「セリム、大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫です。ナルトさんの方こそ、大丈夫ですか?
脚、怪我されているんでしょう?」
「心配すんなって、お前とは鍛え方が違うんだってばよ!こっちの方が早いしな」
「えぇ、大丈夫です。ナルトさんの方こそ、大丈夫ですか?
脚、怪我されているんでしょう?」
「心配すんなって、お前とは鍛え方が違うんだってばよ!こっちの方が早いしな」
エリス・ボレアス・グライラットと別れて少し経った頃。
木の葉隠れの里の下忍、うずまきナルトと傲慢のホムンクルス、プライド/セリム・ブラッドレイは火影岩を目指し進んでいた。
現在位置はE-3エリアを経由してD-4、子供の足のセリムを連れているにしてはそこそこに順調なペースであった。
と言うのも、現在セリムはナルトの背に負ぶわれているからだ。
ガムテの襲撃やセリムを突然襲ったという女の子の存在からナルトが思いついた移動法だった。
木の葉隠れの里の下忍、うずまきナルトと傲慢のホムンクルス、プライド/セリム・ブラッドレイは火影岩を目指し進んでいた。
現在位置はE-3エリアを経由してD-4、子供の足のセリムを連れているにしてはそこそこに順調なペースであった。
と言うのも、現在セリムはナルトの背に負ぶわれているからだ。
ガムテの襲撃やセリムを突然襲ったという女の子の存在からナルトが思いついた移動法だった。
「……うん、大丈夫みたいだってばよ。このまま進むぞ」
まず、影分身を一体呼び出し、斥候として先行させ、
安全が確認できた後、セリムを背負った本体のナルトが時間差で進むという方法だ。
影分身との感覚共有こそ、まだ未熟なこのナルトではできないものの、流石に影分身が消えたかどうかは感覚的に分かる。
もしこの殺し合いに乗った人物が、先行した影分身を攻撃すれば、危険人物かどうかを会敵前に判別できるという訳だ。
普段のナルトらしからぬ、中々に慎重な策だった。
安全が確認できた後、セリムを背負った本体のナルトが時間差で進むという方法だ。
影分身との感覚共有こそ、まだ未熟なこのナルトではできないものの、流石に影分身が消えたかどうかは感覚的に分かる。
もしこの殺し合いに乗った人物が、先行した影分身を攻撃すれば、危険人物かどうかを会敵前に判別できるという訳だ。
普段のナルトらしからぬ、中々に慎重な策だった。
(なんせセリムは戦えねーだろうし…俺がしっかり護衛してやらねーとな!!)
勿論、影分身を一体とは言え出し続けるランニングコストは馬鹿にならないが。
それでも自分に支給されたこのファウードの回復液という支給品があれば消耗は自己補完の範疇だと、ナルトはその水筒を頼もしく思った。
味はそこまで良くなかったし、ファウードと呼ばれる生物の体液と言う文句を見て口にするのには抵抗があったが、試しに一口飲むと本当にチャクラが回復した。
元々、チャクラの総量では下忍でありながら上忍のカカシと同等か上回るナルトである。
自前のチャクラ保有量に加えて、この回復液があれば早々チャクラが底をつく事は無いだろう。
それ故に、こう言った影分身を活用した策も躊躇なく打てるのだ。
それでも自分に支給されたこのファウードの回復液という支給品があれば消耗は自己補完の範疇だと、ナルトはその水筒を頼もしく思った。
味はそこまで良くなかったし、ファウードと呼ばれる生物の体液と言う文句を見て口にするのには抵抗があったが、試しに一口飲むと本当にチャクラが回復した。
元々、チャクラの総量では下忍でありながら上忍のカカシと同等か上回るナルトである。
自前のチャクラ保有量に加えて、この回復液があれば早々チャクラが底をつく事は無いだろう。
それ故に、こう言った影分身を活用した策も躊躇なく打てるのだ。
「それにしてもナルトさん凄いですね!こんな安全に移動できる方法を考え付くなんて…流石忍者です!!」
「へへん!俺ってば日々成長しているのだ!いつかサスケの野郎に参ったって言わせるために───」
言いかけて、ふとナルトは考えた。
あの乃亜とかいうガキは子供を連れてきたとか何とか言ってたから、カカシ先生はいないだろうけど。
此処に春野サクラやうちはサスケの二人──第七班のメンバーがきていないだろうかと。
その事をふと思った。
あの乃亜とかいうガキは子供を連れてきたとか何とか言ってたから、カカシ先生はいないだろうけど。
此処に春野サクラやうちはサスケの二人──第七班のメンバーがきていないだろうかと。
その事をふと思った。
(サクラちゃんも此処に連れてこられてたらソッコー助けに行かねぇと!
サスケのバカは…あいつもちょっと様子がおかしかったから、無茶してねーだろうな…)
サスケのバカは…あいつもちょっと様子がおかしかったから、無茶してねーだろうな…)
此処に連れてくる少し前。
自分とライバルであるサスケは病院の屋上で小競り合いというには激しい勝負をしていた。
ナルトの目から見たサスケは、酷く焦っているように見えた。
だが、無理も無いだろうと思う。
病院で勝負を行うさらに少し前に、サスケは復讐目標である実の兄のイタチに、完膚なきまでに敗北を喫していたのだから。
兄弟と言う物に馴染みのないナルトでも、焦るのも無理はないと、そう思えた。
尤も、あの男がその後自分にあそこまで突っかかってくるのは予想外だったが。
自分とライバルであるサスケは病院の屋上で小競り合いというには激しい勝負をしていた。
ナルトの目から見たサスケは、酷く焦っているように見えた。
だが、無理も無いだろうと思う。
病院で勝負を行うさらに少し前に、サスケは復讐目標である実の兄のイタチに、完膚なきまでに敗北を喫していたのだから。
兄弟と言う物に馴染みのないナルトでも、焦るのも無理はないと、そう思えた。
尤も、あの男がその後自分にあそこまで突っかかってくるのは予想外だったが。
(でもあれは──)
平静を欠いた様子で噛みついてくる好敵手を見て、らしくない、とは思ったけど。
自分に勝負を挑んでくるくらい対等に見てくれているのだと知った時は。
下腹の辺りが疼くくらいには高揚を禁じ得なかったのだ。
ここからだ。ここからもっと修業を積んで、強くなる。
サスケももっともっと強くなるだろう。そうして二人で強くなって。
彼奴の兄貴を──イタチを二人でボッコボコにして捕まえる手伝いをしてやってもいい。
そうこの時のナルトは漠然とだが考えていた。
正史であればこの直ぐ後に、うちはサスケとは永く袂を別つことになるのだが、今の彼には知りようもない事だった。
自分に勝負を挑んでくるくらい対等に見てくれているのだと知った時は。
下腹の辺りが疼くくらいには高揚を禁じ得なかったのだ。
ここからだ。ここからもっと修業を積んで、強くなる。
サスケももっともっと強くなるだろう。そうして二人で強くなって。
彼奴の兄貴を──イタチを二人でボッコボコにして捕まえる手伝いをしてやってもいい。
そうこの時のナルトは漠然とだが考えていた。
正史であればこの直ぐ後に、うちはサスケとは永く袂を別つことになるのだが、今の彼には知りようもない事だった。
(っと、その前にまずこの殺し合いを生き残らねーと…気合入れていけ!俺!!)
取り合えず、サクラちゃんもサスケも立派な忍者だ。
連れてこられていたとしても、早々死ぬことは無いだろう。
そして、もし二人が連れてこられていれば自分と同じく火影岩を目指す筈。
ならば自分が先んじて待って居ようではないか。
そう決意を新たに、火影岩に急ごうとした時だった。
連れてこられていたとしても、早々死ぬことは無いだろう。
そして、もし二人が連れてこられていれば自分と同じく火影岩を目指す筈。
ならば自分が先んじて待って居ようではないか。
そう決意を新たに、火影岩に急ごうとした時だった。
「おーい!」
「…?どうしたんだってばよ?」
先行させていた影分身が、戻ってきていた。
話を聞くと、先行した先で、上空から建物の上に降りていく子供を見かけたらしい。
遠目から見た限りでは、片方は赤ん坊、片方は意識のない木ノ葉丸より小さなガキらしく。
どうするか、ナルトは腕を組んで考えてみた。
話を聞くと、先行した先で、上空から建物の上に降りていく子供を見かけたらしい。
遠目から見た限りでは、片方は赤ん坊、片方は意識のない木ノ葉丸より小さなガキらしく。
どうするか、ナルトは腕を組んで考えてみた。
「セリム。ちょっと見て行っていいか?」
「えぇ、ナルトさんが行きたいのなら僕は構いませんが…」
僅かに逡巡を見せたものの、セリムもナルトが乗り気な以上否やとは言えず。
彼が最初に出会った少女の様に凶暴な手合いでなければ、彼としても他の参加者との接触はやぶさかでも無かったため。
セリムをそのまま背負い、ナルトは先行した影分身にその子供二人が降り立った場所を案内させた。
彼が最初に出会った少女の様に凶暴な手合いでなければ、彼としても他の参加者との接触はやぶさかでも無かったため。
セリムをそのまま背負い、ナルトは先行した影分身にその子供二人が降り立った場所を案内させた。
■
辿り着いた先は、何故かそこだけ荒廃した様子の高層マンションだった。
セリムは慣れない視線で見ていたが、ナルトは特に感慨を抱かなかった。
木ノ葉の里は意外に技術が発達している。
ビデオもあるしゲームある。通信機器もそれなりに存在する。
高層マンションも高い建物だなとは感じるが、殊更何か感じることは無かった。
セリムは慣れない視線で見ていたが、ナルトは特に感慨を抱かなかった。
木ノ葉の里は意外に技術が発達している。
ビデオもあるしゲームある。通信機器もそれなりに存在する。
高層マンションも高い建物だなとは感じるが、殊更何か感じることは無かった。
「…よし、取り合えず俺が行ってくるから、セリムはここで影分身と待ってろ」
「え、でもナルトさん本人が行ったら…」
「大丈夫だって。セリム、お前より小さな気を失ってるガキと赤ん坊だろ?
このうずまきナルト様がパパッと助けて来てやるってばよ」
このうずまきナルト様がパパッと助けて来てやるってばよ」
「…でも、気を失ってる子を連れて行くと火影岩に行くのが遅れてしまうんじゃ…
まぁ、放って置く訳にもいかないというのはそうかもしれませんけど…」
まぁ、放って置く訳にもいかないというのはそうかもしれませんけど…」
「それについてもダイジョーブ!影分身追加でもう一体くらいならどうって事無いってばよ。俺に任せとけ!」
自信満々のナルトを見て、一抹の不安に駆られるセリム。
ナルトは隠れ蓑としては中々の物だった。
チャクラというエネルギーを用いて居るからか、体力や普段の身のこなしは、
ナルトより年上であろう鋼の錬金術師エドワード・エルリックに迫るものがあった。
それでいて調子がよく、煽てれば誘導するのも難しくない。
できるなら、優勝目指すにしても自身の能力がフルに発揮できる昼間までは利用したい。
そう思える程度にはセリムはナルトを評価していた。
だからこそ、慎重に行動してほしかったが…こうなるともう話を聞かないだろう。
ナルトは隠れ蓑としては中々の物だった。
チャクラというエネルギーを用いて居るからか、体力や普段の身のこなしは、
ナルトより年上であろう鋼の錬金術師エドワード・エルリックに迫るものがあった。
それでいて調子がよく、煽てれば誘導するのも難しくない。
できるなら、優勝目指すにしても自身の能力がフルに発揮できる昼間までは利用したい。
そう思える程度にはセリムはナルトを評価していた。
だからこそ、慎重に行動してほしかったが…こうなるともう話を聞かないだろう。
「大人しく俺の影分身に従って隠れてろよセリム。んじゃ!行ってくるってばよ!」
止める暇もなく。
ナルトはひょいひょいとベランダの手すりや雨どいのパイプを伝って屋上へと上がっていってしまった。
忍者を自称するだけあって、セリムをして俄かに驚く身体能力だった。
ナルトはひょいひょいとベランダの手すりや雨どいのパイプを伝って屋上へと上がっていってしまった。
忍者を自称するだけあって、セリムをして俄かに驚く身体能力だった。
「さ!セリムはこっちで俺と一緒にそこら辺の部屋で待つってばよ」
「えぇ……」
「えぇ……」
面倒が起こらなければよいが。
ナルトに見えない角度で、傲慢本来の顔を浮かべながら。
セリム・ブラッドレイは影分身のナルトに促されるままに隣接した民家に身を潜めるのだった。
ナルトに見えない角度で、傲慢本来の顔を浮かべながら。
セリム・ブラッドレイは影分身のナルトに促されるままに隣接した民家に身を潜めるのだった。
■
屋上には一分かからず辿り着いた。
軽業師以上の身軽さといざという時はチャクラを足に集めて壁昇りすら可能な今のナルトにとって、高層マンションの屋上に辿り着くのはその程度の事なのだった。
しゅたり、と、華麗な着地を決めて周囲を警戒しつつ屋上の様子を伺う。
すると、影分身の報告の通り、五歳児ほどの少年が丁度屋上の中央で倒れていた。
軽業師以上の身軽さといざという時はチャクラを足に集めて壁昇りすら可能な今のナルトにとって、高層マンションの屋上に辿り着くのはその程度の事なのだった。
しゅたり、と、華麗な着地を決めて周囲を警戒しつつ屋上の様子を伺う。
すると、影分身の報告の通り、五歳児ほどの少年が丁度屋上の中央で倒れていた。
「おいっ大丈夫かお前!おいっ!!」
呼吸は問題ない。生きてはいる。
だが、悪夢を見ているかのようにうなされて未だ目覚める気配はない。
どうするか。そう考えるのと同時に、もう一つの影分身からの報告を思い出した。
そう言えば報告によるともう一人、赤ん坊がいたはず──
だが、悪夢を見ているかのようにうなされて未だ目覚める気配はない。
どうするか。そう考えるのと同時に、もう一つの影分身からの報告を思い出した。
そう言えば報告によるともう一人、赤ん坊がいたはず──
「……?」
コロコロ、と。
考えるナルトの足元に何かが転がってくる。
横たわる子供の陰に隠れて、彼は気づかず。
そして、炸裂した。
考えるナルトの足元に何かが転がってくる。
横たわる子供の陰に隠れて、彼は気づかず。
そして、炸裂した。
「おわっ!?な、なんじゃこりゃ───!?」
突然前方の視界が煙で満ちて。
咄嗟に口元と鼻を腕で覆うモノの時すでに遅く。
揺れる視界。
猛烈に襲ってくる眠気。
不味い、油断した。眠り毒か。
何とか煙の中から脱出しようとした所で、足がもつれた。
咄嗟に口元と鼻を腕で覆うモノの時すでに遅く。
揺れる視界。
猛烈に襲ってくる眠気。
不味い、油断した。眠り毒か。
何とか煙の中から脱出しようとした所で、足がもつれた。
(……ク、ソ。俺としたことが、しくじったぜ……!)
眠り毒の効果は強力だった。
途端に瞼が重くなり。倒れこんでしまえば、もうだめだった。
そのまま、ナルトが立ち上がることは無く。
そのまま彼は、夢の世界へと旅立った。
そんな倒れこむナルトを見て、嘲笑う影が一つ。
途端に瞼が重くなり。倒れこんでしまえば、もうだめだった。
そのまま、ナルトが立ち上がることは無く。
そのまま彼は、夢の世界へと旅立った。
そんな倒れこむナルトを見て、嘲笑う影が一つ。
「ウケケーッ!!ヌケ作がよォ~~!!こんなおにぎりの心配するからこうなるんだッ!
まぁイキは良いみたいだし、これから俺がたっぷり利用してやるぜーッ!!」
まぁイキは良いみたいだし、これから俺がたっぷり利用してやるぜーッ!!」
屋上と下の階層を繋ぐ非常口の陰で。
今しがたナルトを眠らせたマニッシュ・ボーイはほくそ笑んだ。
先の白髪の子供の襲撃を受けて。
彼が選んだのは、佐藤マサオから新たな庇護者への、乗り換えだった。
この殺し合いを生き残るのに、庇護者がおにぎり頭では不釣り合いに過ぎる。
もしこの場に新たに現れたガキがさっきの白髪のガキの様に問答無用で襲ってきたら、まず間違いなく二人とも殺されているだろう。
だから、その前に乗り換える。
一度眠らせ、庇護欲を誘う催眠をより強い者にかけなおす。
乃亜の制限により、マニッシュ・ボーイの庇護欲を高める催眠は一人にしか使えない。
ならばこんな愚図なおにぎりに貴重な一枠を使うのもアホらしいという話だった。
本当なら同じスタンド使いと見られるあのお嬢様が良かったが、自分達をこの屋上に着陸させて墜落していった事から現在も生きているか怪しい。
差し当たっての足としては、目の前のオレンジのガキは及第点だった。
おにぎりは用済みだから、ここで玩具にして遊び殺してしまえば良い。
今しがたナルトを眠らせたマニッシュ・ボーイはほくそ笑んだ。
先の白髪の子供の襲撃を受けて。
彼が選んだのは、佐藤マサオから新たな庇護者への、乗り換えだった。
この殺し合いを生き残るのに、庇護者がおにぎり頭では不釣り合いに過ぎる。
もしこの場に新たに現れたガキがさっきの白髪のガキの様に問答無用で襲ってきたら、まず間違いなく二人とも殺されているだろう。
だから、その前に乗り換える。
一度眠らせ、庇護欲を誘う催眠をより強い者にかけなおす。
乃亜の制限により、マニッシュ・ボーイの庇護欲を高める催眠は一人にしか使えない。
ならばこんな愚図なおにぎりに貴重な一枠を使うのもアホらしいという話だった。
本当なら同じスタンド使いと見られるあのお嬢様が良かったが、自分達をこの屋上に着陸させて墜落していった事から現在も生きているか怪しい。
差し当たっての足としては、目の前のオレンジのガキは及第点だった。
おにぎりは用済みだから、ここで玩具にして遊び殺してしまえば良い。
「さァて…上手く眠らせた所で、お楽しみの時間と行くかァーッ!!」
───デス13!
自身の能力に絶対の自信を寄せながら、マニッシュ・ボーイは己のスタンドを発動させた。
■
「何だってばよ、ここ……」
ナルトは夢の世界の中で、訝し気に呟いた。
さっきまで自分は倒れていたガキを助けようと建物の屋上にいたはず。
それが何で、こんな所に立ってるんだ?此処は何処なんだ?
流石のナルトも周囲が突然遊園地に変わってしまっては困惑を抑えきれず、その場に立ち尽くしていた。
さっきまで自分は倒れていたガキを助けようと建物の屋上にいたはず。
それが何で、こんな所に立ってるんだ?此処は何処なんだ?
流石のナルトも周囲が突然遊園地に変わってしまっては困惑を抑えきれず、その場に立ち尽くしていた。
「ひいぃ~!!たっ助けてぇ~~!!!」
そんなナルトの前に、見覚えのある子どもが走って来る。
その子供は、今しがた自分が出会った、あの屋上に倒れていたおにぎり頭だった。
酷く怯えた様子で、おにぎり頭はナルトを盾にする様にその背に隠れる。
その子供は、今しがた自分が出会った、あの屋上に倒れていたおにぎり頭だった。
酷く怯えた様子で、おにぎり頭はナルトを盾にする様にその背に隠れる。
「おっ!おいっ!!?どうしたんだってばよ!?此処は何処なんだ!!」
「ひぃぃ~!!あいつが、あいつが来るゥゥ~~!!!」
ナルトが困惑した様子で尋ねても要領を得ない答えしか返さず。
兎に角何かに酷く怯えた様子でナルトの背に隠れようとするおにぎり頭。
あいつとは誰か尋ねようとしたその時、件の“アイツ”が自分からやってきた。
兎に角何かに酷く怯えた様子でナルトの背に隠れようとするおにぎり頭。
あいつとは誰か尋ねようとしたその時、件の“アイツ”が自分からやってきた。
「ラリホォ~~~!!」
酷く陽気に、しかしその実寒気を覚える様な冷淡さを感じさせる声で。
巨大な鎌を持ったピエロの様な怪人が、二人の前に現れた。
直感的に理解する。今の事態は目の前のこいつが引き起こした事だと。
巨大な鎌を持ったピエロの様な怪人が、二人の前に現れた。
直感的に理解する。今の事態は目の前のこいつが引き起こした事だと。
「おい!お前!!お前が俺達を此処に連れてきたのか!!
もしそうならさっさとここから出しやがれ!!」
もしそうならさっさとここから出しやがれ!!」
「Exactly(その通りでございます)でも、やっだよ~ん!!
まぁ安心しろって!お前は生かしてやるからさ~~!!」
まぁ安心しろって!お前は生かしてやるからさ~~!!」
憤るナルトをおちょくるように怪人はお道け、その手に握った大鎌をマサオの方に向ける。
「乃亜のハンデとやらせいで一々催眠をかけるのに夢の世界に連れ込まなくちゃ行けないのは面倒くさいが…
このデス13様の頭脳にかかればこのとーりよッ!!後はそこのおにぎりをぶっ殺して、お前を暫く足として使ってやるさ!!」
このデス13様の頭脳にかかればこのとーりよッ!!後はそこのおにぎりをぶっ殺して、お前を暫く足として使ってやるさ!!」
「ひいいいい!!!!た、助けてぇ……!」
マサオの脳裏に蘇るのは数時間前に惨殺された沙耶香という少女の末路。
あんな風にだけは死にたくない。死ぬにしてもあんな風な死に方だけはごめんだ。
直前に失意の庭に放り込まれた影響もあってか、マサオの舌は彼の意思に反して勝手に回り始める。
あんな風にだけは死にたくない。死ぬにしてもあんな風な死に方だけはごめんだ。
直前に失意の庭に放り込まれた影響もあってか、マサオの舌は彼の意思に反して勝手に回り始める。
「助けてよ!僕がこれまで通り君を守るからさ!!だから僕だけは助けて!!」
「お、お前な……」
余りにも見苦しく口走るマサオに、ナルトも閉口してしまう。
だが、そんなことマサオにはどうでも良かった。
兎に角僕は死にたくないのだ。
だったら、僕よりも大きいお兄さんが僕を庇うべきじゃないか。
アクション仮面が此処にいるなら、きっと僕を庇ってくれるさ。
だから助けて、僕を助けて、僕を守って、と。
マサオは無我夢中で訴えた。
それはナルトにでもあり、デス13と名乗ったピエロ本人に対しても訴えていた。
だが、デス13の態度は変わることは無かった。
だが、そんなことマサオにはどうでも良かった。
兎に角僕は死にたくないのだ。
だったら、僕よりも大きいお兄さんが僕を庇うべきじゃないか。
アクション仮面が此処にいるなら、きっと僕を庇ってくれるさ。
だから助けて、僕を助けて、僕を守って、と。
マサオは無我夢中で訴えた。
それはナルトにでもあり、デス13と名乗ったピエロ本人に対しても訴えていた。
だが、デス13の態度は変わることは無かった。
「ダァ~メ……!お前をただ助けるだけじゃ折角使った貴重な眠り玉が無駄になっちまうだろバァ~カ!!お前は此処でこのデス13様の玩具になって死ぬんだよォ~!!」
ケラケラと笑いながら、わざとマサオの恐怖を煽るように鎌を誇示するデス13。
その様を見て、ナルトの陰に更に隠れるマサオ。
もうデス13の方へ押し付ける様だった。
ぽりぽりと頭を欠いて、そして憤る。
その様を見て、ナルトの陰に更に隠れるマサオ。
もうデス13の方へ押し付ける様だった。
ぽりぽりと頭を欠いて、そして憤る。
「俺も何が何だかよく分かってね~けどさァ……お前ら二人とも胸糞悪ぃ~や!!
取り合えずテメーは殺し合いに乗ってるみたいだし、ぶっ飛ばす!!」
取り合えずテメーは殺し合いに乗ってるみたいだし、ぶっ飛ばす!!」
「ぶっ飛ばすゥ?この夢の世界でデス13様をかァ?やってみろ間抜けガキがァッ!!
ヒャハハハハハハ~~!!!」
ヒャハハハハハハ~~!!!」
怒りを笑い飛ばすデス13にナルトももう我慢ならなかった。
ぶっ飛ばす。その一念で拳を握り締め、デス13に正拳を叩き込もうとする。
チャクラを足に込めて、常人ではありえない跳躍を見せ、拳を振り下ろす。
だが、その拳が届くことは無かった。
ふわりと風に煽られた風船のようにデス13は高く舞い上がり、上空に浮かんでしまったからだ。
ぶっ飛ばす。その一念で拳を握り締め、デス13に正拳を叩き込もうとする。
チャクラを足に込めて、常人ではありえない跳躍を見せ、拳を振り下ろす。
だが、その拳が届くことは無かった。
ふわりと風に煽られた風船のようにデス13は高く舞い上がり、上空に浮かんでしまったからだ。
「ウケケケケケケーッ!!ハズレ~~!!やっぱりお前フィジカルは中々みたいだなァ…
ますます俺の馬車役としてこき使ってやりたくなったぜーッ!!」
ますます俺の馬車役としてこき使ってやりたくなったぜーッ!!」
「ふざけんな!!誰がテメーなんかに使われるかァーッ!!」
「クックックーッ!テメーが何と言おうがこの悪夢世界(ナイトメア・ワールド)で俺に敵う術はねーッ!!そしてこの夢の中の事は起きたらキレーサッパリ忘れてるんだよッ!」
ラリホォ~!!
デス13が高揚した様子で叫ぶと同時に、ナルトの周囲の草花がげたげたと笑い始め、額に付けていた額当てが突如緩む。
そしてその緩んだ額当てが突然蛇に変わり、ナルトの首を締めあげるではないか。
デス13が高揚した様子で叫ぶと同時に、ナルトの周囲の草花がげたげたと笑い始め、額に付けていた額当てが突如緩む。
そしてその緩んだ額当てが突然蛇に変わり、ナルトの首を締めあげるではないか。
「が、ぁ…!?こ、これ…幻術……!?」
忍者学校で習った幻術の知識と、目の前の死神が使う能力は酷似していた。
だが、能力の種が分かった所で対応できるかは別問題だ。
何故なら。
だが、能力の種が分かった所で対応できるかは別問題だ。
何故なら。
(ク、クソォ~~!!エロ仙人に幻術返し習っとくんだったってばよォ~!!)
この時のナルトは未だ、幻術を掛けられた時の対処法を習熟していない。
故に、正攻法でこの術から抜け出すのは困難だ。
だが、このまま黙っている訳にもいかない。
ナルトが諦めればこの情けないおにぎり頭は死ぬだろうし、ナルト自身の安全も怪しくなるからだ。
必死に頭を振り絞って、対処法を思案する。
故に、正攻法でこの術から抜け出すのは困難だ。
だが、このまま黙っている訳にもいかない。
ナルトが諦めればこの情けないおにぎり頭は死ぬだろうし、ナルト自身の安全も怪しくなるからだ。
必死に頭を振り絞って、対処法を思案する。
(取り合えず、この空間を作ってるのはあの鎌ヤローだ。なら……)
パクパク、と。
首を絞められて苦しそうな顔をしながら(実際苦しい)それでもデス13に向けて口を開閉して見せる。
まるで必死に何かを伝えようとしているかのように。
首を絞められて苦しそうな顔をしながら(実際苦しい)それでもデス13に向けて口を開閉して見せる。
まるで必死に何かを伝えようとしているかのように。
「えっなにっ?何だァ~!?聞こえないよォ~~!!」
額当ての蛇をどかせば聞こえるというのに、デス13はナルトを煽るためだけに締め上げたまま、降下してくる。
かかった、とナルトは思った。
そのままギラリとデス13を睨み、両手で印を組む。
かかった、とナルトは思った。
そのままギラリとデス13を睨み、両手で印を組む。
──影分身の術!!
ボン!と音を立てて影分身の術が発動する。
これにはデス13も流石に瞠目せざるを得なかった。
スタンドを持っていない筈の小僧が、スタンドのような現象を引き起こしたのだから。
これにはデス13も流石に瞠目せざるを得なかった。
スタンドを持っていない筈の小僧が、スタンドのような現象を引き起こしたのだから。
「なっ、なんだあッ!!」
慌てて空中に舞い戻り、距離を取ろうとするデス13だが、すでに遅い。
そう来ると見越していたナルトはデス13の上空にも影分身を展開していたのだ。
そのままデス13に絡みつく様に影分身たちは組み付き、行動を封じる。
同時に、ナルトは脇の影分身に手をやり、必殺の術を放つ態勢に既に入っていた。
彼の掌の中で拘束圧縮されるエネルギー。
それを見た時、デス13にも戦慄が走った。
そう来ると見越していたナルトはデス13の上空にも影分身を展開していたのだ。
そのままデス13に絡みつく様に影分身たちは組み付き、行動を封じる。
同時に、ナルトは脇の影分身に手をやり、必殺の術を放つ態勢に既に入っていた。
彼の掌の中で拘束圧縮されるエネルギー。
それを見た時、デス13にも戦慄が走った。
「バッ!馬鹿なッ!!スタンドを奴は持ち込めていなかったハズッ!!」
眠らせた時、確かに奴がスタンドを発動させている様子は無かった。
それにスタンドの能力は基本一人一つ。
あのエネルギー弾とこの分身能力はどう考えても別の能力だ。
スタンド使いのサガ故か、敵の能力の分析に思考が割かれてしまう。
それがいけなかった。
結果的に一目見ただけで喰らったら不味いと直感する能力を前に、二手遅れる事となった。
それにスタンドの能力は基本一人一つ。
あのエネルギー弾とこの分身能力はどう考えても別の能力だ。
スタンド使いのサガ故か、敵の能力の分析に思考が割かれてしまう。
それがいけなかった。
結果的に一目見ただけで喰らったら不味いと直感する能力を前に、二手遅れる事となった。
「クソッ!!は、離れろ!!このビチグソ共がッッ!!」
悪罵を吐いて、影分身たちを振り払い、空中へ逃れようとする。
だが、ここでデス13は戦略ミスを犯した。
この時の彼が行うべきは、回避ではなく迎撃だったのだから。
そうすれば、鎌のリーチ差で着弾前にナルトを打ち据える事ができただろう。
或いは、悪夢のなんでもありを利用して、迎撃方法は幾らでもあった。
しかし、本人が他のスタンドに出会うことは決してないと豪語するスタンドだ。
それは裏を返せば、近距離でのスタンドバトルにまるで不慣れという事を意味する。
故に、その経験値不足がこのタイミングで現れた。
飛び上がるデス13。だが、もう既に間に合うタイミングは過ぎている。
ナルトはデス13が先ほどと同じく飛んで逃げるのを見越して跳躍していたからだ。
跳躍するナルトの追撃から逃れるには、とっさに飛び上がれる高さでは余りにも不足だった。
むしろ、飛び上がった事で本来着弾しても問題ない胴体部分ではなく、顔の部分が丁度ナルトの放つ術の前に来てしまう。
そして───
だが、ここでデス13は戦略ミスを犯した。
この時の彼が行うべきは、回避ではなく迎撃だったのだから。
そうすれば、鎌のリーチ差で着弾前にナルトを打ち据える事ができただろう。
或いは、悪夢のなんでもありを利用して、迎撃方法は幾らでもあった。
しかし、本人が他のスタンドに出会うことは決してないと豪語するスタンドだ。
それは裏を返せば、近距離でのスタンドバトルにまるで不慣れという事を意味する。
故に、その経験値不足がこのタイミングで現れた。
飛び上がるデス13。だが、もう既に間に合うタイミングは過ぎている。
ナルトはデス13が先ほどと同じく飛んで逃げるのを見越して跳躍していたからだ。
跳躍するナルトの追撃から逃れるには、とっさに飛び上がれる高さでは余りにも不足だった。
むしろ、飛び上がった事で本来着弾しても問題ない胴体部分ではなく、顔の部分が丁度ナルトの放つ術の前に来てしまう。
そして───
───螺旋丸!!
必殺の忍術が、デス13に炸裂した。
■
「テ、テメェ~~」
怒りを伴った声が、悪夢世界に木霊する。
デス13は、螺旋丸を受けてなお、スタンドを解除していなかった。
この島に来て初めて螺旋丸を撃った相手であるガムテと同じく。
直撃には至らなかったのだ。
デス13の回避行動は悪手ではあったが無駄ではなく。
螺旋丸の直撃を見事阻止していた。
だが、デス13にとってはそんな事嬉しくも何ともない。
顔に奔る痛みが、ナルトに対する憎悪を溢れさせる。
デス13は、螺旋丸を受けてなお、スタンドを解除していなかった。
この島に来て初めて螺旋丸を撃った相手であるガムテと同じく。
直撃には至らなかったのだ。
デス13の回避行動は悪手ではあったが無駄ではなく。
螺旋丸の直撃を見事阻止していた。
だが、デス13にとってはそんな事嬉しくも何ともない。
顔に奔る痛みが、ナルトに対する憎悪を溢れさせる。
「このデス13様の顔によくも傷をつけてくれたなァーッ!!このクソガキがァーッ!!
もう許さん!!おにぎり頭の代わりにするのは止めだ!!ここでぶっ殺してやるッ!!!」
もう許さん!!おにぎり頭の代わりにするのは止めだ!!ここでぶっ殺してやるッ!!!」
怒り狂うデス13。
その様は正に、何か思い通りならなかった事があり癇癪を起す子供そのものだった。
元々砂漠の真ん中で、同行者であるジョースター一行を皆殺しにしようとする彼では手傷を負わされて我慢できるはずも無かった。
もう油断はしない。怒りのままにワイヤーを空間に創り出して、ナルトを拘束する。
その様は正に、何か思い通りならなかった事があり癇癪を起す子供そのものだった。
元々砂漠の真ん中で、同行者であるジョースター一行を皆殺しにしようとする彼では手傷を負わされて我慢できるはずも無かった。
もう油断はしない。怒りのままにワイヤーを空間に創り出して、ナルトを拘束する。
「クッ!影分身──」
「無駄無駄無駄ァッ!!二度同じ手は食うかよォーッ!!」
印を結ぼうとするナルトの腕を絡み取り、印を組むのを封じる。
更にそこから額当てを再び蛇に替えて締め上げ、声すら上げる事も許さない。
激高する態度とは裏腹に、デス13の行動は冷静かつ的確だった。
空中に浮かび上がり、距離を取ってナルトの様子を観察する。
拘束の甲斐あってか、敵手はワイヤーにがんじがらめにされて、完全に行動不能になっている。
つまり、奴にここから逆転の策は存在しない。
だったら、後は好きに甚振れるというもの。
デス13は獰猛にほほ笑んだ。
更にそこから額当てを再び蛇に替えて締め上げ、声すら上げる事も許さない。
激高する態度とは裏腹に、デス13の行動は冷静かつ的確だった。
空中に浮かび上がり、距離を取ってナルトの様子を観察する。
拘束の甲斐あってか、敵手はワイヤーにがんじがらめにされて、完全に行動不能になっている。
つまり、奴にここから逆転の策は存在しない。
だったら、後は好きに甚振れるというもの。
デス13は獰猛にほほ笑んだ。
「クソッ!!これほどきやがれ、テメェーッ!!」
「誰がほどくかよクソカス野郎ッ!これから顔の礼をたっぷりしてやる…!
まずは四肢を切り落として膾にしてやるから覚悟しなァーッ!!」
まずは四肢を切り落として膾にしてやるから覚悟しなァーッ!!」
ぎゅう、と鎌を握り締める。
相手に致命的なダメージを与える時だけは、このデス13が直接切り刻んでやらなければならない。
さっき殺した女の子の様に、地獄を見せてやるッ!!
最早頭の中にあるのはそれだけで。デス13はナルト目掛けて急降下を行う。
相手に致命的なダメージを与える時だけは、このデス13が直接切り刻んでやらなければならない。
さっき殺した女の子の様に、地獄を見せてやるッ!!
最早頭の中にあるのはそれだけで。デス13はナルト目掛けて急降下を行う。
「勝ったッ!!NARUTO、完ッッ!!!」
高らかに勝鬨を上げて、鎌を振り下ろそうとした。
その瞬間の事だった。
その瞬間の事だった。
───オイ。
声が、響いたのは。
本能的に、デス13の動きが止まる。
否、動けなくなる。
動けば次の瞬間死ぬ、と。
身体が理解してしまったから。
本能的に、デス13の動きが止まる。
否、動けなくなる。
動けば次の瞬間死ぬ、と。
身体が理解してしまったから。
───そいつを殺されちゃ困るんだよ。ワシも消えてなくなるからな。
マニッシュ・ボーイのスタンド、デス13には明確な弱点が一つある。
条件さえ満たせば招かれざる客すら、悪夢世界に取り込んでしまうという点だ。
彼が正史において対峙した、花京院典明の法王の緑(ハイエロファント・グリーン)がそうだったように。
そして、うずまきナルトもまた、そうだった。
彼の精神を取り込んだことで、彼の中に封印されし者すら、デス13は取り込んでしまっていたのだ。
マニッシュ・ボーイ/デス13の不運は、ナルトを眠らせる事に成功しても。
ナルトの中に潜むもまた、眠ってはいなかったということだろう。
そして、その招かれざる客に本体に対するデス13の絶対性は存在しない。
取り込んでしまったことに気づいても、追い出したりすることはできない。故に、
条件さえ満たせば招かれざる客すら、悪夢世界に取り込んでしまうという点だ。
彼が正史において対峙した、花京院典明の法王の緑(ハイエロファント・グリーン)がそうだったように。
そして、うずまきナルトもまた、そうだった。
彼の精神を取り込んだことで、彼の中に封印されし者すら、デス13は取り込んでしまっていたのだ。
マニッシュ・ボーイ/デス13の不運は、ナルトを眠らせる事に成功しても。
ナルトの中に潜むもまた、眠ってはいなかったということだろう。
そして、その招かれざる客に本体に対するデス13の絶対性は存在しない。
取り込んでしまったことに気づいても、追い出したりすることはできない。故に、
───なァ、小僧ォ……!!!
デス13は、その怪物と対峙する羽目となる。
かつて、木ノ葉にて嵐のように荒れ狂い、四代目火影が命と引き換えに封印した怪物。
九尾の妖狐が、そこにいた。
かつて、木ノ葉にて嵐のように荒れ狂い、四代目火影が命と引き換えに封印した怪物。
九尾の妖狐が、そこにいた。
「なッ!何だこの化け物はァーッ!!!」
デス13は突如現れた怪物を前に、狼狽の声を上げ。
「九尾……」
ナルトもまた、初めて檻越しではないその威容に圧倒されて、呆然と声を漏らす。
「………」
マサオに至っては、一目見ただけで気絶してしまっていた。
悪夢の中であるのに。
そんな三者三葉の反応を見せる子供達を、九尾は冷徹な瞳で見つめて。
そして、それから笑った。
悪夢の中であるのに。
そんな三者三葉の反応を見せる子供達を、九尾は冷徹な瞳で見つめて。
そして、それから笑った。
───クク、ク。まぁ、いい。折角の降って湧いた自由だ。
───久方ぶりに血肉を引き裂く感触を味合わせてもらうとしよう。
───久方ぶりに血肉を引き裂く感触を味合わせてもらうとしよう。
言葉と共に、九尾はデス13を一瞥する。
それだけで、デス13の心は絶望に浸された。
殺される。死ぬ。どうあっても、この怪物には勝てない。
この俺が、デス13様が、よりによって悪夢世界で?
ありえない。そんな不条理はありえてはいけない。
この世界では俺こそが絶対者なんだ。そうでなくてはいけないんだ。
そうだ、こんな化け物───!!
それだけで、デス13の心は絶望に浸された。
殺される。死ぬ。どうあっても、この怪物には勝てない。
この俺が、デス13様が、よりによって悪夢世界で?
ありえない。そんな不条理はありえてはいけない。
この世界では俺こそが絶対者なんだ。そうでなくてはいけないんだ。
そうだ、こんな化け物───!!
「舐めるなッ!!!このドブ狐がァーッッ!!!」
悲鳴のような、罵倒の声を上げて。
デス13は九尾目掛けて突っ込む。
突っ込みながら、その手の鎌を肥大化させて。
九尾にも叩き切れるであろう巨大な刃を創り出す。
形だけならば自身を切り裂いても不思議ではない程の大きさの刃。
しかし、それを見る九尾の視線は実に醒めた物だった。
デス13は九尾目掛けて突っ込む。
突っ込みながら、その手の鎌を肥大化させて。
九尾にも叩き切れるであろう巨大な刃を創り出す。
形だけならば自身を切り裂いても不思議ではない程の大きさの刃。
しかし、それを見る九尾の視線は実に醒めた物だった。
──フン
ガキン!と音を立てて。
デス13が渾身の力で振るった大鎌は、九尾の尻尾に受け止められていた。
肉にも骨にも、届いていない。
ただの尻尾一本斬り伏せる事すら、デス13には敵わなかったのだ。
デス13が渾身の力で振るった大鎌は、九尾の尻尾に受け止められていた。
肉にも骨にも、届いていない。
ただの尻尾一本斬り伏せる事すら、デス13には敵わなかったのだ。
「ひっ!ひいいっダメだッ!スタンドパワーが違い過ぎるッ!!」
───当たり前だ。蟷螂の鎌程度でワシが死ぬと思ったか?
当然と言えば、当然の話であった。
ある一人の仙人により、國創りの神より別れ出でたとされ。
手中に収めれば一国を墜とすと謳われた魔獣である九尾を相手に。
暗殺が能の一介のスタンド使いが勝てるはずも無かった。
そのままデス13はもう一本の尻尾で軽く撫でられて。
それだけで、死神のボディは易々と地面へ失墜する。
戦意など、とうにどこかに消え失せていた。
ある一人の仙人により、國創りの神より別れ出でたとされ。
手中に収めれば一国を墜とすと謳われた魔獣である九尾を相手に。
暗殺が能の一介のスタンド使いが勝てるはずも無かった。
そのままデス13はもう一本の尻尾で軽く撫でられて。
それだけで、死神のボディは易々と地面へ失墜する。
戦意など、とうにどこかに消え失せていた。
「たっ……たちゅけて……ッ!!」
──お前は命乞いをしてきた相手の言う事を、一度でも聞いた事があるのか?
九尾の態度は、凍り付くほど冷淡で。
目の前の人間の愚かさに辟易している様でもあった。
ナルトは未だ縛られたまま動けない。
敵を殺そうとする九尾を制止する事すらできない。
故に、デス13/マニッシュ・ボーイが助かる術は存在しない。
目の前の人間の愚かさに辟易している様でもあった。
ナルトは未だ縛られたまま動けない。
敵を殺そうとする九尾を制止する事すらできない。
故に、デス13/マニッシュ・ボーイが助かる術は存在しない。
「おっ、俺は赤ちゃんなんだぞォッ!!赤ん坊を殺すの──」
───関係ないわ!!赤子の齢で地獄に行け!!
それが最後だった。
デス13のスタンドビジョンが、九尾の尻尾によって叩き潰され。
マニッシュ・ボーイの断末魔が、高らかに響き渡る。
…封印されていた九尾を招いたのは、マニッシュ・ボーイのスタンド、デス13だ。
故にこの事態は、彼自身が引き起こした帰結。
彼のスタンドが最後に手にかけたのは、彼自身だった。
彼自身が導いた、必然の末路。
デス13のスタンドビジョンが、九尾の尻尾によって叩き潰され。
マニッシュ・ボーイの断末魔が、高らかに響き渡る。
…封印されていた九尾を招いたのは、マニッシュ・ボーイのスタンド、デス13だ。
故にこの事態は、彼自身が引き起こした帰結。
彼のスタンドが最後に手にかけたのは、彼自身だった。
彼自身が導いた、必然の末路。
───フン、感謝するんだな小僧ォ……
悪夢の世界が、崩壊する。
全てが闇に塗りつぶされていく。
その中で、九尾はナルトをただ一瞥して。
全てが闇に塗りつぶされていく。
その中で、九尾はナルトをただ一瞥して。
───貴様程度にこのワシを封印した四代目に……
「まっ、待ちやがれ!九尾!!」
───この空間ですら、貴様を害そうとするワシを抑え込む四代目の封印に……
それが、全てが闇に包まれる前に。
二人がこの空間で交わした最後の言葉。
だが、交わす言葉に親愛の情はなかった。
何故なら、この時の彼らは。
まだ九尾にとってナルトは“ナルト”ではなく“封印の小僧”であり。
ナルトにとっても九尾は“九喇嘛”ではなく“九尾の妖狐”だったのだから。
二人がこの空間で交わした最後の言葉。
だが、交わす言葉に親愛の情はなかった。
何故なら、この時の彼らは。
まだ九尾にとってナルトは“ナルト”ではなく“封印の小僧”であり。
ナルトにとっても九尾は“九喇嘛”ではなく“九尾の妖狐”だったのだから。
───いつか、お前の中の憎しみも何とかしてやりてーと思ってる
彼等が“ナルトと九喇嘛”になるのは、まだずっと未来の話なのだから。
■
「…さん」
「……トさん」
「ナルトさん!!」
大声で呼びかける声に、ナルトは意識を覚醒させる。
起き上がってみると、セリムは困惑した表情で傍らから覗き込んでいた。
起き上がってみると、セリムは困惑した表情で傍らから覗き込んでいた。
「お…おぉ、セリム、どうした?」
「どうしたじゃないですよ…全然帰ってこないし、影分身も消えてしまうしで…
心配になって、見に来たんです……何か、あったんですか?」
心配になって、見に来たんです……何か、あったんですか?」
「あぁ、いや、悪い。起こしに来てくれて、サンキューな」
未だ寝起きの様な態度を見せるナルトにセリムは怪訝な表情で何があったのか尋ねる物の。
ナルトの返答は実に要領の得ない曖昧なものであった。
何があったのかすら、はっきりしない。
とは言え、ナルトの身体に何か異変が起きている様子も無い。
であれば、これ以上の追及は意味が無いだろう。
そう判断したセリムは、新たに切り出すべきことを切り出す。
ナルトの返答は実に要領の得ない曖昧なものであった。
何があったのかすら、はっきりしない。
とは言え、ナルトの身体に何か異変が起きている様子も無い。
であれば、これ以上の追及は意味が無いだろう。
そう判断したセリムは、新たに切り出すべきことを切り出す。
「そうだ、ナルトさんのすぐ近くに、おにぎり頭の男の子が倒れてたんですけど──」
そこまで切り出して、セリムの言葉が止まる。
その視線は、屋上と下の階層を繋げる非常口に向けられていた。
その非常口に、夢の世界で出会った、おにぎり頭の子供が怯えた表情で立っている。
その視線は、屋上と下の階層を繋げる非常口に向けられていた。
その非常口に、夢の世界で出会った、おにぎり頭の子供が怯えた表情で立っている。
「あ…お前もちゃんと助かってたのか。よか──」
「ち…近づかないで!この化け物!!」
ナルトの言葉は最後まで紡がれなかった。
化け物。そう呼ばれて足が止まってしまう。
そう、佐藤マサオにとって、デス13は己の命を脅かす怪人だったけれど。
それを容赦なく殺した妖狐を飼っているナルトもまた、化け物でしかなかったのだ。
たたたた、とマサオが下の階へ向けて駆け降りていく。
所詮五歳の足だ。追いつこうと思えば、追いつけただろう。
だけど。
化け物。そう呼ばれて足が止まってしまう。
そう、佐藤マサオにとって、デス13は己の命を脅かす怪人だったけれど。
それを容赦なく殺した妖狐を飼っているナルトもまた、化け物でしかなかったのだ。
たたたた、とマサオが下の階へ向けて駆け降りていく。
所詮五歳の足だ。追いつこうと思えば、追いつけただろう。
だけど。
「……久しぶりだな」
久々に面と向かって言われたことだったから。
ナルトも暫くの間、立ち止まってしまった。
そんなナルトを見て、セリムが心配そうに隣で見上げてくる。
ナルトも暫くの間、立ち止まってしまった。
そんなナルトを見て、セリムが心配そうに隣で見上げてくる。
「ナルトさん、大丈夫ですか?」
「……あぁ、大丈夫だ。さ、さっきのおにぎり頭を追うってばよ!」
ニっと、溌溂に笑って。
ナルトはそれでも、自分を化け物と呼んだ子供を見捨てようとはしなかった。
もうおにぎりが階下へ駆け出して行ってから五分以上経つから、追いつけるかは分からないけれど。
それでも子供を見捨てる様な男が火影になれる筈も無いのだ。
だから、ナルトはおにぎり頭を追う事を決めた。
ナルトはそれでも、自分を化け物と呼んだ子供を見捨てようとはしなかった。
もうおにぎりが階下へ駆け出して行ってから五分以上経つから、追いつけるかは分からないけれど。
それでも子供を見捨てる様な男が火影になれる筈も無いのだ。
だから、ナルトはおにぎり頭を追う事を決めた。
(うずまきナルト……)
そんな彼を、セリムはバレない様に、ホムンクルスの顔で観察しつつ後をついていく。
この屋上に上がってきたとき、セリムの目に入ったのは異様な光景だった。
紅い錬金術の錬成エネルギーの様な物を身に纏い(話に聞くチャクラだろうか)つつ、意識のないナルトと。
その傍らでうなされるおにぎり頭の子供。そして……
恐怖を顔面に張り付けて、体中から血を噴き出して死んでいる、黒人の赤ん坊。
首輪を嵌めてランドセルを背負っている事から、参加者である事は直ぐに分かった。
取り合えずランドセルを回収し、遺体をデバイスに付属していたライトの光源で照らし、自身の影で首輪を除いて捕食してみた。
すると、二つほど興味を惹かれる事を知ることができた。
一つはスタンドという、プライドにとって錬金術とも違う未知の異能を。
もう一つは、ナルトの中に潜む怪物の存在を。
あれは正しく怪物であった。プライドをして昼間でも勝てるか分からぬという領域の。
この屋上に上がってきたとき、セリムの目に入ったのは異様な光景だった。
紅い錬金術の錬成エネルギーの様な物を身に纏い(話に聞くチャクラだろうか)つつ、意識のないナルトと。
その傍らでうなされるおにぎり頭の子供。そして……
恐怖を顔面に張り付けて、体中から血を噴き出して死んでいる、黒人の赤ん坊。
首輪を嵌めてランドセルを背負っている事から、参加者である事は直ぐに分かった。
取り合えずランドセルを回収し、遺体をデバイスに付属していたライトの光源で照らし、自身の影で首輪を除いて捕食してみた。
すると、二つほど興味を惹かれる事を知ることができた。
一つはスタンドという、プライドにとって錬金術とも違う未知の異能を。
もう一つは、ナルトの中に潜む怪物の存在を。
あれは正しく怪物であった。プライドをして昼間でも勝てるか分からぬという領域の。
(あれが本当に潜んでいるなら、安易に殺そうとしてあれが出てくれば、
返り討ちにされる恐れがある……何より、あの巨大なエネルギーを手にできれば……)
返り討ちにされる恐れがある……何より、あの巨大なエネルギーを手にできれば……)
父上の計画も、更なる完成を見るかもしれません。
エドワード・エルリックが此処にいるか分からぬ現状、殺し合いに対してどういうスタンスを取るかは未だ決まっていないが。
それでもナルトに見えない様にプライドが浮かべる表情は、“傲慢”そのものだった。
エドワード・エルリックが此処にいるか分からぬ現状、殺し合いに対してどういうスタンスを取るかは未だ決まっていないが。
それでもナルトに見えない様にプライドが浮かべる表情は、“傲慢”そのものだった。
【マニッシュ・ボーイ@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】
【D- 4 I・R・T屋上/1日目/黎明】
【うずまきナルト@NARUTO-少年編-】
[状態]:右足に刺し傷痕、チャクラ消費(小)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、煙玉×4@NARUTO、ファウードの回復液@金色のガッシュ!!、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針:乃亜の言う事には従わない。
0:さっき逃げて行ったおにぎり頭を探す。
1:殺し合いを止める方法を探す。
2:一先ずは、『火影岩』を目指して行動する。
3:ガムテの奴は次あったらボコボコにしてやるってばよ
[備考]
※螺旋丸習得後、サスケ奪還編直前より参戦です。
※セリム・エリスと情報交換しました。それぞれの世界の情報を得ました。
[状態]:右足に刺し傷痕、チャクラ消費(小)
[装備]:無し
[道具]:基本支給品、煙玉×4@NARUTO、ファウードの回復液@金色のガッシュ!!、ランダム支給品0~1
[思考・状況]
基本方針:乃亜の言う事には従わない。
0:さっき逃げて行ったおにぎり頭を探す。
1:殺し合いを止める方法を探す。
2:一先ずは、『火影岩』を目指して行動する。
3:ガムテの奴は次あったらボコボコにしてやるってばよ
[備考]
※螺旋丸習得後、サスケ奪還編直前より参戦です。
※セリム・エリスと情報交換しました。それぞれの世界の情報を得ました。
【セリム・ブラッドレイ(プライド)@鋼の錬金術師】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品2~4、エニグマの紙×3@ジョジョの奇妙な冒険、
ねむりだま×1@スーパーマリオRPG、マニッシュ・ボーイの首輪
[思考・状況]
基本方針:もし居れば、鋼の錬金術師の生存を優先する。居なければ……。
1:6時の放送まで、ナルトを盾に無力を装い情報を集める。
2:具体的な方針は放送まで保留する。
3:うずまきナルトの中に潜むものに興味。
4:余裕があれば海馬コーポレーションに寄りたい。
5:海馬乃亜は何を企んでいる……?
[備考]
※ヨキに轢き逃げされて以降からの参戦です。
※ナルト・エリスと情報交換しました。それぞれの世界の情報を得ました。
※参加者がそれぞれ違う世界から来ていると考えています。
※マニッシュ・ボーイの遺体を捕食した事によりスタンドの知識とナルトの中の九尾に対する情報を得ました。
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2、ランダム支給品2~4、エニグマの紙×3@ジョジョの奇妙な冒険、
ねむりだま×1@スーパーマリオRPG、マニッシュ・ボーイの首輪
[思考・状況]
基本方針:もし居れば、鋼の錬金術師の生存を優先する。居なければ……。
1:6時の放送まで、ナルトを盾に無力を装い情報を集める。
2:具体的な方針は放送まで保留する。
3:うずまきナルトの中に潜むものに興味。
4:余裕があれば海馬コーポレーションに寄りたい。
5:海馬乃亜は何を企んでいる……?
[備考]
※ヨキに轢き逃げされて以降からの参戦です。
※ナルト・エリスと情報交換しました。それぞれの世界の情報を得ました。
※参加者がそれぞれ違う世界から来ていると考えています。
※マニッシュ・ボーイの遺体を捕食した事によりスタンドの知識とナルトの中の九尾に対する情報を得ました。
助けて…助けてパパ、ママ…しんちゃん、風間くん、ネネちゃん……
助けてくれるなら、誰でも良かった。
ただ思いつく限りの人間の名前呼びながら、マンションを駆け下りたマサオは夜の街を逃げ惑う。
赤ん坊を守るつもりなんて、もうとっくに頭の中から吹き飛んでいた。
今はただ死にたくないという気持ちだけが、彼の頭の中にあった。
でも、そんな臆病風に吹き飛ばされている彼にも一つだけ揺るがぬ意思があった。
ただ思いつく限りの人間の名前呼びながら、マンションを駆け下りたマサオは夜の街を逃げ惑う。
赤ん坊を守るつもりなんて、もうとっくに頭の中から吹き飛んでいた。
今はただ死にたくないという気持ちだけが、彼の頭の中にあった。
でも、そんな臆病風に吹き飛ばされている彼にも一つだけ揺るがぬ意思があった。
(でも……あのバケモノの事だけは……!みんなに知らせないと……!!)
夢の世界で出会った、馬鹿でかい狐の怪物を従えた少年。
無惨に赤ん坊を殺した少年。
許せなかった。
無惨に赤ん坊を殺した少年。
許せなかった。
(マ…マサオ…皆に…伝えてくれ…最後に……俺を殺したガキの事を……!)
そう。
マニッシュ・ボーイはただでは死ななかった。
死の間際、最後の力を振り絞ってマサオの二人に暗示をかけたのだ。
赤ん坊である自分を殺したのはナルトであり、ナルトを追い詰めるように動け、と。
それが実を結ぶかは分からない。
マサオは何処まで行っても泣き虫おにぎりでしかないのだから。
けれど。
マニッシュ・ボーイはただでは死ななかった。
死の間際、最後の力を振り絞ってマサオの二人に暗示をかけたのだ。
赤ん坊である自分を殺したのはナルトであり、ナルトを追い詰めるように動け、と。
それが実を結ぶかは分からない。
マサオは何処まで行っても泣き虫おにぎりでしかないのだから。
けれど。
「そうだ…!僕だってかすかべ防衛隊の一人なんだ……!
あの赤ちゃんを殺したあのバケモノの男の子を何が何でも追い詰めてやる…!
裏切りおにぎりなんて、誰にも言わせないぞ……!!」
あの赤ちゃんを殺したあのバケモノの男の子を何が何でも追い詰めてやる…!
裏切りおにぎりなんて、誰にも言わせないぞ……!!」
歪んだ正義感を胸に、マサオは必死に地を駆ける。
曲がりなりにも助けてもらった少年の恩など爪の先にも感じずに。
むしろ自分を殺そうとしていた殺人者の手助けをするべく。
曲がりなりにも助けてもらった少年の恩など爪の先にも感じずに。
むしろ自分を殺そうとしていた殺人者の手助けをするべく。
「佐藤マサオ!ファイヤー!!」
言葉の通り。
臆病風に吹かれながら、それでも消える事のない火の意志が、彼の胸に宿っていた。
臆病風に吹かれながら、それでも消える事のない火の意志が、彼の胸に宿っていた。
【D- 4 /1日目/黎明】
【佐藤マサオ@クレヨンしんちゃん】
[状態]:精神疲労(大)、失意の庭の影響?、ナルトを追い詰めるという確固たる意志。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:生きて帰りたい。
1:赤ちゃんを殺したあの怪物は許さない、絶対に追い詰める。
2:何だよ皆おにぎりおにぎりって…!
3:桃華さん……せ、聖母だ……!出来たら結婚し(ry
4:写影さんや桃華さんと一緒に行動する。
[備考]
※デス13の暗示によってマニッシュ・ボーイの下手人であるナルトを追い詰めるという意志が発生しています。
※自分を襲った赤ん坊に与する矛盾には暗示によって気づかない様になっています。
[状態]:精神疲労(大)、失意の庭の影響?、ナルトを追い詰めるという確固たる意志。
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:生きて帰りたい。
1:赤ちゃんを殺したあの怪物は許さない、絶対に追い詰める。
2:何だよ皆おにぎりおにぎりって…!
3:桃華さん……せ、聖母だ……!出来たら結婚し(ry
4:写影さんや桃華さんと一緒に行動する。
[備考]
※デス13の暗示によってマニッシュ・ボーイの下手人であるナルトを追い詰めるという意志が発生しています。
※自分を襲った赤ん坊に与する矛盾には暗示によって気づかない様になっています。
029:たった1つの石ころで人生は大きく変わる | 投下順に読む | 031:夜の館で |
030:世界と世界のゲーム | 時系列順に読む | |
011:心の刃 | うずまきナルト | 072:死ヲ運ブ白キ風 |
セリム・ブラッドレイ | ||
020:燃えよ失意の夢 | 佐藤マサオ | 034:救いの…… |
マニッシュ・ボーイ | GAME OVER |