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『夢』

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ここは殺し合いの会場の中、鬱蒼と茂る森の中心にある窪地……

そこでは白色のスクール水着を着用し、はちきれんばかりの胸をしたピンク髪の少女が片手に薙刀を持った状態で、全身が血まみれかつ凄まじく濃ゆい顔をした男を見下ろしている姿があった。

男を見下ろしている少女の名はスイムスイム、『どんなものにも水みたいに潜れるよ』という、自分の体を物質透過出来るようにする能力を持つ魔法少女である。
そして彼女に見下ろされている男の名はたけし、『リーダー的存在』になることを志しており、人間の心を救うことを重んじて日々生きている小学1年生である。

「はぁ……はぁ……」

息も絶え絶えな状態になっているたけしだが、彼は今まさに死の淵に立たされていた。
この場に飛ばされて間もなく彼女の奇襲を受け、幾度となく拳を交えたが彼女の能力によっていくつかがすり抜けてしまい、ジリ貧になってしまっているからだ。

「これで終わり……」
スイムスイムは無表情のままそう言い、薙刀を両手で持ち直すとそのまま上段の構えを取った。

「なあ…『ルーラ』って、どんな人だったんだ?」

だがそんな絶体絶命の中、たけしは彼女にそう聞いてきた。

「『ルーラ』は私のお姫様…可愛くて賢くてカッコよくて、私のあこがれ……」

彼のその言葉を受けて少女は自らのあこがれを象徴するかのように目を輝かせ、ほほえましい笑みを浮かべながら『自分にとってのルーラ』がどんなものなのかを語り始めていった。

「でも『ルーラ』がいたら私は『ルーラ』になれない……だから私が理想の『ルーラ』になる、私が……!!」
「ルーラのために…!!ルーラのため…!!ルーラ……!!!」

しかし話が進むにつれてその内容は妄執を孕んだものになっていき、それに伴ってその表情は次第に歪んで狂気を孕んだものへと変貌していったのだ。

「なるほど……お前が『ルーラ』に固執する理由はよく分かった。8L(リットル)くらい、よく分かった」

スイムスイムの話を聞いてたけしは納得顔になりながらも苦笑いを浮かべた。
なぜなら彼女はあまりにも純粋すぎるから……。

「……じゃあお前は、何のために『ルーラ』になりたいんだ?」
「お前は……『ルーラ』になって、なにをしたいんだ…?」

しかしその苦笑いから一転し、彼は真剣なまなざしを向けるとどこまでも純粋な彼女に対し再度質問を投げかけた。
『自らが憧れている存在になったとして、それから何をするのか』……たけしは彼女にそう問いかけたのだ。

するとスイムスイムはその問いかけに対して一度動きを止めると、少しの間考え込み始めてしまった。

(なんだろう……?私の目的は……)

それは彼女がこれまでの中で一度も考えていないことで、ルーラから教えられたこともないことだった。
今までただ漠然とルーラのような存在になりたい、ルーラに教えられたことに従って生きていくと考えていた彼女だったが、改めて問われたことでその答えがわからなくなってしまったのだ。

(……でも、分かっていることがある)

しかしそれでも分かっていることが一つだけあった。それは……。

「ルーラは、こんな事では悩まない…!だってルーラは賢いから……!!」

自分が憧れる存在はそんなことでは悩まないということだった。
事実がどうであっても、それが彼女の信じる『ルーラ』なのだから。だから彼女はどこまでもその理想を追い続けるのだ。

「そうか……ならもう、俺から言うことは何もない……決着を付けよう」
「受け止めてやる!!お前のあこがれを…お前の中にある『ルーラ』の姿を…想いの全てを!!!」

そんな、彼女のその言葉を聞いたたけしはそう言って真剣な表情を崩すことも、全身から血を噴き出しながらもその痛みに悶えることなく両脚で立ち上がり、彼女に対しどこまでも闘おうという姿勢を見せてきた。

「…………」

それに対してスイムスイムは薙刀を構えなおすと無言のまま、彼に止めを刺すために自らの能力を使って地面に潜っていくことで応えた。

「オラああぁぁぁぁぁぁ!!!」

そして彼女のその行為に対したけしは雄たけびを上げると、彼女の潜っていった地面に向かって拳を振り上げ、全力で殴りつけた。

「!?」

その瞬間、スイムスイムは自身の体に何かしらの衝撃を受けたような感覚を覚えた。

「そこくぁぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」

たけしはそう叫ぶと続けてさらに拳を振るっていき、自身の周囲に次々と拳を打ち付けていった。

「ッ……!?」

それによって地中に潜っていたスイムスイムは全身に凄まじい振動を受けると共に周囲の地盤が砕け、彼女の体がどんどん地上へと引っ張り出されていった。

「うおおぉおぉっ!!」

だがそれでも彼は攻撃の手を緩めることなく、そのまま勢いよく拳を振り上げて彼女の胴体、無防備な背中へと強靭なこぶしを振り下ろした。

「……何度やっても、無駄なこと……っ!?」

だがその拳をスイムスイムは一切かわそうともせず、彼のほうに向きなおると共にすぐに薙刀を構えた。何故なら彼女は自分の魔法によってそれをすり抜けられると信じていたからだ。
そしてそれをすり抜けた後、自らの持つ武器で彼の心臓を刺し貫こうとしていたのだ。

「がふぅっ……!!」

しかし現実は違った。何故かこの時だけすり抜けることができずにその拳が腹部に突き刺さり、口から大量の鮮血が吐き出され視界が朦朧とし始めていった。
だがそれでも彼女は彼を殺すために、その左胸めがけて薙刀の先端を突き刺そうとしてきた。

「!!?」

だがその切っ先は彼の左胸についたバッジによって金属が激しくぶつかり合う音と共に受け止められてしまったのだ。

「オラあぁあぁああっ!!!!」

そして、それに彼女が少なからず動揺している間にたけしは絶叫を上げながら自らの左手でその刃を掴み、残った右手で再び彼女の身体に拳を突き立てた。

「……が、がは……っ!」

それによりスイムスイムは息が出来なくなり、その場に膝をついてしまうと同時に体中から力が抜けていき、持っていた薙刀を手放してしまった。

「……もう、いいだろ?勝負はついたはずだ…」

たけしはそんな彼女を前にして悲しげな表情を浮かべると、薙刀を手放して静かに語りかけてきた。
しかしスイムスイムはそれに応えることはなく、代わりに彼の眼前に何かを放ってきた。

「ッ!?」

それは爆発音とともに予想外の強烈な光を放ち、たけしの目と耳をつぶしてしまった。

「な、なんだ……!?」

突然のことに困惑しながらもたけしはすぐさま目を覆いながらその場から飛び退いて距離を取り、目を細めて状況を確認しようとした。
するとその朧げな視界には既にスイムスイムの姿はなく、あるのは空高く舞い上がっていく砂ぼこりと、遠くに見える薙刀を持った黒い影だけだった。

「…逃げたのか……」

たけしはその光景を前に呆然と立ち尽くしながら、ポツリと呟いた。
確かにお互いこの傷ではまともに戦うことなどできないだろう。それどころか腹部を全力で殴られ、吐血した彼女の場合は意識を保つことさえやっとのはず。
だから彼はスイムスイムの判断は正しいものだと理解した。

「……お前は一体何のために、『ルーラ』になろうとしているんだ……?お前の言う『ルーラ』は……お前が憧れている『ルーラ』は……本当にそんなことを望んでいたのか……!?」

しかしそれでも彼は彼女を止めることが出来なかったことを悔やみつつ、小さくなっていくその背に向かってそんな疑問を叫んだ。

「俺は……『ルーラ』がどんな奴なのかは知らない……けど、お前が『ルーラ』を真似する理由だけは知っておきたかった……!!」

それは彼がただ純粋に知りたいと思ったことで、スイムスイムに対しての純粋な想いだった。
だがその想いも届かず、既に彼女の姿は完全に見えなくなり、静寂が訪れるばかりだった。

「…いつかまた、会えるよな……?その時は、今度こそ決着をつけよう…スイムスイム……!」

そう言って彼は決意を新たにすると、血を流しながらも歩き出した。

「そしたらスイムスイム……今度はもっとちゃんと話そう……!」

彼女がなぜこのような行為に及ぶのか、そしてそれを止めるために、必死に歩き出していくのだった……。

【たけし@世紀末リーダー伝たけし!】
[状態]:全身に切り傷かつ出血、スタングレネードによる一時的な失明と難聴
[装備]:リーダーバッジ@世紀末リーダー伝たけし!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いを止める。
1:殺し合いに乗ってない人を探し、共に乃亜を止める。
2:先ほどのレオタード少女(スイムスイム)を止める。
3:だがまずは戦えない人たちを探したい。
[備考]
参戦時期は最終回、河原の土手を歩いているときに今まで出会ってきた人たちとすれ違って以降。
スイムスイムの使ったスタングレネードによって一時的に目が見えにくくなっている上に音を聴きとりにくくなっています。



(……まだ、大丈夫)
スイムスイムは自分の体に鞭を打つように立ち上がると、フラつく足取りで男から逃げるように必死で歩き出した。
(私はもっと『ルーラ』になってみせる。本当の『ルーラ』になるまで……!)

そう心の中で思いながら彼女はひたすらに走り続けた。

『……じゃあお前は、何のために『ルーラ』になりたいんだ?』
『お前は……『ルーラ』になって、なにをしたいんだ…?』

(本当の『ルーラ』になって…『ルーラ』になったら、私は……?)

しかし彼女の心の中には、彼の言った言葉がまるで水面に水滴を落としたかのように拡がり始めていくのだった……。


【スイムスイム(坂凪綾名)@魔法少女育成計画(アニメ版)】
[状態]:腹部および内臓にダメージ(大)、吐血、精神的動揺(小)
[装備]:ルーラ(薙刀)@魔法少女育成計画
[道具]:基本支給品、マジカルフォン、スタングレネード×4、ランダム支給品×1
[思考・状況]基本行動方針:ルーラ(お姫様)になる。そのために優勝する。
1:ルーラになる。もっともっと、ルーラに近づく。
2:なぜあの時魔法が発動しなかったのか、その原因を探る。
[備考]
参戦時期は少なくとも森の音楽家クラムベリー殺害後~リップルとの戦いの間。
たけしの言葉によって迷いが生じ、精神的に不安定になっています。
殺し合いが破綻しないよう、すり抜ける魔法に制限をかけられています。
具体的には攻撃とすり抜けを同時に行えなくなっています。
(それ以外の制限については当選した場合、後続の書き手様にお任せします。)

【支給品紹介】

【リーダーバッジ@世紀末リーダー伝たけし!】
 黄色地に黒で「リ」と書かれた単純なデザインのバッジで、最高のリーダーだという事を証明するもの。
 単なるメダルやトロフィーのように「賞を表す」物ではなく、リーダーとしての過酷な運命を背負う者の証であり、
 心の持ちようによっては紙クズのように簡単に穴が空くが、強い心を持ち続ければたとえ銃弾や鋼鉄の刃、強酸でも壊れず、持ち主を常に守るという。

【マジカルフォン@魔法少女育成計画】
 卵のような形をした携帯端末で、魔法少女間の連絡などといった機能を持つ共通の変身アイテム。
 今回は制限により、魔法少女への変身以外に使用することはできない。

【ルーラ(薙刀)@魔法少女育成計画】
 先端に出刃包丁のような刃が付いた、薙刀のような魔法の武器。
 「絶対に壊れる事がない」という特性を持ち、切れ味も抜群。

【スタングレネード@現実】
 起爆と同時に爆発音と強力な閃光を放ち、突発的な目の眩み・難聴・耳鳴りを発生させる手榴弾で、5個支給されていた。

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