「10歳、若返った…マジか?」
「女心が分かっておらぬの。そういう時は、いつもより奇麗に見えるとか言うものじゃ」
「……オレに言われて嬉しいかよ」
「女心が分かっておらぬの。そういう時は、いつもより奇麗に見えるとか言うものじゃ」
「……オレに言われて嬉しいかよ」
ドロテアの目的が寿命の延長、究極的には不老不死であることは海馬モクバにも明かされてはいた。
モクバがドロテアを雇うと言った時点で、こちらの思惑も汲み取り配慮されるよう敢えて明かしたのだ。お互いにビジネスパートナー、不用意な隠し事で後から揉めるのも避けたい。
聞かされていたモクバも思う所はあれど、協力体制を維持できるのならその目的を邪魔するつもりもない。下手に人体実験を決行されるより、この藤木茂という少年が保持する能力を奪取して満足してくれるのなら、その方が穏便に済んでありがたいくらいだ。
モクバがドロテアを雇うと言った時点で、こちらの思惑も汲み取り配慮されるよう敢えて明かしたのだ。お互いにビジネスパートナー、不用意な隠し事で後から揉めるのも避けたい。
聞かされていたモクバも思う所はあれど、協力体制を維持できるのならその目的を邪魔するつもりもない。下手に人体実験を決行されるより、この藤木茂という少年が保持する能力を奪取して満足してくれるのなら、その方が穏便に済んでありがたいくらいだ。
「で、このセト神ってのでディオを若返らせて小さくしたんだな」
「そうだよ…ちゃんと話したし、た…助けてくれるよね?」
「……殺しはしない」
「そうだよ…ちゃんと話したし、た…助けてくれるよね?」
「……殺しはしない」
吐瀉物を吐き終わった後、ドロテアとモクバは藤木から装備品を没収した後で事情聴取を執り行っていた。
やはりというべきか、殺し合いに乗ってしまい支給品の力を借りて参加者を襲っていたようだ。だが話を聞けば聞く程、力を得て増長したのは否めないが、乃亜に怯えてしまい止む無く殺し合いに乗った面もある。
可能ならモクバとしては保護したいと考えていた。
不幸中の幸いというべきか、藤木がドジを踏んでいたお陰で、自分達もだがシカマルや梨沙という別の参加者を襲ったものの、死傷者を出していない。
まだ、藤木は引き返せる。ドロテアもセト神さえ手に入れば、それ以外はどうでもよさそうだ。ディオもこちらの反対を押し切って、無理に殺そうとはしないだろう。
やはりというべきか、殺し合いに乗ってしまい支給品の力を借りて参加者を襲っていたようだ。だが話を聞けば聞く程、力を得て増長したのは否めないが、乃亜に怯えてしまい止む無く殺し合いに乗った面もある。
可能ならモクバとしては保護したいと考えていた。
不幸中の幸いというべきか、藤木がドジを踏んでいたお陰で、自分達もだがシカマルや梨沙という別の参加者を襲ったものの、死傷者を出していない。
まだ、藤木は引き返せる。ドロテアもセト神さえ手に入れば、それ以外はどうでもよさそうだ。ディオもこちらの反対を押し切って、無理に殺そうとはしないだろう。
「―――この様子では救援の必要はなかったようですね」
モクバ達を見つめながら、俊國に扮した鬼舞辻無惨は改めて、状況を整理するように呟いた。
同じく、エリスに扮した磯野カツオを引き連れ、いざ交戦が予想されるであろうエリアまで赴いた時には決着は既に決していた。
拍子抜けではあるが無惨にとっては好都合、無益な戦闘を避けられるに越した事はない。
同じく、エリスに扮した磯野カツオを引き連れ、いざ交戦が予想されるであろうエリアまで赴いた時には決着は既に決していた。
拍子抜けではあるが無惨にとっては好都合、無益な戦闘を避けられるに越した事はない。
(な…なんとか、助かったぁ~)
無惨に気付かれないようカツオも内心、戦いを避けれたことに安堵していたが。
「ディオ達は先に船の方に行ったんだな」
「ええ、ルサルカさんという方と合流したようで、間に合わなければ先に行くと」
「ええ、ルサルカさんという方と合流したようで、間に合わなければ先に行くと」
どうするべきか。
急げば、ディオ達との合流も間に合いそうだ。しかし藤木の処遇次第では、そうもいかないだろう。
急げば、ディオ達との合流も間に合いそうだ。しかし藤木の処遇次第では、そうもいかないだろう。
「元から海馬コーポレーションに行く予定だったんじゃろ? 海は連中に任せても良いじゃろ」
「……」
「……」
時間は限られている。
この島の探索に加え、首輪の解析もしなくてはならない。
二手に分かれて調査をするのも悪い案ではない。合流場所も既に聞かされている。
合流は後回しにし、当初の目的通り海馬コーポレーションを目指しても良いかもしれない。
この島の探索に加え、首輪の解析もしなくてはならない。
二手に分かれて調査をするのも悪い案ではない。合流場所も既に聞かされている。
合流は後回しにし、当初の目的通り海馬コーポレーションを目指しても良いかもしれない。
(シルバースキンか…鉄壁の防御を誇るらしいが、これならば太陽の光を遮断するか?)
無惨の関心は藤木の所有していたシルバースキンに注がれていた。
話に聞いただけだが、怪力のドロテアが傷一つ負わせられなかった性能は非常に興味深い。全身に隙間なく纏うらしく、太陽の下で活動するにも防護服としての役目も果たせるかもしれない。
是非とも手にしたいところだ。可能であれば持ち帰り、産屋敷の元へ突撃するのにも着込んで行けば、万が一の事態にも備えられるだろう。
流石に柱でもない、ただの人間の産屋敷に遅れなど取りようもない。それこそ、家族諸共爆弾で吹き飛ばしでもしなければ。だが、普通そんなことしないだろう。
話に聞いただけだが、怪力のドロテアが傷一つ負わせられなかった性能は非常に興味深い。全身に隙間なく纏うらしく、太陽の下で活動するにも防護服としての役目も果たせるかもしれない。
是非とも手にしたいところだ。可能であれば持ち帰り、産屋敷の元へ突撃するのにも着込んで行けば、万が一の事態にも備えられるだろう。
流石に柱でもない、ただの人間の産屋敷に遅れなど取りようもない。それこそ、家族諸共爆弾で吹き飛ばしでもしなければ。だが、普通そんなことしないだろう。
(この場の全員を皆殺しにし、奪っても良いが……)
ドロテアもそれなりの強者ではあるようだが、無惨の相手にはならない。故にここに居る中では、驕りを抜きにし無惨が最強であることは事実だ。
だが、乃亜の親類者であり、首輪解析の技術を保有するモクバを殺めるのは避けたい。
ディオが念を入れて打った布石がここに生きてきた。
無惨も乃亜に従い優勝するか、またが抗い乃亜本人を叩くかならば、心情的に後者を優先している。わざわざ自分から、首輪解析に有用な技術者を刈り取るつもりはない。
だが、乃亜の親類者であり、首輪解析の技術を保有するモクバを殺めるのは避けたい。
ディオが念を入れて打った布石がここに生きてきた。
無惨も乃亜に従い優勝するか、またが抗い乃亜本人を叩くかならば、心情的に後者を優先している。わざわざ自分から、首輪解析に有用な技術者を刈り取るつもりはない。
(如何に怪しまれぬよう、自然に振る舞いこの鎧を手にするかだな)
鬼であることは伏せ、無惨が太陽を天敵とする事を明かすべきだろうか。だが鬼殺隊の異常者共が聞きつけ、こちらの討伐に赴く可能性を否定しきれない。
名簿さえ明らかになっていれば、そういった大胆な手段に出るのもやぶさかではないが、この先半日以上、日の上がった時間を閉鎖空間内で、下手をすれば柱から追い回されるのは厄介なことこの上ない。
名簿さえ明らかになっていれば、そういった大胆な手段に出るのもやぶさかではないが、この先半日以上、日の上がった時間を閉鎖空間内で、下手をすれば柱から追い回されるのは厄介なことこの上ない。
「藤木!? 何やってるのよ!!」
無惨の耳に飛び込んできたのは、鎧の持ち主に呼び掛ける幼い少女の声だった。
―――
(殺し合いに乗ったんだね…きみらしいよ藤木君)
何人もの参加者に囲われ、少なくとも友好的ではない雰囲気を見て永沢君男は藤木が殺し合いに乗ったと確信していた。
それとは別に同行していたサトシとピカチュウ、城ヶ崎姫子は藤木が一方的に虐げられている可能性を考慮し、慌てた様子を見せる。
それとは別に同行していたサトシとピカチュウ、城ヶ崎姫子は藤木が一方的に虐げられている可能性を考慮し、慌てた様子を見せる。
「フン! あんたらは、この藤木って奴の知り合いなの?」
「ピカァ!」
「ああ、オレはサトシ…殺し合いには乗っちゃいない。そこの藤木って奴は、オレと一緒に居る城ヶ崎と永沢のクラスメイトみたいなんだ」
「フン! どうするのよモクバ!!」
「安心してくれ、オレも藤木をどうこうしようってつもりはない。
だが、事態が事態だ…情状酌量の余地はあると思うけど、殺し合いに乗ったのも事実だ。…拘束なり、監禁なりするかもしれないのは分かってくれ」
「ピカァ!」
「ああ、オレはサトシ…殺し合いには乗っちゃいない。そこの藤木って奴は、オレと一緒に居る城ヶ崎と永沢のクラスメイトみたいなんだ」
「フン! どうするのよモクバ!!」
「安心してくれ、オレも藤木をどうこうしようってつもりはない。
だが、事態が事態だ…情状酌量の余地はあると思うけど、殺し合いに乗ったのも事実だ。…拘束なり、監禁なりするかもしれないのは分かってくれ」
サトシと城ヶ崎は苦々しい顔をする。
城ヶ崎からすれば、クラスメイトが殺し合いに乗った事実はやはり心苦しい。それに、自分も人の事は言えない立場だ。
モクバも城ヶ崎の複雑な心境を察したのか、バツが悪そうにする。
城ヶ崎からすれば、クラスメイトが殺し合いに乗った事実はやはり心苦しい。それに、自分も人の事は言えない立場だ。
モクバも城ヶ崎の複雑な心境を察したのか、バツが悪そうにする。
「本当に、藤木君に情状酌量の余地なんてあるのかい? 主催の乃亜が強そうだから、そっちに靡いただけじゃないのかな」
「あんた、永沢!」
「……わ、悪かったよ」
「あんた、永沢!」
「……わ、悪かったよ」
(あれ…なんで永沢君がこうもあっさり謝るんだ……? いつもなら、何か言い返してすぐに喧嘩になるじゃないか)
モクバもドロテアもサトシもピカチュウもカツオも無惨も。
捻くれた少年の嫌味な一声に、気の強い女の子が咎めただけに見えた何気ない光景にしか見えなかった。
だが、藤木だけは違っていた。いつも、どんな時も、誰よりも永沢の傍にいた藤木はその違和感に気付いていた。
普段の二人ではないと。
捻くれた少年の嫌味な一声に、気の強い女の子が咎めただけに見えた何気ない光景にしか見えなかった。
だが、藤木だけは違っていた。いつも、どんな時も、誰よりも永沢の傍にいた藤木はその違和感に気付いていた。
普段の二人ではないと。
「―――サトシ、お前…よりにもよって羽蛾に会ったのかよ」
「ああ、酷い目にあったぜ。その後、永沢達と会って、リーゼロッテとかいう危ない奴から逃げる為に移動してたんだ。
取り合えず、何か使えるものがあるかもしれないし、モチノキデパートってところに行こうと思ってさ」
「ああ、酷い目にあったぜ。その後、永沢達と会って、リーゼロッテとかいう危ない奴から逃げる為に移動してたんだ。
取り合えず、何か使えるものがあるかもしれないし、モチノキデパートってところに行こうと思ってさ」
藤木の疑念など知る由もなく、サトシとモクバが情報を交換していた。
本音を言えば、居ない方が良いのは間違いないが、遊戯が巻き込まれていれば、当人には災難ではあるものの頼りになると踏んでいたが、よりにもよって来ているのがインセクター羽蛾とは落胆せざるを得ない。
サトシは殺し合いそのものには乗っていないと、強く主張はしているが、相変わらずやっていることは姑息らしい。
羽蛾の悪評はよく聞く話で、KCグランプリでも不正参加して、ジーク・ロイドにダイナソー竜崎諸共瞬殺されていたのは記憶に新しい。
あまり関わりのないモクバでも、羽蛾に良い印象はない。
本音を言えば、居ない方が良いのは間違いないが、遊戯が巻き込まれていれば、当人には災難ではあるものの頼りになると踏んでいたが、よりにもよって来ているのがインセクター羽蛾とは落胆せざるを得ない。
サトシは殺し合いそのものには乗っていないと、強く主張はしているが、相変わらずやっていることは姑息らしい。
羽蛾の悪評はよく聞く話で、KCグランプリでも不正参加して、ジーク・ロイドにダイナソー竜崎諸共瞬殺されていたのは記憶に新しい。
あまり関わりのないモクバでも、羽蛾に良い印象はない。
「のう、サトシとやら…本当にそのリーゼロッテという女は不死なのか?」
「え? オレは直接見てないけど、羽蛾はそう言ってたぜ……でも、本当に不死身なら、ちょっと寂しいよな……ずっと、独りぼっちで生きて行くんだろ?」
「んー? あーそうじゃなぁ……」
「え? オレは直接見てないけど、羽蛾はそう言ってたぜ……でも、本当に不死身なら、ちょっと寂しいよな……ずっと、独りぼっちで生きて行くんだろ?」
「んー? あーそうじゃなぁ……」
サトシの声は後半から、ドロテアの耳には一切届きはしなかった。
セト神といい、この場には不老不死の手掛かりが次から次へと降って湧いてくる。
ドロテアも完全な不老不死は恐らく不可能だろうと、諦めていたところがあったが、ここでならそれをも叶うやもしれない。
セト神といい、この場には不老不死の手掛かりが次から次へと降って湧いてくる。
ドロテアも完全な不老不死は恐らく不可能だろうと、諦めていたところがあったが、ここでならそれをも叶うやもしれない。
(とはいえ、その女の力も未知数じゃ…しかも殺し合い肯定派と来ておる……。
何としてでも捕獲(ゲット)して、バラしたいとこじゃが、実力もありそうじゃなぁ)
何としてでも捕獲(ゲット)して、バラしたいとこじゃが、実力もありそうじゃなぁ)
「サトシさん、その女…本当に人間なのでしょうか?」
「どういう意味だ?」
「いえ、魔女と言っていたので…山姥のような化け物みたいだなと……例えば人を食べたりとか」
「どうなんだろう…流石にないんじゃないか?」
「ピカ?」
「どういう意味だ?」
「いえ、魔女と言っていたので…山姥のような化け物みたいだなと……例えば人を食べたりとか」
「どうなんだろう…流石にないんじゃないか?」
「ピカ?」
無惨の中に一つの懸念が生じていた。
そのリーゼロッテという女、まさか太陽すら物ともせず、永劫の時を生き延びているのではないか。
あの藪医者がどのようにして、無惨を鬼の始祖へと変貌させたのかその術は明らかではないが、リーゼロッテという女が関係しているとも限らない。
認めたくないが、日光を克服しているのなら生物としては無惨の上位互換に当たるのだから。
平行世界という概念は無惨も把握はしていた。先のディオ達との邂逅や、現在のモクバ達との会話から、それぞれの参加者の時代背景や文明文化が明らかに異なっているからだ。
自分以外、全員異常者の線も捨てきれないが。
だが、リーゼロッテが鬼に関する存在であれば、自らの鬼としての起源に関わる事かもしれない。
そのリーゼロッテという女、まさか太陽すら物ともせず、永劫の時を生き延びているのではないか。
あの藪医者がどのようにして、無惨を鬼の始祖へと変貌させたのかその術は明らかではないが、リーゼロッテという女が関係しているとも限らない。
認めたくないが、日光を克服しているのなら生物としては無惨の上位互換に当たるのだから。
平行世界という概念は無惨も把握はしていた。先のディオ達との邂逅や、現在のモクバ達との会話から、それぞれの参加者の時代背景や文明文化が明らかに異なっているからだ。
自分以外、全員異常者の線も捨てきれないが。
だが、リーゼロッテが鬼に関する存在であれば、自らの鬼としての起源に関わる事かもしれない。
(場合によっては、禰豆子や青い彼岸花以外の方法で、太陽を克服する術もあるやもしれぬ)
積極的に会う気はないが、手に入るだけの情報は得ておきたかった。
「ピカ!」
「ピカチュウ?」
ピカチュウの声色で、サトシは一気に意識を切り替えた。
遅れて無惨が僅かに視線を動かし、次にドロテアが表情を強張らせた。
そして戦闘という面では、一般の子供の範疇を出ないモクバが事態の異様さを察して、警戒を強める。
遅れて無惨が僅かに視線を動かし、次にドロテアが表情を強張らせた。
そして戦闘という面では、一般の子供の範疇を出ないモクバが事態の異様さを察して、警戒を強める。
「……な、なんで」
永沢が震えた声で喉を震わせた。
「まるで死人でも見たような顔だな」
感情が一切乗らぬ声で、だが皮肉を込めた機械的な声。
その主は、暗闇の中から歩んでくる。
眼鏡のひ弱そうな少年だったが、その容姿を見た時、城ヶ崎は絶句し声も上げられなかった。
その主は、暗闇の中から歩んでくる。
眼鏡のひ弱そうな少年だったが、その容姿を見た時、城ヶ崎は絶句し声も上げられなかった。
「な、中島……?」
カツオも恐怖よりも困惑が勝る。
その容姿は死んだ筈の、親友の中島弘そのものだからだ。だが違うとも、カツオは理解もしていた。
あの中島の形をしたものに、剣さえなければどう見ても中島そのものだ。けれども、あの剣がそれら全ての希望的観測を否定する。
その容姿は死んだ筈の、親友の中島弘そのものだからだ。だが違うとも、カツオは理解もしていた。
あの中島の形をしたものに、剣さえなければどう見ても中島そのものだ。けれども、あの剣がそれら全ての希望的観測を否定する。
「どうしたんだい一体」
最後に一切事態を飲み込めず、藤木は呆然としていた。
「みんな、あいつはヤバい」
「ピカ…」
「ピカ…」
サトシがピカチュウと旅をしてきた中で、これ程までに切迫し怯えすら見せるピカチュウの姿は初めて見た。
同時にサトシも目の前の少年が人ではない何かで、しかもポケモンのような人と共存出来るような存在ではないかもしれないことを直感していた。
話し合いの余地などない程に、殺意に満ち溢れている。こんな存在は様々なポケモンを見たサトシからしても、初めてだ。
同時にサトシも目の前の少年が人ではない何かで、しかもポケモンのような人と共存出来るような存在ではないかもしれないことを直感していた。
話し合いの余地などない程に、殺意に満ち溢れている。こんな存在は様々なポケモンを見たサトシからしても、初めてだ。
「覗き見をしていたものを探していたつもりが、よもやお前達を先に見つけるとはな」
サトシはそれが誰に向けられた言葉なのか、一瞬分からなかった。
―――僕達、ここに来る前に眼鏡の人が殺されるところを見たんだ!
逡巡の末、それが自分の後ろに居る永沢と城ヶ崎だと気付く。
思えば永沢の言っていた殺された人物と、特徴は一致している。眼鏡など珍しいものではないが、先ほど奴はまるで「死人を見たような」とも言っていた。
思えば永沢の言っていた殺された人物と、特徴は一致している。眼鏡など珍しいものではないが、先ほど奴はまるで「死人を見たような」とも言っていた。
「お前…誰なんだ……どうして中島の格好をしているんだよ!!」
カツオはエリスの演技も忘れ、全てを情動のままに吐き出した。
それを聞き、魔神王は僅かに眉を潜める。
中島の記憶にあのような少女は存在しなかった。であれば、中島の知人がこの短期間で容姿を変えたのだろう。
この口調から考えるに―――。
それを聞き、魔神王は僅かに眉を潜める。
中島の記憶にあのような少女は存在しなかった。であれば、中島の知人がこの短期間で容姿を変えたのだろう。
この口調から考えるに―――。
「磯野カツオ…か」
「お前、やっぱり中島を知ってるのか!」
「お前、やっぱり中島を知ってるのか!」
(カツオ? 誰だ? エリス、どういうことだ? 何故取り乱す? 貴様、外人だろう!? 日本人の友人などいたのか? それになんだその口調、まるで男……)
「……待てよ」
―――その殺した奴、顔色が悪くて、唇が紫で歳の割に身長が高い奴だった。
サトシの中で、眼鏡の人物を殺したらしい殺人者。それを見たという永沢の証言が繰り返し再生される。
あの後、城ヶ崎とピカチュウとの再会で流れてしまったが、やはり違和感はある。何より、ここで合流した藤木という少年も不自然な程、特徴と一致している。
サトシも馬鹿ではない。時折、考えなしの時もあるが、むしろ頭の回転は悪くない。
だからこそ、おぼろげながらパズルのピースを合わせ、その全体像が見えてきてしまっていた。
あの後、城ヶ崎とピカチュウとの再会で流れてしまったが、やはり違和感はある。何より、ここで合流した藤木という少年も不自然な程、特徴と一致している。
サトシも馬鹿ではない。時折、考えなしの時もあるが、むしろ頭の回転は悪くない。
だからこそ、おぼろげながらパズルのピースを合わせ、その全体像が見えてきてしまっていた。
「殺されたよ。そこの永沢と横の少女に。我は屍を食らい姿を借りたにすぎぬ」
中島本人の知人が居るのであれば、中島として振舞う理由もないだろう。偽物とバレている。
そしてここには、この容姿の本来の主の下手人もいるのだ。
不和を撒くのであれば、むしろ事実を述べた方が手軽で早い。
そしてここには、この容姿の本来の主の下手人もいるのだ。
不和を撒くのであれば、むしろ事実を述べた方が手軽で早い。
「……殺された? 中島が」
「う、嘘だろ…永沢君」
「う、嘘だろ…永沢君」
魔神王への恐怖はおろか関心は既に消え去り、カツオの怒りと殺意は永沢達へと向けられていた。
藤木も自分のことを棚上げし、信じられないと言った顔で永沢を見つめる。
自らを、フジキング等と吹聴していた男とは思えない。
藤木も自分のことを棚上げし、信じられないと言った顔で永沢を見つめる。
自らを、フジキング等と吹聴していた男とは思えない。
「永沢…お前……」
ほぼ同じタイミングで、サトシもここまで予想してしまっていた。
永沢が藤木に良い感情を持っていないのは、先の皮肉から分かった。だから、自分が手を下した中島殺害を藤木に押し付けたのではないか?
永沢が藤木に良い感情を持っていないのは、先の皮肉から分かった。だから、自分が手を下した中島殺害を藤木に押し付けたのではないか?
「みんな、落ち着くんだ!」
モクバが声を張り上げる。
現状、優先すべきは魔神王の対処だ。それには、この場の全員で団結の必要もある。
中島という少年には悪いが、ここで犯人探しをする暇はない。
現状、優先すべきは魔神王の対処だ。それには、この場の全員で団結の必要もある。
中島という少年には悪いが、ここで犯人探しをする暇はない。
「……モクバや、妾と一緒に二人で逃げるのはどうじゃ?」
「ドロテア、何言って―――」
「あいつと戦うのは、やめた方が良いぞ。勝ち目などないわ。
……それに、ここで下らぬ内輪揉めに巻き込まれてどうする?
落ち着くなんて無理じゃ。あのエリス…いや磯野カツオとかいう奴、怒り心頭と言った顔じゃぞ」
「ドロテア、何言って―――」
「あいつと戦うのは、やめた方が良いぞ。勝ち目などないわ。
……それに、ここで下らぬ内輪揉めに巻き込まれてどうする?
落ち着くなんて無理じゃ。あのエリス…いや磯野カツオとかいう奴、怒り心頭と言った顔じゃぞ」
帝具の知識がある分、ドロテアは真っ先にカツオがエリスという人物の名と容姿を偽っているのだと理解した。
そして、あの魔神王が姿を借りた中島という少年と親しいのもだ。
永沢とカツオの衝突は避けられない。それはそれで、争うなら好きにすればいいが時と場合が最悪過ぎる。
モクバ以外の参加者に微塵も価値を感じていないドロテアからすれば、それ以外を囮にして二人で離脱するのが、もっとも最善の選択だった。
そして、あの魔神王が姿を借りた中島という少年と親しいのもだ。
永沢とカツオの衝突は避けられない。それはそれで、争うなら好きにすればいいが時と場合が最悪過ぎる。
モクバ以外の参加者に微塵も価値を感じていないドロテアからすれば、それ以外を囮にして二人で離脱するのが、もっとも最善の選択だった。
「先ずは貴様からだ」
子供達の動揺など意にも介さない。
数m以上空いた距離を一息で踏み込む。
狙うは何時でも屠れる、取るに足りぬ子供ではない。
この場に居て、最も強き生物だ。これを放置しては背中を刺されるとも分からぬ。
魔神王はただ淡々とランドセルから剣を抜き振り上げ、それを横薙ぎに振るった。
数m以上空いた距離を一息で踏み込む。
狙うは何時でも屠れる、取るに足りぬ子供ではない。
この場に居て、最も強き生物だ。これを放置しては背中を刺されるとも分からぬ。
魔神王はただ淡々とランドセルから剣を抜き振り上げ、それを横薙ぎに振るった。
「貴様ァ……!!」
その理不尽に、無惨は全身に血管を浮かび上がらせ、張り裂けそうなほどの怒りを込め憎悪を声にする。
魔神王の駆るドラゴン殺し。黒の剣士ガッツが、数多の夜を数多の化け物の血で染め上げながら振るい続けた大剣。
その刀身はあまりに分厚く、剣というよりは鉄の塊に近い。最早切るのではなくその圧倒的な質量と怪力を以て、叩き潰し引き千切るという表現が正しいだろう。
使い手が人の身であることを度外視し、また斬る対象がドラゴンを想定され鍛えられた酔狂な剣。
普通の人間であれば振るえない。
振るわれたとして、その一斬はただの人の身では凌ぎきれないであろう度を越した暴だ。
それを無惨は、細い日本刀を手に事も無げに受け止めてみせた。
魔神王の駆るドラゴン殺し。黒の剣士ガッツが、数多の夜を数多の化け物の血で染め上げながら振るい続けた大剣。
その刀身はあまりに分厚く、剣というよりは鉄の塊に近い。最早切るのではなくその圧倒的な質量と怪力を以て、叩き潰し引き千切るという表現が正しいだろう。
使い手が人の身であることを度外視し、また斬る対象がドラゴンを想定され鍛えられた酔狂な剣。
普通の人間であれば振るえない。
振るわれたとして、その一斬はただの人の身では凌ぎきれないであろう度を越した暴だ。
それを無惨は、細い日本刀を手に事も無げに受け止めてみせた。
「やはり、人間ではないか」
得心がいったと呟く魔神王に無惨は怒りを募らせる。
鬼であることを隠し、穏便に事を進める筈が全てが台無しに終わった。
代わりに戦闘を行わせるはずのエリスは何の役にも立たず、何故か魔神王は最初に無惨に目を付ける。
鬼であることを隠し、穏便に事を進める筈が全てが台無しに終わった。
代わりに戦闘を行わせるはずのエリスは何の役にも立たず、何故か魔神王は最初に無惨に目を付ける。
「どうしてだ? 何故私を狙った」
8人だ。8人も居たのだ。
その中から、何故弱者を装った無惨のみを的確に襲ったのか。
返答は声ではなく、更なる剣戟によって返された。
細長く太い棍棒のような大剣を、棒切れのような気安さで片腕で取り回す。
それは無惨の顔面へと薙ぎ払われ、刀で受け止め力押しで弾き返す。
強靭な膂力により、魔神王はドラゴン殺しごと吹き飛ばされた。
その中から、何故弱者を装った無惨のみを的確に襲ったのか。
返答は声ではなく、更なる剣戟によって返された。
細長く太い棍棒のような大剣を、棒切れのような気安さで片腕で取り回す。
それは無惨の顔面へと薙ぎ払われ、刀で受け止め力押しで弾き返す。
強靭な膂力により、魔神王はドラゴン殺しごと吹き飛ばされた。
「話せ、話してみろ。口が聞けぬのか貴様、私の問いに答えられぬのか」
豪風を巻き起こし、魔神王が無惨へと突撃する。
ドラゴン殺しの質量を持ったまま音速へと差し迫る速度で駆け抜ける。
金属が触れて弾け合う鋭い音と、共に両者もまた弾かれるように後方へと退いた。
ドラゴン殺しの質量を持ったまま音速へと差し迫る速度で駆け抜ける。
金属が触れて弾け合う鋭い音と、共に両者もまた弾かれるように後方へと退いた。
「……なんだその刀は」
砂や土が粉塵となって舞い上がる。
土煙の中からドラゴン殺しを一閃し、その剣圧で砂を消し飛ばす。
視界が空けて、無惨の姿を認めた後、魔神王は己の胸に刻まれた小さな一筋の赤い傷を左手の指先でなぞる。
さしたる負傷ではない。だが、無惨の持つ刀に傷付けられた箇所のみ通常の負傷よりも再生が遅く。また、魔神王の魂そのものに直接ダメージを通していた。
土煙の中からドラゴン殺しを一閃し、その剣圧で砂を消し飛ばす。
視界が空けて、無惨の姿を認めた後、魔神王は己の胸に刻まれた小さな一筋の赤い傷を左手の指先でなぞる。
さしたる負傷ではない。だが、無惨の持つ刀に傷付けられた箇所のみ通常の負傷よりも再生が遅く。また、魔神王の魂そのものに直接ダメージを通していた。
「ほう、死神の刀は堪えるようだな」
魔神王の物理的な肉体は依り代に過ぎず、本体ではない。ゆえに入れ物を壊しても、本体である魂に干渉しなければ有効打を与えることは出来ない。
もっとも、それらの不死性は制限され肉体の過度のダメージは魂にも反映されるよう制限を負わされてはいる。先ほどのアーカードとの交戦からも、魔神王も自覚している。
だが、それでも最も有効打であるのは魂への干渉に違いない。
もっとも、それらの不死性は制限され肉体の過度のダメージは魂にも反映されるよう制限を負わされてはいる。先ほどのアーカードとの交戦からも、魔神王も自覚している。
だが、それでも最も有効打であるのは魂への干渉に違いない。
「魂砕き程ではないが、その刀も似た力を持つか」
捩花。
尸魂界の死神の持つ、斬魄刀と呼ばれる武具の一振り。
斬魄刀、その役割は迷える霊を死後の世界へと誘い、虚(あくりょう)と化した霊を斬り伏せ世界の循環へと回帰させること。
元より、霊的存在を斬る為の刀剣である。魔神王の本体である魂という霊的存在に対しても干渉可能だ。
尸魂界の死神の持つ、斬魄刀と呼ばれる武具の一振り。
斬魄刀、その役割は迷える霊を死後の世界へと誘い、虚(あくりょう)と化した霊を斬り伏せ世界の循環へと回帰させること。
元より、霊的存在を斬る為の刀剣である。魔神王の本体である魂という霊的存在に対しても干渉可能だ。
「乃亜も念入りなことだ」
脅威ではない。既に、斬魄刀によって生まれた傷口は修復を開始している。魔神王にとっての最大の脅威は、魂砕きに他ならない。
けれども、馬鹿正直にそれを浴び続けるのも愚行だろう。通じていない訳ではないのだから。
けれども、馬鹿正直にそれを浴び続けるのも愚行だろう。通じていない訳ではないのだから。
「試すとするか」
元より備わる力に加え、この場に於いて意図せず手にしたもう一つの力。
帝国最強と謳われる女将軍が、冷酷に猛威を振るった悪魔のような帝具。
息を吐き出す。
毒性を浴びたそれは近くの草木を枯らしていく。無惨も目を細め、相手の異形がその秘めたる力を解放に近づけているのを肌で感じ取った。
帝国最強と謳われる女将軍が、冷酷に猛威を振るった悪魔のような帝具。
息を吐き出す。
毒性を浴びたそれは近くの草木を枯らしていく。無惨も目を細め、相手の異形がその秘めたる力を解放に近づけているのを肌で感じ取った。
「氷?」
鋭敏な無惨の身体が大気の急激な変化を察知する。
無惨が僅かに後ろに下がる。その刹那、氷山が生成された。
無惨が僅かに後ろに下がる。その刹那、氷山が生成された。
「捩花が使えぬ―――」
説明書には、始解の階位へと引き上げる事で、無から水流を引き起こし操る斬魄刀であるとあった。
水流がそれこそ大きな川や滝のような規模で操作できるのなら、活用方法はいくらべで浮かぶ。
だが、相手の能力が冷気であるのなら別だ。
水は凍ってしまう。捩花は無用の長物と同じ。
何故、今日に限りこうも不運が連続する? 神など信じないが、居るのなら殺してやる!! 無惨の怒りは、絶頂の更に限界を超えていた。
水流がそれこそ大きな川や滝のような規模で操作できるのなら、活用方法はいくらべで浮かぶ。
だが、相手の能力が冷気であるのなら別だ。
水は凍ってしまう。捩花は無用の長物と同じ。
何故、今日に限りこうも不運が連続する? 神など信じないが、居るのなら殺してやる!! 無惨の怒りは、絶頂の更に限界を超えていた。
「どうした?」
この程度で、何を驚いている。これからだろうと。
ただ、その一言に嘲りと挑発を込めて。
魔神王の背後、その背景一面には槍の様に鋭利な氷柱が数百を超え、宙に浮かんでいた。
指揮者の演奏の様に、ドラゴン殺しの切っ先を無惨へと向ける。
それらを合図に、氷柱は無惨へと降り注いだ。
ただ、その一言に嘲りと挑発を込めて。
魔神王の背後、その背景一面には槍の様に鋭利な氷柱が数百を超え、宙に浮かんでいた。
指揮者の演奏の様に、ドラゴン殺しの切っ先を無惨へと向ける。
それらを合図に、氷柱は無惨へと降り注いだ。
「エレキネット!!」
「ピカ! ピカピカ!!」
暴風雨のような飛んでくる氷柱。
それらに合わせピカチュウが飛び上がり、尻尾の先から電撃の球体を振り撒く。
球体は拡散し上空に雷の網を展開した。
本物の網の様に高い伸縮性を持ちながら、それらは千切れることなく、氷柱を絡ませていく。
それらに合わせピカチュウが飛び上がり、尻尾の先から電撃の球体を振り撒く。
球体は拡散し上空に雷の網を展開した。
本物の網の様に高い伸縮性を持ちながら、それらは千切れることなく、氷柱を絡ませていく。
「みんな、逃げるんだ!!」
サトシの叫び声が響き、その場の全員が駆け出す。
エレキネットは確実に氷柱の大群を受け止め、しかし徐々に軋みだし数秒の後に引き裂かれた。
氷柱は雨の様に大地に降り注ぎ、地面を抉り上げ轟音を響かせる。
通常では、人が生き残るなどありえない破壊痕を刻みながら、そこには血の一滴もない。
エレキネットは確実に氷柱の大群を受け止め、しかし徐々に軋みだし数秒の後に引き裂かれた。
氷柱は雨の様に大地に降り注ぎ、地面を抉り上げ轟音を響かせる。
通常では、人が生き残るなどありえない破壊痕を刻みながら、そこには血の一滴もない。
「―――」
魔人王の口から人のそれではない奇異な言語が漏れる。
光の矢が無数に生成され、弾け飛ぶ。
光の矢が無数に生成され、弾け飛ぶ。
「アイアンテール!」
ピカチュウの尻尾が白く光り鋼の如き硬度を得る。
逆上がりの様に宙を舞いサトシに向かう矢を弾き返す。更に横薙ぎに全身を捻り、その後ろのモクバ達を狙った矢を撃ち落とす。
その僅かな滞空の間に、魔人王は肉薄する。空中で逃げ場のないピカチュウを両断せんとドラゴン殺しを振り落とす。
逆上がりの様に宙を舞いサトシに向かう矢を弾き返す。更に横薙ぎに全身を捻り、その後ろのモクバ達を狙った矢を撃ち落とす。
その僅かな滞空の間に、魔人王は肉薄する。空中で逃げ場のないピカチュウを両断せんとドラゴン殺しを振り落とす。
「剣にアイアンテールだ!!」
僅か0.4m前後程の小さな体躯を活かし、体を器用に捩り、硬質化した尻尾をドラゴン殺しへと打ち付ける。
勢いよく金属が打ち合う音と共に魔神王の腕にも衝撃が走る。
されども魔神王の剣を止めるには程遠い。例え硬質化したといえど、魔神王の怪力にピカチュウが真っ向から挑むのは自殺行為にも等しい。
1秒もせず黄色の愛らしい容姿は、赤黒いグロテスクな肉塊へと変貌する。
勢いよく金属が打ち合う音と共に魔神王の腕にも衝撃が走る。
されども魔神王の剣を止めるには程遠い。例え硬質化したといえど、魔神王の怪力にピカチュウが真っ向から挑むのは自殺行為にも等しい。
1秒もせず黄色の愛らしい容姿は、赤黒いグロテスクな肉塊へと変貌する。
「ピ、カァ!!」
ピカチュウのアイアンテール。それはドラゴン殺しの刃を正面ではなく、斜めから切り込むように放たれていた。
押し込まれる魔神王の怪力は角度を調整することで受け流され、ドラゴン殺しを尻尾で叩きつけた勢いで、ピカチュウは振り下ろされたドラゴン殺しの軌道線上から離脱する。
押し込まれる魔神王の怪力は角度を調整することで受け流され、ドラゴン殺しを尻尾で叩きつけた勢いで、ピカチュウは振り下ろされたドラゴン殺しの軌道線上から離脱する。
「10万ボルト!!」
「ピィカァ~チュ~ウ!」
「ピィカァ~チュ~ウ!」
アイアンテールを維持したまま、尻尾に触れたドラゴン殺しのを通しありったけの電撃を直接流し込む。
多くのポケモンを目にしたロケット団を以てして、秀でた個体だと目を付けられ、時として神格にも匹敵する伝説のポケモンにすら通用する。ピカチュウの代名詞にして象徴ともいえる技の一つ。
ドラゴン殺しより伝い、全身を駆け巡る高圧電流。
肉体の再生力は、乃亜から制限されている。
それもあってか、さしもの魔神王とてその一撃には目を見開き、ほんの一瞬ではあるが苦悶の表情を浮かべ、膝を折りかけるほど。
なるほど、見た目の脆弱さに反し、この黄色の奇怪な生き物は戦いに慣れている。
後方で指示を出す少年も、直感や状況判断に優れている。
もしも、この場に居たのがあの最初に出会った闘争狂の不死王であれば、手を叩いて拍手でも送っていたのだろう。
だが魔神王は違う。ただの事象と客観的事実として捉え、ただ滅するだけだ。
多くのポケモンを目にしたロケット団を以てして、秀でた個体だと目を付けられ、時として神格にも匹敵する伝説のポケモンにすら通用する。ピカチュウの代名詞にして象徴ともいえる技の一つ。
ドラゴン殺しより伝い、全身を駆け巡る高圧電流。
肉体の再生力は、乃亜から制限されている。
それもあってか、さしもの魔神王とてその一撃には目を見開き、ほんの一瞬ではあるが苦悶の表情を浮かべ、膝を折りかけるほど。
なるほど、見た目の脆弱さに反し、この黄色の奇怪な生き物は戦いに慣れている。
後方で指示を出す少年も、直感や状況判断に優れている。
もしも、この場に居たのがあの最初に出会った闘争狂の不死王であれば、手を叩いて拍手でも送っていたのだろう。
だが魔神王は違う。ただの事象と客観的事実として捉え、ただ滅するだけだ。
「ピカチュウ! かわせ!! でんこうせっか!」
魔神王から衝撃波が放たれ、ピカチュウに直撃する。
飛ばされながら受け身を取るピカチュウに、すかさず氷柱の大群を落とす。
飛ばされながら受け身を取るピカチュウに、すかさず氷柱の大群を落とす。
「ピッカピ!!」
まるで針の間を縫うように、氷柱の合間に存在する小さな安全地帯を瞬時に見切り、電光石火の如く加速し駆け回る。
「一度距離を取れ! 戻ってこい!」
土煙から飛び出し、ピカチュウはサトシの足元へ着地し魔神王へ向き直る。
「大丈夫かピカチュウ?」
「ピ…ピカ!」
長期戦は不味い。
魔神王が毒を纏っているのは、サトシから見ても明らかだった。
戦いが長引けば長引く程、ピカチュウに毒のダメージが蓄積されていく。
可能な限り近接戦を避けたいが、それは相手も読んでいる。
積極的に接近戦を仕掛けてくることだろう。
不幸中の幸いは、サトシはロートスの英雄達やアーカードのように殺すのではなく、相手を無力化する戦いであったこと。倒すのを目的としていたことだ。
吐息と同じく血にも毒を持つが、サトシは殺傷を目的としない為、流血を伴う負傷は殆どない。その為、齎された毒の総量は非常に少なく、魔神王の想定よりも毒の効きが悪い。
だが効いていない訳ではない。やはり時間は掛けられない。
魔神王が毒を纏っているのは、サトシから見ても明らかだった。
戦いが長引けば長引く程、ピカチュウに毒のダメージが蓄積されていく。
可能な限り近接戦を避けたいが、それは相手も読んでいる。
積極的に接近戦を仕掛けてくることだろう。
不幸中の幸いは、サトシはロートスの英雄達やアーカードのように殺すのではなく、相手を無力化する戦いであったこと。倒すのを目的としていたことだ。
吐息と同じく血にも毒を持つが、サトシは殺傷を目的としない為、流血を伴う負傷は殆どない。その為、齎された毒の総量は非常に少なく、魔神王の想定よりも毒の効きが悪い。
だが効いていない訳ではない。やはり時間は掛けられない。
「サトシ…勝てそうか?」
「いや、難しいと思う」
モクバの問いに、サトシはそう答えた。
玉砕覚悟なら、あるいはと考えなくはないが。
普段のポケモンバトルなら、最後まで諦めず全力を出し尽くすものの、こんな意味のない殺し合いで、ピカチュウを危ない目に合わせてまで戦う意味なんてない。
さっさと逃げるべきだ。
玉砕覚悟なら、あるいはと考えなくはないが。
普段のポケモンバトルなら、最後まで諦めず全力を出し尽くすものの、こんな意味のない殺し合いで、ピカチュウを危ない目に合わせてまで戦う意味なんてない。
さっさと逃げるべきだ。
(どうする……みんなを逃がさないと、でもピカチュウにだけは無理はさせられない)
それでも、他の皆を逃がすくらいの時間は稼がなければ。
「俊國、お前人間じゃないらしいな」
「それがなんだ? 今この場で私を排するか? 魔神王(アレ)の前で!!」
「それがなんだ? 今この場で私を排するか? 魔神王(アレ)の前で!!」
声を掛けてきたモクバに対し、無惨は血管を浮き沸かせ苛立つ。
俊國という人間に擬態し、しばらくは様子見に徹するはずだったのが水泡に帰したのだ。
今にも癇癪が起きそうなのを抑えていたのは、別の脅威が存在するからに過ぎない。
俊國という人間に擬態し、しばらくは様子見に徹するはずだったのが水泡に帰したのだ。
今にも癇癪が起きそうなのを抑えていたのは、別の脅威が存在するからに過ぎない。
「正直、オレはそんなことはどうだっていい。あんたの正体がなんだろうと、殺し合いから脱出したいのなら、協力してくれないか?」
「私に命令か? 私がそれに従う何の義理がある?」
「自慢じゃないが、首輪を外す技術に科学方面なら自信がある。オカルト方面なら、ドロテアがいる。
協力者もディオ達が居る。こう見えて結構盤石に進んできてるんだぜ。
……借りを作っても、損はないんじゃないか?」
協力者もディオ達が居る。こう見えて結構盤石に進んできてるんだぜ。
……借りを作っても、損はないんじゃないか?」
「ここで貴様らの為に殿をしろと?」
「そうだ。ここで一番強いのは、お前なんだろ?
お前が訳ありでもいい。協力し合えるなら首輪の解除も約束する」
お前が訳ありでもいい。協力し合えるなら首輪の解除も約束する」
サトシとピカチュウは技巧で、魔神王を躱していた。
それに対して、無惨は真っ向から打ち合い力でも圧倒する場面があった。
純粋な強さという面に於いては、確かに魔神王が先に始末しようとしただけあり、自分達のような子供と一線を画す。
それに対して、無惨は真っ向から打ち合い力でも圧倒する場面があった。
純粋な強さという面に於いては、確かに魔神王が先に始末しようとしただけあり、自分達のような子供と一線を画す。
「……良いだろう。癪に障るが…逃がしてやる。だが、条件がある」
苦々しく、だが無惨は承諾の意思を見せた。
そして音もなくモクバの耳元に顔を寄せ、小さく耳打ちした。
そして音もなくモクバの耳元に顔を寄せ、小さく耳打ちした。
「一つ、シルバースキンとやらを私に渡せ。
二つ、竈門禰豆子という少女が居れば必ず死なせず保護しろ。
三つ、私の立場を一切損なわせるな。名簿が開示され俊國の名がなかった場合でも、私を擁護しろ。
四つ、これらを口外するな」
二つ、竈門禰豆子という少女が居れば必ず死なせず保護しろ。
三つ、私の立場を一切損なわせるな。名簿が開示され俊國の名がなかった場合でも、私を擁護しろ。
四つ、これらを口外するな」
「分かった」
「もし破れば、命はないと思え」
ディオからモクバは乃亜との繫がりがあり重要な情報を握っていて、首輪を外せる技術者であると強調されたこと。
これが普段の無惨にしては、寛容な態度を取らせる要因になっていた。
無惨とて殺し合いの打破の確率は上げておきたい以上、対主催に恩を売るのも悪くはないと無惨に判断させた。
これが普段の無惨にしては、寛容な態度を取らせる要因になっていた。
無惨とて殺し合いの打破の確率は上げておきたい以上、対主催に恩を売るのも悪くはないと無惨に判断させた。
「ドロテア! シルバースキンを俊國に!!」
「なんじゃと!?」
「ぼ、僕の…それはフジキングになる為の……」
「なんじゃと!?」
「ぼ、僕の…それはフジキングになる為の……」
藤木から押収したシルバースキンをドロテアは無惨へと投擲する。
これ程の鎧を手放すのは、些か気は引けるが、もし魔神王を無惨が引き受けるのならやむを得ない。
これ程の鎧を手放すのは、些か気は引けるが、もし魔神王を無惨が引き受けるのならやむを得ない。
「みんな、ここは俊國に任せる」
「逃がすと思うか」
ドラゴン殺しを担ぎ上げ、魔神王はモクバ達を睨みつける。
頭上にある大気中の水分を冷気で冷やし、巨大な氷塊を作り上げる。隕石のような爆発的な加速をし、急落下する。
頭上にある大気中の水分を冷気で冷やし、巨大な氷塊を作り上げる。隕石のような爆発的な加速をし、急落下する。
「私が―――逃がすと言った」
無惨の片手の血管が更に膨張し、腕が膨れ上がる。玉遊びのような気安さで氷塊に触れた。
「これは絶対だ。私の決定した絶対を、お前如きが覆すつもりか」
氷塊に比べれば遥かに矮小な手、その握力だけで氷塊に亀裂を入れ握りしめ、砕いた。
パラパラと氷の残骸が降り注ぐ中で、無惨は絶対の支配者として君臨していた。
パラパラと氷の残骸が降り注ぐ中で、無惨は絶対の支配者として君臨していた。
「子供のように幼稚な傲慢さだな」
「黙れ、話すな、これ以上不快な腐臭を撒き散らすな」
魔神王は呼気を強めた。
足元の雑草が一瞬で萎れて枯れ果てていく。
足元の雑草が一瞬で萎れて枯れ果てていく。
「嫌味か?」
一連の流れを見て、無残の腹正しさは増していく。
(シルバースキンとやらは手に入れた。日光を凌ぐ手段はこれで二つ。
何処まで信用できるかは分からぬが、モクバ達に借りを作ったのも確かだ)
何処まで信用できるかは分からぬが、モクバ達に借りを作ったのも確かだ)
当初の目的は達した。
目の前の存在も脅威にはなるが、継国縁壱(ばけもの)程ではない。
利用されるのは腹正しいが、モクバが通常の子供とは違い有能なのは接していて分かった。
交渉や取引で、嘘を吐くような手合いではなさそうだ。連れていたドロテアとかいう女もろくでもない下種だろうが、利用価値を見抜き引き連れている。
自分の感情と大局を見ての判断は別けて考えられる。あの鬼滅隊(いじょうしゃども)とは違う。
時と場合により取引(ビジネス)として、割り切れる側の人間だ。
長年の経験で無惨はそういった人間もよく見てきた。ああいう手合いは信用はしないが、こちらが明確な利を示すなら、相応の対価を支払うことに躊躇がない。
無惨の名で名簿に乗らない限りは明かす事はないが、もしそうなったとしても、良好な関係を築ける可能性はある。
時間稼ぎ程度ならば引き受けてやってもいいだろう。
目の前の存在も脅威にはなるが、継国縁壱(ばけもの)程ではない。
利用されるのは腹正しいが、モクバが通常の子供とは違い有能なのは接していて分かった。
交渉や取引で、嘘を吐くような手合いではなさそうだ。連れていたドロテアとかいう女もろくでもない下種だろうが、利用価値を見抜き引き連れている。
自分の感情と大局を見ての判断は別けて考えられる。あの鬼滅隊(いじょうしゃども)とは違う。
時と場合により取引(ビジネス)として、割り切れる側の人間だ。
長年の経験で無惨はそういった人間もよく見てきた。ああいう手合いは信用はしないが、こちらが明確な利を示すなら、相応の対価を支払うことに躊躇がない。
無惨の名で名簿に乗らない限りは明かす事はないが、もしそうなったとしても、良好な関係を築ける可能性はある。
時間稼ぎ程度ならば引き受けてやってもいいだろう。
(だが…もうすぐ夜明けか……時間は掛けられん)
時刻だけならば既に早朝。
辛うじてまだ日は上がらないが、もうじき太陽が天空を支配し無惨を照らしつける事だろう。
辛うじてまだ日は上がらないが、もうじき太陽が天空を支配し無惨を照らしつける事だろう。
「5分だ。それ以上は私を煩わせるな」
ただ一方的な宣言をし、無惨は内に含めた殺気を解き放つ。
魔神王は何の関心も抱かず、ただ邪魔な障害物を退けるようにドラゴン殺しを構えた。
魔神王は何の関心も抱かず、ただ邪魔な障害物を退けるようにドラゴン殺しを構えた。
鬼の始祖と魔神の王が激突する。
それは紛れもなく、異なる種の頂点における者達の決戦の始まりであった。
【E-3/1日目/早朝(まだ日は昇ってないくらい)】
【鬼舞辻無惨(俊國)@鬼滅の刃】
[状態]:健康、俊國の姿、乃亜に対する激しい怒り。警戒(大)。
[装備]:捩花@BLEACH、シルバースキン@武装錬金
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1(確認済み)、夜ランプ@ドラえもん(使用可能時間、残り6時間)
[思考・状況]基本方針:手段を問わず生還する。
0:魔神王に対処。夜明けは近いので、無理はしない程度にモクバ達逃走の時間は稼いでやる。
1:もし居れば、禰豆子を最優先で探索し喰らう。死ぬな、禰豆子!
2:脱出するにせよ、優勝するにせよ、乃亜は確実に息の根を止めてやる。
3:首輪の解除を試す為にも回収出来るならしておきたい所だ。
4:禰豆子だけならともかく、柱(無一郎)が居る可能性もあるのでなるべく慎重に動きたい。
5:何にせよ次の放送までは俊國として振る舞う。
[備考]
参戦時期は原作127話で「よくやった半天狗!!」と言った直後、給仕を殺害する前です。
日光を浴びるとどうなるかは後続にお任せします。無惨当人は浴びると変わら死ぬと考えています。
また鬼化等に制限があるかどうかも後続にお任せします。
容姿は俊國のまま固定です。
[状態]:健康、俊國の姿、乃亜に対する激しい怒り。警戒(大)。
[装備]:捩花@BLEACH、シルバースキン@武装錬金
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1(確認済み)、夜ランプ@ドラえもん(使用可能時間、残り6時間)
[思考・状況]基本方針:手段を問わず生還する。
0:魔神王に対処。夜明けは近いので、無理はしない程度にモクバ達逃走の時間は稼いでやる。
1:もし居れば、禰豆子を最優先で探索し喰らう。死ぬな、禰豆子!
2:脱出するにせよ、優勝するにせよ、乃亜は確実に息の根を止めてやる。
3:首輪の解除を試す為にも回収出来るならしておきたい所だ。
4:禰豆子だけならともかく、柱(無一郎)が居る可能性もあるのでなるべく慎重に動きたい。
5:何にせよ次の放送までは俊國として振る舞う。
[備考]
参戦時期は原作127話で「よくやった半天狗!!」と言った直後、給仕を殺害する前です。
日光を浴びるとどうなるかは後続にお任せします。無惨当人は浴びると変わら死ぬと考えています。
また鬼化等に制限があるかどうかも後続にお任せします。
容姿は俊國のまま固定です。
【魔神王@ロードス島伝説】
[状態]:健康 (魔力消費・中)
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク、魔神顕現デモンズエキス×3@
アカメが斬る!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~2、魔神顕現デモンズエキス(5/2)@アカメが斬る!
[思考・状況]基本方針:乃亜込みで皆殺し
0:無惨を始末する。
1:アーカードを滅ぼせる道具が欲しい。
2:魂砕き(ソウルクラッシュ)を手に入れたい
3:覗き見をしていた者を殺す
4:覗き見をしていた者を殺すまでは、中島弘として振る舞う。
[備考]
自身の再生能力が落ちている事と、魔力消費が激しくなっている事に気付きました。
中島弘の脳を食べた事により、中島弘の記憶と知識と技能を獲得。中島弘の姿になっている時に、中島弘の技能を使用できる様になりました。
中島の記憶により永沢君男及び城ヶ崎姫子の姿を把握しました。城ヶ崎姫子に関しては名前を知りません。
変身能力は脳を食べた者にしか変身できません。記憶解析能力は完全に使用不能です。
[状態]:健康 (魔力消費・中)
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク、魔神顕現デモンズエキス×3@
アカメが斬る!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~2、魔神顕現デモンズエキス(5/2)@アカメが斬る!
[思考・状況]基本方針:乃亜込みで皆殺し
0:無惨を始末する。
1:アーカードを滅ぼせる道具が欲しい。
2:魂砕き(ソウルクラッシュ)を手に入れたい
3:覗き見をしていた者を殺す
4:覗き見をしていた者を殺すまでは、中島弘として振る舞う。
[備考]
自身の再生能力が落ちている事と、魔力消費が激しくなっている事に気付きました。
中島弘の脳を食べた事により、中島弘の記憶と知識と技能を獲得。中島弘の姿になっている時に、中島弘の技能を使用できる様になりました。
中島の記憶により永沢君男及び城ヶ崎姫子の姿を把握しました。城ヶ崎姫子に関しては名前を知りません。
変身能力は脳を食べた者にしか変身できません。記憶解析能力は完全に使用不能です。
※現在中島弘の姿をしています。
(ふぅー、あやつが足止めしてくれて助かったのじゃ)
溜息を吐きながらドロテアは安堵していた。
あの中島という少年の姿を借りた存在は、ドロテアの中であのエスデスと重なって見えた。
支給されたのか、デモンズエキスを使いこなしていたのだ。そんな化け物と戦うなど真っ平御免である。
あの中島という少年の姿を借りた存在は、ドロテアの中であのエスデスと重なって見えた。
支給されたのか、デモンズエキスを使いこなしていたのだ。そんな化け物と戦うなど真っ平御免である。
(しかし、藤木のようなクソ雑魚か写影達の様にそこそこ機転の利く子供ばかりかと思ったが…あのエスデス擬きや、それと戦える俊國のような奴等ばかりだったら、この先骨が折れるのじゃ)
全くもって、何が子供を集めた殺し合いなのだろうかと乃亜に文句を言ってやりたくなる。
当初はドロテアが蹂躙する側だろうと、若干余裕もあったのだが魔神王との邂逅で認識も大分改めねばならないらしい。
実のところ、ドロテアがランドセルに収納したままの魂砕きこそが魔神王の目的であり、もし藤木を見逃す譲歩を進めて、それを取り出していた場合、魔神王は何よりも最優先でドロテアの命を狙っていた。
まだ運に見放されてはいないことを、ドロテアは自覚もしていない。
当初はドロテアが蹂躙する側だろうと、若干余裕もあったのだが魔神王との邂逅で認識も大分改めねばならないらしい。
実のところ、ドロテアがランドセルに収納したままの魂砕きこそが魔神王の目的であり、もし藤木を見逃す譲歩を進めて、それを取り出していた場合、魔神王は何よりも最優先でドロテアの命を狙っていた。
まだ運に見放されてはいないことを、ドロテアは自覚もしていない。
「おい…教えてくれよ! 永沢が中島を殺したのか!!」
(もーう、面倒くさいのじゃあぁぁぁ)
もう完全に変装を放棄しエリスの容姿のまま叫ぶカツオを見て、ドロテアは内心で愚痴っていた。
「なあ、先ずは確認させて欲しいんだが…お前はカツオって奴でいいんだよな?
エリスって女の子じゃなくて」
エリスって女の子じゃなくて」
「……そう、だよ」
「ちょっと、話して貰っても良いか?」
モクバに言われるまま、カツオはそれまでの経緯を正直に話しだした。
最初に魔法使いのような少年に襲われ、狂犬みたいな美少女が介入してくれたが、あまりの暴力性に怖くなり逃げ出した。
その後、自衛の為に変装して行動していたら無惨と遭遇し、無理やり連れ回されたこと。
最初に魔法使いのような少年に襲われ、狂犬みたいな美少女が介入してくれたが、あまりの暴力性に怖くなり逃げ出した。
その後、自衛の為に変装して行動していたら無惨と遭遇し、無理やり連れ回されたこと。
「帝具か…確かナイトレイドが持っていたやつじゃったな」
変装を解いて、丸坊主の化粧をした少年の姿に変貌した時は、モクバもサトシも少し引き気味に驚嘆していた。
ドロテアは納得しながら、ガイアファンデーションの効果を思い返す。
ドロテアは納得しながら、ガイアファンデーションの効果を思い返す。
「カツオ…永沢達にも何か事情があったんじゃ」
「友達を殺されたんだぞ! どんな事情があるって言うんだ!!」
サトシも永沢達が手を下したことを否定しきれなかったが、それでも悪い人間とは思いきれない。
擁護に回ろうとするが、それがかえってカツオの逆鱗に触れる。
擁護に回ろうとするが、それがかえってカツオの逆鱗に触れる。
「ああ、そうさ…僕は殺したんだよ。君の友達は本当に間抜けだったよ」
「なんだって……! お前……!!」
「なんだって……! お前……!!」
グリフィンドールの剣で永沢に斬りかかろうとするカツオを横から突っ込んでモクバが抑え込む。
「離してくれよ!」
「待て。…気持ちは分かるが、今は……」
「待て。…気持ちは分かるが、今は……」
魔神王から1エリアほど離れた場所に移動したものの、事態はまだ差し迫っている。
無惨を撃破し魔神王が追跡してくる可能性もあるのだ。
もっと距離を開けておきたい。
それに、ここでカツオが永沢を殺めて殺し合いを加速させるのも乃亜の思うつぼだ。
無惨を撃破し魔神王が追跡してくる可能性もあるのだ。
もっと距離を開けておきたい。
それに、ここでカツオが永沢を殺めて殺し合いを加速させるのも乃亜の思うつぼだ。
「きみに何の気持ちが分かるんだよ!」
カツオの悲痛な叫びは、ドロテア以外の全員の心を痛めた。
「仕方ないだろ? 文句なら乃亜の奴に言ってくれないか。
僕だって殺し合いに巻き込まれた被害者なんだぜ」
僕だって殺し合いに巻き込まれた被害者なんだぜ」
「あの…私……」
本当は自分が殺したと城ヶ崎は白状しようとし、声が震えてつっかえてしまう。
自白がこんなにも怖い事だなんて思ってもいなかった。
それに全てを白日の下に晒すことは、結局のところ永沢が殺し合いに乗り、自発的に中島を襲った事まで話さねばならなくなる。
そうなれば永沢は―――。
でも、このままでは永沢が殺人者として糾弾される。別の嘘を言おうと思っても何も浮かんでこない。
自白がこんなにも怖い事だなんて思ってもいなかった。
それに全てを白日の下に晒すことは、結局のところ永沢が殺し合いに乗り、自発的に中島を襲った事まで話さねばならなくなる。
そうなれば永沢は―――。
でも、このままでは永沢が殺人者として糾弾される。別の嘘を言おうと思っても何も浮かんでこない。
(よし…これで良いぞ)
永沢は露悪的に話しながら、ヘイトが自分に集まるのを実感していた。
(僕が、中島とかいう奴を殺した事にしてしまえば良いんだ……。あとは、城ヶ崎の事はサトシ君に任せればいい。
あのピカチュウって鼠、かなり強かったし傍に居ればきっと安全だ)
あのピカチュウって鼠、かなり強かったし傍に居ればきっと安全だ)
永沢の選んだのはシンプルな自己犠牲だ。
元から中島を襲ったのも自分であるし、あくまで目的は城ヶ崎姫子の生還。
頭の良さも喧嘩の強さも、からっきしの永沢が生き残る必要はない。
果敢にも魔神王にピカチュウと共に挑んだサトシが居れば、彼女の安全は保障されるだろう。
残った遺恨は全部、永沢が引き受け墓場まで持って行けばいい。最悪カツオを道連れにしてしまえば、彼が城ヶ崎を襲うこともない。
永沢でも、それくらいは出来るはずだ。
元から中島を襲ったのも自分であるし、あくまで目的は城ヶ崎姫子の生還。
頭の良さも喧嘩の強さも、からっきしの永沢が生き残る必要はない。
果敢にも魔神王にピカチュウと共に挑んだサトシが居れば、彼女の安全は保障されるだろう。
残った遺恨は全部、永沢が引き受け墓場まで持って行けばいい。最悪カツオを道連れにしてしまえば、彼が城ヶ崎を襲うこともない。
永沢でも、それくらいは出来るはずだ。
(カツオも僕が中島殺人の実行犯だと思い込んでいる。良いぞ…このまま―――)
「お…おかしくないかな? こういう時、いつも城ヶ崎さんが永沢君に食って掛かると思うんだけど」
「なっ……!」
永沢の目論見は上手く行っていた。
全く関心のないドロテアはともかくとし、モクバとカツオとサトシも事態の急変化に気が動転して、中島の殺害犯は永沢だと半ば確定して話を進めていた。
だがただ一人、この中で藤木だけは違っていた。
明らかにおかしいのだ。火と油、犬と猫、きのことたけのこ。顔を合わせれば喧嘩ばかりの二人が、こうして大人しく行動していた事が。
無論、殺し合いの場である為、お互いに控えた可能性もある。
けれども、流石に永沢に殺人の容疑が掛かれば真っ先に口を挟むであろう城ヶ崎が、沈黙を続けているのが不自然でしかない。
全く関心のないドロテアはともかくとし、モクバとカツオとサトシも事態の急変化に気が動転して、中島の殺害犯は永沢だと半ば確定して話を進めていた。
だがただ一人、この中で藤木だけは違っていた。
明らかにおかしいのだ。火と油、犬と猫、きのことたけのこ。顔を合わせれば喧嘩ばかりの二人が、こうして大人しく行動していた事が。
無論、殺し合いの場である為、お互いに控えた可能性もある。
けれども、流石に永沢に殺人の容疑が掛かれば真っ先に口を挟むであろう城ヶ崎が、沈黙を続けているのが不自然でしかない。
「きみは何を言って―――」
「永沢君、なんだか城ヶ崎さんを庇っていないかい?
それに、あの中島って人の見た目をしていた人はこう言ってたよ…永沢と彼女が殺したんだって……」
それに、あの中島って人の見た目をしていた人はこう言ってたよ…永沢と彼女が殺したんだって……」
饒舌な藤木に永沢は苛立ちを増す。
いつもなら人に流されて楽な方向に行く男が、どうしてこんな時に。
いつもなら人に流されて楽な方向に行く男が、どうしてこんな時に。
「僕が城ヶ崎を庇う訳ないだろ! こんなブス……」
「……嘘だよ。永沢君、きみは城ヶ崎さんの事を気に入らないけど、美人と言っていたじゃないか」
後に中学生になって以降の評価は、もう少し美人が良いという何とも言えないものではあるが。
美的センスが壊滅的に狂っているのだろうが、それはそうと永沢の中でも城ヶ崎は美人よりに位置しているのは事実だ
その上で生意気で気に食わない女なのだが。
美的センスが壊滅的に狂っているのだろうが、それはそうと永沢の中でも城ヶ崎は美人よりに位置しているのは事実だ
その上で生意気で気に食わない女なのだが。
「それに…」
分かるよ。友達だから。
声には出さず、心の中でのみ紡ぐ。
藤木の感情もぐちゃぐちゃになりそうだった。
数十分前まで殺し合いに乗る気だった。永沢が居ても、構わないと思っていた。
なのに、こんなに追い込まれた永沢を見た時、その決意を忘れ去ってしまった。
自分は一体、何がしたいのか藤木本人にも分からない。
数十分前まで殺し合いに乗る気だった。永沢が居ても、構わないと思っていた。
なのに、こんなに追い込まれた永沢を見た時、その決意を忘れ去ってしまった。
自分は一体、何がしたいのか藤木本人にも分からない。
「ごめんなさい。私が銃で殺したの…だから磯野君、悪いのは私なの」
「先に僕が殺し合いに乗ったのが悪いんだ! バットで殴ったら、あいつ息を吹き返して…城ヶ崎はわざとじゃなくて!」
「どっちでもいいよ」
カツオは冷たく言い放つ。
「きみ達のせいで中島は死んだんだろ?」
向こうの事情など知らない。ただ、身勝手な話でしかない。
そして、変な化け物に食べられて姿形まで奪われてしまったのだ。
殴られたらきっと痛いだろう。撃たれたら、どんな絶望や恐怖を味わうのだろう。
死して尚、尊厳すら奪われて弔うこともできないなんて。
中島がそこまでされなきゃいけないほど、悪い事なんてしたのか?
そして、変な化け物に食べられて姿形まで奪われてしまったのだ。
殴られたらきっと痛いだろう。撃たれたら、どんな絶望や恐怖を味わうのだろう。
死して尚、尊厳すら奪われて弔うこともできないなんて。
中島がそこまでされなきゃいけないほど、悪い事なんてしたのか?
「どうし、て…なかじまが……なにしたって、言うんだよぉ……」
カツオの目から、涙が溢れ出していた。
怒りも悲しみも何もかもが込められた涙だった。
怒りも悲しみも何もかもが込められた涙だった。
―――くすくすくす
「とても痛そう。知ってる? 痛みは愛なんだよ」。
強風が草木を揺らし、夜明けの薄暗いなかに小さな人影のシルエットが増えた。
ほんの一瞬だけ、それは翼を生えた修道女のような天使のように見えたのは気のせいだろうか。
露わになったのは胴着をきた黒髪の活発そうな少年だった。
ほんの一瞬だけ、それは翼を生えた修道女のような天使のように見えたのは気のせいだろうか。
露わになったのは胴着をきた黒髪の活発そうな少年だった。
「一人だけ愛を貰うのもずるいよね。だから―――」
みんなにも愛をあげる。
「ピカピ!!」
「でんこう―――」
「でんこう―――」
この少年が何をする気か、勘で察知したサトシとピカチュウが動く。
だが遅かった。少年の素早さは尋常ではない。
ピカチュウもスピードでかく乱するバトルを得意とするものの、初動で出遅れてしまった。
少年の向かう先には永沢と城ヶ崎が居た。手に刃物や武器の類はないが、何の害意もないとが考え難い。
だが遅かった。少年の素早さは尋常ではない。
ピカチュウもスピードでかく乱するバトルを得意とするものの、初動で出遅れてしまった。
少年の向かう先には永沢と城ヶ崎が居た。手に刃物や武器の類はないが、何の害意もないとが考え難い。
「な…永沢君!!」
藤木の中で、肝試しの時にさくらももこを置き去りにしたことを思い出していた。
思えばあれが転機となり、今の卑怯者としての自分が定着してしまった気がする。
思えばあれが転機となり、今の卑怯者としての自分が定着してしまった気がする。
(僕に何ができるんだ……)
永沢のピンチだというのは何となく分かる。でも、だからなんだというのだ。
これ以上、自分に出来る事など―――。
これ以上、自分に出来る事など―――。
「違う―――僕はフジキングだ」
藤木は駆け出していた。
殺し合いが始まってから半強制的とはいえ、自分の意思で人を襲ったことで藤木は歪な自己肯定感と自信を身に着けていたのだ。
自分に向かって走ってくる藤木を見て、永沢はきょとんとした顔をする。
そんなことに構わず、藤木は永沢に抱き着くように押し倒した。
殺し合いが始まってから半強制的とはいえ、自分の意思で人を襲ったことで藤木は歪な自己肯定感と自信を身に着けていたのだ。
自分に向かって走ってくる藤木を見て、永沢はきょとんとした顔をする。
そんなことに構わず、藤木は永沢に抱き着くように押し倒した。
「危ないよ! 永沢君!!」
花弁が散るように、血飛沫が噴き出した。
「ごほっ……!」
少年の腕が城ヶ崎の胸に突き刺さっていた。
血塗れの腕を引き抜き、更に栓を失った血は行き場を求め勢いを増して吹き出す。
血塗れの腕を引き抜き、更に栓を失った血は行き場を求め勢いを増して吹き出す。
「アイアンテール!!」
一秒ほどの後に追い付いたピカチュウのアイアンテールが少年の頬に直撃した。
「ピカァ!!」
「おめえ、やるなぁ!」
首を尻尾で薙ぎ払われ吹き飛ばされる少年。
その口許を吊り上げ、心底楽しそうに微笑んで見せた。
その口許を吊り上げ、心底楽しそうに微笑んで見せた。
「へへ…オラ悟空ってんだ」
一番最初に出会った悟空(おにいちゃん)を模倣するように。
カオスは演技を続けながら、受け身を取りサトシとピカチュウを見つめる。
カオスは演技を続けながら、受け身を取りサトシとピカチュウを見つめる。
「永沢君、無事かい? い、行こう…今の内に」
「じょうがさ…き……」
「じょうがさ…き……」
胸から多量の血を流し生気を失っていく城ヶ崎を見つめながら、永沢は放心状態になっていた。
それに藤木が、どうして自分に覆いかぶさってきたのも分からないでいた。
カオスが狙っていたのは、永沢の横に居た城ヶ崎だ。普通に考えて、藤木がカオスより早く動ける筈などない。
勘違いしていたのだろう。永沢が殺されてしまうと。
それでいて、藤木本人は永沢を救うことに成功したのだと思い込んでいる。
それに藤木が、どうして自分に覆いかぶさってきたのも分からないでいた。
カオスが狙っていたのは、永沢の横に居た城ヶ崎だ。普通に考えて、藤木がカオスより早く動ける筈などない。
勘違いしていたのだろう。永沢が殺されてしまうと。
それでいて、藤木本人は永沢を救うことに成功したのだと思い込んでいる。
「永沢君!!」
藤木が永沢の頬を引っぱたく。不快ながら、永沢はそれで我を取り戻した。
自分の腕を引っ張る藤木を見る。一緒に、ここから逃げろとでも言うつもりなのだろうか。
もう一度、城ヶ崎の方を見た。
自分の腕を引っ張る藤木を見る。一緒に、ここから逃げろとでも言うつもりなのだろうか。
もう一度、城ヶ崎の方を見た。
「しっかりしろ! 城ヶ崎!!」
遅れて駆け寄ったサトシの腕の中で、何かを言っていた。きっともう、助からない。
永沢には医療の知識はないが、それでもあれは無理だと分かった。
何も悪くない彼女が死んで、こんな卑怯者の自分だけが生き残るだなんて。
よりにもよって、何で藤木が自分の元へ来たのか怒りすら覚えた。
永沢には医療の知識はないが、それでもあれは無理だと分かった。
何も悪くない彼女が死んで、こんな卑怯者の自分だけが生き残るだなんて。
よりにもよって、何で藤木が自分の元へ来たのか怒りすら覚えた。
「ごめんよ…城ヶ崎」
永沢は一言だけそう言って藤木と共に走り出した。
後ろから、永沢を呼ぶサトシの叫びが聞こえてきた。
それでも足を止めずに走り続ける。
後ろから、永沢を呼ぶサトシの叫びが聞こえてきた。
それでも足を止めずに走り続ける。
「どうして…どうして―――守ってくれなかったんだよ。サトシ君……!」
最後に永沢は、一方的なサトシへの懇願と、それに報いてくれなかった勝手な失望を口にした。
「―――二人行っちまったけど、まあいいか。
んじゃ、いっちょ始めようぜ」
んじゃ、いっちょ始めようぜ」
カオスは逃げていく永沢達を見ながら、敢えて手を出す事はしなかった。
あの二人組には、悟空が殺し合いに乗ったと吹聴して貰えれば好都合だ。
今のところ、カオスに悟空を倒す術はない。だから、別の強者と潰し合うようなことになれば、カオスにとって二つの意味で美味しい展開となる。
そして、残された子供達にはカオスがもっといい子になれるように、手伝って貰う。
くすくすと、カオスは悟空を演じたまま狂的な笑みを零した。
あの二人組には、悟空が殺し合いに乗ったと吹聴して貰えれば好都合だ。
今のところ、カオスに悟空を倒す術はない。だから、別の強者と潰し合うようなことになれば、カオスにとって二つの意味で美味しい展開となる。
そして、残された子供達にはカオスがもっといい子になれるように、手伝って貰う。
くすくすと、カオスは悟空を演じたまま狂的な笑みを零した。
「サトシさん……」
最初はお金持ちでキザだけど、人として欠点のない花輪君に惹かれていた事もあった。
でもいつからか、永沢のあのヘンな顔が気になるようになった。
気づけば、ヘンな頭もヘンな性格も全てが気になるようになって。それを裏付けるように当たりも強くなっていった。
でもいつからか、永沢のあのヘンな顔が気になるようになった。
気づけば、ヘンな頭もヘンな性格も全てが気になるようになって。それを裏付けるように当たりも強くなっていった。
(ほんとは…中島という人を殺しちゃったあと……)
永沢と一緒に共通の罪を抱えて。
何処までも深くまで逃げようと足掻いて、足掻くだけ足を救われて落ちていく感覚に。
きっと、幸福のようなものを感じていた気がする。
いけないとは分かっていたのに。分かっていたからこそ、背徳的で自罰的になって自分が滅茶苦茶にされていく感触が癖になり、悦んでいたのかもしれない。
奇麗なものが汚されてしまう。そんな歪んだ変態的な悦びを。
だから、これはきっと罰なのだと思う。
死にたくなんてないし、未練もあるけどそれは受け入れる。
でも、自分を何とか生かしてくれようとした永沢には、こうはなって欲しくはない。
何処までも深くまで逃げようと足掻いて、足掻くだけ足を救われて落ちていく感覚に。
きっと、幸福のようなものを感じていた気がする。
いけないとは分かっていたのに。分かっていたからこそ、背徳的で自罰的になって自分が滅茶苦茶にされていく感触が癖になり、悦んでいたのかもしれない。
奇麗なものが汚されてしまう。そんな歪んだ変態的な悦びを。
だから、これはきっと罰なのだと思う。
死にたくなんてないし、未練もあるけどそれは受け入れる。
でも、自分を何とか生かしてくれようとした永沢には、こうはなって欲しくはない。
「永沢…のこと―――」
そういえば、たまたま遠足の写真で永沢と二人一緒に写って喧嘩したこともあった。
一緒に線香花火をしたこともあった。
永沢や、その永沢と一緒に良くいる藤木。
笹山さんや、まる子などのクラスメイトとの思い出も溢れる程に蘇ってきた。
一緒に線香花火をしたこともあった。
永沢や、その永沢と一緒に良くいる藤木。
笹山さんや、まる子などのクラスメイトとの思い出も溢れる程に蘇ってきた。
(さくらさんや、笹山さん達も…居なければ、良いけど……)
腕の中で冷たくなり、瞼を閉じて二度とそれは開く事はなくなった。
「……」
そっとサトシは城ヶ崎の遺体を安置して、カオスへと向き直る。
「ピカピ!!」
「分かってる。ピカチュウ」
「分かってる。ピカチュウ」
分かっている。ここはそういう場なのだと。
羽蛾に出し抜かれて、魔神王と僅かに矛を交えて理解していた。
平気で人を殺めるような人間が大勢居て。何喰わない顔で人を騙せるような人間だっている。
この先、人の死を見る事だって覚悟していない訳じゃなかった。
羽蛾に出し抜かれて、魔神王と僅かに矛を交えて理解していた。
平気で人を殺めるような人間が大勢居て。何喰わない顔で人を騙せるような人間だっている。
この先、人の死を見る事だって覚悟していない訳じゃなかった。
「どうして、こんなことするんだ!」
それでも、聞かずにはいられない。笑った顔で人を殺せるような奴なんかに理由なんてないと分かっていても―――。
「こうしないと、いい子になれないから」
「なん―――」
ほんの刹那の合間、見せた表情は悟空のものではなく。
偽った狂愛の仮面でもない。
ただの寂しそうな子供の顔だった。
でも、それに触れる隙をカオスは与えてくれなかった。これ以上踏み込まれるのを拒むように、黒炎の球体を無数に生み出してサトシとピカチュウへと放つ。
偽った狂愛の仮面でもない。
ただの寂しそうな子供の顔だった。
でも、それに触れる隙をカオスは与えてくれなかった。これ以上踏み込まれるのを拒むように、黒炎の球体を無数に生み出してサトシとピカチュウへと放つ。
「かわせピカチュウ!!」
「ピカァ!!」
黒炎の合間をピカチュウは駆け抜ける。
「10万ボルト!!」
「愛をあげる。愛を!!」
まだ薄暗い天空を背に、跳躍したピカチュウの雷光が轟いた。
―――
「ドロテア、オレ達もやるしかない」
モクバは抑えていたカツオから離れていた。カツオも暴れる様子はなく、ただ項垂れている。
「のう、モクバや…逃げるというのは」
「サトシを置いてける訳ないだろ!」
モクバは懐に忍ばせていたブルーアイズのカードにそっと触れていた。
いざとなれば、これを使うしかない。問題はそのタイミングを何時図るかだ。
使用に制限がある以上は、今後の事も見据えなければならず。だが温存を優先してこの場の誰かを死なす訳にもいかない。
いざとなれば、これを使うしかない。問題はそのタイミングを何時図るかだ。
使用に制限がある以上は、今後の事も見据えなければならず。だが温存を優先してこの場の誰かを死なす訳にもいかない。
(俊國の奴とも、取引しちまったけど…もし首輪の解析が思うように進まなかったら……)
ディオがモクバを死なせないよう、無惨に色々と吹き込んでくれたのだろう。
打算込みだろうが、そこには感謝している。
問題は無惨の癇癪についてだ。首輪の解析も、今後の見通しがまるで立っていない。魔神王や、カオスのような襲撃が続けば尚のこと手が回らない。
いずれ痺れを切らし、無惨が優勝に切り替える事も十分ありえる。
それはドロテアも同じではあるが、無惨は更に驚異的な力を秘めている。
何より、無惨はドロテア以上に恨みを買われている。
俊國という名が偽名なのは、モクバもやり取りの中で分かったが、モクバに立場の保証を要求しながら本名を明かさなかったのは、その名を聞きつけ無惨を討たんとする者達が少なくない数いるからだろう。
場合によってはそんな連中と対立する必要もある。しかも、それが復讐や報復の類であれば説得は難しい。
最悪なのが、無惨を殺せればあとはどうなってもいいといった輩だ。こちらの説得など、聞く気など更々ないだろう。
打算込みだろうが、そこには感謝している。
問題は無惨の癇癪についてだ。首輪の解析も、今後の見通しがまるで立っていない。魔神王や、カオスのような襲撃が続けば尚のこと手が回らない。
いずれ痺れを切らし、無惨が優勝に切り替える事も十分ありえる。
それはドロテアも同じではあるが、無惨は更に驚異的な力を秘めている。
何より、無惨はドロテア以上に恨みを買われている。
俊國という名が偽名なのは、モクバもやり取りの中で分かったが、モクバに立場の保証を要求しながら本名を明かさなかったのは、その名を聞きつけ無惨を討たんとする者達が少なくない数いるからだろう。
場合によってはそんな連中と対立する必要もある。しかも、それが復讐や報復の類であれば説得は難しい。
最悪なのが、無惨を殺せればあとはどうなってもいいといった輩だ。こちらの説得など、聞く気など更々ないだろう。
(いや、今はそんなことを考えるな。あいつに集中しないと)
だが、それは先の事だ。
この場を生き延びることが出来たその先の。
この場を生き延びることが出来たその先の。
(いやじゃぁ! あの悟空とかいうガキ、藤木なんぞとは比べ物にならん程に強いではないか……。
ここで一人で逃げるのも……うーむ、だがモクバを亡くすのは惜しいのじゃ)
ここで一人で逃げるのも……うーむ、だがモクバを亡くすのは惜しいのじゃ)
渋々といった顔でドロテアも戦いへ意識を切り替え構えた。
前向きに考えれば、一人死人が出たお陰でモクバに何も言われず合法的に首輪も手に入るのだ。
状況は一歩ずつ好転している。このカオスさえ倒すか追い払うか、上手くいなしてここから離脱できればだが。
前向きに考えれば、一人死人が出たお陰でモクバに何も言われず合法的に首輪も手に入るのだ。
状況は一歩ずつ好転している。このカオスさえ倒すか追い払うか、上手くいなしてここから離脱できればだが。
(なんでだよ……)
カツオはこの場から逃げていく永沢と藤木の背中を見つめながら、やるせなさだけを感じていた。
今すぐにでも殺してやりたいほど憎んでいる。でも、それを追おうとしない自分が居た。
カオスが居たから、動けなかった。それもあるのだろう。
今すぐにでも殺してやりたいほど憎んでいる。でも、それを追おうとしない自分が居た。
カオスが居たから、動けなかった。それもあるのだろう。
「なんで、なんで…あんな奴にも…親友が居るんだよぉ……!」
藤木とかいう奴も、殺し合いに乗った卑怯な奴だと話は聞いていた。
だから殺したって心は痛まない。痛まない筈なのに。
あんな奴等でも、親友を奪われたら辛いだろうなと思ってしまった。
数時間前に自分が、一番の大親友を奪われてしまったから。
だから殺したって心は痛まない。痛まない筈なのに。
あんな奴等でも、親友を奪われたら辛いだろうなと思ってしまった。
数時間前に自分が、一番の大親友を奪われてしまったから。
「くそ…! ……く、そぉ……!!」
カオスという特大の厄災を前にしながら、カツオはそれに怯える気力すら残されてはいなかった。
【城ヶ崎姫子@ちびまる子ちゃん 死亡】
【E-4 /1日目/早朝】
【カオス@そらのおとしもの】
[状態]:全身にダメージ(中)、自己修復中、アポロン大破、アルテミス大破、イージス半壊、ヘパイトス、クリュサオル使用制限、悟空の姿
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:優勝して、いい子になれるよう願う。
0:サトシ達を殺す。
1:悟空お兄ちゃんかネモお兄ちゃんの姿で殺しまわる。
2:沢山食べて、悟空お兄ちゃんや青いお兄ちゃんを超える力を手に入れる。
3:…帰りたい。
[備考]
原作14巻「頭脳!!」終了時より参戦です。
アポロン、アルテミスは大破しました。修復不可能です。
ヘパイトス、クリュサオルは制限により12時間使用不可能です。
[状態]:全身にダメージ(中)、自己修復中、アポロン大破、アルテミス大破、イージス半壊、ヘパイトス、クリュサオル使用制限、悟空の姿
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:優勝して、いい子になれるよう願う。
0:サトシ達を殺す。
1:悟空お兄ちゃんかネモお兄ちゃんの姿で殺しまわる。
2:沢山食べて、悟空お兄ちゃんや青いお兄ちゃんを超える力を手に入れる。
3:…帰りたい。
[備考]
原作14巻「頭脳!!」終了時より参戦です。
アポロン、アルテミスは大破しました。修復不可能です。
ヘパイトス、クリュサオルは制限により12時間使用不可能です。
【サトシ@アニメポケットモンスター】
[状態]:負傷(中)
[装備]:サトシのピカチュウ@アニメポケットモンスター、ブラック・マジシャン・ガール@ 遊戯王デュエルモンスターズ
[道具]:基本支給品、タブレット@コンペLSロワ
[思考・状況]基本方針:対主催として乃亜をぶん殴る
0:悟空(カオス)を止める。
1:それでもオレは乃亜の企みを阻止して、ポケモンマスターを目指す!
2:リーゼロッテに注意する
3:羽蛾に対する複雑な感情、人を殺すことはないと思いたい。
4:永沢の事が気になる。
[備考]
※アニメ最終話後からの参戦です。
※デュエルモンスターズについて大まかに知りました。
※羽蛾との会話から自分とは違う世界があることを知りました。
※羽蛾からリーゼロッテのオカルト(脅威)について把握しました。
※永沢達から、中島(名前は知らない)の殺害者について、藤木の特徴をした女の子だと聞かされました。
※サトシのピカチュウのZワザ、キョダイマックスはそれぞれ一度の使用で12時間使用不可(どちらにせよ、両方とも必要なアイテムがないので現在は使用不可)。
それと、殺し合いという状況を理解しています。
[状態]:負傷(中)
[装備]:サトシのピカチュウ@アニメポケットモンスター、ブラック・マジシャン・ガール@ 遊戯王デュエルモンスターズ
[道具]:基本支給品、タブレット@コンペLSロワ
[思考・状況]基本方針:対主催として乃亜をぶん殴る
0:悟空(カオス)を止める。
1:それでもオレは乃亜の企みを阻止して、ポケモンマスターを目指す!
2:リーゼロッテに注意する
3:羽蛾に対する複雑な感情、人を殺すことはないと思いたい。
4:永沢の事が気になる。
[備考]
※アニメ最終話後からの参戦です。
※デュエルモンスターズについて大まかに知りました。
※羽蛾との会話から自分とは違う世界があることを知りました。
※羽蛾からリーゼロッテのオカルト(脅威)について把握しました。
※永沢達から、中島(名前は知らない)の殺害者について、藤木の特徴をした女の子だと聞かされました。
※サトシのピカチュウのZワザ、キョダイマックスはそれぞれ一度の使用で12時間使用不可(どちらにせよ、両方とも必要なアイテムがないので現在は使用不可)。
それと、殺し合いという状況を理解しています。
【磯野カツオ@サザエさん】
[状態]:ダメージ(小) 悲しみ(大)、永沢に対する怒りと殺意(極大)
[装備]:変幻自在ガイアファンデーション@アカメが斬る、グリフィンドールの剣@ハリーポッターシリ-ズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品2、タブレット@コンペLSロワ
[思考・状況]
基本方針:中島のことを両親に伝えるためにも死にたくない。
0:どうすればいいんだ……。
1:生き残ることを模索する
2:エリスとして行動しつつ、ガイアファンデーションの幅を広げる
3:ゲームに乗ったマルフォイには注意する
[備考]
変身を解きました。
持ち前の人間観察でマルフォイとエリスの人となり(性格・口調)を推測しました。
じっくり丁寧に変身をしたため、次回以降は素早く変身できるようになりました。
少なくとも、「カツオのための反省室」「早すぎた年賀状」は経験しています。
ガイアファンデーションの説明書に無惨の名前が載っています。
[状態]:ダメージ(小) 悲しみ(大)、永沢に対する怒りと殺意(極大)
[装備]:変幻自在ガイアファンデーション@アカメが斬る、グリフィンドールの剣@ハリーポッターシリ-ズ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品2、タブレット@コンペLSロワ
[思考・状況]
基本方針:中島のことを両親に伝えるためにも死にたくない。
0:どうすればいいんだ……。
1:生き残ることを模索する
2:エリスとして行動しつつ、ガイアファンデーションの幅を広げる
3:ゲームに乗ったマルフォイには注意する
[備考]
変身を解きました。
持ち前の人間観察でマルフォイとエリスの人となり(性格・口調)を推測しました。
じっくり丁寧に変身をしたため、次回以降は素早く変身できるようになりました。
少なくとも、「カツオのための反省室」「早すぎた年賀状」は経験しています。
ガイアファンデーションの説明書に無惨の名前が載っています。
【ドロテア@アカメが斬る!】
[状態]健康、高揚感
[装備]血液徴収アブゾディック、魂砕き(ソウルクラッシュ)@ロードス島伝説
[道具]基本支給品 ランダム支給品0~1、セト神のスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本方針:手段を問わず生き残る。優勝か脱出かは問わない。
0:悟空(カオス)へ対処、逃げたい。
1:とりあえず適当な人間を三人殺して首輪を得るが、モクバとの範疇を超えぬ程度にしておく。
2:妾の悪口を言っていたらあの二人(写影、桃華)は殺すが……少し悩ましいのう。ひっそり殺すか?
3:海馬モクバと協力。意外と強かな奴よ。利用価値は十分あるじゃろう。
4:海馬コーポレーションへと向かう。
5:……城ヶ崎が死んだのはラッキーじゃな。藤木と永沢も死ねばよかったのにのう。
[備考]
※参戦時期は11巻。
※若返らせる能力(セト神)を、藤木茂の能力では無く、支給品によるものと推察しています。
※若返らせる能力(セト神)の大まかな性能を把握しました。
[状態]健康、高揚感
[装備]血液徴収アブゾディック、魂砕き(ソウルクラッシュ)@ロードス島伝説
[道具]基本支給品 ランダム支給品0~1、セト神のスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[思考・状況]
基本方針:手段を問わず生き残る。優勝か脱出かは問わない。
0:悟空(カオス)へ対処、逃げたい。
1:とりあえず適当な人間を三人殺して首輪を得るが、モクバとの範疇を超えぬ程度にしておく。
2:妾の悪口を言っていたらあの二人(写影、桃華)は殺すが……少し悩ましいのう。ひっそり殺すか?
3:海馬モクバと協力。意外と強かな奴よ。利用価値は十分あるじゃろう。
4:海馬コーポレーションへと向かう。
5:……城ヶ崎が死んだのはラッキーじゃな。藤木と永沢も死ねばよかったのにのう。
[備考]
※参戦時期は11巻。
※若返らせる能力(セト神)を、藤木茂の能力では無く、支給品によるものと推察しています。
※若返らせる能力(セト神)の大まかな性能を把握しました。
【海馬モクバ@遊戯王デュエルモンスターズ】
[状態]:健康、俊國(無惨)に対する警戒。
[装備]:青眼の白龍@遊戯王デュエルモンスターズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、小型ボウガン(装填済み) ボウガンの矢(即効性の痺れ薬が塗布)×10
[思考・状況]基本方針:乃亜を止める。人の心を取り戻させる。
0:悟空(カオス)を何とかする。
1:ディオ達と港で合流出来そうにないな……。
2:殺し合いに乗ってない奴を探すはずが、ちょっと最初からやばいのを仲間にしちまった気がする
3:ドロテアと協力。俺一人でどれだけ抑えられるか分からないが。
4:海馬コーポレーションへ向かう。
5:俊國(無惨)とも協力体制を取る。可能な限り、立場も守るよう立ち回る。
[備考]
※参戦時期は少なくともバトルシティ編終了以降です。
※ここを電脳空間を仮説としてますが確証はありません
[状態]:健康、俊國(無惨)に対する警戒。
[装備]:青眼の白龍@遊戯王デュエルモンスターズ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2、小型ボウガン(装填済み) ボウガンの矢(即効性の痺れ薬が塗布)×10
[思考・状況]基本方針:乃亜を止める。人の心を取り戻させる。
0:悟空(カオス)を何とかする。
1:ディオ達と港で合流出来そうにないな……。
2:殺し合いに乗ってない奴を探すはずが、ちょっと最初からやばいのを仲間にしちまった気がする
3:ドロテアと協力。俺一人でどれだけ抑えられるか分からないが。
4:海馬コーポレーションへ向かう。
5:俊國(無惨)とも協力体制を取る。可能な限り、立場も守るよう立ち回る。
[備考]
※参戦時期は少なくともバトルシティ編終了以降です。
※ここを電脳空間を仮説としてますが確証はありません
※ディオ達から、港での合流が叶わなかった場合の再合流場所を、無惨経由で聞かされました。
具体的な場所と時間は、後の書き手さんにお任せします。
具体的な場所と時間は、後の書き手さんにお任せします。
「永沢君、僕と一緒に殺し合いに優勝しないかい?」
カオス達から逃げ延び、安全だろうと思えた場所まで移動してから藤木は永沢に言った。
いかにフジキングといえど、一人では限界があると認めざるを得ない。
協力者が居れば、より効率よく参加者を殺せるはずなのだ。
それに願いを叶えるといった事が本当であれば、どちらか一人が優勝してもう一人が蘇生させることで二人で生還できる。
……どちらが生き残るかで、絶対に揉めるだろうが。
いかにフジキングといえど、一人では限界があると認めざるを得ない。
協力者が居れば、より効率よく参加者を殺せるはずなのだ。
それに願いを叶えるといった事が本当であれば、どちらか一人が優勝してもう一人が蘇生させることで二人で生還できる。
……どちらが生き残るかで、絶対に揉めるだろうが。
「よく分からないけど中島って人を、城ヶ崎さんと一緒に襲ったんだろう?
……なんで城ヶ崎さんまで、そんなことしたのか分からないけど、まあいいや。
二人なら、最後まで生き残れるさ……だって―――僕はフジキングなんだ」
……なんで城ヶ崎さんまで、そんなことしたのか分からないけど、まあいいや。
二人なら、最後まで生き残れるさ……だって―――僕はフジキングなんだ」
藤木目線では、永沢の命を自分が身を張って助けた事でこれ以上ない程の成功体験として、その根拠のない自信に刻み込まれてた。
自分が永沢の命の恩人なのだと、こちらの提案を断る事などないと高を括ってもいる。
数少ない、永沢より上の立場に立てた機会に気分も良くしていた。
自分が永沢の命の恩人なのだと、こちらの提案を断る事などないと高を括ってもいる。
数少ない、永沢より上の立場に立てた機会に気分も良くしていた。
「冗談じゃないよ」
吐き捨てるように、永沢は声を出す。
藤木は先ほどまでの自信は揺らぎだしていく。
藤木は先ほどまでの自信は揺らぎだしていく。
「別にきみは優勝したい訳じゃないだろう?
乃亜に目を付けられるのが怖くて、殺し合いに乗った素振りを続けているだけなのさ」
乃亜に目を付けられるのが怖くて、殺し合いに乗った素振りを続けているだけなのさ」
「な、なんだって……も…もう何人も襲っているんだ。僕は……」
「フン、何がフジキングだよ。きみ、僕が思っていた以上に馬鹿で間抜けでアホだな」
「あ、ァ…あァ……」
何故、こんなことを言われているのか藤木には分からなかった。
永沢に性格は理解している。絶対に殺し合いに乗っているのだと思っていたし、命も助けたのだから乗ってくると思っていた。
だから断られるなんて思ってもいなかった。
永沢に性格は理解している。絶対に殺し合いに乗っているのだと思っていたし、命も助けたのだから乗ってくると思っていた。
だから断られるなんて思ってもいなかった。
「僕は、絶対に生き延びるつもりだ。どんな形でもいい。生き残って願いを叶えるんだ」
「そ…それなら、僕と組めば……」
「もちろん優勝も視野に入れるさ。でも、もし乃亜を倒す手段が見つかって可能性が高いなら、僕はそっちに乗っても良い。乃亜から願いを叶える方法を奪うのさ。
けど、きみは違うだろ?」
けど、きみは違うだろ?」
「永沢君、そんなの乃亜に聞かれたら……」
「ほらね? きみは乃亜が怖くて、仕方ないんだ。絶対に乃亜と戦うなんて無理だね」
カオスや魔神王といった存在を見て、永沢が優勝できる可能性は低い。ならば、友好的な参加者を利用して潰し合わせる手もあるが、それよりももう一つ選択肢を増やす事を永沢は考えた。
ここに居る対主催連中が首輪を外し、乃亜の元に乗り込んだ時に上手く立ち回り願いを叶える手段を強奪する。
これも決して簡単な方法ではないだろうが、もしも乃亜が対主催に攻め入られたその時、追い込まれていれば永沢も状況によっては優位に立ち、乃亜に交渉や恐喝をして優勝特典を手に入れる事も不可能ではないかもしれない。
恐らく乃亜も特異な力を除けば、素の身体能力は子供範疇の筈なのだ。
対主催がそれを打ち破ることが出来れば、永沢にだってチャンスはある。
ここに居る対主催連中が首輪を外し、乃亜の元に乗り込んだ時に上手く立ち回り願いを叶える手段を強奪する。
これも決して簡単な方法ではないだろうが、もしも乃亜が対主催に攻め入られたその時、追い込まれていれば永沢も状況によっては優位に立ち、乃亜に交渉や恐喝をして優勝特典を手に入れる事も不可能ではないかもしれない。
恐らく乃亜も特異な力を除けば、素の身体能力は子供範疇の筈なのだ。
対主催がそれを打ち破ることが出来れば、永沢にだってチャンスはある。
「きみのような卑怯者は邪魔なのさ。いざって時に乃亜に脅されて、裏切ってくるかもしれないしね」
「そ、それでも―――」
その時は一緒に乃亜に立ち向かえると。
言いかけそうになって、藤木は言葉に詰まってしまった。
言いかけそうになって、藤木は言葉に詰まってしまった。
「そもそも僕を助けたつもりになっているのも、殺し合いに乗った罪悪感から目を背けたい為だろ?
きみは何時だって、自分中心で自己保身だけ考えているんだ。そんな奴と手なんか組めないね」
きみは何時だって、自分中心で自己保身だけ考えているんだ。そんな奴と手なんか組めないね」
永沢はそう言って踵を翻した。
サトシ達の元には戻る気はない。中島殺害の件もバレた上に、カオスとの交戦が予想され戻れば永沢の死亡率が上がる。
賭けになるが、このまま単独で動いて別の強力な対主催と合流し、身の安全を確保すべきだろう。
そして何としてでも生き延びて、優勝でも乃亜の打倒でも良い。願いを叶え城ヶ崎を蘇生させ、生還させる。
それさえ果たせば、あとはどうだっていい。
サトシ達の元には戻る気はない。中島殺害の件もバレた上に、カオスとの交戦が予想され戻れば永沢の死亡率が上がる。
賭けになるが、このまま単独で動いて別の強力な対主催と合流し、身の安全を確保すべきだろう。
そして何としてでも生き延びて、優勝でも乃亜の打倒でも良い。願いを叶え城ヶ崎を蘇生させ、生還させる。
それさえ果たせば、あとはどうだっていい。
(ただ…あの悟空とかいう奴……あいつだけは、手段を択ばないで追い詰めてやるぞ!!)
「永沢君」
藤木は、この男との付き合いをずっと考えてきたこともある。
どう考えても性格も悪く、何一つ良い所のない不細工な男だ。
だけど、やっぱり親友なのだと思っていた。
目の前の親友を前にして、永沢だけは死なせない方法を考えて、それで手を組もうと打診した思いもある。
どう考えても性格も悪く、何一つ良い所のない不細工な男だ。
だけど、やっぱり親友なのだと思っていた。
目の前の親友を前にして、永沢だけは死なせない方法を考えて、それで手を組もうと打診した思いもある。
「僕は……」
親友だから。
遠ざかっていく、玉ねぎみたいな頭を見送りながら、ついぞその言葉を言う事はなかった。
目ざとく、土壇場に紛れて回収した城ヶ崎のランドセルを背負い、藤木も永沢とは別の方角へと歩き出した。
遠ざかっていく、玉ねぎみたいな頭を見送りながら、ついぞその言葉を言う事はなかった。
目ざとく、土壇場に紛れて回収した城ヶ崎のランドセルを背負い、藤木も永沢とは別の方角へと歩き出した。
「……フジキングなんだ」
その足取りはキングとは思えない程に重かった。
【E-4 /1日目/早朝】
【永沢君男@ちびまる子ちゃん】
[状態]健康、城ヶ崎に人を殺させた事への罪悪感と後悔(極大)、悟空(カオス)に対する怒り(絶大)
[装備]ジャイアンのバッド@ドラえもん
[道具]基本支給品、ランダム支給品2~0
[思考・状況]基本方針:優勝でも打倒乃亜でもどちらでも良いので、生き延びて願いを叶える。
1:自分の安全を確保できる対主催で強い参加者を探す。
2:リーゼロッテを始めとする化け物みたいな参加者を警戒する。
3:フジキング? 藤木君、気でも触れたんじゃないのかい?
4:城ヶ崎……。
5:手段を択ばず、悟空(カオス)を追い詰める。
[備考]
※アニメ版二期以降の参戦です。
[状態]健康、城ヶ崎に人を殺させた事への罪悪感と後悔(極大)、悟空(カオス)に対する怒り(絶大)
[装備]ジャイアンのバッド@ドラえもん
[道具]基本支給品、ランダム支給品2~0
[思考・状況]基本方針:優勝でも打倒乃亜でもどちらでも良いので、生き延びて願いを叶える。
1:自分の安全を確保できる対主催で強い参加者を探す。
2:リーゼロッテを始めとする化け物みたいな参加者を警戒する。
3:フジキング? 藤木君、気でも触れたんじゃないのかい?
4:城ヶ崎……。
5:手段を択ばず、悟空(カオス)を追い詰める。
[備考]
※アニメ版二期以降の参戦です。
【藤木茂@ちびまる子ちゃん】
[状態]:手の甲からの軽い流血、
[装備]:ベレッタ81@現実(城ヶ崎の支給品)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1(城ヶ崎の支給品)
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗る。
0:永沢君……。
1:次はもっとうまくやる
2:卑怯者だろうと何だろうと、どんな方法でも使う
3:正直、美人だから城ヶ崎さんと組みたかったけど、死んじゃうなんてなぁ……。
4:笹山さんが居たら、絶対に守らなきゃ。さくらは…まあいいか。
5:僕は──フジキングなんだ
[状態]:手の甲からの軽い流血、
[装備]:ベレッタ81@現実(城ヶ崎の支給品)
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~1(城ヶ崎の支給品)
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗る。
0:永沢君……。
1:次はもっとうまくやる
2:卑怯者だろうと何だろうと、どんな方法でも使う
3:正直、美人だから城ヶ崎さんと組みたかったけど、死んじゃうなんてなぁ……。
4:笹山さんが居たら、絶対に守らなきゃ。さくらは…まあいいか。
5:僕は──フジキングなんだ
050:Everyday Level Up!! | 投下順に読む | 052:きみにできるあらゆること |
053:KC Sleep | 時系列順に読む | 054:為す術のない僕に芽吹いた焦燥が膨らんでいく |
015:ちっぽけな僕は繰り返す | サトシ | 058:無情の世界 |
永沢君男 | 083:坊や、よい子だねんねしな | |
城ヶ崎姫子 | GAME OVER | |
048:踊るフジキング | 藤木茂 | 074:ここに神は見当たらない |
ドロテア | 058:無情の世界 | |
海馬モクバ | ||
013:初めての食事風景 | 魔神王 | 057:くじけないこころ |
047:懐かし面影 探してる | 鬼舞辻無惨(俊國) | |
磯野カツオ | 058:無情の世界 | |
028:世界と世界のゲーム | カオス |