息子が嫌いなピーマンを食べた。
つい最近までいつも残していたのに。
つい最近までいつも残していたのに。
息子が大きくなると言った。
巨大ロボよりも大きくなるって。
巨大ロボよりも大きくなるって。
鮮明に残っている。
ロボットだから、データとして記憶しているわけじゃあない。
本当の父親じゃない俺を父親として認めてくれた息子との記憶、
機械だから覚えてるとかはそんなことは関係ない。忘れるわけがないだろ。
けど、もう二度と息子の姿を見ることは叶わない。
殺したいから殺す、殆ど理由のない悪意によって。
ロボットだから、データとして記憶しているわけじゃあない。
本当の父親じゃない俺を父親として認めてくれた息子との記憶、
機械だから覚えてるとかはそんなことは関係ない。忘れるわけがないだろ。
けど、もう二度と息子の姿を見ることは叶わない。
殺したいから殺す、殆ど理由のない悪意によって。
偽物であれど、妻と気付かずに殺した。
息子は理不尽にあの男によって殺された。
データとしてすべてが、余りに鮮明に残される。
故にこの感情は忘れる形で減ると言うことを知らない。
目の前の下手人を殺したところで消えないだろう。
永遠に忘れることはない。
息子は理不尽にあの男によって殺された。
データとしてすべてが、余りに鮮明に残される。
故にこの感情は忘れる形で減ると言うことを知らない。
目の前の下手人を殺したところで消えないだろう。
永遠に忘れることはない。
「ブッ殺してやるッ!!」
殺意のこもった一言と共に駆け出す。
ひろしと言う存在を知る人からすれば、
絶対にないであろう怒りと憎悪のこもった言葉。
ひょうきんな見た目とは思えぬ程のどす黒い感情。
普段はうだつが上がらないサラリーマンをしながらも、
どんな困難を前にしても勇敢に立ち向かう父親だった存在だと、
外見と言う意味ではない『こんな姿』を見て、誰が言えようか。
ひろしと言う存在を知る人からすれば、
絶対にないであろう怒りと憎悪のこもった言葉。
ひょうきんな見た目とは思えぬ程のどす黒い感情。
普段はうだつが上がらないサラリーマンをしながらも、
どんな困難を前にしても勇敢に立ち向かう父親だった存在だと、
外見と言う意味ではない『こんな姿』を見て、誰が言えようか。
「ブッ殺すって……俺は呪いだよ? 祓うの間違いだろ?」
呪術師でもないあんたには祓えもしないだろうけど。
そんな軽口を叩きながら指を無数の鉤爪に近い刃に変化させて振るう。
コンクリートの壁など容易く破壊する、斬ると同時に相手を砕く攻撃の波。
いくら生身でないと言えども決してダメージを受けないと言うわけではない。
相手を『殺す為』ではなく相手を『壊す為』のインスピレーションを体現する。
改造人間も準備してたが、少し彼の立ち回りを見たさに今は引っ込めておく。
そんな軽口を叩きながら指を無数の鉤爪に近い刃に変化させて振るう。
コンクリートの壁など容易く破壊する、斬ると同時に相手を砕く攻撃の波。
いくら生身でないと言えども決してダメージを受けないと言うわけではない。
相手を『殺す為』ではなく相手を『壊す為』のインスピレーションを体現する。
改造人間も準備してたが、少し彼の立ち回りを見たさに今は引っ込めておく。
一言で言えば、この戦いは泥仕合になる。
真人の術式『無為転変』は魂の形を変えることで発揮するもの。
ロボひろしには心はあれども魂がない機械。ないものを弄ることはできない。
常人なら文字通り瞬殺できる攻撃も、この状況では欠片も役に立つことはなかった。
ではロボひろしが圧倒的有利かと言われると、それは早計が過ぎる。
真人には魂への直接攻撃できなければダメージを与えられない。
首輪によって呪力のあるものでもある程度ダメージは通るが、
魂の輪郭も何も知らなければ呪力もないロボひろしにはどうやっても無理な話だ。
一応、真人の呪力が尽きればその防御もできなくなるので倒すことは可能だが、
それは逆にロボひろしに対しても同じことが言える。
真人が自分を変形させての物理ダメージなら問題ない。
真人の術式『無為転変』は魂の形を変えることで発揮するもの。
ロボひろしには心はあれども魂がない機械。ないものを弄ることはできない。
常人なら文字通り瞬殺できる攻撃も、この状況では欠片も役に立つことはなかった。
ではロボひろしが圧倒的有利かと言われると、それは早計が過ぎる。
真人には魂への直接攻撃できなければダメージを与えられない。
首輪によって呪力のあるものでもある程度ダメージは通るが、
魂の輪郭も何も知らなければ呪力もないロボひろしにはどうやっても無理な話だ。
一応、真人の呪力が尽きればその防御もできなくなるので倒すことは可能だが、
それは逆にロボひろしに対しても同じことが言える。
真人が自分を変形させての物理ダメージなら問題ない。
「呪いだどうだなんてことは関係ねえ!!」
女神は微笑むことなく無慈悲に殺された。
もう賽の目は息子の死と言う赤い一を出すだけ。
下手人を捨ておいて逃げたりする選択肢はもうない。
鞭のようにしなやかに、高速で迫りくる殺意の暴風。
当たれば機械でも無事ではすまないものを前にしても歩みを止めない。
怒りのあまり攻撃が見えてないのかと正気を疑うかのような動き。
だがその行動は至極合理的な動きを以って、真人の攻撃をかいくぐる。
呪術師でもなければ回避できないものを避けれているのは、
基本能力が優れてるのも確かだが、別の強みも持ち合わせていた。
もう賽の目は息子の死と言う赤い一を出すだけ。
下手人を捨ておいて逃げたりする選択肢はもうない。
鞭のようにしなやかに、高速で迫りくる殺意の暴風。
当たれば機械でも無事ではすまないものを前にしても歩みを止めない。
怒りのあまり攻撃が見えてないのかと正気を疑うかのような動き。
だがその行動は至極合理的な動きを以って、真人の攻撃をかいくぐる。
呪術師でもなければ回避できないものを避けれているのは、
基本能力が優れてるのも確かだが、別の強みも持ち合わせていた。
可動域。
機械にしては異常すぎるともいえる可動域を持つ。
人ではまず変えようのない関節を無茶苦茶な方向へ体を曲げることによって、
本来なら当たるはずの攻撃を、端から見れば無茶苦茶な動きで避ける。
ロボットであるが故、にしても行き過ぎた可動域を持つのが彼の特権の一つ。
機械にしては異常すぎるともいえる可動域を持つ。
人ではまず変えようのない関節を無茶苦茶な方向へ体を曲げることによって、
本来なら当たるはずの攻撃を、端から見れば無茶苦茶な動きで避ける。
ロボットであるが故、にしても行き過ぎた可動域を持つのが彼の特権の一つ。
(肉体の変化、とまではいかないけど少しだけ似ている。
ああいう形での回避か。今度ちょっと真似しようかな。)
ああいう形での回避か。今度ちょっと真似しようかな。)
ありえない身体の軌道はある意味自分と似たようなものだ。
軟体生物を模した風にすればある程度再現は可能になるので、
試そうと思えば試せる部類ではあった。
軟体生物を模した風にすればある程度再現は可能になるので、
試そうと思えば試せる部類ではあった。
(でも死角までは見切れない!)
このチェーンブレードは元をただせば真人の指。
当然ながら自分の力で更に変化させることは可能。
コンクリートの地面に陥没した指の一本を槍に変えて追走。
当然ながら自分の力で更に変化させることは可能。
コンクリートの地面に陥没した指の一本を槍に変えて追走。
「───させるつもりはねえぞ。」
だがまだまだ足りない。
真人はロボひろしのことをまだ理解できていない。
初対面なので当然のことではあるのだが。
攻撃が届く前にした行動は乳首を押すと言う端から見れば奇怪な行動。
だがそこから行われるのは右腕の射出───即ちロケットパンチ。
当然そんなものがあるとは知らない真人の顔面にクリーンヒット。
威力はたとえ腕が小さくとも、壁にクレーターができるほどのもの。
ヒットさせればいかにダメージがなくとも衝撃はあるし顔も潰れる。
パンチを浴びて吹き飛べば、視覚なしで攻撃は当てられない。
軌道を変えていた指もあらぬ方向へと飛んで行ってしまう。
真人はロボひろしのことをまだ理解できていない。
初対面なので当然のことではあるのだが。
攻撃が届く前にした行動は乳首を押すと言う端から見れば奇怪な行動。
だがそこから行われるのは右腕の射出───即ちロケットパンチ。
当然そんなものがあるとは知らない真人の顔面にクリーンヒット。
威力はたとえ腕が小さくとも、壁にクレーターができるほどのもの。
ヒットさせればいかにダメージがなくとも衝撃はあるし顔も潰れる。
パンチを浴びて吹き飛べば、視覚なしで攻撃は当てられない。
軌道を変えていた指もあらぬ方向へと飛んで行ってしまう。
真人が吹っ飛んでいくにつられる、刃物に変えた指。
腕を回収しつつその内一本を掴み、ハンマーの如く振りかぶる。
まだ刃のままなので本来なら手がズタズタになるところだが、
こういう事態を回避できるのもまたロボット故の特権でもあった。
無理矢理空中へと投げ出される浮遊感を味わうと同時に、地面へと叩きつけられる。
それを二度、三度、四度……何度も何度も、常人なら数回もやれば死ぬと言う、
確信が持てるだろう攻撃をどうなっていようとお構いなしに続けていく。
彼に対する憎悪が、目に見える形となっている光景だ。
腕を回収しつつその内一本を掴み、ハンマーの如く振りかぶる。
まだ刃のままなので本来なら手がズタズタになるところだが、
こういう事態を回避できるのもまたロボット故の特権でもあった。
無理矢理空中へと投げ出される浮遊感を味わうと同時に、地面へと叩きつけられる。
それを二度、三度、四度……何度も何度も、常人なら数回もやれば死ぬと言う、
確信が持てるだろう攻撃をどうなっていようとお構いなしに続けていく。
彼に対する憎悪が、目に見える形となっている光景だ。
「だから、その程度じゃあ無理だって。」
しかし知らないのはロボひろしも同じこと。
呪力を伴わないのでダメージはない。クリアな思考で物事を考えらえる。
状況の把握は変化させた指に目を付けた。勿論相手から死角になる部分で。
七回目ほどで彼が掴んでいた指から針が突き出し、手を貫く。
痛みはないにしてもこのまま握ってるのは危険と即座に判断。
八回目に針を引き抜くついでに、もう一度地面へと叩きつけて手放す。
呪力を伴わないのでダメージはない。クリアな思考で物事を考えらえる。
状況の把握は変化させた指に目を付けた。勿論相手から死角になる部分で。
七回目ほどで彼が掴んでいた指から針が突き出し、手を貫く。
痛みはないにしてもこのまま握ってるのは危険と即座に判断。
八回目に針を引き抜くついでに、もう一度地面へと叩きつけて手放す。
「思ってたよりやるじゃないか。」
即座に起き上がり感心する真人。
さっき出会った女とは方向性は違うが面白い。
呪術を使わないにしては、と注釈も付くが。
コンクリートの欠片を払いながら迎え撃とうとすると、
さっき出会った女とは方向性は違うが面白い。
呪術を使わないにしては、と注釈も付くが。
コンクリートの欠片を払いながら迎え撃とうとすると、
「っと。」
物陰から姿を現す闖入者、ゴブリン。
あれだけ騒ぎを起こせばNPCも寄ってきて当たり前だ。
数はかなりのものだが、所詮はある世界で祈りを持たぬ者でも最弱とされる存在。
いかに数で勝ろうとも、ロボひろしは一人で当てられた攻撃が彼らではかすりもしない。
当たったところで、かすり傷に等しいかもしれないが。
あれだけ騒ぎを起こせばNPCも寄ってきて当たり前だ。
数はかなりのものだが、所詮はある世界で祈りを持たぬ者でも最弱とされる存在。
いかに数で勝ろうとも、ロボひろしは一人で当てられた攻撃が彼らではかすりもしない。
当たったところで、かすり傷に等しいかもしれないが。
(なぜか俺を集中的に狙ってくるな。仲間意識なんてなさそうなのに。)
どういうことかロボひろしもいるはずなのに多くのゴブリンは真人を狙う。
ゴブリンに仲間意識などないことは、先程みさえを助けた件で把握している。
NPCは特に理由がなければ参加者に等しく攻撃対象とするもの。
ではなぜ真人を優先的に狙ってるのか。近くにいたからではない。
ゴブリンスレイヤーの世界におけるゴブリンは、死体も食料となる。
だったらまず食えたものではないであろうロボひろしと人の姿に近い真人。
優先的に狙いたくなると言うものだ。特級呪霊を食ったらどうなるかは不明にしても。
勿論優先が真人なだけで、ロボひろしを狙うことになった貧乏くじのゴブリンもいる。
(ただしロボひろしの速度についていけておらず、殆ど足止め程度にしかならない)
或いは、呪いと言うものをなんとなく直感してるゴブリンもいるのかもしれない。
ゴブリンに仲間意識などないことは、先程みさえを助けた件で把握している。
NPCは特に理由がなければ参加者に等しく攻撃対象とするもの。
ではなぜ真人を優先的に狙ってるのか。近くにいたからではない。
ゴブリンスレイヤーの世界におけるゴブリンは、死体も食料となる。
だったらまず食えたものではないであろうロボひろしと人の姿に近い真人。
優先的に狙いたくなると言うものだ。特級呪霊を食ったらどうなるかは不明にしても。
勿論優先が真人なだけで、ロボひろしを狙うことになった貧乏くじのゴブリンもいる。
(ただしロボひろしの速度についていけておらず、殆ど足止め程度にしかならない)
或いは、呪いと言うものをなんとなく直感してるゴブリンもいるのかもしれない。
「呪霊でも人間でもないのをストックしてみたいけど、今はこっちを優先するよ。」
所詮は有象無象。結局のところは彼らもみさえと同様の存在でしかなく。
特級呪霊の前にゴブリンなど、数の相手になるはずもなし。
跳躍と同時に体を球体に変化させながらウニのように全方位に針を突き出す。
大雑把な攻撃ではあるものの、その範囲はかなり広くまともに対応できたのは、
接近する針を掴みながら後退させられたロボひろしだけであり、
ゴブリンは瞬く間に串刺しとなって命を散らす。
特級呪霊の前にゴブリンなど、数の相手になるはずもなし。
跳躍と同時に体を球体に変化させながらウニのように全方位に針を突き出す。
大雑把な攻撃ではあるものの、その範囲はかなり広くまともに対応できたのは、
接近する針を掴みながら後退させられたロボひろしだけであり、
ゴブリンは瞬く間に串刺しとなって命を散らす。
「ん-、これは雑魚専門としては悪くないかな───あ。」
運よく僅かに無傷でやり過ごせたゴブリンを数体発見。
否。この場合は運が悪いと言った方が正しいだろうか。
一瞬で蹴散らされたことで恐怖に逃げ出すも既に遅い。
否。この場合は運が悪いと言った方が正しいだろうか。
一瞬で蹴散らされたことで恐怖に逃げ出すも既に遅い。
「ハハッ! 君達にも恐怖ってのがあるんだ。」
魂の揺らぎを堪能しつつ追い回し、
全員無為転変によって変化させられる。
手頃なサイズに縮めると、そのまま口に放り込む。
みさえを助けたときはゴブリンをストックできなかったので、
念願の特殊な生物の改造人間……否、改造ゴブリンが手に入った。
全員無為転変によって変化させられる。
手頃なサイズに縮めると、そのまま口に放り込む。
みさえを助けたときはゴブリンをストックできなかったので、
念願の特殊な生物の改造人間……否、改造ゴブリンが手に入った。
「こういうのも混ぜるともっと面白そうだ。」
先ほどのように単純な改造人間もいいが、
怪物を織り交ぜてみるのも面白いかもしれない。
今相対する相手もあれが自分の妻だと分かっていれば、
助ける名目があったとしても、攻撃を躊躇していたのは間違いないだろう。
殺しに来る改造した人間でないNPCを、元は人間と思って攻撃を躊躇う姿。
想像してみると実に滑稽で見てみたい。人と思えば攻撃できず、
人と思わなければ攻撃できる。そんな愚かな人間の考え方を。
怪物を織り交ぜてみるのも面白いかもしれない。
今相対する相手もあれが自分の妻だと分かっていれば、
助ける名目があったとしても、攻撃を躊躇していたのは間違いないだろう。
殺しに来る改造した人間でないNPCを、元は人間と思って攻撃を躊躇う姿。
想像してみると実に滑稽で見てみたい。人と思えば攻撃できず、
人と思わなければ攻撃できる。そんな愚かな人間の考え方を。
「あ、忘れてた。」
ついロボひろしから目を離してしまった。
先の移動からして少女を追われると追いつくのは難儀する。
攻撃の巻き添えにしていたのは覚えてるが視覚で確認すると、
先の移動からして少女を追われると追いつくのは難儀する。
攻撃の巻き添えにしていたのは覚えてるが視覚で確認すると、
「よそ見してる暇、あんのかよ!!」
先ほどまで素手だった彼が、
赤い得物を握って殴り掛かる姿が映った。
咄嗟に右腕を貝のような形状の鈍器へと変えて打ち合う。
赤い得物を握って殴り掛かる姿が映った。
咄嗟に右腕を貝のような形状の鈍器へと変えて打ち合う。
(!?)
初めて此処で真人の表情が曇った。
ひびが入る腕の音に防ぐのをやめて、
身体を子供に変えて背後へと回り込む形で攻撃を避ける。
ゴブリンの乱入以上に予期せぬ事態に、咄嗟に避ける動作を選んだ。
ひびが入る腕の音に防ぐのをやめて、
身体を子供に変えて背後へと回り込む形で攻撃を避ける。
ゴブリンの乱入以上に予期せぬ事態に、咄嗟に避ける動作を選んだ。
◇ ◇ ◇
真人がほんのちょっとだけ遊んだあの短い時間。
針を受け止めたことで大したダメージはなくとも、
後退を余儀なくされたひろしは再び走り出そうとする。
針を受け止めたことで大したダメージはなくとも、
後退を余儀なくされたひろしは再び走り出そうとする。
「ん?」
足元に転がっている、真人を叩きつけたクレーターに散らばる二つのデイバックと支給品。
缶は原形をとどめておらず、インスタントラーメンも砕けた状態で散らばっている。
とても食えたものではないが、もとよりロボひろしに食事できる機能はないし、
そんなものは彼にとって二の次であり、その中で転がっている一つの武器を手にとった。
レヴィの支給品。デバイスでなければ彼女としては使いやすい武器でもなかったものだ。
ロボひろしも自分の機能があれば、十分に戦えるから必要と感じなかった代物。
だが、その一つは真人を『殺せる』武器だと思い出して手にとり、
足をプロペラにして加速しながらそれを振るう。
缶は原形をとどめておらず、インスタントラーメンも砕けた状態で散らばっている。
とても食えたものではないが、もとよりロボひろしに食事できる機能はないし、
そんなものは彼にとって二の次であり、その中で転がっている一つの武器を手にとった。
レヴィの支給品。デバイスでなければ彼女としては使いやすい武器でもなかったものだ。
ロボひろしも自分の機能があれば、十分に戦えるから必要と感じなかった代物。
だが、その一つは真人を『殺せる』武器だと思い出して手にとり、
足をプロペラにして加速しながらそれを振るう。
此処でレヴィを追いかければ、
邪魔されることなく助けにいけた可能性はある。
まだ彼が真人が馬の脚に変える事実を知らない今なら、
それが失敗するかもしれない、と言う発想には至らない。
しかし選ばなかった。選ぶと言う選択肢すら今の彼にはなかった。
あの男を殺さない限り、彼はこの憎悪が止まることは決してない。
皮肉なことだが、それこそが真人の目的に繋がってしまっている。
真人は呪いが人の形となったもの。呪いとは誰かに降りかかるもの。
真人と言う存在に対する妄執……そんな姿を見れば、既にわかるだろう。
彼は、真人と言う存在に既に『呪われてる』と言うことに。
邪魔されることなく助けにいけた可能性はある。
まだ彼が真人が馬の脚に変える事実を知らない今なら、
それが失敗するかもしれない、と言う発想には至らない。
しかし選ばなかった。選ぶと言う選択肢すら今の彼にはなかった。
あの男を殺さない限り、彼はこの憎悪が止まることは決してない。
皮肉なことだが、それこそが真人の目的に繋がってしまっている。
真人は呪いが人の形となったもの。呪いとは誰かに降りかかるもの。
真人と言う存在に対する妄執……そんな姿を見れば、既にわかるだろう。
彼は、真人と言う存在に既に『呪われてる』と言うことに。
(考えたらそれもそうか。宿儺の指があるってことは───)
何の考えもなしに宿儺の指を支給品に入れやしない。
二、三本なら映画館の彼女のような存在もいるだろうし、
他の参加者次第ではまだわからないが、一度に十五本もあると流石に別。
もし器になれる存在がいたらこの舞台は下手をすれば宿儺の優勝確定。
そんなワンサイドゲームでは大掛かりな準備をする意味がなくなってしまう。
だったらあってもおかしくはない。通用するかどうかは別としても、
宿儺相手にもましな戦いができるような代物が。
二、三本なら映画館の彼女のような存在もいるだろうし、
他の参加者次第ではまだわからないが、一度に十五本もあると流石に別。
もし器になれる存在がいたらこの舞台は下手をすれば宿儺の優勝確定。
そんなワンサイドゲームでは大掛かりな準備をする意味がなくなってしまう。
だったらあってもおかしくはない。通用するかどうかは別としても、
宿儺相手にもましな戦いができるような代物が。
「呪具もあるってことだ!」
呪力を持たない人間が使っても呪いを祓える、呪いが宿った武器。
呪術師同様に階級が定められ、階級が上がる程効力を増していく。
と言っても大したものでなければ真人には別にどうと言うこともない。
では、その使われた呪具の階級はというとだ───特級。
特級呪具『游雲』。同じ強靭な防御を誇る特級呪霊を以てしても、
ダメージを通すことができるとされるほどの威力を誇る三節棍の呪具。
魂の輪郭関係なくダメージが通る今、これを直接攻撃を受けてはまずかった。
呪術師同様に階級が定められ、階級が上がる程効力を増していく。
と言っても大したものでなければ真人には別にどうと言うこともない。
では、その使われた呪具の階級はというとだ───特級。
特級呪具『游雲』。同じ強靭な防御を誇る特級呪霊を以てしても、
ダメージを通すことができるとされるほどの威力を誇る三節棍の呪具。
魂の輪郭関係なくダメージが通る今、これを直接攻撃を受けてはまずかった。
此処で初めて泥仕合という名の均衡が崩れる。
ロボひろしは真人を倒す手段を確立した。
三節棍を使い慣れてない彼の使い方は鞭のような雑な使い方だが、
游雲は特殊な能力はないが使用者の膂力がものを言う、単純明快な呪具。
ましてや使用者はそんじょそこらの人ではなく高性能ロボット。
常人を超える威力で放たれるそれは、コンクリートの道路を派手に破壊する。
ロボひろしは真人を倒す手段を確立した。
三節棍を使い慣れてない彼の使い方は鞭のような雑な使い方だが、
游雲は特殊な能力はないが使用者の膂力がものを言う、単純明快な呪具。
ましてや使用者はそんじょそこらの人ではなく高性能ロボット。
常人を超える威力で放たれるそれは、コンクリートの道路を派手に破壊する。
「その様子、やっぱてめえには効くんだな!」
あからさまな逃げる動き。
今までにない動きでは流石に気づく。
今までにない動きでは流石に気づく。
「正解。でも分かった以上は避けるさ。」
先程は不意をつかれたのもあったが、
不利になりながらも真人は笑みを浮かべる。
こういう劣勢、まだ生まれてから日が浅い彼には初めてだ。
自分の不運な状況も、笑っていられるのが真人と言う存在になる。
一度距離を置きながら、先程使おうと思った子供の改造人間を使う。
不利になりながらも真人は笑みを浮かべる。
こういう劣勢、まだ生まれてから日が浅い彼には初めてだ。
自分の不運な状況も、笑っていられるのが真人と言う存在になる。
一度距離を置きながら、先程使おうと思った子供の改造人間を使う。
「あれを壊せ。」
指示を受けて子供のような小さい改造人間数体が襲い掛かる。
無為転変で人を改造できると言うのはすでに明かした手の内。
戦力になるかは別に、攻撃の手を止める手段にはなるだろう。
後を追うように体格を戻し、再び指を伸ばして戦おうとしたのだが。
無為転変で人を改造できると言うのはすでに明かした手の内。
戦力になるかは別に、攻撃の手を止める手段にはなるだろう。
後を追うように体格を戻し、再び指を伸ばして戦おうとしたのだが。
「は?」
思ってた状況と違う光景が繰り広げられる。
躊躇も何もない。今襲わせた改造人間は全員、
游雲を勢いよく振るわれたことで全員が吹き飛ばされた。
改造人間は呪霊と同じで祓うことはできるので、全員その身を散らす。
───否、この場合『祓われた』と言うよりは『殺された』と言うべきか。
彼にとってあれが『呪霊かどうか』と言う認識は持ち合わせてなく、
『改造された人間』と言う認識なのだから。
躊躇も何もない。今襲わせた改造人間は全員、
游雲を勢いよく振るわれたことで全員が吹き飛ばされた。
改造人間は呪霊と同じで祓うことはできるので、全員その身を散らす。
───否、この場合『祓われた』と言うよりは『殺された』と言うべきか。
彼にとってあれが『呪霊かどうか』と言う認識は持ち合わせてなく、
『改造された人間』と言う認識なのだから。
「いやいや、躊躇うでしょ普通。
しかもそれ子供だったんだけど遠慮ないなぁ。
仇の為なら、他の相手はお構いなしなのかい?」
しかもそれ子供だったんだけど遠慮ないなぁ。
仇の為なら、他の相手はお構いなしなのかい?」
人間だと分かって行動に出た。
憎悪は此処まで人を変える。
やっぱり面白い、たまらない。
誰かを堕とすことが呪いの本分なのだから。
憎悪に苛まれてる姿であるほどに呪われた証左となる。
憎悪は此処まで人を変える。
やっぱり面白い、たまらない。
誰かを堕とすことが呪いの本分なのだから。
憎悪に苛まれてる姿であるほどに呪われた証左となる。
「手遅れで助けようのない相手を送り込んで、言う言葉がそれか!」
武器を握ってるからか。
もとより険しい表情はより険しく見える。
赤い呪具がより彼に威圧と言う箔を付けていく。
もとより険しい表情はより険しく見える。
赤い呪具がより彼に威圧と言う箔を付けていく。
「さっきはガキを治せって要求したのにとんだ言い草だ。
人間らしく身勝手であるって言うのには感心するけどね。」
人間らしく身勝手であるって言うのには感心するけどね。」
「てめえの都合でしんのすけを殺しておいて、言うんじゃねえ!!」
足をプロペラ回転させながら飛行し、先程以上のスピードで迫る。
地面から離れない程度の高さで、滑るような勢いだ。
地面から離れない程度の高さで、滑るような勢いだ。
「じゃあ、これはどうかな?」
改造人間をけしかけたのはもう一つ理由がある。
どうしても距離があってバレずに取りに行くのが難儀だったから、
簡単なもので注意を引いてほしかったのもあった。
どうしても距離があってバレずに取りに行くのが難儀だったから、
簡単なもので注意を引いてほしかったのもあった。
その手に構えるのは沖田のバズーカ。
片手は刃に変化させて注意を引きつつ、
残った片手は後ろへと伸ばしデイバックの所まで伸ばして手にしてきた。
もっとも、会話で時間が稼げたので殆どそれをする意味はなかったが。
このバズーカの威力は使用する当人も彼女を殺したので分からないものの、
機械を破壊することぐらいは難しくない代物であるのはわかる。
片手は刃に変化させて注意を引きつつ、
残った片手は後ろへと伸ばしデイバックの所まで伸ばして手にしてきた。
もっとも、会話で時間が稼げたので殆どそれをする意味はなかったが。
このバズーカの威力は使用する当人も彼女を殺したので分からないものの、
機械を破壊することぐらいは難しくない代物であるのはわかる。
「バズーカだからなんだってんだ!」
避けることはそう難しいことではない。
空を飛べるので避ける方角は自由にできる。
人の時と違って動きを見切るのもたやすいことだ。
空を飛べるので避ける方角は自由にできる。
人の時と違って動きを見切るのもたやすいことだ。
「へぇ、それなら───この方角で。」
「な!?」
笑顔で撃つ方角は彼から見て前方のコンクリートの大地。
撃つ本人も無傷では済まない程に近い位置。
だが、これでよかった。
撃つ本人も無傷では済まない程に近い位置。
だが、これでよかった。
発射とほぼ同時に地面に直撃し、爆発。
バズーカは自分の身体程融通が効くわけでもないし、
人の兵器なんて初めて使ったのだから当てられるとも思わなかった。
相手が避けられる可能性があるなら、いっそ今すぐ爆破してしまえばいい。
呪霊と言う類であるからこそできる、ほぼノーリスクの自爆戦術。
爆風で真人が吹き飛び、当然迫っていたロボひろしにも襲い掛かる。
バズーカは自分の身体程融通が効くわけでもないし、
人の兵器なんて初めて使ったのだから当てられるとも思わなかった。
相手が避けられる可能性があるなら、いっそ今すぐ爆破してしまえばいい。
呪霊と言う類であるからこそできる、ほぼノーリスクの自爆戦術。
爆風で真人が吹き飛び、当然迫っていたロボひろしにも襲い掛かる。
「しまっ───」
プロペラを前方に向けて後退と同時に爆風の緩和。
機械らしく判断はどれも正しかったものの流石に近づきすぎた。
完全には防げず、先程自分が真人にやったように吹き飛び、
コンクリートへ転がる形で叩きつけられる。
機械らしく判断はどれも正しかったものの流石に近づきすぎた。
完全には防げず、先程自分が真人にやったように吹き飛び、
コンクリートへ転がる形で叩きつけられる。
(まだ動ける!)
休む暇はない。
一刻でも早く、一秒でも早く───殺したい。
善意なんてものはどこにもない、殺意だけが今の彼の動力源。
一刻でも早く、一秒でも早く───殺したい。
善意なんてものはどこにもない、殺意だけが今の彼の動力源。
「ンンン~~~ッ!!」
起き上がる前に、三代鬼徹を握って迫る腕。
振り下ろされた一撃を回避するも、休む暇を与えないように振り回す。
体勢をうまく戻せないまま、石をもたやすく切り裂く業物の威力を見せられていく。
技術も何もない、殆ど乱雑に振るうだけの、鞭の先端に剣がついただけのような動き。
しかしその動きはまさに型に囚われることのない暴風の剣技。植え込みを裂き、
コンクリートに裂傷を刻み、木々を容易く切り倒し、駐車してた車を廃車にする。
二人が移動するほど、元々整っていた景観は台風の過ぎた痕のような光景へと変わり果てた。
振り下ろされた一撃を回避するも、休む暇を与えないように振り回す。
体勢をうまく戻せないまま、石をもたやすく切り裂く業物の威力を見せられていく。
技術も何もない、殆ど乱雑に振るうだけの、鞭の先端に剣がついただけのような動き。
しかしその動きはまさに型に囚われることのない暴風の剣技。植え込みを裂き、
コンクリートに裂傷を刻み、木々を容易く切り倒し、駐車してた車を廃車にする。
二人が移動するほど、元々整っていた景観は台風の過ぎた痕のような光景へと変わり果てた。
「曰く付きの物だとは分かってたけど、すごい業物だ。」
いくら曰く付きと言う点を考慮しても、刀で此処までの性能はそうはない。
技術も何もない真人の乱雑な攻撃でも、並みの刀を凌駕する業物。
麦わら一味の主戦力たるゾロを、ローグタウンから支え続けた武器だ。
妖刀としての性能は、新世界においても健在とされる代物である。
技術も何もない真人の乱雑な攻撃でも、並みの刀を凌駕する業物。
麦わら一味の主戦力たるゾロを、ローグタウンから支え続けた武器だ。
妖刀としての性能は、新世界においても健在とされる代物である。
(あ、ついでに『コレ』も持って行こうかな。)
(クソッ、飛べねえ!!)
先ほどの爆発のせいか、故障して足を飛べるほどの回転が望めない。
いくら無茶苦茶なことができる高性能のロボットと言えども、
これほど激しい戦いをすれば故障が起きることはおかしくはないことだ。
走る分や攻撃にはまだ問題ないとしても、機動力はがた落ち。
優位な動きをすることはできない状態へと陥ってしまった。
近くに鎮座する店へと逃げ込んで、相手の死角から体勢を整え直す。
少ないが本屋なのかいくつか本棚があり、一瞬でも見失いやすくなるはず。
いくら無茶苦茶なことができる高性能のロボットと言えども、
これほど激しい戦いをすれば故障が起きることはおかしくはないことだ。
走る分や攻撃にはまだ問題ないとしても、機動力はがた落ち。
優位な動きをすることはできない状態へと陥ってしまった。
近くに鎮座する店へと逃げ込んで、相手の死角から体勢を整え直す。
少ないが本屋なのかいくつか本棚があり、一瞬でも見失いやすくなるはず。
(こいつ、目も自由に出せるのかよ!?)
そうはいかないのが無為転変の自由度の高さ。
真人が顔以外にも視覚を増やすことができる。
その事実を此処でようやく知ることとなった。
伸びた腕から突然開きだした複数の眼が視覚を補う。
寧ろ店へ逃げ込んだのは悪手。障害物が増えて余計に逃げにくい状況だ。
本棚は横に両断され、未だに防戦一方となる。
あっという間に壁際に追い詰められて逃げ場を失う。
真人が顔以外にも視覚を増やすことができる。
その事実を此処でようやく知ることとなった。
伸びた腕から突然開きだした複数の眼が視覚を補う。
寧ろ店へ逃げ込んだのは悪手。障害物が増えて余計に逃げにくい状況だ。
本棚は横に両断され、未だに防戦一方となる。
あっという間に壁際に追い詰められて逃げ場を失う。
(呪力がなきゃ殺せないなら、此処が使い時だ!)
ロボひろしの合体以外における奥の手。
両手を乳首に手を合わせて発射されるのはチクビーム。
ひょうきんな見た目とそのネーミングのシュールさに対して、
威力は見た目を遥かに超える破壊力を持った光線が両胸から薙ぎ払うように発射。
片方は迫る腕を縦二つに、もう片方は二の腕も焼き切る。
さらに射線上の、店の外にある駐車場の車なども二つのラインと共に爆破していく。
両手を乳首に手を合わせて発射されるのはチクビーム。
ひょうきんな見た目とそのネーミングのシュールさに対して、
威力は見た目を遥かに超える破壊力を持った光線が両胸から薙ぎ払うように発射。
片方は迫る腕を縦二つに、もう片方は二の腕も焼き切る。
さらに射線上の、店の外にある駐車場の車なども二つのラインと共に爆破していく。
「そういうこともできるんだ。」
呪力をレーザーのように飛ばす、
試せば似たようなことは出来そうだと思う。
(指先とかその辺から、とあらかじめ断っておく)
流石に腕が片方だけでは不便なので馬の脚へと変えて走り出す。
店へ入ると、二階からロボひろしが飛び降りると同時に游雲を振り下ろされる。
一番厄介なのは呪具で最大限警戒してたのもあって、横へ移動ながら腕を回収。
試せば似たようなことは出来そうだと思う。
(指先とかその辺から、とあらかじめ断っておく)
流石に腕が片方だけでは不便なので馬の脚へと変えて走り出す。
店へ入ると、二階からロボひろしが飛び降りると同時に游雲を振り下ろされる。
一番厄介なのは呪具で最大限警戒してたのもあって、横へ移動ながら腕を回収。
(ん?)
普段ならさっきの巫女との戦いのように早く回復できるはずだが、
状態が酷いと言うところを鑑みても、少し身体の修復が遅い気がする。
何かしらの制限を受けてる。理由と手段はおおよそ察してはいるが、
遅いと言っても致命的なレベルではない。事実外面だけならほぼくっついてる。
適当にくっつけた後は刀の回収は一度諦め、回復まで一先ず防戦を優先としていく。
腕を回収しつつ、無事な右腕を刃へと変えて着地したところへ振り降ろす。
着地と攻撃の反動がある。呪具を振り上げてガードに持ち込む暇はない。
斬首してこれにて決着───
状態が酷いと言うところを鑑みても、少し身体の修復が遅い気がする。
何かしらの制限を受けてる。理由と手段はおおよそ察してはいるが、
遅いと言っても致命的なレベルではない。事実外面だけならほぼくっついてる。
適当にくっつけた後は刀の回収は一度諦め、回復まで一先ず防戦を優先としていく。
腕を回収しつつ、無事な右腕を刃へと変えて着地したところへ振り降ろす。
着地と攻撃の反動がある。呪具を振り上げてガードに持ち込む暇はない。
斬首してこれにて決着───
「させるかよぉ!」
だがこれも避けられた。
彼の身体は四肢だけが無茶苦茶な動きができるわけではない。
游雲を一度手放し、足から上の身体の全てが股下をくぐるように回転。
鉄拳寺との戦いにも用いた驚異的な可動域は初見殺しの一言に尽きる。
真人の一撃は地面へと叩きつけるだけで終わり、逆に大きな隙を晒す。
顔面を掴まれ、ロボひろしの頭突きが叩き込まれる。
痛みを伴うと言うブレーキも、道徳のブレーキもない。
故に威力は絶大。これが常人であれば即死の威力だろう。
一撃で見るに堪えないような顔へと変えられたその姿を前に、
休む暇を与えず呪具を潰れた顔面へと叩きこむ。
彼の身体は四肢だけが無茶苦茶な動きができるわけではない。
游雲を一度手放し、足から上の身体の全てが股下をくぐるように回転。
鉄拳寺との戦いにも用いた驚異的な可動域は初見殺しの一言に尽きる。
真人の一撃は地面へと叩きつけるだけで終わり、逆に大きな隙を晒す。
顔面を掴まれ、ロボひろしの頭突きが叩き込まれる。
痛みを伴うと言うブレーキも、道徳のブレーキもない。
故に威力は絶大。これが常人であれば即死の威力だろう。
一撃で見るに堪えないような顔へと変えられたその姿を前に、
休む暇を与えず呪具を潰れた顔面へと叩きこむ。
寸前、背中から生えた白い翼が真人を上空へと逃がす。
視覚を取り戻しつつ、天井を破壊してそこから逃亡。
逃がすつもりなんて欠片もないロボひろしはジャンプ一つで追いつく。
飛ぶことはできずとも、人間離れ(いやロボットだが)した跳躍力で問題ない。
その間に地上へ降りるように真人は着地して、左腕が動くかを軽く確認する。
真人が店の屋根を見上げ、ロボひろしがそこから見下ろす。
視覚を取り戻しつつ、天井を破壊してそこから逃亡。
逃がすつもりなんて欠片もないロボひろしはジャンプ一つで追いつく。
飛ぶことはできずとも、人間離れ(いやロボットだが)した跳躍力で問題ない。
その間に地上へ降りるように真人は着地して、左腕が動くかを軽く確認する。
真人が店の屋根を見上げ、ロボひろしがそこから見下ろす。
「参考までに聞くけど、あんたは俺を殺した後どうするつもりだい?」
突然として、真人が会話を持ちかけてくる。
先ほどまでの怒涛の戦いはいきなり静けさを感じさせた。
相手の腕はもう治ってる。疲労と言うものも相手にはない。
先ほどまでの怒涛の戦いはいきなり静けさを感じさせた。
相手の腕はもう治ってる。疲労と言うものも相手にはない。
「あ、別に時間稼ぎとか意図はないよ。
ただ素朴な疑問さ。信じるか信じないかは別だけど。」
ただ素朴な疑問さ。信じるか信じないかは別だけど。」
「何で、そんなことをてめえが聞くんだ。」
信じる気などさらさらないが、
何をしてくるか分からないことに変わりはない。
適切な対応ができるわけでもないので、着地しつつ返答する。
寧ろ隙を見せたら攻撃するつもりの構えだ。
何をしてくるか分からないことに変わりはない。
適切な対応ができるわけでもないので、着地しつつ返答する。
寧ろ隙を見せたら攻撃するつもりの構えだ。
「あんたにとって俺は殺すべき仇敵。
殺した後、一体何をするつもりなのかなって。」
殺した後、一体何をするつもりなのかなって。」
勿論、楽しみたいから負けるつもりはないけどね。
自信ありげに不敵な笑みを浮かべる真人に警戒は怠らない。
質問に対しての答えは、一つだけ。
自信ありげに不敵な笑みを浮かべる真人に警戒は怠らない。
質問に対しての答えは、一つだけ。
「決まってんだろ! お前の化け物に攫われたレヴィちゃんを助けるに───」
「へぇ、自分のガキの方は大事じゃないんだ。」
その一つの答えを止めたのは
暴力も何もない、たった一言。
息子について。
暴力も何もない、たった一言。
息子について。
「なんで、しんのすけが出てくるんだよ……。」
「えーっと……ああミルドラース。
主催の奴が言ってたじゃあないか。
彼は優勝者に対して願いを叶えてくれる。なら、
優勝者の権限を使ってガキを生き返らせてもらえばいい。
そうすればそっちのガキは生き返るし、過程で俺も死ぬ。
親は子の為に尽くす……人間ってそういうものでしょ?」
主催の奴が言ってたじゃあないか。
彼は優勝者に対して願いを叶えてくれる。なら、
優勝者の権限を使ってガキを生き返らせてもらえばいい。
そうすればそっちのガキは生き返るし、過程で俺も死ぬ。
親は子の為に尽くす……人間ってそういうものでしょ?」
「ふざけんな! その為に全員殺すってのかよ!!」
息子の為にしんのすけの親友であるマサオ君も、
この殺し合いで出会ったレヴィちゃんも、もう一人の自分も殺すと言うこと。
誰も殺さない、殺させないという彼女と交わした言葉から最もかけ離れた行為。
とても受け入れられるわけがなかった。
この殺し合いで出会ったレヴィちゃんも、もう一人の自分も殺すと言うこと。
誰も殺さない、殺させないという彼女と交わした言葉から最もかけ離れた行為。
とても受け入れられるわけがなかった。
「第一『息子に尽くすのが親』っててめえは言ってるが、
俺にはそれが『息子を免罪符にしたバカな親』にしか思えねえ!」
俺にはそれが『息子を免罪符にしたバカな親』にしか思えねえ!」
「ガキも死に際に言ってたでしょ? 誰かを助けたそうな遺言。
俺にも頼み込んでたよ。仲間が危ない目に遭ってるから助けてって。
でもあんたはガキの言葉に耳を傾けず、仇の俺を倒してさっきの子を助ける。
あんたにとっては残り百八人の命とガキの命、どっちを選ぶかもう決まったわけだ。
いや、もうあれから随分時間が経ってることだし、百七人になっちゃったかな?」
俺にも頼み込んでたよ。仲間が危ない目に遭ってるから助けてって。
でもあんたはガキの言葉に耳を傾けず、仇の俺を倒してさっきの子を助ける。
あんたにとっては残り百八人の命とガキの命、どっちを選ぶかもう決まったわけだ。
いや、もうあれから随分時間が経ってることだし、百七人になっちゃったかな?」
「違う!! 俺は───」
『しんのすけのいない世界に未練なんかあるか!?』
これはあくまで野原ひろしの記憶であり、厳密には彼の記憶ではない。
戦国時代へしんのすけがタイムスリップしたと分かった時ひろしはそういった。
戦国と言う、現代人からすれば危険な場所だがそれでも息子を助けに行く。
それが父親としてしなければならないことだと分かっていたから。
戦国時代へしんのすけがタイムスリップしたと分かった時ひろしはそういった。
戦国と言う、現代人からすれば危険な場所だがそれでも息子を助けに行く。
それが父親としてしなければならないことだと分かっていたから。
では、息子が死んだ世界ではどうなのか?
息子が死んで、そんな息子を助けられる方法がある。
ならばその方法で助けるべきなのか。明確な答えが出てこない。
『道徳や倫理から外れた行為を選べる』と言う迷いが、一瞬でも生まれた。
ならばその方法で助けるべきなのか。明確な答えが出てこない。
『道徳や倫理から外れた行為を選べる』と言う迷いが、一瞬でも生まれた。
「ブハッ! 嘘が下手!! 魂が見えなくても揺らいでるのがわかるよ。」
実に楽しそうな、子供のような笑み。
魂が見えないのに相手のことがわかる。
彼にとっては滅多にない経験だ。
魂が見えないのに相手のことがわかる。
彼にとっては滅多にない経験だ。
「でもいいんじゃない? そっちにとって百八人の方が大事で。
だからガキはくたばったままでいる方が、あんたにとっては都合が───」
だからガキはくたばったままでいる方が、あんたにとっては都合が───」
「黙れえええええ───ッ!!!」
耳を傾けるだけの意味など何もないし、聞くに堪えない。
ある意味ロボひろしの手を出す行動は最適解になる。
真人の会話の大体はその場で相手を煽り散らすもの。
多くの言葉には中身がない、あるいはその場のノリばかりだから。
勿論、今のロボひろしにはそんな打算的な考えはもっていない。
ただその口を黙らせなければ気が済まない、それだけ。
游雲ではなく純粋な右ストレートが戦いの再会の合図。
真人も両手を突き出し、刃に変えながら迫る。
ある意味ロボひろしの手を出す行動は最適解になる。
真人の会話の大体はその場で相手を煽り散らすもの。
多くの言葉には中身がない、あるいはその場のノリばかりだから。
勿論、今のロボひろしにはそんな打算的な考えはもっていない。
ただその口を黙らせなければ気が済まない、それだけ。
游雲ではなく純粋な右ストレートが戦いの再会の合図。
真人も両手を突き出し、刃に変えながら迫る。
「人って言うのは多い方が得をするって考えるものさ。
至極まっとうな考えだと思うけどね。あ、でも君はロボットか。」
至極まっとうな考えだと思うけどね。あ、でも君はロボットか。」
「しんのすけを殺したてめえに、そんなこと決められる筋合いはねえ!」
拳と刃がぶつかり合い、
游雲の一撃は避けつつの接近戦。
刃に変えてみたものの、やはり相手が機械では今一つ。
腕を斬り落とすことは叶わない。この点はあの刀の方が上かもしれない。
素直に先程の鈍器を模したほうで殴るべきだと改めて理解して其方へと変える。
游雲の一撃は避けつつの接近戦。
刃に変えてみたものの、やはり相手が機械では今一つ。
腕を斬り落とすことは叶わない。この点はあの刀の方が上かもしれない。
素直に先程の鈍器を模したほうで殴るべきだと改めて理解して其方へと変える。
「ないならどっちか教えてよ。ガキなのか他人なのか、小より大なのか。
言い訳しないと生きていけない。人間はそうやって言霊に従うものさ。」
言い訳しないと生きていけない。人間はそうやって言霊に従うものさ。」
「そっちのおしゃべりに付き合ってられるか!
てめえの言葉に耳を傾ける方が間違いだとよくわかったッ!!」
てめえの言葉に耳を傾ける方が間違いだとよくわかったッ!!」
互いに受けるべきではない攻撃を用意されてる都合、
さっきまでの激しさとは打って変わって消極的な戦い方だ。
致命傷となる武器か部位の攻撃を避けては自分の攻撃を通そうとする。
一見すると地味ではあるものの、互いに相手の動きを窺っていると言うこと。
さっきまでの激しさとは打って変わって消極的な戦い方だ。
致命傷となる武器か部位の攻撃を避けては自分の攻撃を通そうとする。
一見すると地味ではあるものの、互いに相手の動きを窺っていると言うこと。
「奇遇だね。俺もそろそろ終わりにしたいんだ。
大分学ぶことができて楽しかったよ。おとーさん。」
大分学ぶことができて楽しかったよ。おとーさん。」
「ふざけやがってッ!!」
五回か六回か。
互いの攻撃を回避しては自分の一撃を狙う。
似たようなのを繰り返してた動きを変えるのは真人。
大きく距離を取りながら腕を肥大化させて、近くの車を投げ飛ばす。
すぐさまその死角を利用しながら接近して攻撃の準備に入る。
互いの攻撃を回避しては自分の一撃を狙う。
似たようなのを繰り返してた動きを変えるのは真人。
大きく距離を取りながら腕を肥大化させて、近くの車を投げ飛ばす。
すぐさまその死角を利用しながら接近して攻撃の準備に入る。
投げ飛ばされた車へロボひろしが大きく跳躍する形で回避。
跳躍した瞬間を狙うかのように、真人も空へと翼を広げて飛ぶ。
下から迫る鈍器の一撃を、回し蹴りの要領でぶつけ合う。
跳躍した瞬間を狙うかのように、真人も空へと翼を広げて飛ぶ。
下から迫る鈍器の一撃を、回し蹴りの要領でぶつけ合う。
(流石に浅い!)
漸く入った一撃だが、相手は重力を乗せてるのもあって浅い。
残る片方の足で蹴り飛ばされるが、それも計算のうち。
先に地面へと着地できるのは自分で、相手は先程の飛行できないことは察してる。
飛べば刀の攻撃などすぐに復帰できただろうし、二階への跳躍もジャンプだけ。
何かしらの故障か何かで、機能しなくなってしまっているのだと。
後は所謂着地狩りの瞬間を狙ってしまえばこちらが優勢だ。
悠々と迎え撃てばそれでゲームセット。
残る片方の足で蹴り飛ばされるが、それも計算のうち。
先に地面へと着地できるのは自分で、相手は先程の飛行できないことは察してる。
飛べば刀の攻撃などすぐに復帰できただろうし、二階への跳躍もジャンプだけ。
何かしらの故障か何かで、機能しなくなってしまっているのだと。
後は所謂着地狩りの瞬間を狙ってしまえばこちらが優勢だ。
悠々と迎え撃てばそれでゲームセット。
その予想は『真人がした攻撃』で失敗した。
ぶつけた場所が脚部と言うのが原因である。
勢いよく回転する脚部は突如プロペラとなって大きく加速。
ぶつけた場所が脚部と言うのが原因である。
勢いよく回転する脚部は突如プロペラとなって大きく加速。
(直った!!)
先の攻撃の衝撃で、機能が戻ってしまったのだ。
機械は叩けば直るとか、そういうことなのかは分からない。
とにかく使えると分かった以上、それを使わない筈がなく。
機械は叩けば直るとか、そういうことなのかは分からない。
とにかく使えると分かった以上、それを使わない筈がなく。
(速度が上がっ───)
プロペラ回転はもう使えないと踏んでいたせいで、
此処で真人の対応は遅れ、顔面に初めて游雲の一撃が叩きこまれる。
三節棍の扱いに慣れてないお陰で多少威力は低いものになるが、
そもそも特級呪具の一撃。顔面を潰す威力を叩き込まれれば無事で済むはずがない。
勢いの付いた攻撃にアスファルトの上削り、バウンドしながら叩きつけられる。
此処で真人の対応は遅れ、顔面に初めて游雲の一撃が叩きこまれる。
三節棍の扱いに慣れてないお陰で多少威力は低いものになるが、
そもそも特級呪具の一撃。顔面を潰す威力を叩き込まれれば無事で済むはずがない。
勢いの付いた攻撃にアスファルトの上削り、バウンドしながら叩きつけられる。
(これが、これが呪具の一撃!
しかも特級の俺にもこれほどの威力! 想像以上だ!)
しかも特級の俺にもこれほどの威力! 想像以上だ!)
呪力が相当持っていかれる一撃。
余り笑える状況ではないし、当人もそう思ってる。
でも嗤う。こんな痛みもダメージも、一度も経験したことがない。
何度かバウンドして、近くの民家の植え込みへと突っ込む。
余り笑える状況ではないし、当人もそう思ってる。
でも嗤う。こんな痛みもダメージも、一度も経験したことがない。
何度かバウンドして、近くの民家の植え込みへと突っ込む。
(追撃するならいましかねえ!)
倒れている真人をそのまま叩く。
今なら状況的に自分の方が攻められる状況。
到来したチャンスを逃すわけにはいかない。
直ったプロペラをフル回転させて肉薄。
そして茂みから顔を出した瞬間その呪具を───
今なら状況的に自分の方が攻められる状況。
到来したチャンスを逃すわけにはいかない。
直ったプロペラをフル回転させて肉薄。
そして茂みから顔を出した瞬間その呪具を───
「───ッ!!」
振るえなかった。
植え込みから顔を出したのは真人ではない。
目の前にいたのは仇ではなく、よく知る顔だ。
もういるはずがない。しかし此処にいた、自分の息子の顔。
真人が死体を利用したと思うが、焦点の合った瞳を向けている。
死人ではない。では真人が顔を変化……その可能性はない。
身体の変化をさせるならしてくると予想してたことではある。
しかしその考えは捨てた。やるならもっと使える場面はあったはず。
手痛い一撃を受けるまで使わない理由が、性根が腐った彼にあるはずがない。
だから断言できる。彼は体を弄ることはできても誰かに変身はできないと。
躊躇った瞬間に息子ではないことはすぐに理解する。首から下の服装は、
服があの男と同じ、性格を現したかのような黒だったから。
偽物とはすぐに分かった。分かったとしても、一瞬だけ躊躇った。
たかが一瞬。だがこの状況でその一瞬の隙は、絶大なものへと変わる。
植え込みから顔を出したのは真人ではない。
目の前にいたのは仇ではなく、よく知る顔だ。
もういるはずがない。しかし此処にいた、自分の息子の顔。
真人が死体を利用したと思うが、焦点の合った瞳を向けている。
死人ではない。では真人が顔を変化……その可能性はない。
身体の変化をさせるならしてくると予想してたことではある。
しかしその考えは捨てた。やるならもっと使える場面はあったはず。
手痛い一撃を受けるまで使わない理由が、性根が腐った彼にあるはずがない。
だから断言できる。彼は体を弄ることはできても誰かに変身はできないと。
躊躇った瞬間に息子ではないことはすぐに理解する。首から下の服装は、
服があの男と同じ、性格を現したかのような黒だったから。
偽物とはすぐに分かった。分かったとしても、一瞬だけ躊躇った。
たかが一瞬。だがこの状況でその一瞬の隙は、絶大なものへと変わる。
(ああ、やっぱり彼は魂がないのに人間だ。)
状況が優勢であれば笑い転げていた展開。
死んだはずの人間が何処かで生きてるような、
そんな可能性に縋ることがある。それが人間の性。
愛する者がいつまでもこの世のどこかに生きていると、
万が一、億が一でもあるとしたらと言う可能性に縋ってしまう。
もしそれがNPCでも、本物の息子がいると言うたった一つの可能性。
彼は捨てられなかった。機械による100%ありえないと認識したとしても。
死んだはずの人間が何処かで生きてるような、
そんな可能性に縋ることがある。それが人間の性。
愛する者がいつまでもこの世のどこかに生きていると、
万が一、億が一でもあるとしたらと言う可能性に縋ってしまう。
もしそれがNPCでも、本物の息子がいると言うたった一つの可能性。
彼は捨てられなかった。機械による100%ありえないと認識したとしても。
「あれ? 手遅れで助けようのない人を模倣したのに躊躇うんだ。」
ゲスな笑みと人を莫迦にした態度。
紛れもない奴だと同時に、その声帯は息子の物だった。
紛れもない奴だと同時に、その声帯は息子の物だった。
真人は他人に擬態することはできない。
勿論成長次第では本来起こるであろう未来での出来事のように、
顔を変化させて、最終的に他人に化けられる可能性はある。
だがこの真人は虎杖はおろか、七海とすら戦ってない真人だ。
首だけになった漏瑚を使いサッカーをしようかしまいかしてた頃の。
そこから僅か数時間でそこの段階に至れることはかなり難しい。
いかにロボひろしとの戦いが新鮮で刺激的なものだったとしても。
ではなぜ今擬態ができたのかは、左手につけた小さな銀色の指輪にある。
ひろしを刀で狙っていた時に、散らばっていたレヴィの支給品の一つ。
その中で手ぶらでも使えるものだと分かったので持ってきたもの。
変身の指輪。安直すぎるものだが円卓の騎士の一人が使った宝具。
宝具のランクもB相当とあって、精度は見ての通りのものだ。
勿論成長次第では本来起こるであろう未来での出来事のように、
顔を変化させて、最終的に他人に化けられる可能性はある。
だがこの真人は虎杖はおろか、七海とすら戦ってない真人だ。
首だけになった漏瑚を使いサッカーをしようかしまいかしてた頃の。
そこから僅か数時間でそこの段階に至れることはかなり難しい。
いかにロボひろしとの戦いが新鮮で刺激的なものだったとしても。
ではなぜ今擬態ができたのかは、左手につけた小さな銀色の指輪にある。
ひろしを刀で狙っていた時に、散らばっていたレヴィの支給品の一つ。
その中で手ぶらでも使えるものだと分かったので持ってきたもの。
変身の指輪。安直すぎるものだが円卓の騎士の一人が使った宝具。
宝具のランクもB相当とあって、精度は見ての通りのものだ。
そして今躊躇った隙を、見逃すことはない。
声や顔は彼だが、それを否定する右腕の鈍器。
回避も防御も完全に間に合わなかった。
声や顔は彼だが、それを否定する右腕の鈍器。
回避も防御も完全に間に合わなかった。
「クソッタレ───ッ!!!」
ただ一つ、怨嗟の声を轟かせることぐらいだ。
顔面に叩き込まれ、顔面のパーツが辺りへ散らばった───
顔面に叩き込まれ、顔面のパーツが辺りへ散らばった───
【ロボひろし@クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶガチンコ逆襲のロボとーちゃん 破壊】
【残り102名】
【残り102名】