コンペ・ロワイアルの開始から六時間。
あるいは真の開幕を告げる放送から四時間半。
時間にして午前六時。
これより会場に流れるのは最初の定時放送。
真の開幕を告げたイレギュラーではなく、バトル・ロワイアル本来のルールに記載された、絶望を告げるもの。
あるいは真の開幕を告げる放送から四時間半。
時間にして午前六時。
これより会場に流れるのは最初の定時放送。
真の開幕を告げたイレギュラーではなく、バトル・ロワイアル本来のルールに記載された、絶望を告げるもの。
『おはよう。四時間半ぶりだな、参加者の諸君』
ミルドラースの声が会場に響く。
この声に参加者が覚える感情はいかなるものか。
だがいかなるものであっても彼は看過しない。
ただ、彼は告げるべきを告げるだけ。
この声に参加者が覚える感情はいかなるものか。
だがいかなるものであっても彼は看過しない。
ただ、彼は告げるべきを告げるだけ。
『この放送は禁止エリアについて発表するためのものだ。
今回は最初の放送から四時間半後だったが、本来は六時間ごとに行う。
よって次に放送を聞くのは、十二時ということになるな。もっとも、それまで生きていられたらの話だが』
今回は最初の放送から四時間半後だったが、本来は六時間ごとに行う。
よって次に放送を聞くのは、十二時ということになるな。もっとも、それまで生きていられたらの話だが』
『では禁止エリアの発表と行こうか。
二時間後にA-6
四時間後にD-5
六時間後にI-5
四時間後にD-5
六時間後にI-5
以上の三つだ。
そしてせっかくだ。もう一つ諸君らにとって重要な情報をくれてやろう』
そしてせっかくだ。もう一つ諸君らにとって重要な情報をくれてやろう』
ここでミルドラースは、会場にいる参加者には見えないが邪悪な笑みを浮かべる。
もっとも、そんなほくそ笑んだ顔を想像できる参加者もいるだろうが。
もっとも、そんなほくそ笑んだ顔を想像できる参加者もいるだろうが。
『それは、コンペ・ロワイアル内で今までに退場した者の名前だ。これからは定時放送において禁止エリアと共に発表してやろう。
参加者の中には知人や一方的に見知った者を探したり、警戒している者がいるだろう。
だが死者の捜索に金泥したり、既に死んだ相手を警戒されても滑稽なだけだ。
面白くはあるが、殺し合いにおいては進行を妨げるだけなのでな。
心して聞くがいい』
参加者の中には知人や一方的に見知った者を探したり、警戒している者がいるだろう。
だが死者の捜索に金泥したり、既に死んだ相手を警戒されても滑稽なだけだ。
面白くはあるが、殺し合いにおいては進行を妨げるだけなのでな。
心して聞くがいい』
『ではいくぞ。
絶叫するビーバー
クレマンティーヌ
アキネーター
Syamu game
RRM姉貴
藍野伊月
和泉守兼定
星野輝子
野原しんのすけ
西片
野比のび太
ピーチ姫
令嬢剣士
足柄
ホル・ホース
沖田総司
佐々木哲平
グレシア・ゲッベルス
斬真狼牙
ぉ姫様
佐藤和真
レム
高垣楓
シャガクシャ
鳥月日和
ブースカ
とがめ
ひろし
甘露寺蜜璃
クレマンティーヌ
アキネーター
Syamu game
RRM姉貴
藍野伊月
和泉守兼定
星野輝子
野原しんのすけ
西片
野比のび太
ピーチ姫
令嬢剣士
足柄
ホル・ホース
沖田総司
佐々木哲平
グレシア・ゲッベルス
斬真狼牙
ぉ姫様
佐藤和真
レム
高垣楓
シャガクシャ
鳥月日和
ブースカ
とがめ
ひろし
甘露寺蜜璃
ああ、あとオグリキャップを忘れていたな。
以上。合計30名だ』
以上。合計30名だ』
『素晴らしい! 既に参加者の四分の一以上が退場しているではないか!
もし死者が出なければ参加者の首輪を全て爆発させることになるかと思っていたが、そんな興ざめしたことにはならなさそうでなによりだ』
もし死者が出なければ参加者の首輪を全て爆発させることになるかと思っていたが、そんな興ざめしたことにはならなさそうでなによりだ』
『そしてもう一つ朗報だ。
先ほど呼ばれた名前の数が多すぎて、覚えられないという者もいるだろう。記録する術を持つ者も少ないからな。
だが安心せよ。
参加者の名前が書かれた名簿を見るがいい。
この殺し合いを退場した者の名前は赤く染めておいた。これで万が一聞き逃したとしても安心だな。
ついでに禁止エリアの方も同様だ。地図もそのエリアは赤く染めているから、安心して近寄らないようにするがいい』
先ほど呼ばれた名前の数が多すぎて、覚えられないという者もいるだろう。記録する術を持つ者も少ないからな。
だが安心せよ。
参加者の名前が書かれた名簿を見るがいい。
この殺し合いを退場した者の名前は赤く染めておいた。これで万が一聞き逃したとしても安心だな。
ついでに禁止エリアの方も同様だ。地図もそのエリアは赤く染めているから、安心して近寄らないようにするがいい』
『余談だが、A-6に存在する香霖堂についてだ。現状、少々隅にありすぎてせっかくの施設が台無しだ。
なので禁止エリアに選ばれたことと合わせて移転することに決定した。移転場所は、次の放送で発表するとしよう』
なので禁止エリアに選ばれたことと合わせて移転することに決定した。移転場所は、次の放送で発表するとしよう』
『それからこれは詫び入れだが、実は一部の参加者の支給品をこちらで没収している。
これに関してはこちらの不手際だ。代わりにランダム支給品を同じだけ与えているので、どうかそれで許してはくれまいか』
これに関してはこちらの不手際だ。代わりにランダム支給品を同じだけ与えているので、どうかそれで許してはくれまいか』
『最後に、とても大切なことを言っておこう。
この放送以降の予約に置いて、最終的な時間が朝ならば、放送前に参加者が退場しても第二回放送前の退場者として扱うと明言しよう』
この放送以降の予約に置いて、最終的な時間が朝ならば、放送前に参加者が退場しても第二回放送前の退場者として扱うと明言しよう』
『ではこれにて、コンペ・ロワイアル第一回定時放送を終了する。
次の放送も聞けると良いな、参加者の諸君』
次の放送も聞けると良いな、参加者の諸君』
◆
「お疲れ様」
「……マキマか」
「……マキマか」
放送を終えたミルドラースは、彼の元に現れたマキマに対し訝し気な表情を見せる。
最初の放送の時もそうだが、彼女はなぜ自分の元に来るのか、ミルドラースには理解できなかった。
最初の放送の時もそうだが、彼女はなぜ自分の元に来るのか、ミルドラースには理解できなかった。
彼らは断じて仲間ではない。
立場こそ同じ主催者であり、この盤上を成立させている存在だ。
互いに必要としあっていると言っていいが、それでも彼らの間には格差がある。
立場こそ同じ主催者であり、この盤上を成立させている存在だ。
互いに必要としあっていると言っていいが、それでも彼らの間には格差がある。
ミルドラースとマキマには、見えている物が違う。
自分には見えていないものが彼女には見えている、と彼は確信している。
自分には見えていないものが彼女には見えている、と彼は確信している。
これから我はそんな相手に弱みを見せるかもしれない。
恐れながらも、彼は一歩踏み出しある問いかけをする。
恐れながらも、彼は一歩踏み出しある問いかけをする。
「マキマよ」
「何かな?」
「貴様は、あの意味を知っているのか?」
「何かな?」
「貴様は、あの意味を知っているのか?」
ミルドラースが問うたのは、どう聞いても参加者に向けた物とは思えない『この放送以降の予約に置いて、最終的な時間が朝ならば、放送前に参加者が退場しても第二回放送前の退場者として扱うと明言しよう』一文について。
聞いたところで答えが返って来る保証はない。
仮に返答されても、それが真実かどうかを確かめる術はない。
それでも、彼は問う。
聞いたところで答えが返って来る保証はない。
仮に返答されても、それが真実かどうかを確かめる術はない。
それでも、彼は問う。
「私も完全に分かっているわけじゃないけど」
ミルドラースの問いに、マキマは困り顔で応じる。
彼女の表情は演技ではなく、本気で困っているような、そんな風に見える。
彼女の表情は演技ではなく、本気で困っているような、そんな風に見える。
「分かっていると思うけど、あれは参加者に向けた物じゃない。
じゃあ何に向けたかって言うと、この殺し合いを認識している外側にいる者に向けた物」
「外側?」
「うん。外側。
コンペ・ロワイアルが始まる前……ううん。私達が生まれるより前から確かにある、決して触れられない筈の場所。
そして、私達がたどり着くべき場所でもある」
じゃあ何に向けたかって言うと、この殺し合いを認識している外側にいる者に向けた物」
「外側?」
「うん。外側。
コンペ・ロワイアルが始まる前……ううん。私達が生まれるより前から確かにある、決して触れられない筈の場所。
そして、私達がたどり着くべき場所でもある」
ミルドラースに対して話していた筈が、いつの間にかまるで決意を晒すような語り口へと変わっていくマキマ。
その様を見ている彼に、意味は伝わらない。
だが
その様を見ている彼に、意味は伝わらない。
だが
「らしいよ」
「……らしい?」
「アルタイルちゃんがそう言っていただけだからね。
正直なところ、私にはまだよく分かっていないんだ。
参加者にも一部なら理解者がいるみたいだけど、誰の事なんだろうね」
「知るか」
「……らしい?」
「アルタイルちゃんがそう言っていただけだからね。
正直なところ、私にはまだよく分かっていないんだ。
参加者にも一部なら理解者がいるみたいだけど、誰の事なんだろうね」
「知るか」
マキマの言い分を切り捨て、去っていくミルドラース。
得るものがなかったとは言わない。
しかし、肝心な部分はよく分からないままだった。
得るものがなかったとは言わない。
しかし、肝心な部分はよく分からないままだった。
その後すぐに悪魔神官からマキマが香霖堂に足を運んでいたという情報を得るが、それはまた後の話。
◆
ミルドラースとマキマが話していた部屋とは別の場所で、アルタイルがあるものを見上げる。
彼女の視線の先にあるものは、巨大な魔力を内包する器。
見る者が見ればこう称するだろう。
ホーリーグレイル、聖杯。
数多の集められた参加者の元の世界のうち一つ、支給品を含めればいくつかの世界で行われている儀式、聖杯戦争。
その戦争の果てにある物が、コンペ・ロワイアルの会場にもあった。
彼女の視線の先にあるものは、巨大な魔力を内包する器。
見る者が見ればこう称するだろう。
ホーリーグレイル、聖杯。
数多の集められた参加者の元の世界のうち一つ、支給品を含めればいくつかの世界で行われている儀式、聖杯戦争。
その戦争の果てにある物が、コンペ・ロワイアルの会場にもあった。
「……サーヴァントが落ちたか」
小さく呟くアルタイル。
視線の先にある聖杯に魔力が溜まったのを感知すれば、それに気づくことは難しくない。
視線の先にある聖杯に魔力が溜まったのを感知すれば、それに気づくことは難しくない。
「藤丸立香は最初の段階で儀式とは予測していたが、まさか聖杯戦争とは思っていないようだな。
まあ、それはそうか。数多の異世界が集うのなら、知らない儀式の可能性も考えなければならないうえ、沖田総司だけが自分と同じ世界と感づけば、聖杯戦争をしているとは思えんだろうよ」
まあ、それはそうか。数多の異世界が集うのなら、知らない儀式の可能性も考えなければならないうえ、沖田総司だけが自分と同じ世界と感づけば、聖杯戦争をしているとは思えんだろうよ」
独り言を続けるアルタイル。
誰が聞いているわけでもない。否。彼女は誰かが聞いていたとしても気にも留めていない。
誰が聞いているわけでもない。否。彼女は誰かが聞いていたとしても気にも留めていない。
「わざわざ出展をすり替えた甲斐があったものだ。あのままでは沖田総司も名簿の別の行に書かねばならず、気づかれていたかもしれないからな。
彼女達が住んでいる世界だけでなく、Fateシリーズ以外の出展の参加者にも、我々が召喚したサーヴァントが紛れているとな。
もっとも、サーヴァントも我々に召喚された記憶などないのだから、閲覧制限を掛けていた野原ひろし? と違ってヘブンズ・ドアーでは見ることすら不可能だ」
彼女達が住んでいる世界だけでなく、Fateシリーズ以外の出展の参加者にも、我々が召喚したサーヴァントが紛れているとな。
もっとも、サーヴァントも我々に召喚された記憶などないのだから、閲覧制限を掛けていた野原ひろし? と違ってヘブンズ・ドアーでは見ることすら不可能だ」
何故ここまで話すのかは、この場で分かるのはアルタイルだけだ。
ミルドラースの手下や他の主催が聞いているかなど、現時点では定まっていない。
にも拘わらずここまで話す。
ミルドラースの手下や他の主催が聞いているかなど、現時点では定まっていない。
にも拘わらずここまで話す。
まるで後付けの設定を、既定の事実として定めるかのように。
「さて、気が早いがミルドラースに顔を出しておくか。
次の放送は私の担当だからな。それを伝えておくとしよう」
次の放送は私の担当だからな。それを伝えておくとしよう」
こうしてアルタイルはミルドラースの元へ向かう。
その様に淀みはない。
予定外など既にいくつも起こっているのに、彼女はまるで動じていない。
その様に淀みはない。
予定外など既にいくつも起こっているのに、彼女はまるで動じていない。
「規定などない。未来など定まっていない。
ならば私が動揺する道理がない。最後だけが決まっていれば、途中などアドリブでいい。
極端な話、サーヴァント以外なら外側の都合で帰還者が多少出ても何とかはなる。
そういうものだ、この話は。
ならば私が動揺する道理がない。最後だけが決まっていれば、途中などアドリブでいい。
極端な話、サーヴァント以外なら外側の都合で帰還者が多少出ても何とかはなる。
そういうものだ、この話は。
そうだ、目的だけは成し遂げるとも。
最後の最後だけは、我々が掴んでやる」
最後の最後だけは、我々が掴んでやる」
◆
同じ頃、コンペ・ロワイアル会場にて。
ゴブリンの巣穴から、一匹のゴブリンが地上に現れた。
否、知らぬものが見ればそれをゴブリンと認識できるだろうか。
ゴブリンの巣穴から、一匹のゴブリンが地上に現れた。
否、知らぬものが見ればそれをゴブリンと認識できるだろうか。
成人男性よりも大きな体を持つ、筋骨隆々のその姿。
かのゴブリンスレイヤーならこう言うだろう、ゴブリンロードと。
誰であろう、真のOPにて現れた主催陣営の一角、小鬼王である。
かのゴブリンスレイヤーならこう言うだろう、ゴブリンロードと。
誰であろう、真のOPにて現れた主催陣営の一角、小鬼王である。
なぜ地上に現れるのに四時間半もかかったのか、それは小鬼王が目的地に向かう途中こう思ったからだ。
何も自分で行かなくても、適当にNPCのゴブリンを宛がえばそれで充分ではないか? と。
何も自分で行かなくても、適当にNPCのゴブリンを宛がえばそれで充分ではないか? と。
しかしその企みはあえなく潰えた。
ゴブリン達はてんでバラバラの方向へ向かい、ある時は淫欲を操られ参加者の良いように使われ、ある時は別のNPCの洗脳効果に操られ良いように使われるなど、ロクに役割を果たせてはいなかった。
なので小鬼王は業を煮やし、自ら殺し合いの場に降り立ったのだ。
ゴブリン達はてんでバラバラの方向へ向かい、ある時は淫欲を操られ参加者の良いように使われ、ある時は別のNPCの洗脳効果に操られ良いように使われるなど、ロクに役割を果たせてはいなかった。
なので小鬼王は業を煮やし、自ら殺し合いの場に降り立ったのだ。
ところで、ゴブリンの巣穴と言うとコンペ・ロワイアル会場において現在描写されているのは、いのちの輝きの出発点だけである。
しかし、ゴブリンは会場のいたるところに存在している。
故に、巣穴も一つだけとは限らない。
つまり、現状小鬼王がどこにいるかは不明である。
しかし、ゴブリンは会場のいたるところに存在している。
故に、巣穴も一つだけとは限らない。
つまり、現状小鬼王がどこにいるかは不明である。
第一回放送と同時に様々な動きを見せる主催者勢。
しかし、それと参加者の動きはまた別物。
ぶつかり合うかすれ違うか、はたまた同じ方向を向くか。
その答えは未だ見えず。
しかし、それと参加者の動きはまた別物。
ぶつかり合うかすれ違うか、はたまた同じ方向を向くか。
その答えは未だ見えず。
※A-6 香霖堂が別のエリアに転送されました。どこに転送されたかは後の書き手氏にお任せします。
※コルワ、岸辺露伴、クッパ姫のデイパックにランダム支給品×1が転送されました。
※第二回放送はアルタイルが担当します。これは現時点での決定で、後で何らかの理由で変更される可能性もあります。
※ゴブリンロードが会場の地上に出現しました。どこに現れたか、どこを目指しているかは次の書き手氏にお任せします。
※コルワ、岸辺露伴、クッパ姫のデイパックにランダム支給品×1が転送されました。
※第二回放送はアルタイルが担当します。これは現時点での決定で、後で何らかの理由で変更される可能性もあります。
※ゴブリンロードが会場の地上に出現しました。どこに現れたか、どこを目指しているかは次の書き手氏にお任せします。
097:少々ここらでオーバライド ……したいところだけど現実は | 投下順 | 098:出ていけ!出ていけと言っている!(二度目) |