コンペロリショタバトルロワイアル@ ウィキ

fake town baby

最終更新:

compels

- view
だれでも歓迎! 編集
私の名前は宮野志保。
私は一年ほど前まで、組織の科学者として毒薬を作らされていた。
アポトキシン4869。それが私の罪科の名前。
細胞の自己破壊(アポトーシス)を操作し、死後検出されず、稀に肉体年齢を幼児化させる神と悪魔の毒薬。
それを、私は一年ほど前まで『組織』に作らされていた。
自分が作っているのが毒薬だと知らされず、姉の為に。
私の作った毒薬で、何人の人間が死んだのかを考える事もせず。
姉が死んで、全てを知って、自分もその毒薬を飲んで死のうとして。
薬の適合者だったために幼児化し、組織を抜けて、私は灰原哀になった。
そこから彼と、一年ほど小学生として生きて…此処にいる。
殺し合いという血なまぐさい演目の為に用意されたビルの屋上で、怪物と行き遭っている。


「いやーお互い災難だよなぁ、兄妹」


目の前でいるだけで、鼓動がうるさいほどに早くなる。
呼吸する事すら、困難になりそうな程の緊張。
冷たい汗が背中を伝うのが嫌に生々しく感じる。
この感覚は、『組織』の人間が近くに接近した時に至る感覚だった。
それが一番顕著に出る相手…ジンですら、ここまで強くは感じないだろう。
本能が総毛立つ様な恐怖のアラート。
声が上ずらない様にお腹の奥に力を籠めて、私は誰何の声を上げた。


「貴女は…何なの?」


ハッキリしている事は一つ。
彼は私など、瞬きしている間に殺せるという事。
逃げるだとか、戦うだとか。そんな領域の相手じゃない。
指一本動かす事すら勇気を伴う、そんな相手だった。


「そう硬くなるなよ、別に取って食おうって訳じゃないんだ
俺が何かについてだが…当てて見な?アンタはもう、俺の事を知ってる」



ニっと笑って、少年は言う。
一見すれば、特におかしい風体の少年ではなかった。
かき上げた金の髪、紅い瞳。整った顔立ちと中肉中背の体つき。
特徴的な点を上げるとすれば…真っ青なコートに、少年とは思えないハスキーボイスだろうか。
私よりも年かさだろうが、私の実年齢を超えている様には見えない。
だが…そんな少年が、あのジンすら超える威圧感を放っている。
その事が、より一層不気味に思えた。


「あ…貴女は……」


今度はダメだった。声が上ずるだけでなく、詰まってしまう。
途切れ途切れになりながら、私は何とか、その言葉を吐き出した。


「この、殺し合いに乗っているの?」


私のその問いかけに、彼はもう一度フッと笑って。
そして、私の問いかけを肯定した。


「何故!?貴方ほどの力の持ち主なら」


彼の力の事なんて知らない。見た事も無い。
でも、彼が人を遥かに超えた力の持ち主だという事は直感的に理解していた。
だから、その彼が大人しくあの海馬乃亜という少年に従うという意志を見せている事が納得いかなかった。
だから、先ほどより滑らかに尋ねる事ができた。


「何でか…そうだなぁ。まぁ本当の所どちらでもいいんだが…好きなんだ、こういうのが。
俺の住んでた町の連中は皆祭り好きのバカばっかりでな。下らねーと思ってたけど…
存外俺も、あの街に染まってたみたいだ」



夜風が撫でる髪をかき上げて、屋上と地上を隔てる欄干の上に飛び立って。
そして彼は、私を見下ろしながらそう言った。
その後、今度は私に彼が問いかけてくる。


「それで、だ。こうしてお前の前に立ってんのは殺し合いに乗った奴な訳だが…
どうするね?俺はお前の質問に答えたんだ。今度はお前が答えるべきだろ、人間?」


彼のその問いかけに…私は答える事ができない。
間違いなく、己の生死を分ける問いだと、理解してしまったから。
そして私が彼をどうこうできるはずもないから。
ただ、カタカタと震えて、立ち尽くすだけ。
そんな私の様子を見て、少年は鼻を鳴らして。


「……そう怯えるなよ。こう見えても結構不自由してるんだぜ。俺は。
俺の都合で好きにやれるならとっくにやってるよ。実際はそうじゃないけどな」


彼はそう言って、欄干からふわりと音もなく降り立ち。
私へと向かって歩いてくる。
押しつぶされそうだった。胸の鼓動が、痛いと感じるほどに。
ぎゅっと胸を押さえて、私は思わず瞼を閉じてしまう。
だが…死を招くときはやって来なかった。


「………殺さない…の?」
「そうする時と相手位は選ぶさ、じゃあな。精々震えて蹲ってろ、人間」


そう言って彼は私の脇を通り抜けて。
青いコートを揺らしながら、ひらひらと手を振って、私の前から去ろうとする。
まず、「助かった」……そう思った。
でも、次に沸いた感情は違うものだった。
私の中の理性が、「何をしている、馬鹿な真似はやめろ」と制止の声を上げる。


───逃げるなよ、灰原。自分の運命から…逃げるんじゃねーぞ……


そんな私の理性を、私は知った事かと切って捨てた。
たたた、と駆けだして。袖を掴む。



「……何だよこの手は。おい、お嬢ちゃん」


彼は突然手を掴んできた私を見て、訝し気に声を上げた。
そんな彼に、私は簡潔に要求を口にした。


「…私も一緒に連れて行きなさい」


私の声は、もう上ずっても震えてもいなかった。


「おいおい、人の話聞いてたのか?俺は──」

「貴女、本当は何方でもいいんでしょう?乗ろうと、乗るまいと。そう言ってたわよね」
「なら、私を連れて行きなさい」
「私の専攻は薬学や生物学だけど…ITや工学の知識も少しはあるわ」
「この首輪も外せるかもしれない。そうなれば、貴方があの海馬乃亜という少年に従う理由も無くなる」


一息にまくしたてる。
私にとって、間違いなく一世一代の交渉だった。


「貴女の心変わりを引き出せればそれでよし」
「もしそうでなくても…一緒にいれば貴女と言う怪物を無力化する手段が分かるかもしれない」
「…私の様な人間にとって、貴方は恐ろしさ以上に、非常に興味深い“素材”だもの」


そう言葉を結んで、最後に笑みを作る。
引き攣ってしまうことが無いように、可能な限り不敵な笑みを浮かべて。
訝し気な表情を浮かべたままの彼と、視線が交わる。
そして、僅かな沈黙の帳の後に、彼は静かに私に尋ねた。
「さっきまで怯えて震えていたのに、どういう心変わりだ?」と。
私の答えは明朗な物だった。



「───闘わないと……勝てないもの。…逃げたくはないの、私」


──闘わないと、勝てないもん!!
それは私の友人が私にくれた言葉。
行きつく果ては“死”以外にあり得ないと考えていた私に。
闇の中で光を求めて歩むことは、無意味などではないのだ、と。
そう教えてくれた言葉。
彼にとっては意味不明かもしれないが、それでも…私は彼にその言葉を送った。
何故か…私の目には彼も、彼自身に絶望しているような。
そんな印象を抱いたから。


「───人間は悲しいな。愚かと呼ぶには、余りに無垢で一途だ。
だから俺は、いつまで経ってもお前達に囚われたままなんだろうな……」


その時の彼の声は、心なしか優し気に聞こえた。
出来の悪い我が子を励ますような、そんな声色だった
彼の意図を測りかねている私の足元に、彼が担いでいたランドセルが投げられる。


「そいつは契約料だ。俺の荷物持ちをしている間は生かしてやるよ。
お前は命令されて、仕方なく付き従っていた……そういう筋書きだ、いいな?」
「あら、女の子に荷物持ちさせるなんて…大した悪党ね」


軽口を叩いて、ランドセルを拾い上げながら私は考える。
親しみやすいように見えて、彼の方針、危険性は一切変わっていないのだろう。
笑って私に冗談を口にした一秒後、首を撥ねていてもおかしくない。そう言う相手だ。
そんな彼に、私に何ができるのかは分からない。
分からないけれど、考え続ける。
貴方もきっとそうするでしょう?江戸川君。



「そう言えば、何時までも『貴方』じゃ不便ね。ねぇ、何て呼べばいいのかしら」
「んー…何て呼べば、ねぇ。フォーレンやブルーとか色々呼ばれてたけど……
………あぁ、アンタにはこの名前が一番いいかもな。“ブラック”だ。以後よろしく、アイ」
「……私、貴方に名乗ったかしら」


…初めて会った相手がよりによって、“黒(ブラック)”とは。
私にとってこれ以上なく皮肉な名前だった。
彼の後ろでビルの階段を降りながら、私は自嘲するように笑った。


「賭けの相手の名前くらいは把握してるさ。
プレイヤーはお前、バンカーは俺だ。ゲームはとっくに動いてる。
賭けに乗った以上、勝負がつくまでは決して降りられない、お互いにな」


──語る少年の住んでいた街の名はH.L(ヘルサレムズ・ロット)。元NY(ニューヨーク)
一夜にして崩落、再構築されたその街は、異界(ビヨンド)と現世が交わる特異点として新生した。
奇怪生物、神秘現象、魔導犯罪、超常化学、etc…そんな混沌が霧煙る街に蠢く魔界都市として産声を上げたのだ。
そんなヘルサレムズ・ロットで知られる人類の領域をはるかに超えた魔術や能力を持つ存在の中でもとりわけ厄介な13人の魔人達「13王」の1人。
それが彼だった。
そして、彼の。王としてのもう一つの名を、


「さぁ、もう一度出題だ。俺の名前を言ってみろ。当てられたら俺のホームにご招待するぜ?」


───絶望王と言った。





【絶望王(ブラック)@血界戦線(アニメ版)】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いに乗る。
1:気ままに殺す。
2:気ままに生かす。つまりは好きにやる。誰かが絶望してるところを見たい。
[備考]
ゲームが破綻しない程度に制限がかけられています。
参戦時期はアニメ四話。

【灰原哀@名探偵コナン】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品×2~6
[思考・状況]基本方針:コナンや探偵団のみんなを探す。
1:殺し合いを止める方法を探す。
2:ブラックについていき、説得できないか試みる。もし困難なら無力化できる方法を探る。
[備考]
ハロウィンの花嫁は経験済みです。


137:ハーマイオニー・グレンジャーと呪いの子 投下順に読む 152:The beginning of darkness~恥辱~
時系列順に読む
START 絶望王 016:臨時放送の意図を考察せよ
START 灰原哀

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー