バトルロワイアルの会場に配置された街では、不思議なことに雨が降りしきっていた。そんな街の中を、殺し合いの参加者として選ばれた少年が走っていた。
黄色いレインコートを羽織った少年はどこか焦りを浮かべながら、側溝を流れる雨水に浮かぶ"それ"を追いかけていた。
黄色いレインコートを羽織った少年はどこか焦りを浮かべながら、側溝を流れる雨水に浮かぶ"それ"を追いかけていた。
「ぼくのデイパックが!」
しかし、少年の努力もむなしく少年のデイパックは排水溝の中へと流されてしまった。
名残惜しそうに少年は排水溝の中を覗き見るが、取り出すことは難しそうだった。
これで少年は丸腰で殺し合いを生きることになってしまった。
少年は途方に暮れ、肩を落としながらその場を離れようとした。
名残惜しそうに少年は排水溝の中を覗き見るが、取り出すことは難しそうだった。
これで少年は丸腰で殺し合いを生きることになってしまった。
少年は途方に暮れ、肩を落としながらその場を離れようとした。
「よぉ、ジョージィ!」
その時、排水溝の中から少年ジョージを呼ぶ声がした。
ジョージは怪訝になりながら排水溝の中を覗く。
そこにはなんと、殺し合いの場に似合わぬピエロがジョージを見上げていた。
ジョージは怪訝になりながら排水溝の中を覗く。
そこにはなんと、殺し合いの場に似合わぬピエロがジョージを見上げていた。
「お前も来てたのか、一緒に行く?」
気さくな様子でピエロはジョージを誘う。
ピエロとジョージは互いに知り合っているようで、殺し合いの序盤でジョージに出会えたことに嬉しささえ感じているようだった。
しかし、ジョージは首を横に振ってその誘いを拒絶する。
ピエロとジョージは互いに知り合っているようで、殺し合いの序盤でジョージに出会えたことに嬉しささえ感じているようだった。
しかし、ジョージは首を横に振ってその誘いを拒絶する。
「おいおい、つれないこと言うなよ。お前だって死にたくないだろ?」
「そんなこと言って殺し合いに乗ってるんだろ?騙されんぞ」
「確かに俺はペニーワイズだが殺し合いに乗ってはいない。ジョージ、俺たちはもう長い付き合いなんだ。こんな時くらい仲良くしようぜ?な?」
「うん、そうだね!もっとマシな奴と組むわ」
「待てや!」
「そんなこと言って殺し合いに乗ってるんだろ?騙されんぞ」
「確かに俺はペニーワイズだが殺し合いに乗ってはいない。ジョージ、俺たちはもう長い付き合いなんだ。こんな時くらい仲良くしようぜ?な?」
「うん、そうだね!もっとマシな奴と組むわ」
「待てや!」
排水溝から離れようとしたジョージを、ペニーワイズと名乗るピエロは必死に引き留める。
「これ……落としたんだろう?」
「僕のデイパック!」
「Exactly(その通りでございます)!身を隠す場所も必要だろ。こっち来い」
「僕のデイパック!」
「Exactly(その通りでございます)!身を隠す場所も必要だろ。こっち来い」
ペニーワイズはジョージを排水溝の中へ入るよう促すが、ジョージはいまいち気が進まないようだ。
「オーウ……まだ俺が信じられんか。おほっ、そんな顔せんでも。そりゃあ確かに色んな物をお前にオススメして沼に引きずり込んできたし時にはケンカをしたことだってあった。でも今は互いに殺し合いに巻き込まれた身だ。助け合って生き残ろうぜ」
「なんか焦ってない?」
「えっ、うん……それはそうと早く来い、ジョージ……。排水溝に入れ……。この奥に地図に載ってない地下道だって見つけたんだ……俺とお前ならうまくいく!!!」
「なんか焦ってない?」
「えっ、うん……それはそうと早く来い、ジョージ……。排水溝に入れ……。この奥に地図に載ってない地下道だって見つけたんだ……俺とお前ならうまくいく!!!」
そして、ペニーワイズはジョージを中へと引きずり込んだ。
◆
ジョージとペニーワイズは死んだ。実はジョージが通りかかる前、ペニーワイズはジョージと間違えて強マーダーに生き残る方法をオススメしようとしてそれが癇に障ったのだ。地下道を見つけたのはいいのだが、あっという間に強マーダーに追いつかれ、二人仲良く殺されてしまった。要するにズガン枠である。
【ジョージ・デンブロウ@ペニーワイズがオススメするシリーズ】 死亡
【ペニーワイズ@ペニーワイズがオススメするシリーズ】 死亡
【ペニーワイズ@ペニーワイズがオススメするシリーズ】 死亡
◆
「――なんてこともあったから、慎重に行かないとな」
ふと、そんな過去を振り返りながら、少年ジョージは呟いた。
少年ジョージは今、海馬乃亜によって幼子だけで行われる殺し合いに再び巻き込まれている。この殺し合いの会場に雨は降っていないが、未だにジョージは黄色いレインコートを羽織っていた。
それは、彼が本来の世界線のジョージではなく、とあるネットミームによるイメージが形を成した存在であることの証左であるのかもしれない。
少年ジョージは今、海馬乃亜によって幼子だけで行われる殺し合いに再び巻き込まれている。この殺し合いの会場に雨は降っていないが、未だにジョージは黄色いレインコートを羽織っていた。
それは、彼が本来の世界線のジョージではなく、とあるネットミームによるイメージが形を成した存在であることの証左であるのかもしれない。
「でも、ペニーワイズがいないや。あいつはこの殺し合いに来てないのか?」
周囲を見回してみるが、ここにはペニーワイズがいるであろう排水溝は見当たらない。
ペニーワイズ。幼い子供を狙って襲う恐怖のピエロ――ではなく、排水溝に居ついて隙あらばジョージに何らかのものをオススメしてくる変なピエロだ。本来の世界線ではペニーワイズに真っ先に殺されるジョージではあるが、先ほどの回想でも分かるように、”この”ジョージとペニーワイズの関係はもはや腐れ縁と化していた。
ちなみに、ジョージは少なくとも回想で死んでいるというのに何故今生きているかは気にしてはいけない。ジョージはペニーワイズにオススメされた結果、死ぬ。それを何度も繰り返してきた(たまにペニーワイズも死んだりするが)。ジョージはそういう存在なのだ。
ペニーワイズ。幼い子供を狙って襲う恐怖のピエロ――ではなく、排水溝に居ついて隙あらばジョージに何らかのものをオススメしてくる変なピエロだ。本来の世界線ではペニーワイズに真っ先に殺されるジョージではあるが、先ほどの回想でも分かるように、”この”ジョージとペニーワイズの関係はもはや腐れ縁と化していた。
ちなみに、ジョージは少なくとも回想で死んでいるというのに何故今生きているかは気にしてはいけない。ジョージはペニーワイズにオススメされた結果、死ぬ。それを何度も繰り返してきた(たまにペニーワイズも死んだりするが)。ジョージはそういう存在なのだ。
「まあいいや。あの時死んじゃったのはあいつのせいだったし」
ペニーワイズがいないことに一抹の寂しさを滲ませながらも、ジョージは思考を切り替える。
このバトルロワイアルの主催者が言うには、最後に残った一人には願いを叶える権利が与えられるという。参加者の中には、それに釣られるか、あるいは別の思惑があって殺し合いに乗ってしまう者も出てくるだろう。しかし、ジョージはそれに乗る気にはなれなかった。
このバトルロワイアルの主催者が言うには、最後に残った一人には願いを叶える権利が与えられるという。参加者の中には、それに釣られるか、あるいは別の思惑があって殺し合いに乗ってしまう者も出てくるだろう。しかし、ジョージはそれに乗る気にはなれなかった。
「どうせ最後の一人になっても碌なことにならないでしょ?騙されんぞ」
ジョージはいつもペニーワイズに吐いていた台詞を呟く。
そういった願いを餌にした誘惑は、結局は願いが叶えられることなく最後まで主催者に利用されることになったり、あるいは願いが叶っても当人が望む結末にならなかったりと、最後に待っているのは破滅だ。ペニーワイズにオススメされてそれに応じた結果幾度も死んで来たジョージにはよくわかる。
そういった願いを餌にした誘惑は、結局は願いが叶えられることなく最後まで主催者に利用されることになったり、あるいは願いが叶っても当人が望む結末にならなかったりと、最後に待っているのは破滅だ。ペニーワイズにオススメされてそれに応じた結果幾度も死んで来たジョージにはよくわかる。
「それにしても海馬乃亜って、『あの』海馬乃亜だよな。確か遊戯王のアニメに出てた……」
そして、この殺し合いの主催者である、海馬乃亜。彼がどんな人物かを、ジョージは知っていた。何故ならば、過去にペニーワイズに遊戯王のアニメをオススメされ、沼に嵌まっていたからである。
ここで、ジョージはふと気づく。過去にペニーワイズにオススメされたことで得た知識が、生かされていることに。
ここで、ジョージはふと気づく。過去にペニーワイズにオススメされたことで得た知識が、生かされていることに。
「ペニーワイズのやつ……」
思えば、これまで本当に様々なものをオススメされてきた。アンダーナイトインヴァースでバティスタを使おうとしていたらミカをオススメしてきたり、B級のサメ映画をこれでもかとオススメしてきたり。時には自炊などの現実の生活に根ざしたことをオススメしたこともあれば、台風の時に外出しないようオススメしてきたこともあった。
ジョージもただオススメされて沼に嵌まるだけでは済まず、ペニーワイズの住む排水溝に物騒なものを流し込んだり、本来の世界線では有り得ないことだがペニーワイズを返り討ちにしたりと、優位に立つこともしばしばあった。何度も喧嘩してきたが、そういった過去があるゆえの腐れ縁なのだろう。
ジョージもただオススメされて沼に嵌まるだけでは済まず、ペニーワイズの住む排水溝に物騒なものを流し込んだり、本来の世界線では有り得ないことだがペニーワイズを返り討ちにしたりと、優位に立つこともしばしばあった。何度も喧嘩してきたが、そういった過去があるゆえの腐れ縁なのだろう。
「――見てろよペニーワイズ。今度の殺し合いは絶対に生き残ってやるからな!」
ジョージはここにはいない相手に対して高らかに宣言する。
ペニーワイズに散々オススメされて積み重なった知識は、ジョージの持つ大きな武器の一つとなっていた。
ペニーワイズに散々オススメされて積み重なった知識は、ジョージの持つ大きな武器の一つとなっていた。
【ジョージ・デンブロウ@ペニーワイズがオススメするシリーズ】
[状態]:健康
[装備]:黄色いレインコート
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。騙されんぞ、海馬乃亜
1:ペニーワイズにオススメされた知識を駆使して、殺し合いを生き残る。
[備考]
[状態]:健康
[装備]:黄色いレインコート
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いには乗らない。騙されんぞ、海馬乃亜
1:ペニーワイズにオススメされた知識を駆使して、殺し合いを生き残る。
[備考]
- 少なくとも、UNDER NIGHT IN-BIRTH、サメ映画多数、遊戯王デュエルモンスターズについての作品知識を有しています。ペニーワイズに過去にオススメされた物によっては、他の参戦作品の知識も有しているかもしれません。