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メチャメチャ苦しい壁だって、ふいに何故か

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雑魚だと思っていたが、存外にできるらしい。
ゼオンは半ば勝負を決めるつもりだった雷撃が導いた結果を目にして苛立つ。
疲労や魔力の消耗で威力が落ちていた影響は間違いなくあるだろう。
しかし、それを差し引いたとしても────、



「…ッ!エリスさん!大丈夫!!」
「エリスでいいわよ、イリヤッ!!」



二人の戦乙女は健在であった。
雷撃のダメージを受けながら、しかし応戦に支障は無し。
気合の声を叫びつつ、敵手へと突き進み打ちかかる。
それを見ていると、更にゼオンの苛立ちは募っていく。
今、生意気にも自分に歯向かおうとしてる雌猫2匹。
片方は実力が不足しており、片方は殺意が不足している。
そんな半端物に、自分の雷が突破されたのは実に不快な事実だった。



(いや……奴らの実力ではない)



血みどろの修練で得た洞察眼を発揮し。
それにより目の前の小娘二人が自分の雷を耐えたのは、本人の力ではない事を看破する。
実力でベルの雷に耐えたわけではない。小賢しく身に纏っている装備の力だ。
そう断じたゼオンの推察は正しい物だった。



「はぁあああああッ!」
「シッ!!」



イリヤはクラスカードの力で肉体を英霊の領域まで置換している。
それに加えて彼女が現在使用しているカードは近接戦闘に秀でた三騎士のカード。
最優のクラスと名高いセイバー、誉れ高き騎士王の力をその身に宿しているのだ。
そして、彼女に与えられたのは騎士王としての能力だけではない。
三騎士のクラスの象徴とも呼べる対魔力のスキルが、彼女を雷撃から守ったのだ。
オリジナルの対魔力に比べれば劣る物の、それでもその効果は十分。
修羅の雷帝と渡り合うだけのアドバンテージを、イリヤに与えていた。

また、イリヤと並び立つエリスも電撃に対する耐性を有していた。
もっとも、有しているのは彼女ではなく、彼女が身に纏っている帝具インクルシオだが。
それは帝都の大将軍ブドー、彼の操る帝具アドラメレクとの交戦により手に入れた耐性だ。
奥の手を使えば天候を変える強力な帝具の雷撃をも耐える性能を、インクルシオは誇る。
そして、生ける帝具と呼ばれるインクルシオの得た耐性はこの殺し合いでも健在であった。
シュライバーの銃撃にも耐える堅牢さと、ゼオンの雷にも耐える電撃耐性。
それはエリスにとって幸運な事に、遺憾なく発揮されていた。

2対1という数の有利、二人が備える電撃耐性、そして敵手のコンディションの悪さ。
三つの要因が重なった事で、この時のイリヤとエリスは修羅の雷帝に確かに肉薄していた。
手にした鮫肌とマントで二者の攻撃を捌きながら、ゼオンはその事実に苛立ちを募らせる。


「ザケル!!」


五指を広げ、至近距離からの雷撃を見舞う。
足を止め、鮫肌による痛打に繋げるためだ。
だが───初級呪文ですらギガノ級に届く威力を誇る、彼の雷撃であっても。




「ぐ────これ、くらいッ!!!」



イリヤの足は止まらない。エリスも止まる事無くイリヤへと続く。
まず対魔力を有するイリヤが切り込み、イリヤの身体を盾にエリスが突撃する。
示し合わせた訳ではない咄嗟の連携だったが、現状における最適解を叩きだしていた。
勢いのままイリヤが聖剣を正眼に構え、突きを放つ。
ゼオンはそれに合わせて鮫肌で防御姿勢を取るが、呪文を放った直後だ。
死角であるイリヤの背後から現れ、追撃を行うエリスの対処までは手が回らない。



「しゃあっ!」



一拍の気合と共に放たれた右フックが、ゼオンの顔面を襲う。
インクルシオで強化されたエリスの喧嘩殺法は、ゼオンをして脅威となる一撃だった。
何故ならインパクトの瞬間親指が瞼にねじ込まれ、このままでは眼窩を抉られる。
刹那の時間でそう直感したゼオンは、耐えられる拳であっても吹き飛ばされるしかない。
ここだ。イリヤとエリスの両名が好機と判断し、獲物を手に攻勢を挑んだ。
聖剣と和道一文字を握り締め、今こそ勝負の流れを引き寄せようと────



「舐めるな雌猫共ッ!ラウザルク!!」



大きく態勢を崩した態勢でありながら、見る者に畏怖を抱かせる怒号を響かせ。
憎しみのままに紡がれた呪文は、ゼオンの全身に更なる力を与える。
声のみならず表情も憎悪と憤怒に染め、修羅の王子は反逆者への反転攻勢に移行。
コンマ数秒で純白のマントを操作し、和道一文字を振りかぶっていたエリスの腕を捕える。
そして、マントによって突撃の勢いが鈍った彼女の肉体を、傍らのイリヤへと叩き付けた。


「きゃあッ!」
「くぅッ!!」


ぶつかってしまい、たたらを踏む少女達。
だが当然、彼女達が体勢を立て直す時間などゼオンは与えない。
即座に肉薄し、ある程度の間合いがなければ取り回しが悪い鮫肌ではなく、拳を振るう。
弾丸のように放たれた拳は、甲冑を凹ませ、骨にまで響く衝撃をイリヤに与えた。
ゼオンの蹴りや拳は、生半可な鎧を一撃で砕く威力を有している。
それが肉体強化呪文(ラウザルク)で更に強化されているのだからたまらない。
ボディーブローの直撃によって唾が噴き出し、イリヤががくりと膝を付く。


「イリヤ!!」
「仲間の心配をしてる暇があるのか?」
「────っ!?」


エリスがイリヤと言う三文字を口にした時には。
既に、ゼオンは拳を握り締め、エリスの眼前へと迫っていた。
不味い、エリスの背筋を悪寒が駆け抜けるモノの、すでに遅く。
嘲りと侮蔑を含んだ言葉を、ゼオンは眼前の劣等へと叩き付ける。



「教えてやる、紛い物ども───力を“身につける”ってのはこういうことだ!!!」



マシンガンの様に連続して、大砲の様に重く響く旋律が、大気を震わせる。
その音を響かせているのは拳だ。二対の拳による、息もつかせぬ連打。
地面を砕き掘削するが如き音色が絶え間なく響き、猛攻がエリスを飲み込んだ。




「───ぐ、う゛あ゛あぁあああぁあああああああああッ!!!」



ラウザルクの効果時間一杯打ち据えられ。
最後に一際重い一撃をゴッ!と叩き込まれたエリスの身体が、空中を踊る。
瞬く間に二人の反逆者を肉体だけで圧倒した雷帝は、簡単な事だと呟きを漏らす。
電撃に耐性があるのなら、剣術で、己の五体でぶちのめす。それだけだ。
そう結論付けて、勝負を決めるべく追撃を行おうとしたその時。
視界がグラリと揺れ、両ひざが震える。体に蓄積した疲労の影響だろう。
これを無視するわけにはいかない。でなければ態々リスキーな選択を選んだ意味がない。
此処は落ち着いて当初の計画通り事を進める。その考えの元、鮫肌を握りなおす。


「させない………ッ!!」


その直後の事だった。彼の追撃を阻むように、白髪の方の雌猫が飛び込んできたのは。
それを鮫肌で受け止めながら、ゼオンは聞こえない程小さな声で呟く。



「そうだ、間抜けに焦る必要はねぇ。何故なら………」



奴らは、こうなった時点で自分の掌の上なのだから。
その事実に気づいていない獲物達を睥睨し、ゼオンは心中で嘲笑を浮かべた。




          ■     ■     ■




おかしい。サファイアとイリヤの両者が違和感を抱いていた。
先ほどから敵手の少年の行動が嫌に消極的なのだ。
戦意を挫いたわけではない。まず間違いなく今も彼は自分を殺すつもりだろう。
にも拘らず、今のゼオンは不気味な程に防戦一方。カウンターを狙っている様子もない。
大刀を振るう間合いの確保に専念しているのではないかと考える程だ。
しかし、それでもイリヤは攻めきれない。痛打となる剣閃は全ていなされている。
劣化しているとは言え騎士王の力を備えたイリヤを相手に、少年の技量は異常と言わざるを得なかった。



(強い………!)



イリヤとサファイア。一人と一本の思考が重なる。
そんな彼女達の焦燥と危惧を嗅ぎ付けたのか、ゼオンは吼えた。
少女達が何を思ったかなどお見通し。自身が強いなど当然だと吐き捨てる。
自分は目の前の雌猫に使われている様な、惰弱な王などとは違うのだから。



「てめぇらみたいな借り物の力に頼る紛い物とは違う…これが王の、このゼオンの力だ!」



イリヤの真紅の瞳が見開かれる。
さっきまで疲労で傍から見ても満身創痍だったゼオンの剣速が、上がり始めたのだ。
先ほどまでは、ゼオンが防戦一方となるほどイリヤが押していたというのに。
不気味だった。まるで戦いの最中復調してきたかのよう。
怒りや憎悪による一時的な脳内麻薬の分泌では断じてない。では何が原因か?
それを考える理由を、ゼオンは与えてくれない。
徐々に激突する剣圧が、拮抗し始める。




「があああああああッ!!」



当然、イリヤ達も状況を甘んじて受け入れはしない。
痛む身体に鞭を打ち、獣の咆哮を上げてエリスが戦線に舞い戻る。
再びの二対一の状況が作られ、ゼオンはマントと鮫肌で二人の猛攻を捌く。
先ほどのリプレイの様な戦況。しかし二人の少女が抱く焦燥は増していた。何故なら。



───やっぱりこいつ、ドンドン強くなってる……!



最早此処まで来れば気のせいでは片付けられない。
さっきまではイリヤ達が明確に攻めていた戦況が、現在では完全に拮抗している。
それも、エリスがイリヤの加勢に加わったにも関わらずだ。
恐らく、現状で一騎打ちに持ち込まれれば戦況はゼオンに傾くだろう。
しかし何故。力を隠していたのか?戦闘開始時に不調に見えたのはブラフだったのか?
そんな疑問符がイリヤ達の脳裏を駆け巡る中、真相に辿りついたのはサファイアだった。



『承知しましたイリヤ様!刀です!
この方が振るう刀が──イリヤ様達から少しづつ魔力を吸い取っています!』



異常なゼオンの復調のからくり。それはサファイアの言葉の通りだった
霧の忍刀七忍衆が一人であり、暁構成員である干柿鬼鮫。
彼の武装である大刀・鮫肌がここまでの交戦でイリヤ達からエネルギーを吸収し、
そのまま削り喰らった魔力をゼオンの体力の回復に転用していたのだ。



「フン、ようやく気づいたか」



看破されてなお、ゼオンの表情に焦りはない。
むしろ気づくのが遅いと嘲笑の笑みすら浮かべていた。
事実ルーデウスやロキシー、或いは遠坂凛やルヴィア等の生粋の魔術師であれば。
戦闘に直接自前の魔力を使用する都合上、もっと早く気づいたに違いない。
翻ってイリヤはクロエと別れてから魔力運用をカレイドステッキに依存しており。
二本のステッキは第二魔法によって無限の魔力供給を可能とする魔術礼装だ。
そのため鮫肌の効果を夢幻召喚の消耗に依る物だと誤認し、気づくのが遅れたのだ。

エリスもまたルーデウスから多少の魔術の教えは受けているが、戦闘では殆ど使わない。
ギレーヌやルイジェルドから薫陶を受けた剣こそ、彼女の戦闘スタイルだ。
それ故に彼女もまた、ゼオンに少しずつ魔力が奪われている事に気づけなかった。



『申し訳ありません…もっと早く私が気づいていれば……!』



表情なき杖でありながら焦燥を感じさせる声色で、サファイアが謝罪の言葉を述べる。
もっと早く気づけたはずだった。相手が消極的だったのは防戦一方だったからではない。
ただ、自身の体力が戻るほどの魔力を削り取るまで、待っていただけだったのだ。
サファイアは当初、ゼオンの回復を彼が身に着けている装飾品によるものだと考えていた。
事実彼が身に着ける純金のアクセサリーは、英霊の宝具に匹敵する魔力が内包されており。
その禍々しい魔力が更に、サファイアの読みを鈍らせたのである。



「ククッ、貴様らは気づかずせっせと俺に魔力を運んでたって訳だ」




最早、ブラフを貼る為に大人しくする必要はない。
ここから先は真っ向勝負、最早バレた所で問題はない所まで回復したのだから。
唇の端を釣り上げ、鮫のような歯を覗かせながらゼオンは鮫肌を振るう。
その剣速と剣圧は先ほどよりも更に早く、鋭く───!



「くぅう、あぁ────!」



嵌められた。イリヤは悔しさと焦燥に歯を食いしばりながら、必死に剣を振るう。
そう、必死にだ。最早全力に近い力と速さでなければ、危険だと警鐘が鳴り響いている。
恐るべきはゼオンの実力。二対一で、当初は劣勢だったにもかかわらず。
単独で形勢を逆転させる狡猾さと実力は、年齢を考えれば天賦の才と評する他ない。
血反吐を吐いて得た力、魔界の王の嫡子としての才能、そして本人の暴力性が。
二人の少女を破壊しようと追い詰め────その瞬間はやってきた。



「ラージア・ザケル!!」
「ッ!?眩し……っ!」



呪文が紡がれると共に、ゼオンを中心に波の様に拡散した電撃が発射される。
ゼオンにとっては業腹だが、雷の大きさそのものは今のイリヤ達なら充分耐えられる威力。
しかし、この電撃は彼にとってあくまで目くらまし。攻撃の起点に過ぎない。
直後にイリヤ達はその事を思い知らされる、更に攻勢へ踏み込んだゼオンの一撃によって。



「借り物の力に頼る脆弱さを知るがいい!!」
「──がっ……!」



ドス黒い私怨が籠められた断絶の言葉が放たれ、まずエリスが薙ぎ払われた。
ほんの10秒に満たない短い時間ではあるが、そこからゼオンとイリヤの一騎打ちとなり。
瞬きの間に両手両足の数では足りない激突音が大気を揺らし、空間に火花を散らす。
その火花が視界の端に消えたタイミングで、ブゥンッ!とゼオンが鮫肌を振りかぶる。
大振りになったゼオンを眼にしてイリヤは考えた。好機だと。
この攻撃をいなし、強烈なカウンターをゼオンに見舞う。
そうなれば流れを再び此方に引き込むのも不可能ではない。
だが、彼女のそんな希望的観測を裏切り訪れたのは、絶望的な光景だった。
意識の端でサファイアが『いけませんイリヤ様』を悲痛な声を上げるが、既に手遅れで。



─────ガァアアアンッ!!



激突の瞬間。
不吉な旋律と共に、イリヤがその手に握っていたエクスカリバーが“折れた“。
半分ほどでぽっきりと折れた刀身の像が霧散し、サファイアが現れてしまう。
決して砕ける事などないはずの星の聖剣が、敗北を喫したのだ。



「そん、な────」



イリヤのその手に握るエクスカリバーが敗れた理由は至極単純。
ルサルカが食人影を形作る魔力を鮫肌に削り取られ、強度を保てなかったのと同じ。
英霊の力を維持するための、ステッキから供給される魔力を削り取られてしまった。
その結果如何な星の聖剣と言っても、所詮はカードの力で再現された劣化した複製品。
刀身を構成する魔力を一時的にとは言え鮫肌に奪われ、強度を保てなかったのだ。




「これで、終わりだ」



そして、武装を喪い無防備となった憐れな獲物に対し。
残像すら見える様な速度でゼオンは上半身を半回転させ、捻りを作る。
死に物狂いでイリヤは後退を行おうとするが、既に無意味。
一切の抵抗は叶わず、イリヤは聞いた。
ゼオンの振るった金棒の様な刀が、ボグ、ンッ!!!という、己の肉を叩き潰す音を。



「─────ッ!!!」



悲鳴すら叩き潰され。
イリヤの身体が宙に舞い、どしゃりと地面へと崩れ落ちた。
そんな彼女に、ゼオンは勝利を確信した上で再び彼女を電撃で灼く事を試みる。
だがそれが果たされる前に、タッチの差で割り込む影が一つ。



「させる───かッ!!!」



イリヤを救おうと、先ほど薙ぎ払われたエリスが渾身の力でゼオンにタックルを敢行する。
インクルシオで強化された決死の突撃に、流石のゼオンも無防備でいる訳にもいかない。
ひらりと身を軽やかに翻し、攻撃の中断と引き換えに突撃をあしらう。
その最中、エリスに対し彼が浮かべる表情は嘲笑と侮蔑、それだけだった。



「来い、遊んでやる」
「舐めるなァッ!!」



見下しきった言葉に対してエリスは激高し、和道一文字で斬りかかる。
だが、やはり当たらない。掠りもしない。いくらエリスが吠えようとも。
それほどまでに二人の実力差は開いていたし、エリス自身もその事には気づいていた。
それ故に訪れるのは、エリス自身も結果が分かり切った────絶望の戦いだと。





          ■     ■     ■




イリヤスフィール・フォン・アインツベルンが敗北した瞬間。
ディオ・ブランドーは現在所属している集団に見切りをつけた。
今まではビルの陰に身を隠し、戦況を伺っていたが、ここらが潮時だろう。
エリスもイリヤも、のびている阿呆(ニケ)も、これから揃って銀髪の小僧に殺される。
そして、このまま此処に留まっていたら自分をも殺されることになるだろう。
それだけは御免で、だからスタンドを持ち逃げすることに決めた。



「それじゃあな…このディオが逃げ延びるまでの囮になれ、マヌケ共」



キウルたちを見捨てた時と同じだ。
どうせメリュジーヌと会敵した際には囮にするはずだった連中、未練はない。
アヌビスもできれば持ち逃げしたかったが、あの犬コロは無駄に騒がしい。
それに何か面倒な契約も結んでいる様子だったので、無理に連れて行くのはリスクを伴う。
こっそり逃げ出そうというときに叫ばれて逃亡劇が台無しになったら困るのだ。
だから暫し迷った末に、ディオはアヌビス神を置き去りにすることを決めた。
その決定に突き動かされるように、できる限り音を立てず疾走を開始する。




「フハッ!ラグビー部志望のこの健脚!数分も走れば安全な場所まで到達可能よッ!」



走る際、こらしめバンドが嵌められた頭部に締め付ける感触はなかった。
やはりにらんだ通り、逃亡行為はニケ達を害した判定にはならないのだろう。
馬鹿な奴らだ、甘い措置を取るから結局は裏切られるのだとディオは嘲笑った。
まぁ連中の甘さのお陰で、こうして自分は逃げ延びられるのだからそこは感謝してもいい。
そう考えながら、ディオは二百メートル近くを数十秒で駆け抜け、曲がり角を曲がった。
後はこのまま距離を離せば撒けるだろう、そう考えて。



「どこへ行くつもりだ?」



今しがた地面に打ち捨てたと思わしき、インクルシオに包まれたエリスを踏みつけ。
片手に大刀を携えたゼオンが、曲がり角の先でディオを出迎えた。
その五体に、嗜虐心に満ちた禍々しい害意を漲らせて。
ディオの思考が、空白に染まる。



「な……あ………」



スタンドを出現させ臨戦態勢を取ることもできない。
目論見が崩れ去ったショックと、ゼオンが与える威圧感。
それはメリュジーヌの物ほどではなかったが、ディオの戦意を奪うに充分な物だった。
乾いたうめき声をあげ、ディオは二歩、三歩と後ずさる。
彼の後退に合わせてゼオンもエリスを踏みつけながら、一歩前進を行う。
思考を最高速度で回し、ディオが口を開いたのはゼオンの前身から三秒後の事だった。
ここで舌を動かさねば死ぬ、反射的に駆け巡った思考が彼を突き動かす。
生存本能に従って両手を前にやり、待て、と大声で叫んだ。
そして訴える、手を組もうと。



「僕も優勝を狙っているッ!君と目的は一致している筈だッ!」



声を張り上げ、両手を広げて必死に自分を売り込む。
もう自分は一時間ほど前までの無力な自分とは違う。
G・Eというスタンドを有しているのだ、奴とて組んだ方が得なはず。
その自負を胸に、ディオはゼオンを口説き落とす事を試みた。
そんな彼に対し、ゼオンの返答は簡潔だった。必要ない、と。



「───は?」
「確かに戦力は必要としているが、敵前逃亡するような腰抜けはいらねぇ。
それも与えられた力を恥ずかし気も無く誇って媚びる、卑しい下種なら猶更だ」



ディオが訴えた通り、戦力はいくらあっても困ることは無い。
だが、同時に足を引っ張りかねない雑魚は必要ないのだ。
戦場で最も怖いのは有能な敵ではなく、無能な味方なのだから。
その視点で言えば、ゼオンから見たディオの評価は著しく低かった。
罠を貼り自分を撃ち抜いて見せた黒髪のガキや、ジャックやガムテとは違う。
ゼオンの神経を逆なでする、与えられた力を自分の力と勘違いし売り込む恥知らず。
それに加えて保身しか頭にない口ぶりや態度は信用が置けない。
少し此方の形勢が不利と見れば、この子供はあっさりと此方を裏切るだろう。
ゼオンも優勝を目指す都合上、いずれ裏切って来るのは許容しているが。
それでも凄腕の殺し屋であるゼオンやジャックと違い浅はかな判断力で裏切られるのも不快だ。




「まぁ、とは言えジャックの抜けた穴を補填したいのも事実────」



ゼオンの中で既に“否”の決定を動かすつもりは毛頭なかったが。
しかし、万が一使える可能性も無いことは無い。ならばそれをどう測るか、決まっている。
ジャックや風見雄二、ガムテに行った様に試験(テスト)をするのだ。
ディオの心胆を凍り付かせる残虐な笑みと共に、ゼオンは蕾が花開く様に五指を広げて。
そして、仲間になりたければこれを生き残って見せろと一方的に告げ、呪文を紡いだ。



「ジャウロ・ザケルガ!!!」



呪文が唱えられると共に、ゼオンの掌の前に雷のリングが出現し。
リングより放たれた矢の様に、8本の雷撃がディオへと向かって殺到した。
それを見た瞬間、ディオは無理だと悟った。この攻撃をやり過ごすのはまず不可能だ。
媚びを売るのではなく、戦う事を選んでいれば阻止できていたかもしれないがすでに遅い。
ゴールド・エクスペリエンスの能力では、守り切れない。絶対にディオ本体にも被弾する。
そして一発でも受ければ戦闘不能。自分はそのまま殺されるだろう。
彼の年の割には賢しい頭脳は、現状をそう結論付けた。



(こ…このディオが……死ぬのか?こんな所で、何も成さず………)



絶望が、視界を埋め尽くす。
だが、ディオ・ブランドーには何もできない。
スタンドを持っていようと、それを超える相手とぶつかればなすすべがない。
そんな当然且つ残酷な事実ごと、雷は全てを塗りつぶして────



「ディオッ!!!」
『DIO様ァアアアアアアッ!!!』



電撃がディオを飲み込むまでの、その刹那。
少年の襟首が掴まれ、後方へと放り投げられる。
身体を浮遊感が包む中、呆然とディオは目にする。
ディオが先ほどまでいた場所に立ち、光に飲まれるニケの背中を。
────バリバリバリイッ!!遠雷にも似た音が轟き。眩しさで視界が僅かな間眩む。



「………ニ、ケ?」



ホワイトアウトした視界が、徐々に戻るのと同時に。
恐る恐るといった様相で、ディオは自分を後ろへ放り投げた少年の名前を口にした。
まさか、庇われたのか?このディオが?あの少なめの脳みその阿呆に?
今だ生死の淵にいる事も忘れ、当惑した思考のまま立ち上がろうとする。
────げしっ、そんな彼の鼻っ柱に、靴の裏側が突き刺さった。



「お前ざっけんなよ!!お前の手下の呪いのアイテムのせいで見ろこれ!
2度と着けねーって決めてた呪いのアイテムmk-2着けちまったじゃねーか!
どうしてくれるんだ!?全ッ然取れないんだけど、どーしてくれるんだよこれェ!!」
『DIO様を助けるためだ。変な花飾りのお陰で無傷だしいいじゃねぇか』
「よくねーっ!!!」




顔の半分を趣味の悪い仮面で覆って、ディオの顔面に蹴りを入れて騒ぎ立てるニケ。
どうやら、支給品か何かで電撃をやりすごしたらしい。
状況を把握したディオは、即座にそんな事を言っている場合かと吐き捨てる。
余りにも助けられた恩を無視した台詞だったが、この時においてそれは正しい。
何故なら、死神は未だディオ達を見逃してはいないのだから。
その事を突き付ける様に、ニケの眼前からゼオンが敵手の息の根を止めようと迫る。



「アヌビス!」
『おおよ、任せろッ!!俺は絶ェ~~対、に………?』



ゼオンが振り下ろした大振りの一撃を何とか躱し、ニケも返す刀でアヌビスを振るう。
最強のスタンドと名高いスタープラチナすら圧倒した能力を誇るアヌビス神だ。
もし相手が鮫肌でなければ、ゼオンですら純粋な剣の技量では圧倒できただろう。
だが、交錯の瞬間、アヌビス神はブレーカーを落とされた家電の様に、力を発揮できない。
鮫肌は魔力だけなく、スタンドパワーをも削り喰らっていたのだ。
アヌビス神と鮫肌の相性は、最悪。それ故に、ニケがゼオンの斬撃を防ぐ術はなく。



「や、べ────っ!?」



距離を取ろうとした時には、全てが遅かった。
────ぼぐンッ!!そんな、肉を潰す音が響いて。
後で見ているしかできなかったディオの身体を、衝撃が襲う。
ゼオンの刀に殴り飛ばされたニケが、ボーリングのピンの様に飛んできたのだ。
咄嗟にスタンドを出して受け止めて居なければ、ディオも重傷を負っていたかもしれない。
火事場の馬鹿力で切り抜けたものの、状況は悪化の一途を辿っている。
受け止めたニケの身体の状態を確かめて、ディオは絶句した。

ニケの左腕が、千切れ飛んでいたからだ。
ホースの様に千切れた腕の断面から血がどろどろと流れ出ている。
このままでは助からない事は、一目で分かった。



「あ゛、ああああああああああ─────ッ!!!」



惨事から一手遅れて。
これ以上は許さないと言わんばかりに、少女が乱入してくる。
純白の美しい髪を振りかざしながら、紅い瞳を燃やして。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンが戦場へと舞い戻った。
更に、それに呼応するように。



「がああああああああああッ!!!」



激情を放ちながら、地に伏していた筈のエリスも再始動する。
そして、イリヤの突撃に合わせてゼオンを強襲、図らずも挟撃の態勢を作り出す。
ニケの負った損傷を目にした事で、感情の閾値が降りきれたのだろう。
叫びながら突っ込んでくる二人の少女を、冷めた視線でゼオンはそう評した。



「キレて吠えた所で────」



振り下ろされる黄金の剣を躱し。
飛んでくる正拳を、マントでいなす。
まるきり先ほどまでと同じ、焼き直しの光景だった。




「強くなる訳じゃねぇだろうがゴミ共ッ!!!」



怒号と共に鮫肌の一閃が、再び二人の少女と相打つ。




          ■     ■     ■




このディオが勝利し支配するためだ。
はぁ、はぁと不快な動悸に苛まれながら、ニケの前に立つ。
そして、ゴールド・エクスペリエンスのスタンドを出現させた。
ニケを助けるためじゃあない。むしろその逆、殺すためだ。
そうすれば乃亜からドミノが支給され、より強力な力が手に入るかもしれない。
ニケ一人殺したところで上位に入れるのか?だとか。
殺して逃げたところでこの後はどうするのだとか?はすべて後回しだ。
兎に角今はこの阿呆を殺してドミノを獲得し、後のことはその時考えればいい。



「ゴールド・エクスペリエンス…………ぐっ!?」



瞬間、頭に走る痛みに呻く。過去最高の痛みだ。
ニケたちに取り付けられた目障りな頭の輪が害意に反応するというのなら。
殺そうとすれば最も強い締め付けになるというのはすぐに分かる話だ。
だが、これは………想定以上だ。立っていることすら……クソッ!!



『がッ!頑張ってくだせェDIO様ッ!もう少しでこのガキをぶち殺せるッ!!
そうすれば俺も晴れて自由の身!あなた様と一緒に優勝を────』
「少し黙っていろアヌビス………!ぐっ…ぐぅううううううう………!」



無神経なアヌビスの声が兎に角耳障りだ。
忠誠を誓っているという割には何もしない無能の分際で……!
クソ、苛立つと余計に頭の痛みが………あ、脚にも力が………!
きゅ、急激に頭への血流が滞って…ず…頭痛がする……吐き気もだ……
くっ……ぐう……な、なんて事だ…このディオが…気分が悪いだと!?
………あ、頭が痛くて立ち上がれない、だと……何て、事だ。このディオが……
な、何故だ……お前だってあの銀髪のクソガキの得点になるよりは………
このディオの未来の礎になった方が光栄だろう?それなのに、クソ………!



「………俺を殺して、得点稼いで、その後はどうーすんだ?ディオ」



!?
痛みの中で、驚きに目を見開く。
ニケが、失った腕を抑えながらニッと腹の立つ笑みを浮かべて此方を見ていた。
アヌビスもまた、クソガキ、まだ意識があったのか!?と驚いている。



「あたりめーだろ、俺は2がアニメ化されるまで死ねないんだよね。
2が!アニメ化されるまでは!!………ッ!!さ、流石にかなりキツい、けど。
ていうかマジでヤバイ。お、俺が死んだら墓前には2のブルーレイを供えてくれるか…?」




失血と痛みで錯乱しているのか、相変わらず訳のわからない事をニケは宣う。
どうやら、今わの際でもこいつはふざけなければ気が済まないらしい。
付き合っていられるか。さっさと殺して、早くここから逃げなければ………ッ!



「まぁ、待てよ……もし、お前がここで俺を殺して、得点稼いでもさ。
その後、どーすんだよ……お前ひとりで、何とかなるのか?」



黙れッ!そんなものはこれまでと同じだ……!
また新たな寄生先を探すだけよッ!貴様らよりもより強くて利用価値がある者をなッ!
今はこれが一番賢い選択だ。そうでなくてはならないッ!



「それ、もう一回やって今こんなことになってん、だろ……?
お、お前の言う次何て………本当にあるのかよ?」



………っ!?
黙れ……ッ!!お前ごときが何をほざくッ!
ならばお前はこの状況をどうにかできるのか?できるはずがないッ!!
だからとっととこのディオの養分に………!ぐ、ぐぉお゛ぉ゛…!また、頭が…!!



「苦しそーじゃないか、ディオ」



ハハハ、と腹の立つ笑顔で阿呆が笑う。
そしてそのすぐ後、血まみれの格好のまま笑って告げてきた。
どうにかする方法はある、と。



「あの怖ぇー銀髪チビッ子のド肝を抜ける、とっときがな……!」



だから、と、ニケは言う。腕をつなげてくれよと。
お前なら、できるはずだからと。それでダメならその時は殺されるのも考えるから、と。
どこまで行っても軽い調子で命乞いを行う。



『の、乗せられちゃァいけませんぜDIO様ッ!こいつまたテキトーこいてるだけで…』
「黙っていろと言ったはずだアヌビス!!僕がそんな事も分からないと思ったか!!」
『………ッ!!』



そう、当然だ。
ニケにあの銀髪のクソガキをどうにかできる方法があるとは思えない。
敗ければ命がない賭けなのに、どうしてこのマヌケ面に賭ける事ができる。
だからこれは当然、当然の判断だ。もう一度、強く自分に言い聞かせて。
荒い息を吐き出し、頭を包む痛烈な痛みに耐えながら、スタンドを操ろうとする。
その時だった。




───確かに戦力は必要としているが、敵前逃亡するような腰抜けはいらねぇ。
───それも与えられた力を恥ずかし気も無く誇って媚びる、卑しい下種なら猶更だ。





………ッ!!ダメだッ!思い出すなッ!
なぜよりによってこんな時に思い出す……!
青ちょびたクソガキの罵倒と侮蔑の視線など鼻で笑ってやればいいッ!
今、思い出してしまったら……あの男の顔も………浮かんで……ッ!



───ディオッ!俺が死んだらジョースター家に行けッ!
───お前は頭がいいッ!誰にも負けない一番の金持ちになれよッ!



ダメだ。ダメだぞ、ディオ・ブランドー。やめろ、やめるんだッ!
馬鹿な真似はよせッ!アホ犬を殺し屈辱を晴らした時にお前は思ったはずだ…!
自分の欠点は怒りっぽい所だと!自分の心を冷静に操れる様に成長しなくてはと!



「だが……しかし………ッ!!」
『ディ、DIO様?』



奴はこのディオ・ブランドーの逆鱗に触れたッ!!
メリュジーヌの様にただ見下すのではなく蔑み、あの屑を思い出させたッ!!
奴に報復しなくては…!誇りが失われる!一生拭えぬ汚点となるッ!
ここで尻尾を巻いてただ逃げれば…!
例え生きて帰っても一生殺し合いの陰にオドオドして暮らさなければならなくなるッ!!
だから、だから僕は………ッ!!



「もし……嘘をついていたら………!」



スタンドの握りこぶしを解き、ニケを睨む。
相変わらずのマヌケ面で、実に腹が立ったが。
それでも、既に頭部を締め付ける痛みは生じていなかった。



「僕がお前を殺してやる………!!!」



アヌビスが隣でごちゃごちゃと抜かしているが、全て雑音だ。聞こえない。
今はただ、ニケの顔だけを見て奴の返答を待つ。
すると、やはり奴は何も考えていないような簡単作画のマヌケ面を浮かべて。



「任せとけ、人に出来ないことをやるのが勇者だからな。ツボとかタンス漁りとか」



やはり貴様、そのまま失血で死ねと言いたくなった。






          ■     ■     ■




幾度目になるか分からぬ舌打ちが漏れる。
既に疲労を完全に回復するだけの魔力を奪い取り。
それのみならず、魔力に関しても9割に届くまでに回復するに至った。
敵の装備が無制限に魔力を生み出す、ゼオンをして目を見張る代物だった事が大きい。
それによって、想定以上の回復を行う事が出来たのだ。
だから、後は消耗した雑魚共を蹴散らし、ドミノを獲得するだけ。それだけだと言うのに。



「チィ……ッ!」



二人の雌猫は、未だしぶとく食らいついてくる。
圧倒しているのは当然ゼオンだ、ほぼ全快したゼオンと満身創痍の少女二人。
戦力差で言えばとっくに勝負がついていてもおかしくないと言うのに。
あと一歩の所で決着はつかず、今度はゼオンが勝負を決めきれない事態に陥っていた。



「はぁああああああああッ!!!」



その最も大きな要員と言えるのが、イリヤの武装の換装だろう。
先ほどまで握っていた黄金の聖剣と見た目は同じだが、その強度は桁違いだ。
鮫肌と何度となく打ち合っても、折れるどころか刀身が歪む気配すらない。
それもその筈、何故なら今イリヤが握っている約束された勝利の剣は、
ステッキの魔力とクラスカードの力に依って置換された再現品ではない。
乃亜から支給された、正真正銘の星の聖剣。最強の幻想(ノウブル・ファンタズム)。
如何な大刀・鮫肌と言えど、先ほどの様に魔力を削り取りへし折るのは不可能だ。
そして武装の問題さえ解決すれば、セイバーの実力を出し切ればゼオンとも渡り合うのは不可能にあらず。



「おぉおおおおおおおッ!!!」



更に、イリヤだけでなくエリスもまた、先ほどまでとは明らかに違う。
獣の様に荒らしい戦闘スタイルはこれまでと同じ、だが、今の彼女は“進化”していた。
つい先程、崩れ落ちるニケの姿を見た瞬間に、彼女は訴えたのだ。
己が纏っている鎧に、今なお生きている帝具であるインクルシオに。
どれだけ痛くても、苦しくても構わない。限界まで力を引き上げろと。
ルーデウスの様に己の無力で失われる命の存在を、今の彼女は許せない。だから。



(私に敵を斬れる力を、理不尽に負けないだけの力を──寄越しなさい!)



そんな彼女の叫びに、インクルシオは応えた。
全身を喰らわれている様な苦しみと引き換えにエリスは得た、更なる力を。
彼女の尽きる事のない闘志は、インクルシオと最高クラスの相性の良さを発揮し。
その帰結と言えるのが、現在の急激ともいえるパワーアップである。
無論、それを考慮してもゼオンと対等に渡り合う事は不可能だが。
それでも備えた雷撃耐性とイリヤと2対1という条件であれば───食らいつける!




「いい加減鬱陶しいぞ!雑魚共がァッ!!!」



怒声と共に、ゼオンがまたイリヤとエリスを二人纏めて薙ぎ払う。
王なる為に積み重ねた研鑽の日々は決して彼を裏切らない。
借り物の力に頼る愚弟の様な連中とは違うのだと言う自負が、彼を支えていた。
しかし裏を返せば、それだけに屈辱はより深い物となる。
研鑽を積み重ねてきた筈の自分が、何故装備頼りの無能を未だ撃破できていない?
道理が合わない。不条理にもほどがある。消し去ってやらねば気が済まない。



「借り物の力頼みの愚物共が…王となる俺の道を阻ぶなッ!!!」



活火山の様に憤怒が噴出し、ドス黒い衝動がゼオンを凶事に及ばせる。
鮫のような鋭い歯がハッキリと確認できるぐらい口を開き、怒りを叫ぶと。
現状のイリヤ達をも反応できない速度で鮫肌をぶつけ、反逆者の鎮圧にかかった。
ドン!という凡そ人体が発したとは思えない轟音を立て、少女達があっけなく吹き飛ぶ。
だが、崩れ落ちない。一人は剣を支えに、もう一人は膝を地に付けながらも決して諦めず。
ゼオンの怒号に引けを取らない程力強く、一歩も引かず言葉を返す。



「借り物の力で……何が悪いって言うのよ………!!!」



叶うならばエリスも自分の力で今はもういない、大切な人を守りたかった。
自分の力で守れたのなら、確かにそれが一番だろう。だけど。
借り物の力を使う身でも、譲れない一線と言う物はある。



「重要なのは、その力で何をするかでしょ………!!」



例え全て自分で積み上げた力だとしても。
餓鬼そのもの癇癪でその力を振るう乱暴者に、否定される謂れは無いはずだ。
自分や目の前の糞餓鬼よりも、ニケやナルトの方が余程マシな人間だと断言できるから。
だから、例えどれだけ力があろうと、自分の“仲間“達を否定させはしない。



「自分がムカついてるからって、目についた奴にそれをぶつけるアンタが王?笑わせないでよ」



装甲に覆われ、表情は伺えないまま。
それでも雰囲気で嘲笑を浮かべているのだろうと見る者に思わせる態度で。
臆することなくエリスは修羅の雷帝に言葉を紡いだ。
───脳裏に人の上に立つべき少年の背中を思い浮かべながら。



「人の上に立つ奴って言うのは───痛い事も我慢して、皆の前に立つ奴の事を言うの」



だから苛立ちを周囲にまき散らして暴れるだけのアンタは、と言葉を区切り。
決定的なその言葉を放つ。
器じゃないのよ、というその一言を。



「──────!」




告げられた瞬間、ゼオンの表情から感情と言う物が消える。
エリスの言葉が届かなかった訳では無い。むしろその逆だ。
振り切った怒りが、彼に冷徹さを与えていた。
そのまま彼は無言かつ鉄面皮のまま、大きく後退する。
否、後退したのではなく、距離を取ったのだ。
目の前の少女二人を確実に消し飛ばせる呪文が、最大の威力を発揮できる場所まで。
そして、一棟の建物の屋根に位置取りを行いながら、掌の照準を合わせる。
少女たちがどの方角に逃げようと、確実に二人を消し飛ばせるように。



「もうお前らに付き合ってやる時間はねぇ」



屠殺場の家畜に向ける瞳をしながら、己の内から魔力を集める。
折角九割方回復した魔力が無駄になってしまうが、元々体力を回復するのが最低目標。
それは達成したため、ここで魔力を半分ほど消費しても収支で言えばお釣りが来る。
ウォルフガング・シュライバーに放った時とは違い、敵は遥か格下。
敵の雷撃耐性を考慮しても、半分ほどの威力で充分消し去ってやれるのだから。




『イリヤ様………!』
「───大丈夫、サファイア」




緊迫した状況ではあったが、イリヤの表情に絶望の彩は無かった。
むしろ、この状況はイリヤ達にとって勝機が生まれたと言える。
あのまま持久戦に持ち込まれれば、刀で回復できるゼオンに勝ち目はまず無かっただろう。
その選択肢を捨てて、敵は大技で勝負を決める事を選んできた。
であれば、その大技にさえ競り勝てば勝利を収める事は不可能ではない。
か細くも、道は拓かれたのだ。



「宝具を使うから魔力を回して、サファイア……!」



甲冑の中に収められたサファイアに、勝利のための魔力を回す様命じる。
如何な無限の魔力供給を得られる立場といっても、イリヤの魔術回路には限界がある。
次で勝負を決められなければ、夢幻召喚は解除されてしまうはずだ。
そうなれば、今度こそ本当に勝機はない。故に、賭けに出る他ないのだ。
全快に近いゼオンと、消耗しきったイリヤで競り合う事がどれだけ僅かな勝機だとしても。
サファイアもそれを痛い程理解していたからこそ、何も言わなかった。
ただ担い手の勝利を信じ、己の役目を果たす。



「───ぁ」



そもそもがここまで戦えたのが奇跡のような体だ。
魔力が供給され、それを聖剣に籠めようとした瞬間、膝から力が抜ける。
不味い、今膝を付けば間に合わない。イリヤの背筋が凍り付く。
だが彼女が膝を付くのに先んじて、がしりと力強く彼女を支える者がいた。



「しゃんとしなさい!私の魔力も使っていいわ!!」



最早インクルシオに包まれ、表情は伺えないが。
きっと凛々しい表情をしているのだろう、そう思わせる声で。
エリスがイリヤの身体を支え、共に聖剣の柄を握った。
巨木の幹に身を預けている様な安心感を、イリヤは覚える。
もう怖れも不安も無かった。今はただ、彼女を守らなければと心を燃やす。
二人分のリコの花飾りは攻防の中でとっくに消費されてしまった。
故に、生存を望むのなら打ち克つ以外に道はなく。
痛む身体を鼓舞し、魔術回路を全力駆動、宝具の発射体勢に入る────!




「消し飛ばせ……ジガディラス────」



ゼオンもまた、魔力の装填が終わった。
小賢しい抵抗ごと、確実に反逆者をこの世から消し去れるだけの呪文。
それを発射できるだけの準備がたったいま整ったのだ。
悪魔の形相を浮かべ、今少年は全てを打ち砕く雷を呼び出す────!



「約束された(エクス)────」



来る。その確信を得て、イリヤ達も真名を解放しながら、聖剣を振り上げる。
イリヤのみならず、エリスの魔力をも籠めた、今のイリヤ達が賭けられる全て。
それを、全霊を以て解き放つ────!




「───ウル・ザケルガッ!!!!!」
「───勝利の剣(カリバー)ァアアアアアアッ!!!!!」



全てを破壊する紫電の雷と、黄金の極光が激突する。
呪文が紡がれると共に現れた天使と大砲が融合した雷の化身が猛り狂う。
全てを光の向こうへと飲み込み、無に返そうと咆哮を上げる。



『ZIGAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!!!』
「くッ……!?ぐう゛う゛ぅう゛う゛…………………ッ!!」



優劣は、そう時間を掛けずに現れた。優勢なのは、ゼオンの方だ。
彼の憎しみの化身は、対城宝具に位置する星の聖剣すら打ち砕こうとしていた。
エクスカリバーの威力はゼオンの最大呪文と比例しても何ら劣る事は無い威力であったが。
絶大な威力に比例する魔力を必要とするため、発射のタイミングが僅かに早かった。
クラスカードによって再現された聖剣ならばともかく、真作の聖剣には不足だったのだ。
だから、完全に聖剣の性能を引き出すには至らず、それ故にすぐさま優劣が現れるのは必定。
もし完全に聖剣の力を引き出せていれば、勝負は分からなかったかもしれない。



「さぁ、終わりだ────ッ!」



あと一息、あと一息で、ムカつく顔ぶれからおさらばできる。
雌猫二人を始末すれば、後残っているのは雑魚二人だけ。
そいつらも手早く始末すればキルスコアは四人。
乃亜の言葉を信じるならかなりの確率でドミノ保有数上位に食い込めるだろう。
そうすれば、あのデパートを襲った破壊神の様な、強大な力が手に入るかもしれない。
バオウをも超えるかもしれない力を手にする未来を夢想し、ゼオンは凶悪な笑みを浮かべ。
そして己の首に下げたリングに憎しみを送り込み、ダメ押しとなる力を求める。
しかし、それがいけなかった。





「──────ッッッ!?」
「困るんだよなぁ、言ったろ?シリアスの供給過多だって」




突如としてゼオンの身体が動かなくなったのは、その直後のことだった。
本当に、指一本すら動かせない。頭の頂点から指先に至るまで全てが石像と化した様だ。
一体、何が。困惑のままに唯一辛うじて動かせる眼球を巡らせる。
すると、一目見ただけで嫌悪感が湧き上がる光が目に飛び込んできた。
光の中心にいるのは、先ほど自分が片腕を奪ってやった少年。
死に体だった筈の少年が、奇妙なポーズを取りながら空中で静止していた。




「ニケ……!」
「ニケくん……!」

「よっ!お待たせ、二人とも」




勇者ニケの代名詞、光魔法かっこいいポーズ。
邪なる威力を退け、その動きを封じ込める。魔神王にも通じた勇者の秘奥の一つ。
その輝きを以て、魔物の子であるゼオンの行動を完全に封じたのだった。
ニケが飛び上がった後方には、ディオも腕組をして佇んでいる。



「よーチビ助、何でって顔してるな。お前の聞きたい事は分かるよ。
なんで輝いてるかって?偉大な相手ってのはいつも輝いて見えるもんなんだよ」
「……………!!」



誰もそんな事は聞いていない。
そう心中で叫ぶ物の、声を上げる事すらできず。
この俺が、こんなふざけた魔法で。屈辱で気が狂いそうになる。
何とか戒めを破ろうと千年リングに力を寄越せと念じるが、それは逆効果でしかない。
相手は邪なる力を封じる光魔法。それを打ち破ろうと更に邪なる力に傾倒すれば。
戒めは更に強制力を増す、僅か数秒程度では抜け出せぬほどに。



「ぎ………………ッ!!!」



主が行動不能となった事でジガディラスの維持も叶わず、聖剣の輝きが遂に逆転した。
精彩を欠いた破壊の雷が黄金の輝きに飲み込まれ、怒涛の光条がゼオンへと殺到する。
光に飲み込まれる時、ゼオンに沸いていたのは怒りと憎悪、そして何故という疑問だけだ。
何故、こいつらは自分と違って借り物の力に頼る軟弱者だった筈だ。
その軟弱者共に、何故自分は敗れている?苦しい地獄のような研鑽の日々を乗り越え。
次世代の魔界の王となる筈の自分が?一体なぜだ?分からない、分かりたくない。
自分のこれまでの人生が否定されている様で、ただただ憎かった。



「──────ッ!!!!」



結局敗因は彼自身が蔑んだ、己の物ではない力を頼りにしたこと。
その事に気づかぬまま、ゼオンの肉体は黄金の輝きに飲み込まれる。
声にならぬ悲鳴とも咆哮ともとれる絶叫を奏でながら。
光と叫びが収まった時には、彼はその場から姿を消していた。





          ■     ■     ■




ディオ・ブランドーは考える。
概ね上手くいった。スタンドによる腕の癒着のコツは掴んだ。
できると思う事が大切なのだ。ぶっつけ本番ではあったが、息を吸うようにできると信じ。
結果GEは見事ディオの想いに応えた。できると信じる事、これを実感したのは収穫だ。
今後もっと経験値を積めば、自分が得たスタンドは更にできる事が増すかもしれない。
それに何より、光に飲み込まれる直前の、銀髪のクソガキの顔は実に痛快だった。
そう言う意味では、ニケのとっておきという言葉に偽りはなかったと言っていい。
イリヤ達がそのまま敗れていたらどうするつもりだったのかと言う部分に目を瞑ればだが



「え?勿論その時はディオに頑張ってもらぼォッ!!!」



貧民街のブースボクシングで鍛えた左フックでニケをどついた。
働きに免じて、流石に瞼に指を入れて殴りぬけるのは勘弁してやったものの。
頭のこらしめバンドを忘れていて、結局二人でごろごろと転がるハメになる。



「遊んでんじゃないわよ、アンタ達」



両手を腰に当て、呆れた様子で地面に倒れ伏す阿呆二人を軽く蹴飛ばしてエリスが止める。
余りにも雑な扱いにイリヤも苦笑を抑えきれなかったが。
眺めていると自分は傍にいる人たちを守れたのだという実感が少しだけ胸を温めた。
だが、まだエリスの言う通り安穏としてはいられない。
今なお助けなければならない仲間は、まだ一人残っているのだから。
その想いを強める様に、ずしんと大きな地響きが響く。
ナルト達がいる方角だ。向こうも激しい戦いになっているらしい。



「早く……ナルト君の所へ行こう!」



もう、悟飯たちの様な事は嫌だ。
その一心で全員が胸騒ぎを感じている中、イリヤが声を上げる。
エリスとニケはその言葉に即座に頷き、ディオは不承不承と言う顔で頷いた。
そして、子供達は誰からともなく残った一人の仲間の元へと駆け出し。
ディオも消極的ながらそれに続く。



(まだ……こいつらには利用価値がある)



打算百パーセントの考えではあったけれど。
ゼオンを打倒した事で、ディオの中でニケ達の評価はグンと上がっていた。
少なくともドロテアでは、ゼオンに勝つことは不可能だっただろう。
そう結論付け、彼は苛立ちを覚えながらもお人好したちと行動を共にする事にした。
前提として、仲間意識が芽生えた訳では無い。
ディオ・ブランドーは愛や友情に価値など見出さない人間だ。
ニケを助けたのも、仲間を助けようと言う思いからではなく。
ゼオンをぶちのめしたいと言う怒りに出力された狂奔に過ぎない。

……結局の所、怒りっぽいと言う欠点がそのまま出ただけだけれど。
それでも彼はこの日、きっと初めて。本当に意味で誰かの為に己の力を使った。





【一日目/日中/C-5】

【エリス・ボレアス・グレイラット@無職転生 ~異世界行ったら本気だす~】
[状態]:疲労(大)、全身にダメージ(中)、精神疲労(大)、インクルシオと同化(小)、決意
沙都子とメリュジーヌに対する好感度(高め)、シュライバーに対する恐怖
[装備]:旅の衣装、和道一文字@ONE PIECE、悪鬼纏身インクルシオ@アカメが斬る!(相性高め)
[道具]:基本支給品一式、賢者の石(憤怒)@鋼の錬金術師
[思考・状況]
基本方針:ナルト達を守って、乃亜に勝って、ルーデウスにもう一度会いに行く。
0:ナルトのいる場所に向かう。
1:もう殺し合いには絶対に乗らない。ナルト達を守る。命に代えても。
2:首輪と脱出方法を探す。もう、ルーデウスには頼れないから。
3:殺人はルーデウスが悲しむから、半殺しで済ますわ!(相手が強大ならその限りではない)
4:ドラゴンボールの話は頭の中に入れておくわ。悟空って奴から直接話を聞くまではね。
5:私の家周りは、沙都子達に任せておくわ。あの子達の姿を騙ってる奴は許さない。
6:ガムテの少年(ガムテ)とリボンの少女(エスター)は危険人物ね。斬っておきたいわ
[備考]
※参戦時期は、デッドエンド結成(及び、1年以上経過)~ミリス神聖国に到着までの間
※ルーデウスが参加していない可能性について、一ミリも考えていないです
※ナルト、セリムと情報交換しました。それぞれの世界の情報を得ました
※沙都子から、梨花達と遭遇しそうなエリアは散策済みでルーデウスは居なかったと伝えられています。
例としてはG-2の港やI・R・T周辺など。
※インクルシオとの適合率が向上しました。エリスの精神に合わせて進化を行います。

【勇者ニケ@魔法陣グルグル】
[状態]:全身にダメージ(小)、疲労(小)、仮面の者(アクルトゥルカ)
[装備]:アヌビス神@ジョジョの奇妙な冒険、ヴライの仮面@うたわれるもの 二人の白皇
[道具]:基本支給品、丸太@彼岸島 48日後…、シャベル@現地調達、約束された勝利の剣@Fate/Grand Order、龍亞のD・ボード@遊戯王5D's、沙耶香の首輪
[思考・状況]
基本方針:殺し合いには乗らない。乗っちゃダメだろ常識的に考えて…
0:ナルトの奴大丈夫かな……
1:とりあえず仲間を集める。ナルトとエリスに同行する。
2:クロエを探して病状を聞き出す。
3:マヤ、おじゃる、銀ちゃん………
4:DBの事は俺の考えが間違ってるとは思わないけど、あんまり後ろ向きになっても仕方ないか。
5:取り合えずアヌビスの奴は大人しくさせられそうだな……
6:フランはあいつ本当に大丈夫なのか?
※四大精霊王と契約後より参戦です。
※アヌビス神と支給品の自己強制証明により契約を交わしました。条件は以上です。
ニケに協力する。
ニケが許可を出さない限り攻撃は峰打ちに留める。
契約有効期間はニケが生存している間。
※アヌビス神は能力が制限されており、原作のような肉体を支配する場合は使用者の同意が必要です。支配された場合も、その使用者の精神が拒否すれば解除されます。
『強さの学習』『斬るものの選別』は問題なく使用可能です。
※アヌビス神は所有者以外にも、スタンドとしてのヴィジョンが視認可能で、会話も可能です。
※仮面(アクルカ)を装着した事で仮面の者となりました。仮面はもう外れません。

【ディオ・ブランドー@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]顔面にダメージ(中)、精神的疲労(中)、疲労(中)、怒り、メリュジーヌに恐怖、強い屈辱(極大)、乃亜やメリュジーヌに対する強い殺意
[装備]『黄金体験』のスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険、
こらしめバンド@ドラえもん、バシルーラの杖[残り回数1回]@トルネコの大冒険3
[道具]基本支給品、光の護封剣@遊戯王DM
[思考・状況]
基本方針:手段を問わず生き残る。優勝か脱出かは問わない。
0:馬鹿共を利用し生き残る。さっさと頭の輪は言いくるめて外させたい。
1:メリュジーヌが現れた場合はナルト達を見捨ててさっさと逃げる。
2:先ほどの金髪の痴女やメリュジーヌに警戒。奴らは絶対に許さない。
3:ゴールドエクスペリエンスか…気に入った。
4:キウルの不死の化け物の話に嫌悪感。
5:海が弱点の参加者でもいるのか?
6:ドロテアとは今はもうあまり会いたくない。
[備考]
※参戦時期はダニーを殺した後


【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:全身にダメージ(中)、疲労(大)、決意と覚悟
[装備]:カレイドステッキ・サファイア@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1、雪華綺晶の支給品×1、クラスカード『アサシン』、『バーサーカー』、『セイバー』(二時間使用不能)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、
タイム風呂敷(残り四回、夕方まで使用不能)@ドラえもん
[思考・状況]
基本方針:殺し合いから脱出して───
0:皆を助けるために、目の前の人たちと協力したい。
1:雪華綺晶ちゃん……。
2:美遊、クロ…一体どうなってるの……ワケ分かんないよぉ……
3:殺し合いを止める。まず紗寿叶さん達を助けに行きたい。
4:サファイアを守る。
5:美遊、ほんとうに……
[備考]
※ドライ!!!四巻以降から参戦です。
※雪華綺晶と媒介(ミーディアム)としての契約を交わしました。

※クラスカードは一度使用すると二時間使用不能となります。
※バーサーカー夢幻召喚時の十二の試練のストックは残り2つです。これは回復しません。
のび太、ニンフ、雪華綺晶との情報交換で、【そらのおとしもの、Fate/Kaleid liner プリズマ☆イリヤ、ローゼンメイデン、ドラえもん】の世界観について大まかな情報を共有しました。




怒りのままに、鮫肌を振るう。
同盟者であるガムテの安否すら頭の中からは抜け落ちて。
ただただ、憎悪をまき散らすだけの行為に没頭する。
自分が許せなかった。あの程度のカス共に不覚を取ったのが。
ジガディラスの雷で敵の攻撃の大半を相殺していなければ、死んでいたかもしれない。
それがどうしようもなく屈辱的だった。



「くそったれが……!どいつもこいつも消してやる……!」



ガッシュも、シュライバーも、さっき戦ったカス共も。
この島で今なお生存している遍く生命全てが許せない。
自分の覇道の前に横たわる障害物は全て消し去ってやる。
そう考えながら、ゼオンは再び行動を開始する。
また、適当な相手を見つけて鮫肌の餌にしてやりたい所だが。
果たして手ごろな獲物は見つかる物か。考えていると更に怒りと憎悪が噴き出してくる。
彼は気づかない。憎悪が真実を見るための眼を覆い隠し、気づけない。
最早己の力では引き返せない程、深みへと嵌まりつつある事に。
彼の首元で、黄金のリングが妖しく煌めいている事に………




【一日目/日中/E-5】

【ゼオン・ベル@金色のガッシュ!】
[状態]失意の庭を見た事に依る苛立ち、魔力消費(中)、疲労(小)、ダメージ(中)、憎悪(極大)
[装備]鮫肌@NARUTO、銀色の魔本@金色のガッシュ!!、千年リング@遊戯王DM
[道具]基本支給品×3、ニワトコの杖@ハリー・ポッターシリーズ、
「ブラックホール」&「ホワイトホール」のカード(2日目深夜まで使用不可)@遊戯王DM
ランダム支給品1~3(ヴィータ、右天、しんのすけ、絶望王の支給品)
[思考・状況]基本方針:優勝し、バオウを手に入れる。
0:殺してやる……どいつもこいつも……!
1: いったん休息を取り、その後ガムテと合流する。
2:絶望王や魔神王に対する警戒。更なる力の獲得の意思。
3:ガムテは使い道がありそうなので使ってやる。ただ油断はしない。
4: さっきの連中には必ず復讐する。そのために更なる力を手に入れる。
5:ふざけたものを見せやがって……
6:千年リングの邪念を利用して、術の力を向上させる。地縛神も手に入れたい。
[備考]
※ファウード編直前より参戦です。
※瞬間移動は近距離の転移しかできない様に制限されています。
※ジャックと仮契約を結びました。
※魔本がなくとも呪文を唱えられますが、パートナーとなる人間が唱えた方が威力は向上します。
※千年リングの邪念を心の力に変えて、呪文を唱えられるようになりました。パートナーが唱えた場合の呪文とほぼ同等、憎しみを乗せれば更に威力は向上します。
 千年リングから魔力もある程度補填して貰えます。
※魔本を燃やしても魔界へ強制送還はできません。



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