LAST RESORT 過去ログ.5Vs."0"②

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――― Vs. 【第0調査兵団 / ゼレオロス帝国『客人』】 マールーシャ ―――




マールーシャ「これは純粋に喜んでもらっていいのだがね、私はレギュレイターの中でも特に評価しているのが四人ほどいるのだよ。何処かのコミックで見た表現をするのなら「特記戦力」とでも表現すればいいのかね。尤も私の場合は基本的に「戦闘力」で選んだのだが……」

マールーシャ「まず一人は、我らが第0の団長たる『 ティネル・カルロウ 』。あんなもの(レギュレロイド)を持ち出して来るとはね。単純な戦力もさることながら、彼女は出来る子だよ。……あっちに行った奴がまんまと斬られもしたようだからね」

マールーシャ「最も彼女はもう脅威にならんが(今起きていることを示唆するように、そう言い放つ)」

アレックス・ディノ「くっ!!(会話に耳を貸さず、先制で蹴りを突き出し、それに続いて流れるようにサーベルを振るい追撃)」

アレックス・ディノ「(この口ぶりから察するに……やはりラステルムでは……!!)」

マールーシャ「落ち着きたまえよ(舞う花弁と共にゆらり、ゆらりと蹴りを、斬撃を躱しながら、鎌の柄を引っ掛けるようにして迫り)敵がわざわざ自分語りしているんだ。その気にさせて情報を引き出すだとか、そういう算段は働かないのかい?」

マールーシャ「それともそんな余裕がないかな、今の君には(いつの間にか花弁が舞い、アレックスの背中に彼が寄りかかる)」

アレックス・ディノ「チィ!!(速い!花弁という目印はあるがあまりに動作が速すぎる!)」

アレックス・ディノ「うおおおおッ!!(振り返りながら回し蹴りを一閃、そのままもう片方でも蹴りつける)」

マールーシャ「話の続きをしよう(アレックスの蹴りがマールーシャのいた空間に吸い込まれた時には、既にそこには散る花弁以外存在しなかった)」

マールーシャ「彼女のことまでは話したかな?若いのによくやる、才女だよ彼女は(消えた実体は上空に出現。鎌に腰かけ浮かんでいる)」

マールーシャ「『 エドガー・アルクイン 』。君もよく知る男だろう?初めて見た時は驚いたな。私の知る彼とは色んな意味で一皮剝けていたものだ……いや、しかし。あの顔は一皮で済むだろうか?(そう言って鎌を掴んだまま飛び降りて回転、片手でぶら下がるようにアレックスを見下ろす)」

9S「っ……こんな…第0調査兵団、まさかそのほとんどが敵に回るなんて……けど、たとえどんな理由があろうと、人類を脅かす行為は許さない!(黄金の槍のガジェット「黒の倨傲」を携えてマールーシャへと接近戦を仕掛けていく)」

アレックス・ディノ「ゴチャゴチャと……!!(ぶら下がるマールーシャに向けて、機体からビームブーメランを取り出し)」

アレックス・ディノ「お喋りなようだな!!(それを二連続で投擲。挟み込むような機動で弧を描き、刃がマールーシャへと迫る)」

ケイティー「…ミアさん!接近戦は任せたよ!(バズーカを構え、みかん型の砲弾をマールーシャに向けて連射)」

マールーシャ「ハハッ(自らに迫る9Sと二個のビームブーメラン、砲弾を見て、空中から地上に急降下して躱し)すまないね、ついお喋りになってしまう」

マールーシャ「元々彼は中々やる奴ではあったと思うんだ。鍛錬は裏切らないと言うしね。彼の場合幼少期からそれを重ねて来た「破壊」のエリート……」


アレックス・ディノ「(読み通り、この機動の攻撃相手には下か上に避けるしかない……!!)」

アレックス・ディノ「取ッ!!(マールーシャの着地に合わせ、その瞬間を刈り取るようにサーベルが一迅)」


マールーシャ「だった、だろう?(完璧なタイミングで振るわれたはずのサーベルは当たらず。それを掻い潜るようにアレックスに顔を寄せ)」

マールーシャ「銀狼だったかな。今の彼は相当凄い事になっているようじゃないか。故にレギュレイターでも最高水準。私の四本指にも入るわけだろう?」

マールーシャ「彼にボコボコにされた奴らの残党が何やら騒いでるみたいだけどね。ああ、残党というのは正しくないか……別に滅んじゃいないもんな(そのままアレックスの背後に回り込む)」

アレックス・ディノ「(このタイミングの攻撃を躱すか!!)うおおおッ!!(すぐさまマールーシャを振りほどき、スラスターの加速も乗せ顎を蹴り上げる)」

ミア・テイラー「接近戦!?…至近距離から打ち込めばこのガジェットならできないことはないけど…!(マールーシャの近くに迫ったところでガジェットのバットを構え、スピードのあるセンサー型の爆弾ボールを打ち込む)」

ケイティー「…団長!避けて!(ミアの打撃と同時にみかん型の爆弾をマールーシャに向けて撃ち上げる)」

マールーシャ「素手でユナイタルをぶち抜けるのも彼くらいだろうなあ。途中まで抜けてなかったみたいだが。なんでだろうねー?(顎を目がけた蹴りを素早くバックステップするようにスライド、回避すると)」

マールーシャ「『 ライン・オーレット 』。そっちで唯一のユナイタルだろう?彼がいなきゃ正直君たちは後手後手の後手だったろうね(迫る爆弾ボールをセンサーすら反応できない速度で打ち返し、同時に飛来する爆弾と相殺する)」

アレックス・ディノ「(回避に専念しているからなのか本当に一発も攻撃が当たらんな……このまま攻撃を続けてもジリ貧か) ならばッ!! (リフターの機関砲を展開、薙ぎ払うように放つ)」

9S「――――!(アレックスの意図を汲み取り、挟み込むようにマールーシャの背後へと旋回する)―――はァッ!!(槍を振り回して横薙ぎの一閃を仕掛ける)」

マールーシャ「彼が居たおかげでゼレオロスへの対策が出来たのだろう?感謝してもしきれないのでは?ああそれに、不安定だが彼は強いよ。あらゆるコンディションを考慮して理論値を出すのならば”最強”は彼だろう。おそらくだがね(ばら撒かれる機関砲を、散る花弁の中ショートワープを繰り返すように躱し)」

マールーシャ「だから君も高く評価したのではないか?彼には可能性を感じると……(鎌を振るい9Sの攻撃の軌道上に乗せると、それを受け止め)……まあ、そもそもの話を言えば彼は……」

アレックス・ディノ「チィッ!!(9Sの攻撃を受けた瞬間を撃ち抜こうとビーム砲を放つ)(こいつ今何を言おうとした……何処まで知っている……?)」

マールーシャ「おっと(その場から素早く消え、アレックスと9Sから距離を取る)……彼については私が語るよりも別の口から語ってもらった方がよかろう。それで……(グルグルと鎌を回し、アレックスへと構え)」

マールーシャ「……最後の一人が君だよ。『 アスラン・ザラ 』君……」

マコト「…(背後の方を見やる)…お兄、病院には手を出させないから(バットを構える)」

ケイティー「ええっ!?センサーが反応しない!?」

ミア・テイラー「……早いうちにやられたらそうなる…マコト!ケイティー!三角方向から撃つぞ!(マールーシャの三角方向に3人が配置につく)」

ミア・テイラー「…それっ!(スピードのあるセンサー爆弾を放つ)」

ケイティー「それっ!(バズーカから時限付きのみかん型の爆弾を放つ)」

マコト「うらぁっ!(不規則に変化するボールを飛ばす)」

9S「……!待ってください!闇雲に攻撃をしては――――(マールーシャに仕掛ける三人組を制止しようとするが―――)」

マールーシャ「アレックス・ディノか……またその名前を使っているのかい?(三人の攻撃を、振り返りもせずに鎌を一振りして両断。背後に爆発を添えてニヤリと笑う)」

マールーシャ「名前をそうホイホイと増やすのも誉められたものではないが、もうその名は偽名としては役に立たないのではないかね?」

アレックス・ディノ「ッ!!(マールーシャに加速を乗せて膝で蹴りかかり)……その名(アスラン・ザラ)じゃあ不都合なこともあるのさ。その名を名乗っていればきっと今頃ここには……レギュレイターにはいない。似たような境遇だが……俺はエドガーとはまた違うんだ」

マールーシャ「ふむ、彼が本名を名乗れて君が名乗れない理由となると対外的なポーズか何かかね?思ったより小賢しいことをするんだね(鎌をその膝蹴りに添え、ギリギリと鍔迫り合いのように火花を散らし)」

マールーシャ「今や彼は表社会でも名の知れた英雄だ。彼にとっては不本意だろうが世界政府にとってもね。だから“彼女”が彼の入団を認めたのだろう?それに対して君は……」


アレックス・ディノ「放っておけ!!(脚で弾くように距離を取り、すぐさま距離を詰めながらサーベルを振るい首を狙う。そこから鋭く回し蹴りを入れ込み、同時に機関砲を撃ち込む)」


マールーシャ「君が自分《信念》を貫くには自分《名前》は邪魔になってきたかね。アスラン・ザラという名は(サーベルをのけぞるように躱すと、回転を掛けながら跳び上がり回し蹴りを躱し、機関砲を鎌を回し弾く)確かにアスラン・ザラを抱えているという事実は対外的には不都合な点もあるだろう。上層部も彼女も許容できることではない」

マールーシャ「ならばアレックス・ディノならいいと。小賢しい小細工なことだ。そこまでしてレギュレイターに身を置いたのは反復現象とゼレオロスを警戒するが故か、それとも……(鎌の軌道に花弁を乗せながら素早く、華麗に、的確に急所を狙って首を、膝を、胴体を狙って鎌が回る)」

アレックス・ディノ「チッ!!(首への攻撃を屈んで躱すとその姿勢のままブースターを吹かして上昇、脚を狙った攻撃を躱し)はあっ!!(更に胴体を狙って振るわれる攻撃を脚で弾く)……自分語りじゃあなかったのか?いつの間にか俺を探っているような口ぶりになっているが(初めて攻勢に回ったな。何か理由があるのか?)」

マールーシャ「(当てるつもりもない小手調べだったが……寸止めするまでもなく全部凌いだな。思ったよりずっとやる気があるようだ)いやすまない。ついお喋りになってしまった、脱線したな」

マールーシャ「いやしかし、実際のところ、君が警戒しているのはゼレオロスやイーティス・センシオンに非ず。アルガンドーラ大陸の五大国と、世界政府にあるのではないかと思ってね。違うかい?君は正しくないことに関しては分かるものなぁ……」

9S「――――!どういう…ことですか…!?(警戒対象…それが、自分たちが信頼しているこの五大国や世界政府であるという指摘に、思わず攻撃の手を止めてしまう)」

アレックス・ディノ「……出鱈目を(空中で制動、ユラリと浮かんでから着地、マールーシャと睨み合い)(奴の言うことは半分正しく、正しくない。五大国とゼレオロスを有するアルガンドーラは一種の火薬庫だ。各国の体制もまた独特な部分が多い。その火薬庫で怪事件が起こった以上、主犯以外の動きも警戒するのは当然)」

アレックス・ディノ「(……世界政府の干渉を警戒するのは尚更だ。今この状況こそが、世界政府内部の脅威をまさに示唆している) 非ずというのは違うな。確かに俺は各政府に対する牽制も意図していた。……だが、今俺がやるべきことはこの事態の始末をつけること。お前を……そしてイーティス・センシオンを倒すことだ」

マールーシャ「そうかね……確かにあまり迷いのない動きだ。少なくとも今やるべきことは分かっている、そんな動きだよ……ただ、後ろ髪を引かれ気味の君で私相手にどこまでやれるものかな?(そう言うと、鎌が変形して機械的なギミックが顔を出し、蒼くラインが光る)」

マールーシャ「さて、お喋りはこれくらいにしようか。そろそろ闘ろう(鎌から手を離すと、瞬間その場から消え)」

マールーシャ「        」


彼は自らに相対する者たちの背後に次々と瞬間移動
”何か”を耳元で囁くと、手を離した鎌が倒れる前に元の場所に戻っていた


マールーシャ「さて……”死”は平等にやって来るぞ(彼らの頭上に見えるカウントを見る。”14”。"9"。"3"。”5”。”8”。)(……思ったよりは低いが、やはり高いな。14か……この前念のため見ていた彼女の数字はいくつだったか)」

アレックス・ディノ「…………(ゼレオロスのユナイタル部隊との戦いで見せた「カウントダウン」か。おそらく、ヤツの攻撃に当たるたびに減少し……)」

アレックス・ディノ「(ゼロになった時、その者は問答無用で死ぬ)」

アレックス・ディノ「まさしく「死の宣告」か。悪趣味な……」

9S「……!(己と、そして一同の頭上に浮かぶ「数字」にピクリと微動する)……これでは悠長な戦いはできない…ッ… 敵からくる一発の一発の攻撃を掻い潜らなければ、奴を倒す前に僕たちの方が"終わって"しまう…!」

アレックス・ディノ「軽い攻撃が掠るだけでも文字通り致命傷になりうるか。ならば(ビームサーベルとシールドを構え、急速に突っ込み)速攻で行く!(盾を押し付けてのシールドバッシュからサーベルを回転させながら振るい、そのまま蹴りを脚に向けて)」

マールーシャ「(さっきまでより速い。私が小手調べをしているのに気付いてさっきまでは彼も力加減をしていたのか?)まあ当たらんがね(シールドバッシュを鎌で防ぎ、振るわれるサーベルを首を傾げて回避、蹴りを脚でブロックする)」

マールーシャ「焦ってはいないかね?(柄の先端で顎を跳ね上げ、続いて花弁が空に軌道を描きながら斬撃が振るわれる)」

アレックス・ディノ「ッ!!(顎を跳ね上げられ、怯むも、即座に立て直して斬撃を視界で捉える。全身を振るいながら盾を保持した左腕を動かし、強引に斬撃の軌道に盾をねじ込み)」


カ キィン!!(まるで弾き合うように、光が弾けて波紋を空中に描く。勢いよく突き出された盾が斬撃の軌道へ入り込み、お互いがぶつかり合う形で攻撃を弾き合い)


アレックス・ディノ「うおおおおッ!!(強引に隙を作り、急加速してマールーシャへと突っ込む。そのまま回転を掛けながら横薙ぎ、そのまま右左と連続して、斜めに回転しながら斬る、斬る。その勢いで飛び上がり落下を乗せて唐竹、その勢いで沈んだ顎を二連続で蹴り上げる)」

マールーシャ「!!(攻撃を弾……)(盾によるパリィで攻撃を弾かれ、強引に隙を作り出される。一種のカウンター。横薙ぎを躱す暇もなく胴体に受け、それで怯んだ隙に回転斬りが二発突き刺さる。身体を立て直そうとした瞬間に唐竹がその頭に吸い込まれ、彼の頭を強引に押し下げ、押し下げられた頭の顎を蹴りが跳ね上げる)ッハ……!!」


ドォ ゥン!!!(一連の動きが終了した瞬間に、纏めて衝撃音がやってくる。音を六周半ほど置き去りにした一瞬の連携。その衝撃は空気を割って奇妙な音として耳に届く。戦闘速度そのものが、今までの闘いのそれとはステージが違う)


マールーシャ「……やるね(手応え、無し。確かに被弾したはずの攻撃、実体は確かに捉えた。しかし、まるで身体なき亡霊を、存在しないものを殴ったかのように、彼は余裕の顔で笑う)」

アレックス・ディノ「(応えてない……わけではないな、傷は入っている。ゲームで例えるならそもそもの体力(HP)が高い故にかすり傷レベルといった感じだな。この見た目でタフなのか)……その一。「攻撃を弾いた」、「防いだ」場合はカウントは減らない。違うか?」

マールーシャ「!(周囲に聞こえるようにそう口にしたアレックスに眉を動かし)…………続けたまえ(現に、彼の見るアレックスの頭上の数字は、14……柄による殴打と盾で防いだ斬撃を含めて、二度の攻撃を受けたのにも関わらず、先ほどと変わらぬ様子を見せていた)」

アレックス・ディノ「その二。「鎌による斬撃」以外の攻撃ではカウントは減らない。これも確かだな?(問いかける口調でありながら、ただ自分の考察を口で再確認するだけの行為を繰り返す)」

アレックス・ディノ「正確なカウントダウンの条件は「鎌による斬撃を受けること」。それ以外ではカウントダウンは起こらない。そう考えていいわけだな(殴打を受けた顎を抑え、摩る)(……だからといって斬撃以外を警戒しなくてもいいわけではないな。単純に一撃が、重い)」

ミア・テイラー「………「死の宣告」…!?(各メンバーに浮かぶ数字を見て)……短期決戦に持ち込むよりは………その鎌の攻撃を喰らわないように立ち回るべし…ということか!」

ケイティー「ミアさん、マコトさん。そのバットのソードで援護して。鎌は私が弾くから(バズーカを構えつつ)」

マールーシャ「理解が早くて助かるよ。何処かの誰かが言うことじゃあないが、ゲームは最低限お互いルールを理解していないと面白くない。それを認めよう。死の宣告のカウントが減少するのは鎌を使った攻撃だけだ。この鎌を使った攻撃とは柄を使った殴打や刺突を含まない。ただ……」

マールーシャ「斬撃だけというのは少し違うな(鎌を地面に突き刺し、先端を彼らに向けるように構える。機械音を立てながら鎌が変形、その先端から銃口のようなものがせり出し)」


ズ   オ   ン   ッ   !   !   !(彼らにとって見覚えのある、弾丸状の閃光が複数、拡散し降り注ぐように放たれる)


マコト「おんまえら!!(無警戒な2人の前に立ち、バットから弾丸に向けてボールを連射する)近距離だけじゃなく遠距離にも警戒しろって…!(頭上を見上げながら)」

ペニーワイズ「ハゲにばっかりいい思いさせてるわけにはいかねぇな…(瓦礫から立ち上がり)」

首領パッチ「このクソ赤髪の攻撃受けてぶっ倒れてるフリしながら考えたこの連携策…」
ペニーワイズ「くらいやがれ!!!お前ボールな!!!!(首領パッチをマールーシャに向けて蹴っ飛ばす)」

首領パッチ「おらぁぁぁぁぁぁあ!!!!!レーザーの舞!!!!!(ペニーワイズに蹴っ飛ばされながらコーラの缶のようなものを2本取り出し、色々な方向にコーラのようにレーザーを吐き出させる)」

9S「なるほど…そういうことなら―――――ッ!?(そう安堵したのも束の間、鎌の先端より顔を覗かせた銃口…そこから放たれた弾丸上の閃光に目を見張り、反射的に側転すること間一髪の回避に成功した)…なんだ…今の攻撃……いや、どこかで見覚えのある…このデジャブは…!?」

マールーシャ「何だ、生きていたのか(瓦礫から突っ込んでくる首領パッチとペニーワイズに向き直り、鎌を投擲。レーザーを弾きながら二人まとめて斬り飛ばす)どれどれ、君たち二人はどうかな(”8”。”4”。首領パッチとペニーワイズの頭にそれぞれ数字が表示される。弧を描いて戻って来る鎌をキャッチ、再びアレックス達の方に振り向く)」

アレックス・ディノ「!!(シールドを構え、横向きの雨の如く放たれる閃光の弾丸を弾く。防ぐのではなく、弾く。カウントが減らぬように)……今の閃光……(今の光の弾丸を見て、何かを思い起こす。今までよく見て来た技だ。確か、あれは……)」



「―――― “  ”(      ) (   ズ   オ   ン   ッ   !   !   !   )(転がり迫る貯水タンクに突き付けた機関銃の銃口より放たれたのは、普通の弾丸などではない。常識を逸す藍色に輝く破滅の閃光。それは貯水タンクをいとも容易く貫き、真っ二つに裂いてしまった) 」

「パラパラパラ…ッ…―――(瓦礫を押しのけ、砂塵の中でガスマスクが不気味に揺れ動く。その最中でアサルトライフルを前方に立つ面々に向けると―――)―――“  ”(      )ァッ!!(   ズ   オ   ン   ッ   !   !   !   )(銃口より解き放った銃弾…否、赤く輝く破滅の閃光が空間を突き抜け、[[ライオット]]たちに襲い掛かる) 」

「  ! ! ?  (だがここで、そんな彼女にも危機感が過る。仰いだ頭上の先から落下してくる水圧を、ガスマスクの内側にある瞳で捕らえると――――)――― “  ”(      ) (   ズ   オ   ン   ッ   !   !   !   )(サブマシンガン銃口より放たれる、水色に輝く破滅の閃光でその水圧壁を相殺しにかかった) ふぅ……危ない危ない…まさか女王があいつらに味方するなんて、これはちょっと誤算だったかなぁ…?(人差し指でぽりぽりと髪を掻きながら) 」

「―――!?(投擲された黒槍に警戒し咄嗟に地面へ潜り、距離をとった箇所から顔を出すと―――)オッサン 言ッテル意味 分カラナイ ―――“  ”(     )( カ チ リ ッ ――― )    “  ”(      )    ( ズ ド ド ド ド ド ォ ッ  !  !  !  )(機関銃より緑色に輝く破滅の閃光が、無数に解き放たれる。05が放ったそれよりは出力が落ちるものの、散弾銃の如く広範囲に及ぶ猛攻が彼らを襲う) 」

「あんさん、あの騎士の後釜就いたんやろ。荷が重すぎるとちゃうん?  二の舞踏まんようにせんとな  (そういうと突きつけた銃口。そこに光が集束しはじめ―――)――― “  ”(      ) (   ズ   オ   ン   ッ   !   !   !   )(灰色に輝く破滅の閃光が直線状に解き放たれた) 」

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「    “閃滅”(シュプリンガ)   (トリガーに、指引く) 」



アレックス・ディノ「“閃滅(シュプリンガ)”かッ!!」


マールーシャ「   正  解   」




 ズ ド ド ド ド ド ォ ッ  !  !  !  (鎌の先端からせり出す銃口が、容赦なく、エーテル弾を吐き出す。今度は連射。紅い花弁が視界を埋め尽くす)

アレックス・ディノ「(エーテル弾の連射!本来あるはずの“切替”セレクターのモーションが無い!!) うおおおッ!!!(連射される弾丸を躱し、弾き、掻い潜る。距離を取ろうとした軌道を急激に変え、全ての弾丸に対応しながら距離を詰める。左頬に一撃掠めながらも、光弾をばら撒くそれに対し、斬りかかる)」

9S「しまッ―――――― ズ    オ ッ    !  (回避を試みるも、呆気取られたことで対応が遅れてしまい…その強大な弾丸に左腕が"呑まれて"しまった) がァ…ッ……!! (跡形もなく消失した左腕。行き場を失った左肩がショートしだす)」

マールーシャ「おや、とうとう一撃当たってしまったね(”13”。死が確実に一歩、近づいて)」

マールーシャ「面白い玩具を貰ったんだ(迫りくるアレックスに対し、冷静に鎌を弄る。鎌の柄に付いているマガジンらしきものがリボルバーの如く回転、切り替わり)遊び心地を試させてくれたまえ(その攻撃を防ぎもせず受ける。渾身の一撃だったはずのアレックスの一撃に……一切動じず、ギロリと不敵に睨みつける)」

アレックス・ディノ「!!!(う、ごかな……ッ!!)しまった、これは……(渾身の一撃に怯みもしない。この挙動もまた”見た”。これは)」



「 シ ュ ウ ゥ ゥ … … ――――― ん~~~~…乙女を殴るなんて、サイテーじゃなぁーい?(だがしかし、少女のような華奢な体をしているにもかかわらず、殴られても微塵も吹き飛ぶどころか効いていないそぶりを見せる)―――“  ”(     )。言い忘れてたけど、攻撃を当てられたからって浮かれてちゃ、ダメダメっ♪ ていっ♪ ( ド ゴ ォ ッ ! ! ! ! )(ネブカドネザルに繰り出したただの膝打ち。だが、それは鋼を砕かん勢いの一撃を誇り、瞬く間に彼を落下させる) 」

「(――――!?) “  ”(      ) (地面に感じた違和感に、ガスマスク内側の瞳が発光。瞳孔に映し出された細微なレーダーが空間一帯を瞬時に把握し、エデが齎したトラップを看破。権能による移動はほぼ不可能と悟ると同時にキリエを見据え)―――“  ”(     ) ( ド ッ   ゴ  ォ  ォ オ ン ッ ! ! ! )(――― ゴ フ ッ … ! ? )(彼女の強烈な殴打を受け止める。本来ならば大きく殴り飛ばされてもおかしくないのだが、辛うじて耐え凌ぐ。だが、受け止めきれなかった衝撃の反動に、ガスマスクから唾液がぶわっと溢れ出した) 」



アレックス・ディノ「“支柱”バイポッド!!」


マールーシャ「これまた正解(攻撃を受け止めた姿勢から、鎌の銃口を後ろに構えながら肩をアレックスへ押し付け)」



「きゃははっ♪落ちた落ちたー!……ん?(落下したネブカドネザルを嘲笑う一方で、傍らに映るガレアの接近を他所目に首を傾ける) ガ ギ ィ ィ ィ イ イ イ ン ッ ! ! ! (またもや回避の態勢をとらず、そのまま斬撃を身に受ける。だが、その衝撃は体に影響及ばず―――)―――――“  ”(    ) ( ズ ッ   ド   オ ォ ッ ! ! ! )(ゼロ距離でガレアの腹部に繰り出した、構えのなっていない裏拳。にもかかわらず、大気にも響くほどの大きな音を掻き鳴らす衝撃がガレアの全身に迸り、彼を盛大に吹き飛ばした) 」



マールーシャ「“反動”(リコイル)(再びカートリッジを切り替えた鎌が、今度は実弾を吐き出す。その反動を乗せた一撃が、先ほどまでのアレックスの一撃のそれまで加えて叩き込まれる)」

アレックス・ディノ「(しまった、カウンターが来る!これは……)“反動”リコイル……(反応が遅れる。ガードのない身体に容赦なく叩き込まれた攻撃。成すすべなく吹っ飛んでいく)」


ズ ッ   ド   オ ォ ッ ! ! !(ワンテンポ遅れて、衝撃の音が響く。光が、視覚情報が、空気を伝わる音色よりも先に鮮明に状況を伝える)


アレックス・ディノ「かは……!!(更にワンテンポ遅れ、衝撃が彼の身体を蝕む)」

9S「アレックス団長ッ!!くそッ…!うおおおぁぁぁぁあああーーーッ!!( シ ャ キ ィ ン ッ ーーー ダ ァ ン ッ ! ! )(片腕を失った今、槍のガジェットでうまく立ち回ることはできない。そう判断すると右手に握られた長柄を投げ捨てて、腰元に備えられた白い刀身を持つ軍刀を引き抜き―――)―――はああぁッ!!(跳躍、そこから、マールーシャへと一閃を叩き込まんと刃を振り落とした)」

マコト「………避けろ!(ケイティー、ミアに覆い被さり、花弁による攻撃を避ける)」

ミア・テイラー「……っ!(マコトに覆い被さられ攻撃を回避)……鎌を振るうだけじゃない…!攻め方を考えた方が良さそうだな‥」

ケイティー「くっ…!(マコトに覆い被さられつつ、マールーシャにバズーカによるみかん弾を連射する)」


マールーシャ「……ふむ(アレックスの攻撃を甘んじて受けた左肩を、違和感を感じたようにさすり)なるほど。あくまで衝撃を殺す、体内で留めるだけ。ダメージは軽減出来ないようだな。なるほど、”彼ら”専用になるわけだ。まともな身体とまともな心のある人間には使えまい。”鉄塊”の方が使い勝手は良いな(再び鎌のカートリッジが回転する。吹き飛んだアレックスを見下ろし、飛び掛かって来る9Sを視界の端に入れ)」

マールーシャ「では次はこれを試してみよう(―――― ボ フ ン ッ ! !)(そう言うと、装填されたカートリッジがカチリと言うと同時に、まるで霧が吹き散るようにマールーシャの姿が霧散する)」


アレックス・ディノ「よせ!!やみくもな攻撃は奴には……!?(吹き散る、身体。まるで硝煙の如く、灰色の煙となって……)」

アレックス・ディノ「そんな馬鹿な、」


「 “  ”(  )――― それがワイの権能や 」

「権能」


9S「なにッ―――――!?(マールーシャに刃が届いた―――その時だった。刃が彼の身体に触れた途端、敵の身体が霧散したことで空振ってしまい、地に転倒する形で不時着してしまった)…ッ……!?(気体化した……今のは何だ…ッ…!?)(すぐに態勢を整えて周囲を警戒する)」

アレックス・ディノ「“硝煙(ガス)”!!権能《そっち》も行けるのか!!(データでは確認していた。目で見るのはこれが初めてだ……!!)」

ペニーワイズ・首領パッチ「ぬおおおおお!!!!(弾き飛ばされる)」

ペニーワイズ「この数字が何だ!てめぇなんかなぁ!(爪を立てて)」

首領パッチ「待てワイズ、あいつの攻撃くらったら死が迫るっつってたからな…」

マールーシャ「何処を見ているのだね(霧の中に紛れ……ている、だけではない。霧に紛れ、その上周囲の背景と、同化して)」

マールーシャ「頂こうか(一、二、三、四。まるで踊るように、マコトを、ミアを、ケイティーを、そして9Sに鎌を一撃ずつ刻んでゆく)」

9S「……!んグゥ…ッ……!!(寸での所で振り抜かれた鎌の斬撃を刀で受け止める、だが…)―――がぁッ!!(片腕のみでは出力も半分、そのため、いとも容易く弾き飛ばされてしまった)」

マールーシャ「!(防いだ。あの身体で……容易く弾き飛ばされたとはいえ出来る)いい部下を持ったようじゃないか(数字を見直す。弾いた一撃はカウントされず。9Sの頭上には片腕を吹き飛ばした銃撃により一減った”8”が光る。残り三人を見る。順に"7"。”4”。”2”)」

マールーシャ「粘るね」

アレックス・ディノ「ッ!!(衝撃をまともに受けた身体を強引にブースターで動かし、彼らとマールーシャの間に割り込むように蹴り込む)」

アレックス・ディノ「(霧の中に紛れるだけじゃあない、今のは“同化”ギリーニングだ!背景と同化して透明化していた!!)(カメラアイを感知モードに切り替え、マールーシャを見据え)下がれ!!その身体じゃこいつには……」

マールーシャ「おっと(蹴り込んできたアレックスをひらりと躱し、鎌を一回転させてから彼に銃口を向け)」


ガ コン!(再びカートリッジ部分が回転)


マールーシャ「至近距離、躱せるかな(   ズ   オ   ン   ッ   !   !   !   )(再び“閃滅”がアレックスに向け、拡散するように放たれる)」

アレックス・ディノ「チッ!!(拡散弾を死角に入るようにすり抜け、回転しながらマールーシャへ肉薄、斬りかかる)」


マールーシャ「それは躱したとは言わんよ(接近してきたアレックスに、対処しようと鎌を振り上げることもせず)」



 「私の演奏を妨げることは許されないのです。この興奮を冷まさせてはならない…我が嬉遊曲(ディベルティメント)が、更なる高揚を求めているのですから!  “切替”(セレクター)  (その一声で機関銃のセレクターが自動で切り替わり、再び銃口を前方に突き付ける)――――“閃滅”(シュプリンガ)(今度は閃光が分散し、広範囲に及んでいく。だが、それだけでは終わらなかった―――)―――――“  ”(    )」



マールーシャ「“跳弾”(リコシェ)、だったかな(ク ゥ ィ ン ッ ――― ク ゥ ィ ン ッ ――― ク ゥ ィ ン ッ ――― ! ! !)(アレックスが回避したはずの弾丸が急激に軌道を変え、攻撃に映った彼の背中に吸い込まれていく)」

アレックス・ディノ「しま……(その挙動を咄嗟に感じ取り、宙返りして逆さの姿勢のまま盾を構え、跳弾してきた光弾全てを防御する)」

9S「ッ――――(このままでは相手の思う壺だ……かくなる上は…――――)――――第1調査兵団9Sより、事務所ラボへ通達!『ユニット』の出撃申請!座標ポイントへ早急に転送してください!(耳元のインカムに手を当てながら叫ぶ)」

マールーシャ「ままならんね(光弾を防御せざるを得なかったアレックス、必要に迫られて晒した隙に)」


ザ |『12』| ン


マールーシャ「これで、二発目だね(鎌の一撃が、刻まれる)」

アレックス・ディノ「くっ!!(背後に斬撃を撃ち込まれ、宙返りを継続、縦に一回転して向き直りながらマールーシャの顎に向けて蹴り上げる)」


ヒ ュ ゴ オ オ ォ ォ ア ア ―――――― ッ ! ! ! (9Sが支部へ要請を送ってから僅か2分、上空より戦闘機らしき影が戦場へと向かってやってくるのが見えた)


9S「……!来た…!( ヒ ュ バ ッ )(こちらへ徐々に接近する戦闘機を見据えると、タイミングを見計らい大跳躍。見事戦闘機へと飛び移ることに成功する)」



9S【飛行ユニット】「――――「飛行ユニット Ho229 Type-S」!機動形態と同期しますッ!( ガ チ ャ ァ ン ッ ! )(黒い戦闘機が起動音を立てながら瞬く間に人型形態へと変形。そのコクピット部に自らが入り込むことでユニットとの合体が完了する)」

9S【飛行ユニット】「ブレード展開ッ!!はああぁぁぁッ!!!(右腕に装着された大型ブレード。大型機械生命体ならばいとも容易く切断できるほどの破壊力を有したその武装を振りかぶり、マールーシャへと強烈な一閃を叩き込まんと迫る)」

マールーシャ「おっと(ボ フ ン ッ ! !)(再び煙に変化、その蹴りを透かしながら再び透明化。今度は、消えた瞬間にサーモグラフィーや魔力などを複合した感知カメラに映る反応すら消失する)」

アレックス・ディノ「!!(また煙化からの透明化……今度は感知カメラからも消え、いや違――)」

マコト、ミア、ケイティー「くっ…!(斬撃を受ける)」

マコト「……ミア!チェーンで動きを止めるんだ…オレがソードで突撃する…ケイティー、奴の鎌は頼む!(ダッとバットの先端からソードを出してマールーシャに向けて突撃)」

ミア・テイラー「……お、おい!勝手に…!S⚪︎it!(マールーシャに向けてチェーンを繰り出し、両手の動きを止めようとする)」

ケイティー「……!(マールーシャの鎌に向けてバズーカを撃とうと構える)」


 ザ 『11』 ン


マールーシャ「三回目(再び背後から、通りすがるように彼を斬りつけ) 今度は力押しかね(突っ込んでくる9Sを視認するとそれが振り下ろされる瞬間、花弁を残して消える。そのブレードの上に陣取るように飛び上がっており、発射されたチェーンをスカす)」

アレックス・ディノ「ッッッ!!(感知するエネルギーまで消したんじゃない!!透明化と高速移動を組み合わせて虚を突いたのか!!)」



「ヒャァハハハハァッ!!追いつけねえだろがよォ鈍間(のろま)共ッ!!これが俺様自慢の権能――― “  ”(     )! 手も足も出せずに逝けやァ――――あん?(高速移動中にエドガーの姿を見据える) 余裕ぶっこんでじゃねえよヒャァハハァッ!!(目にも留まらぬ速さでバックステップを行いつつエドガーにのみ銃撃していく) 」



アレックス・ディノ「“滅音(サプレッサ)”!!(高速移動する奴もそういえばいた!!そいつよりも速い!!)」

9S【飛行ユニット】「――――!(早すぎて見えなかった…だがッ…!) まだだッ! (ズダダダダダダッ!!)(どんなに早くても、広範囲による攻撃ならば回避は困難になる。そう読んで、マシンガンによる広域射撃でマールーシャを牽制しようと試みる)」

マールーシャ「相手が速いならそう来るだろうね(ピ タッ)(空中で静止。先ほどまでの飛行からは考えられないほどの制動力を見せ、広域射撃を鎌を回転させ弾く)」

9S【飛行ユニット】「なにッ――――!?(この飛行ユニットに勝るとも劣らない機動力…!?いったい、どうやって…!?)(マールーシャの動きに驚愕する)」

アレックス・ディノ「そういや飛べる奴もいたな(それを読んでいたかのように高速でマールーシャの頭上に回り込んでおり)」



「あはっ―――きたきたぁ♪( バ キ ュ ン ッ ―――! )(まずは投擲された鞘を撃ち落とす。それがフェイクだと悟り、ガレア本人が繰り出す叩きつけるような重い一撃を、軽い身のこなして空中回避する、が…)―――ひゃわぁっ!?( ガ ギ ィ ィ ィ ン ッ ! ! )(ガレアの死角から現れたライオットに対応が遅れ、咄嗟に構えたサブマシンガンの銃身で攻撃を防ぐも、軽く吹き飛ばされる)あっははは…♪危ないねぇ~!でも…そんなちまちましたやり方じゃあ、ボクには追い付けないねぇ?ボクの権能“  ”(     )は誰にも突破できないよ!(片手で手を振る仕草で小ばかにする) 」



アレックス・ディノ「“空襲(エアライド)”だったか(マールーシャの頭上から蹴り下ろす)」

マールーシャ「ぐっ!!(蹴り下ろしが命中、ガクンと首を曲げ)……速いじゃないか(ニィと笑い、アレックスへ振り向く)」

アレックス・ディノ「ずあっ!!(蹴り下ろしが命中したのを見た瞬間、すかさず前蹴りで蹴り飛ばして追撃)」

アレックス・ディノ「いいかお前達、ヤツはやはり今までの遊撃隊《アサルト》の力を使う!(となると装甲は無意味だな。「分解」と「塗装」も使えるはずだ。死の宣告と合わせて攻撃はまず食らえない……確実に「塹壕」も使える。使うかどうかは別として。……多分、未確認の残り二人の権能も……)」

アレックス・ディノ「気を付けろ!!ヤツはオレたちの装備を分解する技を使う!!おそらくな!!」


マールーシャ「おっと(再び煙に巻いて消え、今度は距離を取る)情報の共有が遅いのではないかね?アスラン・ザラ君」



ズ       オ      ゥ      ッ      !     !     !     



ボ     ォ     オ     ォ     ン     ッ    !   !    !



オ           ゥ          ッ       !    !    !



マールーシャ「…………(各地から聞こえる爆音と揺れを、遠く離れた此処からでも感じ取り)……彼女らも派手に始めたようだ。続けよう」

アレックス・ディノ「……(確かに各戦線、随分とした様子になってきている……それに対して俺は何も……)」

アレックス・ディノ「ああ、続けよう(余計なことは考えるな。少なくとも今この瞬間コイツを抑えられるのは俺たちしかいないんだ。……おそらく実力なら俺より上。勿論良くはないが、コイツの相手が俺で良かった。俺以外なら、きっと……)」

アレックス・ディノ「(……実力が上でも、やりようはある。いくらでも。それが今までこの戦いで学んできたことだ)(彼の視界の端、何かの量を示すゲージが点滅する。戦闘開始直後にはなかったものだ)」

マールーシャ「…………(何かを狙っているな。地力での張り合いを諦めたか。すると狙うは奇策か連携か、あるいは……)どうやら時間は与えない方が良さげだな(そう言うと片手で鎌を回しながら構え、風を巻き起こしながら、猛回転する鎌を投擲する。絶妙な軌道で回転しながら、アレックスたちへと襲い掛かる)」

9S「ぎぃッ゛…!!(ギ ャ リ ギ ャ リ ャ ィ ッ … ! ! )(激しい回転を帯びる鎌を前に、白刀で受け止めにかかるも―――)――――ぐぁあぁあッ!!( ザ キ ィ ィ イ イ ン ッ ! )(その勢いを抑えることはできず、胴体を"切り裂かれた")」

ミア・テイラー「………伏せろ!(マコト、ケイティーを押し除け、ガジェットのバットで鎌を受け止め、薙ぎ払おうとする)」

アレックス・ディノ「!!(鎌による攻撃はカウントが0になるまでは問題ないはず……ここは攻める!)(猛回転する鎌を飛び上がってかわし、そこから勢いよく重力を乗せて手ぶらとなったマールーシャに斬りかかる)」

マールーシャ「(先程までよりさらに速い…)(投擲した鎌が9Sを切り裂くところを視認、8から7へとカウントが減る。勢いが弱まった鎌がバットの一撃で跳ね上がり、猛回転したまま空に舞う。それを視界の端に入れて把握しながらも素早く自らの元に飛び込んでくるアレックスを見据え)」

マールーシャ「(パチン!!)【ランダムシュート】。( ズ ド ド ド ド ド ォ ッ  !  !  !  )(彼が指を鳴らした瞬間、空中に跳ね上がった鎌の銃口から光弾が吐き出される。その勢いが回転に乗り、更に回転は加速、バランスは崩れ乱回転と化した鎌が全くのランダム、高密度の出鱈目な弾幕を形成する。飛び込んできたアレックスの攻撃は残像を残した最小限のサイドステップで躱し)」

アレックス・ディノ「!!(斬撃を斬り下ろした瞬間に乱回転に乗じばら撒かれる弾丸を認識、瞬時にマールーシャを盾にするように回り込み)逃がすか!!(そのままバルカン砲をばら撒く)」

マールーシャ「(私を盾にするように動けば飛んでくる弾は少ないという算段か。実際私より遠くに離れれば飛んでくる弾は格段に少なくなる)(足先を立てて滑らせるようにアレックスの猛追を躱し、バルカン砲の弾丸を巧みにすり抜ける)だが、それを誘っていたと言えばどうだろう(弾丸をばら撒きながら回転する鎌を引き寄せてキャッチ。瞬時にカートリッジを入れ替え)」

マールーシャ「分角(テイクダ――――)」

アレックス・ディノ「させるかッ!!!(鎌をアレックスに引っ掛け、”分解”しようとした瞬間に腹部に蹴り入れ、吹き飛ばす)」

マールーシャ「(!?)」


パ ァン!!(空気を突き破る音と衝撃波と共に、猛スピードの蹴りを受けて吹き飛ぶ)


ペニーワイズ「おっとしっかりしろ副団長!こう見えても俺はメディックだ(9Sの手を掴み、その場から離れようとする」

首領パッチ「自称だろ!治療の下手なブラック・ジャックめ!(レーザーを吹き出したままのコーラ缶型のソードをマールーシャに投げつける)」

アレックス・ディノ「お前が常にそれを狙っているのと同じで俺もまたそれを常に警戒している。“分解(テイクダウン)”だろう?俺も9Sも受けたらアウトだ。俺のジャスティスはある程度どうにかなるが……(読み合いに勝って直撃を入れたのはいいが。どれほど効いたのか、手ごたえが妙で分からん)」

9S【飛行ユニット】「(さすがはアレックス団長…!推察能力に抜かりがない…!)――――はああぁぁああああッ!!!( バ シ ュ ウ ウ ゥ ゥ ゥ ウ ン ッ ! ! ! )(アレックスと距離を離されたマールーシャを見据えると、上空から彼に向けてレールガンを放ち、マールーシャをはじめその一帯を火柱に包み込んだ)」

首領パッチ「さらにもう1発!(9Sにより火柱に包まれたマールーシャに対して蓋の開いたガソリンの缶を投げ込む)

ペニーワイズ「…………やったか!?」

マールーシャ「かはっ……(ランダムシュートが誰にも当たらなかったのがショックだが、そんなこと、言ってる場合じゃ、ないな……)(口から衝撃のあまり息を強く吐き出しながら吹き飛ぶ。自らに衝撃を留めず空中へと逃がそうとする判断。だが、大きく吹き飛んだ先には)」

マールーシャ「……まずいな(ギュルリと空中で縦回転しながら態勢を立て直そうとする。視界の端に撃ち込まれるレールガンを捉え、咄嗟に着地して回避しようとするも)”滅……間に合わんか……!!(カートリッジを入れ替えようとした瞬間、レールガンの一撃が命中。大きく上がる火柱に更にガソリンが投げ込まれ、更に大きく炎上し上空にまで火柱が伸びて周囲を照らす)」


ドロ……(次の瞬間、上がった火柱が不自然にゆらめく。火という実態のないエネルギーが固形化……いや、”液状化”し……)


アレックス・ディノ「効いて……いや、何だ!?火柱が液体に!?(さては”塹壕(トレンチ)”!?こんな使い方が出来たのか!?)」

アレックス・ディノ「だが……!!(そこに文字通り潜伏しているマールーシャに向け、そのどろりと溶ける火を吹き飛ばし払うようにビーム砲を集中。炎がやはり粘性を持った液体の如く変形し、穴が開くように弾ける)」

9S【飛行ユニット】「なッ…!?追撃が、全く効いていない…!(続けて何度もレールガンを放つも、まるで受け流されていくマールーシャの身体を前に狼狽する)」


ズ ド ド ド ド ド ォ ッ  !  !  !  (液体の如く弾けた爆炎の中から光線が飛び出し、アレックスと9Sに襲い掛かる)


アレックス・ディノ「!?(飛来する無数の光弾を前に、反応できなかった数発を受ける。すぐさま立て直し残りを斬り飛ばし)」


マールーシャ「“閃滅”(シュプリンガ)。これで『10』、『9』、『8』だ(後述で攻撃手段を述べる。炎が流れ、地面に吸い込まれて消える。そうして見えた地面の中から、まるで液体から這い上がってくるようにコートを焦がしたマールーシャが出現)使い慣れて来た。そして君は余裕がなくなって来たね。そこの彼の数字も」

アレックス・ディノ「……どうかな。そっちもようやく傷が見えて来たぞ」

マールーシャ「単なる汚れさ。この程度で図に乗ると脚を掬われるが、いいのかね(再びカートリッジを入れ替える)動き回られると不便だな。次は足を溶かそう」

9S【飛行ユニット】「うぐぁぁああああ…ッ゛……!!(ズガァンッ、ボギャアァンッ…!!)(弾ける閃光によって飛行ユニットが大損害を受け、次々と装甲や武装が残骸となって剥がれ落ちていく。その中で本体である自分自身もいくつか被弾してしまい、煙を吹かす飛行ユニットを低空座標まで落としていく)」

9S【飛行ユニット】「く…ッ……!まだ、だ…ッ……!(ジャキィン…ッ!!)(辛うじて健在な右腕のブレード、その部位を帯電させると―――)―――ッハァァアア!!(マールーシャがカートリッジを切り替えた"直後"、その一瞬の隙を突け習うかのように爆発的なブーストダッシュを切ってブレードによる刺突を勢い良く突き出した)」

アレックス・ディノ「溶かす!?(となるとあのカートリッジは「塗装」か!)9S!!(部下が突っ込んだのを見て自らも駆け出す。傷の深い彼だけに接近戦をさせるわけにはいかない)」

マールーシャ「(二方向、カートリッジの交換は間に合わない)(冷静に状況を俯瞰する。高速で隙を貫く刺突、まず躱せない。次にアレックスの追撃が来る。以上の状況から素早く自らの行動を規定する)チィッ(マールーシャの左目を刺突が掠める。血は舞わない。掠めた左目を瞑りながら)」

アレックス・ディノ「─── ギ ュ オ(距離を詰める。到達まで瞬きする間の刹那も掛からない。左目を瞑る敵が見える、右目は確かにこちらを睨んでいるが、手は止められない。追撃、その脇腹に向けてビームサーベルを)」

マールーシャ「(睨視する、瞬間にも満たぬ速度で接近する機影を。狙っているのは接近戦。なるべくカートリッジを使って戦いたいものだが、「塗装」では対応できない)」


マールーシャ「 あ り が と う (その思考を待っていた。)」

アレックス・ディノ「!?(右手に保持していたはずのサーベルが、右手の一部装甲ごとひとりでに砕ける。いや、砕けるなどという無作為なものではない。これは、一瞬にして武器を「分解」する……)(”あれは「塗装」のカートリッジじゃない”)9S!!離れ……!!」

マールーシャ「遅いよ(そのまま、鎌を9Sに引っ掛ける)」

9S「なッ゛――――― (団長の警鐘が耳に入る間もなく、全身を覆うように装着していた飛行ユニットが―――)―――― バ ギ ャ゛ ア゛ ァ゛ … ッ゛ … … ! ! ! (――― 一瞬で"分解"されてしまい、瞬く間に残骸と化した部品と共にその身が解き放たれる。スローモーション化した世界の中で対処できないまま、成す術もなくマールーシャに吸い寄せられるように前のめりとなり――――ついに、その"凶刃"に手繰り寄せられてしまった)」






――― Vs. 【第0調査兵団】 ティネル ―――




――――― ガ ッ ギ ィ ィ ィ イ イ イ ン ッ ! ! !(弾けた火花が夜空に白線を描いて消えていく。鋼の残響と共に―――)


ティネル「―――― ズ ザ ザ ザ ザ ァ … ッ … ! (弾かれた衝撃を、踏み抜いた両足でその反動を和らげる) チ ャ キ リ ッ … !
! (早退するヘザーを筆頭とする第6調査兵団の団員たちへブレードの切っ先を突きつけるように構え直した)」

ヘザー「――――――ガリガリガリガリガリ………ギギーッ……!! ……くっ、こい……つっ……!!(打ち合いの衝撃で大きく弾かれるが、吹き飛ばされまいと地面を四脚を踏み抜き……床材と四脚の装甲を削りながら、なんとかその場に留まり)」

ヘザー「(……まともに打ち合った、そう、まともに……"当て方"が悪かった訳じゃあ無い筈……なのに、"脚"に響いている。……当然か、彼我の"差"を考えれば……) ……それが正義の刃か?総団長……刃も肩書も、頭と同じ程度に軽ければ楽だったでしょうに…(四脚の内二本で立ち、残る二本を頭より少し上の部分まで持ち上げ、自らの右手でナイフを抜いて構えを取り)」

ヘザー「こいつの攻撃を正面から受けない様に…!硬いガジェットで無ければ耐えられない!!(視線はティネルから逸らさず、後方の団員に向けて叫ぶように指示を出し)」

平安名すみれ「……!(グソクムシの触手を振り回しながら待ち構える」

ヨハネ「至近距離からじゃない方がいいわね…(黒い羽をボウガンに変形させ、ティネルに構える)」

ティネル「痴れたことを…"正義"を背負うことは民人の期待を負うことだ。
力無き者はいつの世も"英雄"を渇望(もとめ)る… 故にこそ、我等「世界政府」が立たねばならんのだ!( ズ オ ッ ――――)(砲弾の如き速度で大気を貫き、ヘザーへと迫った頃には既にブレードを振り抜いており―――)」

ティネル「―――――――― 軽い信念で"正義"が語れるかッ!!( ザ キ ィ ィ ィ イ イ イ ン ッ ! ! ! ) (咄嗟に防御態勢を取ったヘザーを、その叫びと共に斬り殴る) シ ャ キ ン ッ ―――― ズ オ ォ ッ ! ! (その間際、すみれとヨハネの両者の姿を視界に捉えると―――納剣…からの、居合抜きを繰り出す)」


―――― ズ シ ャ ア ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ッ ! ! ! (ティネルより放たれた高層な壁の如き斬撃波が、遠距離で構えているすみれとヨハネへと牙を剥いた)


ティネル「―――― 我が刃は何処にでも届くぞ。」

オーランド「(速い、重い、そして正確にして広範囲。"後"の回避も防御も確率は低く、命中すれば即死リスクが伴う……なら)――――――ここかッ!!(ヘザーへの居合抜きを視認、体勢を低くし瓦礫の影から移動開始。ティネルの左手側から接近)  ド ッッ  (すみれ、ヨハネへの居合抜きと同時に両手持ちにした大剣を振りかぶり、横薙ぎ一閃の予備動作を維持しつつティネルの左へ更に飛び込み、間合いの内側へ入る)(初動と終わりを抑える――――――!!) ヒュ  オッッ  (横薙ぎ一閃の予備動作という"フェイント"を仕掛けつつ、大剣の柄頭による突きを放つ。 狙うは、居合後納刀したティネルの刀の柄頭。 鞘内に武装を抑え込もうとする)

ヘザー「一言一句同意してやるわ、その口から吐いた台詞で無かったなら……っっ!!("四脚"のうち二本でガードを行うが、その威力が故に身体ごと吹き飛ばされる事は避けられず。しかし…)(後方のヨハネとすみれへと斬撃波が放たれ、オーランドが決死の突撃を敢行した事を悟りながらも、視界はそちらへと向けず)(この場に残った団員の実力を信じ、攻撃に対応する事を信じるが故に、反撃へと移る。それ以外に出来る事など無い事を、既に悟っているが故に)」

ヘザー「………そう、流石はオーランド……狙うはこの一瞬…!!(体制を立て直すよりも早く、ナイフに魔力を込めながら弾丸の様に投擲。オーランドと瞬時に息を合わせてティネルの顔面を狙う)」

ティネル「――――――(挟み撃ちを仕掛けるオーランドとヘザーの両者を前に、微かな隙を曝け出したまま硬直している。このままでは二人の狙い通り急所を突かれてしまうだろう。誰もが勝機を確信した、次の瞬間だった―――――)


ティネル「―――――――― 軽いな ――――――――」


ティネル「―――――― ダ ァ ン ッ (その場で右足を踏み込む。その行為一つで大地が一度だけ強く震えあがり、世界に迸る一切の雑音が消失する。そして―――――)」

ティネル「  ド  オ  ォ  ゥ  ン  ッ  !  !  !   (その踏み込みと同時に全身から放出された絶大的な"覇気"が、爆発的な衝撃波となって一瞬で大気を貫く。オーランドとヘザーの攻撃が届く寸での所で二人の動きを止め、挙句の果てには門前払いするかの如く大きく吹き飛ばしたのだった)

ティネル「 バ サ バ サ バ サ ァ … ッ … … ! (迸った衝撃に揺れる銀髪がふわりと垂れ落ちていく)……貴様等がどれだけ束を重ねようとも、その正義を貫こうとも……まだまだ"軽い"な。この程度で吹き飛ばされるような"軽さ"をしているようでは。」

ティネル「 見せてやる、本当の正義の"重さ"を。私の覚悟の"重み"を! (ブレードの片割れを天高くつき上げた、その次の瞬間―――――)」




ギ   ュ   オ   オ   ォ   ゥ   ン   ッ   !   !  (ティネルの合図と共に、彼女の背後に超巨大な影が地響きを上げて君臨する。その正体こそ―――あのゼレオロイドを一撃に伏した最強の起動兵器…黒鉄の鉄巨神『レギュレロイド・零式』。)


ティネル【レギュレロイド】「 は ッ ! (  フ  ォ  ン  ッ  )(身を投げ出すようなバク転大跳躍によって鉄巨神のコア内部へと一気に着地する) グ ゥ オ ォ ン ッ (コアに内蔵された自分自身の動きと連動して、鉄巨神は起動。一度納刀したブレードを振り抜くと、どの動きに連動した鉄巨神もまた腰に備えられた二対の巨大ブレードを振り抜いたのだった)」

オーランド「 ッ!?!(覇気の圧迫のみで"肺"が潰れ喀血。口から溢れたそれも砂塵同然に四散し吹き飛ばされる) ッ……く……ッ(バク宙で体勢を立て直し、着地と同時に大剣を床へ突き刺しブレーキとする。尚も勢いは殺せずレンガの床を削り後退) 反撃に打って出ようとするが、足から脱力し片膝を突いてしまう)チッ……("覇気"による肉体への戦意放棄の強制……覇王色、それも並ではない出力の……)」

オーランド「(ゼレオロイド -零式- ……!!単身でも厄介だというのに……いや、だがあの巨体だ。剣の軌道は生身より読み易い…―――――――) ぐァ"……!!(ゼレオロイドが攻撃に移る前の初動で攻撃の軌道を予測。咄嗟に床を殴り前進を浮かせローリングすることで余裕をもって回避するが)―――――― グ シャ ァ (右肩から手の甲に至るまでが電動ヤスリをかけたかのように"削げ落ちる")――――――――――――!!?( 衝撃波……いや、余波で"これ"か……ッ!!)」

ヴァランドロア刹那「 ――――――ハァァァァァァァァーーーーーッッッ!!!!! ヘザー隊長!ご無礼をお許されよッ!!!!(倒壊した本部の瓦礫をふっ飛ばし、常人離れした跳躍力でふっとばされ浮遊するヘザーの方へ移動。そして) ガンッ  (彼女を本部近辺に留めてあった輸送車の貨物へ蹴り飛ばし、起動中のレギュレロイドから遠ざけ……) ははははは!!見ているか信長ァーーーーッ!!」

ヴァランドロア刹那「 私の主君は最強だ!!眼に焼け付けよ!!そして恐れおののくが良い!!!! (豪快に笑い、第0調査兵団最強を前に、堂々と啖呵を切ると)    パ  ス  ッ  (大剣と大剣に伴う衝撃波の本流に飲まれる。両足、右腕を喪失しその他内蔵の半数が破壊された姿を一瞬晒し、血しぶきを上げ倒壊した建物の瓦礫へ落ちる。)  ボドッ  (レギュレロイドの爪先には、彼女の右腕だけが原型を残し残った)」

平安名すみれ「ヨハネ!…私が防ぎきるから避けなさい!(ヨハネの前に立ち、グソクムシの触手で斬撃波を全て振り払おうとする)」

ヘザー「(致命傷には至らない事は、想定していた。だからこそ、敢えて対応し易い顔面を狙った。経験豊富なオーランドを援護した方が、多少也ともダメージに繋がると判断した)……とは言え、まさか無傷―――が…っ!!(大型かつ強靭が故に、重量のある四脚のガジェット……それを装備していても尚、ティネルの誇る覇気の前に紙の様に吹き飛ばされ)」

ヘザー「――――――……ぐ……う…っ………な……っ、刹那!?……馬鹿、何を……っ!(余りの衝撃に左脚の義足は割れ、臓器や血管へのダメージ故か、口と鼻から血を流して空高くで失神していたが、乱入してきた刹那の声で目を覚まし……反射的に生身の両腕で防御態勢を取り、そのまま蹴飛ばされ)」

ヘザー「ゼレオ、ロイド……?違う、アレは……そうか……レギュロイド……当然か…出さない訳が……――っ!な――刹那ァ!!!!(輸送車の貨物へと叩き込まれる寸前に四脚を引っ掛けて強引にブレーキ。輸送車の屋根に乗る形で体制を立て直し……レギュレイドの姿に暫し言葉を失っていたが、バラバラに吹き飛んだ刹那の姿に息を吞み……叫ぶ)」

マンハッタンカフェ「-------------- ッ !!?(ようやく現場にたどり着くも惨状に言葉を失う) ……ティネル、総長。(震える唇を噛みながら声をひり上げる)いったいこれはなんなのです? なんの正義があって、仲間に、部下に刃を向けるのですか?(ティネルの様子をするどく観察する。------むろん、彼女は"正気"のままだった。正気のままでこの蛮行を繰り出している)…… ……(正気を失わせたんじゃない。ティネル総長の持つ正気の基準をそっくりそのまま変換した術式……あまかった。傍にいればすぐに解除はできたでしょうに)……ふぅ、悔やんでいる暇はなさそうですね(スタートダッシュを決めるか如くファイティングポーズをとる)


ティネル【レギュレロイド】「―――――― いくぞ ( ズ シ ィ ィ ィ ィ イ イ イ イ ン ッ ! ! )(正義の権化が、動き出す。重傷を負う者たちへ徹底的な追撃を仕掛ける為に。そのあまりにも大きな前進の一歩目で地盤が震え、砂塵が火柱のように拭き上がる)」

ティネル【レギュレロイド】「 「敵」が、増えたか (その刃の矛先は、例え同じ部隊であるマンハッタンカフェにも向けられた。彼女は第0において02の催眠を受けていない、その隷属から外れた人物であるためか、ティネル本人の目には「真っ黒な怪物」そのものにしか見えていないのだ―――)―――貴様も"断罪"する ( グ ゥ オ ォ ン … ッ … ! )(ついに圧倒的巨大な刃を振りかぶる―――――)


ティネル【レギュレロイド】「   執   行   」


ズ       オ      ゥ      ッ      !     !     !     


巨大起動兵器を、山々を、地上にある一切のすべてを断裂する絶対的な正義の刃が、今、振り抜かれた―――――!


ヘザー「……あれは、確か第0のマンハッタンカフェ戦闘員か……どうやら、変わらず味方では居る様ね……良かった、どうにもならなくなる所だったわ」

ヘザー「―――よし、何とか接近戦に持ち込むわよ!!まともに打ち合って削り合う展開だと絶対に勝てない、コアごとティネル・カルロウ本人を打ち貫いて、無力化を狙う!!(レギュロイドの前進で噴き上がる砂塵、それが示す異様な圧力……それを肌で感じながらも、面々に向かって吠えながら四脚を全て歩行に回して猛進。レギュレロイドが振り上げた刃を見据え―――)」

ヘザー「――――――避けろ!!!(レギュレロイドがその刃を降ろす、その瞬間に四脚を以て斜めに跳び……攻撃を回避)」

ティネル【レギュレロイド】「――――それで避けたと思うな!!( グ ゥ ォ ン ッ ―――― ズ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ァ … ッ … … ! ! ! )(空振りし大地へとめり込む形で炸裂した巨刃。だが、そのままヘザーを追随するかの如く腕を振るい、埋もれたままの刃で大地を抉りながら彼女へと再びその脅威が迫っていく)

平安名すみれ「…!ヨハネ!(ヨハネに飛び込み彼女を庇うように回避しつつグソクムシの触手を鋭くしてティネルに向けて伸ばす)」

ヨハネ「……!団長!(覆い被されながらボウガンを放り投げるように地面に置くと、時限式に数本の矢がティネルに向けて発射される)」

マンハッタンカフェ「ーーーーーーーーっ!?(規格外、それはこの振り下ろされる執行の巨刃にこそふさわしい。これ以上ないくらいにシンプルな圧倒的出力)ーーーーーーーーこの!(ウマ娘特有の機動力。さらに足に呪力を乗せることでさらに数倍。だが)ぬぁああああ!!?(体重が軽い部類に入る彼女からすれば、巨刃が地面に接触直後の衝撃で吹っ飛ぶのは明白だった)………な、ヘザー隊長の方向へ!? あの巨大な刃をどうやって操っていると!(物理的・魔力的な質量を問わず、大きけらば大きいほどラグは顕著になる。だが、このティネルという女のそれはまるで違う。まるで普通の剣を振っているかのように、それが当たり前の技術であるかのように軌道を変えた。……"神は細部に宿る"という言葉はよく聞くが、あの剣のひと振りだけでその技量・力量の差を垣間見る)

マンハッタンカフェ「…………ティネル隊長(生唾とともに彼女の名をつぶやく)…………来て早々の任務がアナタと戦うことだなんて、ほんっと気がめいります。(呪力を込め、印を結ぶ)アナタを、全力で止めます。そして帰ったらタキオンさんを殴ります!!」

オーランド「 ン"ゥ"ッ!! (レギュレロイドの斬撃が地を穿ったタイミングで、剣の腹へ逆手持ちにした自らの獲物を突き立てる。そのままヘザーの方へ斬撃の軌道が変わろうともその刃に食らいついて離れず……)ッ……!くッ…… ヌ"ゥ"オ ア” ァ"!!!!!(足場となったレギュレロイドの剣に踏み砕くような蹴りを入れ、ヘザーへの斬撃の軌道を僅かにズラす。そして切っ先が彼女の足元をすれ違う間際、自身の大剣を水平に構え、それがティネル本体への攻撃の布石と鳴る『足場』であることをアイコンタクトで伝える) 隊長、こちらへッ!!」

ヘザー「(予想以上に動きが速い…!鳴り物入りで出してきただけはある、搭乗者の動きに高精度で追従しているが故の速さ…!まともには受け切れない、一本犠牲にしてでも……)……っ!?よし!!よくやった!オーランド!!(オーランドが決死の一撃で軌道を変えた事で、足元へと迫る刃を間一髪、ガジェットの四脚で跨ぐ様に跳び越え……うち二本の鉄脚で蹴りを入れ、オーランドの許へと跳躍)」

ヘザー「(ただ……確証は無いけれど、間違いない。奴はアレでも思考力は残っている。きっと、この"ヘザー・タウンゼント様"を優先して狙う。なればこそ……!)……見たわね、貴方達!奴は見た目より速く、精度も高い!だが……それ故に!人間に近い動きで、サイズ比で圧倒的に小さな私達を潰さなければならないという事!どうにかなりそうな気がして来たわね!!」

ヘザー「(……これも、付け入る微かな隙に"なりうるかもしれない"程度。私とアレでは、戦闘の手札の質も量も違う。それでも私が奴に勝ちを拾う為には……手札を全て切る事が大前提。そう、全て…!)」

オーランド「(攻撃の優先順位が設定されているとしても"自身に最も近い脅威から対処しなければならない"。さもなくば全滅させる前に敗するからだ。ティネル・カルロウが余程の狂人でなければそうする。だが、奴が"人体を模倣した機体"に騎乗しているというのが落とし穴だ。主武装は"二刀"のみ……剣によるあの馬鹿げた威力の波状攻撃も一度に振えるのは二回のみ)なら……"優先順位を均等にする"まで……! ゼェ ァ アッ!!!! (大剣を振り上げスイング、ヘザーをレギュレロイドの頭上へ飛ばし……)」

オーランド「 フッ…… ン"!(大剣の柄頭に括り付けている布飾りを殆ど抉れ使い物にならなくなった右腕に巻き付け、それを"ティネル本体"が埋まるコアへ向かって当投)シュルル ル  ル    グ ン  ッ   (砲丸投げ同然に飛ぶ大剣に引っ張られ自らをティネル本体へ飛ばす。自身は余った左手で大剣に収納されている"ショットガン型ガジェット"を抜き、それの照準をティネル)」

オーランド「いつまで寝ている刹那 死ぬならせめて"骨の髄まで使い尽くせ"!」

ヴァランドロア刹那「うるせェ――――ッ!!わたシにッ命令すルんじゃネァア"―――――――ッッ!!!!(倒壊した建物の瓦礫を蹴破り飛び出す。骨に辛うじて肉と神経がまとわりついているだけの腕、血が滴り落ち神経を引きずる腕、臓物が幾つも欠損し肋が見える胴体、そして脳髄が露出した"殆ど死に体"にも関わらず、ろくに立てないのを四足走法で補い狂った獣のごとく突っ走る)」

ヴァランドロア刹那「 わダ死のシニ場所は……隊長の膝上だァ"ァ"ァ"―――――ッッッ!!!!(レギュレロイドの爪先から膝へ、膝から肘へ、肘から腕へと損壊した体から肉片と血しぶきを巻き上げつつも、眼球がぶら下がった崩れた顔面でありながらも光悦とした笑みを浮かべ、口に何かの紐を複数加え、引っ張る) ピ  ン  ッ (胴体に巻き付けたスタングレネードの束。それのピンを抜くと同時に解き放ち、ティネル本体の正面へ向かってばら撒く)」

ティネル【レギュレロイド】「……疾(はや)いな。だが、捉えきれない程ではない。( ズ  ォ ―――― メ ギ ャ ア ア ア ァ ァ ア ア ン ッ ! ! ! )(片足を上げて、すぐに大地を踏み込む。それだけでとてつもない衝撃が砂塵を巻き上げながら空間を迸り、マンハッタンカフェの機動力を無に帰すかのように吹き飛ばしたのだった) 無駄だ、半端な覚悟では届きもしない。(すみれとヨハネの攻撃など、鉄巨人の装甲を前にしては蚊ほどにも効いていないのか、全く微動だにしない)」

ティネル【レギュレロイド】「 ほぅ……デキるな……!(オーランドの捨て身にも近い特攻によって軌道を変えられたことに一驚を示す)……!(続けざまに頭上へと飛ばされたヘザーを、コアの内側より見上げるも―――)――――!?(なにッ――――!)(本体(こちら)へと飛来する大剣とそれに引っ張られるオーランド…そして、視界を覆ったヴァランドロア刹那の姿に、思わず目を疑うという確かな"隙"が生じた)」

ヘザー「刹那……!あの馬鹿、あんな状態で無茶を……!オーランド、貴方も突っ込んで来たら……っ!!まあ、いい!良くやったわ、二人共……!此処で!!"どちらか"で仕留めるわよ!」

ヘザー「(マンハッタンカフェ隊員は、多分まともに近付くのは難しい。すみれとヨハネも、火力が余りにも足りていない……だけれど、確実に意識を散らしている。攻撃が成立している……それに、刹那が隙を作ってくれた。お陰で、私かオーランド……例えどちらかが堕ちても、もう一人で刺せる……!)――――そこで……くたばって居ろっ!!(ガジェット"執行四脚"の四本の鉄脚を全て、先端を刃状の形態に変形させ……ティネルのコア目掛けて一斉に突きを放ち、コアごと中のティネルを貫きに掛かる)」

ヨハネ「言ってくれるじゃない、総団長さん…!(蛇腹剣を構えながら)…すみれ、あなたの触手で撹乱して。これならリーチは…!(ティネルに向けて蛇腹剣を繰り出す)」

平安名すみれ「簡単に、言ってくれるわね!!(触手をティネルの眼前で振り回して掻き回す)」


―――――― ズ  ッ ガ ァ   ア ア  ア  ァ  ァ   ン   ッ  !  !  !  (弾丸の如き速度で放たれたヘザーの突撃がレギュレロイドの胸部、そのコアへと勢いよく激突。その衝撃の余波が空間に迸るが――――)




ティネル「――――――――― ギ チ … … ッ゛… … ギ リ゛ ィ゛ ィ゛ … ッ゛ … … ! ! ! (コアの内側、そこで自身のブレードを交差した状態でヘザーの刃を正面から受け止めていた)……なるほど…ッ……この私自らを狙ってきたこと、そしてここまで到達した事には褒めてやろう……だが…ッ…!!( ズ   ン  ッ  ! )(コアのフィールド内で右足を踏み出し、拮抗状態のヘザーを押し出す)」

ティネル「―――― こ の 程 度 で 屠 れ る と 思 う な ッ ! ! ! ( ザ ッ゛ ギ ィ゛ ィ゛ イ゛ イ゛ ン゛ ッ゛ ! ! ! )(ついにブレードを完全に振り抜き、ヘザーをコアから追い出すと―――――)」

レギュレロイド「 ズ   ッ   ガ   ア   ァ   ア   ン   ッ   !   !   !   (宙へと追い出されたヘザーへ追撃を仕掛けるかのごとく、鉄巨神の手に握られたブレードの頭(かしら)が品まーのように振り下ろされ、ヘザーを垂直に地面へと叩き落としたのだった)」

ティネル【レギュレロイド】「 ハ ァ ァ ァ ァ ー … ッ … … ! (ヘザーの一撃を振り切った反動が両腕に残っているのか、微かに痙攣している。しかし、一組織の長を務めるだけの技量と才能を兼ね備えるこの女性はそんなことなど意に介さず、己が正義のために身を奮い立たせる―――)―――貴様等がいくら束ねたところで、この正義を崩せるものかッ!!( ズ ガ ガガ ガ ア ァ ァ ア ア ッ ! ! ! )(大地を抉るような下段斬りが鉄巨神より下され、ヨハネとすみれの矮小な攻撃を瞬く間に無に帰し、彼女たちをその衝撃で呑み込んだ)」

オーランド「(『此処で!!"どちらか"で仕留めるわよ!』)―――――――ッ!(歯を食いしばりヘザーへのカバー周るという選択肢を噛み砕く。目標、ティネルへ一直線に飛び……)―――――0.3秒ズラせ刹那ッ!!(空中から飛びかかりながらの前足蹴りで腕を封じる → 散弾銃を突きつけゼロ距離での射殺 このコンボを決めようとするが……)」

ヴァランドロア刹那「 うヴァッッシャァ"ァ"ァ"ーーーーーッッ!!!!! (再生力の品切れ。殆ど半壊した肉体のまま、オーランドの指示通り瞬間的"時間差"を開け、急降下し遠心力と加速を乗せ、命を賭した斧による回転切りをティネルの喉へ向け振り下ろすが――――――――)

マンハッタンカフェ「(すべてを砕き、覆いつくすのがティネルの刃なら圧倒的スピードで駆けぬく彼女は影)葬行摩波・双身……(ざわざわと長髪の間からもうひとつのマンハッタンカフェの顔が現れ、背中にもまた腕や胴体が生える)クァアア!(早く走るごとに呪力で空間をも削っていく。光すら飲み込む虚空が開いていく中で行動範囲を狭めていき、背中に映えたもう一対の自分が獣のような雄たけびを上げて右手の濡れそぼった深淵の大剣による斬撃波を飛ばす)

ヘザー「―――――クソが……甘かったか……ッ!!!(ティネルのブレードによって弾き飛ばされ、ガジェットと諸共に宙を舞う。衝撃で微かに揺らぐ意識の中、追撃を行う面々、次に……振り上げられた鉄巨人のブレードが目に入り)」

ヘザー「(……防ぎ切れるか………?いや、防ぐんだ。私の『執行四脚』なら……それに、攻撃は此処の皆がやってくれている)この―――ッ―――――――グ…ッ……———!!(弾かれた四脚を再び防御態勢へと立て直し、鉄巨神の直撃を四脚で防ぐ。身体に刃が直撃する事こそ阻止したものの、当然の様に衝撃の一切を殺す事など出来ず……) ゴ ッ゛ ッ゛ シ  ャ  ア  ァ  ァ  ン  !  !(響き渡る轟音と衝撃と共に、地面へと叩き付けられる)」

平安名すみれ、ヨハネ「っ!!!(ティネルの斬撃波による攻撃に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる)」

ヨハネ「くっ…!(折れた蛇腹剣を投げ、ソードを取り出す)」

平安名すみれ「さすが、総団長と言ったところね…!(ちぎれた触手を引っ込める)」

ティネル「 何 ―――― ッ゛ ! ! ? (ヘザーを落としたその直後、下からのオーランド、上からのヴァランドロア刹那による両サイドからの攻撃に対応が間に合わず―――)―――― ぎ ィ ッ … … ! ! ( ガ ッ   ギ   ィ  イ ィ ン ッ ! ! ! )(レギュレロイドとのリンクを一時的に絶ち、コア内部で二対のブレードを縦横無尽に振り抜くことで間髪入れない洗練された斬撃で二人を迎え撃つ)」




ティネル【レギュレロイド】「……その意気や良し…「敵」にするには惜しいほどになッ!!( グ ゥ ォ ン ッ … ―――― ド グ ゥ ォ ン ッ ! ! )(レギュレロイドとの再リンクにより、鉄巨神の目が赤く発光。それと同時にティネル本人によって攻撃を弾かれ、僅かに宙に留まった両者へブレードを握ったままの拳が振り抜かれ、二人同時に地面へ叩き落とすように殴り抜いたのだった)」

ティネル【レギュレロイド】「 ッ゛ … … ! ! ! ( ギ ギ ギ ィ ィ イ イ ン ッ ! ! ! )(マンハッタンカフェの放つ鋭い斬撃波が巨大な両足を抉るように切り裂き、鉄巨神が退きはじめた。だが――――)―――― これしきで、我が軍靴は止まらんぞ!!( ズ オ オ オ ォ ォ ォ ォ オ オ ッ ! ! ! ) (切り裂かれた巨足を振りかぶり、マンハッタンカフェを蹴り飛ばそうと隕石の如き勢いで迫りゆく)」



ティネル【レギュレロイド】「……「敵」にしては見事な連携と抵抗力… だが、もはやここまでだ。これ以上の被害を出す前に、ここですべてを断罪する――――ッ!!(鉄巨神に握られたブレードが更なる輝きを帯び始める。高密度のエネルギーが剣身に注ぎ込まれているのだろう。ただでさえ難攻不落な彼女の「刃」が、更に強固にして脅威になっていくのを感じた―――――)」

ヘザー「――――――――…………ガッ………フッ……………ああ、生きてる……スペオトス・ベナティカスの、フェスは……(鉄巨神の一撃で地面へと叩き付けられた結果……衝撃でクレーター状に陥没した、地面の中心。薄れる意識の中で、鉄巨神に迎撃される団員達が目に入る)(身体の彼方此方が潰れた、傷だらけの身体。全身からの出血は夥しく、自慢の四脚はひしゃげ、左足の義足は完全に砕けている。動かない右足も膝が逆方向へと折れ曲がっている中で、そっと腰のポーチに手を伸ばし)」

ヘザー「違う……げいげき…………されている………呆けてる場合じゃあ、ない………しっかり、しろ…(ロリポップ状の軍用鎮痛剤をポーチから取り出し、乱雑に口の中に放り込み)」

ヘザー「……足が吹っ飛んだ時だってあったのに、へばっている訳には行かないわ……良し、頭が冴えて来た。あいつらを死なせない為に……立たないと…(血塗れの顔で、ひしゃげた四脚に目を向け――――)」


意識が朦朧とする中で、厳格な彼女は自らを律するようにそれでも立ち上がる。
そんな彼女が自らの命の支えとなるガジェット『執行四脚《フォーレグ・イグゼクター》』に視線を落とした時、
ついにその「覚悟」を決める時が来たと悟った――――――



― ヘザーの回想 ―


ティネル「我々「レギュレイター」はこれより、反復現象《オーバーラップ》の根絶の延長として、その元凶である「ゼレオロス帝国」の討伐作戦へと移行する!本部への要請は私自らが行うが、遅くても 2日後には突入を決行する! 総員、早急に戦闘態勢準備に取り掛かれ! 解 散 ッ ! !  」

ラタリア「………(深刻化する事態により重くなった空気によりぎこちなく立ち上がるが…)――――― 「ヘザー」、ちょっと…(ここで、彼女を手招いて会議室と隣接している小部屋へ誘導する) 」

ヘザー「……これまで以上に、帰還の保証が出来ない任務になりそうね……その辺りも考慮して……隊を組む必要が……ん…?(深刻な表情で、起立の代わりに一礼。車椅子に座り直そうとした所で呼び止められ)……分かりました、今向かいます…ヨールダン、悪いけどお願いね(腕力で無理矢理椅子から飛び、自らの車椅子に着地。ヨールダンに軽く手ぶりした後、ラタリアの誘導に従って移動する) 」







ラタリア「(自身とヘザー以外誰もいない小部屋へと誘い、彼女へと振り返る)………渡しておきたいものがあるら。(そう告げると、ヘザーへ小型円盤デバイスをそっと差し出した)」

ラタリア「……それこそが、『 UpG.《アップグレード》 Ver.Ⅱ 』。さっきの会議中では「完成の見込みはまだない」と濁したけど、本当は既に"完成"していたんら。「内通者」が潜んでいる中で、うっかり口を滑らせてしまえば「これ」さえもゼレオロスに利用されてしまう……らから、団長陣の中で最も信頼と実績のある君にだけ託したいんら。」

ラタリア「…「UpG. Ver.Ⅱ」は以前のVer.Ⅰとは異なり、既存ガジェットに装着する外付式拡張機能としての役目を持ち、"ブースト"の限界点を越えた火力を引き出せるものになっているんら。合体変形機構によってあまりにも規格外の大きさと破壊力を有しているから、平時はそのデバイスに格納しているんら。発動の際はデバイスを起動すれば、あとは自動的に君のガジェットと合体する。」

ラタリア「度重なるシミュレーションの結果、ゼレオロイドやそれに匹敵する…いや、それ以上の脅威性を誇る起動兵器すらも凌駕する破壊力は獲得している。Ver.Ⅱの強さは保証するら。ただし……ヘザーの場合、ガジェットと使用者が癒着しているタイプだと、それ相応の負荷がかかってしまうら。正直なところ、命の保証はあまり約束できない……らけろ君のことら。是が非でも成し遂げたいことに直面したのなら……この力は、必ず君の役に立つ。」




ラタリア「  私も君を信じて、これを託す  」



軍用の鎮痛剤……強力な麻薬にも等しいそれが染み込んだ、ロリポップ状の薬剤を、もう一本口に咥える。
連続しての摂取は禁忌とされているその行為を、敢えて行う。痛みを取り除く為の本来の用法では無く、無理矢理に昂揚感を沸き立たせ、意識をより鮮明にするために。

血と泥に塗れた姿で、ひしゃげた四脚で、クレーターの中心で立つ。
左脚は義足すらも砕け、残った右脚は以前の負傷で完全に麻痺し、おまけに完全に折れて曲がっている。%%
それ故に、科学者として、尊敬する人物が基礎を作り上げ、信頼出来るメカニックと共に維持し、戦い続けてきた鉄の四脚型ガジェット、『執行四脚《フォーレグ・イグゼクター》』。
その四脚を足の代わりとして"立ち上がった"姿で、左脚の義足の接合部に隠したポーチから、ラタリアに託された"それ"を取り出す。


ヘザー「………ラタリア博士、私も………貴方を信じていますよ。科学者として、人間として。」

ヘザー「現状の『執行四脚』でさえ、手足の様に動かせるまで時間が掛かった。味方の援護下で、並んで戦って、大出力の新型を乗りこなせるかは不安が残った。それに、遊撃隊《アサルト》やイーティス・センシオンと交戦する前に、嗅ぎ付けられたくは無かった。」

ヘザー「いや、これも……言い訳ね……貴方が命の保証が出来ないというのなら、きっと、そうなんでしょう。情けなくも、私は躊躇っていたんでしょう。この世に未練が山ほど残っているし。けれど」


腰部に巻き付く様に装着された『執行四脚』の基部。丁度身体の正面、臍の部分のメンテナンス用ホルダーを開く。


ヘザー「……目の前のあの『敵』に対処するには、これの力が絶対に要る。――私には団員を守り、任務を果たす責任がある。それを果たす為には、使う以外の選択肢はもう残されていない。そして、もう一つ……」


開いたホルダーに、叩き付ける様に小型円盤デバイスを差し込み、ホルダーを閉じる。


ヘザー「恥ずかしげも無く敵に寝返り、レギュレイターを……私の兵団を滅茶苦茶にしてくれた挙句、大仰に説教を垂れながらこの私を踏み付け、傷付け、汚し、見下しやがるあの女を蹴飛ばしてやらないと……気が収まらないでしょうが!!」


鎮痛剤の過剰摂取で感情のボルテージが一気に上がり、怒りの滲んだ破壊的な笑みを浮かべながら叫ぶ。
それに呼応する様に、ひしゃげていた四脚のそれぞれから文字通り"火を噴き"、
『 UpG.《アップグレード》 Ver.Ⅱ 』に依って空間に現出した外付デバイスと合体。鳴り響く金属音と共に変型を始める。


轟音と共に、瞬く間に四脚の一本一本が元の倍以上の全長・直径にまで巨大化し、先端は三本爪のアームへと変形。
原型を残しながらも、更に強靭・巨大化した姿へと変わり、本体であるヘザーを抱え上げる様に伸びた所で、ヘザーは再び、叫ぶ。


ヘザー「ロックンロール!!第二ラウンドだ!付き合え、ティネル・カルロウ!!」







ティネル【レギュレロイド】「――――――!!(変形した…否、あの形状は…"進化"…とでもいうべきか…ッ……!)(ヘザーのガジェットの変化を目の当たりにしたことで思わず驚嘆を示す)………フ……何故だろうな… 貴様等は「敵」だというのに……何処か親近感めいたものを感じ始めてきた……だが、戦いに私情は挟まない。それが私のポリシーだ。来るなら斬り落としてやる…――――まとめてくるがいいッ!!!」

ヘザー「精々この一瞬だけ、余裕ぶった面を晒しているがいいわ、ティネル!!その高潔を気取った仮面をォ!この私が……叩き割ってやる!!(巨大化した四本の脚全てが猛烈に地面を殴り付け、その勢いで鉄巨神の方向へと、砕けた地面の破片と轟音と共に弾丸の如き速さで"跳ぶ")」

ヘザー「―――っはっ……ははぁ!!流石は第二の強化、まるで出力が違う!!今の執行四脚ならァ!!(激しい出血による過剰なアドレナリンの放出、更には鎮痛剤の副作用で極度の興奮状態にある中で、気付かぬ内に鼻や目元から血を垂らし、浮かれた様に笑いながら叫ぶ。しかし、その目とガジェットはティネルを正確に捉えており……)」

ヘザー「魔力なら有り余ってる!!好きに喰らって、暴れろォ!!!(四脚がヘザーから魔力を吸い上げ、それを燃料にして紫色の"炎"を帯びる。同時に突進の勢いを乗せ、鉄巨神の脚の付け根を潰そうと、四本のうち二本を薙ぐ様に振り回す!)」

ティネル【レギュレロイド】「―――――――!(疾い…ッ……!)(先程とはまるで異をなすその速度に、あろうことか唖然として反応が遅れてしまう) ッ ッ ッ ッ ッ ッ ゥ ウ … … ! ! ? ( メ ギ ャ ア ア ァ ァ ア ア ア ア ン ッ ! ! ! )(そして、思わぬ事態が発生する。今の今まで何者の攻撃も一切受け付けなかったレギュレロイドが激しく振動し、次の瞬間には右脚の付け根から残骸が大きく飛散。痛烈な痛手を受け、鉄巨神の直立が大きく崩れた)」

ティネル【レギュレロイド】「(ここまでの飛躍を得たか…侮りがたいものだ…ッ…!!)ぐゥ……ッ……!!(鉄巨神とのリンクはいまだ健在。コア内部で腰を低くすることで鉄巨神の崩れかける態勢、その反動を和らげようと試みる。だが、付け根からは未だに軋むような音を立てて――それこそ人間でいうところの骨が砕けるようなもの――少しずつ崩落の兆しを見せていた)」


ヘザー「はぁっははぁ!!この私と!!『執行四脚』の『 UpG. Ver.Ⅱ 』ならァ!!その大層なブリキ人形も形無しの様ね!!(足を潰した!直立する人型の形をしている以上、足を一本失えば自重を支えられずに斃れてい……っ!) ガッ……ハ……ッ!?(高笑いと共に崩れ始める鉄巨神を視界に収め、追撃を加えようと構え直す。)(しかし、その瞬間……負傷による物か、『 UpG. Ver.Ⅱ 』の反動か。或いは、その両方か。口から塊と見紛う程の大量の濁った血を吐き出し、全身が硬直する)

ヘザー「ぐっ、ぶっ……ははっ、驚かせてくれますね、ラタリア博士…!あんな言い方をするのだから、さぞや酷い負荷を受けるのだと身構えていましたが……この程度とは…!(明らかに致命的な量の吐血。しかし、平然とした表情で両手を『執行四脚』の根本へと添え)」

ヘザー「……待ってなさい、この人形を潰した後は……その身体だ……!!(四脚の内の二本がバーナーの様に魔力の炎を噴出させ、空中で更に推進力を得る。その勢いを乗せ、残りの二本を鉄巨神の腰部目掛けて再び横薙ぎに振り回し、更に対敵の身体を破壊しに掛かる)」

ヨハネ「…………この攻撃ではあの総団長は砕けない‥ならば、せめて………(ヘザーの様子を見て)」

平安名すみれ「……団長に迫り来る攻撃を、全て迎撃する!(触手を構え)」

ティネル【レギュレロイド】「 ッ゛ ウ゛ !  !  ?  (―――― メ ッ ギ ャ ア ァ ァ ァ ア ア ア ン ッ ! ! ! )(腰部に刻まれた深く鋭い一閃の痕。鮮血のように残骸が噴き出し、夜空の中へ盛大に飛散した。コア内部では甚大なダメージ被害に伴う警音が姦しく鳴り響いていた)」

ティネル【レギュレロイド】「これほどの火力を残していたとは…侮っていたわけではないが、いよいよ私も追い詰められたものだ…ッ…!だが…ッ、ここで屈する程、軟な正義ではないッ!!!( キ ュ オ ン ッ ―――― ズ ガ ン 、 ズ ガ ン 、 ズ ガ ン ズ ガ ァ ァ ァ ア ア ア ン ッ ! ! ! ! )(レギュレロイド背面に備わった二対のリング型ブースター。それが青白く発光したと思えば蝶羽を彷彿とさせる鮮やかな閃光群となって全方位へと拡散。滑らかな軌道を描きながら、ヘザーを筆頭に対峙するレギュレイターたちへと豪雨の如く閃光が襲来する)」

ヘザー「お前達は!援護と保身に、"削り"に徹しろ!! こいつは私が最前列で!!正面から!!殴り倒してやる!!!(鉄巨神への攻撃に成功したことを確認してから、後方の隊員達へと振り返って叫ぶ。その後、再びティネルへと向き直り、その姿を見据え)」

ヘザー「――――恥知らずにも寝返り、私の兵団に手を上げやがったその口で!!白々しく正義、正義と!!」
ガッ……―――グ ワ ッ ッ !!!(四脚のうち一本の鉄脚が、鉄巨神の外装を握り潰す勢いで掴み……掴んだ場所を支店に、勢い良くヘザーの身体を持ち上げて放し、背面のブースター目掛けて跳躍。一気に二対のブースターの間まで移動し……)」

ヘザー「挙句に余所見をしやがって!!この私だけを!!見ていろ!!恥知らずがァ!!!(二本の鉄脚を振り上げる。それぞれの鉄脚が正面からヘザーの盾となりつつ閃光弾の雨を受け、抉られ、傷付きながらも……動作に一切の支障は無く、リング型ブースターへと鉄槌の様な振り下ろしが放たれる!)」


ティネル【レギュレロイド】「(――― ズ ッ ガ ア ア ァ ァ ァ ア ア ア ン ッ ! ! ! ) ギッ゛……!!? (ヘザーの接近戦により鉄巨人の背面へと回られ、弐対のブースターのうち一つが破壊され、その衝撃によって巨体がぐらりと傾倒。コア内部でも両脚に力を加えて耐え凌ぐ。真価を発揮したヘザーの単身突撃により、レギュレロイドの装甲破損率は大きく上昇し、このままでは完全破壊されることも時間の問題であった―――)」

ティネル【レギュレロイド】「(この「敵」には信念がある。揺るぎない、絶対不屈の信念。こういう奴を、過去に見た覚えがある…――――――)」



「本日から、世界政府直下・反復現象《オーバーラップ》対策組織『レギュレイター』に配属されました
                                       第6調査兵団団長『ヘザー・タウンゼント』です」



ティネル【レギュレロイド】「――――(いつか見た、ある人物との初めての邂逅。期待の後任として相応しいその人物を誰よりも無意識に過大評価していたことに今更気づきだすと―――)―――――― フ ッ (吹っ切れたように、鼻を鳴らした)」

ティネル【レギュレロイド】「その信念!貫くならばこの「私」を越えてみせろッ!!古き体制に終わりを齎し、お前自身の新たな"正義"を掲げてみせろッ!!(目の前の敵に、『かの人物』の姿を重ねるとすべて合点がいったように、腑に落ちたように、曇りも躊躇いもない眼差しでその眼光を光らせる)」

ティネル【レギュレロイド】「 ガ シ ョ ン ッ ―――――――  ズ   オ゛   ゥ゛     ッ゛     !  !  !  !  (限界寸前の鉄巨人、それが手繰る二対のブレードを一本に重ねるように獲物を振り上げると、天高くまで伸びあがったエネルギーブレードの閃光。山はおろか大地そのものをその一振りで両断せん至高の一撃を、今、叩き込まんと振り下ろした―――――!)」



白昼夢を見た。初めは隊列が遠く、見えなくなるまで続く数え切れない数の同胞と、
やがて視界に収まるほどに凡人の行軍は縮小し、いつの日か指で数えられる数まで。
やがて、肩を並べて歩む同胞は存在しなくなる。

呼吸をしている自覚さえ定かでない灰を被った空の下、霞の向こうに"這って行軍を続ける人"の姿を見た。
その人が歩み始めたのは自分達より遅く、その"足"では背を越えて行くはずがない人物だった。

その人は身を以て証明していた。我々、軍属という消耗品における『尊厳』とは何か。
いつの日か、勝手に希望をその人に託していた――――――――――――――。


オーランド「―――――。―――――――――(瓦礫の山。永眠るには寝心地が最悪だったのか目が覚めた。五感が正常に機能せず、辛うじて敵影と味方を識別出来る程度の思考能力の中幾度なく瞼が意識を閉ざそうとする。 次、気を失えばそれは永続的なものであろうことが直感で理解できた。 故に……)」

オーランド「――――――("試作治癒血清"。本部が消し飛んだ今、確実に在庫を保証できるのはこの一品だけ。今、自分はこれを必要としている状態にある……。  本当に? ) カチャ (手に取り、空に翳したアンプルが光を放った。 否、レギュれロイドの光刃が裏から光源となっていた。 立ち向かうは、UpG2……人体において致死量に等しいエーテルを排出する装備で立ち向かう、"尊厳"の姿)」

オーランド「 刹那 (ふと、共に吹き飛ばされた同胞へ無線越しにコンタクトを図る。 返答はない、返ってくるのは冷たい沈黙のみ)―――――――――――――そうか、了解した。(床に手を這い、手繰り寄せたるは手斧型のガジェット"デリカテッセン"。 犬が誇らしげに保有していた、一本の牙)」


 ヒュ ル  … ・   ・ ・・・・……   ガ  ン ッッッ (プロペラのように高速回転する物体が空を裂く。投擲された"斧型ガジェット"、それがレギュレロイドのコアの側面、"連結部分"に突き刺さる。 騎乗者、ティネルの動きを機体へリンクさせる"神経回路"の根本へ突き刺さり、 左アームへの情報伝達を阻害した)


オーランド「ヘザー隊長―――――――――――― もし私がくたばり損なっていても、手の内にある"延命措置"を使ってください。 (無線へ、溜息混じりに掠れた声を発した。)」


――――――――夢を見た
将来の夢は?と聞かれても、変わらず幼少期から何も思い浮かばなかった自分がだ。
秩序を取り戻したマリマロンの浜辺に、若い内から早々に退役し、武功で勝ち取った大金で質素な家を買う。
私有地で、両腕を広げ潮風を我が身一つに受け、年甲斐もなくぐるぐるとはしゃぎ回る。
自分が繰り返したかったのは、そんな世界だったと……ようやく気付くことができた。





     「 あとは頼みます 」  





マンハッタンカフェ「(術式を閉じ、また別の術式を展開)────…………(先ほどの分身たる存在の呪力をそっくりそのまま右足に付与させる)────────炎天・残月!(振り向きざまに上段回し蹴りをティネルに)」

ヘザー「ゴッ――――シャァァァ――ン!!!!(あの弾幕を受けながら殴ったのは無理があったか…?だが……確かに、潰した…!ダメージの蓄積で体勢も崩れている……!今潰したブースターは双発式、打撃による物理的な破壊なら、直ぐに立て直せはしない……!)」

ヘザー「(千載一遇の好機とは、まさにこの時の事を言うのだろう。このまま立て直す隙を与えず……本体を殺す)さぁ、この私を見上げろ、ティネル―――――(打撃に用いた鉄脚の一本がひしゃげ、逆方向へと制御を喪って折れ曲がる。それでも躊躇うことなく、その目は次なる標的、ティネル・カルロウを破壊せんと向き直る。レギュレロイドが体勢を崩したことにより、位置関係が逆転。ティネルを見下ろす形で真っ直ぐにその顔を、目を見据える。そして――――)」




「―――おい、大丈夫か!!しっかりしろ!!」



炎。瓦礫。死体。
一日たりとも思い出さない日は無かった景色。
10mm弾で目玉と脳を吹き飛ばしても走り続けた男が、
私の蹴りを受けた瞬間に爆弾を起爆させた、その"次"の景色。

気を失っている間に護衛対象と私のチームは既に退避し、襲撃者は疾うに消え失せた。
死人と怪我人で大騒ぎの街中で、名も知らない民間人であろう老人が、
必死に私の身体に布を巻き付け、千切れた足の根本を押さえ付けている。

忘れた事もない。私の足を喪った日。見知らぬ誰かに、ただの善意で必死に命を救われた日。


「―――あれだけ不満そうにしていた癖に、実物に触れた途端大喜びじゃないか。
看護師達が驚いてたぞ、笑った所を初めて見たってな」


二度と歩けない身体になった私を笑っている様にも見えた、歪な形の妙に大きな車椅子。
それが見る間に形状を変え、4本の鉄脚となって私の意のままに動く。
両足の残骸と共に止まり始めていた私の世界が、再び動き出した様な感覚。
この後団長の席を私に押し付けて来た男が、へらへらと笑う。
その隣に立っている少女が私より年上で、この素晴らしいガジェットを作った張本人だと知った時の感情を、私が忘れる事は無いだろう。

そう、忘れる事は無い。
私の生き方を変えた日々。今日この時に繋がる、楔となった時間たち。
今この場で何故だか、そんな日々が一瞬のうちに幾つも頭を過ぎる。

止まった時間の中で、その"答え"が鮮明に脳裏で再生される。


「話は聞いている。君が、彼に代わって第6調査兵団の団長を務めると。―――期待している。」


「――――レギュレイター・総司令官の「ティネル・カルロウ」だ。以後、よろしく頼む。」


あの時と同じ光が、私を見据えている。
あの時私が感じた憧憬を思い出す。

寄せ集めを束ね、戦う者として、確かな強さと意思を持った目が。
私を明確に見据え、命を奪おうと射抜く。

―――これは、きっと、走馬燈だ。私は、恐れているんだ。
眼を逸らしていた「死」のビジョンが、鮮明に頭へと焼き付く様な感覚に、吞まれていく。


ガ  ン ッッッ 


一瞬にも満たない思考の濁流を断ち切ったのは、
眼前の敵ではなく、飛来した斧がレギュレロイドに突き刺さった金属音。

違うだろう、ヘザー・タウンゼント。
過去の記憶が濁流の様に流れ続けたのは、『切り抜ける為の手段を記憶から探し出す』為だろう。
恐れているのは負けて死ぬ事ではなく、『嘗て憧れを抱いた人間をこの手で肉塊へと変える事』だろう。

視界が現実へと戻る。突き刺さった『 《箱庭略奪戦争》デリカテッセン 』 が視界に映り、
信頼する部下と、憎からず思っていた犬の身に何が起ったかを悟る。



図面からも消した、地下室。私達しか知らない、秘密の部屋。
そこで、"完成"した日を思い起こす。

「……念押しするが、そいつの存在を知っているのは、メカニック兼副団長である俺とバンレッジ、そしてお前だけだ。他には他言無用でな」

「ここに設備がある事も、俺達3人が集まって居る事も、誰も知らない。その為の工作を徹底しているんだ、保証してやってもいい。」

「医師の俺が安全性は保障する。と言いたい所だが……ラタリア博士すらも関わらせず、貴方の骨格を置換して体内に埋め込むなんで無茶をしているんだ、元よりそのつもりではないとはいえ、多用はするなよ」

「承知の上よ。元々そのつもりで用意したんでしょうが……だいたい、この手の一発芸は、『最初の一回』が最大の効果を発揮するものでしょう?切り札として使わせて貰うわ、"確実に一人仕留める為に"」

「良く分かってるじゃあないか、敵は『ヘザー・タウンゼントの両足の機能は喪失している』という情報を持っている。だからこそ、最初の一撃が必殺の一撃に成り得るんだ」




―――きっと、今がその時だろう。
その切り札を切るのが、イーティス・センシオンでも、《遊撃隊》アサルトでも無く、貴方になるとは思わなかったが。

……これも、悪くは無い。




ヘザー「私には!!任務を果たし、敵を討ち果たし、守るべき者を守り……仲間の命に責任を負う"義務"があるッッ!!―――――ガッ ――シュ ゴ ォ ォ ォ ォ ォ オ オ ッ ッ !!!!!(残った三本の鉄脚から魔力炎を噴出させ、うち一本を下に向けて上への推進力として用い、残った二本を鉄巨神のエネルギーブレードに対して下から打ち上げる様に一気に振り上げ、防ぐ―――否、真正面から打ち合う)」

ヘザー「 ガ ッギ ギ ギ ギ ッ ……!! (『 UpG. Ver.Ⅱ 』の出力を以てしても、強大な一撃と正面から打ち合って耐える事は難しいのか……二本の鉄脚は悲鳴を上げる様に軋み、身体はさらに血を流しながら、下方へと圧し込まれる)

ヘザー「がぶ……ぐ、ぎっ…………そ、れがァ………私の!!"正義"だ!!それを阻む『敵』を、貴様を……踏み潰し、越えてやる――――望み通りになァッッ!!!!(否、ただ圧し込まれるのではなく……鉄脚から放たれる噴射炎を緻密に制御し、ティネル本人の鎮座するコア、その鼻先へと"落ちながら迫る")」

ヘザー「執行四脚……『 プラス・ワン 』 ( ギ ュ ウ ウ ウ ウ ウ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イ イィィィィィィィィィィィィン!!!!!!!!!!! )(響き渡る駆動音と共に、動かない筈の『右脚』の膝下から爪先までが"展開"。内部から強靭な"鉄"の骨格が露わとなる。ふくらはぎからはバーナーが、脛の部分からは高速回転する刃が現れ……まさしく『執行四脚』の"もう一本"として、本体たるヘザーの身体さえも振り回す様にバーナーから魔力炎のジェット噴射が放たれ、ティネルに向かって猛進。その勢いで眼前のコアに鎮座するティネルを切り裂こうと、動かなかった筈の右脚から回し蹴りが放たれる!!)」

ティネル【レギュレロイド】「(  ガ  ン ッッッ )――――!?(コアの左側面に走る痛烈な衝撃に目を見張る。自身の動きと完全な同調を維持していたはずの鉄巨人の左腕の手応えが薄れ、徐々に駄々れるように崩れていくのが目に視えた) ッ゛ ! ! ? (今度は右側――マンハッタンカフェの苛烈な一撃が鉄巨人の右腕、その装甲にめり込むことでブレードを維持する力が低下し、両者の最後の攻撃によって自身の一太刀が脆く崩れ落ちてしまう―――)

ティネル【レギュレロイド】「―――― ! ! (だが、両腕が機能しなくなった鉄巨人の頭上へ何かが飛び上がった。その影を緊迫した表情でゆっくりと見上げ、月の逆光を浴びた「四本足の異形の怪物」をその目に捉えた―――)

ティネル【レギュレロイド】「 ガ ッ ギ ャ ア ァ ァ ア ア ァ ァ ア ア ア ン ッ ! ! ! ! (その怪物が"牙"を立ててこちらに食らいつこうと迫る。ならば応戦せよ。迎え撃て。かの「敵」を討て。それが、軍人気質として生まれ育った自身の貫き通してきた生き様にして、"正義"。だからこそ、生涯をかけた全身全霊の一振りで、迎え撃つ。ヘザーが繰り出した最後の一撃に、答える為に――)




ティネル【レギュレロイド】「 ! ! ! (衝突の間際、ヘザーが叫び放つ言葉に"既視感"が過る。そう、"デジャブ"だ。その言葉を、自分は何度も聞いたことがある。そう…他ならぬ自分や彼女が志を同じくして目指していた"正義"なのだから――――)

ティネル【レギュレロイド】「……そうか……『お前』は―――――(片目に宿るゼレオロスの紋章にノイズが走る。歪んだ光景と共に、眼前の黒い「敵」が、微かに少しずつ、明るみになっていく――――)



ピ キ … パ キ ャ … ビ キ ッ … … ―――― パ キ ャ ア ア ァ ァ ア ア ア ア ン ッ ! ! ! (ブレードを振り抜き、鉄巨人の懐まで落下したヘザーがついにコアへと到達。突撃と共に罅割れる円形水晶体がついにその圧力に耐え切れず、破裂。そして――――――)


ティネル「―――  ズ  ブ  シ  ャ゛  ァ゛  ァ゛  ァ゛  ア゛  ア゛  ア゛  ア゛  ア゛  ッ゛  !  !  !  !  (その中にいたティネル本人に、ヘザーの"懐刀"が心臓を食い破る勢いで襲う。はち切れんばかりの眼をかっと開き、食いしばった歯間から噴き出す血霧。両手からブレードが手放され、麗しい銀髪の髪が儚げに揺れる。そんな死の間際、ようやく「敵」の正体を理解した彼女は―――――)




"最期"なら、覚悟していた。組織の長として君臨するよりも前から、戦場に降り立った、あの時から―――


人は、いつか"最期"を迎える。ならば、せめて終わりは悔いのないように誇りたいと誰もが願うだろう


夢半ばに散った同胞たちの無念の表情(かお)を何度も看取ってきた。耐えがたい苦痛だった


果てることのない戦い。繰り返される悲劇。そこに終止符を打つために、私は…名乗り出たのだ


―――――――― この、『 レギュレイター 』に





「ティネル・カルロウ。この度の反復現象《オーバーラップ》対策組織を、君はどう動かしていくつもりかね?」

「我々上層部は君自らの立候補を尊重した。だが、過去前例のないこの謎に満ちた現象に、どう対処していく?」

ティネル「生まれいずるものには必ず結末が伴うものです。繰り返されることなどありはしない。その普遍的事実を確証するべく、私は…――――――」




「総団長、いよいよ我々の"正義"を実行に移す時だな」



「っしゃあ!行こうぜ、総団長!俺はこの日のために鍛えてきたんだからな!」



「ガジェットの製造ラインは確保済み。時期に全団員へ支給されるようになるら。」


「グビッッ あ"~… この期に及んで社畜させんのかよォ…もう少し酔狂に浸りたかったんだがなァ~~くそがよォ~~~」


「………………」


「『我々』は貴女と共にこの責務を全うする所存です。最後まで、戦い抜きましょう…総団長」








――――『 背中を預けられる同胞《 お前たち 》 』がいる


それだけで、私が予想するこの組織の未来は既に決まっている―――――










ティネル「     征け、その命尽き果てるまで     」





その終わりを、結末を、最期を……


看取ってくれたのがお前たちで、良かったと…


…今なら、報われた気がするよ―――――――――



ズ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ガ ッ シ ャ ア ア ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ァ ァ ァ ア ア ア ア ン ッ ! ! ! ! !



鉄巨神はついに崩れる。その心臓を成す女性の影も巻き添えにして
夜空を染め上げる砂塵と、残響する崩壊の音
天変地異を齎した熾烈な戦いに、今、終止符が打たれたのだった――――――




ヨハネ「総団長………!」

平安名すみれ「…………(グッと拳を握り締め、目を逸らす)」

ヘザー「ギュゥゥゥゥ……ィィィィ………ン……―――……っ……(―――例え、尋常ならざる程の強靭な人間であっても。"仮想敵"ではなく、生身の身体に向けられた刃は、その生命を容易く切り裂いた。(『プラス・ワン』の稼働を止めても尚、その蹴りの勢いは完全に衰える事は無く……身体は右脚の推力で大きく振り回され、地面へと真っ逆さまに落ちて行く)」

ヘザー(その中でも尚、確実に致命傷となる一撃を叩き込んだと確信していても、失われた筈の脚に、命を奪った感触を感じたとしても。幾つかの感情を込めて、鉄巨神と共に崩れ行くティネルの顔を見据え続け。殺すべき"敵"としてでは無く、かつて憧れ、背を預けた"総団長"としての眼を、表情を確かに感じ……それでも、レギュレイターに刃を向けた"敵"を、否定せねばならないと拳を握り締め)」

ヘザー「―――――さようなら、総団長。いや……ティネル・カルロウ。貴女の……事は、嫌いじゃ無かった。いや、きっと、尊敬していた……それも、今日まで、だ……!(その身体が崩れる鉄巨神に隠れ、見えなくなるその時まで目を逸らさず、激しく損傷しながらも何とか稼働する三本の鉄脚で地面へと着地する)」


ガッッ―――――――シャァァ――――ン………(轟音と共に地を踏む三本の鉄脚。しかしティネルの最期の振り下ろしを受けた二本が、限界を迎えて一本は拉げ、一本は先から砕ける)


ヘザー「――うっ、ぐっ……!限界、か―――ははっ、流石に………アレと正面から打ち合うのは無茶だったか、改良の余地あり、ですね、博士……(着地に用いた三本の鉄脚のうち、二本が崩壊した事によりバランスが崩れ、その場で尻餅を付く形で地面へとへたり込み……うち一本を背に置き、その鉄脚へともたれ掛かり)」

ヘザー「……致命傷を与えたのが、博士の用意した『四脚』でなく、うちの兵団で作った『もう一本』で、良かった……本当に……せめてもの、救いだわ……は、はっ……ガッ……ン゛ン、ブッ……!!……クソ…っ…(最早、自らに対しての慰めでしかない……そんな言葉を吐いて微かに気が緩んだ瞬間。内臓から逆流した血液が口から溢れ出し、思わず手でそれを受ける。そして手を染めた、その黒々とした血液が、右脚に付いた血と肉片が、体中の傷から流れ続ける血が否応なしに目に入り)」

ヘザー「……もう、動けない、か…………………」

ヘザー「…………もう一仕事、しないと……ね…………(左の義足、その根本に保持していた無線機に手を伸ばし、スイッチを入れて兵団全体へのチャンネルへと周波数を合わせ)」

ヘザー「……こちら………第6……調査兵団、ヘザー・タウンゼント」

ヘザー「……(息が、苦しい。視界が、歪む……ショック症状、か……参ったな……ただ、まだ……頭が回る内に…)……レギュレイター本部にて、総団長ティネル・カルロウが乱心……故意に我々調査兵団への無差別攻撃を続けたため、これを……制圧。」

ヘザー「故に、今後は……各兵団長の、独自判断に……基づき、その指揮下で……行動する事を、強く、提言、する……」

ヘザー「………(まだ、死ぬつもりはない。目の前で爆弾を喰らっても、足が吹っ飛ぶだけで生きていたんだ……この、程度……でも、今は……)そして……第六……調査、兵団、各位へ告ぐ。"私は指揮・作戦行動に参加できる状態ではない"、それ故に……『プロトコルB-1x』を発令。以降は、ヨールダン・マッケインに…………団長としての、権限を、移行。同時に、バン……レッジ……カテプに…………副団長……権限を、移行……」

ヘザー「―――…………以上……いや…………もう一つ。」








ヘザー「―――――皆の、幸運を祈る」







「―――ジジ……ッ」






「ああ、ちくしょう…………フェス…………行きたかったな………」





切り損ねた無線機が、声の主が決して周囲に漏らさなかった……ほんの小さな愚痴を拾った





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最終更新:2024年07月07日 19:08