コンペロリショタバトルロワイアル@ ウィキ

ともだちひゃくにんできるかな

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 バトルロワイアルの会場に配置された小学校の教室のうちの一つの中に、参加者として選ばれた少女達が立て籠もっていた。
 教室の扉には机と椅子で簡易的なバリケードを作り、侵入者を防いでいる。

「とりあえずはこれで凌げそうだけれど……」

 教室の窓の外を見渡しながら、源静香――友人からはしずかちゃんと呼ばれている少女が呟く。

「まるちゃんみたいな私達が知ってる人も、巻き込まれてるのかな……」

 怯えを隠せない様子で、穂波たまえ――親友からはたまちゃんと呼ばれている少女が言う。背は静香よりも低く、学年にして2年ほど年下といえる。

「乃亜って人に集められたとき、たまえちゃんが知ってる人はいたの?」
「分かりません……。あんなのを見せられて、何も考えられなかったんです……」

 俯きながら、たまえは静香の問いに首を振る。

「そうよね……あんなことが起こるなんて……」

 静香もここに飛ばされる前の、海馬乃亜が行った残虐な行いや死者蘇生といったあまりにも現実離れした光景が脳裏に蘇り、息を詰まらせる。
 静香もまた、自分の知人がいたかどうかはよく覚えていない。様々な冒険を共にしたドラえもんやのび太、ジャイアンやスネ夫がいてくれれば頼もしいのだが。

「しずかさんもたまえさんも、心配な人がいるなら今すぐ探しに行くべきよ!ここでじっとしているわけにもいかないでしょ?」

 そう言って声を上げるのは、桜田ネネだ。身長はたまえよりもさらに低く、年齢も5歳と見ての通り幼稚園児だ。
 それを聞いて、静香とたまえは困ったように顔を見合わせる。

「でもね、ネネちゃん」
「あまり動き過ぎるのは危険よ。今の私達が襲われたら、誰も助からないわ。私やたまえちゃん、ネネちゃんだけじゃない、もっと小さい子もいるのよ?」

 そう言って、静香はネネの隣へと視線を移す。そこには、花柄のワンピースを着た幼い女の子がいた。ネネよりもさらにさらに背は小さく、齢にして3歳程度だろうか。あまり殺し合いに参加させられたことによる動揺はなく、いまいち状況を把握していないようだった。

「……わたしのこと?しずかもたまえもネネも、みんなおっきいよ?」

 静香、たまえ、ネネから視線を移されて、女の子はきょとんとしながら小首を傾げる。
 3歳でありながら、基本的な会話は可能なようだった。

 静香、たまえ、ネネ、そして女の子は、運よくこの小学校で出会うことができた。全員が互いにゲームに乗っていないことを確認すると、静香の発案でとにかく身を隠せる場所として教室に立て籠もることにしたのだ。
 この中でも、静香は明らかに最年長だったため、ある種の責任感を持っていた。

「それでも、こんなところに籠ったまま何もせず動かないなんて、何一つ良くならないわ!そりゃアタシだって怖いわよ!怖いけど……襲ってくる人だけじゃなくって、友達や協力してくれる人とも会えるかもしれないでしょ!?ウジウジして何もしない人、アタシキライっ!」
「ネネ、おこらないで」

 ネネはそう言って、ぷいっとそっぽを向いた。そんなネネを見上げながら、女の子は心配そうに寄り添っていた。

「それよりネネ、リアルおままごとっていうのおしえて?どんなことするの?」
「今はやらないっ!あれは男がいないとできないの!どこかの誰かさんが閉じこもったままで友達も探しに行こうともしないから、何も始まらないわ!」
ともだち……」

 ネネは自分より年上の小学生二人を横目で見ながら鼻を鳴らす。
 女の子はネネの服を掴みながら、両者を見比べていた。
 静香とたまえは、もう一度顔を見合わせる。
 そして微笑みながら、ネネの頭に手を置いた。

「ありがとう、ネネちゃん」
「ちょっとだけ勇気が出たよ」

 それを聞いて、ネネは少し驚いてから顔を背けたまま気恥ずかしそうにする。
 ネネはかすかべ防衛隊の紅一点としてしんのすけ達と共に巨悪に何度も立ち向かっただけあって年齢にそぐわぬ行動力を持っており、それが静香とたまえを引っ張る形となった。

「よかったぁ、なかなおりできたね!」

 雰囲気が明るくなっていくと同時に、女の子の顔にも笑みがこぼれた。

「それじゃあ、ちょっと危険かもしれないけど、もう少ししたらこの学校を出て他の参加者を探しに行きましょう。離れ離れにならないように、みんな手を繋ぐこと」

 静香の言葉に反論する者はおらず、4人の今後の方針が定まった。
 4人とも出会って間もないが、仲は良好だった。

「その前に、みんなランドセルを持ってきて。参加者と道具を確認しましょう」

 たまこは「はい!」と、女の子は「は~い!」と手を上げ、ネネは照れくささを残したままの様子で各々のランドセルを持ち寄る。
 できればこの中にドラちゃんのひみつ道具があればいいんだけど……と静香は考えていた。

§





これは、殺し合いだ。

殺らなければ、殺られる。

殺せ。

殺せ。

殺せ。

殺せ。

殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。

殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。殺せ。

殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ

§





 少し時間が経った後の教室。
 少女達の和やかな雰囲気で満たされていたそこは、殺し合いの場に発展した。
 床、壁、天井に付着する、血、血、血。
 その中に倒れているのは、源静香、穂波たまえ、桜田ネネ。
 先ほどまで笑い合い、手を取り合っていた少女達は、皆命を落としていた。
 しかも、ただ殺されたのではない。互いに互いの命を奪い合ったのだ。
 その死に顔は、少女の可愛らしいそれではない、目の前のモノに対して憎悪と殺意を向けた醜く歪んだ顔のままだった。
 源静香も穂波たまえも、率先して人を殺そうとするなど考えられない心優しい性格である。桜田ネネも問題行動が時々見られるとはいえ、根は優しいし、そもそも幼稚園児だ。人を殺せるほど身体が発達していない。
 どうしてこんなことになったのだろう、と将来この凄惨な現場を見る者は思うのかもしれない。
 その元凶となる者が、ガラガラガラと教室の扉を開け、机のバリケードの下から這い出てきた。
 それは、あの幼い女の子だった。

「しずかも、たまえも、ネネも死んじゃった。あーあ」

 先ほどの惨劇を経験したにも関わらず、まるでちょっとしたお菓子を落とした程度の軽く惜しむ声を呟きながら、廊下を歩く。
 その頬には、あの三人の誰かからつけられた軽い切り傷があった。
 女の子は軽く周囲を見回してから、あることにようやく気づく。

「ここ、『ざいだん』じゃない?」

 女の子の呟いた『ざいだん』とは、発音そのままに財団である。
 その財団とは、SCP財団。科学では解明できない異常なモノを確保・収容・保護する団体。
 そして女の子は、そのSCP財団に保護されていたSCP-053の番号がつけられた収容対象である。彼女を詳細に記録するページでつけられた名は『幼女』であった。

 ”幼女”の持つ特異性とは、すなわち殺人衝動の誘発。彼女と接触しただけで、どんなに心優しい人物でも激しい被害妄想を引き起こし、やがて近くの人物を殺した後に”幼女”本人を殺そうとするという、この殺し合いにおいてはもはや爆弾とも言えるものだった。
 しかし”幼女”を殺そうとしても、殺意を向けた者は心臓麻痺で死亡するために最後に残るのは”幼女”だけになる。たとえ傷つけられても驚異的な回復力を持っており、どんな傷もたちまち癒えていく。
 静香、たまえ、ネネは、この”幼女”の特異性によって殺し合い、そして命を落としたのだった。
 しかし、そんな惨劇を”幼女”は気にも留めていなかった。なぜなら、”幼女”にとってこれが普通だったから。彼女に近づいた大きな人は、みんな凶暴になって殺し合い、やがて彼女にまで殺意を向けるのだから。

「わぁ……!」

 小学校の門から出て、”幼女”は感嘆の声を上げる。財団で保護されていた時とは違う、見たことのない、刺激的な景色。それは彼女の好奇心を刺激するには十分だった。

「ともだち……ここならともだち、できるかな?」

 海馬乃亜に集められ、自分より年上とはいえ大人とはいえない年の者達がたくさんいた光景を思い出す。
 一緒に遊んでくれる、ともだち。それは”幼女”が最も欲しているものだった。
 財団では玩具もあったし、本もあったし、ゲームもあった。食べ物も常に財団の人達が運んでくれた。
 しかし財団の人達は常に大きな『ぼうごすーつ』という鎧を着て、すぐに”幼女”から離れてしまう。財団から与えられたもので遊ぼうにも、”幼女”は一人で遊ぶしかない。
 少しでも長く”幼女”と一緒にいた人達は、先ほどの三人のように皆狂い、そして死んでいく。
 ”幼女”はいつも一人ぼっちだ。
 ”幼女”からして友達といえる者は、自分と一緒にいても狂わず死なない、大きなトカゲさんくらいだった。

「新しいともだち、探しに行こうっと」

 そう言って、”幼女”は殺し合いの場に解き放たれる。
 これから多くの死を振り撒く可能性も知らずに。

「……リアルおままごと、やりたかったなあ」

 『幼女』は空を見上げながら、ネネから教えられた遊びを知ることができないことを惜しんでいた。









――ともだちひゃくにんできるかな。


【源静香@ドラえもん】 死亡
【穂波たまえ@ちびまる子ちゃん】 死亡
【桜田ネネ@クレヨンしんちゃん】 死亡





【SCP-053“幼女”@SCP-Foundation】
[状態]:頬に切り傷(回復中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:ともだちをつくる
1:ともだちになってくれそうなひとにあいにいく
2:リアルおままごと、やりたかったなあ……
[備考]
  • 小学校の教室には、源静香、穂波たまえ、桜田ネネの遺体およびランドセル、凶器に使われた不明支給品に加え、数多くの血痕が残されています。
  • 源静香、穂波たまえ、桜田ネネのうち、一人だけ死因は心臓麻痺です。誰が心臓麻痺で死亡したかは後続の書き手にお任せします。

【補足】
クリエイティブ・コモンズ 表示-継承 3.0に従い、
SCP FoundationにおいてDr Gears氏が創作されたSCP-053を二次使用させて頂きました。

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