コンペロリショタバトルロワイアル@ ウィキ

SEED CHILDREN

最終更新:

compels

- view
管理者のみ編集可
「クッソァーーーーーー!!」

 銀髪褐色肌、左の頬には大きな傷跡と目立つ風貌の少年が、大声を上げて右手をそばにあった大樹に殴りつける。
 普通なら大樹はビクともせずに、少年の八つ当たりの様な行動は無為に終わるが、大樹は大きく揺れ動き、少年が殴りつけた場所にはくぼみが出来ていた。

 少年の名前は天樹院カイル。PSI(サイ)という異能じみた超能力を使える若きサイキッカーの一人だ。PSIの基本の一つ・ライズによって高められた身体能力で殴った為痛みも特には感じていない。

 カイルが感情に任せて殴った事に、大きな理由などない。
 こんな悪趣味なゲームを開いた海馬乃亜への怒り。そして爆発死した兄弟と自分自身に対する後悔だった。

「……どうして俺は、あの時何も動かなかったんだ!!」

 カイルはこう口にしているが、理由はわかっている。
 突如見知らぬ場所に拉致され、その後行われたいきなりの少年の爆死と蘇生に意識が完全に持っていかれたからだ。
 なにをしてくるか分からない首謀者の子供一挙手一投足に気を取られ、知り合いが巻き込まれていないかの確認も出来ず、みずみずルフィとエースの兄弟達の死亡を見るだけしかできなかった。

 アゲハ達は、もっと途轍もない陰謀に巻き込まれていて、死なない様どこかで足掻いてくれている筈なのに、自分がこの調子なら情けなくなってくる。
 こう思った所で、カイルは一つの考えを思いつく。この俺が巻き込まれたゲームと、アゲハ達がいなくなるヤツと関わりがあるのじゃないかと。

(……嫌、ちげーな。俺がこうなる前に怪人なんとかQを見た覚えはねえ)

 しかし、すぐにその発想は間違っていると理解する。アゲハ達がいなくなる時には決まって得体のしれない怪人(ネメシスQ)が出てきて連れ去って来るが、自分自身にそういう事があった記憶は無い。
 ならこれは、アゲハとは関係がない、別の謎のゲームだろうと判断する。

 カイルは、大樹を殴った自分の右手を見る。ギュッと握った手からは血が少し垂れてきていた。
 ―――大樹を殴って皮が擦り剝けたからではない。自分の握り拳を強く握りすぎて、手のひらから出血をしたのだ。

 思えば、理不尽な死亡と蘇生を行われたルフィという子供は、乃亜に殴ろうとしていた。命を弄ばれて悔しくて、一糸報いようとしたのだろう。もし俺が同じ立場だったらきっとそうする。

「……俺が、お前たちの分も、絶対にアイツを、乃亜をぶん殴ってやる!!
 俺に出来そうな事なんて、それくらいしか思い浮かばねえからな」

 手のひらの止血を行いながら、そう決意を決める。もとより殺しあえと命令されてその通りに動く様な人間ではない。首輪の爆発で脅され、ゲームに従えと言われようとも止まる気はない。
 人の命を駒やオモチャのように扱う海馬乃亜も、こんなクソッタレなゲームに乗るようなヤツもブッ飛ばす。そっちの方が俺らしい。

「そうと決まれば、動かねえとな!!」

 カイルは手の指をポキポキと鳴らして、その後四股を踏む様な体勢になり、脳細胞を活性化させライズを身体の全体に高める。
 本来ならこんな動作をしなくても瞬間的にできるのだが、決意表明をした手前、普段通り行うのもどうかと思い、このような動きを取ったのだ。

 そして、爆発的に高められた身体能力で、大きく前にジャンプする。オリンピックで記録を計測したらニューレコードが出そうな距離の跳躍を2度3度、いや何回も続けていく。
 身体を動かしながら考えているのは、自分と同じ様にPSIに目覚めた事で親から捨てられ、そして引き取ってくれたバァちゃん(天樹院エルモア)の元で一緒に生活している仲間達。
 俺だけが巻き込まれたとは考えにくい。きっと俺と同じくこのクソッタレなゲームを破壊しようとそれぞれ決意しているにちがいない。
 まずは、皆と合流を目指す。ライズがある為、スピードは普通に動くよりも断然速く会える。

「待ってやがれ、乃亜! 俺は止まらねぇからよ!」

 ゲームの打破を決めた今のカイルは、褐色の弾丸の如く一直線に動き続ける。
 エルモア・ウッドの切り込み隊長兼警備隊長(自称だが)・天樹院カイルの歩みは、簡単には止まらない―――。


▽ ▽ ▽ ▽ ▽ 


 カイルが他の参加者と遭遇して歩みが止まったのは、ライズを発動してからおおよそ5分後の事である。
 人が集まりそうな場所に向かって移動をしていると、両手で顔を覆い泣いている少女の姿を発見したからである。
 最初はどこかケガをしたからなのかと思い、不意打ちをしてくる様なら即座に反撃できるように心構えは用意しつつ近づくが、どうも普通に悲しいんでいるらしい。

「わ、私……アカデミーや任務で、知識や経験を積んだ、つもりだけど……、年下の子供がし、死ぬ瞬間なんて初めてで、あ、あんな理不尽に殺されるなんて、それで、私もああやって死ぬ事を思っちゃうと、涙が止まらなくて……!」

 泣きしゃっくりを上げながら話している為、所々で話は止まるが、それでも少女の事は少しわかった。
 名前は「日向ヒナタ」で、どうやら忍者らしい。そしてこれまで危険を伴わない任務を中心に行ってきたが、一つ上のランクを目指す為の試験を行っている最中に巻き込まれたとの事だ。
 最初は試験が変わったのかと思ったそうだが、子供二人が殺された所で認識を変えたらしい。

「とりあえずアンタの事情はわかったけどさ、身なりは大きいのにメソメソしてたら、他の皆に舐められちまうぜ!年いくつ?」
「じゅ、十二歳…」
「ウッソ、マジかよ!俺より全然年上じゃん!」
「うぅ……!」
「アッ、ワリぃ。泣かせる気はなかったんだんだよホントだって!」

 カイルが何気なく放った発言に、ヒナタは悲しみの気持ちが増してしまう。
 自分よりも年下の子供は既に悲しみを超えている様子なのに、自分は未だに泣く事すら止める事も出来ずに立ち止まっている。
 ウジウジしていて、消極的な自分を変えたくて、推薦してくれた中忍試験に挑んだというのに、現実はこの通りだ。
 そう思うと、ドンドン後ろ向きな考えが続いて、ダメになってしまう。

(ナルト君……。せめてもう一度、会いたい……)

 ヒナタは、アカデミー時代から密かに片思いをしている、自分を曲げない忍者・うずまきナルトの姿を心の中で思う。

 一方でカイルは、泣き止まないヒナタの様子を見て、少し後ろめたい気持ちが生まれる。
 全然年上とは言ったが、実際は二つ三つほどしか変わらない。(そもそも実の親に捨てられた為、正確な年齢は把握していない)
 自分の発言で墓穴を掘ったと自覚したカイルは、ガシガシと頭を掻いて、観念したように話しかける。

「あーもう分かったよ!しばらく傍にいてやるから泣くな!な?」
「あ、ありがとう……」
「良いよそんなん!このまま置いてく訳にもいかねーし、折角だからな!」

 カイルの提案に、ヒナタは涙声ながらも頷いて応じる。
 事実、このまま泣いているヒナタを放置して行動を再開するなんて、絶対に心残りになるに決まっているとカイルは考えている。
 それ以上に、目の前で死んだ兄弟達の事がある。今さっき見知った相手でも、死んでいい命なんてない筈なのだ。

 しかし、それはそれとして厄介な事を言ってしまったとカイルは内心で思っている。

(あ~あ、この先どうなっちまうんだ?オレ……)

 カイル自身としては、いるだろう仲間達とサッサと再開したいし、ゲームに乗るヤツがいたらブッ飛ばしたい。
 その為に出来る限り動き回りたいのだが、ヒナタと一緒に行動するのなら、自由にライズを使う事は制限をされてしまうだろう。
 一応忍者らしいので、全く動けない事はないだろうが、それでもさっきまでの様子を考えると心配してしまう。

(コイツ、なんかマリーと似た感じだけど、マリーの方がまだ肝が据わっている気がするぜ)

 カイルが思いつくのは、同じ境遇で一緒に生活をしている少女の一人、天樹院マリー。
 内気で控えめな性格で、事あるごとに同じ子供達に命令して女王様のように振る舞おうとする天樹院フレデリカに子分として扱われ、涙目になる姿をよく見るそばかす持ちの少女。
 要点だけみれば似たような相手だろうが、それでも会ったばかりの少女と、家族といってもいいほど一緒に過ごしている少女とでは、後者の方に基準が甘くなってしまう。

 ヤンキー座りになってヒナタの様子を確認するカイル。
 ようやく泣き止みはしたが、それでも行動を始めるにはまだ時間がかかりそうな様子だ。

(アゲハ~、俺、こんな調子で上手くやっていけるかなぁ)

 兄貴分として関わってくれていて、現在行方知れずのサイキッカー・夜科アゲハを脳裏に浮かべながら、これからを心配してしまうカイルであった。


【天樹院カイル@PSYREN】
[状態]:健康、後悔(中)、右拳に出血(小、止血済み)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:海馬乃亜をぶっ飛ばして、この殺し合いを終わらせる
1:目の前の子供(日向ヒナタ)の傍にいるが、正直面倒
2:エルモア・ウッドの仲間が参加しているのならサッサと合流したい
3:ゲームに乗ってる奴がいるならブッ飛ばす!
[備考]
※参戦時期は、夜科アゲハ達が5度目のサイレン世界への招集されて以降の時間軸


【日向ヒナタ@NARUTO -少年編-】
[状態]:健康、悲しみ(大)
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:死にたくない。だけど、殺し合いたくもない
1:ナルト君に会いたい。
[備考]
※参戦時期は、中忍試験に参加して第二試験の最中
ウィキ募集バナー