大監獄インフェルノ襲撃事件より、2週間後―――
――― Central・A・Land 聖なる国『コスモス』 ―――
ワイワイ… ガヤガヤ… (聖国の城下町―――美しく広大な街並みに民の嬉々たる歓声と共に色鮮やかな風船や紙吹雪が舞いあがる。その様は宛ら盛大な祭… そう、今日は世界で最大の式典が開催されようとしていたのだ)
コツ…コツ…(透き通るような青い海が見渡せる港にて、一隻の豪華客船が到着。ハッチ式の足場が展開され、船内から豪華な衣装を身に纏う男女やその護衛人が次々と現れる)
漁師「おーおーおー!今年"も"来たな…!(豪華客船とそこから現れる錚々たる顔ぶれにあっと驚かされる) 」
肉屋「ああ…!なんたって今日は、5年に一度開かれる『首脳会議』だからな…!各国の王族たちがこの国に集う盛大な式典だ…!この日の為だけに、各国から大勢の民人が見物しに来るくらいだ。今日は儲かりそうだ…! 」
政府軍兵士&黒服の役人(C.P.)『ザッザッザッ…(船から城下町へと歩み行く王族たちの進路を開くべく、多くの役人が列を成して壁を作る)』 」
ローブの少女「…わぁ、すごい… 綺麗な人…たくさん…(港に集う大勢の見物者の群れの背後から、船から現れる面々を背伸びしながら眺めている)…みんな、何処かの国の王様やお姫様…なのかな…(小汚いローブを握りしめながら、自分とは住む世界の違う彼等に憧憬の眼差しを向けている) 」
黒い蜘蛛「(港が賑わう一方、その様子を遠くの路地裏から観察する怪しい影が二つ―――)…予定通りの時間に到着したな。 」
新次郎「………(ふーん、これが祭り、ねぇ)(政府軍の兵士として、壁を作っている) 」
黒い蝙蝠「(蜘蛛と共に不気味な笑みを浮かべている)ああ。…何せ今年は『首脳会議』開催の年だ。各国の王族や世界政府上層部どもが集い、世界が抱える大問題について討論し合い、今後の指針を決める国際会議…――――それが『首脳会議』だ。 」
黒い蜘蛛「俺たちが政府から盗んだ情報によりゃあ…今回の首脳会議には、銀の国・王妃『レイア』、トピア国・国王『ベロニカ』、火の国・22代国王『アルセニオ2世』、ポポポプノ王国・王子『ワタガシ』、機械国・国王『メーデルセン』、
ディーヴ王国第一王女『キュウカ・ミリダルア』、第二王女『ディーヴ・ミリダルア』…そして、
レゼリア国・国王『アルミナ・ロウ=レゼリア』および王女『サキエル・ロウ・ナイル』などなど…他にも、各国より名だたる王族が出席するようじゃねえか。(タブレットに映る名簿リストと思われる画面に視線を落とし) 」
黒い蜘蛛「過去には屈強と名高い
マイテイ国やゴルドニア国も参加していたらしいが、前者は反乱軍による革命で事実上崩壊… 後者は度を越えた圧政により首脳会議への参加を拒否された。つまり、武力に秀でた参加国が少ない今、首脳どもを守護するのは政府上層部のみってことさ。…っと、みな。噂をすれば…(そう言い再び港の方へ視線を送る) 」
ゴゥンッ…ゴゥンッ…―――(豪華客船に続き、政府の軍艦が何隻か到着する)
セイン「わ、わぁ~~……マジで下っ端も召集されるんですね『首脳会議』……。土下座大安売りしそう、やべっ……も、戻しちゃいそうなんですけど誰か、誰かエチケット袋ロロろろろ(高台といった特定のポイントから隊列、及びその周囲を監視する班。その中でうだつの上がらない青年がその圧"プレッシャー"になすすべもなく敗北する)\ウワキタネー!!/\マタオマエカー!!/ 」
カタシロ「 コ ツ … コ ツ … ――――(軍艦より先に現れたのは、正義を重んじる巨大組織を統べる"元帥"――― 名を、『カタシロ』。) 」
政府軍兵士「………ちょ、落ち着いてください曹長、今からそんなんじゃどうするんすか(レジ袋をセインに差し出す) 」
ハクライ「……(続いて現れるは政府軍が誇る最大勢力"大将"のその一角―――"白虎"。新調されたかのように真新しさを醸し出す軍服をきっちりと着こなし、厳格たる表情で港へと踏み込む) 」
黒い蝙蝠「あれが…世界政府本部・元帥『カタシロ』、および世界政府本部・大将の一角『白虎』…ッ… 実物を目にしたのは初めてだぜ…(距離感を度外視したようなその圧倒的な存在感に思わず身が竦み域を呑む)… この二名に加え中将等十数名、そしてC.P.をはじめとする関連組織の参加も確定しているんだよな… 」
ヒロ「…なっかなかおもしれぇ連中ばっか現れんなぁ(船から現れる面々を見ながら呟く)俺みてぇな一般庶民とは生きてる世界が違うんだろうなぁ 」
政府軍兵士「(その頃船内…)ヴェルゴ中将…!もう目的地に到着しています!ただちに聖地への同行をお願いします…!(慌てた様子で懇願しながら) 」
ヴェルゴ「…ヴェルゴ"さん"だ。(頬に付着した食べかけのステーキではなく口元をナプキンで拭き取り、その場を後にする) 」
政府軍兵士「(おい流石に今回ばかりはまずいだろあのハンバーガー……!お前言ってこいよ!)」「(やだよ俺出世したいもん)」「(ちくわ大明神)」 」
ローブの少女「また、大きな船…今度は…政府の人…なのかな…(みんな、大きく見える…王族の人たちと、違うものを感じる…) 」
伊世「コツ……(『梟』は配置に着いた。まさかこの場においてことを動かすほど"ホシ"も暗君ではなかろうが––––––)–––––配置につけ。"撃つ"と認識した瞬間には対象を排除するよう心掛けろ(ノールックで通信を終えると傍の部下に無線を手渡し、隊列へ続く) 」
ガタル「デュフwデュフフフhwww (まさかのこのガタル様が護衛を任されることになるとはな…!俺様もついに上層部に認められたってことかもしんねえなぁ…?)まっ、どんな不届き者が現れようと、この俺様の六式体技で蹴散らしてやるわ!デュフフフフww(隊列の中で不気味に笑っている) 」
レイヴン(TOV)「……ここまで大掛かりな集会を見るのは……はて、何年ぶりかね。(民衆の中に紛れている) (CV‐竹本英史) 」
エディ「(なぁぁーんで非正規雇用まで駆り出されるんですかねって聞くまでもなく伊世何だろうなぁ……––––––)––––––– (隊列から周囲の建物、見守る住民、隊列そのものとくまなく視線を動かし肩を竦める)(幾ら何でもないっしょ、今回ばかりはいくらギガンテスでも) 」
セロ「 ブ ワ サ ッ … ―――(別艦隊から現れたのは全身白尽くめに白いシルクハットを被った糸目の男。その胸には世界政府の紋章が施されている) ンッフフ…御苦労さま。(擦れ違いざまに兵士の一人の肩を叩いていく) 」
ピカマン「(登場からコンマ1を待つ間も無く顔面あざだらけでピーポくんに連行されている) 」
政府軍兵士「は、はっ…!(今のが…最上級諜報機関――― 『 C P - 0 』(
サイファーポール〝イージス〟ゼロ)の『セロ』さん…ッ…!なんという、存在感だ…ッ…)(飄々たる彼の表情の奥底に潜む巨大な「何か」に戦慄し、思わず全身が痙攣する) 」
ヒロ「うっへぇー、政府軍の連中かぁ…やっべ(周りを見て) 」
キュウカ「(豪華客船より優雅な足取りで現出)…はぁ…(ディーヴったら…初めて出席する会議に緊張してお腹を下すなんて…王女たる風格が問われるわ…)(やや呆れたように額に手を添える) 」
アルセニオ「シャランラー(顔のつくりは淡麗だが空虚な自信、及び過信が透けて伺える得意げで鼻につく笑みを浮かべ前上を軽く払う)–––––ご覧よロクスウェル。かつて、代々にわたってこの首脳会議で僕らがこうして大衆に迎え入れられたことがあったかい。いいやないね、偏に人徳さ。民に寄り添い、民に近しい目線で、親しみやすく絵に描いたような良き友のようなこの僕の人徳があってこそヴォルカノクスは初の首脳会議へ招かれたわけさ。そうだろうロクスウェル 」
ロクスウェル「左様でございます、全くおっしゃる通りで( 真 顔 ) 」
新次郎「………(ヴォルカノクス……あいつらが、首脳か…)(アルセニオとロクスウェルを見て) 」
カタカタカタカタカ……(豪華な馬車が一台到着する)
黒い蜘蛛「見ての通りだ。政府のあの厳重な防衛態勢を崩すことは常識的に考えて不可能。…だが、歴史上、先の加盟国どもが消えたことで、今回ほど"脆い"ものはない。 」
ヘンシェル「何をなさるのです閣下!まかりなりとも民草の面前で!いやほんと!ねぇちょっと閣下!イケメンなら許されるとかそういう世界じゃないんですからね閣下!?ねぇちょっと閣下!!(王族が列をなし歩を進めるその場において唯一床に腰を下ろしうずくまるその人物のマントを引っ張る女性が一人) 」
女性記者「……!あっ…見て!各国の王たちの最後部に、レゼリア国王女様が…! 」
ギュスターヴ「いいじゃんもったいないし。しかし大陸の民草は食に恵まれていようなヘンシェル。ちょっと今から夢の山に発掘に行かない。妾行きたい(燃えるような赤の長髪を讃え、シルクのマントに身を包むその青年、『森の国 -ヴァルトゥーラ-国王 ギュスターヴ・アーウィン』。彼は床に転がるフランクフルトの残骸などを拾い満足げに貪っていた) 」
政府軍兵士「……(バカな君主もいたもんだな)(新次郎の横でヘンシェルとギュスターヴの姿を捉える) 」
王女「 コ ツ … ――――(世間一般では「サキエル・ロウ・ナイル」の名で有名なレゼリア国・王女。錚々たる王族たちに続く様に最後に現れる) 」
黒い蝙蝠「なるほど…だからこのタイミングであの教祖様って奴を救出したってわけか… あの『
サングル』って奴、なかなか抜け目がねえな。 」
アレクセイ(TOV)「―――――――――(豪華な馬車から高貴そうな姿が現れる) (CV‐小杉十郎太) 」
黒い蜘蛛「(あれが名高いレゼリア国のお姫様か…そして、今回の「標的」…――――)(最後に現れた姫に舌舐めずりする)だからこそ、奴から任務を受け持った「俺っち」たちの責任は重大だ。この『計画』はもう既に始まっている…しくじらないように行こうぜ、相棒。ズズズ…――― 」
黒い蝙蝠「おうよ。ズズズ…――――(相方の蜘蛛と共に影に溶け込む様に消える) 」
徒紀姫「––––––カッ パタパタ(和傘を持ち後に控える従者を連れ、煌びやかにして贅を尽くした和装に身を包む幼い童女が王族の最後部に続き)パタッ––––––(口元で仰いでいた扇子を動かす手と足取りを止め、一瞬踵を返す)––––––スコリ(”住民達”とその遥か向こうに聳える"影<蜘蛛>"の方へ妖艶にして奥ゆかしい微笑みを向け、再び列に戻った。その少女、合島国レサーティア 代表。夜舞代の帝・徒紀姫) 」
ロダム「……成程、確かに……過剰とも言えない体制の様ね(名立たる精鋭達が立ち並ぶ中、そこに佇むだけでその強さを誇示するかのように……『ロダム・クリンプ中将』が、堂々と王達の近くを歩いている) 」
ローブの少女「とても…きれい…(最後の姫君に乙女心を擽られ、興奮したように頬を赤く染める)……(なんだろう…不吉な予感… 政府の人、たくさんいる… でも…この心のざわつき…変……)(胸中に突如現れた不可思議な感覚に目を細める。その場から離れ、別ルートから王族たちと同じ方向へと走りだした) 」
そして場面は変わる―――聖国の中央にそびえ立つ荘厳たる巨城。各国の王族たちと政府上層部たちのみが入場を許可されるこの城を、多くの衛兵が取り囲んでいる。外部からの侵入は決して不可能の金城鉄壁を誇る防衛態勢であった。
ザ ッ … ! ! ! ! ! (王族たちの入場を確認された後、衛兵たちは武器を身構え防衛態勢に入る)
――― 聖城・王の間 ―――
ォ ォ ォ ォ ォ … ッ … (王の間―――輪状の席に各国の王族たちが腰を据える。彼・彼女らの背後には、護衛として政府上層部が堂々たる風格で身構えている。)
「全世界」が一堂に会する首脳会議開始時刻まで、あと―――15分。
政府軍将校「……(初めて王族直属の護衛を任されたのだろうか、緊迫した空間に圧倒され息を呑む) 」
キュウカ「……(ディーヴ…結局合流できなかったわね。他の国の方々も揃っているというのに、あの子ったら…これでは、ディーヴ王国の恥さらしとなってしまいますわ…)(あまりの居た堪れなさに思わず両手で顔面を覆う) 」
セロ「…ふむ……(あと10分ですか…)(腕時計に視線を落とす)……(しかし妙ですね。本来ならばここでセオと合流予定だったのですが。…連絡も着きませんし…―――)(糸目の瞼が薄らと開かれ、鋭い眼光が露わとなる) 」
ハクライ「……(石造の如く微動だにしないで目を瞑り、腕を束ね、仁王立ちで「その時」まで待機している) 」
徒紀姫「 パタンッ (扇子を広げ口元を覆い目を伏せ、誰かが言の葉を紡ぐその時を待つようにして沈黙を守る) 」
カタシロ「(昂然たる姿勢で王族たちに並び腰を据えている)…間もなく首脳会議開始時刻が迫る。これより我々「世界政府」以外の護衛の方々は速やかなる退出を願う。 」
王女「……(四方八方から感じる重圧に、若さ故の恐縮も感じられる。しかしその宝石の如き双眸は一国の王女としての確固たる意思が秘められている) 」
アルセニオ「パッチンッ★(指を鳴らし『よく部下を訓練している』アピールをし側に列席するロクスウェルへ合図を送る)ドヤァァァ 」
ロクスウェル「––––––(『不安しかない』)閣下、くれぐれも発言には細心の注意を(一礼をし退室) 」
執事「(カタシロの発言に深々とお辞儀をし、前方にいる王女の元へ歩み寄る) サキエル嬢、ひとつお耳に入れておきたいことがございます。(そう呟き彼女との距離を更に詰めていく…――――)―――― ガ バ ッ ! (突然の出来事だった。執事が取った行動…それは背後から王女の首へと腕を回し、そのまま強引に引き寄せたのだった) 」
王女「――――!?(突然の出来事。一瞬自分の身に何が起こったのか理解できない唖然とした表情で、その背後の執事へと困惑の視線を回そうとしている) 」
カタシロ「―――――!(執事の突拍子もない行動に目を見張る)…何の真似かね。(さも人質を取る態勢に入ったその男を厳かな目つきで睨む) 」
――――― ザ ッ … ! ! ! (その時、張り詰めていた緊張状態に更なる悪化を遂げる。世界政府最高勢力の精鋭たちが一斉に身構える。その様子に各国の王族たちは驚愕し、困惑し、または冷静に俯瞰するように、各々の視線が王女と執事に集中した)
レイア「何事ですか。(執事に叱責するように声を荒げ) 」
執事「…ヴァ……ヴぁれ…バ…れ…は…(壊れかけのブリキ人形のように不規則に首を動かしながら喋り出す)…ば…わ……われ…われ、ワれ、ワレ、わ…ワ…わわわワわわワ―――(不規則な動作と共に乱れる服装、荒ぶる双眸、口元からだらしなく滴る唾液…そして、定着しない口調…)――――『我々』は、この王女を頂きに来ました。(それらすべてが静止した時、そこに執事の面影は完全に消えていた。人の皮を被った『何か』は王女を人質にそのまま輪状の席のど真ん中へと移動。部屋中の者たちの視線を四方から浴びたそのものは、愉快そうに口角を上げていた) 」
ハクライ「 ピ ク … ――――(鬼の如き形相をした石像が開眼)―――それを『我々』が見逃すと思うか。(執事を視界に捉えるや否や束ねていた腕の「人差し指」を上げる) 」
――――― ゴ ゥ ッ ! ! ! (世界を牛耳る巨大組織の最大戦力。その一角が"指を上げた"だけで空間に衝撃が迸り、王の間のステンドガラスが一斉に激しく揺れ出す)
キュウカ「……!(まさか…あれは…憑依式の魔術…!?)(執事の只ならぬ姿に邪な魔術を感知したのか、王女救出のために思わず身を乗り出そうとしたその時―――)きゃっ…!(王室一帯に迸る衝撃に思わず身を伏せる) 」
アルセニオ「(この間一秒、彼の指揮がその圧に耐えられるはずもなかったと後にレッセk敷いていた王は語る) 」
カタシロ「……くれぐれも王女を傷ものにしてくれるな。(ハクライに対する"絶対的な信頼"に、行動を"許可"する) 」
アレクセイ(TOV)「ぬぅ、これは…… (キュウカの様子を横目に)…御一同、くれぐれも不用意に動かないように。(CV‐小杉十郎太) 」
ロダム「(口元の小型マイクに小声で)護衛兵全員に通達なさい、”術者を特定し、逃がすな”…と(ハクライの発する圧倒的な”圧”にも怯まず、淡々と話す) 」
ハクライ「 ス ス ス … ―――― ジ ャ キ ィ ン ッ ! ! ! (軍刀を勢いよく抜刀。揺るがない正義の眼光がその標的を確実に捉える)――――――――(音を越えた紫電が空間を迸る。瞬間的に執事との距離を詰め、明らかなる殺意を込めた一刀を振り下ろそうとするが―――) 」
ズ ァ ン ッ ―――― ズ シ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ン ッ ! ! ! ! (ハクライの紫電一閃が執事もろとも王室に炸裂したと思われた。部屋一帯に立ちこめる白煙が徐々に晴れた時、一同は更なる驚愕を覚える―――)
サングル「 グ グ グ ッ … ―――(執事とハクライ、両者の間に瞬間的に現れたのは憎悪をむき出した黒服の青年。ハクライの軍刀を足で抑え込み、彼と対峙するように睨み合う)――――邪魔をしてくれるな、「猫」が。 」
フ ォ ン ッ ―――― ス タ ン … ッ …(刹那。白煙に隠れていて視認することはできなかったが、王室の天井に歪な空間歪曲が発生している。その空間内部から更にもう一つの人影が落下。)
セールスマンの男性「ほぅ…間一髪…でしたねえ。(サングル、そして執事の元へ現れたのは…アタッシュケースを片手にスーツを着込んだ商人と思わしき男性だった)へぇ…これはこれは…初めまして、政府の皆々様方。そして王家の皆々様方。(緊迫状態の最中、悠長にも礼儀正しくと深々とお辞儀をする) 」
ハクライ「 ブ ォ ン ッ ―――(一度後退し軍刀で虚空を斬り払う)…貴様等、何者だ。(やにわに出揃った三人に、依然微動だにしない表情で対峙) 」
ヴェルゴ「ほう…あの面々…見覚えがある。(興味深そうにサングルとセールスマンを見つめ顎元を摩る。ステーキはまだ頬に付着したままだ) 」
チャオス「あれは…レサーティアの軍艦襲撃事件…および先日の大監獄襲撃事件の主犯ではないか。それにもう一人は…貴様、懸賞金18億の特S級犯罪者―――『
グラムバッハ』だな?(セールスマンの男に詰め寄る) 」
政府軍兵士「おいおい、なんか中が騒がしくねぇか…?(ハクライの攻撃による音を聞き) 」
セールスマンの男性→グラムバッハ「おや、私のことをご存知で。これは恐縮千万…(ハット帽の鍔を摘まんで目深に被り、その内側で不敵な笑みを浮かべる) 」
――― "死の商人" グラムバッハ・ノーベル ―――
執事→
ヴェドリー「ヴヴッ…ヴゥン…ッ…――――(執事の顔面にノイズが走り、その顔から分裂するように別の顔が姿を露わにする)ハハハ…どうも、世界のみなさん。ご機嫌麗しく… そうさ、この僕こそ――― この世で何よりも美しいヴェドリー・ギロングスさ。(王女を腕に抱いたまま、執事の身体から抜け出す。抜け殻のように倒れ伏した執事は意識を完全に失っていた) 」
カタシロ「(未だかつて一切の侵入もテロも許さなかった首脳会議の防衛策―――それを始めて、見事に出し抜かれ並々ならぬ憤りを顔面に露わにする)貴様等…何が狙いだ。(将校たちには「手を出すな」とコンタクトを送り、目の前の三人から視線を逸らさないようにしている) 」
キュウカ「……!(あれは…噂に聞く異能力者の力… なら、ここは"時を止めて"――――)(密かに詠唱準備に取り掛かろうとする) 」
セイン「う”ー……やべぇやべぇめっちゃ吐いた。あれ、なんか地震とかきてないですかこれ……お、おぉえ……?(ビクビク) 」
黒い蜘蛛→カゲッチ「―――― ッ エ ー イ ! !(キュウカの"影"から現れ、複数の肢で彼女を拘束する) 「俺っち」たちの情報収集能力を舐めないでくれよなー!お前が時を司る女神だってことも織り込み積みさ。悪いけど、一緒に来てもらうぜ~?準備はいーかーい、バリバット!? 」
黒い蝙蝠→バリバット「(更にキュウカの陰から抜け出すように現れる)おうよ、相棒。"仕掛け"はもう済んださ! 」
キュウカ「むぐぅ…っ!?(カゲッチの急襲に身動きを封じられ地面に横たわる)(ま、魔物…!一体この城にどうやって…これだけのテロリストが…!?)(下手に抵抗意思を示さず、大人しく事の成り行きに従う様に辺りを静観する)……!("仕掛け"…?……まさか――――) 」
新次郎「………(中にいるのは…相当の能力者だな)…大丈夫ですか(セインに) 」
サングル「貴様等に語ることなどない。 …行くぞ、目的は果たした。(政府の役人や他の王族たちには目もくれず、天井に開いた空間を仰瞰する) 」
ヴェドリー「そろそろ頃合いだね。(サングルに釣られる様にその異空間を見上げる) 」
グラムバッハ「それでは皆様方、御機嫌よう。(一礼をし、不気味な笑みをひとつ浮かべる) 」
カゲッチ&バリバット『ゲェーーヘッヘッヘッ!!(キュウカを差し押さえた二体は、そのまま彼女と共に影となって地面に溶け込む様に消え去った)』
キュウカ「んーーーッ…!(ディーヴ…貴女だけは…無事でいて―――――)(成す術もなく影に取り込まれていく) 」
ギ ュ オ ア ァ … ッ … ! ! ! (天井の空間歪曲が更に歪みを帯びていく。空間は三人と王女の姿を"分解"し、そのまま吸引し跡形もなく消滅したのだった…)
政府軍将校「…… …… ……!!…こ、これは由々しき事態だ…ッ…――――― 王女たちが誘拐されたッ!!! 」
アレクセイ(TOV)「……! あぁ……何ということだ……!(CV‐小杉十郎太) 」
セロ「……(嵐の様に過ぎ去っていった前代未聞の大事件を静かに窺っていたその時、スマートホンに連絡が入る)…セオですか。私です。何度も連絡を入れたはずですが…何が起こったのです。…… …… ……ええ… …ええ… …… ……それは、本当です?(一瞬、表情が"歪む") 」
ハクライ「スチャン…ッ…(軍刀を納め、更に研ぎ澄まされた眼光の奥に憤りを越えた感情が逆巻く) 」
――――― ド グ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ ン ッ ! ! ! (突如、城内にて激しい衝撃が走った)
チャオス「――――ッ!?(突然の爆音とその衝撃に足元がぐらついた)何事だ…ッ!!? 」
政府軍兵士「バタンッ… ! ! !(王室に傾れ込む)ハァ…ハァ…!緊急事態です!!1階大広間にて、突如爆発が発生!!幸いにも負傷者は出ておりませんが、城を支える柱数本への被害損傷は甚大です!!崩壊の可能性があるため、みなさん速やかに脱出してください!!! 」
政府軍将校「衛兵どもを呼べ!!!王族たちの避難誘導を最優先だ!!急げェッ!!! 」
カタシロ「……(王族たちが避難を開始する最中、一人席に居座ったまま形容し難い顔つきで虚空を眺めている)……有り得ないことだ。いや、もはや有り得ないことが平然と起こる時代になったということか。 」
セロ「失礼します、元帥さん。(背後から声をかけ)…今…お取り込み中のことかと存じますが…更に一大事が重なった模様です。 」
セロ「先程、CP1から緊急の伝達がありました。……―――― 司法の島『
デッドエンド』が落された、と。 」
カタシロ「―――――!!?(衝撃の告白に驚愕の色を露わにする) 」
ハクライ「…CP-0。それは真か。(背後に腕を回しセロに問いかける) 」
セロ「はい。主犯格およびその目的は不明…ですが、凡そ予想はつきます。なにせ"このタイミング"においては―――――」
カタシロ「――――― バ ァ ン ッ ! ! ! (机を思いっきり叩いて立ち上がる)……(やられた…ッ…!!"そういうこと"か…!!!) 」
カタシロ「……首脳会議に政府の最大勢力が集中することで、司法の島の防衛が手薄になる。その隙を突かれ、襲撃を許してしまったということか… …目的が読めたぞ。先の王女誘拐は"囮"だ。奴らの本当の狙いは司法の島…そしてその最下層にある『 石』だ…! 」
セロ「…例の『石』についての情報は、我々上層部以外には決して外部に漏れることのない超極秘情報です。決して露見されることはありません。…原因がどうであれ、それが暴かれたということは…――――超法規的措置も辞さないかと。 」
カタシロ「…我々は今、前代未聞の大問題に直面してしまった。もはや一刻の猶予もない…――――― "全勢力"を司法の島へ…!我々も直ちに現場へ向かう。 」
――― 聖国コスモス・城前 ―――
政府軍兵士『王族たちは無事か!? はっ、現在負傷者の報告は上がっておりません! お怪我はございませんか!? 城内で地響きがしたぞ!お前たちも早く避難しろ!(城内外では一時大混乱が発生していたものの、政府の迅速な対応により僅か数分で鎮静化している)』
レゼリア国衛兵「あ…ぁ…!あの…!サキエルお穣様は…!?あの方はご無事なのですか…!?(外部で待機していた衛兵の一人が政府の役人に縋りつく)」
ガーレット「っ…(縋る衛兵への表情に困っている)……(レゼリア国の姫は…)(「誘拐された」――― とてもではないが言えない真実に躊躇っている。政府の万全な態勢をとっても尚、一国の姫すら救えなかった自分たちの無力さを告げることは、兵士一同同じ気持であったのだ)」
王女「―――― 私はここにいます。(一同の前に姿を現したのは、先程確かに誘拐されたはずの王女。泣き縋る衛兵に安堵を齎そうと優しい微笑みを浮かべる)」
ガーレット「―――!?(あれは…ど、どういうことだ…っ…?あの方は先程誘拐されたはずでは…ッ…!?)(何事もなかったかのように現れた姫に驚愕の眼差しを向け、思わず退く)あ、貴女は…レゼリア国王女、サキエル・ロウ・ナイル様ですね…?よ、よくぞご無事で…!(慌てて歩み寄り、彼女の身体の隅々を確認する)……!(…間違いない…本物だ…!しかし何故…)」
ハクライ「王女の前で見っとも無い姿を晒すな。(王女の背後から現れガーレットに一喝を飛ばす)」
ガーレット「ッ…!?は、珀礌大将…!(狼狽して敬礼)」
ハクライ「彼女は3階の女子トイレで身柄を確保した。…もっとも、王室にいたあの『偽物』との関連性は不明だが…(王女と向き合う)…詳しくお聞かせ願おう。貴女は何か知っているのであろう。」
王女「……はい…―――――」
――― 数時間前 ―――
バリバット「…カチャカチャ…(首脳会議開始時刻が刻国と迫る中、城内の人通りの少ない通路にそびえ立つ幾つもの柱に何かを設置している)…これでよし…ウケケ…!」
ローブの少女「ん…しょっ…(庭から城内へ侵入) ここなら 誰もいない…?(偶然見つけた蝙蝠の背後に就き様子を窺う)」
バリバット「あとは王女の誘拐後、すぐに起爆してやれば…奴らの慌てふためく姿が目に浮かぶ…ウケケケ♪」
ローブの少女「(お姫様 誘拐… 爆発… 悪い予感が 的中…)…あっ…(更に耳を傾けようと足を進めたがその拍子で転倒してしまう)」
バリバット「ゲッ!?(バレたか――――)(物音に反応し振り返るが、そこにいた者の姿に呆然となり、そして滑稽そうに嗤い出す)ケケケケッ…♪誰かと思えば、迷い込んだ子ネズミちゃんか。そんな小汚い形(なり)で…なーんでこんなところにいるんだぁ?(小馬鹿にするような態度で)」
ローブの少女「汚くても…いい… でも それはあなたもいっしょ… 何か企んでいるなら…やめておいたほうが…」
バリバット「チッ…やっぱ聞かれちまったか……だが――(少女の姿を見て、思わずニヤリと不敵な笑みを浮かべる)…ああ、そうさ。「俺たち」はレゼリア国のサキエルお穣様って奴を誘拐しに来たのさ。一部じゃ「
ホタル」とかいう庶民的な名前も持っているらしいが…ま、そんなことはどうでもいいさ。」
ローブの少女「あの 綺麗なお姫様…(港で見たホタルの姿を思い出す)お姫様を誘拐して どうするの 身代金…国の乗っ取り…?」
バリバット「はんっ!そんな小さい野望で、こんなちまちまと慎重な事やってられっかよ。すべてはある壮大な『計画』の為さ。お姫様はその計画実現のために必要な、いわば「囮」ってわけさ。」
ローブの少女「もっと ひどいこと 考えている… でも 思うようにはさせない…(じりっと詰め寄る)」
バリバット「ウケケッ…喋りすぎちまったか。けどよ~、俺たちの目的を知ったところで、今のお譲ちゃんに何がでっき♪るっ♪かな~っ♪(愉快そうに嗤う)そもそもここから上の階は一般人はおろか、各国の護衛ですら入場を許可されていない。つまり、居るのは各国の王族どもと政府の上層部だけだ。それ以外は…ましてや俺たち食み出し者なんて見つかれば即追放だぜ?事実を告げようとしても、誰もお前の耳に傾けようとはしねえ。誰も俺たちの計画を止められるものはいねえんだよ。ウケケケケッ♪」
ローブの少女「それでも…それでも とめてみる… お姫様は 私が守る… あなたたちの野望も…とめる…」
バリバット「やれるもんならなぁ!!ケーーーケッケッケッ!!(ブワッ――― ズ シ ャ ア ア ァ ッ ! ! !)(翼を勢い良く振り払い鎌鼬を巻き起こす)ケ~~ケッケッケッ…――――(その後すぐに柱の影へ溶け込む様に消え去った)」
ローブの少女「……っ…!(空気を裂く鎌鼬を紙一重で退ける)…はやく とめないと…何もかも 手遅れになる…」
おい、今あそこで何か音がしなかったか?(通路の曲がり角から複数の足音が聞こえてくる)
ローブの少女「……!(ここだと見つかる… まずはお姫様を探さないと…)(急いで柱から柱へと蹴って移動し、更に上へと逃げ込んだ)」
王女「ふぅ……(会議が開かれる王の間付近の広間。椅子に腰かけ静かに待機している)」
執事「間もなく首脳会議のお時間ですね。(王女の傍に立ち懐中時計を見つめている)」
ローブの少女「(女子トイレの出入り口にある壁に身を隠し、辺りをそっと見渡す)(なんとか上の階に辿り着いた… あっ…)……!(偶然にも、見渡し先に王女の姿を発見する)(気付いて…!)(周りに人がいないことを確認し、王女に気づいてもらおうとやや大胆に手を振ってみせる)」
王女「ええ… ……?(少女の存在に気付き、明らかに自分に何かを伝えようとしている姿に目をぱちくりさせる)…あの、会議が始まる前にお手洗いに行ってもいいですか。」
執事「ええ、どうぞ。(そう言い王女と共にトイレへと向かう)私はここで待っていますので。(にこりと微笑みトイレ前で足を止める)」
王女「ありがとう。(女子トイレへ入り込む)」
衛兵「ザッ…ザッ…ザッ…(王女がトイレに入ってしばらくし、執事のもとに一人の衛兵が姿を現す)…――― 失礼いたします。(グギュ…ズギュ…―――)――― グ バ ア ァ ッ ! ! (痙攣発作の様な不気味な挙動から、怪しい影が飛び出す。影は瞬く間に執事を覆いかぶさるように襲いかかった)」
執事「へ―――!?」
王女「…私を呼んだのは…君…?(トイレの奥で、小声で問いかける)」
ローブの少女「うん… あの…お姫様…私 王族の人でも…政府の人でもなくて…でも 貴女にどうしても伝えたいことがある… 聞いて…ほしいの…」
王女「うんっ。(王族たちの前では見せなかった、純粋な女の子としての微笑みを浮かべ少女と向き合う)」
王女「……そういうことが…(少女から告げられた事実を聞き、驚きの余り口元をそっと手で覆う)」
ローブの少女「うん… だから あなたを守りたい。お姫様や…多くの人たちが…これ以上悲しい思いをしない様に… パ ア ァ ァ … ! (そう言うと全身が眩い光に包まれる)」
ローブの少女→王女(ローブの少女)「―――……私を、信じてくれますか…?(光の消失と共に現れたのはもう一人の王女。姿形、声、仕草までもが完璧に瓜二つだった)」
王女「……!(鏡に映る自分を見つめているかのように、その瓜二つの自分自身にわっと驚き出す。少女の瞳をずっと見続け、そこに嘘偽りなどなく、誰かの為に動こうとしている彼女の強い覚悟を汲み取った)―――…うんっ、君を、信じるよ。」
王女(ローブの少女)「…ありがとう…」
王女「だけど、無茶はしないで…!私も、君を見捨てたりなんかしないから。後で、必ず君を救い出すよ。(目の前の自分…いや、少女をぎゅうと抱きしめる)」
王女(ローブの少女)「お姫様…わっ……(いい香り…それに…あたたかい…)(王女のぬくもりを感じ取る。それは、これから彼女に代わり自らが体感するであろう恐怖さえも拭い去ってくれるほどに、少女の心を満たしていった)」
王女(ローブの少女)「……(女子トイレから出てくる)お待たせしました。行きましょう。(…お姫様…あとは、私に任せて…―――)(執事と共に王室へと向かう)」
執事「はい…―――――― ニ ヤ (王女の背後、黒縁のメガネが妖しく輝き出す)」
ハクライ「―――…なるほど…それが真実か。」
王女「はい…(どこか悲しげに目を伏せる)」
ハクライ「とにかく、貴女の無事が確認できたことが何より。とはいえ、代わり玉となったその少女…そしてディーヴ王国第一王女のキュウカ・ミリダルアの二名が誘拐されたことは紛れもない事実だ。一刻も早く救出せねばなるまい。…情報提供を感謝する。(踵を返す)これより我々は司法の島へと向かう。そこに彼女たちも連れ去られたに違いない。貴女は一刻も早く王国へと戻り、念のために護衛を強化したまえ。必要とあらばこちらからも精鋭≪エージェント≫を動員する。 …船を出せ!我々は直ちに現場へと向かう!(その場を後にする)」
ガーレット「はっ!!(再び敬礼し、急いでハクライに続いた)」
王女「……(少女のことを心配そうに、胸の前で祈る様に両手を組み、青空を仰いだ)」
聖国「コスモス」で起きた首脳会議襲撃事件―――
例の事件勃発より10分前、ある島でも襲撃事件が引き起こる――――
―――司法の島『デッドエンド』―――
ウ ゥ ー ー ー ッ ! ! ! (突如、島全体にサイレンが轟いた)
ダ ッ ダ ッ ダ ッ ダ ッ … ! ! (サイレンに駆り立てられるように、島の中央にそびえ立つ塔の内部より黒いスーツを着込んだ役人たちが次々と出現し、島の出入り口となる大きな橋へと直行する)
C.P.(サイファポール)『デッドエンドに不法侵入者の報告あり!門番たちを殺害し、内地へと進行中とのこと!ただちに奴らを迎え討て!(拳銃や刀を武装した黒服の役人たちが一斉に駆け出している)』 」
コ ツ … コ ツ… コ ツ … (喧騒が渦巻く島―――その橋の上を悠然とした足取りで進む三つの影がある。影が残した足跡は"赤"を描いていた―――)
ネロ(旧名:
ブラックレミリア)「……(「うるさいのが来た。」)(スマホでメッセージを打ち込みながら目前より迫る役人たちを冷淡な目つきで見据える)ポタ…ポタ…(真っ黒な両手…その方手が赤く染まっており、指先から赤い雫が尚も滴り落ちている) 」
ポイゾーネ「(服に付いた赤い染みを、ハンカチで拭きながら)やだ、取れませんわ………血反吐を吐いてのたうつ様な毒にしなきゃ良かったかしら……… あら、そんな事言ってる間に騒がしくなってきましたわね………どうしましょうか?(迫る役人達を見て 」
シング「カチャッッ――――――(自動拳銃の弾倉に、弾を装填し)こいつらは俺が残らず片づける、お前らは―――――― (前方に見える中央の教会を指さして)あっちを落とせ………出来るよな? 」
C.P.(サイファポール)『侵入者三名を捕捉!奴らを捕えろぉーーッ!!!』
ネロ「……( 「了解。」 ) ズ ズ ズ ズ ズ … ――――(自身とポイゾーネが影に吸い込まれようにその場から消え失せる) 」
ポイゾーネ「………ウフフフ……… 承りました♪(黄色い小瓶と、毒針を手に持ち、ネロと共にその場から消える 」
C.P.(サイファポール)『撃て撃て撃てぇーッ!!!(ダァンッ、ダンダンダァンッ ! ! !)(銃撃隊がシング一人に集中射撃)』 」
ヒ ュ ン ―――― ヒ ュ ン ――― ヒ ュ ン ―― ヒ ュ ン ――――(緩慢化された世界の中、螺旋を描きながら虚空を貫く幾つもの銃弾が真っ直ぐに、シングへと襲いかかるように飛んでいく)
シング「………さて………(赤いゴーグルを着用し、2丁の拳銃を構えて)――――――やるか。 ヒュバババババッッ――――――(真っ直ぐに襲い掛かる銃弾を、たった一瞬の内に全て回避し、役人たち目がけて猛スピードで突っ込んでいく 」
C.P.(サイファポール)『標的二名の消息はどこだァ!? 構うな!目の前の敵に集中せよ! ば、馬鹿な…ッ!?銃弾を目視で回避しただと…!? 怯むな!任務遂行を全うせよ! くたばれ侵入者ァッ!!(刀を携えた者たちが連携を組みながら、猛スピードで迫るシングに刃を振るおうと駆け出した)』 」
シング「―――――雑魚が。(笑みを浮かべ)チャッッ――――― バシュバシュバシュバシュッッ!!!!!(刀を携えた役人たちの心臓部を的確に狙い、瞬時に撃ち抜いていく 」
C.P.(サイファポール)『ぐぁぁああああッ…!! ぐは…ァ…ッ!! 一旦退避!銃撃隊前へ!! (ダンダンダァンッ ! ! !)(再び銃弾の嵐がシングに襲いかかる。しかし、もはやその軌道は目視ではなく、本能で回避できるほど…彼にとっては"退屈な動き"だった)』 」
C.P.(サイファポール)『本部からの増援は!? それが…本部の勢力のほとんどが、現在開催されている首脳会議の最重要護衛に回されており…すぐに駆けつけるには時間がかかる模様…! 本部が駄目なら支部からでもいい!!とにかく増援を!敵は何かの能力者だ!我々だけでは手に負えん!!!』 」
シング「………はぁ………それで狙ってるつもりか? ―――ヒ ュ ン ――― ヒ ュ ン ――― ヒ ュ ン ――――――(弾丸を紙一重で避けて行き)そんな程度の力で、よく守れる気でいるなぁ――――― ズギュンズギュンズギュンッッッ!!!!!(前方から迫ってくる弾丸を、全て、的確に、二丁拳銃の弾丸で相殺する 」
ぎゃふぁ…ッ…!!や、やめろォ…ッ…ぐあああああぁぁぁぁッ!!! ブシャアァッ ! ! ! ド シ ャ ア ァ ッ … ! ! ! (悪に立ち向かう正義が崩れ落ちる。やがて多勢で攻め込んだ彼らは物言わぬ人形となって地面に転がり、喧騒の橋に沈黙が訪れる)
糸目の男「――― あー、あー…派手にやってくれましたねぇ。(その沈黙を遮るかのように現れ、転がる屍の道を軽い足取りで過ぎ、シングと対面する)…随分散らかすのがお好きなようで。これは掃除に困りますねえ。(ふふふと不気味な笑みを浮かべて現れたその男は、目深に被られた帽子の鍔に手を当て)…おや、貴方の顔…何処かで見覚えがありますねえ… (顎元を摩り、首を傾げながらシングの全身を見つめる)」
シング「カシャッッ―――――――(二丁の拳銃を、ホルスターにしまって)………あ?………何だ、まだ残ってたのか………気持ちよく決まったと思ってたんだがな………。(糸目の男を見て 」
糸目の男→セオ「……まあ、いいでしょう。いずれにしても、未だかつて暴動など起きず…ましてや一切の侵入すら許さなかったこの司法の島に訪れたあなたがたを、ただで帰す訳にはいかないのですから。ゴキッ…ゴキンッ…(歪に口角を上げ、両の手を合わせず骨を鳴らせる)――――― 速 や か な る 粛 清 を ! ( ダ ッ ! )(前傾から大気を貫く勢いで駆け出した)」
シング「そうか、じゃぁ俺達……… スチャッッ――――――(素早くコートの中からショットガンを取出し)――――――結構凄い事やってんじゃね!? ズ ダ ァ ン ッ ッ !!(向かって来るセオに狙いを定め、発砲する 」
セオ「“鉄塊”(テッカイ)――― ガ キ ィ ン ッ ゴ キ ィ ン ッ ! ! (鋼鉄の如く硬化した肌身で銃弾を受け止める) シ ュ ゥ ゥ ゥ … カ ラ ラ ン …(受け止めた銃弾が橋の上に転がり落ちる)…あまり褒められるようなことでもないですがねえ!“嵐脚”(ランキャク)…!( ズ ッ バ ァ ン ッ ! ! )(脚を振り上げ、巻き起こされた鋭い鎌鼬をシングに飛ばす 」
―――― ズ バ ァ ン ッ ! ! ! (鎌鼬により橋の鉄柱が何本か切断され、その一部が倒壊する)
シング「!!(速い――――!)ヴオンッッ―――――― バシュゥゥゥゥッッ!!!!!!!(瞬時に魔法障壁を展開し、鎌鼬を防いで)なら……… スチャッッ(大きなマグナム銃を取り出して)これなら、どうよ――――――― ズ ダ ァ ン ッ ッ !! バ シ ュ ゥ ッ ッ !!(倒壊する鉄柱に向け、マグナムから黒煙を纏った弾丸を射出して、鉄柱を粉砕し、ショットガンからは、追尾能力と威力増加の魔法を付加した弾丸をセオに向けて放つ 」
セオ「……(ただの散弾銃なら“鉄塊”でも十分に防げますとも。しかし…それを纏ったとはいえ…ちょっと効きますねえ…あの銃、何か仕込んでいるのでは…――――)(先程受け止めた片手に感じる僅かな痺れに眉をひそめたのも束の間――)おっとと…これは…!(地面を蹴りあげて跳躍、頭上より落下する鉄の残骸ひとつひとつの上に飛び移りながら回避し) 」
セオ「―――“紙絵”(カミエ)( フ ォ ン ッ ――― グ ォ ン ッ ―――)(まともに被弾する訳にはいかないと判断し回避に専念。獰猛な獣の如く襲いかかる銃弾を文字通り紙のように受け流していく) ガ ッ ――――― ふんッ!( グ オ ン ッ ! ! ! )(落下の最中、足元の残骸を掴み上げそれを地上のシングめがけ豪快に投げ飛ばした) 」
シング「!!(こいつを避けるだと………野郎、とんでもねぇ手練れと見た………!)―――――ズ ド ォ ン ッ ッ !!(残骸が至近距離に来たところで、魔力を込めたショットガンの弾丸を撃ち込み、粉砕する 」
ガ シ ャ ア ア ア ァ ァ ァ ァ ー ー ー ー ン … ッ … ! ! ! (橋の残骸が雪崩のように落下し、辺り一面に煙が舞い上がる)
セオ「スタン…―――“剃”(ソル)!( シ ュ オ ン ッ ―――)(着地後、音速を越えてシングの背後へ旋回)これから重要な任務に向かわなければならないというこんな時に…困ったものです――――よ!( ド ッ キ ゙ ン ッ ! ! )(“鉄塊”を纏い硬質化した腕で背後から殴りかかろうとする) 」
シング「―――――――ググ…… ズ ブ シ ャ ァ ッ ッ !!(シングの背中から、拳銃を持った黒い腕が4本、コートを突き破って表れる)お前が手練れなのはよーく分かった、だがな―――――――― 俺は、お前よりもっと手練れのつもりだ。(そう呟いた直後、黒い腕が一斉に引き金を引く 」
セオ「――――ッ!!(拳を振り抜いたその一瞬、戦慄が走る。それは種としての本能によるものであり、数秒先に体感するであろう"それ"を肌身が感じ取る)―――ガンッ、ガンッ、ガキャァンッ… ! ! ! (予感は的中――腕に纏った“鉄塊”を瞬時に全身に拡張し、全弾を鋼鉄の身体で受け止めながら後退する)…フッ、フフフ…いやいや…驚かされました…いろいろとね。(全身から上がる煙の中で、冷や汗をかきながら不気味に苦笑する)このような聖地に攻め込むとは、一体何が目的なんです?(問いかけた直後、何かを察知したかのように表情が若干強張る)…… …… ……もしや…あなたがた…――――――― 」
シング「………お?もしかして、俺達の事を知ってたりする?(黒い腕を引っ込め、セオの方に振り向いて)俺達は、この世界を闇に染める為、幾度となく戦い、そして………敗れ去って来た………もう次こそは、復活なんてしないと思ってただろ?ヒヒヒ……残念――――――― 気が変わっちまったんだよなぁ、これが……。(狂気を孕んだ笑みを向けながら 」
セオ「…なるほど、思い出しました。癖者たちが横行する時代の水面下にいたあなたがたが、いよいよ"この機会"を窺い動き出した…ということですか。…ちょうど今この瞬間、ある国にて各国の王族たちが集う首脳会議が開かれていいます。我々政府が誇る最大勢力…本来この島の管轄を行っている彼らも、護衛の為に現場へ向かわれました。…貴方がた、それを知って強行に乗り出したというのです?いやはや…冗談でも笑えないですよ。フフフ…!(と言いつつ笑っている。しかしこの笑みに普段の愉悦などない。これは焦燥からなる苦笑、自身ですら感じ得た事の少ない焦燥感が走っているのだ) 」
ネロ「――――― ズ ズ ズ … (シングの傍らに、ポイゾーネと共に再び姿を現す) 」
シング「……冗談かぁ………俺も、前はよく言ってたもんだな………ちょっとした、ユーモアって奴?俺のジョークはよくウケたもんだよ、仲間によくせがまれたっけなぁ……… でも、今はそう言う事言ってふざけるつもりは毛頭ないんだよねぇ……?(そう言って、傍らに現れた2人を横目で見て)………おかえり、どうだった? 」
ポイゾーネ「(シングの傍らに立って)………ウフフフ……… 大成功、余裕でしたわ♪ 」
ネロ「……( 「邪魔者は削除。人質用の裁判官は全員生け捕り。すべて計画通り。」 ) 」
セオ「……(彼の傍らに現れた二人に視線を落とす)―――――狙いは『 石 』ですか。 」
シング「フン、流石だな……よくやった。(ネロとポイゾーネに)………分かったところで、もう手遅れだよ……… テメェら全員、残らず消えてもらうぜ――――― パチンッッ(指を鳴らして 」
ポイゾーネ「ウフフ、承りました―――――― キュポンッッ…… ブ ワ ッ ッ(黒い小瓶を開け、中から羽の生えた小さな球体状の物体を野に放ち)――――――――私の可愛い子供達、この島を美しく塗りつぶして差し上げなさい!!!(両手を広げ、高らかに叫ぶ 」
セオ「……!(何を――――) 」
ブワァァァン――――――(小さな球体たちは、島の上空へと一気に飛び上がって行き、そして―――――) ―――――プ チ ッ ッ・・・ ブ シ ュ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ウ ッ ッ !!!!(何かが潰れたような音がしたかと思うと、舞い上がった球体達が一斉に爆発し、上空が瞬く間に紫色の煙で染まっていく)
セオ「(天へと舞い上がる「それ」を仰ぎ見る)――――ッ!(不味い…これは――)(物体が上空で弾け、中から得体の知れない煙が散布したのを確認。それが"害悪"だと察知し、糸目が僅かに見開いた)―――“剃”ッ!!( シ ュ オ ン ッ ! ! )(帽子を抑え、その場から退避するように消え失せた) 」
C.P.(サイファポール)『ぐぅ…(その時、先程の戦闘で重傷を負った者たちが徐々に立ち上がろうとしていた)くそォ…一体…何が……! セオさんは、あの方は何処へ…!? お、おい…なんだあれは…ッ……!』
天からの煙が地上の島を包み込む様に降り注ぐ―――――
C.P.(サイファポール)『…っ…っ……??が…ぁ…な、なんだ…ァ…これ゛……ッ…!!? ハァ…ハァ……あ、ああぁぁ…ッ…! …ぐる゛じぃ゛…ッ…!だ……だれ…か……――――――ぐ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ あ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ぁ゛ ッ゛ … ! ! !』
ポイゾーネ「フフフフ……… ッハッハッハッハッハッハッッ!!!!!(高らかな笑い声をあげて)降れ……降れ………降れぇぇぇぇっ!!!そして、鬱陶しい害虫達を腐らせてしまいなさい!!!!(そう叫ぶその顔は、以前の彼女からは想像もつかない程、凶悪で、歪んだ、悪魔の様な笑顔だった――――― 」
シング「……おー、怖い……前よりも、良い顔しやがって……… 良いじゃん、その調子でもっともっと染まっちまいな……♪(ポイゾーネを見て 」
ジ ュ ワ ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ … ッ … ! ! ! (やがて地上に到達した煙は海にまで浸食。青く透き通った海面がどす黒く変色し、気味の悪い気泡が弾け飛ぶ)
セオ「(島から遠く離れた土地に立つ木の上に出現)……(禍々しい色の煙に包まれた島を神妙な表情でしばらく眺めた後、スマホを取り出し、誰かに連絡を行う)……こちらセオ。最悪な事態が発生しました。」
――― 司 法 の 島 が 落 と さ れ ま し た ―――
――― 司法の島『デッドエンド』・地下 ―――
オ ォ ォ ォ ォ … ッ… ――――(暗く、寒く、そして固く閉された無機質な地下空間―――天井よりうっすらと差す照明と漂う冷気。通路を隔てた両側に、幾重の保管庫らしきものが壁一面にある)
中に何が保管されているのかは分からない。しかし、そんなものはシングの眼中にはない。彼が本当に追い求めるものは、その先にあるのだから―――
コツ… コツ…コツ……――――――(足を進める彼らの先に次の部屋への扉が現出。厳重に閉鎖されたその両開きの扉は、生半可な能力者の攻撃にも耐え得るであろう金城鉄壁を誇る)
ネロ「……( 「任せて。」 )(シングに代わる様に前進しその扉の前に立つ)―――― ス ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ … ッ … ! (足元より伸びた影が自然の摂理に反するようにうねりながら動き出す。影は扉の表面を満遍なく覆い尽くした)」
ネロ「――― “暗幕”(ディ・ライブ) ―――」
ギ … ギ ギ ィ … ッ … ギ ギ ギ ィ … ッ …―――――― ズ ア ア ア ア ァ ァ ッ ! ! (漆黒に染まる扉が一点に凝縮されていく。やがて見えない何かに吸い込まれる様に、扉は完全に消滅した)
シング「お前たちはここにいろ。(ポイゾーネとネロを差し置き、ひとり前進する)…さァ…いよいよご対面だ。(好奇心に胸躍る少年心の様な、はたまたその皮を被った悪魔の狡猾な笑みにも捉えられる不気味な表情を浮かべ、その絶対領域へと踏み込んだ)
彼が踏み入れるは灰色の小さな空間。その先にある階段を上っていくと、燭台を思わせる豪華な台の上に「何か」が怪しく浮遊している。
それはこの世の物とは思えないほどの神秘的で、狂気的で――― 赤く、不気味に輝く魔性の石…
―――――――― 『 賢 者 の 石 』 ――――――――
シング「(階段を駆け上がり、その唯一無二と謳われる石と対面を果たす)…こ、これが…っ…!まさか…本当に実在していたとはな… 俺が長年求めていたもの… 錬金術師なら誰もが喉から手が出るほど、その身を犠牲にしてまで手に入れたいと強く望んだ… 神が創りし石…―――――『 賢 者 の 石 』かァ……!!(不気味な輝きを帯びるその石を両手で包み込む様に我が身に引き寄せる)
シング「…は…ははは…… ハハッ、ハッハハハッ……―――――― ヒ ヒ ャ ハ ハ ハ ハ ハ ァ ッ ! ! ! (無機質な空間に悪魔の嗤い声が残響する) や っ た ッ ! やったぞォ…!!これがあれば… ついに、ついに俺の悲願が達成できる…ッ!もはや俺の敵はいねえ!この世界に絶対君臨するのは――――― 俺 だ ァ ッ ! ! !(
賢者の石を片手に、天を貫く勢いで拳を振り上げた)
彼の姿は、宛ら天の光を受けた英雄であり、または世界を牛耳る権力者であり、または時代に変革を齎す革命家であり、または――――
――― 最凶最悪の"魔王"そのものだった ―――
最終更新:2020年12月20日 23:27