、人間のものとはかけ離れた形へとなる。
リトが立っていた場所には、柔らかそうな体毛に覆われた一匹の小動物がいた。
「わっ!凄い、ほんとに変身しちゃった…」
「お、おお…成功したのか…」
「お、おお…成功したのか…」
フェレットの姿となったリトを両手で抱きかかえ、まじまじと見つめるいろは。
魔法少女への変身と違い、人間からまるっきり別の生物へと姿を変える魔法など見るのは初めて。
驚きと興味の入り混じった瞳を、可愛らしい動物になった同行者へ向けた。
間近に迫るいろはの顔に気恥ずかしさを感じたリトは、誤魔化すように体をさする。
動物となったからか服は消えていた。
だが変わらずに身に着けている物も一つ。
魔法少女への変身と違い、人間からまるっきり別の生物へと姿を変える魔法など見るのは初めて。
驚きと興味の入り混じった瞳を、可愛らしい動物になった同行者へ向けた。
間近に迫るいろはの顔に気恥ずかしさを感じたリトは、誤魔化すように体をさする。
動物となったからか服は消えていた。
だが変わらずに身に着けている物も一つ。
「首輪は…外れてないか……」
フェレットの小さな首には、これまた小さくなった首輪が巻かれている。
変身して首輪を外す目論見はあっさりと失敗したようだ。
これくらいは主催者も想定済みだったのだろう。
ガックリと肩を落とすリトに、いろはは苦笑いを返す。
変身して首輪を外す目論見はあっさりと失敗したようだ。
これくらいは主催者も想定済みだったのだろう。
ガックリと肩を落とすリトに、いろはは苦笑いを返す。
「あ、でも魔法が一つ使えるようになったから、全部が無駄だったって訳じゃない、と思うよ?」
「んー…まぁ、それもそっか」
「んー…まぁ、それもそっか」
果たして使い道があるかどうかは不明だが、それでも魔法が一つ使用できるようになったのは収穫だ。
そう自分を納得させる。
そう自分を納得させる。
首輪が外れないと分かった以上は、フェレットのままでいる必要も無い。
元の姿に戻るには、多分さっきとは反対に人間に戻った瞬間をイメージすればいいはず。
そうすればまた何かの呪文が浮かび上がるかもしれない。
知らないはずの呪文が何故いきなり頭に浮かんだのかは分からないけど、今の所は特に悪い影響は無い。
とにかく一旦人間の姿に戻ろうと、いろはの手の中から地面へ飛び降りようとした。
元の姿に戻るには、多分さっきとは反対に人間に戻った瞬間をイメージすればいいはず。
そうすればまた何かの呪文が浮かび上がるかもしれない。
知らないはずの呪文が何故いきなり頭に浮かんだのかは分からないけど、今の所は特に悪い影響は無い。
とにかく一旦人間の姿に戻ろうと、いろはの手の中から地面へ飛び降りようとした。
が、結城リトという人間は女性を目の前にして穏便に事を運べた試しが無い。
此度も彼にとっては不運極まりない体質により、思わぬトラブルが発生した。
此度も彼にとっては不運極まりない体質により、思わぬトラブルが発生した。
「へっ?」
「えっ?」
「えっ?」
リトが飛び降りた先は地面ではなく、いろはの胸元。
無自覚に管理局の制服を開けさせ、下着に包まれた乳房の隙間へと頭から突っ込んだ。
無自覚に管理局の制服を開けさせ、下着に包まれた乳房の隙間へと頭から突っ込んだ。
「…!!!?!ちょ、結城さん…!」
「うわぁああああああああ!?ご、ごめん!すぐに出るから…!」
「うわぁああああああああ!?ご、ごめん!すぐに出るから…!」
慌てていろはの胸元を脱出しようとする。
しかしその動きによりフサフサとしたフェレットの毛がいろはの柔肌を刺激し、こそばゆい感覚を与える。
激しく動く尻尾は、まるで筆でなぞるかのような感触で乳房を這い回った。
しかしその動きによりフサフサとしたフェレットの毛がいろはの柔肌を刺激し、こそばゆい感覚を与える。
激しく動く尻尾は、まるで筆でなぞるかのような感触で乳房を這い回った。
「はあぁ…やっ、あぅ…!」
自分の体で無いとはいえ、受ける感触は本物。
本人の意思とは無関係に熱い吐息が漏れる。
だがリトとてわざとやっているのではない。
急いで脱け出そうと動いている。
可愛らしい動物とはいえ立派な鋭い爪が生えている。
万一にも爪で引っ掻きいろはの身体に傷をつけてはならないと、前足の肉球部分を先に服の外へ出そうとした。
本人の意思とは無関係に熱い吐息が漏れる。
だがリトとてわざとやっているのではない。
急いで脱け出そうと動いている。
可愛らしい動物とはいえ立派な鋭い爪が生えている。
万一にも爪で引っ掻きいろはの身体に傷をつけてはならないと、前足の肉球部分を先に服の外へ出そうとした。
「んあああああっ!!」
突き上げた前足の肉球は乳首を擦るように当たった。
痺れるような未知の刺激に、一際甲高い嬌声が響く。
またもやよからぬ事をやってしまったリトは、強引にでも、されど相手の身体に傷を付けないように脱け出そうとする。
その間、いろはの嬌声が更に大きくなったが、どうにか胸元を脱出し、地面に落ちた。
痺れるような未知の刺激に、一際甲高い嬌声が響く。
またもやよからぬ事をやってしまったリトは、強引にでも、されど相手の身体に傷を付けないように脱け出そうとする。
その間、いろはの嬌声が更に大きくなったが、どうにか胸元を脱出し、地面に落ちた。
「いてて…」
上手く着地出来なかったせいで、背中を打ち付けてしまった。
しかし痛みに気を取られている場合ではない。
リトが出て行ったものの、これまで味わった事のない刺激を受けたいろはは腰を抜かしてしまった。
自分の足元にいる存在に気付かずに。
しかし痛みに気を取られている場合ではない。
リトが出て行ったものの、これまで味わった事のない刺激を受けたいろはは腰を抜かしてしまった。
自分の足元にいる存在に気付かずに。
「ぎえええ!つ、潰れる…!」
腹部へ圧し掛かる重みにリトは呻き声を上げる。
いろはの尻に圧し潰される形となってしまい、ジタバタと体を動かす。
このままではフェレットの姿のまま死に、いろはを人殺しにしてしまう。
それはダメだとどうにかいろはに気付いてもらおうと、必死に前足を振り回した。
いろはの尻に圧し潰される形となってしまい、ジタバタと体を動かす。
このままではフェレットの姿のまま死に、いろはを人殺しにしてしまう。
それはダメだとどうにかいろはに気付いてもらおうと、必死に前足を振り回した。
「ひううううっ!?結城さ…擦ら…ないでぇ…!」
下着越しにフェレットの前足で撫でられる。
またもや襲い掛かる刺激に、いろはは息も絶え絶えに叫んだ。
またもや襲い掛かる刺激に、いろはは息も絶え絶えに叫んだ。
肉体が変わろうとも、リトの天性の才と言うべきテクニシャンぶりは健在。
もしここにデビルーク星の第三王女がいたら、畏敬と興奮の混じった熱い視線をぶつけていただろう。
もしここにデビルーク星の第三王女がいたら、畏敬と興奮の混じった熱い視線をぶつけていただろう。
○
「本っっっっ当にごめん!」
「……」
「謝って済むような事じゃ無いのは分かってる。でも、酷いことをしてごめん…!」
「……」
「謝って済むような事じゃ無いのは分かってる。でも、酷いことをしてごめん…!」
額を床に擦り付ける勢いで頭を下げるリト。
謝罪の相手は勿論、赤面しそっぽを向いているいろはだった。
謝罪の相手は勿論、赤面しそっぽを向いているいろはだった。
どうにか人間の姿に戻ったリトはすぐさまいろはへ頭を下げた。
これまでにも自分の体質のせいで、多くの異性へセクハラ同然の事をしてきた。
それが今回も起こり、こうしていろはまで辱めてしまった。
最初にスカートへ頭を突っ込んでしまった時の比では無い。
例え故意に引き起こした訳でなくとも、自分のせいでいろはを傷つけてしまったのは事実。
許してもらえるはずが無いとは分かっているが、精一杯の謝罪をした。
これまでにも自分の体質のせいで、多くの異性へセクハラ同然の事をしてきた。
それが今回も起こり、こうしていろはまで辱めてしまった。
最初にスカートへ頭を突っ込んでしまった時の比では無い。
例え故意に引き起こした訳でなくとも、自分のせいでいろはを傷つけてしまったのは事実。
許してもらえるはずが無いとは分かっているが、精一杯の謝罪をした。
リトの真剣な様子を見て、いろはは一度ため息をすると口を開いた。
「もういいよ、頭を上げて?結城さんがわざとやったんじゃないのは分かってるから。
それに、そういう事をするような人じゃないのも、一緒にいて知ってるし…」
「え、で、でも俺…環さんの胸に突っ込んだり、スカートの中にも…」
「わ、わざわざ言わなくてもいいから…!」
「あっ、ご、ごめん」
それに、そういう事をするような人じゃないのも、一緒にいて知ってるし…」
「え、で、でも俺…環さんの胸に突っ込んだり、スカートの中にも…」
「わ、わざわざ言わなくてもいいから…!」
「あっ、ご、ごめん」
正直頬を叩かれるか、心底軽蔑されると思っていたリトからすれば意外な答えだった。
だがいろはとしてはリトが悪意を持って女性を襲うような人物でない事はこの数時間で理解できた事だし、
先程のハプニングだって、慣れないフェレットの身体が原因の事故のようなもの。
変に誤魔化さず誠心誠意謝ってくれる人を突き放すような真似は、いろは自身やりたいとは思わない。
だがいろはとしてはリトが悪意を持って女性を襲うような人物でない事はこの数時間で理解できた事だし、
先程のハプニングだって、慣れないフェレットの身体が原因の事故のようなもの。
変に誤魔化さず誠心誠意謝ってくれる人を突き放すような真似は、いろは自身やりたいとは思わない。
「そ、それより、いい加減展望室に行こ?」
「あ、うん…」
「あ、うん…」
気まずくなってしまった空気を無理やり打ち切るように、エレベーターへと向かう。
いろはが許してくれたとはいえ、やはりリトは女の子に恥ずかしい思いをさせた事を気にしているようで表情が暗い。
けれどそんな風に気にするのなら、やはり彼は悪い人では無いんだなと思った。
いろはが許してくれたとはいえ、やはりリトは女の子に恥ずかしい思いをさせた事を気にしているようで表情が暗い。
けれどそんな風に気にするのなら、やはり彼は悪い人では無いんだなと思った。
(それにしても…やちよさんが知ったら何て言うんだろう)
魔法少女の先輩であり、信頼できる仲間。
そしてみかづき荘の皆を纏めるお姉さんのような人。
彼女がいろはとリトの間に起きた事態を知ったらどう反応するのか気になった。
「環さんにこういうのはまだ早いわ」、とお説教を受けるだろうか。
「ウチの環さんに手を出すなんていい度胸ね」、とリトへの怒りを燃やすかもしれない。
そしてみかづき荘の皆を纏めるお姉さんのような人。
彼女がいろはとリトの間に起きた事態を知ったらどう反応するのか気になった。
「環さんにこういうのはまだ早いわ」、とお説教を受けるだろうか。
「ウチの環さんに手を出すなんていい度胸ね」、とリトへの怒りを燃やすかもしれない。
どちらにしても良い結果にならないのはほぼ確実。
生きて帰れてもこの事は知られないようにしようと、密かに誓ういろはだった。
生きて帰れてもこの事は知られないようにしようと、密かに誓ういろはだった。
【D-4 街 風都タワー/早朝】
【環いろは@魔法少女まどか☆マギカ外伝 マギアレコード】
[身体]:高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[状態]:健康、精神疲労(小)、羞恥心
[装備]:レイジングハート@魔法少女リリカルなのは
[道具]:基本支給品、警棒@現実、ニューナンブM60(5/5)@現実、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:元の体に戻る。殺し合いには乗らない
1:結城さんと行動。展望室へ移動する
2:檀さんと合流し情報を交換したら、街の外へ出る
[備考]
[身体]:高町なのは@魔法少女リリカルなのはStrikerS
[状態]:健康、精神疲労(小)、羞恥心
[装備]:レイジングハート@魔法少女リリカルなのは
[道具]:基本支給品、警棒@現実、ニューナンブM60(5/5)@現実、ランダム支給品0〜2
[思考・状況]基本方針:元の体に戻る。殺し合いには乗らない
1:結城さんと行動。展望室へ移動する
2:檀さんと合流し情報を交換したら、街の外へ出る
[備考]
- 参戦時期は、さながみかづき荘の住人になったあたり
【結城リト@ToLOVEるダークネス】
[身体]:ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのはA's
[状態]:健康、魔力消耗(小)、いろはへの罪悪感
[装備]:ジェットシューズ@妖怪学園Y
[道具]:基本支給品、エッチな下着@ドラゴンクエストシリーズ、仮面ライダークロニクルガシャット@仮面ライダーエグゼイド、警棒@現実、ニューナンブM50(5/5)@現実、鎖鎌@こちら葛飾区亀有公園前派出所
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
1:環さんと行動。展望室へ移動する
2:知り合いの肉体がないか、情報を集める
[備考]
[身体]:ユーノ・スクライア@魔法少女リリカルなのはA's
[状態]:健康、魔力消耗(小)、いろはへの罪悪感
[装備]:ジェットシューズ@妖怪学園Y
[道具]:基本支給品、エッチな下着@ドラゴンクエストシリーズ、仮面ライダークロニクルガシャット@仮面ライダーエグゼイド、警棒@現実、ニューナンブM50(5/5)@現実、鎖鎌@こちら葛飾区亀有公園前派出所
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない
1:環さんと行動。展望室へ移動する
2:知り合いの肉体がないか、情報を集める
[備考]
- 参戦時期は「ダークネス」終了後
- フェレットへの変身魔法が使えるようになりました。コツを掴めば他の魔法も使えるかもしれません。
- フェレットになっても首輪は外れないようです。
【鎖鎌@こちら葛飾区亀有公園前派出所】
葛飾署の女子薙刀部に対抗する為に、両津が設立した鎖鎌部にて使っていた物。
当然部員は集まらず、巻き込まれたボルボや左近寺も呆れていた。
葛飾署の女子薙刀部に対抗する為に、両津が設立した鎖鎌部にて使っていた物。
当然部員は集まらず、巻き込まれたボルボや左近寺も呆れていた。
【葛飾署@こちら葛飾区亀有公園前派出所】
E-4に存在する施設。
主に両津のせいで何度も燃やされたり、爆発させられたり、崩壊させられたりしている不憫な署。
一度は新葛飾署として巨大なうさぎの形になったが、後に元の姿へ戻っている。
E-4に存在する施設。
主に両津のせいで何度も燃やされたり、爆発させられたり、崩壊させられたりしている不憫な署。
一度は新葛飾署として巨大なうさぎの形になったが、後に元の姿へ戻っている。
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結城リト |