ガツ!ガツガツ!
ガツ!ガツガツ!!
バクバクムシャムシャズルズルガツ!ガツガツ!!
時刻は深夜0時半を回った頃、乃亜の放送が始まる三十分ほど前。
深夜のファミリーレストランに、厨房の中でも聞こえてくる程の咀嚼音が響く。
ガツ!ガツガツ!!
バクバクムシャムシャズルズルガツ!ガツガツ!!
時刻は深夜0時半を回った頃、乃亜の放送が始まる三十分ほど前。
深夜のファミリーレストランに、厨房の中でも聞こえてくる程の咀嚼音が響く。
「うんめェ~~!!ネモ、これめちゃくちゃうめえぞ~~!!」
「よく食べるね君。まるでミズウオみたいだ」
テーブル中に所せましと並べられた料理を吸い込む様に食べる少年、孫悟空。
そんな悟空の様子を、ネモは半ば呆れた様子で見つめていた。
食事でも最低限の魔力の補給になるので彼もサンドイッチをはむはむと食しているものの、食欲は余り沸いていない。
今は殺し合いという非常時なのだから。
だというのに、目の前の少年はそんな事知った事ではないという様子で料理に舌鼓を打っている。
ちなみに、食材はファミレスに何故か常備されていた物をやはり緊急時という事で勝手に拝借した。
そんな悟空の様子を、ネモは半ば呆れた様子で見つめていた。
食事でも最低限の魔力の補給になるので彼もサンドイッチをはむはむと食しているものの、食欲は余り沸いていない。
今は殺し合いという非常時なのだから。
だというのに、目の前の少年はそんな事知った事ではないという様子で料理に舌鼓を打っている。
ちなみに、食材はファミレスに何故か常備されていた物をやはり緊急時という事で勝手に拝借した。
「まだまだあるから遠慮せず食べてね~」
「おう、ごっつぁん!……なぁネモ、あれ誰だ?お前の姉ちゃんか?」
「違うよ、あれは僕の分身みたいなものさ」
「へぇ~…そういや天津飯も昔四人に増えたりしてたな、そういうもんか」
「おう、ごっつぁん!……なぁネモ、あれ誰だ?お前の姉ちゃんか?」
「違うよ、あれは僕の分身みたいなものさ」
「へぇ~…そういや天津飯も昔四人に増えたりしてたな、そういうもんか」
食べ終わった皿を回収して、新しい料理の皿を持ってくるネモに瓜二つなネモ・ベーカリーも特に気にすることなく、一心不乱に料理を貪る。
その様はもう食べているというより飲んでいる様だった。
エネルギー補給は大事だし、一応命の恩人なのでテーブルに肘を突いてその様を見守っていたネモだったが、そろそろ本題に入らねばならないだろう。
そう思い、今後の動きを切り出す。
その様はもう食べているというより飲んでいる様だった。
エネルギー補給は大事だし、一応命の恩人なのでテーブルに肘を突いてその様を見守っていたネモだったが、そろそろ本題に入らねばならないだろう。
そう思い、今後の動きを切り出す。
「それでね、悟空。これからの事なんだけど…君の言う通り、
首輪のサンプルを手に入れて、何処かに腰を落ち着けて首輪の解析に取り組もうと思う」
首輪のサンプルを手に入れて、何処かに腰を落ち着けて首輪の解析に取り組もうと思う」
ネモ達の立てた、差し当たってのプランは子供でも分かる単純な物だった。
先ず、首輪のサンプルをできれば複数個入手し、どこか拠点を決めて解析に取り組む。
移動するよりも先ほどのカオスの様な殺し合いに乗った参加者…いわばマーダーとの接敵を避けられ、ネモも落ち着いて首輪の解析・解除に専念できる。
後は首輪が首尾よく外れれば悟空の瞬間移動で乃亜の位置を割り出し、直接乗り込んで自分が片を付ける。
それは悟空が提案してプランでもあった。
成程それなら殺し合いの短期決着も望め、生存者もかなり多い人数の脱出が見込める。
先ず、首輪のサンプルをできれば複数個入手し、どこか拠点を決めて解析に取り組む。
移動するよりも先ほどのカオスの様な殺し合いに乗った参加者…いわばマーダーとの接敵を避けられ、ネモも落ち着いて首輪の解析・解除に専念できる。
後は首輪が首尾よく外れれば悟空の瞬間移動で乃亜の位置を割り出し、直接乗り込んで自分が片を付ける。
それは悟空が提案してプランでもあった。
成程それなら殺し合いの短期決着も望め、生存者もかなり多い人数の脱出が見込める。
だが、問題が三つほどあった。
一つ目は、その腰を据えたエリアが禁止エリアに指定される恐れがあること。
これについてはもう指定されれば爆破されるまでに他のエリアに移るしかない。
二つ目は、腰を据えて移動を制限する事で、情報収集がどうしても滞ってしまうこと。
此方については首輪の解析がスムーズに終わり、乃亜を早い段階で制圧できれば問題は少ないと言える。
しかしもしも首輪の解除が難航し長期戦になった場合、情報戦においては中々厳しい立場に立たされてしまうだろう。
最後に、この方法を行えば例え大量脱出が成功したとしてもその過程で何割かの犠牲が出る事は避けられない、ということ。
そこでネモと悟空が考えたのが、解析・拠点防衛組と、他の参加者の保護組と言う二手に分かれるプランだった。
一つ目は、その腰を据えたエリアが禁止エリアに指定される恐れがあること。
これについてはもう指定されれば爆破されるまでに他のエリアに移るしかない。
二つ目は、腰を据えて移動を制限する事で、情報収集がどうしても滞ってしまうこと。
此方については首輪の解析がスムーズに終わり、乃亜を早い段階で制圧できれば問題は少ないと言える。
しかしもしも首輪の解除が難航し長期戦になった場合、情報戦においては中々厳しい立場に立たされてしまうだろう。
最後に、この方法を行えば例え大量脱出が成功したとしてもその過程で何割かの犠牲が出る事は避けられない、ということ。
そこでネモと悟空が考えたのが、解析・拠点防衛組と、他の参加者の保護組と言う二手に分かれるプランだった。
「悟空、さっき君が感じた…君の息子がいるという話は確かなんだね?」
「あぁ、間違いねぇと思う。ありゃ確かに悟飯の気だった」
「その子の位置は割り出せる?」
「…すまねぇけど、そりゃ無理だ。この島に妙な気が溢れてて位置まで探れねぇ。
まったく、舞空術まで禁止されてるし、オラ窮屈でしょうがねぇぞ」
「他の参加者の探知に、移動の制限、か。君が参加者の中で一番ハンデを科されてるのかもね」
「あぁ、間違いねぇと思う。ありゃ確かに悟飯の気だった」
「その子の位置は割り出せる?」
「…すまねぇけど、そりゃ無理だ。この島に妙な気が溢れてて位置まで探れねぇ。
まったく、舞空術まで禁止されてるし、オラ窮屈でしょうがねぇぞ」
「他の参加者の探知に、移動の制限、か。君が参加者の中で一番ハンデを科されてるのかもね」
とは言え、自分がもし殺し合いを開いたとすれば同じ処置をするだろうと、ネモは考えた。
悟空の様に強靭な者に殺し合いを阻止するべく動かれれば、殺し合いが成り立たない。
少なくとも、他の参加者との連携が取り難いように取り計らうだろう。
その視点で言えば、彼が使う舞空術という飛行方法の制限と、気の探知という索敵を封じるのは必然と言えた。
尤も、戦闘時は舞空術を使えたので制限も完全ではないのかもしれないが。
悟空の様に強靭な者に殺し合いを阻止するべく動かれれば、殺し合いが成り立たない。
少なくとも、他の参加者との連携が取り難いように取り計らうだろう。
その視点で言えば、彼が使う舞空術という飛行方法の制限と、気の探知という索敵を封じるのは必然と言えた。
尤も、戦闘時は舞空術を使えたので制限も完全ではないのかもしれないが。
「まぁ心配ねぇさ。悟飯の奴が早々死なねぇだろうし、近くに来れば流石にオラも分かる。
そうすりゃオラか悟飯が他の奴らを探して一つの場所に纏めとけばいい。簡単だ。
なんせ悟飯の奴はオラより強かった時期もあるんだぞ」
「それは頼もしいな。上手く行けば…参加者の保護と解析を並行して進められる」
そうすりゃオラか悟飯が他の奴らを探して一つの場所に纏めとけばいい。簡単だ。
なんせ悟飯の奴はオラより強かった時期もあるんだぞ」
「それは頼もしいな。上手く行けば…参加者の保護と解析を並行して進められる」
目の前の少年が既に五十を超えて孫までいるというのは信じがたい話だが。
その尻に生えている尻尾と、自分も似たような存在であることに気づいてネモもまぁそういうモノなのだろうと自然と納得がいった。
ともあれ、ネモが死を覚悟したカオスにも圧勝した悟空のお墨付きだ。
彼の息子の悟飯の実力も折り紙つきだろう、そしてきっと、人格面も。
二人が合流すれば、選択肢は大きく広がる。
直接の面識がないネモも漠然とだがそう感じる事ができた。
その尻に生えている尻尾と、自分も似たような存在であることに気づいてネモもまぁそういうモノなのだろうと自然と納得がいった。
ともあれ、ネモが死を覚悟したカオスにも圧勝した悟空のお墨付きだ。
彼の息子の悟飯の実力も折り紙つきだろう、そしてきっと、人格面も。
二人が合流すれば、選択肢は大きく広がる。
直接の面識がないネモも漠然とだがそう感じる事ができた。
「君の息子さんの捜索と、首輪のサンプルの入手を基本の方針として動こう」
「おう、でもあと少しだけ待ってくれ、そうすりゃ腹八分目に──」
「いいよ。君のコンディションを最善にしておくのか最優先だ。
多分君には、これからも負担をかけることになる」
「おう、でもあと少しだけ待ってくれ、そうすりゃ腹八分目に──」
「いいよ。君のコンディションを最善にしておくのか最優先だ。
多分君には、これからも負担をかけることになる」
殺し合いをしている以上、安穏としている訳にはいかない。
だが、焦って動けばそれこそ乃亜の思うつぼだ。
恐らく、サーヴァントの力すら超えるあのカオスの様な参加者は他にもいるのだろうから。
先ずは負担を強いるであろう悟空の調子を整えて、その上で出発する。
そう決意すると、ネモは今も竜巻の様にテーブルの上の料理を攫う悟空の姿をじっと見て。
一言だけ、興味が抑えきれずに尋ねてしまう。
だが、焦って動けばそれこそ乃亜の思うつぼだ。
恐らく、サーヴァントの力すら超えるあのカオスの様な参加者は他にもいるのだろうから。
先ずは負担を強いるであろう悟空の調子を整えて、その上で出発する。
そう決意すると、ネモは今も竜巻の様にテーブルの上の料理を攫う悟空の姿をじっと見て。
一言だけ、興味が抑えきれずに尋ねてしまう。
「……ねぇ悟空。君の息子の悟飯って子は、君みたいな子なのか?」
「ん~?いや、性格はオラとはあんまり似てねぇぞ。
後、頭の出来もな!オラ似ずにチチが小せぇ頃から勉強勉強って言ってたお陰で今は学者やってて、オラとしてはもっとトレーニングもして欲しい所なんだけど───」
「ん~?いや、性格はオラとはあんまり似てねぇぞ。
後、頭の出来もな!オラ似ずにチチが小せぇ頃から勉強勉強って言ってたお陰で今は学者やってて、オラとしてはもっとトレーニングもして欲しい所なんだけど───」
■
「どうしました、お二人とも。飲まないんですの?
心配しなくても、毒なんて入っていませんわよ」
心配しなくても、毒なんて入っていませんわよ」
時刻は深夜1時15分
海馬乃亜の放送から十五分ほど後。
そう言って、北条沙都子はいの一番に、手ずから入れたレモンティーに口をつけた。
同室しているのは二人、黒髪の筋骨隆々な、如何にも強そうな少年。
もう一人はこれまた黒髪の、少年から心なしか顔を逸らしている様子の少女。
少年の方は孫悟飯、少女の方は結城美柑と言った。
海馬乃亜の放送から十五分ほど後。
そう言って、北条沙都子はいの一番に、手ずから入れたレモンティーに口をつけた。
同室しているのは二人、黒髪の筋骨隆々な、如何にも強そうな少年。
もう一人はこれまた黒髪の、少年から心なしか顔を逸らしている様子の少女。
少年の方は孫悟飯、少女の方は結城美柑と言った。
「……下着までご用意させて頂いたのに、信用してもらえないのは悲しいですわね」
「あっ!いや、そういう訳じゃ…い、頂きます!」
「あっ!いや、そういう訳じゃ…い、頂きます!」
一向に手を付けない二人の様子に、沙都子は哀し気に目を伏せる。
その様を見て、慌てて悟飯も沙都子に続いてレモンティーに口をつけた。
だが、空気は重いままだ。
狂気の白騎士シュライバーの襲撃、それによる二人の少年の死。
怯えた様子の美柑を見て困り果てている悟飯を見つけたのが、沙都子と二人の出会いだった。
それから腰が抜けて、その上失禁までして上手く歩けない美柑に手を貸して。
適当な民家まで運び、何故か中身が入ったままの洋服箪笥から替えの下着を都合までしてくれたのが二人にとっての沙都子だった。
何しろ悟飯は怯える自分と同じくらいの女の子の扱いなんて分からなかったし、化け物を見る様な目で見られるのは心がずきりと痛んだ。
だから、沙都子が現れてくれたのは悟飯からすると本当にありがたかったのだ。
美柑も年の近い同性に胸襟を緩めたのか、さん付けとはいえ下の名前で呼び合っている。
その様を見て、慌てて悟飯も沙都子に続いてレモンティーに口をつけた。
だが、空気は重いままだ。
狂気の白騎士シュライバーの襲撃、それによる二人の少年の死。
怯えた様子の美柑を見て困り果てている悟飯を見つけたのが、沙都子と二人の出会いだった。
それから腰が抜けて、その上失禁までして上手く歩けない美柑に手を貸して。
適当な民家まで運び、何故か中身が入ったままの洋服箪笥から替えの下着を都合までしてくれたのが二人にとっての沙都子だった。
何しろ悟飯は怯える自分と同じくらいの女の子の扱いなんて分からなかったし、化け物を見る様な目で見られるのは心がずきりと痛んだ。
だから、沙都子が現れてくれたのは悟飯からすると本当にありがたかったのだ。
美柑も年の近い同性に胸襟を緩めたのか、さん付けとはいえ下の名前で呼び合っている。
「美柑さん、すみませんね?本当ならお風呂でも沸かして入れてあげればもっと落ち着いたんでしょうけど……」
「あっ…いえいえ…沙都子さんのお陰で今は大分落ち着いたし……ありがとう」
「心配いりませんわ。こんな状況ですし、助け合わないと」
「あっ…いえいえ…沙都子さんのお陰で今は大分落ち着いたし……ありがとう」
「心配いりませんわ。こんな状況ですし、助け合わないと」
にっこりと笑う沙都子は、悟飯にとってまるで大人の女性の様だと思った。
気の大きさ的には、間違いなく子供であるのに関わらず、だ。
気の大きさ的には、間違いなく子供であるのに関わらず、だ。
「……なんだか、沙都子さん。落ち着いてますね」
ふと、そんな事を口にする。
疑っていたわけではない。本当に思ったことをそのまま口に出しただけだ。
ただ、美柑さんと同じ年で、自分の様に幼少期から星の命運を賭けた戦いを経験しているわけでもなさそうなのに。
酷く落ち着いている。そう思った。
それを聞いた沙都子は、どこか不満げに、唇を尖らせて。
疑っていたわけではない。本当に思ったことをそのまま口に出しただけだ。
ただ、美柑さんと同じ年で、自分の様に幼少期から星の命運を賭けた戦いを経験しているわけでもなさそうなのに。
酷く落ち着いている。そう思った。
それを聞いた沙都子は、どこか不満げに、唇を尖らせて。
「……心外ですわね悟飯さん。わたくしが心臓に毛が生えてるみたいな言い方は。
わたくしだって、勿論怖いんですのよ?」
「あっ!その、ご、ごめんなさい…失礼でした………」
「まぁでも落ち着いて見えるのは──部活の影響でしょうね」
わたくしだって、勿論怖いんですのよ?」
「あっ!その、ご、ごめんなさい…失礼でした………」
「まぁでも落ち着いて見えるのは──部活の影響でしょうね」
ぐっと握りこぶしを作って。
意気揚々と答える沙都子の顔は、先ほどまでの大人びた雰囲気とは違い、外見相応の少女の様だった。
美柑が「部活?」と呟くと、妙に高いテンションで彼女は語り始める。
意気揚々と答える沙都子の顔は、先ほどまでの大人びた雰囲気とは違い、外見相応の少女の様だった。
美柑が「部活?」と呟くと、妙に高いテンションで彼女は語り始める。
「部活とは!雛見沢分校の精鋭メンバーによって行われる命懸けの真剣勝負!
敗者は全ての尊厳を奪われ!勝者は青春の栄光と、何でも敗者に罰ゲームを───」
「そ、そうなんだ」
「それは凄いですね……あはは」
敗者は全ての尊厳を奪われ!勝者は青春の栄光と、何でも敗者に罰ゲームを───」
「そ、そうなんだ」
「それは凄いですね……あはは」
急に怪気炎を上げて部活、という集まりを語る沙都子に、若干引いた様子で二人は愛想笑いを浮かべる。
だが、沙都子が本当にその部活と言う物を愛しているらしいのは伝わってきた。
だが、沙都子が本当にその部活と言う物を愛しているらしいのは伝わってきた。
「…でも、それなら大変ですね。古手梨花さん…でしたっけ。
沙都子さんのお友達も連れてこられてるかもしれないんですよね」
「えぇ…梨花がそう簡単に脱落はしないと思っていますが、それでもやはり心配ですわ」
「………でも何で、その梨花さんもこの島に来てるって分かったんですか?」
沙都子さんのお友達も連れてこられてるかもしれないんですよね」
「えぇ…梨花がそう簡単に脱落はしないと思っていますが、それでもやはり心配ですわ」
「………でも何で、その梨花さんもこの島に来てるって分かったんですか?」
自信満々に、古手梨花という少女がいる事が確定事項かのように話す沙都子に、悟飯が疑問の声を上げる。
未だ名簿を確認できる時間ではない。
自分の様に気を感じ取って父の存在を確信したならばともかく、目の前の少女の場合そうでは無いだろう。
であるならば、一応子供という条件は満たしているだろうが、何を根拠に親友の少女がいると思ったのか。
未だ名簿を確認できる時間ではない。
自分の様に気を感じ取って父の存在を確信したならばともかく、目の前の少女の場合そうでは無いだろう。
であるならば、一応子供という条件は満たしているだろうが、何を根拠に親友の少女がいると思ったのか。
「いるからですわ」
問いかけに対する返答は一言だった。
有無を言わさず、と言った様子で、彼女は断言した。
怪訝な顔を浮かべる二人に、得意げに、陶酔した様な表情で少女は続ける。
有無を言わさず、と言った様子で、彼女は断言した。
怪訝な顔を浮かべる二人に、得意げに、陶酔した様な表情で少女は続ける。
「わたくしがこうして殺し合いに参加している以上、梨花もいないはずありませんもの。
そう言うモノなんですの、わたくし達の関係と言うのは」
そう言うモノなんですの、わたくし達の関係と言うのは」
二人がまた若干引き気味の表情を浮かべるのも構わず、少女は我が世の理を語る。
行ってしまえば根拠など無い当て勘であったが、その言葉には奇妙な説得力があった。
その後にですから、と続け、パン!と沙都子は手を叩く。
そして、二人に告げた。
行ってしまえば根拠など無い当て勘であったが、その言葉には奇妙な説得力があった。
その後にですから、と続け、パン!と沙都子は手を叩く。
そして、二人に告げた。
「もうそろそろ出発しませんと。梨花を早く見つけて差し上げなければいけませんから
美柑さんも、ある程度持ち直したようですし」
「えっ!?もう……?」
「一人じゃ危ないですよ沙都子さん、僕たちと一緒に──」
「言ったでしょう?これでもそれなりに修羅場は潜っていますわ。
勿論、悟飯さんが語ったシュライバーと言う方が逃げた方向とは逆に進路は取ります。
悟飯さんも探し人がいるなら、手分けした方が早いでしょう?」
「でもやっぱり危ないですよ!みんなで一緒にお父さんを──」
「大丈夫です、わたくしよりも、悟飯さんは美柑さんに付いていてあげて下さいな」
美柑さんも、ある程度持ち直したようですし」
「えっ!?もう……?」
「一人じゃ危ないですよ沙都子さん、僕たちと一緒に──」
「言ったでしょう?これでもそれなりに修羅場は潜っていますわ。
勿論、悟飯さんが語ったシュライバーと言う方が逃げた方向とは逆に進路は取ります。
悟飯さんも探し人がいるなら、手分けした方が早いでしょう?」
「でもやっぱり危ないですよ!みんなで一緒にお父さんを──」
「大丈夫です、わたくしよりも、悟飯さんは美柑さんに付いていてあげて下さいな」
引き留めようとする悟飯を尻目に、沙都子は民家の庭に続くガラス戸へと歩く。
ガラス戸を静かに開き、いつの間にか用意していた靴に履き替えた。
不味い、本気で沙都子さんは一人で行くつもりだ。
そう考えた悟飯は飛び出してそれを制止しようとした。
さっきは納得しかけたが、いるかも確定していない少女を求めて徘徊するにはこの島は危険すぎる。
だが、その時だった、靴を履き替えた沙都子を上空から何かが攫ったのは。
ガラス戸を静かに開き、いつの間にか用意していた靴に履き替えた。
不味い、本気で沙都子さんは一人で行くつもりだ。
そう考えた悟飯は飛び出してそれを制止しようとした。
さっきは納得しかけたが、いるかも確定していない少女を求めて徘徊するにはこの島は危険すぎる。
だが、その時だった、靴を履き替えた沙都子を上空から何かが攫ったのは。
「な、何だ!?」
「沙都子さん!?」
「沙都子さん!?」
慌ててガラス戸の方へと飛び出していく悟飯。
美柑も何が起きたか分からないという顔でそれに続く。
民家の庭に身を乗り出した二人が見たのは、小さな少女に抱えられる、沙都子の姿だった。
銀色の髪をした美しい少女に抱えられて、彼女は静かに微笑を浮かべていた。
美柑も何が起きたか分からないという顔でそれに続く。
民家の庭に身を乗り出した二人が見たのは、小さな少女に抱えられる、沙都子の姿だった。
銀色の髪をした美しい少女に抱えられて、彼女は静かに微笑を浮かべていた。
「ご心配ご無用。わたくしにはこうして頼りになる騎士様がいますから」
「僕は君の騎士になった覚えはない」
「あぁ、今のセリフはお気になさらず。ともかく、大丈夫ですから。
悟飯さんはきっちり美柑さんがもう少し落ち着いてから行動されては如何でしょう?」
「僕は君の騎士になった覚えはない」
「あぁ、今のセリフはお気になさらず。ともかく、大丈夫ですから。
悟飯さんはきっちり美柑さんがもう少し落ち着いてから行動されては如何でしょう?」
「ま、待っ───」
美柑が沙都子を引き留めようと手を伸ばそうとする。
だが、当然その手が届くはずもない。
仰ぎ見る沙都子の表情は、出会った時と変わらぬ穏やかなもので。
そこに不穏な物を感じ取ることは無かった。
だが、当然その手が届くはずもない。
仰ぎ見る沙都子の表情は、出会った時と変わらぬ穏やかなもので。
そこに不穏な物を感じ取ることは無かった。
「───では、ごきげんよう、お二人とも」
その言葉を残して。
北条沙都子と、謎の銀髪の少女は、深夜の空へと消えていった。
取り残された二人は、暫く空を見つめていたが。
やがて諦めたように嘆息して、心中を吐露する。
北条沙都子と、謎の銀髪の少女は、深夜の空へと消えていった。
取り残された二人は、暫く空を見つめていたが。
やがて諦めたように嘆息して、心中を吐露する。
「……もう少し、ゆっくりして言っても……」
本当に、本当に、怖かったのだ。
ララさんがリトの元に来てから、変なことはいっぱいあったし。
世界の命運が掛かった闘いなんて言うのも、できそうな人たちがいつの間にか周りにいるようになったけど。
でも、あそこまでの殺し合いを見たのは初めてだった。
あんな、血なまぐさくて、本気で殺意をぶつけ合って、お互い殺す気で銃で撃ったり殴ったり……
その結果が、スネ夫君と私より小さなユーイン君の死だ。
殺しあった訳じゃない、二人は悟飯君たちの争いの余波で死んでしまったのだ。
こんなの、私が生き残れるわけないじゃない。
ちょっと非日常に触れただけの、タダの子供が、殺し合いに優勝できる訳ないじゃない。
そう思ったら、悟飯君の事も途端に怖く思えた。
だって、彼は適当に暴れるだけで、私をいつでも殺せるのだから。
そんな事、彼は考えていないだろうけど。
でも、ユーイン君とスネ夫君が死んだときも、きっと彼はそんなつもりじゃなかった筈だ。
彼に責任がある訳じゃないのは分かってる、けど……
ララさんがリトの元に来てから、変なことはいっぱいあったし。
世界の命運が掛かった闘いなんて言うのも、できそうな人たちがいつの間にか周りにいるようになったけど。
でも、あそこまでの殺し合いを見たのは初めてだった。
あんな、血なまぐさくて、本気で殺意をぶつけ合って、お互い殺す気で銃で撃ったり殴ったり……
その結果が、スネ夫君と私より小さなユーイン君の死だ。
殺しあった訳じゃない、二人は悟飯君たちの争いの余波で死んでしまったのだ。
こんなの、私が生き残れるわけないじゃない。
ちょっと非日常に触れただけの、タダの子供が、殺し合いに優勝できる訳ないじゃない。
そう思ったら、悟飯君の事も途端に怖く思えた。
だって、彼は適当に暴れるだけで、私をいつでも殺せるのだから。
そんな事、彼は考えていないだろうけど。
でも、ユーイン君とスネ夫君が死んだときも、きっと彼はそんなつもりじゃなかった筈だ。
彼に責任がある訳じゃないのは分かってる、けど……
───ひっ、来ないでっ……!
正直、怖いし、気まずい。
気まずいって言うのは、悟飯君も多分、思ってる気がする。
沙都子さんが私達の目の前に現れて私の面倒を見てくれた時も、ほっとしたような顔をしてたから。
彼女が少しの間でもいてくれた分、また二人か、と思うとほんの少し…気が重くなった。
なんだか沙都子さんのお陰で去っていた頭の中の疲れが、ぶり返してきた気がする。
気まずいって言うのは、悟飯君も多分、思ってる気がする。
沙都子さんが私達の目の前に現れて私の面倒を見てくれた時も、ほっとしたような顔をしてたから。
彼女が少しの間でもいてくれた分、また二人か、と思うとほんの少し…気が重くなった。
なんだか沙都子さんのお陰で去っていた頭の中の疲れが、ぶり返してきた気がする。
「沙都子さん……梨花さんに会えるかな」
親友が、大切な人が、この島にいて、殺し合いをさせられている。
その事を想像して真っ先に浮かんでくるのはリトと、ヤミさんの…二人の顔。
リトは…大丈夫だろう。私よりも、悟飯君やスネ夫君たちよりずっと大人だし。でも。
その事を想像して真っ先に浮かんでくるのはリトと、ヤミさんの…二人の顔。
リトは…大丈夫だろう。私よりも、悟飯君やスネ夫君たちよりずっと大人だし。でも。
(ヤミさん……ヤミさんは、いないよね?)
そこまで考えて。
何を考えているんだ、私は、と。正気に戻った。
殺し合いになんて、呼ばれてない方がいいに決まっているのに。
今、私、ほんの少しでも、いてくれないかな、と考えなかったか?
何を考えているんだ、私は、と。正気に戻った。
殺し合いになんて、呼ばれてない方がいいに決まっているのに。
今、私、ほんの少しでも、いてくれないかな、と考えなかったか?
「あの……美柑さん」
立ち尽くす私に、悟飯さんが話しかけてくる。
その顔はやっぱり、少し気不味そうだった。
その顔はやっぱり、少し気不味そうだった。
「やっぱり疲れてるみたいですから…もう少し休憩してから出発しましょう」
「でも、悟飯君のお父さんも探さないと……」
「大丈夫です、お父さんはこんな殺し合いで負けたりしません。少しくらい休憩を長くとってもきっと見つけられますよ」
「………うん、ありがとう」
「でも、悟飯君のお父さんも探さないと……」
「大丈夫です、お父さんはこんな殺し合いで負けたりしません。少しくらい休憩を長くとってもきっと見つけられますよ」
「………うん、ありがとう」
悟飯君の提案に私は頷いて、部屋の中へと踵を返す。
お言葉に甘えて、もう少しだけ休もう。
彼は、やっぱり優しかった。優しくしてくれた。
お言葉に甘えて、もう少しだけ休もう。
彼は、やっぱり優しかった。優しくしてくれた。
──殺す……? 何を言っているんですか、ふふ……まだ早いよルサルカさん
───こんな奴は、もっと苦しめてから殺してやらなくちゃ……
───こんな奴は、もっと苦しめてから殺してやらなくちゃ……
そんな彼の優しさに、ぎこちない笑顔でしか返せない私が、
何だか…すごく嫌だった。
何だか…すごく嫌だった。
■
「さて、この辺でいいでしょう。降ろしてくださいな、メリュジーヌさん」
乞われるままに、高度を落とし、地面へと降り立つ。
飛行能力も制限されているらしい、とメリュジーヌは乃亜が与えたハンデを認識しつつ、短く尋ねる。
あの二人を、見逃して良かったのか、と。
飛行能力も制限されているらしい、とメリュジーヌは乃亜が与えたハンデを認識しつつ、短く尋ねる。
あの二人を、見逃して良かったのか、と。
「悟飯さんは貴方の見立てでも、相当お強いんでしょう?
ならこんな序盤に真っ向から挑むのは得策ではありませんわ
それに、手は打ちました。上手く行けば、自滅して下さるかもしれません」
ならこんな序盤に真っ向から挑むのは得策ではありませんわ
それに、手は打ちました。上手く行けば、自滅して下さるかもしれません」
そう言って沙都子は答えながら、空の注射器をメリュジーヌの足元に放り捨てた。
ころころと転がる注射器を見つめた後、ぐしゃぐしゃになるまで踏み潰す。
確かに、あの黒髪の少年は強かった。
並みの妖精では相手にならない。
メリュジーヌの見立てでも、全力を出し尽くして勝てるか否かという程の力量を感じた。
だが、そんな厄介で強い相手でも。
これまでオーロラの命令で汚れ仕事を行ってきたメリュジーヌでも。
腹の内側にどろりとした苦々しい物を感じた。
あんな年端のいかない少年に、毒を盛ったというのは。
ころころと転がる注射器を見つめた後、ぐしゃぐしゃになるまで踏み潰す。
確かに、あの黒髪の少年は強かった。
並みの妖精では相手にならない。
メリュジーヌの見立てでも、全力を出し尽くして勝てるか否かという程の力量を感じた。
だが、そんな厄介で強い相手でも。
これまでオーロラの命令で汚れ仕事を行ってきたメリュジーヌでも。
腹の内側にどろりとした苦々しい物を感じた。
あんな年端のいかない少年に、毒を盛ったというのは。
「納得していない顔ですわね?」
「……別に」
「考えなしに戦っていても勝てませんわよ、メリュジーヌさん。これはサバイバルゲーム。戦略が大事なのですから。オーロラさんのために、優勝しませんと、ね?」
「…当然だ」
「そんな顔しないで。戦いたいのなら…そうですわね。
次に会った対主催さん…でしたっけ?それを相手に憂さ晴らしすればいいですわ。
わたくしも貴方の実力が見たいところですし」
「……………」
「……別に」
「考えなしに戦っていても勝てませんわよ、メリュジーヌさん。これはサバイバルゲーム。戦略が大事なのですから。オーロラさんのために、優勝しませんと、ね?」
「…当然だ」
「そんな顔しないで。戦いたいのなら…そうですわね。
次に会った対主催さん…でしたっけ?それを相手に憂さ晴らしすればいいですわ。
わたくしも貴方の実力が見たいところですし」
「……………」
最後の竜は答えない。
無言のままに、歩むのみだ。
だが、それでも沙都子の歩幅に合わせて歩むその様は、彼女が沙都子に与する意思がある事の何よりの証明だった。
そんな素直になれない同行者の態度に苦笑を浮かべつつ、足元の粉々になった注射器を見やる。
注射器に入っていた薬品の名前は、H173。
雛見沢症候群という奇病を感染・発症させる悪魔の薬品である。
それを沙都子は、悟飯のティーカップに盛った。
無言のままに、歩むのみだ。
だが、それでも沙都子の歩幅に合わせて歩むその様は、彼女が沙都子に与する意思がある事の何よりの証明だった。
そんな素直になれない同行者の態度に苦笑を浮かべつつ、足元の粉々になった注射器を見やる。
注射器に入っていた薬品の名前は、H173。
雛見沢症候群という奇病を感染・発症させる悪魔の薬品である。
それを沙都子は、悟飯のティーカップに盛った。
「折角一枠しかない虎の子を使ったんですもの──精々上手く踊って下さいね?悟飯さん」
鬼さん此方、手のなる方へ。
どんなに逃げても、捕まえてあげる。
瞳の色を真紅に煌めかせ、悪魔はほほ笑んだ。
どんなに逃げても、捕まえてあげる。
瞳の色を真紅に煌めかせ、悪魔はほほ笑んだ。
【H-4/1日目/深夜】
【北条沙都子@ひぐらしのなく頃に業】
[状態]:健康
[装備]:FNブローニング・ハイパワー(10/13発)
[道具]:基本支給品、FNブローニング・ハイパワーのマガジン×2(13発)
[思考・状況]基本方針:優勝し、雛見沢へと帰る。
1:メリュジーヌさんを利用して、優勝を目指す。
2:使えなくなったらボロ雑巾の様に捨てる。
3:精々頑張って下さいね?悟飯さん
4:願いを叶える…ですか。眉唾ですが本当なら梨花に勝つのに使ってもいいかも?
[備考]
※綿騙し編より参戦です。
※ループ能力は制限されています。
※H173入り注射器は使用後破棄されました。
[状態]:健康
[装備]:FNブローニング・ハイパワー(10/13発)
[道具]:基本支給品、FNブローニング・ハイパワーのマガジン×2(13発)
[思考・状況]基本方針:優勝し、雛見沢へと帰る。
1:メリュジーヌさんを利用して、優勝を目指す。
2:使えなくなったらボロ雑巾の様に捨てる。
3:精々頑張って下さいね?悟飯さん
4:願いを叶える…ですか。眉唾ですが本当なら梨花に勝つのに使ってもいいかも?
[備考]
※綿騙し編より参戦です。
※ループ能力は制限されています。
※H173入り注射器は使用後破棄されました。
【メリュジーヌ(妖精騎士ランスロット)@Fate/Grand Order】
[状態]:健康、自暴自棄(極大)
[装備]:『今は知らず、無垢なる湖光』
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:オーロラの為に、優勝する。
1:沙都子の言葉に従う、今は優勝以外何も考えたくない。
2:最後の二人になれば沙都子を殺し、優勝する。
[備考]
※第二部六章『妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ』にて、幕間終了直後より参戦です。
※サーヴァントではない、本人として連れてこられています。
※『誰も知らぬ、無垢なる鼓動(ホロウハート・アルビオン)』は完全に制限されています。元の姿に戻る事は現状不可能です。
[状態]:健康、自暴自棄(極大)
[装備]:『今は知らず、無垢なる湖光』
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:オーロラの為に、優勝する。
1:沙都子の言葉に従う、今は優勝以外何も考えたくない。
2:最後の二人になれば沙都子を殺し、優勝する。
[備考]
※第二部六章『妖精円卓領域アヴァロン・ル・フェ』にて、幕間終了直後より参戦です。
※サーヴァントではない、本人として連れてこられています。
※『誰も知らぬ、無垢なる鼓動(ホロウハート・アルビオン)』は完全に制限されています。元の姿に戻る事は現状不可能です。
■
ぎりぎりぎり。ぎりぎりぎり。
命を賭けた戦いは、四歳のころから経験してきた。
ピッコロさんや、皆の足を引っ張っちゃった時もあったけど。
それでもクリリンさんやお父さんは優しかった。
お母さんは僕に戦ってほしくないと、まだ小さい僕がそんな危ない事はしないでと何度も頼んできたけど。
それでもみんなの為に戦うのは辛くなかった。
誰かを傷つけるのはすっごく嫌だし、楽しくなんてないけれど。
それでもお母さんを守りたかったし、お父さんの信頼に応えたかった。
その気持ちの方が、大きかった。
そして、いつの間にか僕はお父さんより強くなってた。
───初めての、経験だった。
ピッコロさんや、皆の足を引っ張っちゃった時もあったけど。
それでもクリリンさんやお父さんは優しかった。
お母さんは僕に戦ってほしくないと、まだ小さい僕がそんな危ない事はしないでと何度も頼んできたけど。
それでもみんなの為に戦うのは辛くなかった。
誰かを傷つけるのはすっごく嫌だし、楽しくなんてないけれど。
それでもお母さんを守りたかったし、お父さんの信頼に応えたかった。
その気持ちの方が、大きかった。
そして、いつの間にか僕はお父さんより強くなってた。
───初めての、経験だった。
───ひっ、来ないでっ……!
助けた人に、化け物を見る目で見られるのは。
仕方がない事だと思う。美柑さんは、殺し合いなんてした事がないと言ってたから。
美柑さんは、悪くない。
でも、それでも、やっぱり……悲しかった。
仕方がない事だと思う。美柑さんは、殺し合いなんてした事がないと言ってたから。
美柑さんは、悪くない。
でも、それでも、やっぱり……悲しかった。
「お父さん…どこにいますか?」
お父さんの顔が、見たかった。
お父さんが、本当にこの島にいるのかは分からない。
でも、あの時感じた気はお父さんのモノだったと思う。
お父さんに会って、よぉ、悟飯!と笑いかけて貰えたなら。
この悲しい気持ちも、きっと治ると思えた。
でも、今は美柑さんがいる。彼女を守らなきゃいけない。
美柑さんに合わせて動いてあげないといけないだろう。
僕は、彼女よりもずっと強いんだから。
でも、それでもやっぱり。
お父さんが、本当にこの島にいるのかは分からない。
でも、あの時感じた気はお父さんのモノだったと思う。
お父さんに会って、よぉ、悟飯!と笑いかけて貰えたなら。
この悲しい気持ちも、きっと治ると思えた。
でも、今は美柑さんがいる。彼女を守らなきゃいけない。
美柑さんに合わせて動いてあげないといけないだろう。
僕は、彼女よりもずっと強いんだから。
でも、それでもやっぱり。
「……お父さんに、会いたいな」
ぎりぎりぎり。ぎりぎりぎり。
……サイヤ人と言う種族は、地球人などより遥かに強靭だ。
鍛えたサイヤ人は地球人の超能力などの特殊能力を簡単に無効化するほど。
また、毒物に対する耐性も並大抵のものではない。
この殺し合いにも招かれている孫悟空も、幼少期に常人なら即死する劇物である超神水を飲んで生還している。
だがその一方で、タンパク質で構成されている生物として、肉体的な働きかけには抗し得ない一面もあった。
例えば、大猿や超サイヤ人になる事で興奮状態となる性質。
例えば、ウイルス性の心臓病で死に至った孫悟空。
例えば、ベビーというツフル人。
彼の者は戦闘力で言えばサイヤ人達に遥かに劣っていたが、
傷口から体内に侵入し、脳を乗っ取る特異体質で孫悟空とパンを除くサイヤ人全員を洗脳した。
鍛えたサイヤ人は地球人の超能力などの特殊能力を簡単に無効化するほど。
また、毒物に対する耐性も並大抵のものではない。
この殺し合いにも招かれている孫悟空も、幼少期に常人なら即死する劇物である超神水を飲んで生還している。
だがその一方で、タンパク質で構成されている生物として、肉体的な働きかけには抗し得ない一面もあった。
例えば、大猿や超サイヤ人になる事で興奮状態となる性質。
例えば、ウイルス性の心臓病で死に至った孫悟空。
例えば、ベビーというツフル人。
彼の者は戦闘力で言えばサイヤ人達に遥かに劣っていたが、
傷口から体内に侵入し、脳を乗っ取る特異体質で孫悟空とパンを除くサイヤ人全員を洗脳した。
もし、投与されたその薬が何か呪いや特殊能力による精神干渉であればサイヤ人としての能力耐性で跳ねのけただろう。
もし、投与された薬品が青酸カリなどの即効性の毒物であれば、ハンデによる消化器官への制限を加味しても耐えて見せただろう。
だが、その薬品に込められた微生物による奇病が誘発するのは、疑心暗鬼から来る興奮状態、凶暴性の発露。
それは、サイヤ人の凶暴で野蛮な、本来の気質と合致してしまっていた。
故に彼の肉体は、北条沙都子の手によってレモンティーから摂取させられたソレを、毒物と認識できなかった。
幾重にも張り巡らされた、サイヤ人としての強靭な種族耐性のセーフティーネットの穴をすり抜けてしまった。
だが、それでもサイヤ人の耐性が働いたか、それとも乃亜自身が薬品に手を加えたか、
発症にはまだ至っていない。感染に留まっている
これから彼が強いストレスを受けなければ、発症には至らないだろう。
だが、その事を知っているのは。
今はまだ、海馬乃亜、ただ一人
もし、投与された薬品が青酸カリなどの即効性の毒物であれば、ハンデによる消化器官への制限を加味しても耐えて見せただろう。
だが、その薬品に込められた微生物による奇病が誘発するのは、疑心暗鬼から来る興奮状態、凶暴性の発露。
それは、サイヤ人の凶暴で野蛮な、本来の気質と合致してしまっていた。
故に彼の肉体は、北条沙都子の手によってレモンティーから摂取させられたソレを、毒物と認識できなかった。
幾重にも張り巡らされた、サイヤ人としての強靭な種族耐性のセーフティーネットの穴をすり抜けてしまった。
だが、それでもサイヤ人の耐性が働いたか、それとも乃亜自身が薬品に手を加えたか、
発症にはまだ至っていない。感染に留まっている
これから彼が強いストレスを受けなければ、発症には至らないだろう。
だが、その事を知っているのは。
今はまだ、海馬乃亜、ただ一人
【I-5/1日目/深夜】
【孫悟飯(少年期)@ドラゴンボールZ】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(小)、激しい後悔(極大)、SS(スーパーサイヤ人)、SS2使用不可、雛見沢症候群感染
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:お父さんを探したい。
2:美柑さんを守る。
2:スネ夫、ユーインの知り合いが居れば探す。ルサルカも探すが、少し警戒。
3:シュライバーは次に会ったら、殺す
[備考]
※セル撃破以降、ブウ編開始前からの参戦です。
※殺し合いが破綻しないよう力を制限されています。
※SSは一度の変身で12時間使用不可、SS2は24時間使用不可
※舞空術、気の探知が著しく制限されています。戦闘時を除くと基本使用不能です。
※雛見沢症候群に感染しました。ただ発症はまだしていないため、特に変調はありません。
発症に至るかどうかは後続の書き手にお任せします。
[状態]:疲労(中)、ダメージ(小)、激しい後悔(極大)、SS(スーパーサイヤ人)、SS2使用不可、雛見沢症候群感染
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:お父さんを探したい。
2:美柑さんを守る。
2:スネ夫、ユーインの知り合いが居れば探す。ルサルカも探すが、少し警戒。
3:シュライバーは次に会ったら、殺す
[備考]
※セル撃破以降、ブウ編開始前からの参戦です。
※殺し合いが破綻しないよう力を制限されています。
※SSは一度の変身で12時間使用不可、SS2は24時間使用不可
※舞空術、気の探知が著しく制限されています。戦闘時を除くと基本使用不能です。
※雛見沢症候群に感染しました。ただ発症はまだしていないため、特に変調はありません。
発症に至るかどうかは後続の書き手にお任せします。
【結城美柑@To LOVEる -とらぶる- ダークネス】
[状態]:疲労(小)、強い恐怖
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いはしたくない。
1:ヤミさんや知り合いを探す。
2:沙都子さん、大丈夫かな……
3:正直、気まずい。
[備考]
本編終了以降から参戦です。
[状態]:疲労(小)、強い恐怖
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いはしたくない。
1:ヤミさんや知り合いを探す。
2:沙都子さん、大丈夫かな……
3:正直、気まずい。
[備考]
本編終了以降から参戦です。
■
支給された、巨大拳銃──.454カスール カスタムオートを、腰のホルスターに付ける。
自前の魔力で戦闘はできるが、こんな状況だ、魔力は節約した方がいい。
本職のアーチャー程ではないが、拳銃の扱い方も心得ている。
普通の人間なら持て余すであろうその拳銃も、サーヴァントの膂力ならば問題ない。
悟空も今は完全に復調し、もう既に腕に傷は塞がっていた。
……大したものだ、サイヤ人と言う種族は。
自前の魔力で戦闘はできるが、こんな状況だ、魔力は節約した方がいい。
本職のアーチャー程ではないが、拳銃の扱い方も心得ている。
普通の人間なら持て余すであろうその拳銃も、サーヴァントの膂力ならば問題ない。
悟空も今は完全に復調し、もう既に腕に傷は塞がっていた。
……大したものだ、サイヤ人と言う種族は。
「お~し!先ずどこから行く?なぁネモ?」
「そうだね、君は君の息子さんがどこに向かいそうか心当たりはある?」
「そうだね、君は君の息子さんがどこに向かいそうか心当たりはある?」
聞いてみたが、悟空にとって見知った建物は無し。
悟飯にとっても同じだろう、と言うのが彼の返答だった。
悟飯にとっても同じだろう、と言うのが彼の返答だった。
「あ!でも悟飯の奴なら学校目指すかもな~!」
「学校…か。じゃあ近くの教会…できれば図書館も調べてから、
聖ルチーアとG-5にある小学校を目指してみようか」
「おう、でも教会と図書館ってのはなんでだ?」
「この辺りで唯一地図に載ってる施設だからね、何かないか調べておきたいんだ
君にとっては寄り道になるけど……いいかい、悟空?」
「学校…か。じゃあ近くの教会…できれば図書館も調べてから、
聖ルチーアとG-5にある小学校を目指してみようか」
「おう、でも教会と図書館ってのはなんでだ?」
「この辺りで唯一地図に載ってる施設だからね、何かないか調べておきたいんだ
君にとっては寄り道になるけど……いいかい、悟空?」
ネモが尋ねると、悟空はニカッと、快活に笑って頷いた。
「心配すんなって、もう十四人も死んで焦る気持ちも分かるけど、悟飯の奴なら大丈夫だ
彼奴もきっと、オラがこの島にいるのは気づいてるだろうし…直ぐに会えるさ」
「……そうだね、君の息子だし」
彼奴もきっと、オラがこの島にいるのは気づいてるだろうし…直ぐに会えるさ」
「……そうだね、君の息子だし」
朗らかな笑みに、人見知りなネモも思わず微笑み返した。
だが、同時にある種の懸念も胸の奥に沸いてくる。
……三騎士では無いとは言え、それでも人間とは隔絶した能力のサーヴァント。
サーヴァントでも殺しかけた、天使の少女。
そして、その天使の少女に圧勝したのが、目の前の悟空だ。
息子も、それに準ずる実力で、殺し合いに乗るような人格ではないという。
だが、同時にある種の懸念も胸の奥に沸いてくる。
……三騎士では無いとは言え、それでも人間とは隔絶した能力のサーヴァント。
サーヴァントでも殺しかけた、天使の少女。
そして、その天使の少女に圧勝したのが、目の前の悟空だ。
息子も、それに準ずる実力で、殺し合いに乗るような人格ではないという。
(………何故、乃亜は。そんな二人を一緒に招いた?)
反抗されるのが分かりきっている、親子の実力者。
自分が主催者ならどうするかと考えてしまう。
思考の海に沈みかけた所で、声を掛けられる。
自分が主催者ならどうするかと考えてしまう。
思考の海に沈みかけた所で、声を掛けられる。
「お~い!何してんだネモ!置いてくぞ~!」
「あ…、あぁ、すまない。今行く!」
「あ…、あぁ、すまない。今行く!」
………父親は未だ、息子に迫る危機を知らない。
【B-7/1日目/深夜】
【孫悟空@ドラゴンボールGT】
[状態]:満腹、腕に裂傷(処置済み)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:悟飯を探す。
2:ネモに協力する。
3:カオスの奴は止める。
[備考]
※参戦時期はベビー編終了直後。
※殺し合いが破綻しないよう力を制限されています。
※SSは一度の変身で12時間使用不可、SS2は24時間使用不可。
※SS3、SS4はそもそも制限によりなれません。
※瞬間移動も制限により使用不能です。
※舞空術、気の探知が著しく制限されています。戦闘時を除くと基本使用不能です。
[状態]:満腹、腕に裂傷(処置済み)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:悟飯を探す。
2:ネモに協力する。
3:カオスの奴は止める。
[備考]
※参戦時期はベビー編終了直後。
※殺し合いが破綻しないよう力を制限されています。
※SSは一度の変身で12時間使用不可、SS2は24時間使用不可。
※SS3、SS4はそもそも制限によりなれません。
※瞬間移動も制限により使用不能です。
※舞空術、気の探知が著しく制限されています。戦闘時を除くと基本使用不能です。
【キャプテン・ネモ@Fate/Grand Order】
[状態]:健康
[装備]:.454カスール カスタムオート(弾:7/7)@HELLSING
[道具]:基本支給品、13mm爆裂鉄鋼弾(50発)@HELLSING、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:教会→図書館の順で調べた後、学校に向かう。
2:首輪の解析のためのサンプルが欲しい。
3:カオスは止めたい。
[備考]
※現地召喚された野良サーヴァントという扱いで現界しています。
※宝具である『我は征く、鸚鵡貝の大衝角』は現在使用不能です。
[状態]:健康
[装備]:.454カスール カスタムオート(弾:7/7)@HELLSING
[道具]:基本支給品、13mm爆裂鉄鋼弾(50発)@HELLSING、ランダム支給品1~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:教会→図書館の順で調べた後、学校に向かう。
2:首輪の解析のためのサンプルが欲しい。
3:カオスは止めたい。
[備考]
※現地召喚された野良サーヴァントという扱いで現界しています。
※宝具である『我は征く、鸚鵡貝の大衝角』は現在使用不能です。
008:表裏一体 | 投下順に読む | 010:トリックルーム |
時系列順に読む | ||
018(候補作採用話):ある名も無きあいの唄 | 孫悟空 | 026:この甘い世界嘘になるなら |
キャプテンネモ | ||
178(候補作採用話):壊れるほどに愛しても | 北条沙都子 | 046:星に願いを |
メリュジーヌ | ||
001(候補作採用話):後悔 | 孫悟飯 | 040:不安の種 |
結城美柑 |