収穫があったと言って良いのだろうか。
掌に収まった機械を見つめ、ジューダスは僅かに眉を顰めた。
掌に収まった機械を見つめ、ジューダスは僅かに眉を顰めた。
これといったトラブルに出くわす事も無く目的地に到着。
警戒していたディケイドも現れず、早速風都タワー内の調査を開始。
黎斗はエントランスホールと地下駐車場に、ジューダスは展望室にそれぞれ別れた。
エレベーターを出てざっと見回すと、数時間前に訪れた時と何ら変わりはないように見える。
所々が破壊された壁や柱も、踏み付けられ汚れたマスコット人形も、ホイミスライムが逃げて行った割れたガラス窓も。
自分達が去ってから誰も来なかったのだろうか。
念の為に警戒は解かず、土産売り場やレストランコーナーを調べるも特に変わったところはない。
警戒していたディケイドも現れず、早速風都タワー内の調査を開始。
黎斗はエントランスホールと地下駐車場に、ジューダスは展望室にそれぞれ別れた。
エレベーターを出てざっと見回すと、数時間前に訪れた時と何ら変わりはないように見える。
所々が破壊された壁や柱も、踏み付けられ汚れたマスコット人形も、ホイミスライムが逃げて行った割れたガラス窓も。
自分達が去ってから誰も来なかったのだろうか。
念の為に警戒は解かず、土産売り場やレストランコーナーを調べるも特に変わったところはない。
続いてエレベーターに乗り、前回来た時には行かなかった第二展望室へ移動。
第一展望室よりも狭いスペースを見て回り、辿り着いたのは制御盤が設置された部屋。
本来であれば一般客が立ち入り禁止の場所だろうと、殺し合いでは関係無い。
躊躇せず足を踏み入れ、隅に追いやられたドラム缶にふと視線が向かう。
蓋の上へ無造作に置かれた黄色い機械。
手に取ったそれにジューダスは見覚えがあった。
第一展望室よりも狭いスペースを見て回り、辿り着いたのは制御盤が設置された部屋。
本来であれば一般客が立ち入り禁止の場所だろうと、殺し合いでは関係無い。
躊躇せず足を踏み入れ、隅に追いやられたドラム缶にふと視線が向かう。
蓋の上へ無造作に置かれた黄色い機械。
手に取ったそれにジューダスは見覚えがあった。
『何でしょうかねこれ。というか、蓮君が似たようなの持ってませんでしたっけ?』
シャルティエの言う通り、これは仲間の一人が使っていた機械と酷似している。
蓮が所持しているのは黒色で、こっちは黄色という違いこそあるが。
蓮が所持しているのは黒色で、こっちは黄色という違いこそあるが。
「ここは蓮と新八の肉体と関係の深い場所だろう。なら、あいつらが使うのを想定して隠しておいた。そんなところか」
その内片方は使う機会を永遠に失くしたが、もう一人はまだ生存中。
蓮に渡せば今後の戦いの役に立つ。
仲間の戦力が強化されたのは良い、ただ凛が考えていたのとは残念ながら違う。
殺し合いに乗っていない者全員が有利となる情報や道具は、展望室では見付からなかった。
とはいえ収穫ゼロで肩透かしを食らうよりはマシである。
ジューダスの方はこれ以上調べる場所が無い。
風都タワーを調査中のもう一人と合流し、向こうの報告を聞く。
それが済んだら、いよいよ『本当の目的』を果たす時だ。
蓮に渡せば今後の戦いの役に立つ。
仲間の戦力が強化されたのは良い、ただ凛が考えていたのとは残念ながら違う。
殺し合いに乗っていない者全員が有利となる情報や道具は、展望室では見付からなかった。
とはいえ収穫ゼロで肩透かしを食らうよりはマシである。
ジューダスの方はこれ以上調べる場所が無い。
風都タワーを調査中のもう一人と合流し、向こうの報告を聞く。
それが済んだら、いよいよ『本当の目的』を果たす時だ。
「……」
エレベーターで降りる最中、頭は既に戦闘態勢へ切り替わる。
剣を抜く事態になるかどうかはまだ不明。
だが相手の返答次第ではそうなってもおかしくない。
どのような展開になったとしても、即座に動けるようにしておかねばなるまい。
剣を抜く事態になるかどうかはまだ不明。
だが相手の返答次第ではそうなってもおかしくない。
どのような展開になったとしても、即座に動けるようにしておかねばなるまい。
エントランスホールに戻り受付まで進むと、白い人影がジューダスを待っていた。
大層な金を掛けただろう衣服を着こなす男の姿が、傍らのガラスに映し出される。
偶然かはたまた狙い通りか、『鏡』となる物の近くは確保済み。
無表情の裏で警戒度を引き上げ、黎斗の近くまで寄る。
ニコニコと人の良さそうな顔で迎えるこの男の真意は何か、明確にするなら今しかない。
大層な金を掛けただろう衣服を着こなす男の姿が、傍らのガラスに映し出される。
偶然かはたまた狙い通りか、『鏡』となる物の近くは確保済み。
無表情の裏で警戒度を引き上げ、黎斗の近くまで寄る。
ニコニコと人の良さそうな顔で迎えるこの男の真意は何か、明確にするなら今しかない。
「調査は終わったのかいジューダス君。残念なことに私の方は、これといって役に立ちそうなものは見付からなかったよ」
「蓮が持っているのと同じ道具が一つあった。僕の方もそれくらいだ」
「そうか…となると、遠坂さん達の方に期待するしかないようだね」
「蓮が持っているのと同じ道具が一つあった。僕の方もそれくらいだ」
「そうか…となると、遠坂さん達の方に期待するしかないようだね」
本心から大した収穫が無いのを落胆しているのか。
仮にそうだとしても殺し合いを止める決定打の不足を嘆いているからか、或いは単に自分の役に立つものが無いが故の苛立ちか。
心の声を聞けない為分からない、確かなのは黎斗の魂を相変わらず悪として感知してる事。
仮にそうだとしても殺し合いを止める決定打の不足を嘆いているからか、或いは単に自分の役に立つものが無いが故の苛立ちか。
心の声を聞けない為分からない、確かなのは黎斗の魂を相変わらず悪として感知してる事。
「出発前に聞いておきたいことがある」
「何かな?急に改まって…」
「何かな?急に改まって…」
唐突な問いかけにも動じた風は無く、あくまで余裕たっぷりの大人らしい態度を取る。
演技か素かはこれからハッキリする筈。
演技か素かはこれからハッキリする筈。
「いろはが術を放つのに使っていた赤い宝石は知ってるだろう。あれは今お前が持ってるのか?」
「…持っていないよ。白黒のライダーの攻撃に巻き込まれて、環さん共々……」
「ならホイミンの荷物も消し飛んだのか?」
「そう、なるね。…それがどうかしたのかい?」
「…持っていないよ。白黒のライダーの攻撃に巻き込まれて、環さん共々……」
「ならホイミンの荷物も消し飛んだのか?」
「そう、なるね。…それがどうかしたのかい?」
意図の読めない質問に首を傾げる。
いろは達の支給品は攻撃の巻き添えで消滅した。
何もおかしい事は言っていない。
蓮達からもそれ程の強敵だとは聞いたし、黎斗としても誤魔化す必要が無い為真実を告げた。
いろは達の支給品は攻撃の巻き添えで消滅した。
何もおかしい事は言っていない。
蓮達からもそれ程の強敵だとは聞いたし、黎斗としても誤魔化す必要が無い為真実を告げた。
「あの二人の道具は無くなったのに、承太郎の支給品は無傷で回収出来たんだな」
「……」
「……」
西側の参加者との合流に向かった蓮達の移動手段はバイク。
その際、アルフォンスに譲渡されたスクーターは承太郎が使っていた物だ。
死んだ仲間の支給品を回収すること自体は別に間違ってない。
だがいろはとホイミンは支給品諸共消し飛ばされたのに、承太郎のデイパックだけは無事黎斗の手に渡った。
運良く消失を逃れただけかもしれないが、考えられる可能性は他にも山程存在する。
例えば、黎斗が承太郎から支給品を奪って見捨てた、承太郎を囮に使い黎斗はまんまと支給品を手に入れ逃げ延びた等。
直接問い質しはしない、しかし疑念を籠めた瞳が暗にそうではないかと告げて来る。
十数秒間の沈黙を挟んで笑顔を消し、やがて悲痛を露わに口を開く。
その際、アルフォンスに譲渡されたスクーターは承太郎が使っていた物だ。
死んだ仲間の支給品を回収すること自体は別に間違ってない。
だがいろはとホイミンは支給品諸共消し飛ばされたのに、承太郎のデイパックだけは無事黎斗の手に渡った。
運良く消失を逃れただけかもしれないが、考えられる可能性は他にも山程存在する。
例えば、黎斗が承太郎から支給品を奪って見捨てた、承太郎を囮に使い黎斗はまんまと支給品を手に入れ逃げ延びた等。
直接問い質しはしない、しかし疑念を籠めた瞳が暗にそうではないかと告げて来る。
十数秒間の沈黙を挟んで笑顔を消し、やがて悲痛を露わに口を開く。
「……承太郎君が自分から渡してくれたんだ。彼は聡明な少年だ、きっとこのままでは自分達が全滅だと察したのだろう」
「だからお前だけでも逃がそうとしたと?」
「ああ…。その後すぐ彼も殺され、私は偶々運良く見逃された」
「だからお前だけでも逃がそうとしたと?」
「ああ…。その後すぐ彼も殺され、私は偶々運良く見逃された」
嘘と断じるのは簡単でも、事実である可能性は否定出来ない。
承太郎がクールな態度の裏に仲間想いの熱い面を秘めた少年だとは知っている。
ホイミンの一件を思い出せば、承太郎の人間性を今更疑うつもりはない。
加えて戦況を冷静に見極められる彼なら、全滅を防ぐ為に自ら足止めを買って出るくらいはしそうなものだ。
空条承太郎と短い時間ながら関わったが故に、黎斗の証言を出鱈目だとは言い切れなかった。
承太郎がクールな態度の裏に仲間想いの熱い面を秘めた少年だとは知っている。
ホイミンの一件を思い出せば、承太郎の人間性を今更疑うつもりはない。
加えて戦況を冷静に見極められる彼なら、全滅を防ぐ為に自ら足止めを買って出るくらいはしそうなものだ。
空条承太郎と短い時間ながら関わったが故に、黎斗の証言を出鱈目だとは言い切れなかった。
「ジューダス君。君が私へ余り良い印象を抱いてない事には気付いていた。それに、環さん達の死を簡単に受け入れられない気持ちも分かる。しかし誓って言うが、私は君の作戦に協力し結城君や環さんを助けたいんだ」
「……」
「信頼しろと強くは言わない。ただ、少しで良いから信じてもらえると「一つ打ち明けておく」」
「……」
「信頼しろと強くは言わない。ただ、少しで良いから信じてもらえると「一つ打ち明けておく」」
真摯な言葉へ被せるように、ジューダスが次の手札(カード)を切る。
今から話す内容に向こうがどんな反応をするか。
いつでも対処に移れるよう今一度意識を引き締めた。
今から話す内容に向こうがどんな反応をするか。
いつでも対処に移れるよう今一度意識を引き締めた。
「僕の体は少しばかり変わった趣味の持ち主だが、他は至って普通の人間だ。剣を握った事も無いし、特殊な術も使えない」
ジューダスに与えられた肉体、神崎蘭子は普通の少女だ。
アイドルという一般から外れた舞台に立ってはいても、ソーディアンマスターのような戦士ではない。
日々のレッスンで鍛えた体はあくまでアイドル活動の為であり、戦闘に活かせるのとは程遠い。
同じく346プロ所属のアイドルの体となった吉良吉影のようなスタンド能力も無ければ、アドバーグ・エルドルのように鬼と化したのとも違う。
ならば頭上の光輪と背に生えた翼は一体何だという。
蘭子がただの人間だったら、そのような特徴があるのは明らかな矛盾に他ならない。
アイドルという一般から外れた舞台に立ってはいても、ソーディアンマスターのような戦士ではない。
日々のレッスンで鍛えた体はあくまでアイドル活動の為であり、戦闘に活かせるのとは程遠い。
同じく346プロ所属のアイドルの体となった吉良吉影のようなスタンド能力も無ければ、アドバーグ・エルドルのように鬼と化したのとも違う。
ならば頭上の光輪と背に生えた翼は一体何だという。
蘭子がただの人間だったら、そのような特徴があるのは明らかな矛盾に他ならない。
「ラブボム、という道具が僕に支給された。それを食べた結果がこれだ」
ラブボムがジューダスに与えたのは外見的な天使の特徴だけではない。
痣の少年とも正面切って戦える身体能力、レンズ無しでも晶術が使えるエネルギー、巨人相手にも活用された飛行能力。
戦闘において非常に役立つ力を手に入れられた。
更にもう一つ、ラブボムを食べた影響で発現した能力がある。
痣の少年とも正面切って戦える身体能力、レンズ無しでも晶術が使えるエネルギー、巨人相手にも活用された飛行能力。
戦闘において非常に役立つ力を手に入れられた。
更にもう一つ、ラブボムを食べた影響で発現した能力がある。
「天使らしいと言えば天使らしい能力だが……今の僕は悪人の魂を感知し、“そいつが過去に犯した悪行を知る事ができる”」
「…………なんだって?」
「…………なんだって?」
空気が凍り付き、途端に殺気立つのを感じ取った。
あれだけ紳士然としていた大人はどこへやら、善意の仮面に亀裂が走る。
相手が食いついたのを確信し、一気に畳みかけるべく続きを話す。
あれだけ紳士然としていた大人はどこへやら、善意の仮面に亀裂が走る。
相手が食いついたのを確信し、一気に畳みかけるべく続きを話す。
「何故僕がお前への警戒を解かなかったのか、これで分かっただろう。最初に会った時から、僕はお前が過去に何をやったのか知っているからだ」
「……」
「それを踏まえた上で聞くぞ、檀黎斗。お前は殺し合いで何を目的に動いている?」
「…………」
「……」
「それを踏まえた上で聞くぞ、檀黎斗。お前は殺し合いで何を目的に動いている?」
「…………」
誤魔化しは通じない、真実を語れ。
刃のような瞳がそう訴える中、黎斗の頭が冷え切って行く。
刃のような瞳がそう訴える中、黎斗の頭が冷え切って行く。
過去の悪行を知る力、ジューダスは確かにそう言った。
事実だとするなら、成程これまで常にこちらを警戒していたのも納得だ。
しかし具体的に何を知った?
ゼロデイを引き起こしたことか?
百瀬小姫からグラファイトを引き離し、彼女を消滅に追い込んだことか?
間接的に花家大我が医師免許を剥奪される原因を作ったことか?
九条貴利矢をこの手でゲームオーバーにしてやったことか?
事実だとするなら、成程これまで常にこちらを警戒していたのも納得だ。
しかし具体的に何を知った?
ゼロデイを引き起こしたことか?
百瀬小姫からグラファイトを引き離し、彼女を消滅に追い込んだことか?
間接的に花家大我が医師免許を剥奪される原因を作ったことか?
九条貴利矢をこの手でゲームオーバーにしてやったことか?
それとももっと前、幼少時の宝生永夢にバグスターウイルスを送り付けてやったこと?
或いは、ああそうだ、永夢の父親に実験台として息子を差し出すよう唆した事もか。
そこまで考えて、ジューダスが言った「悪行」という言葉が脳内に木霊する。
悪行、こいつはハッキリ悪行と口にした。
つまり何だ、自分が過去にやって来たのは悪に分類されるのか。
自分という存在は悪と断定されたのか。
今一度事実を咀嚼し、次いで湧き上がるのは猛烈な不快感。
頭の中が掻き回されるように気持ちが悪い。
取るに足らない価値観で推し量られているようで腹立たしい。
悪行、こいつはハッキリ悪行と口にした。
つまり何だ、自分が過去にやって来たのは悪に分類されるのか。
自分という存在は悪と断定されたのか。
今一度事実を咀嚼し、次いで湧き上がるのは猛烈な不快感。
頭の中が掻き回されるように気持ちが悪い。
取るに足らない価値観で推し量られているようで腹立たしい。
悪人の魂?
過去に犯した悪行?
そんなものが自分を警戒し続けた理由か。
そのような酷く下らないもので、檀黎斗を、ゲームマスターを――
過去に犯した悪行?
そんなものが自分を警戒し続けた理由か。
そのような酷く下らないもので、檀黎斗を、ゲームマスターを――
「神である私を断罪する気にでもなったというのか…?ふざけるなよジューダスゥウウウウウウウウッ!!!天使如きが神を否定するなど、身の程知らずだと分からないのか貴様ァッ!!」
「…それがお前の本性らしいな」
「…それがお前の本性らしいな」
被り続けた善人の仮面は砕け散り、傲慢なゲームマスターの本性が露わになる。
過去の罪を認め、贖罪の為に改めて協力を申し出るなら良い。
罪悪感を感じていなくても、今は争い合う気は無いと利害を持ち出すのならまだ構わない。
しかし結果はそのどちらでもなく、そもそも黎斗は自分が悪だとは微塵も思っていなかった。
この様子では例え過去に大虐殺を引き起こしたとしても、指摘された所で悪びれないだろう。
過去の罪を認め、贖罪の為に改めて協力を申し出るなら良い。
罪悪感を感じていなくても、今は争い合う気は無いと利害を持ち出すのならまだ構わない。
しかし結果はそのどちらでもなく、そもそも黎斗は自分が悪だとは微塵も思っていなかった。
この様子では例え過去に大虐殺を引き起こしたとしても、指摘された所で悪びれないだろう。
「お前が過去に何をやったかなど、知りはしないが」
「なに…?貴様ァ…!神の才能を持つこの私を謀ったのか!不敬なクズめぇっ!!」
「なに…?貴様ァ…!神の才能を持つこの私を謀ったのか!不敬なクズめぇっ!!」
ラブボムの効力で把握可能なのは悪人か否かのみ。
過去の所業を知る力など最初から備わっていない。
鎌を掛けたら見事に相手は釣られ、ご覧の有様という訳だ。
怒り心頭で緑の小箱を取り出す黎斗へ、ジューダスも駆け出すと同時に剣を引き抜く。
律儀に変身を待ってやる必要は無い。
生身の状態ならば自分の動きへ対処は間に合わないと確信、刃が唸り声を上げる。
過去の所業を知る力など最初から備わっていない。
鎌を掛けたら見事に相手は釣られ、ご覧の有様という訳だ。
怒り心頭で緑の小箱を取り出す黎斗へ、ジューダスも駆け出すと同時に剣を引き抜く。
律儀に変身を待ってやる必要は無い。
生身の状態ならば自分の動きへ対処は間に合わないと確信、刃が唸り声を上げる。
「なにっ!?」
だが黎斗も怒りに身を任せ変身を実行したつもりはない。
ジューダスを始末するまたとないチャンスと見ていた故に、相応の前準備は済ませてある。
予め物陰に忍ばせておいたバットショットが妨害に動く。
回転しながら突撃をかます機械仕掛けの蝙蝠に、剣を引き戻し防御。
単なる野生の蝙蝠だったら目もくれずに斬って終わりだったが、相手は仮面ライダーWのサポートメカ。
金属だろうと切断可能な翼にほんの僅かとはいえ足を止めてしまう。
斬り落とした時にはもう遅い。
ジューダスを始末するまたとないチャンスと見ていた故に、相応の前準備は済ませてある。
予め物陰に忍ばせておいたバットショットが妨害に動く。
回転しながら突撃をかます機械仕掛けの蝙蝠に、剣を引き戻し防御。
単なる野生の蝙蝠だったら目もくれずに斬って終わりだったが、相手は仮面ライダーWのサポートメカ。
金属だろうと切断可能な翼にほんの僅かとはいえ足を止めてしまう。
斬り落とした時にはもう遅い。
「変身!」
ガラスにカードデッキを翳し、出現したバックルに装填。
複数の鏡像が重なりカメレオンを思わせる騎士へ変身完了。
少々思っていた展開とは違うが、今になって予定変更は無しだ。
目障りな剣士を殺すべく、着火剛焦を手に斬りかかる。
複数の鏡像が重なりカメレオンを思わせる騎士へ変身完了。
少々思っていた展開とは違うが、今になって予定変更は無しだ。
目障りな剣士を殺すべく、着火剛焦を手に斬りかかる。
変身を待たず制圧という試みの失敗から即座に切り替え、ジューダスもまた双剣を以て迎え撃つ。
もとより戦闘に発展の可能性も視野に入れ、黎斗を問い質した。
明確に自分達の敵だと分かった以上、容赦の必要性はどこにもない。
刀身同士がぶつかり擦れ合う、聞き慣れた死合の音色が鼓膜を撫でる。
もとより戦闘に発展の可能性も視野に入れ、黎斗を問い質した。
明確に自分達の敵だと分かった以上、容赦の必要性はどこにもない。
刀身同士がぶつかり擦れ合う、聞き慣れた死合の音色が鼓膜を撫でる。
『改めて見ても冗談みたいな絵面ですねこれ』
ソーディアンの呟きに内心で同意しつつ、ベルデの得物を弾く。
クリスマス等にピッタリの長いキャンドルが武器。
ふざけているとしか思えないが実際に戦えているのだから、油断は持ち込むべきではない。
気の抜ける見た目でも、群雄割拠の戦国時代にて暗躍した梟が持つ剣の一本。
まさか元は過去の自分に支給された武器とは露知らず、思考を敵の排除だけに回す。
クリスマス等にピッタリの長いキャンドルが武器。
ふざけているとしか思えないが実際に戦えているのだから、油断は持ち込むべきではない。
気の抜ける見た目でも、群雄割拠の戦国時代にて暗躍した梟が持つ剣の一本。
まさか元は過去の自分に支給された武器とは露知らず、思考を敵の排除だけに回す。
双剣と着火剛焦が打ち合い、互いの身へ刃を決して触れさせようとしない。
武器の本数で勝る為、手数はジューダスが上。
なれどベルデのスペックは、剣一本という不利を補うのに十分な性能を持つ。
喉を狙った一撃を防がれたタイミングで、ジューダスは更に一歩踏み込む。
武器の本数で勝る為、手数はジューダスが上。
なれどベルデのスペックは、剣一本という不利を補うのに十分な性能を持つ。
喉を狙った一撃を防がれたタイミングで、ジューダスは更に一歩踏み込む。
「幻影刃!」
自らを魔矢と化したが如き突きは、装甲だろうと貫き砕く勢い。
ダメージ覚悟の迎撃は選択肢から外し、ベルデは武器を翳して防御。
刀身を叩く衝撃が止まった時にはもう、ジューダスの姿は無い。
ダメージ覚悟の迎撃は選択肢から外し、ベルデは武器を翳して防御。
刀身を叩く衝撃が止まった時にはもう、ジューダスの姿は無い。
「そこだ!」
名前の通り標的をすり抜け背後を取るのが幻影刃。
振り返る隙を与えずに、無防備な背中目掛けて再度突きを放つ。
派生技、幻影回帰に敵は何が起きたか知る事も無く倒れる。
振り返る隙を与えずに、無防備な背中目掛けて再度突きを放つ。
派生技、幻影回帰に敵は何が起きたか知る事も無く倒れる。
そんな呆気ない末路を神は断じて認めない。
背後を見ぬままに着火剛焦を振り回し、小癪な害虫を斬り払う。
再度ベルデの真正面へ戻ると、無傷の敵を瞳が捉えた。
仕留められていない落胆を顔に出さず、続けて技を繰り出す。
背後を見ぬままに着火剛焦を振り回し、小癪な害虫を斬り払う。
再度ベルデの真正面へ戻ると、無傷の敵を瞳が捉えた。
仕留められていない落胆を顔に出さず、続けて技を繰り出す。
「双連撃!」
双剣を巧みに操っての四連撃。
威力優先のシャルティエと、スピード優先のパラゾニウム。
互いの短所を補い、長所を最大限に活かした斬撃をもベルデは凌ぎ切る。
防いだと僅かな安堵を見せた時、放つ技は双連衝波。
突き立てられた二本の牙に、堪らず後退するベルデへ攻撃の手は緩めない。
威力優先のシャルティエと、スピード優先のパラゾニウム。
互いの短所を補い、長所を最大限に活かした斬撃をもベルデは凌ぎ切る。
防いだと僅かな安堵を見せた時、放つ技は双連衝波。
突き立てられた二本の牙に、堪らず後退するベルデへ攻撃の手は緩めない。
「千裂虚光閃!」
半円を描き振り上げた剣がベルデを打ち上げる。
刃自体は着火剛焦に阻まれ、装甲へ傷一つ付けられていない。
だが問題無い、本命はここからなのだから。
自然落下を待たず、ベルデに放たれるは無数の突き。
数百もの切っ先が一度に襲い来ると錯覚を抱きかねない、神速と言っても過言ではない勢いだ。
デッキ破壊や致命傷となるものは防ぐも、流石に武器一本では限界がある。
空中へ固定された数秒の間に何度剣が殺到したのか、数えていられる余裕はない。
胸部装甲への一撃を最後にベルデが吹き飛ばされた。
確実に仕留めるべく、受付へ頭から突っ込む騎士を追う。
刃自体は着火剛焦に阻まれ、装甲へ傷一つ付けられていない。
だが問題無い、本命はここからなのだから。
自然落下を待たず、ベルデに放たれるは無数の突き。
数百もの切っ先が一度に襲い来ると錯覚を抱きかねない、神速と言っても過言ではない勢いだ。
デッキ破壊や致命傷となるものは防ぐも、流石に武器一本では限界がある。
空中へ固定された数秒の間に何度剣が殺到したのか、数えていられる余裕はない。
胸部装甲への一撃を最後にベルデが吹き飛ばされた。
確実に仕留めるべく、受付へ頭から突っ込む騎士を追う。
『HOLD VENT』
響く電子音声に足を止めざるを得ず、直後鉄の塊が急接近。
双剣で防ぐも勢いは先程の剣戟の比では無い。
よろけて体勢を崩され、間髪入れずに再度殺意が迫り来る。
エントランスホールを破壊しながら、バイオワンダーが踊り狂う。
双剣で防ぐも勢いは先程の剣戟の比では無い。
よろけて体勢を崩され、間髪入れずに再度殺意が迫り来る。
エントランスホールを破壊しながら、バイオワンダーが踊り狂う。
「ゲームマスターに剣を向け、あまつさえ斬り付けた蛮行の代償は貴様の命で支払え!」
瓦礫を蹴散らし立ち上がったベルデの意のままに、鉄のヨーヨーは敵を刈り取らんと牙を剥く。
ガシャコンバグヴァイザーやガシャコンスパローとはまた違う武器も、この十数時間の戦闘で使い慣れた。
少々癖の強い装備も今となっては自分の手足同然。
真正面から叩き付け、時には死角を狙い四方八方から打ち出される。
防いだ傍から別の方向より飛来するヨーヨーに、ジューダスは防戦一方。
身体能力が上がっていても仮面ライダーのような装甲が無い為、直撃は避けねばなるまい。
ガシャコンバグヴァイザーやガシャコンスパローとはまた違う武器も、この十数時間の戦闘で使い慣れた。
少々癖の強い装備も今となっては自分の手足同然。
真正面から叩き付け、時には死角を狙い四方八方から打ち出される。
防いだ傍から別の方向より飛来するヨーヨーに、ジューダスは防戦一方。
身体能力が上がっていても仮面ライダーのような装甲が無い為、直撃は避けねばなるまい。
「ウィンドスラッシュ!」
剣を振り回すだけがジューダスの全てでは無い。
晶術を使いベルデの周囲に真空の刃を発生。
突出した威力は持たないが、下級晶術の中では隙が小さく扱い易い。
緑の装甲を叩き火花が散る。
無論この程度で破壊は不可能であれど、多少なりとも怯ませられれば十分。
バイオワンダーを操る手が止まり、すかさず晶術を発動。
発生した真空の刃は先程よりも数が倍。
スラストファングが全身を痛め付け、ベルデに立て直しの機会を与えない。
晶術を使いベルデの周囲に真空の刃を発生。
突出した威力は持たないが、下級晶術の中では隙が小さく扱い易い。
緑の装甲を叩き火花が散る。
無論この程度で破壊は不可能であれど、多少なりとも怯ませられれば十分。
バイオワンダーを操る手が止まり、すかさず晶術を発動。
発生した真空の刃は先程よりも数が倍。
スラストファングが全身を痛め付け、ベルデに立て直しの機会を与えない。
「月閃光!」
三日月を描いた斬撃を繰り出し、股から頭頂部までを真っ二つ。
なれど切り裂いた手応えは無く、振り上げた剣は胴体を走るより早く止められた。
バイオワンダーを手元に戻し盾に使ったと、気付いた時には視界を赤が遮る。
後退し着火剛焦を回避、距離を取ったのはベルデにとって好都合。
なれど切り裂いた手応えは無く、振り上げた剣は胴体を走るより早く止められた。
バイオワンダーを手元に戻し盾に使ったと、気付いた時には視界を赤が遮る。
後退し着火剛焦を回避、距離を取ったのはベルデにとって好都合。
「頭に乗るのはそこまでにしろ!」
『GUARD VENT』
バイオワンダーを投げ捨て、新たにカードを引き抜く。
召喚機に読み込ませると、空中から盾が飛来。
放送前、強制的に契約を結んだモンスターの力の一つだ。
両肩にドラグシールドを装着、前面に押し出す体勢で突進を繰り出す。
召喚機に読み込ませると、空中から盾が飛来。
放送前、強制的に契約を結んだモンスターの力の一つだ。
両肩にドラグシールドを装着、前面に押し出す体勢で突進を繰り出す。
破れかぶれにも見える一撃だが、ライダーの身体機能による勢いが加われば間違いなく脅威だ。
ましてリュウガのドラグシールドは龍騎以上の強度を誇る。
真正面から受け止めようものなら、枯れ葉のように吹き飛ばされるだけ。
馬鹿正直に真っ向勝負を挑みはせず、地を蹴り回避。
ベルデの頭上を取り、真下へとシャルティエを突き刺す。
脳天串刺しの末路を迎えたので無い、翳された黒い盾がそう伝えて来る。
攻撃の空振り直後だというのに、隙を作らぬ反応速度。
むしろここまで計算済みとでも言わんばかりに、流れるような動きでカードを装填。
電子音声が次なる攻撃を知らせる。
ましてリュウガのドラグシールドは龍騎以上の強度を誇る。
真正面から受け止めようものなら、枯れ葉のように吹き飛ばされるだけ。
馬鹿正直に真っ向勝負を挑みはせず、地を蹴り回避。
ベルデの頭上を取り、真下へとシャルティエを突き刺す。
脳天串刺しの末路を迎えたので無い、翳された黒い盾がそう伝えて来る。
攻撃の空振り直後だというのに、隙を作らぬ反応速度。
むしろここまで計算済みとでも言わんばかりに、流れるような動きでカードを装填。
電子音声が次なる攻撃を知らせる。
『AD VENT』
破壊を免れたガラスの表面が波打ち、怪物出現の合図となった。
黒龍型ミラーモンスター、ドラグブラッカーがミラーワールドより出現。
望まぬ契約と言えども、餌を寄越されるなら逆らう気はない。
真紅の瞳が今宵の馳走をしかと捉え、一飲みにせんと迫り来る。
黒龍型ミラーモンスター、ドラグブラッカーがミラーワールドより出現。
望まぬ契約と言えども、餌を寄越されるなら逆らう気はない。
真紅の瞳が今宵の馳走をしかと捉え、一飲みにせんと迫り来る。
「チッ…!」
獣の夕食になる最期などお断りだ。
純白の翼を広げ浮上、足に噛み付こうとして牙を打ち鳴らすだけに終わった黒龍を見下ろす。
とはいえ飛行能力はジューダスだけの特権じゃあない。
空中というステージはドラグブラッカーにとって、恰好の狩り場。
長い体で宙を泳ぎ、黒い天使を叩き落とす尾が振るわれた。
自らを巨大な鞭と化した一撃、威力もさることながら速度も巨体と不釣り合いに速い。
月閃光で打ち返すも、勢いまでは殺し切れず後方へと引っ張られる。
翼をコントロールし壁に激突を防ぐや否や、眼前には口を広げたドラグブラッカーの姿が。
急下降することで避け、頭上では獲物を見失った黒龍が頭から壁に突っ込んだ。
瓦礫が床へ積み重なるのを呑気に眺める暇は無い、敵は空中の黒龍一体だけではないのだから。
純白の翼を広げ浮上、足に噛み付こうとして牙を打ち鳴らすだけに終わった黒龍を見下ろす。
とはいえ飛行能力はジューダスだけの特権じゃあない。
空中というステージはドラグブラッカーにとって、恰好の狩り場。
長い体で宙を泳ぎ、黒い天使を叩き落とす尾が振るわれた。
自らを巨大な鞭と化した一撃、威力もさることながら速度も巨体と不釣り合いに速い。
月閃光で打ち返すも、勢いまでは殺し切れず後方へと引っ張られる。
翼をコントロールし壁に激突を防ぐや否や、眼前には口を広げたドラグブラッカーの姿が。
急下降することで避け、頭上では獲物を見失った黒龍が頭から壁に突っ込んだ。
瓦礫が床へ積み重なるのを呑気に眺める暇は無い、敵は空中の黒龍一体だけではないのだから。
「神である私を見下ろすなど許さん!地に落ちて跪けィッ!!」
傲慢な怒声と共に銃弾が放たれ、ジューダスへと殺到。
元は承太郎に支給されたMP40が軽快な銃声を奏でる。
本来であればネウロイ相手に撃った銃を、人間を殺す為に使う。
数時間前に脱落したウィッチが知れば憤るだろうが、神を名乗るゲームマスターには関係無い。
黒に隠された少女の柔肌を食い千切る、鉄の雨をジューダスも無視出来ない。
仮面ライダーのような装甲を纏っているならまだしも、一発当たるだけでも危険だ。
致命傷を避けたとて、出血により体力が奪われればこちらの勝機は遠のく。
幸い対処可能な得物と能力の二つが自分にはある。
双剣で優先度の高いものから弾き落とし、時には飛び回って回避に集中。
元は承太郎に支給されたMP40が軽快な銃声を奏でる。
本来であればネウロイ相手に撃った銃を、人間を殺す為に使う。
数時間前に脱落したウィッチが知れば憤るだろうが、神を名乗るゲームマスターには関係無い。
黒に隠された少女の柔肌を食い千切る、鉄の雨をジューダスも無視出来ない。
仮面ライダーのような装甲を纏っているならまだしも、一発当たるだけでも危険だ。
致命傷を避けたとて、出血により体力が奪われればこちらの勝機は遠のく。
幸い対処可能な得物と能力の二つが自分にはある。
双剣で優先度の高いものから弾き落とし、時には飛び回って回避に集中。
片方のみに意識を割いていられないのが此度の闘争だ。
頭部を振って目障りな瓦礫を振り払い、ドラグブラッカーがまたもや襲来。
大きく開けた口は雄叫びを上げ、獲物を飲み込むだけが役割じゃあない。
喉の奥で灼熱が蠢き、黒い炎と化し放たれる。
急激に周囲の熱さが上昇しジューダスは異変を察知、ガラスを突っ切って外へ飛び出した。
頭部を振って目障りな瓦礫を振り払い、ドラグブラッカーがまたもや襲来。
大きく開けた口は雄叫びを上げ、獲物を飲み込むだけが役割じゃあない。
喉の奥で灼熱が蠢き、黒い炎と化し放たれる。
急激に周囲の熱さが上昇しジューダスは異変を察知、ガラスを突っ切って外へ飛び出した。
『坊ちゃん後ろ!』
言われるまでも無く敵意を察知、シャルティエを振るって対処。
弾かれたバイオワンダーと入れ替わりにドラグブラッカーが接近。
背後には得物を振り被る緑の騎士がおり、モンスターと契約者の連携で追い詰める気らしい。
しかし数の不利程度で勝ちを譲る気は毛頭ない。
何人いようと剣の錆に変えるまで。
弾かれたバイオワンダーと入れ替わりにドラグブラッカーが接近。
背後には得物を振り被る緑の騎士がおり、モンスターと契約者の連携で追い詰める気らしい。
しかし数の不利程度で勝ちを譲る気は毛頭ない。
何人いようと剣の錆に変えるまで。
「プリズムフラッシャ!」
虹色の剣が降り注ぎ、黒龍の巨体に突き刺さる。
痛みに堪らずミラーワールドへ引き返す下僕の横では、火花を散らすベルデが見えた。
バイオワンダーを取り落とし、舌打ち交じりにカードを引き抜く。
痛みに堪らずミラーワールドへ引き返す下僕の横では、火花を散らすベルデが見えた。
バイオワンダーを取り落とし、舌打ち交じりにカードを引き抜く。
『SWORD VENT』
使える武器はまだ他にもある。
ドラグブラッカーの尾を模した青龍刀、ドラグセイバーを掴み取った。
元から持っていた着火剛焦と合わせ、ジューダスに対抗するような双剣が完成。
破壊されたエントランスホールを背に跳躍、交差させた剣を振り下ろす。
ドラグブラッカーの尾を模した青龍刀、ドラグセイバーを掴み取った。
元から持っていた着火剛焦と合わせ、ジューダスに対抗するような双剣が完成。
破壊されたエントランスホールを背に跳躍、交差させた剣を振り下ろす。
数秒にも満たない思案の後、ジューダスが選んだのは回避。
飛連斬で迎え撃つ選択もあったが、斬り落としの勢いを考えれば悪手。
後退直後に地面へ十字状の破壊痕が刻まれ、判断が正しかったと思い知る。
ドラグブラッカーが召喚するドラグセイバーは、龍騎の剣よりもAPが上。
加えて今しがたベルデがやったのはドラグセイバーで最も威力を出す技、龍舞斬だ。
飛連斬で迎え撃つ選択もあったが、斬り落としの勢いを考えれば悪手。
後退直後に地面へ十字状の破壊痕が刻まれ、判断が正しかったと思い知る。
ドラグブラッカーが召喚するドラグセイバーは、龍騎の剣よりもAPが上。
加えて今しがたベルデがやったのはドラグセイバーで最も威力を出す技、龍舞斬だ。
「シャドウエッジ!」
足元から暗黒の剣が生えた時には、既にベルデは駆け出した後。
霧散する晶術の刃には目もくれず、急所を狙って双剣が襲い来る。
リーチこそ違えど、対抗するのもまた二振りの剣。
ドラグセイバーをシャルティエが弾き、パラゾニウムの突きを着火剛焦が防ぐ。
短剣を押し返した蝋燭が横薙ぎに振るわれ、焼けるような熱さが発生。
否、ようなではなく本当に炎の斬撃を蝋燭が放っているではないか。
霧散する晶術の刃には目もくれず、急所を狙って双剣が襲い来る。
リーチこそ違えど、対抗するのもまた二振りの剣。
ドラグセイバーをシャルティエが弾き、パラゾニウムの突きを着火剛焦が防ぐ。
短剣を押し返した蝋燭が横薙ぎに振るわれ、焼けるような熱さが発生。
否、ようなではなく本当に炎の斬撃を蝋燭が放っているではないか。
見ればいつの間にやら先端部分に火が付いている。
よもやあんな微かな灯火が理由なのかと疑うも、実際その通りだ。
着火剛焦は名前の通り着火する事で、斬撃に火属性追加の特性を持つ。
ついさっきドラグブラッカーが放った火炎ブレスが偶然にも掠め、効果を発揮。
ベルデにも少々予想外だが、不利を引き起こすのでは無い為良しとして攻撃を続けた。
よもやあんな微かな灯火が理由なのかと疑うも、実際その通りだ。
着火剛焦は名前の通り着火する事で、斬撃に火属性追加の特性を持つ。
ついさっきドラグブラッカーが放った火炎ブレスが偶然にも掠め、効果を発揮。
ベルデにも少々予想外だが、不利を引き起こすのでは無い為良しとして攻撃を続けた。
戦闘開始直後へ戻ったように繰り広げられる剣戟。
違うのはベルデの得物の数と、常に発生する猛烈な熱さか。
違うのはベルデの得物の数と、常に発生する猛烈な熱さか。
(こいつ……)
間近で燃え盛る炎にも集中力を乱さず、ジューダスは十数度目の打ち合いで確信を抱く。
ベルデの強さが明らかに増している。
直接剣を交えずとも、共闘という形でベルデが戦う様子は確認出来た。
現在のベルデは過去二度の戦闘時以上に動きのキレが増し、装甲の耐久性も上だろう。
何が原因で強化されたのか、自分が見ていない間に何をしたのか。
疑問の答えを素直に返すと期待はしてないので、一々尋ねるつもりは皆無。
それに分かったのはもう一つ、スペックこそ上がっていても剣術は自分に及ばない。
動きを見る限り戦い慣れてはいる、それは確か。
しかし剣筋は、ソーディアンマスターのそれと比べれば粗が目立つ。
ジューダス自身は勿論、過去の彼を打ち破ったスタン・エルロンの方が遥かに強かった。
ベルデの強さが明らかに増している。
直接剣を交えずとも、共闘という形でベルデが戦う様子は確認出来た。
現在のベルデは過去二度の戦闘時以上に動きのキレが増し、装甲の耐久性も上だろう。
何が原因で強化されたのか、自分が見ていない間に何をしたのか。
疑問の答えを素直に返すと期待はしてないので、一々尋ねるつもりは皆無。
それに分かったのはもう一つ、スペックこそ上がっていても剣術は自分に及ばない。
動きを見る限り戦い慣れてはいる、それは確か。
しかし剣筋は、ソーディアンマスターのそれと比べれば粗が目立つ。
ジューダス自身は勿論、過去の彼を打ち破ったスタン・エルロンの方が遥かに強かった。
「飛連斬!」
ならば負ける理由は無い、勝ちを譲る道理などありはしない。
敵の双剣を受け流し、すり抜けるように装甲へ走らせる。
対空能力を持った二連撃に、ベルデ本人の意思とは無関係に体が浮く。
敵の双剣を受け流し、すり抜けるように装甲へ走らせる。
対空能力を持った二連撃に、ベルデ本人の意思とは無関係に体が浮く。
追撃の為に跳躍、空中で斬りかかる。
反射的に防御の構えを取るも、僅かな差でジューダスの速さが勝った。
刃に撫でられた装甲が悲鳴を上げ、ベルデは地面へ落下。
どうにか受け身を取ろうとしたが敵の攻撃は続いている、着地と同時の斬り上げが見事命中。
反射的に防御の構えを取るも、僅かな差でジューダスの速さが勝った。
刃に撫でられた装甲が悲鳴を上げ、ベルデは地面へ落下。
どうにか受け身を取ろうとしたが敵の攻撃は続いている、着地と同時の斬り上げが見事命中。
「ぐっ…!おのれぇ…!!」
傷の痛みを圧倒的な怒りが上回り、怯むよりも次の手に出る方を優先させた。
分かっていたがやはり簡単に殺せる相手ではない。
忌々しいことこの上なくとも、強さだけは認める他ないだろう。
だがそれでも勝つのは、最後に笑うのは自分を置いて存在しない。
神へ逆らう下賤な輩への苛立ちを乗せ、召喚機にカードを差し込む。
分かっていたがやはり簡単に殺せる相手ではない。
忌々しいことこの上なくとも、強さだけは認める他ないだろう。
だがそれでも勝つのは、最後に笑うのは自分を置いて存在しない。
神へ逆らう下賤な輩への苛立ちを乗せ、召喚機にカードを差し込む。
『AD VENT』
読み取ったカードの効果は先程同様、契約したミラーモンスターの召喚。
但し今度はドラグブラッカーではない、ベルデが元々従える異形がミラーワールドより現れる。
但し今度はドラグブラッカーではない、ベルデが元々従える異形がミラーワールドより現れる。
「っ…!」
死角からの脅威を察知し剣を翳し、刀身へ衝撃が叩き込まれた。
足が地面を離れ、あわや激突の寸前に翼を展開。
歯を食い縛ってどうにか止まり、睨み付けた先にはジューダスを殴り飛ばした原因が突っ立っている。
敵の正体を確かめ、思わず訝し気に目を細めた。
ベルデが使役するモンスターが、数時間前とは別の存在に見えたのだ。
足が地面を離れ、あわや激突の寸前に翼を展開。
歯を食い縛ってどうにか止まり、睨み付けた先にはジューダスを殴り飛ばした原因が突っ立っている。
敵の正体を確かめ、思わず訝し気に目を細めた。
ベルデが使役するモンスターが、数時間前とは別の存在に見えたのだ。
真横に出っ張った両目、ベルデの装甲を生物的に変化させたような胴体。
痣の少年との戦闘時に見たのと同じ部分が無いわけじゃあない。
では、斑模様と化した半身は何だ。
丸めた尾とは別に、地面へ垂らされたもう一本の尾は何だ。
両手の三本指から生えた、猛獣の如き爪は何なのだ。
カメレオンだけではなく豹の特徴も兼ね備えた、歪な生物が唸り声を上げる。
痣の少年との戦闘時に見たのと同じ部分が無いわけじゃあない。
では、斑模様と化した半身は何だ。
丸めた尾とは別に、地面へ垂らされたもう一本の尾は何だ。
両手の三本指から生えた、猛獣の如き爪は何なのだ。
カメレオンだけではなく豹の特徴も兼ね備えた、歪な生物が唸り声を上げる。
ジューダスは勿論、ベルデからしてもバイオグリーザの変化は思ってもみなかった。
ライダーとしての基本スペック上昇は実感していたが、まさか契約モンスターにまでこのような影響が表れるとは。
理由もなしにこうなったのでは無い。
全ては放送前に食らった参加者と、その者が己の糧とした果実が原因だ。
ライダーとしての基本スペック上昇は実感していたが、まさか契約モンスターにまでこのような影響が表れるとは。
理由もなしにこうなったのでは無い。
全ては放送前に食らった参加者と、その者が己の糧とした果実が原因だ。
シャーロット・リンリンという海賊がいた。
新世界に君臨する四人の皇帝、その一人として海軍や市民はおろか、同業者や果ては自身の海賊団にまで恐れられた女王。
ビッグ・マムの名を聞き恐れぬ者は、それこそ同じ皇帝である男達くらいのもの。
ワノ国で最悪の世代に敗れるまで、絶対的な伝説として君臨し続けた。
そんなリンリンも偉大なる航路の数多の船乗り同様、悪魔の実の能力者である。
ソルソルの実。他者の命を奪い取り、無機物や動植物を支配下に置く超人系悪魔の実の一種。
災害の如きリンリンの強さを象徴する力の一つ。
但し、実際のところリンリン自身がソルソルの実を口にし能力を手に入れたのではない。
新世界に君臨する四人の皇帝、その一人として海軍や市民はおろか、同業者や果ては自身の海賊団にまで恐れられた女王。
ビッグ・マムの名を聞き恐れぬ者は、それこそ同じ皇帝である男達くらいのもの。
ワノ国で最悪の世代に敗れるまで、絶対的な伝説として君臨し続けた。
そんなリンリンも偉大なる航路の数多の船乗り同様、悪魔の実の能力者である。
ソルソルの実。他者の命を奪い取り、無機物や動植物を支配下に置く超人系悪魔の実の一種。
災害の如きリンリンの強さを象徴する力の一つ。
但し、実際のところリンリン自身がソルソルの実を口にし能力を手に入れたのではない。
元々ソルソルの実は幼少時のリンリンを育てた老婆、マザー・カルメルの能力だった。
何故悪魔の実を食べていないにも関わらず、リンリンはマザー・カルメルと同じ能力を使えるようになったのか。
切っ掛けとなったのは彼女の6歳の誕生日に起きた事件。
当時マザー・カルメルが経営していた孤児院、羊の家で行われたリンリンの誕生日パーティー。
用意された大好物の菓子をリンリンが夢中で頬張り、気が付いた時には彼女一人を残しマザー・カルメルは他の子供達と共に失踪。
リンリンがソルソルの実の力を使えるようになったのは、この日以降の事。
何故マザー・カルメル達が姿を消したのか、60年以上経ってもリンリンは真実を知らない。
一部始終を目撃したシュトロイゼンは今に至るまで隠し続け、巨人達は恐怖でリンリンとの関りを避ける始末。
何故悪魔の実を食べていないにも関わらず、リンリンはマザー・カルメルと同じ能力を使えるようになったのか。
切っ掛けとなったのは彼女の6歳の誕生日に起きた事件。
当時マザー・カルメルが経営していた孤児院、羊の家で行われたリンリンの誕生日パーティー。
用意された大好物の菓子をリンリンが夢中で頬張り、気が付いた時には彼女一人を残しマザー・カルメルは他の子供達と共に失踪。
リンリンがソルソルの実の力を使えるようになったのは、この日以降の事。
何故マザー・カルメル達が姿を消したのか、60年以上経ってもリンリンは真実を知らない。
一部始終を目撃したシュトロイゼンは今に至るまで隠し続け、巨人達は恐怖でリンリンとの関りを避ける始末。
しかしバトルロワイアルで、この事件の答えを示す様な現象が起きた。
それこそがバイオグリーザに起きた変化。
豹を思わせる肉体の特徴は、ネコネコの実による影響が表れた為。
殺し合いにおいてネコネコの実を食べた鬼舞辻無惨を、今度はバイオグリーザが喰らった事で実の能力を引き継いだのだ。
ミラーモンスターという特殊な生物だからか、或いはリンリンの過去の真相も同じなのか。
どちらが正しいにせよ、これらの情報をジューダスが知る由は無い。
それこそがバイオグリーザに起きた変化。
豹を思わせる肉体の特徴は、ネコネコの実による影響が表れた為。
殺し合いにおいてネコネコの実を食べた鬼舞辻無惨を、今度はバイオグリーザが喰らった事で実の能力を引き継いだのだ。
ミラーモンスターという特殊な生物だからか、或いはリンリンの過去の真相も同じなのか。
どちらが正しいにせよ、これらの情報をジューダスが知る由は無い。
自身を苛む空腹に急かされ、バイオグリーザがジューダスへと迫る。
腹を満たす肉が目の前にあるのだ、攻撃に躊躇は微塵も必要ない。
元々有する人間以上の脚力は、ネコネコの実の影響か更に速さを増していた。
多少の距離をあっという間に詰め両腕を伸ばす。
爪で引き千切り、骨まで喰らい尽くすつもりだろう。
腹を満たす肉が目の前にあるのだ、攻撃に躊躇は微塵も必要ない。
元々有する人間以上の脚力は、ネコネコの実の影響か更に速さを増していた。
多少の距離をあっという間に詰め両腕を伸ばす。
爪で引き千切り、骨まで喰らい尽くすつもりだろう。
「ストーンザッパー!」
餌になるなど御免だ。
頭部目掛けて石斧が飛来、普通の生物なら死亡ないし重傷は確実。
生憎ミラーモンスターは普通の範疇に収まらない。
鬱陶し気に片手を振るい、それだけで石斧は無数の破片と化す。
頭部目掛けて石斧が飛来、普通の生物なら死亡ないし重傷は確実。
生憎ミラーモンスターは普通の範疇に収まらない。
鬱陶し気に片手を振るい、それだけで石斧は無数の破片と化す。
少しでも動きを止められたなら上出来、双剣を操り技を以て仕留める。
が、攻撃の中断を目論むのは敵も同じだ。
MP40が火を吹き銃弾が殺到、バイオグリーザからそちらの対処に移らざるを得ない。
数秒の間に弾は尽き、予備の弾倉と交換するベルデが見えたのも束の間。
今度は自分の番とばかりに6本の爪が間近に迫り、地を蹴り後方へ跳ぶ。
避け切れず赤い雫が滴り落ちる。
が、攻撃の中断を目論むのは敵も同じだ。
MP40が火を吹き銃弾が殺到、バイオグリーザからそちらの対処に移らざるを得ない。
数秒の間に弾は尽き、予備の弾倉と交換するベルデが見えたのも束の間。
今度は自分の番とばかりに6本の爪が間近に迫り、地を蹴り後方へ跳ぶ。
避け切れず赤い雫が滴り落ちる。
「丁度良い。これの力を貴様に味合わせてやろう」
ジューダスは技や晶術で手数に優れているが、武器の豊富さならベルデも負けてはいない。
デイパックから取り出した赤い石、空の世界において召喚石と呼ばれるものを掲げる。
ベルデの意思に応じて現れる巨大な土偶。
街で猛威を振るった巨人にも引けを取らない生物兵器、ドグーは此度も悪しき参加者の傀儡として召喚された。
開閉した胸部にエネルギーを収束、巨体に相応しいサイズのレーザーを放つ。
デイパックから取り出した赤い石、空の世界において召喚石と呼ばれるものを掲げる。
ベルデの意思に応じて現れる巨大な土偶。
街で猛威を振るった巨人にも引けを取らない生物兵器、ドグーは此度も悪しき参加者の傀儡として召喚された。
開閉した胸部にエネルギーを収束、巨体に相応しいサイズのレーザーを放つ。
『坊ちゃんあれは…!いや本当に何ですかあれ!?』
「知るか!」
「知るか!」
まさか短時間で二度も規格外のサイズの敵に襲われるとは。
ソーディアンへの雑な返しもそこそこに、急ぎ回避へ動かねばなるまい。
エネルギーを掻き集めた時点で、大規模な攻撃が来ると分かった。
アレを真正面から迎え撃つのは無謀以外の何物でもない。
ソーディアンへの雑な返しもそこそこに、急ぎ回避へ動かねばなるまい。
エネルギーを掻き集めた時点で、大規模な攻撃が来ると分かった。
アレを真正面から迎え撃つのは無謀以外の何物でもない。
『STRIKE VENT』
尤もベルデがそれを黙って見過ごすかはまた別の話。
ミラーワールドを飛び出し再び黒龍が出現。
右腕にはドラグブラッカーの頭部を模したガントレット、ドラグクローを装着。
標的へ向けて構え、背後の黒龍が5000°の火球を発射する。
ミラーワールドを飛び出し再び黒龍が出現。
右腕にはドラグブラッカーの頭部を模したガントレット、ドラグクローを装着。
標的へ向けて構え、背後の黒龍が5000°の火球を発射する。
「くっ…!」
火炎と光線、どちらで消し炭にされるか。
両方お断りだ、地上を飛び退き火球を避ける。
足元を高熱の塊が通り過ぎ、示し合わせたようなタイミングでレーザーが放たれた。
回避直後で硬直した全身を無理やりにでも動かす。
体中の筋肉が悲鳴を上げるも黙殺、辛うじて直撃は回避成功。
但し、ドグーの攻撃は掠っただけでも効果を発揮する凶悪な性能だった。
両方お断りだ、地上を飛び退き火球を避ける。
足元を高熱の塊が通り過ぎ、示し合わせたようなタイミングでレーザーが放たれた。
回避直後で硬直した全身を無理やりにでも動かす。
体中の筋肉が悲鳴を上げるも黙殺、辛うじて直撃は回避成功。
但し、ドグーの攻撃は掠っただけでも効果を発揮する凶悪な性能だった。
「な、に?」
唐突に体勢が崩れ、地面へ真っ逆様。
翼を動かそうにもどういう訳か、ピクリとも反応しない。
そればかりか背中が異様に重いのは何故。
落下中に振り向くと理由はすぐに分かった。
これまで幾度も戦闘の支えになった翼が二枚とも、石になっているからだ。
翼を動かそうにもどういう訳か、ピクリとも反応しない。
そればかりか背中が異様に重いのは何故。
落下中に振り向くと理由はすぐに分かった。
これまで幾度も戦闘の支えになった翼が二枚とも、石になっているからだ。
サーヴァントの肉体すらも石化した光線だ、ラブボムで得た力だろうと関係無い。
飛行能力を封じられた事実に戦慄するのは後回し。
地面への激突だけは回避するべく、苦しい体勢ながらどうにか受け身は取る。
背中の重さにふらつき、間髪入れずに脅威が接近。
双剣の防御も今回ばかりは一手遅い、ドラグクローに殴り飛ばされた。
飛行能力を封じられた事実に戦慄するのは後回し。
地面への激突だけは回避するべく、苦しい体勢ながらどうにか受け身は取る。
背中の重さにふらつき、間髪入れずに脅威が接近。
双剣の防御も今回ばかりは一手遅い、ドラグクローに殴り飛ばされた。
「がっ…!?」
打撃武器としても優秀な強度を叩き込まれ、平然さを保ってはいられない。
地面を転がり、衝撃で翼は砕け散る。
都合良く新しい翼が生えて来る、なんて展開が起きる筈も無く。
これで本当に飛行能力は失われてしまった。
地面を転がり、衝撃で翼は砕け散る。
都合良く新しい翼が生えて来る、なんて展開が起きる筈も無く。
これで本当に飛行能力は失われてしまった。
血を吐きながら立ち上がるも、その動きは鈍い。
これまでの戦闘と言い、天使化が無ければとっくに死んでいたに違いない。
梃子摺らされた怨敵の惨めな姿に、ベルデは見せ付けるような仕草でカードを取り出す。
これまでの戦闘と言い、天使化が無ければとっくに死んでいたに違いない。
梃子摺らされた怨敵の惨めな姿に、ベルデは見せ付けるような仕草でカードを取り出す。
「神である私からせめてもの情けだ、環いろはと同じ場所へ送ってやろう」
「…いろは達はお前が殺したのか?」
「勘違いするな、少なくとも彼女については違う。あれ程の扱い易い者を失ったのは惜しかったがな」
「…いろは達はお前が殺したのか?」
「勘違いするな、少なくとも彼女については違う。あれ程の扱い易い者を失ったのは惜しかったがな」
仮面で隠れても、傲慢な笑みを浮かべているのが嫌でも分かる。
リトの死を悲しみ、気遣う素振りを度々見せた頼れる大人の男。
所詮そんなものは醜悪な本性を隠す、ハリボテに過ぎなかったらしい。
本心を偽る必要が無くなり興が乗ったのか、いつでも殺せるという余裕の表れか。
聞いてもいないのに口が回り出す。
リトの死を悲しみ、気遣う素振りを度々見せた頼れる大人の男。
所詮そんなものは醜悪な本性を隠す、ハリボテに過ぎなかったらしい。
本心を偽る必要が無くなり興が乗ったのか、いつでも殺せるという余裕の表れか。
聞いてもいないのに口が回り出す。
「ゲームマスターの復活を妨げる貴様の計画も実現しない。全員等しく神の礎になり、私の手で究極のゲームが完成する!それこそが正しい歴史の姿だァ!」
パラドが作った紛い物の仮面ライダークロニクルが広まった世界など、断じて認められない。
バトルロワイアルとは即ち、神である自分が真に復活を果たす為の踏み台。
他の参加者など、神の為に命を捧げて当然の連中。
自らの才能に何の疑いも抱いていない男の言葉へ、ジューダスは激昂するでもなく静かに呟きを漏らす。
バトルロワイアルとは即ち、神である自分が真に復活を果たす為の踏み台。
他の参加者など、神の為に命を捧げて当然の連中。
自らの才能に何の疑いも抱いていない男の言葉へ、ジューダスは激昂するでもなく静かに呟きを漏らす。
「哀れだな、お前」
「なにィ!?」
「なにィ!?」
言動から察するに、この男は常人とは一線を画す頭脳の持ち主なのだろう。
ジューダスの仲間にも一人、天才と呼ぶに相応しい女がいた。
その上で断言してもいい、黎斗は彼女の足元にも及ばない。
兄の死を変えられる、家族を助けられると分かっても歴史改変の選択を蹴った。
自分の都合で歴史を捻じ曲げる馬鹿にはならないと言ってのけた彼女に比べれば、目の前の男など只の身勝手な悪党だ。
ジューダスの仲間にも一人、天才と呼ぶに相応しい女がいた。
その上で断言してもいい、黎斗は彼女の足元にも及ばない。
兄の死を変えられる、家族を助けられると分かっても歴史改変の選択を蹴った。
自分の都合で歴史を捻じ曲げる馬鹿にはならないと言ってのけた彼女に比べれば、目の前の男など只の身勝手な悪党だ。
「まぁ、ある意味お前のような奴には神が相応しいのかもしれんが」
人間の幸福を勝手に決め付け、頼んでもいない救済を押し付ける。
それこそ自分達の都合で、人が歩んだ歴史をも歪ませ悪びれもしない。
ジューダスの知る神とはそういう連中だった。
それならむしろ、黎斗が神を名乗るのにも納得はいく。
それこそ自分達の都合で、人が歩んだ歴史をも歪ませ悪びれもしない。
ジューダスの知る神とはそういう連中だった。
それならむしろ、黎斗が神を名乗るのにも納得はいく。
「……ふん、その減らず口は死んで治すしかないな」
『FINAL VENT』
つまらない挑発と受け取ったのか、不愉快気に吐き捨てる。
無駄にお喋りを長引かせる理由も無い、必殺のカードを召喚機に装填。
バイオバイザーが告げるは勝負を決める技の発動。
鬼の始祖に放ったのとは違う、黒龍の力を選択。
ドラグブラッカーが空高くへと舞い上がり、重力を無視しベルデも浮上して準備は整った。
無駄にお喋りを長引かせる理由も無い、必殺のカードを召喚機に装填。
バイオバイザーが告げるは勝負を決める技の発動。
鬼の始祖に放ったのとは違う、黒龍の力を選択。
ドラグブラッカーが空高くへと舞い上がり、重力を無視しベルデも浮上して準備は整った。
工程に違いこそあるが、放つのは龍騎同様ドラゴンライダーキック。
但しAPは他のカードのように龍騎を上回る。
それはカードを使うライダーがリュウガではなく、ベルデであっても変わらない。
まして今のベルデはバイオグリーザが取り込んだいのちのたまの影響で、元の変身者以上のスペックを誇る。
ジューダスと言えども直撃すれば死は免れない、強力無比な蹴り技だ。
但しAPは他のカードのように龍騎を上回る。
それはカードを使うライダーがリュウガではなく、ベルデであっても変わらない。
まして今のベルデはバイオグリーザが取り込んだいのちのたまの影響で、元の変身者以上のスペックを誇る。
ジューダスと言えども直撃すれば死は免れない、強力無比な蹴り技だ。
「さあ、神の裁きを受け入れるがいい!」
翼をもがれた天使を見下ろす様は、暴虐な神を絵に描いたかのよう。
従える邪悪な龍が標的をしかと捉え、黒炎を真正面のライダーに放つ。
血迷ったのでも逆らったのでもない、炎はベルデにとっての力となり急加速。
火炎の勢いを味方に付けた蹴りに貫かれ、天使は二度と空を見る事無く力尽きる。
望む光景を現実のものとするべく、ジューダスへと足底が叩き込まれんとし――
従える邪悪な龍が標的をしかと捉え、黒炎を真正面のライダーに放つ。
血迷ったのでも逆らったのでもない、炎はベルデにとっての力となり急加速。
火炎の勢いを味方に付けた蹴りに貫かれ、天使は二度と空を見る事無く力尽きる。
望む光景を現実のものとするべく、ジューダスへと足底が叩き込まれんとし――
『FINAL ATTACK RIDE DE・DE・DE DECADE!』
.