大乱闘カオスマッシュピード 過去ログ.7

― 桜の丘 ―


「月光」に照らされ、静寂に包まれた丘。


夜空から降り注ぐのは「粉雪」、そして「桜の花弁」。


淡い桃色の絨毯に仄かに白い斑点模様で染まる丘の上に、一本の桜の樹がなっている。


優しい「夜風」に撫でられ、桜の葉が美しく散り、空へと溶け込むように流れていく。


「風花雪月」を体現したその神秘な聖域に、一人の少女が流離う。



氷冬「……!(そこへ踏み入れた少女は見たことのない壮大な景色に息を呑む)…こんなに綺麗な「世界」を、見たことがない…(ここも戦場の一部なのだろうか。と、疑ってしまうように、目に映る壮麗な光景に目を奪われている)」


♪~(桜の花弁と共に風に乗って流れる音色が彼女の耳をすり抜けていく。懐郷を謳ったようなどこか懐かしさを感じる音色。旅立った誰かを想い、その姿を待ち焦がれているかのような哀愁にも近い音色。音色は絶え間なく、その空間を彷徨い続けている)




氷冬「……?(何処からともなく聞こえる音色を頼りにその方向へと歩みを進める)」

×××「 ♪~ (氷冬が歩み進む先に立つ桜の木の下。そこには、木の根元に腰かけ、目を閉じ、古びたハーモニカ―を奏でている少女の姿があった)」

氷冬「……!(この娘は……)(音色の正体、音色を奏でる少女に静かに口を開いた)」

×××「♪~……―――――(少女の気配を感じ取ったのか、目を閉じたままハーモニカを唇から離し演奏の手を止める) ……遥か遠い昔から ―――(ハーモニカを根元にそっと置き、立ち上がって丘を下っていく)」

氷冬「……?(少女の語り掛けに耳を傾ける)」

×××「それはもう、気の遠くなるような永い永い時間の果てに……生まれた意味を知らずに生きてきたあたしと、生まれた意味を探し続けてきた「あの方」… あたしたちは、この桜の木の下で出会った。」

×××「…そして二人はようやく、その意味を手に入れた。桜の木が、あたしたちを導いてくれたんだ。刻(とき)の流れに世界は見たこともない景色へ変わってゆくけれど、「あの方」から貰ったものと、この桜の木はずっと変わらない。」



×××→雪音「――――― あたしが生まれてきた意味は、"ここ"にあったんだ。(胸にそっと手を当てた少女はようやくその瞳をゆっくりと開く。雪桜…白桃の光が彼女の優しい笑顔を包み込むように、仄かな輝きを照らした)」



氷冬「……素敵な話ね。(幻想的な景色の中心に立つ少女に、すっかり心惹かれたように表情が和らいだ)」

雪音「………(表情を変えることなく目の前の氷冬を見続ける)君は…なぜだろう?「あの方」に近い何かを感じる。……!………あはは、そうか…"そういうことだったんだ"。(そして何かを感じ取ったかのように、口角が上がった)」

氷冬「……??(少女に首を傾げ、ただただ彼女を丘の下より見上げ続けている)」

雪音「どうしてあたしと「あの方」しか辿り着けないこの場所に君が現れたのか…どうしてあたしの姿が"視える"のか…―――― うん、全部わかった。(にっと笑顔を浮かべる)」

雪音「―――― あたしは「雪音」(せつな)!君の名前を教えてほしいな。(彼女へ手を差し伸べる)」

氷冬「(雪音…)(その名を噛み締めるように心に刻む)……氷冬。雪桜氷冬。」

雪音「雪桜氷冬…(彼女の名前を唱えるように何度も小声で復唱する)……いい名前だね!ねえ、せっかくこうして出会ったんだ…僕と遊んでよ!(両の掌をそっと前へ突きつける)」

雪音「―――――― 留(と)まれ 『 刹那 』 ――――――」


ブ ワ ァ ッ … !  !  ! (風が舞い上がり、雪音の目の前に吹かれた無数の桜の花弁が集い、それらが細剣の形を成していく)


氷冬「……!!(剣…ということは、彼女もまた…)(相対する者が自らと同じ剣士である限り、心の奥底に沈んでいた闘志の火が灯り始める)…ええ、喜んで…!(未知の聖域、未知の少女、未知の力…未だ見たことのない経験を前に、興奮が湧き上がる)」




雪音「  ス  ァ  ン  (無数の桜が織りなし完成された細剣を手に、鮮やかな弧を描くように虚空を斬り薙ぎくるりと剣を振り回し身構えた)ずっと退屈してたんだ。だから、楽しもうね♪」


氷冬「 ス ラ リ ―――― ス チ ャ (腰に携えた一刀「刹春」を抜き取り、雪音と相対するように身構える)――― ええ、楽しみましょ。(不敵な笑みを浮かべ、その後静かに対峙する)」


フ ワ ァ … ! (春疾風が流れ、白桃の光が舞い上がる)


氷冬 / 雪音『――――――  ザ ッ  ―――――――(視界を覆うほどの桜の花弁が静まり返った途端、二人はついに動き出す)』




氷冬「 シ ャ キ ィ ィ ン ッ (先手を打つは氷刀―――叩きつけるようの振り下ろしから攻撃を仕掛ける) はっ! (その反動を利用した側転から再び刀を斬り下ろし、腰から肩にかけての斬り上げ、回転し横一閃へと続けて繰り出す)」

雪音「 カ キ ィ ン ッ (氷冬の先手を薙ぎ払って弾き返し、二手の斬撃を後退で避け、下段から迫る刃を右へ反ってすれすれで回避し―――) フ ワ ッ ―――(最後の一閃を読んだバク転回避、衣服を掠めかけるほどのコンマ1mmの斬撃を胸部の上で受け流し、そのまま背後へ跳び退いた)」

氷冬「――――!(流された…!)(雪音のしなやかな足運びに目を奪われつつも繰り出した刃を一度引っ込める)」

雪音「今度はこっちから行くよ!はああぁっ!!スンッ――フォンッ―――――スァンッ ! ! ! (一歩目に突き、二歩目に横一文字、三歩目で回転斬り。初手に詰められた分を取り戻すように、今度はこちらから突撃を仕掛ける)」

氷冬「ギィンッ――カァンッ―――――ギャァアンッ ! ! ! (突きを刀ではたき落とし、続く一閃を斜めに斬り返し、最後の回転を帯びた剣を縦に構え、そして刀身に手を添えた状態で受け止める)ザザザァー…ッ… !  フ ォ ン ッ (双脚がそのまま足跡を造り上げ、その場で刀を振り払う)」

雪音「ぃよっ、ふんっ!はっ、やぁッ!(槍の如き鋭い突きを意識した細剣の鮮やかな剣舞と共に前進していく)」

氷冬「――――ッ!( キィンッ、カギィンッ、ギンッ、ギャンッ ! ! ! )(刀と剣、それは似て非なる刃―――雪音の立ち回りから未だ体験したことのない剣術に翻弄されながらも、その特異性を冷静に分析しつつ、刀にしか成し得ぬ剣技で応えていく)」

雪音「クルルルルッ―――― はぁっ!!(側転をし、その遠心力を加えた斬撃を繰り出す)」

氷冬「……!!(刹那の内に二本目の刀を抜き取り、交差した二刀で一撃をしっかりと受け止める)」

雪音「……なかなかやるね…!(疲労の兆しが興奮に追いついたのだろうか、ようやく肩で息をし始める)」

氷冬「……貴女もね。(笑みを浮かべ、その唇から白い吐息が零れる)」

雪音「……――――― やぁぁああっ!!(受け止められたままの刀を振り抜き、フェンシングさながらの連続突きを見舞う)」

氷冬「っ…!!(ひとつひとつと迫る突きを緩慢化された世界の中でしっかりと見極め、回避・防御を繰り返す)二刀流―――― 羽休。(絶え間なく迫り来る突きの連撃を、逆さに構えた二刀で受け止め、斬り返し、いなしていく)」

雪音「(隙が無い…なら―――)―――ザザァッ… ! ! 私も本気を出させてもらうよっ! (繰り出した突きを一度引っ込め、深くまで剣を後ろへ振り抜く)――― “羅生門” ―――(ただの一振り。だが、その一振りから繰り出された斬撃波が刹那の内に散乱し、桜の花弁の形を成して氷冬に迫る)」

氷冬「―――!( ギィィインッ、ギャキィンッ、ガギィィイインッ ! ! ! )(二刀を縦横無尽に振り抜きその壮麗な斬撃波を相殺していく)」

雪音「まだまだ…グ ッ ――――“凱旋門”…!!(細剣を手にした右腕の手首を左手で強く掴み、空間を断裂するほど勢いづけた強烈な一閃を放つ)」

氷冬「くッ゛――――かぁ…っ……!!!(雪音の剣気に圧倒され、咄嗟に平行に構えた二刀で受け止めようと試みるが、その破壊力に吹き飛ばされる) ザザザァ…ッ… ! ! ! (吹き飛ばされる最中、宙で体を捻り華麗に着地する)」

雪音「 ニ ヤ ―――― シ ュ オ ン ッ ! ! ! (大胆不敵に笑むと、常人外れの足運びで瞬間的にその場から消え)―――――“登龍門”!(瞬く間に氷冬の懐へ潜り込み、斬り上げて宙へと吹き飛ばす)タンッ―――はあああぁぁッ!!!(上空へと吹き飛んだ彼女に追撃を仕掛けるべく、すれ違いざまに斬り伏せ、静かに白桃の絨毯へと降り立った)」

氷冬「早い――――ッ!!?(声を上げる間もなく、光が瞬くと共に宙へと吹き飛ばされる) きゃぅ…ッ…!!(雪桜が舞う空の中で彼女の一閃を食らい、地に落ちる)」

雪音「 ク ル ン ッ ――――(踵を返し、警戒心を緩めることなく氷冬と静かに対峙するように切っ先を揺らさず身構える)」

氷冬「ふぅ……ふぅ……(切り裂かれた部位を手で押さえつけることはせず、痛みを噛み締めるようにそのままゆっくりと起き上がる)…「世界」は本当に広いのね… 戦えば戦うほど、昨日よりも強い誰かと刃を交え…そのたびに、自分がいる場所がいかにちっぽけなのか…思い知らされる……(彼女の方へと振り返る)」

氷冬「そして…刃を通じて、相対する者の感情、心情が少しわかる。相手が強ければ強いほど、その伝わる「心」はでかいの。」

氷冬「……貴女は、"何かを守るため"に剣を振っている。私には、そう感じたわ。(雪音の反応を窺うように目をわずかに細める)」

雪音「…………あははっ、おもしろいね。…僕は、気が付いた頃から、死ぬことができない不老不死(ガラクタ)なんだ。(伏し目がちに自分の身体を見つめ)そんな僕が剣を振り理由はただ一つ…僕に生きる理由を教えてくれた「あの方」が愛したこの桜の木を、守ること。(丘の上に立つ桜の木を見上げる)」

氷冬「……(雪音に釣られ、その桜木を見上げる。吹き抜けるそよ風、舞い散る桜、降り積もる雪、美しく照る月が織りなすその光景の背後に、彼女の存在意義を重ねる)」

雪音「だけどこの錆び付いた体は、もう…軋みを上げている。老いはしない、傷ついてもすぐに治る、決して朽ちぬ肉体…それなのに、時々、体が言うことを聞かなくなることがある。まるで、大切な記憶が色褪せていくように…やがて僕の中から、消えてほしくない「何か」が消えていくんだろうね。(儚げな瞳で自らの空いた手を見つめる)「それ」が何なのかすら、もう忘れてしまった…もうずいぶん永く生き過ぎたのかもしれない。」

雪音「……ねえ、氷冬。君が視た僕の心の中にあったもの…「それ」を教えてよ。君なりの伝え方でいいからさ。(剣身が淡い桃色の輝きを帯び始めていく)」



――― 桜の木は、僕が守る ―――


――― 貴方にもう一度笑ってほしいから ―――


――― ゼウルス様 ―――














―――――― 【 卍 解 】 " 刹 那 恋 咲 "( せ つ な れ ん さ )――――――



雪音(卍解)「    ブ    ワ    ア    ァ    ッ    !    !    !    !    (刹那に吹き付ける春疾風に舞い上がる桜吹雪が少女と剣を包み込んでいく。咲き誇る桜蘭となりし流離の剣士の周りに、桜の残滓が泳ぎ出す)」

氷冬「――――――!!!(すべてをさらけ出した彼女に驚愕を露わに、されど、心の何処かで願っていた「彼女との語らい」の機会が今まさにめぐってきたことに、この上ない興奮が起こった)……わかった。貴女の想い、この身に受け止め貴女に還すわ。(そう告げると二刀を一度納刀し―――)」

氷冬「  ザ  キ  ィ  ィ  ィ  ィ  ン  ッ  !  !  !  !  (四刀を勢いよく振り抜いた。刀剣覚醒によって変幻した四本の刀が氷冬の思いに応えるように、輝きを放ち始めた)」




雪音(卍解)「すぅ…はぁ……―――――― はああああぁッ!!!(その一声を空間に響かせ、たった一歩の蹴り上げで水平跳躍しながら特攻し、大気を貫くほどの鋭い突きを繰り出した)」

氷冬「――― ッッは!!!(神槍の突きを重ねた四刀の刀身で受け止め、回転しながら低空跳躍し斬り返す)」

雪音(卍解)「 ギ ィ ィ イ ン ッ ! ! (斬り返されたところを鋭い軌道を描きながら懐へと手繰り寄せた自らの剣で弾き返し)ギィンッ、ガキィィインッ ! ! キィンキンッ、キンッ、カンッ、ガキィンッ ! ! ! ! (そのまま氷冬との剣劇に身を乗り出す)」

氷冬「ガキィンッ、ギャンッ、カァンッ ! ! ギャリリリィ…ッ… ! ! キィンッ、カァンッ、キンッ ! ! ! フォンッ、ギャキィンッ ! ! ! (攻防を繰り返す剣劇に火花を散らしていく)」


オ     ゥ    ン    ッ    !    !    !    !    (氷冬と雪音、二人の刃が激しく衝突し合う。しかし、それは猛る獣のような荒業などではない。何故なら、彼女たちの鋭い剣閃は、見事に桜と雪の間隙を潜り抜けて繰り出されていたのだから。それが彼女たちが意識したものなのかは知る由はない。されど――――)


雪音(卍解)「 ズ ッ バ ア ア ァ ン ッ ! ! ! (剣舞に踊る中、六文字に大きく斬り裂き氷冬を引き離そうとする)」

氷冬「 ブ ワ ァ ッ ! ! ! (その凄まじい剣圧を利用した足運びで背後へと飛び退き) チ ャ キ ッ ―――― ダ ァ ン ッ ! ! (天高くし跳躍)―――“去霧照蛇”!!(上空より回転しながら四刀を振り抜き、雪音へと襲撃する)」

雪音(卍解)「―――ッ!!! ガ キ ィ ィ ン ッ ! ! (頭上から迫るその斬撃を剣で受け止め、そのまま前方へ圧倒) スラ…ガギャァ…ッ… ! ! ! (手で剣身を逆撫で、そして握る柄に力を込める)―――“朱雀門”ッ!!(剣身に纏う桜の残光が神々しく発火して白い焔を灯し、熱を帯びた剣を振るう)」

氷冬「 ギ ィ ン ッ (圧倒されても怯むことなく次の一手を構える)―――“我・獅子王”(ガレオン)ッ!!!(劫火を纏う金剛の刃で凄まじい一撃を炸裂させ、相殺を狙う)」


ド     グ     ゥ    オ     ン    ッ    !    !    !    !   (二人が繰り出した凄まじき一撃がぶつかり合い、その衝撃により、地面に積もる雪桜が瞬く間に空へと舞い上がった)


雪音(卍解)「(真っ白な残り火が静かに消えゆく最中、その表情は愉快に満ち溢れていた)あはははっ!いいね、氷冬!こんなにわくわくしたのは本当に久しぶりだよ!(残像を描きながら高速走行し、彼女を包囲するかのように走り回る) ズ ォ ッ ッ ッ ――――― (刹那、彼女の懐へと一瞬で踏み込み、切っ先を突きつけ、そのまま突撃する)」

氷冬「(残火は冷気に消え、明るみになったその表情に曇りなき爛漫)――――!(刹那を体現するその足運びに翻弄されることなく静かに瞳を閉ざす、そして―――)  っ は ! ! !  (僅かに感じ取った剣圧に見開き、その突きを斬り上げていなした)」

雪音(卍解)「―――ッ!!? ニ ィ … ―――いやあああぁぁああああッ!!!(突きを弾かれ一瞬呆気取られるも「そうでなくては」と口角を上げ、鮮やかな剣舞に踊りだす)」


――――― キンキィンギンッ、キキンッガギッギキィインッ!!!!(刀剣の残滓が雪桜を照らし、白桃の光が彼女たちの演舞を彩っていく)


氷冬「……ッ!(麗しい濡羽色の長髪が靡く中、白雪に肌身が白く染まりゆく) は ぁ ッ ! ! (片腕の二刀で薙ぎ払う)」

雪音(卍解)「っと……!(相対し、頬が桜葉の反射に桃色へ染まる) や っ ! (薙ぎ払いに飛び退くように天高く跳躍。月を背景に全身を捻って逆さに細剣を構え、逆光の影に桃色の眼光が露わになる)――――“桜田門”――――(月光が照らす桜吹雪を剣に纏い、美しくも壮大な突撃を仕掛け、急降下する)」


―――― ド グ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ オ ォ ォ ォ ォ ン ッ ! ! ! ! ! (雪音の突撃が大地を震撼させ、夜の空間が瞬く間に桃色に染まりゆく)


氷冬「―――――ッッッ!!!(強大な突撃による衝撃に宙へと吹き飛ばされる)―――――(大切な記憶…それを守るために剣を振る… 躊躇いも迷いもない者の強さ…!!雪音、貴女は本当に強いわ。けれど…――――)―――― ブ ォ ン ッ ――――(吹き飛ばされる最中、何を思ったのか、自らが手にしていた四本の刀をすべて、地面へと投げ飛ばした)」


―――― ザ ザ ザ ザ グ ン ッ ! ! ! ! (氷冬に放り投げられた四刀が地面に突き刺さる)


雪音(卍解)「―――――!?(何を…っ…??)(氷冬の行動に眉を顰める)」

氷冬「……―――――――――」


貴女はずっと戦い続けた。あの桜の木の下で。永遠に、永遠に… その強い精神が肉体を超越したからこそ、貴女は不死となった。


いや…本当はもう、死んでいるのかもしれない。そうだとしても、死して尚、愛する人の為に……いえ、"誰かの帰りを待ち続けている"。


それが、雪音、貴女が本当に望んでいるものなんじゃないかしら―――


氷冬「 ス タ ン ………―――――  ダ ッ ! (着地後、永遠に漂う静寂を切り払うように駆け出した)」

雪音(卍解)「……っ…!(氷冬に合わせて駆け出し、氷冬に剣を振り下ろす)」

氷冬「――― "袖振合い多少の縁と盛夏詠い" ―――(一刀「夏椿」を拾い上げ、振り下ろされた剣を弾き返す)」

雪音(卍解)「くッ…!(弾き返されても尚、力強く剣を振るい白桃の斬撃波を解き放つ)」

氷冬「――― "一路平安呑み晩秋仰ぎ" ―――(二刀「秋霞」を拾い上げ、放たれた斬撃を夜空へと弾き返した)」

雪音(卍解)「君はどうして剣を振るうの?何のために?(鋭く早い二閃を刻み込んでいく)」

氷冬「――― "邂逅百年河清俟つ厳冬過ぎて" ―――(三刀「冬芽」を拾い上げ、二閃を斬り返し、そのすれ違いざまに雪音を蹴って距離を置く)」

雪音(卍解)「くぅ…ッ…!君がこの戦いの果てに望むものって?教えてよ、氷冬…!!(   ブ   ワ   ア   ァ   ッ   !   !   !   !   )(桜吹雪の光が剣身に集い、強烈な一閃を強く振るった)」

氷冬「――― "一蓮托生芽吹き陽春抱く" ―――(最後の四刀「春颯」を拾い上げることで再び四刀流を成し、目前に迫るその桜吹雪の一閃へ真っ向から突撃して斬り崩した)―――― ダ ン ッ  ! ! ! (大地を強く蹴り上げ雪音へと迫る)―――― 四 刀 流 奥 義 ! ! ! !」

雪音(卍解)「――――――!!!!」

氷冬「   ザ  キ  ィ  ―――――――― 閃劇 “ 春 夏 秋 冬 ” ――――――――  ン   」


風は凪ぎ、花は散り、雪は解け、月は欠ける。 永遠に止まったままの風花雪月の刻が、今、動き出した――――――


氷冬「―――――………私も、貴女と同じ。大切なものを守るために、この刃を振るう。」

雪音(卍解)「…………」

氷冬「私は強くなる。強く、そして世界の頂点に立つ。大切なものを、守れる強さを手にするために。その夢を、自分の手でつかみ取ってみせる。」

雪音(卍解)「………素敵な夢だね。」

氷冬「……だから、大丈夫よ。貴女が守りたかったこの桜の木を、今度は私が守るから。……いっておいで、「あの人」のもとへ―――――」

雪音(卍解)「―――――(彼女の言葉に安堵を覚えたように瞳を閉ざすと、切り口から鮮血を思わせるような桜の花弁がぶわっと吹き出し、剣はその手をすり抜け地面に突き刺さり花となって散る」








雪音「――――― " あ り が と う " ―――――」







フ ワ ァ … ―――――― (爛漫の笑みを残した少女は夜風に吹かれる雪桜と共に、月の光に溶け込むように消えていった)


氷冬「(彼女が最後に散らした桜の花弁、その一枚が空へと飛び上がるまで見届けた)……本当に、刹那のような出会いだった…… 雪音、貴女の心は、私の中に深く、刻み込んでおくわ。(四刀をしまい、丘の上に咲き誇る桜の木を仰ぎ見る) 」


ヒュゥゥゥ―――――ン…… ド オ オ オ オ ォ ォ ォ ン … ッ … ! ! ! ! (その丘よりはるか先の空が紅蓮の如く燃ゆる。喧騒を立て、轟音を響かせて)




氷冬「……!?あれは……なに…っ……?(静寂された幻想郷とは似使わない、その遥か先に浮かぶ異様な光景に眉を顰める)」

フーナ「―――― あっ!氷冬~ッ!!(突然、丘の下から氷冬のもとへと駆け上がっていく)よかった…ここにいたんだね…!(息を切らしながら)」

スカーフィ「かぅ~!つららぁ~!!(フーナに続いてやってくる)見つけたー!無事でよかったあ~…!(ぺしょりと地面に倒れ込む)」

氷冬「……!フーナ、スカーフィ…!?二人とも、どうしてここへ…?(呆然と二人を見つめて)」

フーナ「うん…フィールド上に突然現れたあの変な壁(オーロラカーテン)に呑まれて、気が付いたらこんなところに…… そ、それはそうと!大変よ氷冬…!(血相を変えて氷冬に詰め寄る)今、いきなり世界政府の軍勢がこの舞台に押し寄せてきて…私たちや観客者全員に無差別砲撃を行ってきたの…!」

氷冬「なん、ですって……ッ…?!なぜ、そんなことが突然…」

フーナ「わかんないっ…でも、被害は拡大する一方で、戦場は大混乱…!もう大会どころの騒ぎじゃなくなった…!太刀打ちしようにも、政府は全勢力をもってこの舞台を完全に滅ぼそうとしているから、それも現実的じゃない…とにかく、ここにいたら危ない!!今すぐどこか遠くへ逃げないと、私たちみんな…ッ……!」

氷冬「…… …… ……(しばらく黙り込んでいたが、何か意を決したように踵を返し、そこに映る桜の木を静かに見上げた)…ごめん、フーナ。私は…ここを離れるわけにはいかないの。……――――― 守るべきものがあるから。(はらりはらりと散りゆく桜の花弁を浴びながら)」


――― "桜の木は、僕が守る" ―――


――― "貴女が守りたかったこの桜の木を、今度は私が守るから" ―――


フーナ「えっ……!?………!(氷冬の答えに一度は騒然するが、彼女の視線の先にある桜の木を見上げ、その答えの意を汲み取る)」

スカーフィ「かぅ~…!綺麗な桜だぁ~♪(倒れ込んだまま桜の木を見上げ、わあと声を上げては立ち上がる)」


ド ォ ゥ ン ッ ! ! ド ォ ゥ ン ッ ! ! ド ォ ゥ ン ッ ! ! (彼女たちが会話している間にも、政府の空中戦艦がすぐそこまで迫っており、彼女たちが立つその丘へ目掛け、幾つもの砲弾が放たれたのだった)


氷冬「……っ…!!(なんて数…このままじゃ…――――)(四刀を振り抜き、迫る無数の砲弾を斬り払おうとした、その時だった―――)」

フーナ「―――― “舞風”ッ!!!(凄まじい神風を巻き起こし、丘へと降り注ぐ砲弾の雨を海へと吹き飛ばしていく)」

スカーフィ「―――― いやあああぁッ!!!(突発的に宙へと飛び上がり、砲弾の一つを蹴り飛ばし、後から放たれた砲弾へとぶつけて相殺する)」

氷冬「――――!!(我先に砲弾から桜の木を庇った二人の行動に目を見張る)フーナ…スカーフィ…!?」

フーナ「…理由はわからないけど、"それ"が氷冬のやりたいことなら、私たちは信じるよ!一緒に守らせて、氷冬が守りたいものっ!(可憐にウィンクを飛ばす)」

スカーフィ「かぅ~♪氷冬が大事にしたいもの、ボクたちも大事にしたいもんね♪ だって…――――「 友達 」じゃん♪(満面の笑みを浮かべて)」

氷冬「二人とも…… …… ……ええっ、ありがとう…!(フーナとスカーフィに並び、押し寄せる戦艦の砲撃と対峙する)」


ド ォ ゥ ン ッ ! ! ド ォ ゥ ン ッ ! ! ド ォ ゥ ン ッ ! !


フーナ&氷冬&スカーフィ『――――― やあああああああああぁぁぁぁッ!!!(三人は意を決し駆け出す、たった一本の桜の木を守るために――――)』






藍コートを覆った人物「……(崩れた建物の先端に立ち、夜の世界に輝く三日月をバックに、凄まじいオーラを漂わせている)」

アオ「―――…戦場で戦ったかつての仲間が教えてくれた…「自分のそっくりさん」がいるってね。…どうも、因縁があるようだね…エッグマン本拠地……(閑散とした廃墟の中、ゆっくりと建物の上に立つ人物を見上げる)」

藍コートを覆った人物「(俯いた顔をゆっくりと上げ、下方にいるアオの姿を確認する)……久しぶりだな、晴辿蒼。」

アオ「……ああ、会いたかったよ…―――――「メタルアオ」。(どこか苦みを含んだ表情を見せ)」

藍コートを覆った人物「…「メタルアオ」…その名で呼ばれたのは懐かしい。……だが、お前の知るメタルアオはもうこの世にはいない。いかにも俺は、かつてその名で呼ばれた殺戮型ロボットだが…今は違う。」

アオ「なっ、それは…どういう意味なんだ…?(冷静を装った声色で問いかける)」

藍コートを覆った人物→ゼネア「ブワ…ッ…!(藍コートを脱ぎ棄てるとそこには、"ほぼ"アオそっくりに修正された人型ロボットがいた)……俺の名は『ゼネア』。お前のいる世界とは異なる…究極進化を遂げた個体のメタルアオだ。」

アオ「!?(まるで鏡でも見てるのか、俺は…!?)…双子になって、俺の兄か弟になってみるかい?…そうか…俺の知らない世界…――― もう一人のメタルアオ、か…。(目付きが鋭くなる)」

ゼネア「(アオの一変した表情を見て不敵な笑みを零す)驚くのも無理はない、俺の身体は究極の完全体となった。外見はおろか、性能も飛躍的に向上されている。…だがそれでもまだ足りない。己が目的を叶えるためにはな…!」

アオ「(あの頃以上に強くなったっていうのか…!?)…っ……そこまでして、お前は何を成したいんだッ!!」

ゼネア「―――俺の目的……いや、夢と言った方が格好がつくな。…過去にお前と戦った時、俺は機械の世界を創造する事を掲げていたが、あれは今となってはどうでもいい。機械だけの世界、そして俺がその王となる…今ではすべて皆無。俺は見つけたのだ……俺が本当に求め続けてきた夢―――― 俺は「人間」に生まれ変わりたかった。」

アオ「……っ…?(…「人間」に、生まれ変わりたかった…?)」

ゼネア「…俺は、生まれた時から使命を与えられた殺戮型ロボット。俺を造った元主の「Dr.エッグマン」はの野望を達成させんが為に俺を生み出した。そしてオリジナルであり、同時に世界の英雄と称されたお前「アオ」の存在を抹消する、その使命を受けて戦ってきた。だが…地獄へ送られ、そこで同じように生み出された仲間と再会したことで気が付いたことがある。」

ゼネア「俺たちはただ、誰かに尽くす為に生み出されたのか、殺傷を繰り出す為に生み出されたのか、その為に何故「オリジナル」共の体を元に造られたのか…自分等の存在を初めて、疑った。」

ゼネア「そう、俺たちは機械でありながら―――――人間の思考力の一つ、「疑う」事を身に付けた。…結局、前者の答えは出なかったがな。」

ゼネア「人は人生を送ることで、何もないところから使命を与えられる。それに気付いていないとしても、何処かでそれを達成させようとしている。…だが俺たちは違う、誕生したその瞬間から使命を与えられた。そんなものに何の意味がある?思うように生きていけぬ人生に何の意味がある?俺たちは何処かでそれを疑い続けた。…俺に与えられた使命は、主(エッグマン)の野望を実現させる事…即ち「機械世界の創造」。もう一つは…「晴辿蒼の抹消」だ。だがその二つは俺の生きる意味ではない。強制的に、何者かに与えられた虚空の使命に過ぎない。」

アオ「……ゼネア…(苦い表情をし、若干俯く)(こいつは、前に向かってる…世界を壊す道じゃない。これは正しい道だ…) じゃあ、俺が君の周りの人間になろう。」

ゼネア「(アオの発言を聞いて呆然となる)…フッ、フフ…クハハハッ!!クハハッハッハハハハッ!!!!……アオ、お前は何か勘違いをしているな。それでも、"使命を与えられた"ことに変わりはない。故に、俺はこの二つの使命を果たす。でなければ、…俺は人間として生まれ変われない、そんな気がして不安がままならないのだ。人間として生まれ変わる為には、使命を終えずに残すことは許されない。故にアオ、貴様を殺す。そして世界は俺の手により変えさせてもらう!」

アオ「…君が最後の悪だったならば、俺はゼネアを救う為に…人間にさせる為に喜んで死んでいた。でも…まだまだ俺の手で救える未来があるんだ。だから―――君の使命は果たさせない。」

ゼネア「(不敵な笑みを浮かべアオを見下す)…さて…御託はこの辺で良いだろう。ダンッ ! (跳躍しアオの前線に降り立つ)お前を殺し、機械の世界を創造した後(のち)…そして俺は人間となる。もう何者にも縛られず、己で己の使命を見つけ出す…!」

アオ「……前へ進もうとしている君を阻むのは苦しい。だけど…みんなで築き上げたこの世界を絶対に消させはしないッ!」

ゼネア「…フン、、ならば俺に抗ってみせるといい。あの時の様に…だが、究極の力を手に入れた以上、貴様にとっては全て無理・無駄・無謀だがな!!」

アオ「俺も、あれからずっとじっとしていたわけじゃあない。お前に抗うのが無理で無駄で無謀かどうか、試そうじゃないかぎりと歯を噛み締める)」

ゼネア「――― ダッ… ! ! (アオに向かって一直線に駆けだす)」

アオ「 ダ ン ッ ! ! (背中のククリを二本とも抜き、こちらも一直線に駆け出す)」




ゼネア「シュドゥンッ ! ! (脚のジェット機を利用し勢いをつけたパンチを繰り出そうとする)」

アオ「ピッ…(横方向へ僅かに顔をずらして避け、頬に一線の傷が出来る)はぁッ!(裏拳を繰り出し、ククリのつかで殴ろうとする)」

ゼネア「……!ズガァーンッ ! ! (右頬に強打され機械の残骸に激突する)」

アオ「まだいけるッ!(追撃しようと機械の残骸の方へ一歩踏み出す)」


―――― ドゴォ…ッ… ! ! (途端、アオの腹部に重い一撃がめり込んだ)


アオ「が…あッ…!?(何だ、何が起こって……?)(重い一撃がめり込み、体が浮く)」

ゼネア「(なんと先程吹き飛ばされたゼネアが瞬時に復帰し、アオに目に留まらぬ正拳突きを繰り出してた)――――“JET-Bullet”ドオオォォーーーンッ ! ! ! (呟くと同時に浮いたアオが目に見えない速さで吹き飛ばされる)」

アオ「あ゛ぁッッ!!(大きな音を立て、廃墟の建物の壁を破って床を滑りようやく勢いが止まる)」

ゼネア「あの程度の攻撃で浮かれるとはな…。ガション…! “FLYING GADGET” ドギンッ ! ! (軽く跳躍すると足裏から小型バーニアが展開される)ボォッ ! ! (ジェットでアオの元へ飛びだし、今にも追撃をかけようとする)」

アオ「がっ…ガハッゴホッ…(激痛にたまらず吐血し、よろよろと立ち上がる)なっ、速ッうっそ―――だろッ!!?(二本のククリを同じ方向から横薙ぎに振り、目の前に接近してきたゼネアを迎撃する)」

ゼネア「“LIQUID GADGET”!(身体の起伏をそぎ落とし、摩擦力を0にすることでアオの攻撃を滑らすように受け流す)…フッ、“STABLE GADGET”。(元の形状に戻り、アオを遠くへ蹴り飛ばす)」

アオ「…え…ッ!!?(目を大きく開き驚愕する)ぐぁあッ!!!(大振りで隙が出来、成す術もなく吹き飛ばされる)」

ゼネア「…俺は今、究極の体へとパワーアップを遂げた。見ただろう、俺はどんな悪状況も体を高速改造することで有利な立場へと返り咲く。もはや弱点などない…!」

アオ「ゼー…ゼー……(肩で息をしながら立ち上がる)お前に弱点が無かったとしても…俺は絶対に諦めない…どれほど無様にしがみ付き、喰らい付いてでもお前を倒すッ!!(声を張り上げ、ククリを握り直して駆け出す)」

ゼネア「言っておくがアオよ、これまでの様に当たって砕けるようならば止めておけと忠告しておく。シュルル…パシッ ! (懐から水晶の様に透き通った透明ナイフを取り出し、その場で身構える)」

アオ「(何を握った…?見えない…あれは刃物か…?)よほど自信があるようだ――ねッ!(一本のククリを上方から斜めに振り下ろす)」

ゼネア「愚かな―――― ザキィーーン…ッ!!(ナイフによる一閃を繰り出す)」


パキィーン…ッ… ! ! (ゼネアの繰り出した一閃により、アオのククリの一本が切り裂かれる)


アオ「……(切り裂かれたククリを手放し、ゼネアの方へ振り向く)……どうした、もんかな…(残ったククリを握り直す)」

ゼネア「…結果が見え過ぎているのでな。もはや俺お前とでは次元が違い過ぎるのだ。スン…ッ ! (跳躍し、アオから一定の距離を置く)終わりだ。シュンッ ! ! (クリスタルナイフをアオに目掛け投げ飛ばす)」

アオ「(瞳孔が開き、瞼も大きく見開いて掌を前へ突き出す)―――グシャァッ…(透き通った透明のナイフなのでうかつに動けず苦渋の決断。眉間にしわを寄せ、ギリギリと音がするほど歯を喰いしばっている)」

ゼネア「……馬鹿な、回避しないのか?」

アオ「……ッ!…こんな、物騒な物をまた拾われでもしたらッ……たまらないからね…(顔を歪ませながら薄く笑いクリスタルナイフを抜いて踏み付ける)……―――すまない、また力を借りるよ(手を横にブンと振る。すると七つのカオスエメラルドがアオを囲うように出現する)」

ゼネア「―――!(七色の光を目の当たりにする)」

スーパーアオ(以下:Sアオ)「(目を閉じて呼吸を整える。するとカオスエメラルドが円を描くように回り、やがて金色の光に包まれていく)―――さぁ、ここから延長戦だ(赤色の目をかっと開き、ゼネアを見据える)」

ゼネア「(スーパーアオの全身を舐めるように見て、不敵な笑みが零れる)その姿……ク、クカカ… …あの時を思い出す…!“Rising・Wheel”。ギュルルルル…バシュ、バシュゥッ!!(手中に生み出したエネルギーに車輪のように激しい高速回転をかけることで、切断を可能とするエネルギー弾として二発放つ)」


アオとゼネア―――――互いに、3年前の激闘が脳裏を横切った


Sアオ「あの時のように、そううまく行くと思わないでねッ!!シュンッ――ズザァ(高速の動きでエネルギー弾をすれすれで回避し、折れたククリを片手に持ってゼネアの懐に現れる)」

ゼネア「……!!(懐に現れたアオに若干遅れて反応する)」

Sアオ「(「信じる力」…そう、絶対に俺は……ッ!!) うぉぉおおぉッ!!(折れたククリで"殴りつける"ように振り抜く)」

ゼネア「グッ…!! ガッシャアァーーンッ… ! ! (付近の金属の残骸の山に激突する)……ガチャ、ガッシャーンッ… ! !(残骸を吹き飛ばし起き上がる)……早いな。当時の俺では到底追いつけまい速さだ。(掌を天へ向け)だが―――――ドュン、ドュン、ドュンッ ! ! ! (そのまま掌から“クリスタルショット”を放つ)」

Sアオ「ああ、お互いあの頃とは違うんだ…ッ(ゆらりと折れたククリを持ち直す)…!?な、何をッ…!(天に放たれたクリスタルショットを注視する)」


――――― ヒュゥゥゥゥウウウーーーー……ッ……! ! ! (無数の結晶体の弾丸が雨の如く、アオに向かって降り注ぐ)


ゼネア「――――“Diamond・Dust”――――」

Sアオ「(この音…まさか、落ちてきて――)――――ッッ!!(肉眼では見えないレベルの速さで動き、勘で結晶体の弾丸を交わしていく)――あ゛っ……ダダンダダダダンッ ! ! (見えもしない弾丸を避け続けられる訳もなく、一発被弾して動きが鈍った後、次々と被弾していく)」


辺りに結晶弾によって生じた硝煙が発生し、アオの姿が煙で覆い隠される。


ゼネア「…フン、速さなど、こうして適当に撃てばどうってことはない。(横へ振り返り瞼を閉じる)」


――――ねえ。標的の死体を確認しないのは三流がする事だよ(煙の中から声が聞こえる)


ゼネア「何―――――(煙の方へ振り返ろうとする)」

Sアオ「――――三流なところは、俺と変わりないようだね(左腕で煙を掻き飛ばして血塗れの身体を晒し、右腕で光弾を放つ)」

ゼネア「ぬッ…!?(光弾が腹に直撃して後方へと吹き飛ぶ)フン、クククク…ッ!それでこそ俺の知るアオ。その顔、虫唾が走る…ッ!“BRUTAL GADGET”!ドギャンッ ! ! (体内で金属音が響く)ス―――― ドゴォッ ! ! ! (地面に拳による一撃を入れる)」


ズッズズズズッ、ズズズズ…ッ…!!!!ズッズッズズズズ…ッ、ズゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッッッ…! ! ! (ゼネアの一撃に大地が震動し始める)


――― バッギャアアアアアアアァァァァァーーーン……ッ… ! ! ! ! !(やがて大地は徐々に大きく震えあがり、機械の建物が次々と崩壊し、大きな地割れがアオを襲う)


Sアオ「(―――あの時、咄嗟に目の前で光弾を爆発させてられてよかった…ああして結晶の弾道を逸らせなかったらと思うと、ぞっとする…)……!?何だッ!!?地割れっ―――うわぁぁぁあぁっぁあッ!!(消耗していて咄嗟に飛行が出来ず、地割れに飲まれ落下する)――――(集中なしじゃ、飛べないッ…!)」

ゼネア「“FLYING GADGET”。(足裏のジェット噴射により、天高く飛躍する)ガチャンガチャンガチャンッ ! ! (右腕が砲台になり、地割れという小さな穴に向けて焦点を合わす)――――這い上がってみせろよ。キュインキュインキュインキュイン……(粒子が砲口に集束していく)――――――ドオゥッ ! ! ! ! (砲台から放たれた小さな閃光を地割れの中へと放つ)」


ド オ ゥ ッ ――――― ボ ッ カ ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァァ ァ ア ア ア ア ア ア ー ー ー ー ン ッ ッ ッ ! ! ! ! (小さな閃光が地割れの中へ飛び込んだ後、しばらくしてとてつもなく巨大な業火の壁がそこから噴出する)


アンチ(ヤミラミ)「あーあー、ゼネア様…割りと容赦ねえなぁー。(観客席より、その戦いを観戦していた)」

ゼネア「(業火の壁により火の海と化したエッグマン本拠地を中から見下ろし、そして着地する)…確かに、お互いあの頃と違うな。クハハハハハハッ!!!!」

レド(ニューラ)「ゼネア様のあの力、なんて絶大なの…。」

アンチ(ヤミラミ)「わーりぃ、わーりぃ(頭を掻く)ははっ、おめーゼネア様の力はあんなもんじゃねーさ。あんなのは核兵器でも出来る。ゼネア様は自らの身体を極限まで改造したんだぜ?搭載された兵器、武器、んなの数え切れねえくらいの物を、一つの身体に凝縮してんだ。」

レド(ニューラ)「あの体に…数え切れないほどの兵器を…!?(目を細めゼネアを見る)」

レイヴン「…とは言ったものの、あの少年にゃあなんだかんだで世話ンなったりしちゃったりなんかしちゃってるからなぁ。やれやれ…どうしたもんか(観戦しながらぶつぶつ)(声‐竹本英史)」

アンチ(ヤミラミ)「おうよ。更には身体を高速改造する能力まで身に付けた。いや、身に付けたというよりは…元々体に『アレ』を搭載されたからな。彼の改造手術に協力したキルゴア様も驚きを隠せない、飛んでもねえ化け物に仕上がっちまったんだとよ。」

レド「……?(『アレ』とは何だと言わんばりにアンチに振り返る)」

アンチ「……無限のエネルギーを生み出し続ける永久機関『エターナルサイクラー』さ。(ゼネアを見ながら不敵な笑みを浮かべる)」

ゼネア「ドッギン、ガシャンッ ! (体内でまた金属音が鳴り、元の形態に戻る)言ったろう、"次元が違うのだ"と。(地割れの穴を見下ろしながら呟く)」

レド「永久機関……エターナルサイクラー…?(傾げる)」

アオ「(その頃――地割れで出来た谷、焼け焦げた体で岩石に掴まっていた)……えほっ、ごほっ…ゼネア、まさかまだあんな隠し玉を…!(激痛を感じながら)」

星野桃「ねぇ―何、笑ってるの?(アンチに)わ、アオが…大丈夫かな?無事だといいけど・・・(観客席より心配そうに見守っている)」

アンチ「古代カオス文明の古代兵器の話は知っているだろう?あの時代は科学の進歩が劇的に進行していて、今の時代では到底作り出せない、高い技術がそりゃあたくさん存在していた。しかし戦争によりその技術が抹消され、残されたものは例の古代兵器どもってわけだ。だが……」

レド「だが…?だがなんだ?」

アオ「―――…『信じる力』か……俺を信じて待ってくれている人が居るんだ、俺も―――信じなきゃ(崖にぶら下りながら、自分に言い聞かせるように呟く)……いくぞ、ゼネア。まだ試合は終わっちゃいない(深呼吸をし、亜光速で地上へ姿を現す)」

アンチ「うっひょー、可愛い譲ちゃんがなんだってこんな戦場にいるんだ?ていうか、後でお茶しなーい?(桃に)…その古代兵器の他に、あるものが運よく眠っていたんだよ。それが、後のエターナルサイクラーだ。だが当時は戦争による衝撃で大部分が破損。その状態のまま長い年月が過ぎていった訳だ。……ゼネア様は、何かの出来事でそのポンコツサイクラーを見つけ、自力で修復したんだろうよ。あの方の技術は、キルゴアにも引けを取らねえらしいし。」

星野桃「わぁ、本当?きっとだよ~♪ …古代兵器?それって、もしかしてアレに関係するのかな…(ゼネアを見て)」

ゼネア「(復帰したアオの方へは振り返らず)生きてたか、あのままくたばっていれば痛い目に遭わずに済んだものを…。……“BRUTAL GADGET”。ガキンッ ! 」

レド「現代では生み出せない物を、あの方がそれを修復した…確かに、かなり高い技術を持っているわね。そして、その永久機関の力が…あれ…。(ゼネアを見る)」

アンチ「おうおう!勿論だぜぇ~♪(キャッキャッ) にしても、ゼネア様の体ん中、どうなってんだか…。想像できねえぜ。」

Sアオ「どうせくたばるなら…大事なものの傍らで、ナイフを振り回してくたばるさ。生憎――ここに守りたいものはなくてね(浅い呼吸を繰り返し、赤い目でゼネアの変身を見る。金色の身体には白い蒸気のようなオーラが薄くかかっている)」

星野桃「あれ?もしかしてアレの部下の人なの?部下でも分からないなんて…秘密を大事にしてるんだね」

ゼネア「(奴の体に異変が…まあいい、何処まで付いて来れるか…。)…“Black・Out”!シュドドドドドドッ ! ! (見切れる筋もないほど素早く振るう手刀で青に攻撃する)」

Sアオ「シュッヒュンヒュンッズサッ―――ガキィィィンッッ ! ! ! (人間の肉眼では捉えきられない速さで手刀をかわしていく。そして折れたククリナイフを両手で支え、手刀を受け止める)」

ゼネア「ギリ…ッ… ! ギリ、ギリリ…ッ ! ! (鍔迫り合いに発展)3年前…俺とお前は此処で決した。どちらが本物であり、世界の行く末を変えるに相応しい者か、を。ガキンッ ! ! シュンシュンッ、シュドドドッ ! ! ! (上へはじき、その隙を狙い更に手刀を撃ち込んでいく)」

Sアオ「ギリリ…ギリッ… ! ! (鍔迫り合いになり、信じられない剣圧に両脚が地面を軽くえぐる)その3年前は、俺が本物だったんだ。なっ!?ガキンッ ! ! (上へはじかれ、無防備になる)うぐぉおッがぁッ!!(手刀を撃ち込まれていき、たまらずよろけながら数歩後退る)」

ゼネア「“STABLE GADGET” ス……(元に戻り、アオに掌を向ける)だが今となってはどうでもいい。俺は――――「人間」になるのだから。ドォゥンッ ! ! ! (掌からの斥力でアオを吹き飛ばす)」

Sアオ「あ゛ぁあぁぁ゛あッッッ!!!(斥力に圧され、建物の壁へ激突する)……かッ…(目を細めて吐血する)」

ゼネア「数々の戦いと時間を重ねて今がある。(初めてアオと戦いを交えた頃を思い出したのか、フッと笑む)だが新たに手にした、俺の戦闘能力を強化する能力は…純粋に最強だと思うぞ。素晴らしき力、素晴らしき俺だ…!――― ギュオンッ ! ! !(掌をSアオに向ける。すると、今度は逆の引力が掌から発せられ、アオを強制的に引き寄せる)」

Sアオ「くっ…はは、確かに…今の君の力はとても強大だ…でも、決着が着く前に"自分の方が強い"だとかは…そんなのはただの戯言だ。最終的に、結果的にッ、勝った方が強いんだッ!!(引力に引かれ、ゼネアの方へ飛んでいく。この時に折れたナイフを構える)」

ゼネア「…既に結果は決まっているようだが、違うか―――――!(ナイフを見据える)」

Sアオ「俺はまだ負けてない……俺が君に負けるとすれば、それは俺の希望が潰える時だッ!!!(ただシンプルに、単純にゼネアの体目掛けて折れたナイフを振り抜く)」

ゼネア「…ザキィーン…ッ… ! ! ……!!(刃により胸部から左肩にかけてまで一閃を刻まれる)―――――――!!(目を大きく見開いて背後へ振り返り、Sアオの項を掴む)ムアアァァッ!!!(残骸の山に囲まれた暗い大穴の方へと大きく投げ飛ばした)


暗い大穴に見えたそれは、雨水によって溜まった巨大なプールだった


Sアオ「うぁッ――…ぁぁぁあああッ!!? ドッボォォォンッ!(投げ飛ばされ、雨水が溜まった巨大な大穴に落ちる)」

ゼネア「“LIQUID GADGET”…!(身体の起伏をそぎ落とした状態でそのプールへ自らも飛び込む)ゴポポポ…… ! ! (真っ暗な水中に、ゼネアの赤い瞳が不気味に浮かんだ)」

Sアオ「コポコポ……――― ゾクッ(水中でゆっくりと目を開き、爛々としたゼネアの瞳と目が合い恐怖を覚える)(くそ、いくらカオスエメラルドの力があっても水の中では分が悪い…!)」


コポコポコポ……(アオから漏れた泡が視界を遮る。泡が天へ登っていくと、目の前のあの赤い光は消えていた)


Sアオ「…ゴボッ…!!(しまった、見失った…!?どこだ、どこに行った―――!?)(目を見開き、手のひらに光弾を溜めて真っ暗な水中を見回す) 」


―――――― ドッッッッ…! ! ! (アオの腹部に想像遥か絶する激痛が迸る。否、あまりにもそれが強過ぎて痛みすら感じず…体の隅々までピクリとも動く事はなかった) 」


アオ「(ぁ…………えっ――――?)(何が起こったのか理解できず、ただ口から血の混じった水泡が出る)」

ゼネア「―――― シュオンッ!!(アオの頭上背後に現れる)シュオンッ!!(そして刹那の如く泡となる)」

Sアオ「ッ!?!(一瞬の気配を感じ、振り返るもそこにゼネアの姿は無く…)」


ドゥッッ ! ! ドンッッ ! ! ! ドッ、ドドッッ、ドドッッ ! ! ! ! ドガガガガガガッッ ! ! ! (アオの周りを見えないゼネアが遊泳し、それと同時に止むことの知らない衝撃がアオに襲いかかっていく)


Sアオ「――――ッッッ!!!!!(絶えず襲いくる衝撃に身体が歪み、減り込み、曲がり、アオの周囲の水が血で赤く染まっていく)」

ゼネア「シュオンッ!! ガッ…!(アオの前方に出現し、胸倉を掴んで水面へと上がっていく)――――ザバアァーーン…ッ… ! ! (巨大プールから出てSアオを鉄板の床へ投げ飛ばす)フン、常人外れの力を持っていたとしても、所詮は生身の人間。水の中では足掻くことしか出来まい。」

アオ「ガァァンッ… ! ! かッ……はッ……!!(鉄板に叩きつけられ、反動で身体が浮いて再び鉄板の床に横たえる。その時、カオスエメラルドが限界だったのかスーパー化が解ける)く、そ……君の体は、本当に…便利だねッ…(水と血に濡れた身体でよろよろと膝に手をついて立つ)」

ゼネア「この形態(LIQUID GADGET)はただ敵の攻撃を受け流し、防御するだけの効果ではない。この姿は水中戦において絶対的な力を発揮する…。そう、その速さは魚人をも圧倒する…!…だが、抵抗すらできないお前をあのまま殺したところで何の面白味もない。さあ立て、もう一度俺に抗う姿を見せろ。」


ジジジュゥ…ッ… ! ! ジィ…ッ ! ジジ…ッ… ! ! (ゼネアの一閃された体の部位から僅かな電気が放出し、ショートしている)


アオ「(そんな、魚人まで…!?…道理で敵わないわけだ…!) ……慢心はその身を滅ぼす。…感謝するよ。俺にもう一度―――――"希望"を、与えてくれたこと。(その言葉を口にした直後、どっと白い光がアオの足元から溢れてくる。そしてアオの眼前に細長い何かが白い光によって形成されていく)」

アンチ「(驚きのあまり口笛を吹く)流石ゼネア様。けどさっさとあんな野郎とどめさしてやればいいのによぉ。(高みの見物)」

ゼネア「―――!!(またあの光…いや、これは…!)」

レド「ゼネア様には何か考えがあるのよ。あら…?(アオの様子を伺う)」

アオ「これは、心の力…―――― 心の、剣(つるぎ)。(身体が白いオーラを纏い、眼前に形成された、アオが『心の剣』と呼ぶどこまでも蒼く真ッ直ぐな剣をその手に取る)」


ゼネア「……。(金色(こんじき)ではない…何だあれは。そして…あの剣(つるぎ)は……)…心、だと?」

アオ「そう……護るものが、俺の力になる。護りたいものが増える次第に、それは俺の心の支え、力になっていくんだ。何としても護り抜きたいものと出逢っていく―――― そんな小さな奇跡の、結晶 ―――――“ ド ラ イ ブ ”だ!!(蒼い剣を一振りし、ゼネアに切先を向ける)」

ルカリオ「 フン、心か…。奴も言うようになったものだな。(壁に寄りかかって見ている)」

黄色いローブの男「(戦闘の一部始終を傍観していた)…"見えた"。ヤツが求めているのは"アレ"…力は無いがそれに代わる「混沌」はある様だな…「アレを媒体にする」なんてヤツは言ってたが、何を考えてるんだろうな――――――っと(空に輝く月に手を翳すと、男の姿は光と共に粒子状に消えていった) 」

ゼネア「……ックックックククク…ッ!!!(腹の底から堪え切れない笑いが零れる)…青臭い塊にしか見えないな。覚悟がいくらあったとしても、すべては"力"がものを言う。……お前にすべてを護り抜ける力があるか…?」

Tアオ「あるさ。……あると、"信じてる"。(切先を向けたまま、自らにも言い聞かせるように)」

ゼネア「…"消失と言う名の万物"――――――― ならばその希望、絶望へと塗り替えしてやる。」

アオ「(ゼネアへ向ける刀身に指を置き、ゆっくりと膝を折る)いくよ。正真正銘――― 決戦だッ!!(跳躍。それはゼネアのスピードにも優るとも劣らないスピードで接近し、刺突を繰り出す)」

ゼネア「――――!!(早い…!)(右ステップで間一髪回避するが…)……フフフ…なかなかの速度。だがその程度では俺の足元に到底及ばな―――― ピキッ… ! !  ……!!!(胸部に切り裂かれた跡が生じる)」

黄色ローブの男「ヒュー、あいつはあんな能力をお持ちだった訳か…カオスエメラルドへの感心は薄れてきている、あいつに奪わせるか」

アオ「――― ズザァッ!!(着地し、軸足でしっかり踏み込んで砂塵を巻き上げながら振り向く)……どうしたの。"その程度じゃ、俺の足元にも及ばないよ。"」

ジール「(エッグマン本拠地の屋上に立ち観戦)…心の具現化、人類の魂の進化か…素晴らしい、天使化の素質すら見て取れる」

ゼネア「(アオの表情を見てニタリと嗤う)ク、クカカ…そうこなくちゃ面白みがない。“FLYING GADGET” !(足裏のジェット噴射により、天高く飛躍する)」

名も無き覚者「・・・・・・・。(天地一体化で姿を消しながら二人の戦いを見ている)」

アオ「地上、水中ときて…今度は"空"か…ッ!待て!!(ゼネアを追い、自身も飛翔する。この時、アオからは白い光のような軌跡が描かれていた)」

ゼネア「(天で折り返るようにその場に留まり、腕を組む)俺を越える速さを手にしたからといってつけあがるんじゃあない。(背中から機械翼を展開)地、海、空…ありとあらゆる空間の中でも俺は力を保持することができる。お前のような生身の人間とは―――― 格が違うッ!!!ドドドドシュゥゥーーン… ! ! ! !(機械翼に備わる8体の遠隔誘導攻撃端末が一斉に飛び出す)」


バシュゥーーンッ ! ! バシュンッ、バシュゥーーンッ ! ! バシュゥーーンッ ! ! (8体もの遠隔誘導攻撃端末が稲妻状に進みながら、アオにビームによるオールレンジ攻撃を行う)


シルバー「(エッグマン本拠地の高いアンテナに立っている)…っと、エッグマンのトコが何やら騒がしいと聞いたが… あ、アオ!アオと…もう一人は… …ダメだ、距離が離れて心を読み取れない…!とりあえず…あいつらは対立してる、それだけは確実だ! ジャキッ ! (背中の鞘から剣を引き抜き、ジャンプからのレビテートで現場に向かう) 」

シュヴァーン「……『英雄』と呼ばれた力、確と観せてもらおう。(遥か空中の死闘を一軒の屋根上から傍観している)(声‐竹本英史)」

J・J「んふふふふふふ♪(観客席よりアオたちを見ている)」

レド(ニューラ)「しかも…あの二人はかつて殺りあった因縁の関係を持つ。この戦い…誰にも、邪魔できないわ……。(アンチの隣で激闘を見届けている)」

アオ「ッ!!?(機械翼から攻撃端末が飛び出し、全方位からビームが襲い来る光景を目の当たりにし、眼を見開く)(まずい。 こんな、死角のない攻撃…避けられるわけが――いや――――)―――まだだッ!!まだ届く!!!(諦めかけた一瞬から目つきを変え、高速で急旋回しビームを交わしていく)」

レミリア「あら、熱い戦いが始まってるわねぇ…。(観客席にて、組立て式ののティーセットに座って傍観している)」


ボッカアアアアアアァァァァァァーーーーンッ ! ! ! ! (アオにかわされたビームは別のビームを相殺して爆発した)


バタンッ、バタンッ、バタンッ、バタンッ ! ! ! (4体の端末が一つに合体し、銃口を模した姿に変形した)ギュオンギュオンギュオンギュオン――――― ドシュゥゥゥウウウウーーーーーンッッッ ! ! ! ! (銃口に変形した端末から解き放たれた小さな荷電粒子砲がアオを襲う)


松岡修三「頑張れ頑張れできるできる絶対できる頑張れもっとやれるって!やれる気持ちの問題だよ頑張れ頑張れそこだそこで諦めるなよ絶対に頑張れ積極的にポジティブに頑張れ!レインドだって頑張ってるんだから!(客席からアオを全力で応援する)」

シルバー「待ってろアオ、今オレも入って――――!?(アオvs.ゼネア。因縁の闘いであるわけだ、それ相応の威圧感を感じていた)――― いやまだだ、まだしばらく様子を見るか…(今いる場所で浮遊して戦闘を傍観する)」

アオ「うぉおッ!!?(爆風に煽られ、吹き飛びながらも体勢を立て直そうとする)―――(立て直した直後、変形した銃口が前方へ現れる)―――ッぁあ!!!(徐ろに刀を突き出し、手で刀身を支えるように構えて荷電粒子砲を受け止めるという無茶をする)あああッ、ああああぁぁッ!!あぁぁぁぁ――――う゛ッあァッ!!!(あまりの威力に受け切れず、押しきられて腹部に被弾して大きく吹き飛ばされる)」

レミリア「見てるこっちが痛々しくなるほどの派手な吹っ飛び方ね…。」

ゼネア「クカカ…勢いに任せただけだったとは…やはり程度が知れているなぁ、清辿 蒼!(片方の掌を吹き飛んでいったアオの方へ向ける)」


バシュンッ ! !バシュバシュンッ ! ! ! バシュンッ、バシュンッ ! ! ! (攻撃端末がアオを追跡しビームの弾幕を放っていく)


シュヴァーン「……やはりその程度の存在だったか。(声‐竹本英史)」

アオ「あ゛ッ…げほっ、はぁ゛っ……くそ、くそッッ!!(吹き飛ばされ、宙で激しく回転し体勢が立て直されていないにも関わらず、必死になって追跡してくる攻撃端末から逃れようと高スピードで翔ぶ)ヒュンッ!!シュンッ!チッ、チッ―――(高速で向かってくるビームに掠り、身体を熱に灼きながら旋回してゼネアの方へと向かっていく)勢いに任せただけかどうか、試してみるかッ!!?(接近しながら刀を構え、やがて刀の有効範囲に入ったところで居合のように横腹目掛け刀を薙ぐ)」

シルバー「――――っ、やっぱり近づけない…なんだか、一つの結界でも張られてるかのようだな…(傍観に入る)」

ゼネア「どうやら互いに進化を遂げたようだな…ここまでたどり着くとは想定外だったぞ。ドガション ! ! (バッドの形を模した機械棒を体内から出現させる)クカカ…!お前の一撃を見せてみろ!――――Dual×Brade…! ヴィヨワン ! ! バシュゥゥゥゥンッ ! ! ! (バットの上下先端からビーム状の槍が突出する)クルァアアァァッ!!!!!(アオの斬撃に合わせてDual×Bradeを勢いよく振るう)」


ガキイイィィィィィン……ッッ…――――― ド ォ ゥ ッ ッ ! ! ! ! (遥か天にて二人の攻撃が激突した。その影響によるものなのか…雲が真っ二つにわかれてしまっていた)


ゼネア「ジジジジィッ ! ! ! ギャリィッ ! ! !(互いの検圧がぶつかり合い、激しい火花が拡散していく)」

アオ「ギチギチギチ……ッッ!!ギィンッッ!!!せェアッ!!(激しい鍔迫り合いの中、刃を滑らせるように刀を引いて袈裟斬りを繰り出す)」

ゼネア「ヅッ――――――!!!ザキィィンッ ! ! ! !(凄まじい斬撃が体をえぐり削っていき、地に落下していく)……ギギュゥゥー…ン…(破損した胸部をさそり、天で神々しく輝くアオを見上げる)」

アオ「――――ッッ!!!…ハァッ、ゼェッ、ゼェッ……(ゼネアの一部だった金属の破片が空を舞い、蒼い刀を一振りしてゼネアを見下ろす) 」

ゼネア「ここまでの痛手を負わせられるとは…思ってもみなかったが―――だが、残念だ。バッ(掌を機械の残骸の山へ向ける)“Re:cycle”!オオォォン…ッ ! ! ガシャガシャガシャンッ ! ! ! ! (引力で残骸を引き寄せ破損した胸部に埋め合わせる。すると、瞬く間に修復された)クッ、ハハハハ……残念だったな、アオ。俺は破損した体の部位を、こうして残骸で埋め合わせることで修復、そして強化することができる。(両の手を広げ、アオにその完璧に修復された胸部を見せつける) 」

アオ「なっ―――――。(絶望にも似た感情が表情に現れ、瞳が縮小する)…まだ、だ……(震えた声を絞りだす)……君に修復をさせる暇さえ与えなければッッ!!!ドゥンッッ!!(空を思い切り蹴り飛ばし、超スピードでゼネアに向かって急降下して肩を突き刺そうとする)」

ゼネア「――――!!?ガッシャアァァァーーーンッ ! ! ! ! (彗星の如く落下してきたアオの一撃で右肩が思いっきり粉砕される)……クハハハ…無駄だァ!!(周辺にあるありったけの残骸を引力で引き寄せる。しかし、それは修復という動作というより、何かを造形しているように見える)」


ガチャンッ ! ! ガチャン、ガチャンガチャンッ ! ! ガシャシャ、ガシャガチャンッ ! ! ! (機械の残骸が左右ずつに集束していき、やがて二体の人型の巨大ロボットが出来上がる)


アオ「(続いてゼネアの身体を破壊しようと刀を振り被るも、ゼネアへと引き寄せられる残骸を見て激しく動揺する)えっ―――(危険を感じ、引き寄せられる残骸を刀で破壊するが、その膨大な残骸をアオ1人で捌き切るのは不可能だった)―――なんだ、何なんだよこれッ!!……ッツ――――!!!(二体の巨大ロボットを目の当たりにし、本能的な恐怖がアオを支配する)」

メタルマッドネス『(残骸で造形されたそのロボットは、かつてアオが対峙(退治)した二体の化物だった)ギィィヤアァァアアアァッ ! ! ! !(けたたましく咆哮し、それぞれの鋭利な両手から長く大きな棘を放つ)」

ゼネア「懐かしい玩具だろう?精々楽しむといい。(そう言って残骸の山へと隠れた)」

アオ「ああ、懐かしいよ…ハハ、また同じ場所でお前と戦うことになるなんて……最ッ高にツイてるよ、俺(苦い表情をしながらメタルマッドネスを睨み、刀を握りしめる) ダンッ!タタタタタタッ!!(勢い良く飛び出して地上を駆け抜け、放たれる棘を掻い潜っていく)はぁッ!!(一体のメタルマッドネスの足を刀で斬り付けようとする) 」

メタマッドネス『バギャアァンッ ! ! !(一度戦ったアオの相手ではなく、足を斬りつけられたことで脆く呆気なく、崩れ倒れてしまった) ギャオオオォォォンッ ! ! (もう一体がアオへ手を伸ばして襲いかかろうとする) 』

アオ「(続いて刀を振り被り、崩れ倒れたメタルマッドネスを一刀両断する)――――しまッ!!?(不意をつかれたのか、慌てて刀で凌ぎ大きく体勢を崩してしまう)」

メタルマッドネス『ボッカアアアァァァァーーーンッ ! ! (真っ二つに切断された一体は跡形もなく爆散した)ギャギャギャアアアァッ ! ! (両手を大きく振りかぶり、その巨大な掌で何度もアオを押しつぶそうとする)』

アンチ(ヤミラミ)「あの餓鬼…ゼネア様をあそこまで追い込むたぁ…。」

アオ「ギンッ!!ギャァンッッ!!ギィィンッッ!!!(力の入らない無理な体勢のまま、強引に何度もメタルマッドネスの攻撃を弾き飛ばす)―――ヒュン!タタタタタッ!!(一瞬の隙を見つけ、メタルマッドネスの手の上に飛び乗って上へと駆け上る) 」

メタルマッドネス「(アオに反撃しようと腕を構えるが、何度も弾き返されたことで両手が半壊しており、成す術もなくアオに隙を許してしまう) 」

アオ「一瞬で引導をくれてやるッ…もうあの頃の俺じゃないッ…!!(肩まで上り詰め、刀を両手で構えてそのまま背中側へとダイブする)――――ズ  バン ッッ!!!(爆発音にも似た轟音が響き、一振りにてメタルマッドネスを一閃)」

メタルマッドネス「ギィィィァアアアアアァァァーーーーッ ! ! ! (人間の悲鳴にも似た断末魔をあげながら一閃を食らい、あっけなく爆散した)」

ゼネア「(残骸の山の頂点に立ち、化物たちの残骸を見下ろした)流石だ、まあ…そんなところだろうとは思っていたが。(いつの間にか先ほど粉砕された右腕が完璧に修復されている)」

アンチ(ヤミラミ)「す、すげェ…あのどデケェ化けもん二匹を一瞬で…!(唖然)」

アオ「タンッ(地上へと降り立ち、残骸の山の頂点に立つゼネアへ切っ先を向ける)……玩具は片付けたよ、ゼネア(修復された右腕を見て、汗が頬を伝って喉元へ流れる)(アレをどうする…決め手、何か"決定打"さえ見つかれば…!)」

棗 恭介「(──― さあ、英雄……どう切り抜ける……。"答え"を……見せてやれッ)」

ゼネア「そう、だな。ではもう一度相手になろう。(アオの様子を伺い、彼の体力の限界が近いことを察する)クッ、クハハハ……だが、そろそろ終いだな。タンッ ! ! (天高く跳躍し、アオの背後に降り立ちすぐさま振り返る)バシュンッ ! (腕の屈折点が開き、中から鎖が放たれアオを拘束する)」

アオ「くっ、俺はまだやれ――――(ゼネアが背後に現れ、振り向いて迎え討とうとするが手遅れになっており、呆気無くゼネアにの鎖に拘束される)――― ぐぁあッ!!く、そッ……ゼネアァァアッ…!!(ひどく疲弊し、身動きが取れなくなる)」

ゼネア「終わったな…!――――“4-HD”!!!! ドシュンッ!!!(口内から白い球体を解き放つ)」


シュンッ――― パカッ シュワアアアアアァァァァァーーーー……ッ… ! ! ! (球体から菫色の煙が噴出される)


ゼネア「(狡猾そうな笑みを浮かべる)一息吸えば全身の自由を奪う猛毒ガスだ。そのまま、じっくりと、悶え苦しむといい!」


アオを中心に一帯が猛毒のガスで充満する。傍から見れば絶望的な光景だが…だが、そのアオ本人は――――――"ゼネアの放った猛毒が通用していなかった"。


レド(ニューラ)「……!(あの煙…猛毒かしら。ゼネア様の体内にはあらゆる兵器が搭載されているとはさっき聞いたけど…まさかあんなものまで。これだと流石にあの英雄も…ダメかな。)」

アオ「そんなっ――――(一切の望みを絶たれたような表情をし、噴出されるガスを見てきつく目を閉じる)――――浅花ちゃん…ごめ………………え…ッ?(どうして…平気だ。全然、まったく――――俺に、毒ガスが効いてない!?)」

ゼネア「何だと…………!!(アオの様子を伺い何かを思い出す)……ま、まさか…貴様…ッ!!!(アオに対し更に驚愕する)」


アオの脳裏に、4年前の出来事がフラッシュバックされる――――――











闇の再来編 後半


― 暗黒城・皇帝の間 ―


エンペラー「(玉座からアオを見つめ、重い腰を上げて前へ出る)子供が一人、ここまで来れたことは誉めてやろう。だが…貴様も、貴様の仲間たちも、あの男(ダークマスター)に会う前に…ここで終わるのだ。  ドプッ、ドプドプ… ドプドプドプドプドプ…(身体全体が能力で生成された毒液で覆われていく)」


アオ「エンペラー…何としてもそこを退いてもらう…ッ!カオス界は俺達が守るんだッ!!(拙いナイフを携え、エンペラーに突っ込む)」

エンペラー「(背から竜の姿を模した毒の塊が突出される)来るがいい……もはやお前は後戻りできん。ここで無様に散れ。(向かってくるアオに掌を構える)」


アオ「後戻りするつもりなんてサラサラないし、こんなところで足止めを食らうつもりもないよ!!(エンペラーが構える掌に、ナイフを突き立てようと腕を伸ばす)」

毒竜「グオオオオォォォォオオオオッッ!!!!!(アオが攻撃を仕掛けると同時に、大きな口で彼を飲み込む)」

アオ「(奴の更に後ろから竜がッ!?)しまっ―――――― ッ!!!(毒竜に飲み込まれ、体中に毒液がかかる)」

エンペラー「(毒に侵され、今に悶え死のうとする青年を見下し…彼の精神にとどめを刺すように重い一言を吐き捨てた)―――――― お 前 は 、 俺 に 勝 て な い 。」












ゼネア「…なるほど、読めたぞ。お前は一度、あのエンペラーの猛毒を受けていたな…!! …俺は地獄からあの対決を見ていたから理解した。奴の毒をその身に喰らい…毒耐性がついたのか!…侮れないな…。」

アンチ(ヤミラミ)「化け物かよあの餓鬼はッ?!(驚愕)」

レド(ニューラ)「ロボットも、猛毒ガスも、あの少年に通じない…英雄って、もしかして…超人的な能力者か何かなの!?(こちらも驚愕)」

アオ「く、ははッ…! ああ…俺も全て理解したよ。今、この瞬間だけは、エンペラーに感謝してもしきれない…ッ!!(まるで優位になったかのような笑みを見せる)」

ゼネア「チッ 毒が通じないとはいえ、お前を殺れる手段はいくらでもある…!(掌が砲口に変形し、アオに構える)…図に乗るなよ…?」


…………ガガッ…(その時、機械の残骸の山が徐々に傾いていく)


アオ「(砲口を目の当たりにし、鎖に拘束された身体が強張る)――――…っと。どちらにせよ絶体絶命、か……!(考えろ、考えろ。一瞬足りとも思考を止めるな…命を繋ぐ術を見い出せ…!)うんっ…!?(傾いていく残骸の山が目に入る)」

ゼネア「(砲口に粒子が集束していく)もはやここまで…この廃墟と共に、吹き飛べ!清辿蒼!!!!」


…ズッ…ガラララララララ…ッ ! ! ! (戦闘の衝撃によるものか、高く積み上げられた残骸の山が倒れ、アオとゼネアの頭上へと崩れ落ちる)


アオ「(蜘蛛の糸だろうが何だろうが、希望が視えるなら縋りつけ―――!!)(歯をきつく食いしばり、ゼネアから目を逸らさない) なっ…うわぁあぁ――――!!?(残骸の山が崩れ落ちて飲み込まれる)」

棗 恭介「(――――――!)」


ガッシャアアアアァァァァァーーーーン…ッ…… ! ! ! ! (残骸の山が倒壊し、辺りに砂塵が舞い上がった)


ゼネア「―――――!!(腕から鎖を分離させ、その場から退く)ズザザザーーッ……! ……チッ…(崩れ落ちた残骸の山を横目で睨みつける)」


シン…………(辺り一面がしばらくの静寂に包み込まれる)     ―――― ドッ  ガシャァァアアァン!!!(アオを埋め尽くした残骸の山が一部弾け飛ぶ)


ゼネア「……!(弾け飛んできた残骸を腕を防ぎ、静まり返ったところで態勢を整える)……天は貴様に味方したようだな。(土煙りに向かって呟く)」

アオ「……フーッ フーッ (頭部や肩、腹部など至る所から流血し、残骸を吹き飛ばした刀を握りしめて立ち尽くしている)………さあ、どうだか…神様の考えることなんて、俺にはわからないよ(常人なら既に生命活動を停止してもおかしくない大怪我であるが、もはや執念で立ち上がっている)」

ゼネア「 ガチャリ ガチャリ カランカララン… ! ! (両腕に嵌められた腕輪のようなものを取り外し足元に投げ捨てた)…余興はここまでだ。(無防備の状態でアオに不敵な笑みを浮かべる)」

アンチ(ヤミラミ)「(遠い安全地帯の高台から観戦している)………とうとうリミッターを外したか…。」

レド(ニューラ)「…リミッター…とは?」

アンチ(ヤミラミ)「ケケケ……来るぞ、あの方の真骨頂が…!(口角が目の横まで上がる)」

アオ「(―― 何を外した…?腕輪、か………?)そうだね、そろそろ決着をつけよう―――ダッ!!(無防備のゼネアを見据え、刀を携えて高速接近する。真正面から刀を振り下ろす)うォォオッ!!!」

ゼネア「(全身の力が緩むように前のめりになり、瞼を閉じる。開眼すると瞳には高速スクロールされる数字や記号の羅列が映り、それと同時に態勢を元に戻した)――――“Blast∞Mode”――――― ギュォォォォォオオオオオ……ッ… ! ! ! ! (全身の至る部位に紅の光が迸り、やがて同色のオーラに包み込まれる)」


┣¨     ゥ    ッ    !(ゼネアがオーラを纏ったとたんに彼を中心に衝撃波が解き放たれ、周囲の残骸や廃墟を瞬く間に消し飛ばした)


アオ「――――――(輝くゼネアを見ると、目を見開いて瞳が縮小していく)―――ガッ、ドッドドッ―ズザァァァアアアッ!!(咄嗟に身を守るように刀を構えるが、解き放たれた衝撃波に吹き飛ばされて地を滑る)……か、はっ…?!(うつ伏せのまま横たえ、何が起こったかも理解できず吐血する)」

ゼネア(B∞M)「フシュゥゥゥゥ……(土煙から姿を現したのは、全身から紅の閃光と蒸気が溢れ出ているゼネア…いや、それを象った狂気の化け物だった)」


――――――― ポツ    ポツ  ポツ  ポツポツ ザアアアァァァァァァァーーーーーーー(激しい雨が降り始めた)


アオ「ゾクッ………(化け、物……ッ!?)……―――(いや、怯むな。立て、アオ。)(豪雨の中、血糊を吐き捨てて立ち上がる)……――――― 俺の帰りを待ってる人がいる。(白い蒸気がアオから溢れ、目の蒼さに輝きが増す)」

ゼネア(B∞M)「―――― これが最後だあァッ!!!!! ドシュゥンッッ ! ! ! ! (怒号と共に凄まじい脚力で瞬時に接近しアオに想像以上の破壊力を有する高速パンチを見舞う)」

アンチ(ヤミラミ)「“Blast∞Mode”を展開したゼネア様はもはや無敵も同然…!あの方の速さに右に出る者はいねえぜ…ッ!!」

アオ「嘘ッ――(見えな……)┣¨ ッ (ゼネアのパンチは見事にアオの身体を捉えて何かが折れ、潰れたような音を立てる)ゴォォォオォオオォォォンッッ!!!(アオの体はまるでオモチャのように吹き飛び、文字通り風を切りながら水平に飛んで行く)」

ゼネア(B∞M)「  ヒ ュ ォ ン ッ  (吹き飛んでいくアオに追撃を浴びせるべく圧倒的な速さをもって追跡する) ドンッ、ドンッ、ドンッ ! ! ! ! ヒュッ――――― ッ ゴ ォ ! ! ! (吹き飛ぶアオの頭上に移動し殴りつけては地面でバウンドするアオを再び殴っての連撃を繰り返し、ある程度してアオの下へ潜り込み空高く蹴り上げる)」

アオ「―――あ゛…………ガ……ッ………!!(至る所から血飛沫をあげて白目を剥き、空高く蹴り上げられてふわりと天へ浮く)」

ゼネア(B∞M)「(落下してくるアオにとどめを刺そうと身構えたが、その様子を確認して攻撃態勢を解除した)……俺とお前はもはや違う存在。どちらを比べる事もなければ競い合う事もない。だが相手が悪かったな。―――――俺は究極だ。(踵を返す)」

アオ「ヒュ…ゥゥウ……ドサッ (地上へ落下し、小さく砂煙が上がる)……………て………待、て…よ……(小さいが、しかし真っ直ぐに通る声をゼネアの背中に投げかける)…まだ、終わってなんかない…俺は…ッ!! これまでも、これからもッ……抗うよ、【 英 雄 】(俺たち)はッ!!(瞳孔が開き、尚も輝きを見せる瞳をゼネアの背に向ける)」

ゼネア(B∞M)「……!(ゆっくりと背後へ振り替える)…馬鹿な、あれだけの猛撃を受けていながら…!いくら強靭な肉体をもっていたとしても生身の人間、耐えられるはずがない。……何が……何が、お前をそこまで駆り立てる…!?」

アオ「――――"希望を護るため"。お前達が何度、世界の希望を、国の希望を、街の希望を、そして人の希望を踏み躙ろうとしても、俺たちはその希望を護る。もう潰させやしない、誰にも。希望はいくらでも湧き上がるぞ、明日を生きる希望が、誰かを信じる希望が。たとえ何度お前に体を潰されようが、俺のこの希望は潰せない…何度だって輝いてやる、いつまでだって輝いてやる。」

アオ「―――――俺はその為にここに立ってるんだ。(満身創痍、その言葉を体現したような体で直立する)」




ゼネア(B∞M)「……!(アオのその姿に圧倒される)…言ったはずだ…ッ!貴様に覚悟がいくらあったとしても、すべては"力"がものを言うとな!!貴様の護りたいその「希望」とやらが!!延々と輝き続けるのならば!!俺はそのすべてを食らい尽くしてやる…ッ…!!!貴様を殺し、民を殺し、国を殺し、世界を殺し、そして最後に自分を殺し、俺は人へと昇華するッ!!!(己の身体を打ち付ける雨粒を払うように回転しながら飛翔する)」

アオ「―――― "幾星霜の輝宝"(アンビション・シャワー)。(左手の甲が眩く輝き、もう一本の白い剣を生成、発現させる。心境の変化か、二刀流へと成る) 屈しない。俺の、俺の大切な『輝く宝たち』(希望)はお前なんかに屈しないッ!!!(大地を踏みしめて跳躍し、空中より左手の白い剣でゼネアへ斬りかかる)」

ゼネア(B∞M)「 ド ゥ ン ッ ! ! ! (アオの斬撃に対し手刀で迎え撃ち、鍔迫り合いになる) それが…貴様の本当の能力…!…クハハハハハハッ!!!いいだろうッ!!死に行く最期まで抗ってみせろ!!この俺のようにッ!!!! ガキィンッ ! ! (鍔迫り合いから離脱し、アオの背後へ回り込もうとする)」

レド(ニューラ)「……妙ねぇ…。(ぼそりと呟き)」

アンチ(ヤミラミ)「あん、どった??」

レド(ニューラ)「確か今のゼネア様はとてつもない早さを発揮しているんだよねー…?しかも、その早さ全一だと言われているくらいに。」

アンチ(ヤミラミ)「何が言いてえんだよ…?」

レド(ニューラ)「気のせいかしら。……今のゼネア様の動き、私でも動きが確認できるわ。」

アオ「(鍔迫り合いから離脱され、剣は空を切る)言われなくてもッ!!るァァアッ!!!(空中で前転し、背後へ回ったゼネアを下方向から斬り上げようとする)」

アンチ(ヤミラミ)「な…何を言って――――(二人の戦闘に目を向け、ゼネアの動きに注目する)……どういうこったこれは…俺の目でも追いつけるぞ。(…馬鹿言ってんじゃねえよ、あの方の早さは確かに……いや待て、何か引っかかる…。)」

ゼネア(B∞M)「(この程度の動き…!馬鹿め、隙だらけだ…ッ!)無駄だ――――ッ!?(右の手刀で受け止めようとしたが何故か遅れて反応したことに気づき、急いで左腕で攻撃を防ぎ後退する)」

アオ「ゼ、ネ…アァァァァァァ!!!(軌道を変え、空を蹴って後退したゼネアへ接近し右剣で横斬りを繰り出す)(もはや一心不乱に戦っており、ゼネアの異変に気づいていない)」

ゼネア(B∞M)「(くッ…!これは…計算外のインターバルか何かか…!?いや、そんなはずはない…永久機関(エターナルサイクラー)は万能だ…アクシデントが起こるはずがない…!!)ぐっ、おおおぉぉッ…!!(横斬りにより腹部に切り傷ができる)おのれ―――――(カウンターを仕掛けるために腕を掲げようとする)」


ギギッチィッ ! ! ギギュゥゥー…ン…ッ… ! ! ! (突然ゼネアの体に異変が起きる)


ゼネア(B∞M)「ずッ……!!!?(すぐにアオの脳天に手刀を繰り出そうとしたが身体の節々の機能が鈍くなる)」

レド(ニューラ)「…!!!(ゼネアの行動を見て驚愕する)ど、どういうこと……!?」

アオ「しまッ――――(さすがに異変に気づいたようで目を見開くが、すぐに臨戦態勢へと戻る)―――ジャギィンッ!ズァァアッ!!(ゼネアが掲げた腕を斬り付け、左右の剣を振り被って胴体目掛けて同時に振り下ろす)」

ゼネア(B∞M)「ザキィィィンッ ! ! ! ! ………!!!(頑丈な胴体に二閃が迸り、地面に落下する)ご…ッ…これは…まさか……ッ…(水中から出た際に、アオの一閃により破損した体の部位がショートしていたことを思い出す)(いや…あの程度の破損でこんな事態に陥るなど有り得ない。永久機関は水に弱い訳でもなければ、多大な負荷が掛かることでオーバーヒートを起こす懸念も無い。ならば何故――――)」

ゼネア(B∞M)「……!あの時か……!!(アオがドライブを発動し始めて自身に攻撃をくりだした場面、そして鍔迫り合い時、アオの繰り出した袈裟斬りが身体を抉った二つの場面が思い出される)」

アンチ(ヤミラミ)「――――!!そ、そういうことかァ…ッ!!(驚愕の表情を向き出し)」

レド(ニューラ)「何、どういうことなの…?」

アンチ(ヤミラミ)「…頭の切れる餓鬼だ。(アオを指す)あの餓鬼が妙な能力を発動した状態で初めてゼネア様の体に傷を入れやがったのは見てたよな?」



ゼネア「―――――!!(早い…!)(右ステップで間一髪回避するが…)……フフフ…なかなかの速度。だがその程度では俺の足元に到底及ばな―――――ピキッ…!!  ……!!!(胸部に切り裂かれた跡が生じる)」

アオ「―――ズザァッ!!(着地し、軸足でしっかり踏み込んで砂塵を巻き上げながら振り向く)……どうしたの。"その程度じゃ、俺の足元にも及ばないよ。"」



レド(ニューラ)「ええ…胸部に、斬撃の跡が…。」

アンチ(ヤミラミ)「ゼネア様の装甲は非常に硬く、並みの核兵器を受けても当然無傷を維持することが出来る。だがあの餓鬼の攻撃はそれ以上の火力を持っていた、だからゼネア様に傷を入れることが出来た。だが、問題はそこじゃねえ。あの二人が激しくぶつかってたあの鍔迫り合いの時、あの餓鬼がゼネア様に一撃を叩き込んだ場所は何処だったか見ていたか!?」

アオ「ギチギチギチ……ッッ!!ギィンッッ!!!せェアッ!!(激しい鍔迫り合いの中、刃を滑らせるように刀を引いて袈裟斬りを繰り出す)」

ゼネア「ヅッ――――!!!ザキィィンッ ! ! !(凄まじい斬撃が体をえぐり削っていき、地に落下していく)」

レド(ニューラ)「なによ、そんなに声を荒げて。彼の攻撃はゼネア様の全身に―――!!!(はっとなる)」

アンチ(ヤミラミ)「そうだよ、あの餓鬼はゼネア様から初めて攻撃を受けた時に、あの方の装甲が頑丈なことを察知していた。だからあの餓鬼は気づいたんだよ――――頑丈な体を破壊するには、" そ の 一 点 の み を 狙 え ば い い "ってな。」

レド(ニューラ)「…まさか、そんなことが……!で、でも…その後すぐに体を修復したはずでは…?」

アンチ(ヤミラミ)「修復した部位がもし――――― 外装だけだったら?」

レド(ニューラ)「………!!!」

アンチ(ヤミラミ)「(足元の残骸を蹴飛ばし、アオたちを一瞥する)奴が二度目に繰り出した攻撃は、ゼネア様が想像していた以上に深かった。そう、切り裂かれたのは堅い外装だけじゃない。中に搭載されていた永久機関(エターナルサイクラー)もだ。ゼネア様がBlast∞Modeを発動すると、機関の活動は爆発的に上昇する。だが傷ついた機関ではその活動を長時間維持することはできねえ。」

レド(ニューラ)「…だから、突然ゼネア様の体が…。…迅速なスピードや攻撃を繰り出す際に動きが低下したのも、つまり、維持困難に陥った機関が暴走しているということなのね…!!」

ゼネア(B∞M)「(二閃により切り裂かれた跡を見てアオを睨みつける)……"あの時"、切り裂いたのは俺の体だけでなく…核である機関をも…!…力任せに戦っていると思ったが……侮れん…!!」

アオ「なるほど、今の異変は……ようやく布石が効果を発揮し始めた、ということだね。お前が精巧な"機械"で、何度でも再生する外装を持っているのなら―――中から壊すしかない。(今度こそ優位に立ったと確信し、大胆不敵に笑む)―――さあ、まだ飛ばしていくぞッ!!!(高速で地上に降り立ち、ゼネアの胸部へと狙いを定めて走りながら袈裟斬りを繰り出す)」

ゼネア「がああぁぁ…ッ…ッッ!!!(アオの反撃を直に受けて吹き飛ぶ)…こ、こんな…ッ…(Blast∞Modeが解除される)……チッ、ならば――――― こうするまで!! スグンッ ! ! (ゼネアが咄嗟に取った選択――― 手刀で己の胸部を貫き、中から紅色のコアを乱暴に取り出した) ガシャァン…ッ… ! !(コアを金属の地面に叩きつけると、全身の遅鈍性が解消され元の運動能力が復帰されていく)」

ゼネア「……腕が、脚が馴染む。…もう形態は使えないが、貴様を殺すにはこの姿だけで十分だ…ッ…!!…今度こそ決めてやるッ!! ズダンッ ! ! ! (すべてをかなぐり捨てて駆け出した)」

アンチ(ヤミラミ)「ゼネア様、永久機関(エターナルサイクラー)を捨てやがった…!?……確かに、あの鈍い動きは機関によるもの、なら機関を取り外せば解消される!そんなことは俺にだってわかる…!しかし、機関無しではあの方は本来の力が発揮できない…!…ゼネア様…それをわかっているのか…!!?」

レド(ニューラ)「…まさに、捨て身の賭けね…!」

アオ「ッ!!?なんて、覚悟だ―――…ッ!!(ゼネアの行動を目の当たりにし、驚愕する)……ああ、来いッ!!(空間へ向かって剣を振り抜いて衝撃波を生み出し、向かってくるゼネアに飛んで行く)」

ゼネア「その程度の衝撃波で俺を…?舐めた真似を―――ッ!!!(回避を試みるが失敗に終わり、横へ転がり倒れる)……!!(前方に、刃が半分に切り裂かれたアオのククリが落ちているのを確認するや否やそれを手に取り)

ゼネア「晴辿…アオ゛オ゛オ゛ア゛ア゛ア゛アアアァァァーーッ!!!!(立ちあがって真っ直ぐに駆けだし、アオに最後の攻撃を繰り出そうとする)」

アオ「うおおおおおらああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁあああああーーーーーーーッ!!!!!(白い剣を振り抜き、ゼネアを迎えうつようにそのまま突撃する)」



――――― ガ キ ィ ィ イ ン ッ ! ! ! ! ――――― (アオとゼネア、二人の一撃が互いの身体に届く)


アオ「―――――――――――」


ゼネア「―――――――――――」









― 精神世界 ―


アオ「……」

ゼネア「……」

ゼネア「……ここまで、か…(フッと、敗けを悟ったように笑みを零す)」

アオ「……ゼネア、最後に聞かせてくれ。」

ゼネア「……」

アオ「…お前は俺が憎いか?」

ゼネア「…… …… ……(その問いに、静かに目を閉じる)」


俺は…… ……理想を…叶えられなかった… ……もう…人にはなれ、ない…… ……カ…ハハ…… ……だが… 何故だか……不思議な感じだ…


ゼネア「――――――」


……何故、何故…こんなにも興奮が沸き立っているのか… 


ゼネア「―――――…………」


…そうか……"これ"が、人間、か…


ゼネア「………いや…もう、何も思わん…」

アオ「………わかった。」


… 俺はきっと……理想を叶えられたのかも…しれない……な……―――――――











ゼネア「   ド   グ  ォ   ア   ン   ッ   !   !   !   (自身の攻撃はギリギリアオに届かなかった一方で、アオの剣は己の心臓部を深く貫いたのだった)」


ゼネア「―――― グア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛ァ゛!!!!!( ボ ッ グ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! ! ! ! )(機能が完全に停止した人型の機械は、最期にその声を届かせ、盛大に爆散した)」


ゼネアが滅びると同時に、エッグマン本拠地に降る雨が、晴天へと変わった――――


アオ「ハァ……ハァ…… …… ……――――――(ゼネアの最後を見届け、空を仰ぐ)」



いつか何処かで会えたなら


今度は俺《アオ》じゃない人間として


……またな。






―― 終点 ――




ヒ ュ ゥ ゥ ウ ウ ウ ン ――――――― ボ ッ グ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ン ッ ! ! ! ! (政府軍大艦隊による一斉無差別砲撃「バスターコール」の甚大な被害は拡大し、各線上で阿鼻叫喚の渦に包まれる)


政府軍兵士「行け行け行けェーッ!!攻め立てるのだ!! 」

キャタガード「くそッ…やられてばかりいられっかよ!!うおおおおーー!!!(大勢の亜空軍と共に政府軍に抵抗する) 」

オーディン「迫撃砲、砲撃用意ー!!! 」

エミール「わっ、わーーーっ!こんなところにいたら命がいくつあっても足りません!逃げないと、逃げないと…!(ころころ転がりながら戦場から退避していく) 」

犬走椛「はあああぁっ!!(太刀を振るい迫りくる政府の軍隊を退けていく) 」

ダッダッダッダッダッダッ―――(混沌とした戦場で、遠くから駆けて来る足音が響く―――)

テロリスト「あの艦隊を……乗組員を狙え!!あの装甲は抜けなギャァッ!!(銃で応戦していたが、機銃で上半身を吹き飛ばされる) 」

AS「ダンッ!!(大きな音と共に駆け抜け―――跳躍し政府軍の艦隊のうち1つの前に躍り出―――)斬―――ッ!!!(神憑りな剣術による一閃により一刀の下に斬り伏せる!) 」

キルビス「ちッ…なにがどうなってんだよ…!(四方八方で鳴り響く砲撃や銃声に狼狽しながらも、いつ首を狙われるかわからない状況下、周囲の警戒は怠らず睨みを利かせている)…アキラミオリは先に安全なところへ逃がしたが…奴らに追いつかれてしまったら本末転倒だ。ここは俺が時間稼ぎしねえと…!くッ!!!(襲ってきた政府軍兵士を斬り伏す) 」


ザキィィ―――ン…ボッカアアアアァァアアアアンッ ! ! ! !(ASの斬撃により、艦隊一機が真っ二つに切断され、煙を上げながら墜落していく)ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ … ッ …! (しかし、彼らがいかに決死の抵抗をしても、大艦隊の勢いは止むことを知らず、次々と地上へ慈悲なき砲撃が行われる)


AS「―――あの剣士が語っていた"嫌な胸騒ぎ"……それが次第に形を帯びていくのを感じるようだ、戦いの秩序はもはや原型を留めてすらいない……(忌々しげに大艦隊を睨め付け、振りかかる火の粉を払いのけるように場の政府軍の兵を薙ぎ払ってゆく) 」

ロダム「一隻落ちたか……全く何をしている、"絶対的に正しき圧倒的な戦力"を以って、ただ圧し潰せば良いだけよ(余裕の表情で艦隊への攻撃を強大なサイコキネシスで押し留めながら) 」



スモーカー「……(進撃する政府軍をよそ目に、神妙な顔つきで佇んでいた)…『宝』を奪還さえすれば、罪もねえ輩をも巻き添えに消し飛ばしてしまう、こんなバカげた作戦は止められる。ギリィ…(握り拳を作り、硝煙で黒く染まる空を睨み上げる) 」

ロゼッタ&チコ「(観客席にて、怯えるチコをロゼッタが優しく抱いてなだめている) 」

赤犬「…悪は徹底的に、根絶やしにしなければならない…ッ!!!海軍艦隊!!!政府の軍勢に後れを取るな!!!進めぇいッ!!!! 」

ネイマール(真)「YEAAAAH!!!!!(渾身のシュートを決め、サッカーボールが榴弾砲が如く政府軍艦隊の一隻を貫通し撃沈させる)シュウウウウ(そして燃え尽きた) 」


―――初めは誰も気が付かないほど小さなものだった、"それ"に気付けた者は誰もいなかった。


猿飛佐助「いやぁ~、こりゃあ参ったね。まるで大戦(おおいくさ)だ。(高台から困ったように後頭部を掻く) 」

AS「だが―――これは、何だ?底知れぬ胸騒ぎを感じる……まるで、まるで―――(鎧袖一触、次々に並び立つ政府軍を撫で斬りにしてゆくが、それでも数は一向に減る様子を見せず、止まらぬ胸騒ぎに表情を歪ませる) 」

せがた三四郎「うぉらアァァァァーーーーー!!\グアアアアー!!!!/(政府軍兵士を軍艦の方へ背負い投げ。踵を返し)BOMB!!  ボンバーマンッ!! (なぜか兵士が激突し爆発した船をバックに迫真集中線) 」

実況猫「おーーーっと!!!さすが、V8アメリカンなキック力を持ったネイマール!!!蹴り飛ばし方は容赦ないですねぇ!!!そして!!!キーパーとなる、ガバメントのヘビーな艦隊を沈めましたー!!!!フェラーリ並みのスタミナを搭載しているだけあって、パワーは凄まじいです!!!! (こんな状況だろ言うと実況を欠かさない実況者の鏡) 」

アーティル「ええい、何をもたもたしている!!さっさと地上の邪魔者どもを殲滅せぬか!! 」


―――だが、それは次第に形を成してゆく。まるで―――この場に満ちる混乱と恐怖、怒りが姿を得たようにして―――戦場の中央へ―――


左翔太郎「っと…まじーなこいつは…収集のつけようがねえ…(客席から身を乗り出し戦場へと降り立つ) 」

ダックハント「イヌヌワン!(訳:上からくるぞ、気を付けるんだワン!) 」

サー・クロコダイル「砂嵐(サーブルス)!!(逃げ遅れた観客達を客席ごと砂嵐で浮かし比較的包囲網が薄い場所へ飛ばす)護りてえもんはしっかり護れ!これ以上こいつらの思い通りにさせてるんじゃねえよ!! 」

ツクヨミ「何あれ…!?(戦場の中央へ現れた、異様な気配を放つ『何か』に) 」

アンゴル「申し上げます!トトカマ星に吹き飛ばされます!あらあらあら~!!!(クロコダイルに吹き飛ばされる) 」

AS「―――あれは、まさか……いや、そんな……馬鹿な……ッ!!(戦場の中央に集まり、"人の形"を得てゆく"何か"を前に、嘗て無いほどの動揺を見せる) 」

ンョ゛ハー゛「ンョ゛ハー゛!!!!!(砂嵐に巻き込まれぐるぐる吹き飛んでいく) 」

キルビス「――――ッ!?(なんだ…このとてつもない、邪気…!!)(ステージの中央へ振り返る)……!?…っ…なんだよ…あれ……!!(人の形をした「何か」に戦慄を覚える) 」

フィリップ「翔太郎。これは手に負えられない大事件だ…ゾクゾクするね。(翔太郎の隣へ歩いてくる) 」

隻狼「(兵士達を相手取り奮戦を見せていたが、ひっそりと砲撃に巻き込まれる) 」


―――人はそれを言葉で表すならば"怨嗟"……或いは、"悪意"と呼ぶのだろうか。赤黒く集合し人の形を得た"それ"は―――見るだけで怖気を感じるような威圧感を放ち―――戦場の中央に降り立つ。


左翔太郎「フィリップ、そいつぁ…"悪寒"って奴だぜ。(一同と同じく、戦場に現れた謎の存在に警戒し始める) 」

人の形をした"何か"「―――そんなに震えてどうした、私が此処に現れたことがそんなにも不思議か―――?(黒いローブを纏い、フードで顔を隠した"それ"は、親しい友人に声をかけるように、ASへ言葉を投げかける) 」

スピードワゴン「おれぁ生まれついてからずっと暗黒街で生き いろんな悪党を見て来た。だから悪い人間といい人間の区別は「におい」で分かる!こいつはくえッー!ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーーーッ!!こんな悪には出会ったことがねえほどなァーーーッ!環境で悪人になっただと?ちがうねッ!!こいつは生まれついての悪だッ!ジョースターさん早えとこ警察に渡しちまいな!俺は逃げるだァーッ!!! 」

サン・邪ースター「  波  紋  !  (拳銃から波紋(物理)を発車しスピードワゴンへ発泡) 」

スピードワゴン「ぐわあああ!!し…死なねえ! 頭を撃たれたのに…俺にはわからねえ…………今…なにが起こっているのかさっぱりわからねえ!!!!んぶうううううう(吐血して倒れ込んだスピードワゴンは光となってしんだ) 」

AS「お前は―――あの時、俺がこの手で確かに……殺した筈だ、なのに何故……"歪"ッ!!(人の形をした"何か"に、憤怒と動揺の入り交じる声色で返す) 」

人の形をした"何か"→歪「私は消えないさ。過去とは今を生きる者達の影、影は光ある場所に必ず現れる。お前が今を生きる時、光であろうとするお前を塗りつぶすために。(ゆらり、ゆらりと。ノイズがかかったように身体がぶれ、しかし確固としてそこに立ち―――)それに……怒り、動揺するふりはよせ……何故ならお前は―――"心のない機械じゃないか"。(その言葉と共に、両手から美しくも残酷な青い輝きを放つ光子の剣を両手から生成した) 」




キルビス「なんだ、あいつは……!(あそこにいるのは、確か…)(歪と対峙するASの存在に気づき思わず口を開く) 」

AS「ぉぉぉぉおおおッ!!!(一気に突貫しミラージュブレイドを抜刀、一振りで三重の斬撃を放ち苛烈に歪を攻め立てる) 」

ムラクモ「凄いな……アレこそまさに”埒外の存在”という奴じゃないか(横たわる無数の兵士達と、兵器、戦艦の残骸の中心で…嘗ての姿より、明らかに幾分か若くなっている姿で”歪”を見ている) 」

スモーカー「……!…何だ、奴は……?(凄まじい威圧感を放つ存在、歪に眉を顰める) 」

歪「ふん……(見切る事さえ困難な、卓越したASの剣術を容易く片手の光子剣―――マスターライセンスで受け止め)どうした……?そのように声を荒げて……!(素早く蹴り飛ばす) 」

AS「ぐっ……!(蹴りを咄嗟に肘で受け止め、衝撃を軽減し吹き飛んだ先で受け身を取る)心のない機械だと―――?ふざけるな……そうしたのは、そう仕組んだのはお前だろうが……!!それに、今はもう心ない機械などではない……ッ!!!(目に見えて怒りを滾らせ、歪と対峙する) 」

宇練銀閣「ふわぁ~…(観客席でずっと眠り込んでいたのか、けたたましい砲撃音でようやく目覚める)なんだい、やけに騒々しいじゃないか。あまり大きな音を立ててくれるなよ………ん?(その時、客席からASと歪の戦闘を寝ぼけた表情で見やる) 」

政府軍兵士『敵を確認!!直ちに殲滅せよー!!!!(百を優に超えるであろう武装軍隊がASたちのもとへなだれ込み、いまにも攻撃を仕掛けようとするが――――)』 」

歪「―――そうだ、お前を創り上げたのは私だ。そして―――お前はまだ、私という"過去"に囚われたままだ。私が此処に現れることが出来たのが、何よりの証拠だろう……(嘲笑し、周囲を一瞥する)―――しかし、随分と"不必要な観客"が多いようだな?……これは私の親切心だ、受け取って―――くれたまえよ?(両手の光子を束ね―――2倍、3倍、4倍―――何倍にも増幅し―――計り知れないエネルギーを空に向けて解き放つ―――) 」

スモーカー「――――!止せ、お前らッ!!!(歪の潜在的な能力を察し、そんな得体のしれない大物に無謀にも立ち向かう政府の軍隊に血相を変えて静止させようと呼び止めるが…) 」

AS「―――まずい、全員身を守れッ!!!(歪の動作を見て、大声で叫び己もまた攻撃に備える) 」

歪「――― ラ デ ィ ウ ス ・ ウ ー ビ ッ ク ト ゥ ス<偏 在 せ し 光 子>


それを見た者は、最期に"綺麗だ"とさえ思ったかもしれない。それほどに―――蒼き光子が天を満たし―――


ズドドドドドドドドドドドドドドドド――――――!!!!!!!(戦場を覆い尽くさんばかりの、大量にして大質量の光子が全ての者を滅ぼさんと降り注いだ―――)


蒼き光が収束した時、戦場を大尽くすほどの軍隊は瞬く間にその姿を消した。否―――― "消された"のだ。


パルティエット「…第49部隊!応答せよ!…… ……? ……49部隊!聞こえているでありますか!?状況報告を!!!(遠方より、トランシーバーに向かって叫び続けている) 」



歪「―――私が憎いか?私という―――"過去"が憎いか?しかしだな幻……お前が存在し続ける限り、私という―――お前に刻まれた過去は、お前を絶対に逃さない。(惨劇の中央にて、嘲笑うようにして両手を広げ光子剣マスターライセンスを再展開する) 」

キルビス「――――――……ケホッ、けほっ……!(気が付けば砂塵が舞う大地の上にうつ伏せで倒れ伏しており、何が起こったか状況判断する余裕もなくよろよろと立ち上がる)…っ……いったい、何が起こって……!!!…おい、嘘だろ……まさか、"さっき"ので、みんな消し飛んじまったのかよ……っ…(抉れた大地、いつの間にか消滅した大艦隊に、唖然と立ち尽くす) 」

政府軍支援オペレーター『————ブツッ ザザ…… こちら前衛支援予備隊7780……状況報告……ッ 高出力のエネルギー反応を感知、敵勢力一騎による波状攻撃と思われる……!生存者0……繰り返す、目視で確認できる限りの第49部隊生存者数は0……!支給応援を求……ッ』 」

スモーカー「………テメェ……!!(衝撃に耐える最中、消し飛ばされた同胞たちの無念を胸に、歪に敵意を剥きだす) 」

ムラクモ「(此方も咄嗟に錬氣を叩き付けて防げはした、が……そう何度も貰うと不味いな)魔力か、或いは其れに類する特有の何かか……何れにしろ、恐れ入る……まるで戦術爆撃だ、アレを貰ってはそうそう生き残れまい("紅い気"を身に纏い、やや焼けた右腕で構えながら歪に向かって歩みを進める)俺も相手になろう、歪みの剣士! 」

AS「ふざけ、るな―――!!俺は、もう……お前に縛られ、お前に定められた運命を歩むだけの人形などではない……!!(流星雨の如き光子を辛くも防ぎ、怒気を込めた声を上げながら歪に向けて剣を構える) 」

歪「怒り―――憎しみ―――最高だ、私を恨むがいい、私を呪うがいい……そして―――叫びながら、死に逝くがいい。(向けられる敵意も殺意も、何もかもを心地よさげに受け止め、"かかってこい"と言わんばかりに手を向け全員を挑発する) 」

宇練銀閣「……これは驚嘆ものだ。ああ、すっかり目が覚めちまったよ。だが、こんなに目覚めの悪い日は、もう久方ぶりだ。(「よっ」と客席から身を乗り出して戦場へと降り立つ)…腹いせといっちゃあなんだが、いっちょ俺の“零閃”、喰らってみるかい?(斬刀「鈍」を手に不気味な笑みを浮かべる) 」

フィリップ「翔太郎。「奴」は放置できない。ここで食い止めないと、二次災害、三次災害どころじゃない。 」

左翔太郎「同感だ。(ハットを目深に被り直し、フィリップと共にASたちと並ぶ)街を泣かせる悪党は、俺たちが許さねえ。 」


キ ュ  オ  ン     ……ッ (一投。曲線を描くエネルギー弾、先程歪が放ったそれを『一束』に就職したそれが開戦の合図を待たずカーブを描き投擲される)


アーロン「…待て。(皆のところに現れる)……今の力を見ていたな。お前達がいくら束となり向かったところで……到底敵〔かな〕うほどの相手ではない……。 」

歪「―――ほう?(己の放った光子の飛来を己の剣で受け止め、吸収する)ハハハ、存外に……"計算外"が多いようだな。この場ではやはりこれが限度か……?だが……まあいい、お前から奪ってやれるものが増えたという事でもある……(悍ましい笑いを浮かべ、両手の光子を束ねる)さあ―――お前達という"光"、私という"影"が潰してやろう!!(束ねた光子を横薙ぎに振り払い、水平線を一直線に薙ぎ払う高速の波動として放つ!!) 」

AS「もう、お前に二度と奪わせなど……しないッ!!(水平に薙ぐ波動をスライドしながら潜り抜け、歪に向けて駆け出す) 」

キルビス「……(アーロンの言葉に一度は閉口するが)…確かにそうかもしれねえ。けどな、一人でどうこう悩んでるより、ずっといいに決まってる。……俺は家族を守るだけで精一杯な非力な奴だ。けど、そんな俺でも…誰かと一緒に、何かを守るために戦うことできるって信じてえんだよ…!!(両腕を刃状に変形させる)舐めんじゃねぞおらああぁ!!!(一直線に薙ぎ払われた波紋を潜り抜け、歪へと斬りかかる) 」


フィリップ「行くよ、翔太郎。\サイクロン !/(ダブルドライバー装着、サイクロンメモリを取り出す) 」

左翔太郎「ああ、フィリップ。\ジョーカー !/(ダブルドライバー装着、ジャーカーメモリを取り出す) 」

左翔太郎&フィリップ『――――――  変 身  ――――――』



左翔太郎&フィリップ→仮面ライダーW「 \サイクロン ! ジョーカー ! / (二人で一人の仮面ライダー「W」に変身)―――― さあ、お前の罪を数えろ!(波紋を跳躍回避し、そのまま上空から歪へ跳び蹴りを見舞う) 」

スモーカー「腐れ外道が…好き勝手暴れてんじゃねえぞおぁッ!!!!(モクモクの実の能力を発動し、全身から白煙を放出させる)づぇああッ!!!(武器の七尺十手を手に、歪の攻撃を飛び越えて頭上から殴りかかった) 」

ムラクモ「(一瞬の跳躍で横薙ぎの波動を飛び越え、そのまま歪の頭上から膨大な”気”を纏った右拳を叩き付けに掛かる)――東雲流、”彗星”ッ!! 」

エディ「—————生憎、お前に砕く程感情に貯蓄がねえ(けたたましい破裂音を轟かせ、『エネルギー弾を投擲、及び吸収した』右腕による手刀を縦一文字に振り抜き波動を両断。道を切り開く) キュッ  トンッ トン ッ   ヒュ オ  (そのまま伏せ気味に踏み込み、歪みの間合いに入ると上体を上げキックボクシング仕込みのサイドステップを素早く踏み、彼の剣を握っていない方へ。双眸は大きく見開かれ、歪みの脇へジャブを鋭く———)——ッ!!(放つ!!) 」

歪「フ―――"足元注意"だ……ラディウス・ヴァーティック―――ホライズ!!(波動を跳躍して回避した者たちの攻撃は―――一転して窮地となる、飛び越えたと思った波動が機動を変え、それぞれの攻撃を阻むように高い壁となり垂直に襲いかかってくるッ!!)ハハ―――まさかその程度だというのかい?(そして、攻撃を潜り抜けてきたキルビスとエディの攻撃を、両手に展開した光子剣で受け止め―――それぞれを衝突させるように受け流す) 」

仮面ライダーW「(「翔太郎、後ろだ!」)なにぃ!?どはぁあ!!?(軌道を変えてきた波紋が背に直撃する)いっつつ…やりやがったな!どらぁッ!!(歪に殴りかかる) 」

AS「くぉぉぁぁあッ!!(キルビスとエディの合間を縫うように躍り出て、歪に向けて交差するように剣を振り抜く)気をつけろ、ヤツの攻撃に対して少しでも隙の出来る行動を選べば命取りになるぞ!! 」

スモーカー「―――! ガキィィインッ ! ! !(背後から迫る気配に振り返り、波紋を十手で弾き返す)能力者か…厄介なことしてくれやがる。 」

アーロン「……これ以上は、意は変わらんか。 ………この身でどこまでやれるものか……(刀を出して刀身を見据える) 」

エディ「 ピッ (ジャブを寸止め。キルビスとクロスカウンターになる寸前でバックステップを踏み難なく距離を取る)悪いな(やり辛いな……)この人数相手じゃ相打ちに持ち込むほどに余裕がないか。別に責める気は無いけどな 」

キルビス「しまっ――――!!(歪の謀略に嵌りかけたところ、ASに救われる)わ、悪い…!(くそっ、冷静にならねえと…守れるものも守れねえじゃねえか!)(歪から一歩退き、片腕をガトリング砲に変形させ)これならどうだ!!!(ドドドドドドッ ! ! ! )(歪に向けて連射する) 」

宇練銀閣「――――(一方、浪人剣士は座して待つ。その瞬間が来るのを、見逃さず) 」

歪「ふんッ(突撃するASに対して冷静に引き斬りで相殺し、距離を取り)ラディウス・ヴァルカン!!(散弾が如き大量の光子をAS達へ一気に放つ!!)能力?違うな―――そのような不確かなものではない、これは―――"科学"、発達した人の叡智が生み出した―――"魔法とさえ見分けのつかない"……ね。(放った光子は即座に両手に宿り、何度でも同じ剣を形成する)射撃勝負か?面白い―――受けて立ってやろうじゃないか。(そして、キルビスの放つガトリングの連射に対して―――両手の光子を収束)ラディウス―――ペ ル フ ェ ク ト ! !(極大の光線を放ち、銃弾ごと全員を薙ぎ払う!!) 」

AS「く―――ッッ……!!(乱れ飛ぶ光線を素早く剣で弾くも、その多くは被弾してしまう)気をつけろ、奴の使う武器―――【光子剣マスターライセンス】は……俺の知りうる武器の最高傑作だ、弾切れもせず破壊も不可能―――ッ!!(潜り抜ける隙間さえない薙ぎ払う極大の光線に、やむなく跳躍による回避を選ぶ)気をつけろ!!"跳ばせる"という事は追撃が来る!! 」

仮面ライダーW「っと!あぶねっ!(散弾の如く襲い掛かる光子をすれすれで回避していく)だったら、こいつで勝負だ!(サイクロンとジョーカーメモリを抜き取り、懐から別のメモリを出す) 」

ムラクモ「構わんさ、馬鹿正直に当たってくれるとは最初から思っていない(右拳に纏った"気"を更に増幅させ、正面から波動を文字通り”打ち抜き”着地。そして歪が放った更なる散弾、そして光線を……)――東雲流、”烈風”(対抗するように拳を払うと共に巨大な錬氣の”波”を起こし、諸共に打ち払う) いやあ、しかし……ジリ貧だな。この出力を延々と放たれては埒が明かん、流石にガス欠してやられるな 」

仮面ライダーW(ルナトリガー)「 \ルナ ! トリガー ! /(ルナとトリガーメモリをドライバーへ装填し、フォームチェンジ)射撃なら…こっちも喰らっときな!!(トリガーマグナムから歪へ連続発砲。銃弾は翻弄するように歪曲を描きながら空間を飛び交い、その後一斉に歪に襲い掛かる) 」

キルビス「やべ――――ッ!!(前方から迫る光線を間一髪避けきった)くッ…マジで、今のはヤバかった…!(胸を撫で下ろす) 」

スモーカー「科学だと?ふん…そいつぁ大層なことだ。ガキィンッ、ガァンッ ! ! !(十手で光子を叩き落としていきながら歪へと接近する) ド ッ ギ ン ッ ! ! “ホワイトブロー”!! ドヒュンッ、ドヒュンッ ! ! ! (武装色の覇気を纏った両腕をロケットパンチの如く発射し、歪にその双拳をぶつける) 」

エディ「近接戦でねじ伏せるにしても牽制される。距離をおけばさっきの波状攻撃。まあそれ"だけ"で済んでくれれば御の字ってとこか、派手だな(かったるげに首に手を当てコキコキと鳴らし) トン トン (その場でステップを踏んで体制を立て直す)————試すか(取り出したのは三本ほどのナイフ。それをジャグリングするようにして放ると) パァンッツ!!!(三本、矢のように歪みへ『殴り飛ばす』) 」

歪「ふん―――ッ!!(両手の光子を薄く伸ばし、バリアとして展開しトリガーマグナムの湾曲する弾丸を相殺し)ラディウス―――エグジス!!(光子を交差させた斬撃として放ち、スモーカーの双拳を穿ち)―――おっと(殴り飛ぶナイフを素早く、嘲笑うようにすれすれで回避し)さあ―――抗うように輝いてみせろ、輝けば輝くほど―――失われる時の瞬きは美しい。(そして両手に光子剣を再展開し、大地に突き刺す)―――ラディウス・ルーイン 」


―――ガガガガガガガガガガッ!!!!!(一瞬の振動と共に、戦場に立つ戦士たちの足元から巨大な光子剣が勢いよく飛び出してくる!!)


AS「く、ッ……はぁッ!!!(足元から放たれる光子剣の急襲を素早く回避し、そのまま歪に刺突する)あるはずだ―――打開する隙が……付け入れる……隙を探すんだ!! 」

歪「―――そうだ足掻け、見苦しく藻掻くんだ……幻、お前は私の掌の上で。(ASの刺突を紙一重に回避し、再び光子剣を展開、一瞬の鍔迫り合いに持ち込み素早く蹴り飛ばす) 」

仮面ライダーW(ルナトリガー)「ぐわああぁっ!!(光子剣が直撃し全身から火花が飛び散る)ぐッ……なんつーパワーだ…! 」

スモーカー「何――――!?(攻撃をふさがれた直後、地面から突出した剣に目を見開き、咄嗟に身体を煙に変えて難を逃れる)くそがああぁッ!!(シュドドドドドッ ! ! ! ! )(機関銃が如く、歪に高速パンチの乱打を叩き込んでいく) 」

エディ「点は通じない……(小さく零すと表情一つ変えず、今度は自ら歪の懐へ潜り込むように、態勢を低くして踏み込み)————(右腕を携え、間合いに入った) 」

キルビス「ッ……!(剣が皮膚を掠め、たらりと僅かに流血する)まだだ…まだ諦めねえ!(ASと共に突撃し、歪に斬撃→殴打→回し蹴り→裏拳の連撃を叩き込んでいく) 」

AS「く―――!!(蹴り飛ばされ、距離を突き放されるも素早く体制を立て直し)幻閃―――『現』!!(ミラージュブレイドによる、不可視の斬撃を放つ!) 」

ムラクモ「(光子剣が飛び出す寸前に、一瞬で歪の眼前まで踏み込み)隙が無い、が……危険であれこれが一番得意な距離でな(歪の全身へ向けて、一発一発が”必殺”の威力を備えた……超高速での八連撃を放つ)――東雲流、"八紘" 」

歪「ふん―――ほら、どうした?その程度か(キルビスとスモーカーの乱撃をそれぞれ片手ずつ光子剣で受け止め、その攻撃を互いに向くように受け流し)―――む、ッ……ラディウス―――フ ェ ル ム レ ギ オ ニ スッ!!!(ムラクモの渾身の一撃を重く見てか、瞬時に両手の光子を増幅、一瞬にして光速、幾億の斬撃となって"八紘"と撃ち合う!!)―――くっ……!!(そして素早く光子剣を再展開―――しかし出力が弱く受け止めきれない) 」

AS「捉えたッ!!(出力が出ない光子剣を押し切り、そのまま刃を振り抜き深く斬り込む) 」

スモーカー「そう何度も同じ手が通じるか!!(キルビスに向けられた自身の拳を瞬間的に霧散化させ、そのまま歪の身体をすり抜けて背後に立つ)ぬおらぁッ!!(十手を勢いよく振りまわし、背中に打ち付けんと殴りかかった) 」

キルビス「っ…やっぱり強――――ん!?(今のは…よし!!)(歪の表情が一瞬崩れたのを見逃さず、即座に片腕を鉄槌に変形させ)―――喰らい…やがれッ!!!(脳天を勝ち割る勢いで頭上より振り下ろす) 」

エディ「(認識し得る限り全ての間合いにこいつは対応できる。点の数で崩せても反撃の隙間を与える。なら……)『面』だ————(光子剣を再展開———"させない"。ムラクモと撃ち合っている隙に互いのクロスレンジ『ゼロ距離へ』上体をバネに、掌底を歪のアゴへ穿……)———ズァ オッ!!(———たない。五指を立てた掌からジェット気流のような出力の蒼炎が爆発的に放たれ、それをブロウの要領で振るうことで扇状に拡散。火力も分散されるが光子剣を出現前にかき消すと同時に『視界を塞ぐ』) 」

仮面ライダーW(ヒートメタル)「 \ ヒート ! メタル ! /(ヒートメタルにフォームチェンジし、背中に出現した某型武器「メタルシャフト」を抜き取る)熱いのは好きか?おらぁッ!!(炎を纏うメタルシャフトを振り回し、歪に何度も殴打を叩き込む) 」

歪「ぐ―――ぅ、ぉぉッ!!!(ASの斬撃を深々と刻まれ、黒い靄のようなものが身体から散りながらもカウンターの掌底を放つ)おのれ―――この、程度―――!!(十手を出力不十分の光子剣2本で辛くも受け止めるが―――)ぐぉっ……!!(追い縋るキルビスの鉄槌を受け霧散し直撃)ぬぅッ―――(再展開をここで試みるも―――エディの目論見は成功、分散する火力で不十分な出力の光子剣は相殺され)がぁっ……!!(メタルシャフトの乱打を受けるが)舐めた―――マネをぉッ!!!(光子剣を体表に構築、全身から波動状に拡散することで全方位攻撃を行い密着した戦士達を吹き飛ばす) 」

AS「ふんッ―――!!(掌底を素早く剣で受け止めるが、全方位の波動に吹き飛ばされ距離を取られる)言ったはずだ……お前に、もう二度と奪わせなどしない……!!(正眼に構え、歪を見据える) 」

仮面ライダーW(ヒートメタル)「よし、効いてる!このまま叩きこんで――――どはぁあっ!!(追撃を仕掛けようとした時、広範囲に及ぶ波動に吹き飛ばされる)いっってぇ~なぁ……(「だが翔太郎、戦況は一転した。必ず勝機はある。」)ああ、間違いねえ。一気に決めてやるぜ…!(立ち上がる) 」

ムラクモ「少しは焦ってくれたか、それでこそ殴り甲斐があるという物だ(斬撃との打ち合いで、文字通り拳が”割れた”事を意にも介さずに獰猛さを秘めた笑みを浮かべ)援護有難う、素晴らしいタイミングだ(エディの目潰しに呼応し、歪の正面から一瞬で”消え”、歪の直上、頭上高くまで飛び上がる) 」

スモーカー「ちッ…!!(波動に吹き飛ばされ、地面に着地する)…手応えはあったな…(拳を強く握りしめる) 」

歪「認めよう―――ああ、確かに。君達を"盤上のポーン<雑兵>"程度に思っていた。君達は―――私を打倒し得るだろう、だが―――(手を天に掲げ、大きく開き割れるように悍ましい笑みを浮かべる)だが それでも 私には 勝てない。 」

アーロン「………もはや迷ってもいられんか。斯くなる上は……―――――――――――はぁっ!(歪が戦士達を吹き飛ばした直後のタイミングにて高く跳躍し、歪へと斬りかかる) 」


かつてこの戦場に居たはずの者達が―――無造作にその命を奪われた時、何を想うだろうか―――それは考えるまでもない事だった―――


エディ「(一点に集中した点は振り払う。直後、遅くても『2秒』以内に高出力の波動攻撃が来る)—————どういたしまして。血気盛んな連中が多くて助かる(———上空。目潰しを放った時点で飛翔しており、ムラクモ同様に歪の頭上へ)————『砕潮』(先までのキックボクサースタイルを主体とした動作から一転、脚を大きく開き、上体を捻って遠心力を乗せた回し蹴りと踵落としを合わせた蹴り技を、さながら岩を砕く滝の打ち水が如く……落す!!) 」


"それ"は赤黒い煙として―――"今に至るまでの歪"がそうであったように―――怖気を感じさせる塊として―――歪が指す天に集い形を成していく憎悪―――


歪「ギュオッ!!(身体が煙の如く霧散し、攻撃を回避しつつ―――"それ"の前に現れ空中で佇む。傷ついた身体からは黒い煙が立ち昇っている)私は怨嗟―――私は影―――私は……変えようのない過去、お前達が望んだからこそ、顕現せし者―――悪意と共に現れし者――― 」

AS「―――気を引き締めろ、ここからが本番だ……あれは、俺の怒りの根源―――俺が、愛する者を護れなかった、忌まわしき―――!!(空中に佇み、悪意を束ねる歪を強く睨み付ける) 」

キルビス「よっし…これなら――――!!?(優勢を確信したその直後、歪の身に起きた異変に驚愕を覚える)…なん…だよ、あれ…っ… 」


憎悪は巨大な影となり、怨嗟は人の形を作り、悪意は全てを殺傷せんとする害意として顕現する―――


怨嗟の化身「ナ ゼ オ レ ガ(それは、誰かの悲痛な叫びだった)シ ニ タ ク ナ イ(それは、誰かが思った願いだった)イ ヤ ダ ク ル シ イ(それは、誰もが抱いた―――最期だった)―――ォォォォォォォォオオオオオオオオ!!!!(慟哭と共に、この場に満ちる負の感情が一体の巨人を形作り、圧倒的なまでの恐怖を撒き散らしながら歪の前へ顕現した!!) 」

アーロン「何……!(歪に避けられ着地)あれは………馬鹿な…… 」

ムラクモ「”気持ち”や”過去”で戦いは決まらんよ、其れ等はほんの些細な――容易に掻き消えて仕舞う物でしかない。無論、”怨嗟”もな(光子剣、煙、軌道上にある何もかもを切り裂かん勢いで……常識離れした速度で歪の背後へと落下しながら身体を覆う程の巨大な”氣”を帯びた手刀で、怨嗟の化身を”叩き斬り”に掛かる)――東雲流・"禊" 」

歪「私達は……人が抱きやすいシンプルな感情だ―――"どうしてあんな奴が"、"誰かが憎い"、"こんな所で死にたくない"―――切っ掛けがいかに些細であろうが、私達は―――お前達人間という"光"より現れた―――"影"……負の感情そのものだ。(怨嗟の化身と共に、戦士たちを見下す)私達を滅ぼしたいのならば、君達が滅ぶしかない……君達は、君達の破滅でしか―――私を滅ぼせない 」

怨嗟の化身「アアアァァァァ―――(ムラクモの強烈な一撃―――歪であれば受け止めるのを難儀するであろう一撃を、拳1つで容易く止めてしまい)イタイ クルシイ―――(その巨体からは想像し難いほどの速度で拳を乱打しムラクモを叩き落とす!!) 」

仮面ライダーW(ヒートメタル)「相手もついに本性を現しやがったか。(「これはそう容易く解決できそうにないね。」)簡単に言ってくれるぜ…だけどよ、なんとかなるって信じてるぜ、相棒。(精神世界で互いに励まし合い、怨嗟と対峙する) 」

エディ「(空振りした蹴りがコンクリを踏み砕く。生成されたクレーターの上で佇み、現出したそれを見上げた)————光と言えるような碌なもんじゃねんだよ、人間は。要はそのデカブツも元々俺らに『在った』ものだ。だからこれは、いつものゴミ掃除<対人戦>と何も変わらねえ(子気味いい音を立てて拳と掌合わせ、一歩一歩、立ち向かう意志を持って穂を進め怨嗟の化身と対峙する) 」

ムラクモ「なっ――(手刀を止められる事に驚きつつも、素早く防御態勢を取るが……ムラクモの想定を超える速度の乱打に、成すすべなく叩き落され、地面に倒れ伏す)……いやあ、効いたな………しかし驚いた、『禊』を止められる奴がこの世に居たとは!俺もまだまだ修行が足りなんだな!!この身体でもまだまだ足りんわ!!(鼻や口から血を流し、全身に痛々しい殴打の跡が残った身体で、一瞬よろめきながらも飛び上がって体勢を整え――そして顔には満面の笑みを浮かべ) 」

キルビス「…がたがた湿気たこと抜かしてんじゃねえよ。帰りを待ってる家族がいる限り、俺はたとえ死んでも死にきれねえんだよ!ジャキィンッ ! ! !(右手を鋭利化した長刃へと変形させ、虚空を薙ぎ払う) 」

歪「お前達からその希望を奪い―――代わりに贈り物をしようと思っていたんだ。(怨嗟の化身の隣に浮き、睥睨し)喪う絶望を―――贈ろうか、二度と消える事のない―――苦しみを贈ろうか。(そして、戦士たちと再び対峙する―――) 」

AS「俺はあの日からずっと悩んでいた―――お前に奪われたものを、取り戻そうと藻掻いてきた―――だが違う……喪ったものは二度と戻らないから、俺達はこうして喪わないよう生きている……!!(かつて殺意を以て対峙した化身と、今再び対峙する―――) 」

歪「―――さあ、来るがいい絶望よ、尽きぬ事なき怨嗟の果てよ……(怨嗟の化身の横、空中で両手に光子を束ねてゆく―――"政府軍の大艦隊を滅ぼした一撃"のように) 」

仮面ライダーW(ヒートメタル)「……ッ…!(「翔太郎、あの高エネルギーは…!」)…ああ、間違いねえ。"さっき"のだ…!チッ、どうすりゃあ… 」

キルビス「…っ……(正直な、俺だってビビってんだよ… ここでくたばってしまったら、もう二度と、アイツらのもとへ帰られねえ。そう思うと、恐怖で足がすくんでしまう……でも、それ以上に、意地でも生きて帰ってやるって気持ちが高まっていく…!俺は…俺は……)―――― こんなところでくたばるわけには、いかねえんだよ!!!(歪、そして彼の傍にいる怨嗟の化身を睨み上げる) 」

AS「お前に……これを使わなかったのは、俺への戒めだった。(虚空へ手を突き込み、一本、また一本と刃を振り抜く)"あの時"は―――己の殺意も御せずに、お前の道化であった……だが!(戦場が、灰色の水晶で満ちゆく―――)これは過去との決別だ―――俺は今、お前を越えてゆく。(九刀流―――殺意の剣を今、純粋なる戦意のみで握る。) 」

ペニー「(何かと戦ったあとなのか、ボロボロの状態でやってくる)ちっ、この傷を癒えさせようと思ったら…なんだぁ?ありゃ…(歪を見て) 」

スモーカー「スゥ…フゥゥゥ…(咥えた巻煙草から白煙を吐き出す)秩序を乱す輩は、この俺が取り締まる。覚悟しやがれ…化け物め。(十手を肩にかけ、能力で全身から煙を盛大に噴出させる) 」

エディ「(光子攻撃の着弾まで数秒のラグがある、間合いを詰めるには充分過ぎる程度……。デカブツの方はおっさんの攻撃をそっくりそのまま返しているように見えた、詩人めいた口ぶりだったが大方顔のない男とかミラーフェイス、シャドーマンの類だろう。となると————)————(『手数か』 同じく対峙する面々へ一瞥をやる。さながらアイコンタクトのように)トンッ  (先手、光子エネルギーが着弾するまでの0.数秒間の間に地表を滑るような運足で怨嗟の懐へ態勢を低くし潜り込む。固めた拳は『昇竜』を撃つ予備動作へ移行していた) 」

歪「ほう―――?お前が否定する過去で、お前が拒絶する力で―――私を打ち破ろうというのか。(両手の光子は輝きを増していく……2倍に、3倍に、4倍に……否、"先程よりも更に大きい"!!) 」

ムラクモ「東雲流――”雲龍”(全身に纏う紅い”気”を更に迸らせ、歪、そして化身を見据え)乗ってやろうじゃないか、止めてやろう、その一撃……(深く腰を落とし、静かに拳を構え) 」

エディ「シッッ———!!(光子エネルギーの内一つが『着弾』。それを『吸収』し蒼炎のオーラを纏った銀の拳で怨嗟の顎と思わしき部位を鋭く抉りにかかる) 」

仮面ライダーW(ヒートメタル)「……一か八か、賭けてみるっきゃねえ!\ メタル ! マキシマムドライブ ! /(メタルメモリをマキスマムスロットに装填) 」

AS「お前の掌の上で、いつまでも踊る人形は死んだ……俺は、俺を超える……!!(水晶の園が、輝きを増していく―――)あの巨人の相手を任せる!奴の攻撃は……俺に、任せろ!!(声を大にして戦士たちへ声をかけ、九の刃を構えて集中してゆく) 」

怨嗟の化身「アア―――イタイ―――(エディの接近と共にその様子が変動する―――まるで腕が剣の如く分裂し―――その数”九刀”)クルシイ―――(そしてその動きは急激に―――機械的な精密さでエディを紙一重に回避、すれ違いざまに九重の斬撃を放つ!!) 」

仮面ライダーW(ヒートメタル)「――― “メタルブランディング”!!!(ボボボォッ… ! ! ! )おらああああぁぁッ!!!(炎を纏ったメタルシャフトを振るいながら突撃し、赤熱したメタルシャフトを渾身の力で怨嗟の化身へ叩きつける) 」

スモーカー「“ホワイトランチャー”!!(ドヒュンッ ! ! ! )(全身を煙に変えて上方から怨嗟の化身に急接近し、その勢いのまま十手で突き込んで攻撃する) 」

宇練銀閣「(それまで座して待っていた浪人の侍が、ついに動き出す―――)――― ザ キ ィ ィ ィ イ イ ン ッ ! ! ! (一振りの居合より、光を越える最高速度の斬撃“零閃”を解き放つ) 」

キルビス「うおおおおおおぉぉぉーーーッ!!!(全速力で駆けだして跳び上がり、怨嗟の化身の上空より長刃の両腕を力強く振り下ろす) 」

ムラクモ「応、任された(ASに呼応し、瞬間移動にも等しい速度で怨嗟の化身と距離を詰め……)東雲流――”流星”ッ!!(エディへの反撃をカバーするように、超速度の飛び蹴りで怨嗟の化身の頭部を打ち抜きに掛かる!!) 」

怨嗟の化身「オオ―――アアア―――(数多降りかかる猛攻―――巨体の化身はその最中で、瞬時に判断を下していく)カ ナ シ イ―――(燃え盛るメタルシャフトと強烈な十手の一撃を直撃―――身体からは黒い靄が吹き出るも、その最中にまたも様子は急変し―――”浪人の侍と全く同じ構え”となり―――)イ タ イ ―――(全く同じ一撃―――"光速さえ凌駕する一閃”で銀閣、キルビス、ムラクモの一撃へ強烈なカウンターを放つ!!) 」

エディ「 !! (模倣じゃない!敵対対象へのカウンターが攻撃パターンじゃないのかッ!)チィ……ッ!("回潮"  攻撃に対し、敵の腕に僅かな衝撃をフック気味の掌底をぶつけることで"軸"をずらし)グンッッ(敵対対象をよろけさせ攻撃の軌道大きくずらすことで斬撃の直撃を免れる)———っぶねぇ……なァ!!(そのまま技を放った勢いのままに上体を捻りながら飛翔し、三日月蹴り(空手式の回し蹴りのようなもの)を鳩尾を思われる部位へ) 」

歪「彼の化身は―――お前達人間から生まれた、お前達そのものだ。(両手の光子は輝きを尚も増し続ける―――10倍、20倍、30倍―――"こんなものが降り注げば戦場ごと跡形もなくなる"とさえ感じるほどに―――)故に、お前達がお前達である限り……それは永遠にお前達を擦り減らすだろう―――呪うがいい、人間という総体の愚かさを。 」

宇練銀閣「……!!(寝ぼけた表情から一変、大きく見開いた眼から繰り出された反撃の一閃を紙一重で避けきった…と思われたが)――― ブシャアァッ ! !(切り裂かれた右肩から鮮血が噴き出る)…やるじゃねぇか、有りもしない幻覚斬っちまったようだよ。(再び居合の態勢に入る)“零閃編隊・五機”…!(更に練度を増した高速斬撃の嵐を、怨嗟の化身に向けて次々と放つ) 」

キルビス「ぐわああああぁぁッ!!!(流石に高速の斬撃を見切ることはできず、その身に切り裂かれる)はぁ……はぁ……!づっ…(アキラ…ミオリ……みんな…ぐッ…俺は…)……俺はまだ死なねえッ!!(自らを奮い立て、決して倒れることなく両足を力強く踏みこんで痛みを耐え抜く) 」

アーロン「……やはり、運命〔さだめ〕は変わらん………。惨劇は幾度となく繰り返される…… 」

AS「―――”俺は運命<オマエ>に囚われた” (九刀のまま、"詠唱"を開始する。水晶の園が、輝きを増してゆく―――) 」

ムラクモ「斬撃――あの浪人の技か…!(構えを見た瞬間、身を翻して斬撃のダメージを最小限に抑えつつ距離を取り)全く恐れ入る…(もう少し深ければ致命傷となっていたであろう、首筋から流れる血を手で抑え) 」

怨嗟の化身「ツライ―――シニタクナイ―――(エディ、銀閣の攻撃を認識すると同時にまたもその姿は変貌し、"まるで煙のように霧散し"攻撃を回避―――再び集合し、"嵐の如く降り注ぐ追尾する弾丸"と"荒々しく振るわれる棒による薙ぎ払い"をそれぞれへ放つ!!) 」


――― なるほどな。(その時、戦場に灰色の壁「オーロラカーテン」が開かれる。その内側より数名の影が姿を現した。)


門矢士「(オーロラカーテンの中から姿を現したのは…異なる姿をした、門矢士だった)――― 俺が俺たちでいる限り、人としての愚かさが俺たちを蝕む、か。確かにそうかもしれんな…だが、"俺たちが俺たちである"ならば、その俺たちが生み出した愚かな運命も、変えられるのは俺たちだ。 」

歪「―――何だ、その"詠唱"……まさかお前は……(ASの詠唱を見るや否や、存在しない瞳孔が見開かれたように動揺し)―――化身よ、我が人形を排除しろ!!(光子の輝きを増幅させつつも、化身へ指示を出す) 」

桐生戦兎「人間は間違いばかりを繰り返してきた。だけどそいつを受け止めて前に進まなければ、取り返しのつかない大きな間違いを起こす。 俺たちが諦めない限り、何度立って未来は変えられる!(灰色の壁から現れる) 」

常盤ソウゴ「――― 過去があるから、未来は輝ける。(オーロラカーテンより歩いてくる)いつまでも過去に囚われちゃ、駄目なんだ。俺たちは、未来に向かって歩み続ける。それが、人間だ!! 」


DMトゥーン「俺、参上!!(オーロラカーテンの中から、最後の一人として参上)後悔も失敗も、全部が全部、いつかは自分が生み出したかけがえのない思い出になるんだ!誰にだって、なんだって、大切な思い出を、消させはしない…!!行くぞみんな!!!(ダブルドライバーを装着し、サイクロン&ジョーカーメモリを装填) 」

スモーカー「なんだぁ、テメェら…?(現れた仮面ライダー組に眉を顰める)


門矢士「…チ ャ キ … ! (ネオディケイドライバーを装着) ス…通りすがりの仮面ライダーだ、覚えておけ。(左腰のライドブッカーからカードを一枚引き抜く)――― 変身 ――― カ シ ャ ン ッ ! (カードをバックルに装填)\KAMEN RIDE/ ガ チ ャ ン ッ ! (更にハンドルを押す) 」


桐生戦兎「 シャカシャカシャカシャカ…ガチャンッ ! \ラビット !/ ガチャンッ ! \タンク !/―――\ベストマッチ ! ! /(取り出したラビット&タンクフルボトルを上下に振り、それぞれをビルドドライバーに装填) \Are you Ready ?/―――― 変身!! 」


常盤ソウゴ「 カ シ ャ ン ッ ! (ジクウドライバーを装着) ス … ! (ジオウライドウォッチを取り出す) 僕は…――― "最高最善の魔王"になる! ジ リ リ … カ チ ッ ! \ZI-O!/ (そのベゼルを右側に90度回し、天面の起動スイッチを押し)――― 変 身 !! グルン ――― カ ッ コ ー ン ッ ! ! (メインユニットのジクウサーキュラーを反回転させる)――― \RIDER TIME!/ ――― 」

仮面ライダーW「ぐわぁっ!!(攻撃の巻き添えを食らって吹き飛ばされ、フォームを解除される)いってぇな……!?なんだ、ぞろぞろと……!?おい、あれって……!!(DMトゥーンが装着したダブルドライバーに目を見張る) 」

エディ「ッ……!(『打撃』が通用しない……!『面』さえも効くか怪しいぞこいつァ!)グンッッ!! ズェェアッ!!(宙空で錐揉み回転、追尾する弾丸それぞれが足、肩、腕を表面的に抉るも直撃を免れる。加えて回避の際に生じた遠心力を乗せた回転蹴り、踵落としの合わせ技で棍棒を蹴り落とし地に食い込ませ、それの上に着地。すぐさまステップを踏み後退し距離を取るも片膝をつく)ゲホッ…… 能書きはいい、手数が増えるに越したことはねえからさっさと手伝え 」

アーロン「……! …お前達は………(出現した門矢士達の姿を見て) 」

門矢士→仮面ライダーディケイド「 \DECADE !/  カ シ ャ カ シ ャ カ シ ャ カ シ ャ ――― シ ャ キ ィ ー ン ッ ! ! (仮面ライダー「ディケイド」に変身) 」

桐生戦兎→仮面ライダービルド「 \ハガネノムーンサルト !/ \ラビット×タンク !/ \イェーイッ ! !/(仮面ライダー「ビルド」に変身) 」

常盤ソウゴ→仮面ライダージオウ「 ――― \KAMEN RIDER~♪ ZI-O!/ ―――(仮面ライダー「ジオウ」へと変身) 」

DMトゥーン→仮面ライダーW(DMトゥーン)「――― 変身!!\サイクロン ! ジョーカー ! /(たった一人で仮面ライダー「W」へと変身する) 」

ムラクモ「霧……成程、一撃を当てるのも一苦労か…!(再び歪と距離を詰め、振るわれる棒へと強烈な掌底の一撃で、棒を止め…あわよくばへし折りに掛かる) ほう、アレは援軍かな 」




仮面ライダーW「―――!!?(「翔太郎、あれはまさか……!」)嘘だろおい…!?なんで「W」が二人もいるんだ…!?…い、いいいや、この際なんだっていい…!味方がこれだけいりゃあ、助かる!(現れた仮面ライダーたちに動揺しながらも、勝機を胸に再び怨嗟の化身と対峙する) 」

歪「―――やはりこの盤上には、想定にない駒が多い……いや、或いは"私さえも"そうであった―――だが、怨嗟は尽きぬ……!!(両手の光子は輝きを増し続け、同じ空間に在るだけで全てを滅ぼさんばかりに輝きを強めている―――見るだけで死を連想せずにはいられないほどに) 」

怨嗟の化身「アアア―――ニクイ―――ニクイ―――(歪の指示により、その様子は一変する。攻撃を受けた棒は即座に霧散し化身の下へ戻り―――詠唱中のAS目掛けて接近していく!!) 」

キルビス「ぜぇ、はぁ……助かった…いや、まだだ…!まだ勝ったわけじゃねえ。(再び怨嗟の化身を見据える)スラァ……ジャキィンッ ! ! ! ドゥンッ、ドゥンッ ! ! !(右腕を砲台状に変化させ、怨嗟の化身に砲撃をしかける) 」

AS「”長い宿命<クルシミ>の中を、宛もなく彷徨った” ―――”藻掻き、嘆き、足掻き続け、約束<コタエ>の果てを求め続けた” ―――(一切の淀みなく詠唱を続けてゆき、研ぎ澄まされてゆく―――化身の接近にさえ一瞥もくれず―――否、"信じているから"か―――) 」

仮面ライダーW(DMトゥーン)「はっ―――!させない!!(ASへと接近する怨嗟の化身を妨害するように横から跳び蹴り、ASの前に庇うように立つ)久しぶりだね、AS!また一緒に戦えてうれしいよ。 」

仮面ライダーW(DMトゥーン)「ASが切り札を使うまで、時間を稼ぐんだ!!(その場にいる全員に大声で呼びかける) 」

仮面ライダージオウ「だったら…これだ!(「Wライドウォッチ」を取り出す) ジ リ リ … カ チ ッ ! \W(ダブル)!/ ガ チ ャ ン ッ ! (ライドウォッチをドライバーの左側に装填) カチカチカチ…――― カ シ ャ ン ッ ! グルン ―――― カ ッ コ ー ン ッ ! ! (ドライバーロック解除後、ジクウサーキュラーを反回転) 」

アーロン「……かつて成し得なかった歴史、かつて成し得なかった歴史以上の力で塗り替える……そうだな。 」

仮面ライダージオウ→仮面ライダージオウ(ダブルアーマー)「 \ARMOR TIME!/ \サイクロン ! ジョーカー ! / \ ダ・ブ・ルー !! /(ジオウ・ダブルアーマーに変身)さあ、お前の罪を……教えて?(そう言って刀剣武器「ジカンギレード」を手に怨嗟の化身へ突撃する) 」

仮面ライダービルド「……!ベストマッチを閃いたぞ! シャカシャカシャカシャカ…ガチャンッ ! \探偵 !/ ガチャンッ ! \USBメモリ !/―――\ベストマッチ ! ! /(取り出した探偵とUSBメモリフルボトルを上下に振り、それぞれをビルドドライバーに装填) 」

仮面ライダービルド→仮面ライダービルド(W)「ビルドアップ!\ ダブル ! ! / (仮面ライダービルドから、「W」へビルドアップ)ベストマッチきた~~~~~~~!!!(ガッツポーズ)この出会いに感謝するよ、探偵君♪(そう言って可変型武器「ドリルクラッシャー」を手に、ジオウと共に怨嗟の化身へ特攻する) 」

仮面ライダーディケイド→仮面ライダーディケイド(W)「 カ シ ャ ン ッ (カードを一枚装填)\KAMEN RIDE/ \W (ダブル) !/ (仮面ライダーWへカメンライド)――― 「W」が五人。なかなか粋な計らいだろう? 」

仮面ライダーW「どわああああああああああなんじゃこりゃああああああああ(増えてく「W」に大パニック)ダ、ダダダ…Wがたくさんだぁ…!!?くそっ、わけがわかんねえぜ!!(「こんな貴重な体験はいないよ翔太郎…ゾクゾクするね…!」)お前なぁ…ほんとこういう時でもマイペースだよな…?(汗) 」

北条悟史「実は僕ちゃんもWになれるんだよね。全国の悟史ファンの皆さん。見ててください、僕ちゃんの変身。ジョーカー!ブラスター!(装着したダブルドライバーに、ジョーカーメモリと、悟史オリジナルのブラスターメモリを装填) 」

アーロン「そして………俺の物語は、俺自身の手で完結させる。―――――――ぬんっ!(刀を手に、再び怨嗟の化身に立ち向かう) 」

北条悟史→仮面ライダーW《わったん》「仮面ライダー「W」(わったん)…!!!…あれ?なんかこれ違くない?まいっか~!(金魚鉢をマスクとして被せた新進気鋭のライダー、ここに見参!) 」

スモーカー「茶番は他所でやってろお前ら!!!もう時間がねえんだ!!!……!(DMトゥーンの掛け声に反応)…何が悲しくて俺はこんな奴らと…!!(嫌々ながらも十手を構えて怨嗟の化身へ向かって飛び出す) 」

怨嗟の化身「オオ―――アアアア―――ナゼ―――(無数のWを前に、その様子はまたも変化を見せる―――巨体に見合わぬ格闘の構えを見せ、身体からは"紅い闘気"、拳からは"蒼炎のオーラ"を放ち―――)カナシイ―――カナシイ―――(空気すらも穿つような、強烈な手刀の一撃を抜き放つ!!) 」

デッドプール「————仮面らいどぅ……(ネイティブ)スパイダーマッ!!(スーパーヒーロー着地からの例のBGM)よく見ておけ島国で育ったイエローモンキーヒーロー。これが本当の覆面ヒーローってやつだああゝああ!!(そしてスーパーの紙袋を被りチェーンソーをぶん回しんがら怨嗟へ特攻) 」

AS「―――”故に、俺の剣<ジンセイ>に剣戟<コタエ>から得た全てを込めよう” (透き通るような声と共に、空気が張り詰めてゆく。詠唱は完成の時を待ち―――静かに腰を深く落とす) 」

鳴滝「おのれディケイドォー!!!Wがこんなに増えてしまったのも、すべてディケイドがカメンライドしてしまったせいだ!!こんな奇跡のコラボレーションを私は見たことがない!!おのれディケイドー!!ライダーってのはなんて素晴らしいんだ!!!! 」

仮面ライダービルド(W)「――― はああああぁッ!! ガキィンッ、ガキイィィンッ ! ! ! (ドリル刃による斬撃を繰り出し、怨嗟の化身の攻撃をいなしていく) 」

仮面ライダージオウ(ダブルアーマー)「(ブレードを握り跳び上がる)とりゃあああぁぁーッ!! ザ キ ィ ィ ィ ン ッ ! ! ! (エネルギーを纏ったブレードで横一文字に薙ぎ、一閃を刻む) 」

エディ「変・シン……仮面ライダー……。………。あーだめだなんも思い浮かばないわ(第一関節、銀の義手と肉体の接続部、動力源と思わしき青い炎を宿したパーツに左手を添え)ドルンッッ!!!!(捻る。エンジン音は轟き義手の関節という関節から蒸気が噴き出した)———いいか生まれたてのクソベイビー。その炎は俺の大切な人が残した『想い』だ。人間の負の想念だかなんだか知らねえが————(刹那、残像を残し 怨嗟の化身の眼前へ瞬間移動。地を砕く踏み込みで身構え————) 」

仮面ライダーディケイド(W)「 フン! (強烈な手刀を側転回避し)ズザザザァー…ッ… ! ! 状況はだいたい分かった。―――― 破壊する。(怨嗟の化身にエネルギーを纏った強力なパンチを振り抜く) 」

エディ「  ズ   ァ   オ   ッ    !!!  (大気に風穴をぶち開ける。た蒼炎を纏った義手で、全力で殴り抜くだけの正拳突き。それが怨嗟の化身の腕とかち合い、肩ごと吹っ飛ばさんとばかりの意気込み、気合い、闘志を持ってただ殴り抜きジェット気流が波紋上院拡散した)—————格が違ェ!!!!!!!! 」

仮面ライダーW《わったん》「HAHAHA!僕ちゃんが出るまでもないね!!やっておしまい!(ぶどうジュースの入ったグラスを片手に遠くから様子見している)いやこれ飲めないじゃん。(マスクの金魚鉢にグラスががんがん当たっている) 」

歪「そこまでして頑なに拒むか、そこまでして己より出る罪から目を背けるか!だが怨嗟が、人々が私を呼ぶ限り私はお前達を決して逃しはしない―――!!(空気が、震えている。両手に輝く極大の光子に耐えきれず、空間が軋み出す―――) 」

ムラクモ「成程……俺も少し、真似してみようか……零ノ型――"空"(身体を纏う紅の気を色の無い”気”へと変化させ、”龍”の顔を微かに浮かび上がらせる)長くは持たないが、十分だろう…(再びの超高速移動と共に、軋み、歪んだ空間ごと、全てを打ち貫く様に……最速、最大の殺傷力を持つ”正拳突き”の一閃を怨嗟の化身に放つ) 」

仮面ライダーW(DMトゥーン)「これが希望の力…僕たちの本当の力だ!!!行くぞみんな!!!! ダ ァ ン ッ ! ! ! (勢いよく上空へ跳び出す) 」

仮面ライダージオウ(ダブルアーマー)「よし…!\FINISH TIME!/ \ダブル!/ とぁッ!(全身に風を纏って大跳躍する)――――\ マキシマムタイムブレイク ! ! /とりゃああああああぁぁあああーーーーーッ!!!!(「W」の字を描くような態勢で怨嗟の化身にライダーキック)」

仮面ライダービルド(W)「グルグル… ! ! (ドライバーのレバーを全力で回す) ―――― 勝利の法則は、決まった! \Ready go !/ \ボルテックフィニッシュ ! !/ \イェイッ ! ! !/(片足に大きな風を纏って跳び上がり、怨嗟の化身に強烈なライダーキックを炸裂させる)」

仮面ライダーディケイド(W)「 トドメだ。 カ シ ャ ン ッ (カード装填)\FINAL ATTACK RIDE/ ガ チ ャ ン ッ (バックル回転) \W W W W(ダ ダ ダ ダブル) !!/ ふんッ!(跳び上がり、片足に風を纏って繰り出す強烈なライダーキックをお見舞いする)」

仮面ライダーW(DMトゥーン)「 \ ジョーカー ! マキシマムドライブ ! /(ジョーカーメモリをマキシマムスロットへ装填)いけえええええええぇぇぇぇぇえええええーーーーーーッ!!!(W同様に竜巻を纏った強力な二連ライダーキックを繰り出す)」

仮面ライダーW「(「今だ翔太郎!!」)ああ、決めてやるぜ…! \ ジョーカー ! マキシマムドライブ ! /(ジョーカーメモリをマキシマムスロットへ装填)はああぁぁ……―――― おりゃあああぁッ!!!竜巻を纏って上昇し、身体が二つに割れて左右の体で二連続キック)」

仮面ライダーW《わったん》「じゃあ美味しいところ、いただいちゃいますか!喰らえ!!必殺ライダ~~~~キッーーーーーク!!!(金魚鉢を思いっきり投げつける。当たるととても痛い。)

スモーカー「――― “ホワイト・ブロー”!!(武装色の覇気を纏った両腕をロケットパンチの如く飛ばして最後の攻撃を繰り出す)

宇練銀閣「 “零閃編隊・十機”!!(より速度と切れ味を増した無数の高速斬撃波を解き放つ)

キルビス「くらい…―――――やがれええええええええええぇぇぇぇえええええーーーッ!!!!(両腕を併せることで一つの巨大刃と成し、振り下ろして強力な斬撃波を飛ばす)」

怨嗟の化身「ナゼ―――ナゼ―――ワタシガ―――(降りしきるようなW達の攻撃に、流石に捌ききれずに被弾が増えてゆき、身体から黒い靄が止めどなく溢れてゆくが―――)―――!!!!(エディの一撃を模倣し、"全く同じ一撃で迎え撃った"―――筈だった、しかしその一撃は化身の右腕を吹き飛ばし、化身の体積を目に見えて擦り減らした!!) 」

リズ「———————祝え!!私が誰かの伝統家芸を奪ってしまった瞬間である!!(七本の『魔槍』がASを囲むようにして突き刺さり、それらが赤雷で結ばれ魔法陣を紡ぐ。微量な赤い光の粒子が咲き乱れ、ASへ『守護』と『火力』のバフが付与された)雇い主からのボーナス出血大サービスだ!!感謝で泣き咽びながら存分に暴れるがいい!!!!! 」

アーロン「――――――――――――〝凶〟!(『凶』をえがく斬撃を怨嗟の化身に放つ) 」

怨嗟の化身「イヤダ―――ワタシハ―――シニタクナイ―――!!!!(ムラクモの一撃からもまた、底知れぬ恐怖を感じたのだろう。右腕を再構築し全く同じ構えから、全く同じ一撃を放った―――"筈だというのに"、その右腕は弾け飛び、化身は大きく身体を縮めてゆく―――)アア―――アアア―――!!(左腕を剣のような腕に変え、アーロンの一撃をいなす―――本来ならば蹴散らしたかったのだろうが、既にその体積は巨人と呼ぶには不十分で、何ら戦士たちと相違がなかった) 」

歪「怨嗟を―――人の"負"を、人の意思―――"正"が打ち破るというのか―――?だが―――もう、遅い!!(両腕の光子は臨界を迎え、束ね―――空へ空へと撃ち出された!!) 」


戦士たちは感じるだろう、"あの大艦隊を滅ぼした時とは比べ物にならない"と。まるで―――まるで空が降ってくるような、否―――空さえも壊してしまうような―――凄まじい圧を遥か上空から感じる―――


AS「恩に着る―――!!(戦士たち、リズ、数多の者たちからの支援を受け、ただ一言返し)―――"後は任せろ" 」

アーロン「――――――!奴の力、遥かに弱まっている……。今ならば……   ………何をした。(歪を見て) 」


―――それは"死が降ってくる"とでも言うべきだろうか。1発1発が、あまりにも大きく―――蒼き光子1つだけでこの戦場を飲み込むほどの―――悪夢、それが―――無数に降り注がんとして―――


AS「”―――奥義『忌械機撃<キカイキゲキ>・黒ク染マレ幻ノ見セル彼岸<ハズ ア マイインスティンクト>』!!!!”(張り詰めた声と共に、九の刃は振り抜かれる―――) 」


――― 一閃。空を覆う怨嗟の霧も、流星雨の如き光子も、張り詰めた空気さえも―――世界も、誰もが呼吸を忘れるほどの美しい一撃だった。


ズ―――――― シャァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!!!(世界が呼吸を思い出し、空間は一足遅れて"その一撃"を認識する。振り抜かれた"剣の理"は―――全てを両断し、晴れ渡る空だけが戦場に広がっていた)


歪「―――何故だ、何故そこまで過去を―――私を拒む?怨嗟こそ、憎悪こそ、悪意こそが人の本質―――拒んで、何になると言うのだ?来る終末の日さえも認めないというのか?(空中から降り立ち、苛立たしげに両手の光子剣を展開する) 」

AS「まだ……分からないのか?もう俺に殺意は必要ない、もう俺に悔いるだけの過去は必要ない……お前に定められるだけの運命も、必要ない。もう二度と、お前に奪わせはしない!!(八の刃が"理"に耐えきれず零れ落ち、しかし最後の一本―――ミラージュブレイドを歪に突きつける) 」

歪「我が下を離れ、"理"に与するというのか―――?それが何になる―――お前には数多の怨嗟が今も尚付き従っている―――あの時犯した殺戮が、今の光で覆るとでも?今のお前の手に―――何があると?(瞬間、一気にASとの距離を縮め舞うように光子剣を振り抜く) 」

AS「"俺は闇<サツイ>を彷徨った"(振り抜かれる光子剣を刃で受け止め、いなし、流れるように次々と乱撃を繰り出す) 」

歪「何故だ……お前は、私の人形に、過ぎなかったはずだ……!!(攻守一転、繰り出される乱撃に攻撃を防ぎ続ける事しかできない) 」

AS「"怨嗟が俺を突き動かし、殺戮<タタカイ>の道こそが正しいと進んだ"(速く、疾く、剣による舞踏はその速度を徐々に増してゆく―――)"だが違う、俺の答えに殺意<オマエ>は要らない"(剣を振るいながらの"詠唱"―――剣戟の加速は止まらない―――) 」

歪「お前に残ったものなど、何もなかっただろう―――お前が守りたいものなど、何一つなかっただろう―――!!(二刀でありながら、一刀の攻撃を防ぎきれず、押されていく) 」

AS「"闘争こそ我が理由<ヒカリ>、刹那こそ永遠―――"(剣舞はその速度を音速まで高め―――) 」

AS「"―――奥義『忌械機撃<キカイキゲキ>・黒ク染マレ幻ノ見セル彼岸<ハズ ア マイインスティンクト>』―――"(光速に達した瞬間、ASの姿が6つに分裂し、歪を取り囲み―――次々に幻影が歪を斬り刻んでゆく) 」

歪「お前がそこまでして、守りたいものは―――大切なものは何だというのだ―――!!!(防ぐ術なく、連撃を受け続け、身体から止めどなく黒い煙が吹き出す) 」

AS「―――"『六式』"!!!(最後に、実体のASが歪の身体を正面から斬り抜け、両断する!!)―――まだわからないのか。……俺達"人間"に、大切じゃないものはない。今を生きるこの瞬間を、必死に守ろうと戦い続けているんだ。 」

歪「何度否定しようと―――それで過去が覆るわけではない……私はお前の影―――お前という光が強まる時、影は再び色濃く現れる―――お前と共に在る―――(最後の一撃を受け、その黒い身体は霧散してゆき―――跡形もなく消え去った) 」

AS「過去の俺は咎人だ、それは覆らない。けれど―――未来を創るのは今の俺だ、俺達の往く未来は俺達が決める。(剣を収め、空を見上げる)―――過去<そこ>でじっとしていてくれ。 」

キルビス「…やった、なんだな……(はははと乾いた笑みを零しながら、武装解除する) 」

アーロン「……だと、いいのだがな。 」

AS「―――分からない。正直、奴の事だ……またどこかで、相見えるだろう。だが一先ずは……だな。(ゆっくりと呼吸し、零れ落ちた自分の剣を回収する)助かった、礼を言う。正直俺だけでは勝てたかもわからない……まだまだ未熟だな、俺も。 」

DMトゥーン「なぁに、困った時は助け合う…それが僕たちさ!(変身解除し、満面の笑みを見せる) 」

仮面ライダーディケイド→門矢士「……(変身解除した後、ある方角を睨みように見据える)……――――― "ついに動き出すか"…? 」



誰かが、自分の幸せのために戦っていた。誰かが、誰かの幸せのために戦っていた。きっとそれは、ごく当然の事であり変わらないものなんだろう。


共通することは、"その幸せがきっと叶うと信じている事"だ。叶わぬ願いに思いを寄せることはない、この場には……形はともあれ、みな希望があったはずだ。


誰かが、己の戦いのために戦っていた。誰かが、託された想いのために戦っていた。きっとそれは、素晴らしいことだったのだろう。


私はもう、生命体―――"個人"というものに希望など持っていなかった。けれど、"個人"が寄り集まって為される事―――刹那のような輝きは、美しいと思った。


―――そもそも"私はこの戦いに招かれてなどいない"。最初から、勝手に"ここへ来たかったから来た"だけだ。もっと言うならば、そもそもここに来なくとも、私はこの場所を見ることは出来た。けれどそうしなかったのは、やっぱり私も―――まだ、"何かをしてみたい"と思ったからなのかもしれない。


―――退屈だった。底知れぬほどの退屈が、私の中心で渦巻いていた。もう、"私という個体"は、"私という総体"によって全てを経験してしまった。"私が成し得る全てはもう、私が全てやった後"だった。ここに来たのも―――この世界に来た事さえも、ただの気まぐれだった。


最初は―――"誰かの始めた箱庭"を見てみたくて、つまらなかったら全て壊してしまおうとまで思っていた。けれど、この世界は私の予想を裏切り続けた。この世界には―――総てがある、きっと……"そうなるように"されていたのだろう。とても、面白いと感じた。


きっと、私が何かをしなくても……この戦いの黒幕は、泡沫のような輝きに潰えるだろう。なんてことを考えながら、私はこの戦いを見続けていた。これは"信頼"というものだろうか、かつて私が馬鹿馬鹿しいと一笑に付したものだ。―――きっと、私も少しだけ変わったのかもしれない。


……私は、無粋なものが嫌いだった。いつだってそうだ、今正に輝きを放ち、尽き果てる事さえも厭わぬ命が美しい。それを―――横から掠め取るように、奪っていく者たちが。……私は憎いのだろう、結局の所"あの瞬間"は私にとって最大の汚点だ。


私はかつて、自分で選ぶことをやめた。あらゆる世界の物語を最初から最後まで"知っている"ならば、それはとてもつまらないことだ。そして、私の手で"どのようにでもなってしまう"のならば、それはもっとつまらないことだ。……きっと、私は"私という遊びを遊ぶのに疲れた"のかもしれない。


盤上に駒は出揃い、何もせずとも駒は己の物語を描いてゆく。そして、その駒達は私の手で思うままになってしまう。だから……私はもう、干渉するのをやめた。だが―――私のように、"盤上の駒を滅茶苦茶にしようとする者"がいるのならば?……つまらない。今は正に、"刹那のような輝き"を見られるだろう瞬間だ。


待ち望んだものを奪われる、抗おうとする気高さを、希望という名の芽を、魂を振り絞るような叫びを。……結局の所、私はやはりエゴイストなのだろう。だから―――


ウェリタス「"世界"よ、貴方は己の滅びさえも"それでいい"と断じるかもしれない。だが……私は違う。私は"この世界の輝き"を少しだけ、まだ少しだけ見ていたいのですよ。……私はまた―――あなたを欺いて見せましょう、私は……TPOを弁えないペテン師ですので。 」


誰も、彼を観る事は叶わない。"最初からいなかった"とさえ言えるだろう……かき消えるように、狭間へと彼は立ち去ってゆく―――己の"自我<エゴ>"を貫くために。


―荒野―


霞「―――ふっ、はっ……だぁッ!!!(並み居る戦士たちを薙ぎ払うように押し退け、その首を嵐の如く刈り取ってゆく。彼女の周囲は血溜まりとなり、もはや誰のものともわからぬ返り血がその体躯を真っ赤に彩っている) 」


戦場はもはや、無秩序状態となっていた。政府軍の介入―――鳴り止まぬ轟音、止めどなく溢れる不穏な気配―――みな、言いようのない不安を覚えただろう。けれど、彼女は違った―――


霞「―――(感じる―――この世界の何処かに、彼はきっと招かれている。それだけじゃあ、ない。―――"奴"の気配、それに……今、"もう一つ"……) 」


ジジ―――バチバチッ……(遠くから、弾けるような音と共に何か青い光が接近してくる……)


霞「―――(何かが、……"何かが"変だった。ずっと感じている、"彼"の気配が……今の"一瞬だけ2つ"に……)……何か、来る……?ッ……!!(咄嗟に光剣を収束させ、防御態勢を取る) 」

イーリア「るぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああアアアアアアアアアッ!!!!!!!!!(強烈な雷撃をその身に伴い、蒼き稲光と共に獰猛な一撃をその場へ乱れ撃つ!!!) 」

霞「ぐ―――あああああああああッ!!!!(力強く咆哮し、放たれる凶悪な一閃を光剣で受け流す) 」

イーリア「あの―――得体の知れねえ猫……アタシをどこまでぶっ飛ばしたんだ……?腕がビリビリする……でも不思議と、頭はスーっとするわ……(地面に着地し、ゴキゴキと首を鳴らしながら周囲を見渡す。頭からは血が流れ落ちているがそれも既に凝固して彼女を飾り付ける彩りとなっている)―――しかし、こんな状況でも……"いる"んじゃないの。 」

霞「……すっごい強烈なご挨拶だったみたいだけど。(ヒリヒリと痛む腕を振るい、ぐっと握り直す)随分と手負いだね……あなた。それに……"いる"って、何が?(イーリアに対して、つんと済ました氷の視線を向ける) 」

イーリア「言わせないでよ……わかってるんでしょ?アンタも今のこの状況が……"多分ものすごいヤバい"って事ぐらい。でも……アンタの目には、"戦意"ってものが欠片も損なわれてない、いや……寧ろ"増している"ように見える。(冷たい視線に、こちらは獲物を見つけた獣の如き獰猛さで見据える)―――アンタがどんな奴かなんて知ったこっちゃないけど、こういう状況でも戦いたがる奴は大概―――"マジで状況を理解してないバカ"か"殺しが大好きな気狂い"か――― 」


『私<アタシ>みたいな戦闘狂』」―――


イーリア「―――へえ、やっぱそうじゃん。……益々気に入った、そんなみーちゃんよりちまっこい身体のどっから力が出てるかもわからないし……興味深いってもんよ。(乾いた血に手を触れて、ぺろりと舐める)……"殺ろうか"。(そう言って、二振りの大剣を振り抜き霞へ突きつける) 」

霞「別に私、戦いそのものが好きって訳じゃないんだけどね……いいよ、貴女みたいな人は好きじゃないけど、嫌いでもない。("至高拳ゴッデスハンズ"による光剣を右腕に纏わせ、左手には"神宮剣グングニル"を執る)……行くよ。(瞬間、その姿がブレる) 」


シャッ―――シャッ―――ザンッ!!!(風を切るような音だけが響き、周囲を飛び回り―――正確無比に、イーリアの首を刈り取る軌道で剣閃が唸る!!)


イーリア「―――ガキィィィンッ!!!(その一撃をノールックで受け止め、切り払う)―――"やっぱりね"、アンタ……アタシと一緒だ。"殺せるなら最低限"で殺そうとする……首狙い、"取るに足らない相手"ならそれで十分だもんな。 」

霞「ッ―――(切り払われ、距離を取ってイーリアを見据える)別に……私がそうなんじゃないよ、"私の相棒"がそうだったから、私もそうしてるの。実際、これで死ぬぐらいじゃあ拍子抜けだもん。 」

イーリア「"それ"が出来るってことは、アンタの相棒は相当な実力者って事なんでしょうね。……益々面白いわ、じゃあ―――今度はアタシから。(腰を深く落とし、剣を構え―――) 」


ズダダダダダダダダダンッ!!!!(乱反射する弾丸の如く、強烈な勢いで飛び回り、あらゆる方向から大地を穿つ一閃が放たれる!!)


霞「―――ッ、ふッ!!!(刹那の見切り―――飛来する一閃の一撃を撫でるようにして刀身で受け、僅かな力でいなし、身をほんの少しよじり、紙一重でかわす―――)―――そこッ!!!(からの、移動先を潰すような抜き打ちの剣閃―――それは正確に足を打ち据える軌道を描く) 」

イーリア「く―――ぉぉぉぉぉぁぁぁああああッ!!!!(ブレーキ―――は効きようがない、瞬時の判断―――剣を強く地面に打ち据え、反動で跳び回避する!!)ズダンッ!!!(地面に荒々しく着地し、ぎろりと霞を睨め付ける)―――"強い"ね、アンタ。驚いたな……そのちびっこい身体の何処にそんな力があるわけ?それに……そんだけ強くてしかもすばしっこいだなんて、ズルいわよ。 」

霞「……あなたも、まるで獣のような熾烈極まりない剣戟。……それを理性で振るってくる、その上荒々しくも俊敏。羨ましいな、私もそれだけ力があれば。(静かに、イーリアを見据え、呼吸を整える) 」


両者の間には、奇しくも全く同じ空気と―――感情が流れていただろう。それは、至極単純なものだ。


『一撃でも、先に入れられた方が死ぬ―――』


イーリア「面白い……面白いわ、アンタ……名前は?アタシはイーリア、イーリア・スパーダス。 」

霞「……識別ナンバー試作品499号、名前を禊祓霞。 」

イーリア「真っ白な格好だと思ったけど、名前まで"白っぽい"わね。……いいわ、アンタの血で真っ赤に染めてあげるから。 」

霞「赤は結構、全て染まるなら―――私は黒がいい。(構え、姿勢を深く落とす)―――行くよ、覚悟して。(走り出す―――瞬間、その姿は掻き消える) 」

イーリア「―――そこだぁァッ!!!(目で追ってなどいない、ましてや追える速度ではない―――だが、天性の勘か、野生の勘か……瞬間の反応による一閃を狙い澄まして放つ!!) 」

霞「―――ッッッッ!!!(強烈な一撃、光剣の腹で受け止めてなお威力を殺しきれずに大きく弾き飛ばされるが咄嗟に受け身を取り―――) 」

イーリア「まああァだだぁぁぁああぁァ!!!!(地面に爪を突き立て、弾丸の如く突貫し一閃を乱発し畳み掛ける!!) 」

霞「く―――ぁぁぁああああッ!!!!("至高拳ゴッデスハンズ"の射撃による反動で連続の方向転換、からの急襲でイーリアの腕を狙い乱舞する!!) 」

イーリア「く―――ッハハハハハ!いいね、いいねいいねいいねェ!!余裕がなくなってきたアンタの叫び、そういうのが聞きたかったァ!!!!(正確無比な一閃のにより、乱舞を的確に弾き飛ばし、一瞬で二重の斬撃を仕掛ける!!) 」

霞「ふ、ぅあッ!!!(瞬間的に脚部バーニアと光剣射撃をを吹かせ軌道修正、紙一重で頬が切れるも足元を掬い上げるように切り抜ける!!) 」

イーリア「―――ニイィィィッ(その斬撃を"感じ取り"、獰猛に嗤い―――)ガァァァンッッ!!!(僅かな跳躍―――からのスタンピングで剣を踏みつける!!) 」

霞「なっ―――!!! 」

イーリア「だぁッ!!!(霞を素早く蹴り飛ばし、追い打ちに音速の一閃を重ねて放つ!!) 」

霞「ぐ―――ぁぁぁあああッ!!!(ボールのように蹴り飛ばされるも、姿勢制御し空中で辛くも一閃を光剣で受け止め―――)ズダンッ!!(強く地面に叩きつけられ、受け身を取る)―――ぺっ。(血のツバを吐き捨て、もう一本―――"操銃剣グラディウス"を抜き放つ) 」

イーリア「―――"やっと"一撃入ったわね……想像よりずっと手応えなかったけど。(踏みつけにした"神宮剣グングニル"を見やる)……いい剣ね、アンタの戦い方からして摩耗しててもおかしくないのに、刃こぼれ1つしてないじゃないの。 」

霞「……形見だからね。別にその程度で傷つくような代物じゃないけど、足蹴にはしないでほしいな。(俄に怒気が籠もる)―――久しぶりに、本気の"命の殺<と>り合い"をしてる気分だよ。"直撃は許されない"―――お互いに。 」

イーリア「そりゃ悪かったわ。(すっと剣から足をどける)……アタシは別に戦いそのものはどうだっていい、"戦いを経て強くなる"事が至上。……死線こそ至高、アタシはもっと強くならなきゃいけないの。 」

霞「行き着く道は修羅道、ってこと……いいと思う。修練による研鑽は確かに大事だけど、結局どこまで行っても実践に叶う経験なんて無いもんね。(ぐっ、と剣を握りなおす)―――次の一撃で終わらせよう、そろそろ互いに限界が来てるでしょ。……あなた、元から負傷してたみたいだし。 」

イーリア「―――アンタはそうは見えないけど、手心でも加えてくれるわけ?……上等よ、その言葉すぐに撤回させてやるわ。(がり、と地面に爪を突き立て深く深く姿勢を落とす) 」


――― 一拍、二拍、三拍。引き絞られる弓の如く―――放たれるのは、同時の事だった。


―――もうやめて!!


―――そこまでです。


イーリア「―――!!!!!!(躾の行き届いた犬のように、その一声で彼女はぴたりと停止し声の方を向く)―――なんでみーちゃんがここにいるの、観戦側だったんじゃないの!? 」

霞「―――くっ……(その声を以て停止した訳ではない、ただ"身体がなにかに押し止められた"から止まったのだ)……何?クライマックスに待ったをかけるなんて、私そういうのは好きじゃないんだけど……。 」

見観子「はぁ……はぁ……あなた、急にどこまでブッ飛ばされてるんですか……私が、どれだけ探したと……ぜえ……(顔面真っ青で、イーリアの下までふらふらと歩いてくる)どうせリアのことだから知ってましたけど、今どんな状況かすらわかってないみたいですね……もう観客席まで滅茶苦茶なんですよ、あのせいふナンチャラ~のフンフンコールとかいうののせいで…… 」

ウェリタス「すみませんね。ですが……今あなた達に退場されると、"すごく都合が悪い"んですよ。なので止めさせてもらいました、恨むのであればいくらでも恨んでください、完全に私のエゴなので。 」

イーリア「……は、つまりみーちゃんが傷つけられたってわけ?……ぶっ殺す、絶対ぶっ殺す、何が何でもブチ殺す。腸煮え繰り返ったわ、もう勝負とかどうでもいい、勝ちとか負けとかアンタの好きにしていいわ。(見るからに怒気の籠もった声色で、青筋が立っている) 」

見観子「あーステイステイ、別に私傷つけられてないですよリア、自衛能力皆無の赤子みたいに扱うのやめてくださいよホントに。(怒り狂うイーリアを窘める)ってことで今やばいんですよ、もう戦場に逃げ惑う観客とか混ざったりして酷い有様で、こんなんじゃ大会がどうのとか言ってられないです。だからこれ以上暴走しないように追っかけてきたんですよ。 」

霞「……そうなの、まあいいや。(そう言われ、自分の拘束が解かれたのを感じて"神宮剣グングニル"を回収しようとする―――が) 」


カタ―――ガタガタガタ―――バシュンッ!!!!("神宮剣グングニル"が―――いや、それだけではない、"操銃剣グラディウス"も、"至高拳ゴッデスハンズ"さえも霞の手を離れ、飛翔して遥か彼方へと消え去ってゆく―――まるで、何かに惹かれるように―――)


霞「―――えっ!?あ、あれっ!?そんな、幻から預かった武器がっ……!!ウソ……で、でもなんだか様子が……? 」

ウェリタス「―――"貴女になら理解るはずです"。……あれは、"在るべき者の下へ駆け付ける"と。……感じているのでしょう、この戦場の何処かに彼がいると。ですので、貴女に今退場されては困るんです。 」

イーリア「―――はぁ、そう。みーちゃんが傷つけられてないなら別にいいわ。(ツンと澄まして剣を収め、そっぽを向く)……じゃ、アタシはみーちゃんと一緒に動くわ。それでいいでしょ? 」

見観子「そうですね、面倒にならないから一緒にいてください。(はぁ、とため息をつく)―――しかし、また会いましたね、緑コートのうさんくさい……多分あなた、"理使い"ですよね。 」

霞「―――なんか見透かされてるみたいだけど、そんな気はする。……やっぱり、"何処かにいる"んだよね。……なら、尚更死ぬわけにはいかないな。 」

ウェリタス「よくおわかりで。(ニヤ、と笑う)……さて、私の"ここでの仕事"は終わりました。それでは皆様……もう会う保証はありませんが、御機嫌よう―――さっきから"世界"の目が鬱陶しくて仕方ないので。 」


そう言うと、ウェリタスの姿は掻き消えた。最初からいなかったように、誰もその存在を知覚すらできぬように。


見観子「―――規格外の格上ですね、あれ。私の本気でも勝てる気が微塵もしない相手なんてほんと久しぶりです。(はぁー、と深いため息をつく)別に害意はないみたいですけど……っていうか、何が目的なんでしょうか。 」

イーリア「……あんた、どうすんの?形見だっていう大事な得物どっか行っちゃったみたいだけど。 」

霞「"殺りようはある"よ、別に。それに元から"あれだけが武器じゃない"、私ってそういうものだし。(不敵に笑う)それに、ちょっと死ねない理由が増えただけ。戦いをやめる理由もないから……あなたも、"大切な者"をなくさないようにね。(そう言って、踵を返して血塗れの戦場を立ち去ってゆく) 」

見観子「行きましょう、リア。ここに留まる理由はもうありませんし……といっても行く場所のアテなんてないですけど……ま、私とリアならなんとかなるでしょう。(イーリアの手をぎゅっと握り、繋ぐ) 」

イーリア「……アンタも、今度戦うまで死ぬんじゃないわよ。(霞が立ち去るまで、その姿を見送っていた)そうね。アタシとみーちゃんが一緒なら何が相手でも敵じゃないわ。(ふっ、と笑って戦場を後にする) 」



― 桜の丘 ―


氷冬「はぁ……はぁ……っ…―――― くぁッ!!!(疲労困憊した状態で、尚も砲撃の嵐から桜の木を守り続けるために四刀を振るっている)」

フーナ「はぁ…ふぅ……!…砲撃の勢いがずっと増してきている…私たち三人いても厳しくなってきた…かも……ッ…(手に握るチャクラムに風を纏い、振るうとともに風刃へと変化させて砲弾を斬り飛ばす)」

スカーフィ「かぅ~…っ…!そ、そろそろ足がひりひりしてきた…かぅ……ッ…!(脚部をすりすりとさすりながらも、飛ばされた砲弾を見つけるや否やそれを苦痛の顔を浮かべながら空へと蹴り飛ばした)」


気が付けば丘の周囲は火の海と化し、地面はひどくえぐれ焦土化していた。それでもなお、丘の上に立つ桜の木だけは美しい輝きを放ちながら、その花弁を静かに散らしていた


氷冬「…はぁ…はぁ…っ……(私が、守らないと…… 「雪音」…――――)(最後に刃を交えた少女との約束が脳裏を過り、埃だらけで疲弊しきった自らの身体を鞭打つように刀の束を強く握りしめる)」


ド  ド  ド  ド  ド  ド  オ  オ  ォ  ゥ  ン  ッ  !  !  !  ! (丘を完全包囲した空中戦艦による容赦ない一斉砲撃が、少女三人が立つ丘へと降り注ぐ―――)


フーナ&氷冬&スカーフィ『―――――!!!(「間に合わない」――― 最悪な結末を予感した…その時だった―――――)』


ギ ュ ン ッ ――――― ズ ギ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ン ッ ! ! ! ! (突然、空間に紅い光が迸る。光は瞬く間に無数の砲弾を飲み込み、空を埋め尽くすほどの艦隊をも喰らう。装甲を抉り取られたように虫穴だらけとなった空中艦隊の群れはそのまま煙を上げながら大地へと沈み、激しい火柱を立てながら跡形もなく爆散した)


ザッ……ザッ……(三人の少女しかいないはずの丘に、何者かが静かに忍び寄る)


フーナ&氷冬&スカーフィ『―――――!!?(突然の事態に唖然と立ち尽くしていたが、背後から忍び寄る足音に一斉に振り返った)』


ゼウルス「―――――― ザ ッ … (丘の上に現れた白衣の男は、ノートPCを片手に三人の少女に視線を落とす)……(そして、ひときわ目立つその桜の木を仰ぎ見、物思いに耽るかのように静かに瞳を閉ざした)




フーナ「…っ…今のは…貴方が…?(肩で息をしながらゼウルスを見つめる)」

スカーフィ「かぅ~…とってもすごかったの……!(安心して肩の力がぐったりと抜け落ちる)」

氷冬「……あなたは………!(桜の木を見つめるその男に、何か悟った)」

ゼウルス「……(見開き、荒れ果てた周囲の大地、その中心にある無傷の丘と桜の木… その異様な光景に目を細める)なるほど、そういうことか…(現状把握したように小さく目を伏せる) だが、名前も知らない娘たちが…身を挺してまで何故あの桜木を守る?(訝しむように)」

氷冬「……"約束した"から。この桜の木を、ずっと守り続けてきた「剣士」と。(彼にそう告げ、古びたハーモニカをそっと差し出す)」

ゼウルス「…なに……?(眉をひそめ氷冬と向き合う)……!(彼女に手渡されたハーモニカを受け取り、それが自分がよく知る人物の遺物であることを悟る)」

ゼウルス「……娘、名はなんだ?」

氷冬「……氷冬。雪桜氷冬。」

ゼウルス「―――――!…そうか、お前が……(さも、彼女名を知っているかのように目を丸くする)」

フーナ「……?氷冬のこと、知っているんですか…?」

ゼウルス「……――――― お前たちには、"二度も"救われたのだな。(ふっと口元を緩め、三人に和らいだ表情を向ける)」

スカーフィ「かぅ~…?(ゼウルスの言葉の意味を理解できず小首を傾げる)」

ゼウルス「……『 罪剣 』の件、お前たちが収束させたのだろう?感謝する。」

氷冬「――――!!(刀剣武祭で起きた罪剣事件、その一部始終の描写が断片的に脳裏に過った)…最初に出会った時、どこか似たような気配を感じたと思った…まさか、あなたが…!」

ゼウルス「"罪剣を最初に手にした人物"…とでも言った方がいいか?俺が引き起こしてしまった因縁、罪を断ち切ってくれた者たちがいたことを「ある男」から聞いた。「奴」はお前たちと共に、罪剣を鎮めるために戦ったと聞く。お前たちの武勇も散々と聞かされた。……そして今度は…(桜の木を再び見上げる)…「彼女」を救ってくれたのだな。」

フーナ「……!まさか、メタナイトさんが言っていた…あなたが、ゼウルス…さん…?(罪剣を最初に手にした男を前に唖然と見つめる)」

氷冬「……(雪音が待ち続けていた人って……)…そう……(ふふっと笑みを零す)」

ゼウルス「……?(「何がおかしい」と目を細め)」

氷冬「いえ…――――― "やっと、会えたんだ"なって…(自分のことのように微笑む)」

ゼウルス「…… …… ……(どれほどの時間が経ったのかわからないほど、錆び付いた古いハーモニカに視線を落とす)」


ド ォ ォ ゥ ン ッ  !  !  ! (遥か先の水平線より、再び政府の大艦隊が姿を現し始める)


フーナ「…っ……!?また、軍隊が…!(遠く離れた先にいる大艦隊に武器を身構えようとするが…)」

ゼウルス「(遥か先より反響する砲撃音に踵を返す)―――― そのまま丘を下って道なりに進め。その先にいるだろう、「諸悪の根源」がな。」

フーナ「えっ……?まさか、そんな…この事態も、誰かの企みによって…?(…そうか…それなら合点がいく…私たちが優先すべきは避難ではなく――――)」

ゼウルス「お前たちが欲したように、政府もまたあの宝を狙っている。だが、あれは何者かが施した"撒き餌"だ。すべての生命をこの世界に招き入れるための…な。」

スカーフィ「かぅ~…?何か美味しいものでも入っているのかな?(「撒き餌」と聞いて脳内で美味しそうな料理を次々と浮かべては涎を垂らし始める)」

フーナ「どうして、そんなことを…?…あの宝について、何か知っているんですか…?」

ゼウルス「目論見は俺にも掴めない。だが一つ言えることは…―――――― "あの『 宝 』ひとつで、何もかもがひっくり返る"。(厳かな表情で真っ赤に染まる空を睨みつけるように見上げた)」

氷冬「…っ……?(ゼウルスの表情からただならぬ意を汲み取り、静かに息を呑む)」

ゼウルス「その真実を知らない輩共がこぞって宝に群がる。パンドラの箱は決して開かれてはならない。…俺はこの世界諸共、あの宝を無に葬ろうと考えた。…だが、どうやらそれは俺がすべきことではないらしい。(神々しい白桃の光を放つ桜の木を再び見上げては、つり上がった目尻が穏やかに下がっていく)」

ゼウルス「…ヴィナミスが遺した宝…お前たちになら、任せられる。 頼む…あの『 宝 』を―――――― 破壊してくれ。それが、俺からの切実な願いだ。」

フーナ「……!(ゼウルスの懇願に目を丸くする)…世界を揺るがす秘宝…それが人の手に渡れば、どうなるか予測できたものじゃない……わかりました。 行こう、氷冬、スカーフィ。」

スカーフィ「うんっ…!なんだかとってもヤバいことが起きそうだもんね…!」

氷冬「…けど、私は……――――」

ゼウルス「―――― 「彼女」のことなら案ずるな。」

氷冬「…ぇ……?」

ゼウルス「…お前の言葉の真意、理解できないほど俺も鈍い男じゃない。それにだな――――(桜の木を仰ぎ見る)――――いつまでも守られてばかりの男でもない。」

ゼウルス「…この世界を壊すことはやめた。…ヴィナミス、お前が託したこの世界を、今度は…―――――(開いたノートPCに打ち込み、その画面を氷冬へと向けた)」


パ ァ ァ ア ッ … ! ! ! (PCの画面より飛び出した光の球が、氷冬の体の中へ溶け込むように入っていく)


氷冬「……!?(解き放たれた謎の光が体の中へ溶け込んでいくのを見て驚嘆する)…今のは…?」

ゼウルス「…俺にはもう必要のないデータだが…お前が俺と同じ力を持つのなら、『ソイツ』を呼び起こせるはずだ。どう扱うかは、お前次第だがな。(眼鏡をくいっと上げ)」

氷冬「………!(感じる…この力は…紛れもなく、あの―――――)――――……ありがとう。行ってくるわ。(そう言い、フーナとスカーフィに続きその場を颯爽と後にした)」

ゼウルス「……(走り去る氷冬の背に、かつてこの桜の木がなる丘で出会った少女の姿を重ねる)……運命の巡り合わせとは、分からないものだな…―――― 『ティルク』。(ふっと自嘲気味に笑みを零す)……奇妙な風の吹き回しだな。まさか俺に殺されに来たわけでもあるまい。(背後から感じる気配に振り替える)」

ミシェル「――――ハハハ…嫌な冗談だネ。(気まずい表情で丘を上がってはゼウルスのもとへ歩み寄る)……強いでしょ、彼女たちハ。(夜風に髪が靡く中、傷だらけながらも穏やかな表情で氷冬たちが走り去った方角を見据える)」

ゼウルス「…なるほど。あの娘たちはお前の遺志を受け継ぎ、世界のために奔走してきた…すべての由縁はお前から始まったということか…(ミシェルの腐食した左腕に視線を落とす)……恩を仇で返してしまったな。」

ミシェル「気にすることはないサ。ボクは感謝されるためにやってきたんじゃなイ。誰かの笑顔が見られたら…それで良イ。キミも、笑ってくれたなラ、いいんダ。(にっと明るい笑みを浮かべる)」

アーデルハイト「—————化け物は意思疎通できてはならない。化け物は愛を知ってはならない。化け物は……孤高でなければならない。(舞う花弁の幕に紛れ、舞台に上がった劇作家は眼を伏して子守唄のような声色で言の葉を紡いだ)私の目に映るのは最早ヒトでしかなくなった貴方。であれば私のお人形も同然、三流な筋書**いところだけどそこな『愛人』を盾に寝首を搔いてやろうと悪巧みをするのは至極自然な展開ではなくって?(言葉とは裏腹に殺気も闘気もない、ただただ目の前の顛末を見送る傍観者として立ち去る氷冬の背を見据える) 」

ゼウルス「…腹の底が読めない奇妙な男だ。 …「愛人」か…… 所詮誰もが、人の子であった…ということか。(埃の被った眼鏡を懐から取り出した布で綺麗にふき取り、そのレンズに映る自分の顔に視線を落とす)


ヒ ュ ゥ ゥ ウ ウ ウ ン … ―――― ズ ギ ャ ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ン ッ ! ! ! ! (火を噴く艦隊の影が少しずつ大きくなっていく)


ミシェル「(ゼウルスとアーデルハイトのやりとりに微笑む) うんうン、これもすべて"愛"が紡ぎ出した奇跡の出会いだネ。…ン、違ウ?そんなぁ~…――――(徐々に近づく艦隊の影を見据え、穏やかだった表情が鋭くなっていく)…でもまア、たとえ生きる場所や生きる意味が違えド…ボクたちはみな、"愛"に生まれてきタ。…愛に満ち溢れたこの世界が失うのは悲しイ。(シルクハットから日本刀を抜き取る)

アーデルハイト「ん?なにその手に持ってるの。なに、私達まだ働くの?やだぁもう、ピノッキオなら鼻をスカイツリーの高さにしてでも嘘八百並べて逃げ出すね間違いない(魔杖を文字どおりに杖代わりに立ち上がり首を鳴らす)『マスターコール』はノリと勢いで置いてきちゃったしなぁ……テキトーに人払いの結界巻くだけじゃだめー?ヴィナミススマイルくれるなら死ぬ気で頑張るけどさーモチベがさー…… 」

ゼウルス「…孤独を癒す薬はこの世にない。そう思っていた…―――――(ヴィナミス、レインド、かつての同胞たちの像が、過る)――…この世に治せぬ病はないのだと、『朋』に気づかされた。スチャ…(眼鏡を付け、ノートPCを再起動させる)…ひとりで見る世界と、誰かと見る世界は違う。もう一度、人と共に歩む道を、歩み直してみるか。(空いた片腕に紅の光「ウイルス」が収束しはじめる) 」


ドォゥンッ、 ドォゥンッ、 ド オ ォ ゥ ン ッ ! ! ! !





― 荒れ果てた荒野 ―


フーナ「はっ、はっ…!よかった、ここはまだ被害が及んでいないみたい…!政府に追いつかれる前に、何とかここを抜けよう…!(乾いた大地の上を、スカーフィと氷冬の三人で駆けていく) 」

スカーフィ「かぅ~…!ぜんそくりょくーっ!( タッ タッ タッ ) 」


――――おびただしい量の『腐臭』が、風下に乗って先へ進む氷冬達へ香る。


――――月は蒼銀、宙空は漆黒、戻れば桜、進めばその地に……一人の『虚ろ』『白』を除いて、ただただ赤が咲いていた。 地平まで続く花園。埋め尽くすは白花曼珠沙華。本来その花弁は白く、少なくとも……鉄の香りなどとは無縁の筈なのである。


オリヴィエ「(『赤』く咲き乱れる白花曼珠沙華……否、最早彼岸花の花園。唯一、血風を意に介さず白銀のまま長髪が風に靡く。地には人の残骸が転がり、園の花はそれをひた隠し、血池を啜っていた)————(『一面』に広がる赤、その血の量からして『長期戦』であったにも関わらず息一つ乱さず、落ちゆく船を鳩でも眺めるような目で見上げている) 」

氷冬「………(走ってきた軌跡を振り返る。置いてきた景色の空は真っ赤に染まり、一抹の不安こそはあれど、託された約束を紡いだ男を信じ、再び前を向いて駆け出す) 」

氷冬「――――!待って…!(砂塵と共に風が運んできた腐臭に足を止める)……あれは…―――――!(広がる深紅の絨毯、その中心部に立つ、人影……数時間前に出会ったオリヴィエという少女だと思い出し、静かに息を呑む) 」

フーナ「――――!!?(氷冬の声に静止し、砂塵で隠れ見えなかった景色の果てに、凄惨な光景を目の当たりにする)これは…っ……!!(…とてもつない、死体の数…っ……?!誰が、いったい……) 」

オリヴィエ「—————お花見は如何でしたか。(背越に少女は穏やかな声色で問いかけた)如何せん私は美的感性というものが疎いもので、淡い淡いあの桜の色彩をただ一色に染め上げかねない。貴女がそちらから来たという事は……ええ、あの花は何事もなくまだ咲いているのでしょうね。良かった良かった(踵を返し辿り着いた氷冬達と対峙する。虎、或いは龍か。人と定めたそれ以外を人とみなさず、命を命と認知しない『理性のみ』で動くひとでなしの『眼』が、変わらず穏やかな微笑みを讃えて) 」

梓「さて、さて、さて……………(花園のさらに最奥から現れる。姿を消してからずいぶん経ったか、もう大人と言っていいその姿形の中には多少とも少女としての面影が見える)つい見ぬ間に、世界は狂(くる)りと変貌してしまったようですね。それとも、いつもの転寝に見る邯鄲の夢、か。 」




オリヴィエ「なーにも変わってはおりませんよ。餓鬼畜生ははびこり(転がる頭蓋を蹴り転がし)童は生まれながらに童、常より畜生の餌。悪童は生まれながらに悪童、常より畜生の喉笛を食い(袖口をはためかせ、鞘に収める純白にこさえた刀の塚頭に手を添え鍔鳴りを響かせる)なべて世は、いとおかし  そうでしょう?いやぁ、世界政府の介入という時点でバスカヴィルの犬畜生が群がってくるのは想像に難くないとたかをくくったものの多すぎていけない。さすがに疲れますねぇ 」

氷冬「……(純愛に溢れた白桃に輝く世界から、虚無に覆われた深紅に淀む世界へ。世界の光と影を日を跨ぐ間もなく目にしたことで、様々な「世界」の存在を思い知らされる)……"元気そうで、よかったわ"。(心の底から彼女の安否を祝っているのかはともかく、再び相見えた少女に口の端が緩く上がる) 」

オリヴィエ「————(思ってもみなかった言葉に眼を丸くし何度か瞬きして見せたが、それさえも愉快そうに小さく伏見がちに口元を綻ばせ)ええ……お互い息災で何より。 ————私はもう少し『掃除』を済ませてから『黒幕』とやらの首取り……まあ単身では難しいかもわかりませんのでお手伝いに向かいますが。貴女方は?(答えは聞くまでもない、そう確信を得ているのか微動だにせず進路を一歩も譲らない。ただただ無邪気に笑って問いかける) 」

スカーフィ「かぅ……とても、つらい……(人並み以上に鋭い嗅覚で感じ取った腐臭に、気絶寸前に追いやられ、立ち眩みを起こしかけている) 」

オリヴィエ「ああいけませんよ、この香りに『慣れて』は。不快感を持つなら上々、吐き気をよもをしたなら正常な内です。安心して引き返しなさい(気遣っているのか、スカーフィに掌を向けそれ以上進まないよう顔色一つ変えず促す) 」

氷冬「……フーナ、スカーフィを連れて先へ行って。  あら、奇遇ね。私たちもそのために今向かっていたところよ。…でも、結構。今の貴女が、それを誠に望んでいるとは…到底思ってもいないから。ピキッ……パキ…(乾いた地面が凍てつき始める) 」

フーナ「氷冬…――――!……気を付けてね。(氷冬の鋭い目に潜む意を汲み取り、眩むスカーフィの背を摩りながらゆっくりとその場を後にした) 」

オリヴィエ「これでも本気ですけどねー?元よりそのつもりで参加するよういけ好かない妖術師から依頼がありまして。どうしてみんなして疑ってかかるのでしょうか……まあ構いませんよ。仕事漬けで肩が凝ってきたところです(肩を竦めて伏見がちに首を横に振り、越に帯びた刀を鞘に収めたまま左手で取って構えずに氷冬と真っ向から向き合う)—————斬り合い<じゃれあい>ますか。 」

氷冬「…そうね……私はまだ、本当の貴女と"語り合っていない"もの。剣士は口上で語るものじゃない…――― 貴女の本心は、「これ」で知る。(すらりと一刀を引き抜き、対峙する) 」

梓「あら、切り合いですか。しかも誰も彼もが御急ぎの様子。………この件にとやかく言うつもりはございませぬが。フフ、催しとしては良いでしょう。もう義兄も友もおらぬことですし、新たな道になればそれまた心地良き真理。 」

オリヴィエ「————尚も、私をその眼で見て尚も語らいと口にするか(それは彼女にとって意外を通り越し驚愕に値したのか、呆けたように火の粉が流れる空を見上げ吐息を零し)ふっ……あはは……あはははははは!(心底、愉快そうに腹の中から既に『至福』に満ちた歓喜を口にした)畜生に説法を解く坊主ならまだしも!貴女が……友に、好敵手に、縁に恵まれた貴女が尚も私と語らうと! 」

オリヴィエ「(くるりくるり、少女は血しぶきをあげて池の上を舞った。両腕を広げ、相対した彼女に心から喜びをただ伝えるためだけに)————好いでしょう。我が身ながらにしてこの獣の言の葉は己にさえ解すことが叶わぬ。語らってみるが良い!この人のなり損ないと!————我流『殺式十型』オリヴィエ・リンドヴルム、受けて立つ。 」

氷冬「……(彼女の言葉に二言はない。以前構えを崩さず、対峙するオリヴィエをじっと見据えている) 」


ギ ュ ォ ォ オ オ オ … ッ … ! (二人の剣士に呼応するように現れた灰色の壁が、彼女たちを異なる死合の舞台へと誘う)


―空中庭園ヴリオニア―


氷冬「(変わりゆく景色に意識奪われることなく、一刀の柄を強く握りしめる)―――― 雪桜氷冬、推して参る。  タ ン ッ !  (先行の疾駆、オリヴィエへと迫る) 」

オリヴィエ「(床石へ重厚な機会仕掛けの鞘に収められた刀が突き刺さる。追随して着地し、ブロウの要領で刀を抜き取った)——————起きろ、クシナダ(駆動音を轟かせ抜刀、変わらずにいた笑みは消え、蒼銀の双眸に氷冬のみを収め地を蹴り先んじて間合いに飛び込む。残像すら残さず、彼女の持てる最速より三歩手前の速度で、真っ向から袈裟斬りを仕掛けた) 」




氷冬「 ス ン ッ ―――― ガ キ ィ ィ イ ン ッ ! ! ! (前方より閃く刃に斬り上げで受け止める)ギチッ……ギギィ、ギチチッ……(鍔迫り合いの最中、己が眼はオリヴィエの表情に向けられたままだった) 」

オリヴィエ「(火花を散らすつばぜり合いの最中、表情一つ変えず機械的に氷冬と向き合っていたが……)————ニ ン ッ (今この刹那、最も彼女が『生きている』のか笑みは自然と溢れ眼球は皿のように見開かれている) スッ パァンッッ(腕力では部が悪いと踏んだのか、そのまま押し切られるリスクを顧みず片足を浮かし、氷冬の踵へ左足を絡め足払いを仕掛ける) 」

氷冬「―――!(オリヴィエの読み通り、圧倒することを選択していたところを逆手に取られ、足払いに転倒する―――) グ ゥ オ ン ッ ! (しかし、倒れ行く最中に鞘を腰から抜きだし、彼女の死角から振り上げて殴打を仕掛ける) グルンッ――― タ ン ッ … ! (その反撃が決まろうが失敗しようが、振り上げた反動を利用して低空で体を捻り回し、オリヴィエの足元に着地) タ ン ッ ―――(すぐさまカエルのように背後へ跳び、抜きだした鞘に一刀を納め、着地と同時に居合の態勢へ) 」

オリヴィエ「 ゴッッッ (鈍い乾いた音を立てて鞘の先端が顎を掠める、咄嗟に首をひねり直撃を避けるが口橋から血が流れ後方へよろめくが……)  ガ   ォ ン ッッッ  (刀の切っ先が、居合の構えを取り納刀した氷冬の刀を押さえつけるように塚頭突き刺さり一瞬だけ、居合を封じた。鞘の反撃を食らうと同時に投擲していたのだった) トンッ(その一瞬を見逃さず氷冬とほぼゼロ距離へ流麗な足運びで侵入、投擲した刀を左手で回収、同時に右拳『正拳突』0.03秒間に7発見舞おうとする) 」


――――『二式:蘇鉄 初手』――――


氷冬「ッ―――!(投擲された鞘に居合を封じられたところ、彼女の接近を許してしまい)――― ッ゛ッ゛!!!(尋常ではない速度で繰り出された正拳突を生身に受け、付近の壁に激突する)……はぁ……ふぅ……っ……!(口元を腕拭い、ゆっくりと立ち上がる) 」

オリヴィエ「————【一式:桜火 追打】(平突きの構えを取ったまま地を抉りつつのスライド移動で 氷冬へ接近、容赦なく『心臓』『右肩』『頭部』を狙った突きを同時に放ち屠りにかかる) 」

氷冬「(―――!) ギ ィ イ ン ッ ! ガァンッ、ギャァンッ ! ! (心臓への刃に叩きつけるような斬り下ろし、続く右肩へには逆袈裟斬りでいなし、最後に繰り出された頭部へには刃の腹でその軌道をずらしていく)一刀流、“風恋”――――「逆撫」!(零距離で放つ斬撃の竜巻で、オリヴィエを上空へと吹き飛ばし、自らも追撃を仕掛けるようにその竜巻に乗って宙へ跳び)―――― ガ ァ ン ッ ! ! ! (彼女の頭上へ現れ、刀の頭(かしら)で地面へ殴り落とす) 」

オリヴィエ「 !!   ————┣¨  ォ ン ……・・・(氷柱のコンビネーションは全て命中、竜巻によって空中へ、咄嗟に刃に手を添え迎撃を受け止めるも地へ叩き落とされ土煙が上がる。高度からして少なくとも背骨は砕け……)—————【二式蘇鉄: 柳 】(————ない。どういった理屈なのか、咳き込み微量な喀血こそあるが土煙から間を開けて平然と歩いて現れ、腕で口元を拭うと)【八式:矢重葎 霧雨 】(やや呼吸は乱れているが、透き通った声でそう囁き、『その場』で剣を一瞬の内に細い奇跡を残して何度か振るう。すると————) 」


――――ピアノ線のような何かがオリヴィエから空中へ登るのが見えた。それを認識するとほぼ同時、氷冬よりも上空から矢の如く細く細い斬撃が『雨』のように一帯へ降り注ぐ。


氷冬「……!(この感じ…前に会った時と―――)―――!(落下する中、雨の如く降り注ぐ斬撃を高速剣舞でいなしていくも次第に圧倒され背中から盛大に落下し、追撃の雨と共に硝煙に包まれる) 」

オリヴィエ「トンッ トンッ(自身も地上に立つため技の対象に含まれるが自らの技は誰よりも把握している。必要最低限の動作で斬撃の雨を回避) トンッ (雨が止み、足を止め氷冬が掻き消えた辺りを見据え硝煙の前に佇む。流れるような所作で納刀、態勢を低くし『居合』の構えを取りながら) 」

氷冬「 ヒ ュ ゥ ゥ … (口元から白い冷気を吐きながら姿を現す)パキ、パキ、パキ……ッ…(一歩踏み出すたびに雪の結晶を思わせる模様を描きながら、その軌跡が凍結していく) パキ、パキ、パキン……――――― ビ ュ オ ワ ァ ッ ! (冷気を纏う覇気を放出。それは宛ら吹雪の如き猛威を振るい、オリヴィエへと迫る) 」


――――― パ キ ィ ィ ン ッ ! ! ! (硝煙が、地面が、背後の建物が、空気そのものが、凍てつき始める)


オリヴィエ「ヂッ チリッ……ジジ……(冷気に呼応するように、見開かれた双眸から赤雷伴う火花が弾け、瞳は紅に染まる)—————(おびただしい量の斬撃を背で浴びるのを確かに見た。だが尚も折れることは愚か勢いを増す剣気感慨を覚え賛辞が頭を過るも、『もはや言葉で語るまい』と打ち消し、ただ小さく微笑んで首を縦に振った。身を切るような冷気を一身に受け、それさえもが心地がいいと言わんばかりに歓喜で目の色を染めながら)————【六式:無患子】(居合の構えを依然として崩していないが次の型を既に決め、迎撃に打って出ようと身構える) 」

氷冬「(溶け行く冷気は水滴となりて刀身と鞘の中へ滴り落ちていく、そして―――)――――“ 舜 銀 ”――――(光速を越える斬撃“零閃”、その剣技を編み出したかつての戦友『銀閣』の姿を自身に重ね、今、刀を閃かせる) 」


ザ キ ィ ィ ――――――――――― ン ッ ! ! (強烈な神速の一閃が石畳の地面を断裂。オリヴィエの足元が崩れ始める)


オリヴィエ「————!! (刹那、自らが石畳の床諸共両断される様が脳裏に過ぎり、六式の内最も攻撃範囲の広い技へ切り替え)【 禍 】!!(自身を中心に何重にも輪を描くように斬撃を振り抜く。その軌跡の中には三日月型の斬撃は複数紛れ、結果的に強弱がまばらな『鎌』のような斬撃による結界がオリヴィエの周囲に張り巡らせ氷冬の技を凌いだ)—————(筈だった。技を終え沈黙するもつかの間。鳩尾、頰、左腕に浅い切れ込みが複数走り、自身の周囲の足場が崩れ諸共『落下』し始める) ————— チンッッ(納刀。再び居合の構えを取り遠ざかる氷冬を誘うような眼差しで見上げる。) 」


ガラガラガララララ…ッ… ! ! ! ! (氷冬の一閃によって、天空に浮かぶ庭園の地盤が揺らぎ始め、切り崩された部位をはじめに次々と地面がボロボロと崩れ落ち始める)


氷冬「……――――― ダ ァ ン ッ ! (居合の態勢を維持し、オリヴィエの眼差しに応えるように、自らも空中庭園よりその身を乗り出した)――― はあああぁぁあああーーーッ!!!(瓦礫と共にオリヴィエのもとへと落下し、頭上から居合切りを繰り出す) 」




オリヴィエ「———————(落下する石畳の上、氷冬がクロスレンジに入ると体感時間が遅く、水槽の中にあるかのように遅く感じた。真っ向から向かってくる、自分とは異なる『強さ』を持つその剣士『達』を眼前に孤独に立ち向かう最中彼女は)———————ニ ン  ッッッ (至福で満たされていた。生の実感、或いは己という個体の自覚。ただ一人、しかして独りに有らず。鏡合わせのように異なる存在を前にそれを自覚すると、尊敬の念と明確な自負を覚え……) 」

オリヴィエ「—————   オ     ン   ッ ッ  ・  ・  ・  (雷鳴が轟く。氷冬がクロスレンジに入る刹那、口からは火の粉の混じった『煙』を吐き出し、徐々に徐々に、火花が弾け……オリヴィエを中心に衝撃波を発し、周囲の瓦礫を砕き、『赤雷』が迸った。) 」


―――【 零 式 : 曼 珠 沙 華 《 シ ビ ト バ ナ 》】―――


―――――同じく居合抜き。ただ、その威力は先の彼女の腕力から出せる物の限界を超え、一筋の閃光が直線状の雷撃が如く飛び氷冬を迎え討たんとばかりに穿たれ、命中の是非関係なく彼女の背後に存在する庭園の名残が無慈悲に貫かれみる影もなくなる


氷冬「 ガ  ッ  ギ  ィ゛  イ゛  ン゛  ッ  !  !  !  !  (白雪の刃と赤雷の刃が激しく衝突し合い、互いに弾け飛ぶ)――― ガ ン ッ ! ! (宙を飛来する瓦礫を壁に跳び乗り、そんな不安定な地面として蹴り上げ再びオリヴィエに迫る) ニ ッ ――――“轍”(わだち)ッ!!(全身を捻り回し、その遠心力を付けた一刀を勢いよく振り下ろしながら彼女へ急接近する) 」

オリヴィエ「【 ” 十 ” 五式竜胆: 帰竜 】(赤雷は尚も『皮膚を抉り』ながら彼女の身を焦がし荒れ狂う。だが同時に、肉体は従来と比較し『格が違う』身体能力を経技が一段階上のものへ全て強化される)ブ オ   ンッ !!!!!(大きく地を蹴り両手持ちにした刀を振り上げる。龍の尾を彷彿とさせる曲線状にしなる極太の斬撃を以て高速落下する氷冬の斬撃をカチ上げて阻止)【十四式青桐 墜星 】!!(そのまま上空から氷冬へ渾身の縦一文字斬りを振り下ろしにかかる) 」

氷冬「きッ……!!!(最初の斬撃の応酬より更なる威力を上げた斬撃に圧倒され、刀身で受け止めるものの吹き飛ばされるが) ズ グ ン ッ ――― ズギャギャギャァッ ! ! ! ! (吹き飛ぶ中で地面に刀を突き刺し、石畳だった残骸の床を抉りながら崖際で間一髪耐え抜いて立ち上がる)……ニッ…!ス ワ ン ッ ! ! (一刀を鞘へ納め、天高く跳躍)――― “飛出”!(翼を広げた白鳥の如く、二刀を振り払い宙を舞う) 二刀流、“時鳥”から“鷹”まで斬撃技混成接続…!!(オリヴィエの頭上へ跳び、二刀による間髪入れない連続斬りを炸裂させていく) 」

オリヴィエ「(『ああ……なんて……』)トンッ!! ————【十三式雨久花: 舞蛇 】!!(氷冬を撃ち落とした直後手近な瓦礫へ着地、すぐさま頭上へ飛翔し無数の斬撃を放ってくる彼女へ対し、蛇が如く曲線を描き変幻自在しなる軌跡を描き、自らを中心に斬撃の結界を張ることで斬撃全てを相殺。しかしながら防ぎきることは敵わず全身に細かい切れ込みが走り血風が舞う) 」

オリヴィエ「【十七式茉莉花: 狂咲 】!!!!(微量な赤雷の残滓を残し、残像すら残さず『消滅』 氷冬の背後の瓦礫に空間跳躍し) キュ  オ  ッ   ギ ャ ガ ガ ガガ  ガ ガガガ ガ ガ!!!!!(彼女が通った跡を追い、遅れて複数の斬撃が合わさって発生した『アスタリスグ型の斬撃』が弾幕のように幾つも発生し氷柱へ迫る) 」


――――なんて、心踊る刹那だろうか。なんて、どうしようもなく美しい剣閃だろうか。私にはわかる……氷冬、あなたは『彼』と切り結んだのだろう、同じ場所から旅立ったのだろう。だのに、こうも私達は違う、こうも私を実感させてくれる!


氷冬「 スチャン…―――― ジ ャ キ ィ ン ッ ! ! ! ! (二刀を納刀、そして、四刀をついに振り抜く)――― “三巻四遠”(さんかんしおん)ッ!!! ガギィンッ、ガギィンッッ、ガキィィインッッッ ! ! ! (『雛菊』の像が重なる。全身を強く捻って三回転し、弾幕の刃を次々と激しく、それでいて正確に弾き返していく) バ ッ ――――“到彼岸”(とうひがん)ッ!!(すべての弾幕を退けた後、今度は『AS』の像が自身に重なる) やあああぁッ!!!(両手の付け根を合わせることで四刀を扇状に構え、龍の爪を想起させる強靭な四閃をオリヴィエへと振り下ろす) 」

オリヴィエ「———!!(今やもはや遠い記憶、あの大会に轡を並べた者達の面影が垣間見え)(”それ”が、貴女か……!!)【十六式無患子: 猛虎 】!!(跳躍、一度の踏み込みで水平に滑空し真っ向から氷冬を迎え討地に出る。得物を手に取った右腕を大きく振りかぶり)   ギュ  オッ!!!  (虎の爪を思わせる『水平に並ぶ四重の斬撃』を振り下ろし四閃と激突する)るァァァアアァ了ァアァアアァァァァ—————ッッ!!!!!!!! 」

氷冬「ッ゛ッ゛ッ゛……!!! ギギギィッ ! ! ! ギッッッ ! ! ! ギィギンッ…… ! ! ! ! (……―――――) 」


あの時、貴女は言った。"人は『意志の生き物』だ"、と。


言葉を交わしても、刃を交えても、分かり得ないことだってあるかもしれない。それだけじゃあ、人の「意志」には届かない。


「意志」に響くは「意志」、それ以外にありはしないのだから。


私たちには、揺るぎない「意志」が確かにあった。


この剣劇の中で、やっと本当の貴女に出会えた ――――


氷冬「(――――― "見えた"…ッ……!!!)(オリヴィエとの激突に、意図的に圧倒されて大きく吹き飛ぶ) タ ン ッ ――― タ タ タ タ ッ … ! ! (吹き飛んだ先にあった瓦礫に飛び乗り、もはや重力を無視するかのように壁を走り、瓦礫から瓦礫へと移動しながら上へ上えへと跳んでいく) 」

氷冬「―――― タ ン ッ ! (そして、高い足場から自ら宙へ身を投げ出した)――――― これが最後よッ!!! ジ ャ キ ィ ン ッ ! ! ! ! (四刀を振り抜き、そのままオリヴィエのもとへと落下していく) 」

オリヴィエ「(迎撃、最善手は斬撃を飛ばし瓦礫と共に挟み撃ち。串刺しにして一網打尽にする……知識に習ってそれを行使しようと考えたがすぐに無駄だと理解した。それでは足りない、彼女の『意志』には届かないと……月光を背にした彼女に目を奪われ、意志で理解した) 」


『私は向き合いたい。恥にまみれても恥を受けいれて生きる、貴女と。』よもや、貴女からそのような言葉が私に向けられるなどと、どうして思えただろうか。


私に人はわからぬ。私に人の弱さはわからぬ。咎を背負って生きるのがヒトなどと、いつかはよくぞ嘯いたものだ。私には……恥がなんたるか、咎がなんたるか……弱さがなんたるかもわからぬ。


己を自覚し、知識として得たヒトから乖離した私には……貴方の『恥を超えた強さ』はついぞ解せなかった。 だが……ああ、そうか。わからずともいい……


貴女の意志が教えてくれた。これが弱さから転じて得た『境地』というなれば、私は人がなんたるかを解らずとも良い……ただただ儚く美しく、そして強い……それだけで良い……


オリヴィエ「————————いいだろう!この戦において最強の好敵手、氷冬ッ!我が生涯、我が境地において最強の一閃【究式】を以ってその首貰い受けるッッ!!!(閃光が弾け、雷鳴は天をも震わせ雷鳴は猛る。十八番、『居合』の構えを取り、終局の一手を宣告した) 」

氷冬「―――――― 来いッ、オリヴィエ!!!!(彼女の名を叫んだのはこれが初めてであったことを、今は気づきもしないだろう。この瞬間こそ、初めから自分が望んでいたもの…その興奮を前にすれば、解き放たれた「意志」はもはや理性を越えていくのだから)  ガ  キ  ィ  ン  ッ  !  !  !  ! (四刀を突き出したまま、彼女へと迫る) 」

オリヴィエ「————(それは遠巻きに眺めれば『雷が天へ登る』という摩訶不思議な光景であった。フル出力の赤雷は『彼岸花』を彷彿とさせ、その身を剣閃と化したオリヴィエが、踏み台にした瓦礫を衝撃のみで粉微塵にし、内側から焼き焦がす熱を食いしばった歯から吹き出させながらも氷柱の間合いへ『昇竜』す。月光を背に、二人の少女が宙空にて意志を交差させる———) 」

氷冬「 雪は冬至、月は宵闇、風は漣(さざなみ)、花は桜木、儚(ひとのゆめ)は不死に在り ――――― (出会って間もなかった桜木を守る流離の剣士『雪音』が、落下していく氷冬に重なる) 」


――――【 零 式  曼 珠 沙 華 : 終 極 月 虹 】――――


―――― 四 刀 流 奥 義 “ 雪 月 風 花 ” ――――


それは幻想的な光景だった。雷 と 雪。二つの壮大ながら神々しい光が、夜空を瞬く間に白く染めあげてゆく。昼夜をも逆転させた彼女たちの「意志」のぶつかり合いは、瞬いた光が消えゆくとともに、静かに鎮まり返っていった――――


ズ シ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ー ー ー ー ー ー ン … ッ …  !  !  !  !  !  (そして、遥か天高くより降り注ぐ瓦礫の雨が、乾いた大地の荒野へと降り注ぐ。無数の瓦礫が積み重なってついには山となり、荒野の中心に広域の砂塵が舞い上がった)


氷冬「――――――……ガ ラ ラ … (気が付けば全身傷や埃だった身体を起こしながら、積もった瓦礫から顔を出す)……はぁ…!……生き埋めになるところだった……(やれやれと声を漏らしながら、不安定な足場に立つ) 」

オリヴィエ「 ————— ヒタ (氷冬の位置からはかなり遠く。しかし他に誰も存在しないからなのかその足音だけがかすかに聞こえる) ヒタ ……(焼け焦げたスカーフを夜風になびかせ、かつて人であった一匹の獣が更地になった荒野にポツリと佇み、月明かりが道しるべを示す地平線へ、おぼつかない足取りで進んでいた) 」

氷冬「………!(辺りを見渡し、その果てにオリヴィエの姿を捉える)………(遠くから叫ぶか、あるいは彼女のもとへ駆け寄っていくか…否、そのどちらも選択しなかった。何故ならもう、彼女たちの「語り合い」は終わったのだから。)……『オリヴィエ・リンドヴルム』…貴女の名を、その意志と共に、"ここ"に刻み込んでおくわ。(自らの胸に手を当て、瞳をそっと閉ざす) 」

氷冬「………――――― タ ン ッ (そして瓦礫の山から飛び降り、彼女とは正反対の方角へ。フーナたちの後を追うように、颯爽と荒野を駆け抜けていった) 」

オリヴィエ「——————(足音に気づき踵を返す。 その先にある人影はあまりに小さく、そして遠い。 その先に暖かな陽光が垣間見得た気がしたが、それは暖かいというより、己にとって焼き焦がす高熱であると悟ると、名残惜しくも『満足げに』微笑んだ)—————(そして再び彼女は歩き出す。理解を得ることはなかった、だがそれでも『美しいものを見た』。それだけで、少しだけこれから歩むこの世界を愛せた気がした) 」



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最終更新:2021年07月02日 12:22