コンペロリショタバトルロワイアル@ ウィキ

だから、僕は悪くない

最終更新:

compels

- view
だれでも歓迎! 編集
△▼△▼△▼△▼△▼△▼




何だよなんだよ何なんだよォ!!
死にぞこないの癖に!もう僕の方が強いのに!フジキングはヒーローなのに!
何で頑張るんだよ!お前にはいないだろ!?僕にとっての永沢君みたいな友達が!
なら、僕に勝ちを譲ったっていいじゃないか!勝たせてくれたっていいじゃないか!
僕は強くなった筈なのに!ネモだってフランちゃんだって今の僕には勝てないのに!
なのに何でこうなってる?何で普段と同じ様に地べたを這いつくばってるんだ!

ずるい、卑怯だ!僕から永沢君の為に殺そうとしてるって言い訳さえ奪っておいて!
それなのに勝ちまで奪おうって言うのか!?シカマルも!ネモも!!
大体、シカマルが、お前さえいなければデパートでは僕が勝ってたんだ!
ネモを殺して!フランちゃんも殺して!全員殺せてたんだ!
お前が邪魔さえしなければ!戦い慣れてるみたいだからって!僕を見下して!
何でこんな事ができるんだ!?昨日まで普通に学校に行ってて。
そんな僕がいきなり殺し合いに放り込まれて!ネモやシカマル達と戦わされて!
可哀そうだと思わないのか!勝たせてあげようとは思わないのか!?
あぁそうだよ!僕は目の前の事から逃げてるだけさ!死にたくないだけさ!!
でも、それの何がいけないって言うんだ!当然だろ!死にたくないんだよ僕は!!
そのために殺して何が悪いんだッ!!悪いのは僕を連れてきた乃亜じゃないか!!!
僕が悪いのかもしれないけどッ!僕は爆弾付きの首輪を嵌められた被害者でッ!!!
それなのに、何で僕が悪いって事に向き合わなきゃいけないんだ────!!!!



「ヴあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!」



叫びながらデタラメに雷を撃ちまくる。完全にパニックだった。
でも当たってる手ごたえみたいなものは感じられない。
当たり前だ。耳栓をして目隠しをされながら撃っている様な物なんだから。
涙が溢れて、ぐしょぐしょになった目で手当たり次第に雷を放つ。
その時だった。ぼんやりと黒い何かが凄い速さで迫って来るのが見えた気がしたのは。
白く染まった景色の中で、黒一色のそれは朧気にだけど、確かに見えた。
これを喰らったら死ぬ。間違いなく死ぬ。訳が分からなくなっても、それだけは分かった。
だから僕は無我夢中で、身体を雷に変えて逃げようとする。
火事場の馬鹿力で上手くいった。でも、無傷で逃げ延びるにはほんの少し遅かった。




「─────ぎィ゛…ッ!!あ゛あ゛ああぁあああッ!!!!」



ぞ、ぶり。

黒い何か…多分、シカマルが出してきた影に、右目を貫かれた。
影はカップに入ったプリンにスプーンを入れる様に、僕の目をくり抜いていった。
見えないし、聞こえないけれど、何故かその事は分かってしまう。
そして、それだけじゃ終わらない。
僕の目を奪った影は、まだ止まらなくて。
まるで最後の力を振り絞る生き物みたいに、一度僕の前で止まって。
そして───また僕を串刺しにしようと迫って来た。



「う゛う゛ッ!!あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッ!!!!!」



嫌だ!死にたくない!!死にたくない!!!
その一心で、雷の速さで影から逃げようとする。でも、無理だった。目も耳も聞こえない。
その上死にそうなくらい右目が痛い。そんな状態でまともに走れるわけない。
直ぐに足を滑らせ僕の身体が1回転する勢いで宙を舞う、丁度同じタイミングに。
ずぶ、と左ひざに鈍い感触を感じた。すぐに燃える様に熱くなって。
その後はまた叫びだしたくなる痛みが襲ってきた。でもそれでもまだそれが最後じゃない。
トドメに転んだ勢いそのままに顔から廊下に叩き付けられて、地面にキスをする。
ガツン!と頭の中に火花が散って────全部の痛みが、一気に襲ってきた。





「うぅ、あ、ぎゃああぁあああぁあああああぁ──────ッ!?!?
痛い痛いいたいよお゛お゛お゛お゛お゛ぉ゛お゛お゛ぉ゛────ッ!!!!!」




そして、絶叫。




△▼△▼△▼△▼△▼△▼




ちっ……
運の……いい奴だぜ。
転びさえしなかったら、心臓串刺しにしてやってたんだが……
でも、ここまでだ。残ってたチャクラも…俺の命も……これで看板だ。
物理攻撃の無効化さえなければ、影真似の術で確実に相打ちに持ち込めたけどよ。
彼奴の雷化の術は印を組んでる様子が一度も無かった。
つまり予備動作なしで使える可能性が高い。
となると、影真似で差し違えようとしても…雷化ですり抜けられちゃ意味がねぇ。
だから、チャクラの消耗が大きくて慣れてねぇ影縫いしかなかった。



「ちくしょうが……」



結果は御覧の通り。仕留めるまでは無理だった。
右目と左足は潰した。これで精密な雷撃も、ご自慢の高速移動もできねーはずだ。
ヒトって奴は両目揃って距離感を把握してる。
まず間違いなく何の訓練も積んでない彼奴が、片目で狙いをつけるのはまず無理だろう。
膝と違って目は抉った後潰してやったから、治すのもまず望めねぇだろうしな。
後は折角亡くしてやった目を生やす様な支給品がないのを祈るばかりだぜ。
そうすりゃ……もう彼奴が暴れてもそうそう殺される奴は出ないだろうし。
殺される奴が出なけりゃ乃亜の報酬で傷を治される心配もねぇ。
欲を言えば、痛みのショックで死んでくれれればそれが一番だけどよ。
まぁ………これで、俺にできる事は全部終わった。
だから……最後に、一服…………




「5代目……すんません」




今度は完璧にこなしてみせるっつったのにな。
結局、俺は最後までイケてねー奴だったみたいだ。
5代目も、アスマも、チョウジも、いのも…俺の事、最近買ってくれてたのによ。
あぁ、クソ……彼奴ら、俺がいなくなって今頃探し回ったりしてねーだろうな。
せめてナルトが生き残ってくれれば俺が死んだ事も、伝えてくれるんだろうが……



「フフ……ッ」



彼奴の、ナルトの顔を思い出すと、何故か笑っちまった。
上忍でも生き残るには厳しい環境だ、この島は。
言いたくねぇが、ナルトが生き残れる可能性はほぼねぇと思う。
でも……何でかな。今俺は、俺と違って今は結構イケてるアイツならって思ってる。
人一倍落ちこぼれの癖に、諦めるって事を知らねぇアイツなら、もしかしたら。
もしかしたら、木の葉の里に生きて帰って、俺の事も伝えてくれるかもしれねぇなぁ。
そんで何時か馬鹿な夢を叶えて、本当に火影になったりしてな……





────ナルトの相談役に、俺以上の奴はいねーからよ。




あぁ、クソ。変な走馬灯まで見えてきちまった。
彼奴の事を思い出してたら、未練ばっかり湧いてきやがる。
でも……そうだな。彼奴が本当に火影になったら………
あのバカヤローがバカやらない様に、隣で見とく奴が必要だわな。
フツーに忍者やって、フツーに生きてくつもりだったけど。
あぁ…それはそれで、悪くねぇのかもしれねぇな。
だから……こんなとこで寝てる場合じゃねぇ。それなのに………
クソ、身体動かねぇ。俺と違っていい能力貰ったもんだぜ、あの糞ヤローは。
でも、ブラックとの契約も……龍亞の奴も………だから、まだ………





「くそ……やっぱ…死にたくねぇな……………」






そして、煙草はぽとりと少年口から落ち、教室の床に広がった血で火が消える。
その後はもう戻らない。なにもかも。
もう、取り返しはつかない。




【奈良シカマル@NARUTO-少年編- 死亡】
【藤木茂 100ドミノ取得】




△▼△▼△▼△▼△▼△▼





奈良シカマルが、死んでいた。
フラッシュバンの影響から何とか脱して。
ようやく見える様になった藤木茂の左目と、聞こえる様になった聴覚。
舞い戻った彼の知覚機能を真っ先に出迎えたのは、静寂と勝利の証となる物体。
即ち、シカマルの死体だった。
それを目にしたその瞬間だけは、右瞼と左ひざに走る痛烈な痛みも気にならなかった。
気にする余裕が、藤木茂にはなかった。



「ぼ………僕が…………」



僕が、殺した?
疑問符の付いたその言葉が、思わず口から零れる。
でも、何故だ?藤木には本気でシカマルが死んでいる理由が分からなかった。
だって、シカマルは最初に当てた雷撃以外の電撃は受けていない筈だ。
パニックになってやたらめったら撃っていた時も、多分一発も浴びていないと思う。
それなのに、なぜ死んでいる?まさか、たった一発の電撃が切欠で死んだのか?







────“英霊”(ネモ)や“吸血鬼”(フラン)達は喰らっても普通に動けていた電撃で?






……藤木茂は思い違いをしていた。
これまで彼は、純粋な人間に向けて電撃を命中させたことが無かったから。
彼がそうしようとするたびに、ネモが身体を張ってそれを阻止していたから。
だから彼は勘違いしていたのだ。自分の電撃は、敵を“やっつける“位の威力だと。
まさか本当に人を殺傷できる威力だとは、思っていなかった。
精々髪がアフロになったりだとか、骨が透けて見えるだとか。
その程度の“結果”しか想像できていなかった。深く考えていなかった。
自分の電撃を普通の人間に撃ったらどうなるのか、目を逸らし続けて。
その果てに彼はやはり根拠もなく、多分大丈夫だろうとシカマルに放った。
処刑方法として使われる電気椅子の、優に数倍の電圧の雷撃を。
それはチャクラを用いる事で常人を超えた身体能力を発揮できる忍のシカマルですら。
“即死“を”多少猶予のある致命傷“に抑える事しか叶わない、決定打だった。

彼がデパートで翻弄したネモは確かに自己評価の通り三騎士に比べれば劣る能力値だ。
だがそもそも、サーヴァントとは人を遥かに超越した最高位の使い魔。
そしてネモの英霊としてのステータスは決して低くない。
筋力、敏捷、耐久…どれも平均に届いている数値である。
こと耐久値に限って言えば、彼は大破したストームボーダーのダメージの直撃を受け。
ほぼ肉体的には死亡した状態でも、乗組員の安全確保を完了させるだけの生存力を誇る。
少なくとも頑丈さに限って言えば、三騎士クラスにすら勝る能力を有していた。
そんな彼が藤木如きに遅れを取ったのは、マスター不在の“逸れ“だった事が最も大きい。

フランドール・スカーレットもまた、数百年の齢を重ねた高位の吸血鬼。
内臓をさらけ出す様な損傷でも死亡せず、そのまま戦闘すら可能な超常の存在だ。
人間であれば即死であるダメージも、吸血鬼には致命傷にすらなりえない。
だから彼女もまた、藤木の雷撃を受けても直ぐに動く事ができたのだ。

藤木茂はこれまである意味では幸運だった。
彼の雷撃を受けてきた者達は、肉体的に人を超えた頑健さを備えた存在だったから。
それ故に、幸運にも誰も殺さずに済んできた。
龍亞に放った時も、後ろめたさから電撃を弱め、殺すまでには至らなかった。
だが、彼はその幸運を幸運と認識できていなかった。
恐らく、幸運はその内尽きる物だと想像すらしていなかっただろう。
その時点でこうなる事は必然であり、彼のささやかな幸運はたった今終わりを迎えたのだ。




「………う゛、う゛わ゛ぁ゛あああああ゛あああああ゛あああッ!!」




自分が殺した。
その事実を認識すると共に目を見開いて、喉が張り裂けんばかりに叫び。
芋虫の様に壁際まで這いよると、壁を支えに立ち上がる。
目から走り、膝から昇る痛みすら今は気にしている余裕はない。
ただ、彼の胸中にあるのはこの場を離れなければ。逃げなければという思いだけだ。
そうすればこの過ちもなかった事にできるのではないかと、本気で思っていた。
壁にもたれ掛かったまま、獣のような吐息で必死に“殺害現場“から遠ざかる。
よたよたと頼りない足取りで、下駄箱が並んだ後者の出入り口へと向かう。
胸からこみ上げてくる吐き気に必死に耐え、左目に涙を溢れんばかりに溜め。
よたよたと教室を出て、偶然にも今しがた彼が殺した少年が仲間を逃がした地点へと進む。
シカマルの死体と、起動したままのAEDを残して。




「違う……こんなの……僕は……僕がァ…あ……ッ!」




足がもつれて、どてっと如何にもトロ臭い所作で地べたを舐める。
幸運にも、シカマルが与えたのは自力で歩く事は出来る損傷だったが。
走る事は不可能で、慌てれば転んでしまう。そんな傷の深さだった。
ロギア系の悪魔の実の能力者は物理攻撃を無効化できるという特大の優位があるが。
ゾオン系の悪魔の実の能力者の様に身体能力や治癒能力そのものが向上するわけではない。
また、一部の超人系の実の能力者と違い、能力を応用し傷を塞ぐこともできない。
だから、負った損傷に対して現状の藤木茂は打つ手を擁してはいなかった。

殺される。こんな誰が見ても足手まといの有様を俊國に見られたら。
間違いなく斬り捨てられる。シカマルが言っていたように、食い殺される。
その悍ましい最期を想像して震えが止まらず、ガチガチと歯の音がかみ合わない。
嫌だ。死にたくない。誰か助けて、誰か………



「じょ、城ケ崎さん………」



目の痛みと殺人を犯したという精神的ショックで、藤木茂はとっくに限界だった。
ずるずると起き上がる事も出来ず、嗚咽を漏らしながら大地に這いつくばる。
誰か、誰でもいいから手を差し伸べて欲しかった。



「永沢君………」



自分が取り返しのつかない過ちをしたことは分かっているけど。
でも、それでもやりたくてやった訳ではない。
自分は被害者なんだ。そしてこの島には今の自分より強い人がたくさんいる。
だったら、自分に手を差し伸べてしかるべきだ。それがヒーローと言う物の筈だ。



「悟空………ッ!!」



今、手を差し伸べてくれたらもう誰かを襲ったりしない。
涙と共に謝って、今度こそ仲間にしてもらう。
ネモや悟空は腹が立つけど許してやって、その後は一緒に対主催として頑張るんだ。
マーダーの偽俊國を皆でやっつけて、対主催に貢献する。
そうなればシカマルを殺したことだって無駄にならない、そうだろう?



「なんで……誰も助けてくれないんだよぉ……!」



藤木の問いかけに応える者など誰もいない。
当然、手を差し伸べる者もいなかった。
目の痛みもシカマルを殺した事実もそのまま消えたりしない。
特に目から走る痛みは、藤木の命を容赦なく削って衰弱させていた。
ショック死は免れたが、このままでは精神衰弱で保たないだろう。
紛れもなく死の淵に立たされたその時、藤木の半分になった視界に光るものが映る。



「あ……あれ、は………」



それは、勝次に支給された支給品だった。
恐らくは、亜空間転送装置のカードを使用され、シカマルを助けようと暴れた際に。
ちゃんとランドセルが閉まっておらず、零れ落ちたのだろう。
シカマルもそれを気にしている余裕はその時点での彼にはなく。
仕方なく放置されたままとなった代物だった。
それが、勝利で得た戦利品の様に、彼の目の前で転がっている。




「はぁ……はぁ………」



身体に今残っている力を振り絞り、その支給品が転がる地点へと這いずる。
藤木はそれが何なのか、皆目見当もつかなかった。
使い方も当然分からなかった。しかし、そのアイテムが放った妖しい輝きを見れば。
きっと自分を救ってくれると言う願望だけはあった。
20メートルほどの距離を5分以上かけて進み、打ち捨てられたアイテムを手に取る。
怪しい輝きを放つ、黄金色のその杖(ロッド)を。
かつてグールズの首魁であった墓守の一族の青年が振るった、千年ロッドをその手に抱き。



「────お……お願い……助けて…………」



物言わぬ杖に、まるで神に縋るかのように祈りを捧げた。
生贄によって鋳造されたその忌み物に、己の身を預け、必死に願う。
この目と心を苛む痛みから、どうか解放してください、救ってください、と。
それがどんな結果を生むか何て想像もせず、今そこにある苦しみから逃れたい一心で。
この苦しみから逃れられるなら、何でもすると心の中で口にする。
突然訪れた腹痛に苦しんでいる時に、入れるトイレを探す程度の反射的な懇願。
だが、それでも彼は言った。深く考えず、その言葉を口にしてしまった。
故に、その発言を以て契約は結ばれ、運命は彼の要求に応じる。
千年ロッドは願われると共に鋭い輝きを放ち、藤木を彼自身が望む通りに洗脳した。
彼は正当な所有者ではないから、他人を洗脳する事はこれから先もできそうにないが。
それでも邪な彼の心が呼応し、自己暗示をかける程度には杖の力を引き出せたのだ。





「─────フフッ」




瞬間。
さっきまで、藤木を苦しめていた物がいっぺんに消えた。
目の痛みも。心を軋ませ砕こうとしていた良心も消え失せた。
走る事は変わらず難しそうだとはいえ、膝の痛みももうあまり感じない。
痛みの消えた世界。それは臆病な藤木にとって心地よかった。
だって、痛みさえ消えてしまえば、後に残るのは────




───殺した!殺せた!ぼ、ぼぼぼぼ僕が…あのシカマルに勝ったんだァ!!!!




勝利の美酒だけなのだから。
誰かに聞かれない様に心の中で、しかし天まで届けと勝鬨を上げる。
やれる。やっぱり自分が得た力は強いのだ。暗殺に徹すればだれにも負けない。



「も、もう……僕は誰だって殺せる。殺せるんだ……1人殺すのも、全員殺すのも一緒さ」



呟いた言葉は、これまで通りどもったものだったけれど。
でも、もう迷いも躊躇も存在していなかった。唇も青くなかった。
今の彼なら、先ほど殺すのを躊躇った龍亞ですら、即座に致死量の電撃を放てるだろう。
心の底で勝てないと思っていたシカマルに勝った事で、圧倒的な自信を手に入れていた。





「ウフフフ……殺してやる。ネモも、フランちゃんも、梨沙ちゃんも、龍亞って奴も……」




僕を否定した奴ら全員、みんなみんな殺してやる。墓の下に埋めてやる。
今の僕は強いんだ。シン・神・フジキングなんだ。逆らう奴らの方が間違ってる。
僕が本当に間違っていたなら───なんでシカマルは死んでるんだ?
僕が間違ってるなら、何で未だに天罰は下らないんだ。答えは簡単、僕が正しいから。
たとえ僕が間違ってるって言う奴がいても、シカマルみたいに殺してやればいい。
そうすれば僕の方が正しかった事の証明になるんだから。歯向かう奴は力で黙らせる。
それが一番スカっとできるし、十人殺せばシュライバーに頼んで永沢君も帰って来る!
俊國君と違って、シュライバーは僕に約束をしてくれたんだから!



「そうだ、俊國君も殺さないと」



僕は強くなった。でも、僕より強い奴に勝てるほど強くなったわけじゃない。
悟空や俊國君みたいに、今の僕より強い奴は悔しいけどいる。
それに、今の僕は怪我もしてる。まともに戦ったらもっと酷い怪我をするだろう。
痛みは手に入れた杖のお陰でもう感じないけど、怪我で殺せなくなったら困る。
なら、どうするか?そんなのは決まってる。
シカマル達を襲うより前、デパートから生き延びた時に決めた動きに戻ればいい。
暗殺者になって、いい子のフリをして他の子達の所に潜り込む。
そして、チャンスが来たら皆殺して、乃亜君に負った傷を治してもらうんだ。
嘘を吹き込んで俊國君やネモ達を他の子達に襲わせるのもいいかもしれない。
そうすれば、簡単に弱って殺す数も楽に稼げるだろう。完璧だ。
杖を使ってから、頭の中で考えてた不安や余計な考えが無くなって頗る頭が回る。




「それだけじゃない。ドロテアも…モクバも…
特に永沢君を殺した奴も……一人残らず……!」




特に永沢君を殺した奴だけは、絶対に殺す。
他の事は別にいい、でも。永沢君の為にやってるって事だけは否定させない。
誰が何と言おうと僕は友達を救うために戦うヒーロー、シン・神・フジキングなんだから。
それを否定する奴は、誰であろうと生かしてはおかないし。
僕がフジキングであるためには永沢君を殺した奴は絶対に殺す。殺さないといけないんだ。
だから……こんな所で寝てるわけにはいかない。




─────ぼ、僕は……僕は神なり………!




そして、全ての痛みを手放した少年は、再び歩みを再会する。
片目を抑え、ずる、ずる…と片足を引きずりながら。
それでも表情には不気味な笑みを浮かばせて、自身が寄生できる集団を求め。
彼は進む、進み続ける。殺す為に、逃げ続けるために、その先に優勝があると信じ。
己の良心を、躊躇(よわさ)を、血塗られたロッドに封じ込め。
もう、戻れない道へ、閉ざされた道へ。己以外の全ての者の道を閉ざす道へと突き進む。

少年は、どうしようもなく孤独だった。
親も教師も警察もいないこの島で、友も死に絶えた。
だから、誰も教えてはくれない。
その道の先には何もないぞ、などという事は。



だから、彼は憐れなる被害者を自覚がないままに辞め、刃を握る。
正真正銘、本物の殺人鬼(ひとごろし)が産声をあげた。





△▼△▼△▼△▼△▼△▼




プレゼントされた眼帯は、変なデザインだったが着ける事に不都合はなく。
その上可愛い女の子に手当てしてもらって、気分がよかった。
シカマルの影に抉られた目まではどうにもならなかったが。
脚の方は杖で痛覚を誤魔化した今、包帯を巻いてもらえば歩くのに支障はなかった。



「藤木君、大丈夫……?」
「あ、あぁ………大丈夫だよ、木之本さん。包帯、ありがとう」
「…………?」



その時、木之本桜が感じたのは微妙な違和感。
藤木の状態は、大けがと言って差支えのない状態だった。
何せ足の怪我は走る事はできそうにないと言う程度だったけれど。
右目の方は抉り取られて、痛ましい惨状を晒していたのだから。
けれど、それにしては……藤木の態度が釣り合っていない。
自分なら泣き叫んでいてもおかしくないのに、藤木にはそんな素振りが全くないのだ。
それどころか、彼は笑みすら浮かべており。
ニタニタと粘着質な彼の笑みを見ると、どうしても薄気味が悪い。

もしかして。
彼の残った左目が映している感情。
それに名前を付けるなら、もしかしてそれは“悪意“と。



(………ううん、何考えてるの、私)



藤木君は友達が殺されて、自分も酷い目に遭った気の毒な人なのに。
私達に心配をかけない様に無理に明るく振舞っているかもしれないのに。
現に彼は今も、ちゃんとお礼を言ってくれたし、暴れる様子もないじゃないか。
うん、きっとそう。だから……藤木君を疑うなんていけない。藤木君を、信じよう。
それがこれまでの試練を、身近な人達を信じる事で越えてきた少女の結論だった。
だが、少女と行動を共にしている二人の同行者は彼女とは違った。



────藤木茂は99.99%嘘をついている。



それが二人の天才、江戸川コナンと風見一姫の見立てだった。
藤木茂は、自分の負った傷をネモとフランに付けられた物だと語った。
そのすぐ後に彼はネモがいかに凶悪で冷酷な少年かを熱弁し。
悟空は頼りになるが、ネモに騙されていると自分達に訴えてきた。
彼の話ではフランもまた、ネモと同じずる賢く残酷な吸血鬼だと言う。
他のマーダーの襲撃を受け、悟空と離れ離れになった途端、
二人して自分を殺そうとしてきたというのが、藤木の語った話の概要だ。
それそのものに、大きな齟齬はないとコナンも思う。

実際にフランに出会ったコナンも、語られた風評に違和感を感じなかった。
確かに彼女は、友でない人間が死ぬことを何とも思っていないだろう。
必要に迫られれば眉一つ動かさず殺害を遂行する危険人物なのは間違いない。
しかしネモと結託して藤木を殺そうとするほど積極的な参加者であるならば。
彼女と会った際、雄二と自分は殺されていた筈だ。
それが可能とするだけの力を、彼女は備えていたと雄二も断言していたのだから。。
では何故彼女はそうしなかった?ネモ共々信用できる相手だと信じ込ませるためか?
であれば、もう少し殺人行為に対して否定的な姿勢を見せる筈だ。
ネモが善良な参加者であると主張しても、自分が危険人物だと判断されれば説得力を失う。
何故自分達は見逃され、藤木茂は襲われた?


コナンは敢えて藤木に指摘を行わなかったが、気になる点は他にもある。
人間を遥かに超えた力の持ち主であるフランとネモから、どうやって藤木は逃げのびた?
それも、目玉を抉られ、足に怪我をした状態で。
最初は支給品を用い、眼や足に怪我を負いながら辛くも命を拾ったと思ったが。
藤木の話では彼は悟空と離れた途端襲われ、目玉と足を抉られたと彼は語っていた。
という事は、人を遥かに超えた力を持つ彼らに奇襲を許しながら、彼は生き延びたのだ。襲撃者の立場に立つと、藤木を襲おうとしたと仮定して逃走防止に足を狙うのは分かる。
だが自分が“犯人“であれば、まずランドセルかそのまま急所を狙うだろう。
支給品を奪わず、速やかな殺害を行わず、眼を狙うのは相当な加虐趣味の持ち主なのか?

また、悟空が危険人物である話は一切出なかったのも気になる話であった。
コナンは一瞬ネモとフランと悟空の三人がグルのマーダーである可能性を考慮したが。
悟空だけは騙されてはいるがヒーローの様に強く、また自分の味方の善良な人物である。
それが藤木の語った悟空評だったが、コナンにはどうにもちぐはぐな印象を受けた。
藤木は悟空だけは信頼ができると言う判断を、何を以て下したのか。
別れた後に襲われたからと言って、悟空もグルでない保証はどこにもないのに。
さりげなくカマを掛けてみたが、返答は要領を得ない物だった。
黒服の女に襲われた時に助けられたと言っていたが、それ以外の悟空の情報が出てこない。
と言うより、話の節々から彼は悟空と殆ど交流していないのではないかとすら思えた。
それなのに、何故彼が騙されていると判断できた?



(………とは言え、この話に限って言えばあながち嘘だとも言えないか)



フランが自分達を見逃したのは、獲物が二人で片方逃がす事を懸念したのかもしれない。
或いは、乃亜の追加ルール目当てだったのかもしれない。
フランとネモが藤木を逃がしたのは、嗜虐趣味の持ち主で嬲ろうとした結果かもしれない。
悟空だけは信じられるというのも、助けられた事に大きな恩義を感じているか。
又はネモ達への敵意から過剰に二人を悪しざまに語っているだけかもしれない。
気になる点はあれど、藤木がでたらめを言っていると決めつけて判断するのは早計。
もしかしたらネモ達が本当に危険人物である可能性も無い訳ではないのだから。
だから、コナンはこう言った。



「そっか!じゃあ早く悟空ってお兄ちゃんを見つけて二人が危ないって知らせないとね!」



そう口にした瞬間、藤木の目の色が明らかに変わる。
それに加えて悟空との再会を目指す旨の話をすると、露骨に歯切れが悪くなった。
まるで会うと都合が悪いような、コナンたちに悟空と会ってほしくないような。
桜やガッシュの様な純粋な者でない限り見てわかる狼狽えようを彼は見せ。
藤木茂は嘘をついている。コナンと一姫は両者同時に確信に至った。


ネモやフランが信用できる人物かについてはまだ判断を下すべきではない。
だが、しかし藤木茂がネモ達に襲撃されたと言うのは真っ赤な嘘。
あるいは本当だとしても藤木の方に非があると、コナンは見抜いていた。
そして、彼が吐いている嘘は恐らくネモ達に関するものだけではない。
藤木と三十分ほど前に出会ってからずっと、彼は明らかに挙動不審だった。
本人の話では今迄隠れていたから悟空以外の人間には会っていないとの事だったが。
その割には一姫が口にしたモクバやドロテア等の他の参加者の名前に対し反応を示し。
特にドロテアの名前が出た時の彼の瞳は、昏い焔を宿していた。
彼が瞳に宿した炎はコナンが数々の事件を解決する中で飽きる程見てきたもの。
それに名前を付けるなら、それはきっと───殺意と名付けられるだろう。
恐らくだが、藤木茂は殺し合いに乗っている。



(多分精神の均衡を欠いてる。が、マーダーって証拠はない上に相手は怪我人の子供だ。
それをどうこうするのは俺もやりたくねぇし、ガッシュや桜も…納得しないだろうな)




マーダーである可能性が高く、今もさりげなく間合いを測りつつ接してしるけれど。
コナンから見た藤木茂は重傷を負い、殺し合いに怯えるただの少年に見えた。
脳を食う少女やシュライバーなど、人外染みた力を持っている様にはとても見えない。
大それたことはできない、本当に年相応の、凡俗の二文字を体現したかのような少年だ。
立ち振る舞いやポケットの膨らみなどから、凶器を隠し持っている様子もない。
ならば性急にお前は殺し合いに乗っているな?などと指摘するのは藪蛇になる恐れがある。
それに仮に藤木が本当に危険人物であったとしても、彼は重傷を負っているのだ。
単独での生き残りは絶望的な状況であり、普通に考えれば自分達を襲う事などできない筈。
ならば同行しつつ見張っておくことで、彼が道を踏み外す可能性は幾段か下がる筈だ。
ガッシュや桜など純粋な者との交流させるのも、彼の精神の安定に繋がるだろう。
それがコナンの選んだ、藤木茂に対する対応だった。
そんな彼の眼前で、藤木は桜に対して一つの要求を口にしていた。



「あ……あのさ、木之本さん……よ、よかったらでいいんだけど……
何か、包帯以外にも、傷を治せる支給品とか、持ってないかな………
ほ、ほら、眼は無理としても…足の傷を治しておけば、足手纏いにはならずに済むし……」
「ほぇ?え、えっと……それなら、確かルーデウスさんの支給品に………」



────やっぱり、頼るなら悟空や、この子だな。
要求に素直な反応を見せる桜に対して、藤木は心の中で笑みを零す。
この子なら、きっと情に訴えかければマーダーである事が発覚しても庇ってくれる。
襲ったのに助けてくれた悟空と同じだ。多分、クラスの女子よりずっと優しいだろう。
もしネモや龍亞とまた会ったとしても、この子やガッシュを頼ればいい。
そうすればきっと助けてくれる、何かの間違いだと言ってくれる。食い物にできる。
現に今だって、自分の為に貴重な治療用の支給品を用意してくれているのだから───



「……これ、このカード、ドレインシールドって言うんだけど…
でも、普通には使えないみたいで、だからルーデウス君は……」
「そ、それでも構わないから……できることなら、僕に……」



多少躊躇を見せていた物の、藤木の要求に対して桜は了承しようとする。
本人は自分が治した方が早く、またリスクも低いと言って死蔵していたけど。
でも、それでもこれはルーデウスに与えられたものだ。
だから、自分が勝手に与える事を拒む権利は……無いと思う。
彼だって、きっと他人の為に役立ててもらった方が喜ぶ筈だ。
何故か言い訳の様に心中で零しながら、その手のカードを藤木に手渡そうとする。




「残念だけど、待って頂戴」




だが、桜の手の中のカードが手渡されるよりも早く、制止の声が上がった。
声に誘われ其方を見てみれば、斥候のため先行していたガッシュと一姫が立っており。
ガッシュの背には、重傷を負っている様子の白銀の髪の少年が背負われていた。
桜が背中の少年を見て声をあげる、日番谷君!と。
その声を受け、白銀の髪の少年と藤木に交互に冷たい眼差しを送りながら一姫は告げる。



「悪いけれどさっき拾ってきた…多分桜さんの言っていた日番谷君の方が重症なの。
そのカードはこっちの男の子に使わせてもらうから、貴方はもう少し我慢して」
「ウヌ!?一姫、し、しかし───」
「カードは一枚、怪我人は二人。なら怪我が重い方を優先しないと。分かってガッシュ」
「ウ……ウヌウ………」




冷厳にトリアージの概念を突き付けられ、ガッシュも否とは言えず。
そんな彼を尻目に一姫はつかつかと桜に歩み寄り、無言のままに手を差し出す。
有無は言わせない。彼女は無言のままに、視線だけでそう桜に告げていた。
無言の圧力に桜は了承せざるを得ず、藤木に渡る筈だったカードを差し出してしまう。
その様を見て、藤木は考える。この女の子も殺さなければならないと。
だって、カードの受け渡しをする一瞬。その一瞬に藤木が垣間見た一姫の表情は。
紛れもなく、神となった藤木を見下し蔑むものだったからだ。
一姫もまた、コナンと同じく藤木がマーダーである事を鋭く読み取っていた。
だからみすみす貴重な回復アイテムを彼に使う事を阻止したのだ。



「申し訳ないけど、貴方はもう少し我慢して頂戴。日番谷君は今まさに命が危ないの」



ガッシュが背負う日番谷は血まみれで、呼吸も浅いのが見て取れた。
藤木の様に欠損はしていない様子だったが、命が危ないという言葉に嘘は無いだろう。
本当なら先に頼んでいたのは僕だろうと非難したかったが。
ガッシュや桜を信用させなければならない手前押し留まり、無言で頷く。



(フ、フフフフ……まぁいいさ、どうせ俊國君とまた会う時までの付き合いだ……)



今の藤木にとって、桜たちは何処までも利用する対象でしかなかった。
彼の良心は呪われしアイテムによって彼自身が捨て去ったからだ。
己の中の大きすぎる怯えを攻撃性に変えて、少年は、悪意を胸に微笑む。

この時はまだ、コナンも一姫も藤木の脅威を見誤っていた。
彼等は紛れもなく天才であったけれど、凡そ異能にはこの島に来て始めて触れたのだ。
もし元の世界でこの犯行は異能力に依る物だ、なんて推理を披露すれば。
間違いなく名探偵の看板を下ろさなければならなかっただろうから。
だから藤木が人を殺傷しうる能力を有しているなど。
千年アイテムで自己暗示をかけているなど、この時点で見抜くのは難しかった。
だが、それはあくまで“現時点で”の話であり、今後も見抜けない事を意味しない。
コナンは一姫と密かにアイコンタクトを取り、お互いの認識を確認し合う。


藤木茂は殺し合いに乗っている。
もしかすれば、危険な異能力を保有している可能性も考慮すべきだ。


視線だけで確信する。二人の認識は、一致していた。
だが、迂闊にそれを切り出すわけにはいかない。
もし万が一、藤木が現時点までマーダーとして生き残っているのなら。
その能力は危険なものである可能性が高い。
普段の様に推理ショーを披露し、安易に追い込むのは危険が伴う。
出来得る限り藤木に看破されぬよう、能力を持っているか。
また、保有しているならどんな能力かを把握した上で説得しなければならない。
万が一に備えて荒事担当のガッシュや桜、ピカチュウに情報を周知しておく必要もある。
藤木に察知されず、というのは難しい試みだったが、やるしかないだろう。
だって、殺し合いに興じた所で今の状態の藤木が優勝するのは不可能だ。
例えマーダーだとしても、みすみす子供を死なせる真似はしたくなかった。
そう彼が心中で決意を固める中、一姫は寄り道をしていく決断を切り出す。




「これから日番谷君の治療の為に、この近くの学校に寄ってから行くわ」




は?と声を上げたのは藤木だった。
瞬時に考えるのは、小学校にそのままにしてあるシカマルのこと。
不味い、と思った。今、小学校に向かわれたら。
自分の犯した犯行が、バレてしまうかもしれない。
そう考えると、全身から汗が噴き出した。




「ダッ!ダメだよ!!言ったじゃないか!ネモ達にそこで襲われたって!!」
「勿論よ、でもまだいるとは限らないでしょう?
私達は他の参加者の居場所が分かるの、さっき日番谷くんを見つけられたのが証拠。
もしまだ近くにいる様子だったら貴方の言う通り諦めるわ。これならいいでしょう?
日番谷君の手当てをするなら、保健室レベルの設備でも普通の民家よりはいいもの」




フリーレンは自前の魔力探知と、写影の危険予知によって索敵能力が高いため。
パーティを分けた際に一姫達にはフリーレンから首輪探知機を預けられていた。
日番谷の存在をいち早く察知出来たのも、首輪探知機のお陰だ。
藤木の言葉の通り危険人物がまだ近くにいるかどうかで、彼の信頼度を測る事ができる。
まぁ尤も、藤木のことを一姫は既にこれっぽっちも信じてはいなかったけれど。
だから、もし彼の言う通りネモとフランが小学校にいるなら。
上手く行けば協力を仰げる可能性も存在している。どうせ悪いのは藤木側だろうし。



「ネモとフランがいなければ、それ以外に何も不都合はないはずよね?」
「……う…!…あ、当たり前だろ……っ」
「決まりね」




一姫が怖かった。
何もかも見透かされている様な。
話していると、その内シカマルを殺したことを自白させられそうな。
どんな錯覚を覚えて小学校に向かうという声を否定できず、了承してしまった。



(だ……大丈夫だ……電撃で殺した以上、証拠なんて無い
い、いや……ネモやフランが殺したって事にすることだって……!)



古畑任三郎だって杉下右京だって、本物の超能力でやった殺人は暴けないだろう。
だから、シカマルの死体は見つかってもネモ達に擦り付けてしまおう。
そうだ、それがいい。きっと上手く行く。だって今の自分には神がついているのだから。
いや、自分こそが神なのだから。上手く行かない筈がない。
それにもし万が一が、あったとしても─────



(さ…桜ちゃんやガッシュを頼ればいい、よね……
二人とも、力があって、いい人だから……僕を見捨てたり、できないよね?)



ヒーローの良心に付け込むことに、最早躊躇いはない。
だって、もう後戻りはできないのだから。
どんな手を使ってでも、優勝すると決めたのだから。
そうしなければ、永沢を助ける事ができないのだから。
だから、仕方ない。友達を助けるのに何が間違っているというのか。
これは神の決定だ。間違いだと指摘する方が間違いなのだ。
だから自分は、間違ってはいない。藤木は密かに凄絶な笑みを浮かべる。


力を与え、本来なら勝てぬ相手に勝つ幸運を与えた神はいたとしても。
きっと、彼に正しい答えをくれる都合のいい神様なんて、いなかった。





【一日目/日中/F-6とG-5の境界付近】

【藤木茂@ちびまる子ちゃん】
[状態]:ゴロゴロの実の能力者、シュライバーに対する恐怖(極大)、ネモに対する憎悪、左肩に刺し傷、右眼喪失、精神汚染(大)、左膝損傷(中)、痛覚の鈍化、殺人の躊躇喪失
[装備]:皐月駆の眼帯@11eyes、千年ロッド@遊戯王DM(勝次の支給品)
[道具]:基本支給品、ベレッタ81@現実(城ヶ崎の支給品)
グロック17L@BLACK LAGOON(マルフォイに支給されたもの)
[思考・状況]基本方針:殺し合いに乗る。特に永沢君を殺した奴は絶対に殺す。
0:何とかシュライバーとまた会うまでに10人殺し
その生首をシュライバーに持って行く。そうすれば僕と永沢君は助かるんだ。
1:暗殺者として皆殺す 。もう僕はシン・神・フジキングなんだ。
2:乃亜にご褒美をもらって 傷を治す。
3:もしシカマル殺害がバレたらガッシュと桜ちゃんの情に訴える。
4:俊國君とガッシュたちに潰しあって消えて貰う。
※ゴロゴロの実を食べました。
※千年ロッドにより自己暗示をかけました。良心と痛覚を大幅に鈍化させています。
※足の傷により一度に数秒程しか走れません。

【江戸川コナン@名探偵コナン】
[状態]:疲労(大)、人喰いの少女(魔神王)に恐怖(大)と警戒、迷い(極大)
[装備]:キック力増強シューズ@名探偵コナン、伸縮サスペンダー@名探偵コナン
[道具]:基本支給品、真実の鏡@ロードス島伝説
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止め、乃亜を捕まえる
1:藤木を見張り、可能であれば説得を行う。死なせたくはない。
2:乃亜や、首輪の情報を集める。(首輪のベースはプラーミャの作成した爆弾だと推測)
3:魔神王について、他参加者に警戒を呼び掛ける。
4:他のマーダー連中を止める方法を探し、誰も死なせない。
5:フランに協力を取りつけたかったが……。
6:元太……。
7:俺は、どうすればいい……。
[備考]
※ハロウィンの花嫁は経験済みです。
※真実の鏡は一時間使用不能です。
※魔神王の能力を、脳を食べてその記憶を読む事であると推測しました。


【ガッシュ・ベル@金色のガッシュ!】
[状態]疲労(中)、全身にダメージ(中)、シュライバーへの怒り(大)
[装備]赤の魔本
[道具]基本支給品、ランダム支給品0~2、サトシのピカチュウ&サトシの帽子@アニメポケットモンスター、首輪×2(ヘンゼルとルーデウス)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:戦えぬ者達を守る。
2:シャルティアとゼオン、シュライバーは、必ず止める。
3:絶望王(ブラック)とメリュジーヌと沙都子も強く警戒。
4:エリスという者を見付け、必ず守る。
[備考]
※クリア・ノートとの最終決戦直前より参戦です。
※魔本がなくとも呪文を唱えられますが、パートナーとなる人間が唱えた方が威力は向上します。
※魔本を燃やしても魔界へ強制送還はできません。


【風見一姫@グリザイアの果実シリーズ(アニメ版)】
[状態]:疲労(大)、藤木に対する警戒。
[装備]:首輪探知機@現実
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3、首輪(サトシと梨花)×2、
ドレインシールド@遊戯王DM
[思考・状況]基本方針:殺し合いから抜け出し、一姫の時代の雄二の元へ帰る。
0:近くの小学校に寄り、日番谷君の手当てとカードの効果を試す。
1:首輪のサンプルの確保もする。解析に使えそうな物も探す。
2:北条沙都子を強く警戒。殺し合いに乗っている証拠も掴みたい。場合によっては、殺害もやむを得ない。
3:過去の雄二と天音の事が気掛かりだけど……。
4:藤木を警戒する。
[備考]
※参戦時期は楽園、終了後です。
※梨花視点でのひぐらし卒までの世界観を把握しました。
※フリーレンから魔法の知識をある程度知りました。
※絶対違うなと思いつつも沙都子が、皆殺し編のカケラから呼ばれている可能性も考慮はしています。


【木之本桜@カードキャプターさくら】
[状態]:疲労(中)、封印されたカードのバトルコスチューム、我愛羅に対する恐怖と困惑(大)、ヘンゼルの血塗れ、ヘンゼルとルーデウスの死へのショック(極大)、シュライバーへの恐怖(極大)
[装備]:星の杖&さくらカード×8枚(「風」「翔」「跳」「剣」「盾」「樹」「闘」は確定)@カードキャプターさくら
[道具]:基本支給品一式、ランダム品1~3(さくらカードなし)、さくらの私服
[思考・状況]
基本方針:殺し合いはしたくない
1:紗寿叶さんにはもう一度、魔法少女を好きになって欲しい。その時にちゃんと仲良しになりたい。
2:ロキシーって人、たしか……。
3:ルーデウスさん……
4:藤木さんの、さっきの目………
[備考]
※さくらカード編終了後からの参戦です。

【日番谷冬獅郎@BLEACH】
[状態]:疲労(特大)、ダメージ(特大)、腹部にダメージ(大)、全身に切創、気絶
雛森の安否に対する不安(極大)、心の力消費(特大、夕方まで術の使用不可)
[装備]:氷輪丸(破損、修復中)@BLEACH、帝具ブラックマリン@アカメが斬る!
[道具]:基本支給品、シン・フェイウルクの瓶(使用回数残り二回)@金色のガッシュ!!、元太の首輪、ソフトクリーム、どこでもドア@ドラえもん(使用不可、真夜中まで)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを潰し乃亜を倒す。
0:……………。
1:巻き込まれた子供は保護し、殺し合いに乗った奴は倒す。
2:シュライバーと甲冑の女を警戒。次は殺す。
3:乾が気掛かりだが……。
4:名簿に雛森の名前はなかったが……。
5:シャルティアを警戒、言ってる事も信用はしない。
6:悟飯は…ああなっちまったらもう………
7:沙都子の霊圧は何か引っかかる。
[備考]
ユーハバッハ撃破以降、最終話以前からの参戦です。
人間の参加者相手でも戦闘が成り立つように制限されています。
卍解は一度の使用で12時間使用不可。
シャルティア≠フリーレンとして認識しています。
シン・フェイウルクを全く制御できていません、人を乗せて移動手段にするのも不可。




【亜空間物質転送装置@遊戯王DM】
龍亞に支給。
発動と共に場のモンスター1体を別の場所に転送する。
参加者にも効果を発揮するが、この文は説明書には記載されていない。
また、基本的に効果の対象となるのは使用者が自軍と認識している存在のみ。
襲撃してきた単独の敵を転移させる事は乃亜の調整により不可となっている。
一度使用すれば六時間使用不可となる。

【フラッシュバン@現実】
龍亞に支給。
大音量や閃光を発する非致死性兵器。閃光手榴弾。
使用すれば閃光と180デシベル以上の大音量によって、
効果範囲内の人物に対して眩暈やショック状態を引き起こす。
ただし、一定以上の強者には効果は余り期待できないだろう。

【気化爆弾イグニス@とある科学の超電磁砲】
山本勝次に支給。
学園都市で開発された気体爆薬。
絶対能力進化施設の防衛戦で、フレンダが使用。
爆発性の気体を室内に充満させ一触即発の状態を作り出すことで、美琴の能力を封じた。
…が、実際に撒かれたのは窒素ガスであり、気化爆薬云々は美琴の能力を封じるためのハッタリ。

【千年ロッド@遊戯王DM】
山本勝次に支給。
古代エジプトで人を生贄に捧げ作られた七つの千年アイテムの一つ。
触れることで他人を洗脳し、思うがままに操ることができる、また、他人に自分の意思を植え付けることもできる。
更に、他の千年アイテムにはない特徴として、柄の部分に仕込み刃がついている。
本ロワでは乃亜の調整により、常人でも抵抗すれば精神操作を跳ねのけられる。
主に自分から干渉を受け入れるか、抵抗もできないほど精神的に疲弊している参加者にしか効果を発揮しない。
ただし、一度精神操作を受け入れた者への強制力は原作とほぼそん色ない威力をみせる。


【AED@現実】
山本勝次に支給。
別名自動体外式除細動器。
心停止の際に除細動を行う医療機器。
起動時に録音機能がある物も存在し、本ロワに登場するAEDも”録音機能”を搭載している。
一度起動すれば三十分ほど録音する事が可能。

【ドレインシールド@遊戯王DM】
ルーデウス・グレイラッドに支給。
相手の攻撃時、攻撃を行ってきた1体を対象として発動できる。
相手の攻撃を無効にし、対象の攻撃の威力分だけLPを回復する。
攻撃を受けた後に発動しても不発となるため、相手の攻撃に合わせ発動する必要がある。
また即座に追撃を受ければ、追撃分のダメージに対しては効果の対象外となる。
一度使用すれば9時間使用不可となる。

【皐月駆の眼帯@11eyes】
木之本桜に支給。
皐月駆愛用の眼帯。右眼をすっぽりと覆える大きさの眼帯である。




123:トモダチ 投下順に読む 125:世界で一番暑い夏
時系列順に読む
121:INSANE 龍亞 133:道の先、空の向こう
奈良シカマル GAME OVER
藤木茂 137:殺人考察(前)
117:Anytime Anywhere ガッシュ・ベル
風見一姫
木之元桜
江戸川コナン
119:人は所詮、猿の紛い物、神は所詮、人の紛い物 日番谷冬獅郎

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー