市街地の一角で、道に倒れていた少女が、頭を押さえながら起き上がった。
何かを思い出そうとするように頭を振ると、向かって右に結んでいる髪が揺れた。
何かを思い出そうとするように頭を振ると、向かって右に結んでいる髪が揺れた。
「ばとるろわいある?」
少女――双海真美は、噛んで含めるようにその言葉を口にした。
いきなり連れてこられた場所で、殺し合いを命じられたのが数分前。
765プロ所属のアイドルとして、一般人とは異なる世界に足を踏み入れており、なんなら謎の生き物を飼育している真美でさえ、この状況を即座に理解することは難しかったらしい。
いきなり連れてこられた場所で、殺し合いを命じられたのが数分前。
765プロ所属のアイドルとして、一般人とは異なる世界に足を踏み入れており、なんなら謎の生き物を飼育している真美でさえ、この状況を即座に理解することは難しかったらしい。
「これからどうしたらいいのかな、兄ちゃん……」
ひとりぼっちの心細さも加わってか、真美はぽつりとプロデューサーの愛称を呟いた。
しばらく同じ場所で立ち尽くしていると、もうひとり少女が現れた。
しばらく同じ場所で立ち尽くしていると、もうひとり少女が現れた。
「真美~!」
「この声、亜美!?よかったぁ~!」
「この声、亜美!?よかったぁ~!」
背後から呼ばれた声に気づいた真美は、胸をなでおろした。
ふり向けば、真美にとって誰よりも見慣れた姿が、息を切らせて走って来ていた。
双海亜美。向かって左に髪を結んだ、真美の双子の妹だ。
ふり向けば、真美にとって誰よりも見慣れた姿が、息を切らせて走って来ていた。
双海亜美。向かって左に髪を結んだ、真美の双子の妹だ。
「よかった、真美が近くにいて!」
「うん、もう一生会えないかと思ったよー」
「え?なんで?」
「うん、もう一生会えないかと思ったよー」
「え?なんで?」
きょとんとした亜美の顔を見て、真美は困惑した。
「なんで?って……殺し合い、なんでしょ?」
そう神妙に告げた真美だったが、亜美には一蹴されてしまった。
「やだなー真美、こんなのテレビの企画に決まってるっしょー!
きっと、いまどき流行りの“リアリティーショー”ってやつだよ!」
「……でも、あの男の子たちは?」
「あれはそういう映像だって。ぶいあーる技術?とかそういうヤツ。
最近のゲームのムービーはリアルになってるの、真美も知ってるっしょー?」
「そっか……うん、そーだよね!」
きっと、いまどき流行りの“リアリティーショー”ってやつだよ!」
「……でも、あの男の子たちは?」
「あれはそういう映像だって。ぶいあーる技術?とかそういうヤツ。
最近のゲームのムービーはリアルになってるの、真美も知ってるっしょー?」
「そっか……うん、そーだよね!」
不安げに眉をひそめていた真美も、次第に笑顔を取り戻していった。
それはあっけらかんとした亜美の態度にあてられてか、あるいは、殺し合いから必死に目を背けようとしたからか。
それはあっけらかんとした亜美の態度にあてられてか、あるいは、殺し合いから必死に目を背けようとしたからか。
「あれ?じゃあ、亜美がさっき“真美が近くにいてよかった”って言ったのはどうして?」
「んっふっふ~♪それはね……じゃーん!」
「んっふっふ~♪それはね……じゃーん!」
跳ねるような声をさせながら、亜美が真美へと見せたのは、小脇に抱えるサイズの銃。
いわゆるアサルトライフルと呼ばれる軍用銃の一種だが、その素材はプラスチックで、まるで玩具のような質感だ。
いわゆるアサルトライフルと呼ばれる軍用銃の一種だが、その素材はプラスチックで、まるで玩具のような質感だ。
「これって?」
「亜美の支給品だよー!
チョー強そうでしょ?この銃なら、このゲームも楽に攻略できそうだと思うんだ」
「ゲーム……」
「ねえ、亜美と真美で協力して、最後の二人になろーよ!
ひとりだと難しいかもしれないけど、力を合わせたらできるって!」
「亜美の支給品だよー!
チョー強そうでしょ?この銃なら、このゲームも楽に攻略できそうだと思うんだ」
「ゲーム……」
「ねえ、亜美と真美で協力して、最後の二人になろーよ!
ひとりだと難しいかもしれないけど、力を合わせたらできるって!」
どうやら亜美は、この状況を体感型ゲームだと考えているようだ。
キラキラとした瞳で話す亜美の雰囲気に呑まれて、真美もノリノリで答えた。
キラキラとした瞳で話す亜美の雰囲気に呑まれて、真美もノリノリで答えた。
「それいい!ラストバトルは燃え上がる舞台で決まりだね!」
「うんうん、それだー!」
「お互いに力つきる直前の一撃で、ついに勝負は決した……。
敗れた亜美は、親指を立てながら溶鉱炉へと沈んでいくのだった~!」
「うんうん、それだー!」
「お互いに力つきる直前の一撃で、ついに勝負は決した……。
敗れた亜美は、親指を立てながら溶鉱炉へと沈んでいくのだった~!」
真美は口でブクブクと言いながら、沈んでいく真似をした。
「うあうあ、なんで亜美が負けなの~?
じゃあ真美は、右腕を天高く上げたまま、息絶えていた~とか!」
じゃあ真美は、右腕を天高く上げたまま、息絶えていた~とか!」
亜美は右腕を上げながら、とある有名な漫画のセリフを口にした。
「メッチャ盛り上がりそーじゃん!」
「うん!ゼッタイ楽しいって!」
「うん!ゼッタイ楽しいって!」
キャッキャッと夢を膨らませる二人は、すっかり普段通りの無邪気さだ。
それでも真美は、いくらか冷静さを残しているようで、亜美に問いかけた。
それでも真美は、いくらか冷静さを残しているようで、亜美に問いかけた。
「ねーねー、いおりんとかやよいっちがいたらどーする?」
「甘いよ真美!ここはヤキニクテーショクの世界……」
「甘いよ真美!ここはヤキニクテーショクの世界……」
二の腕で涙をぬぐうふりをして、芝居がかった調子で続ける亜美。
「たとえ765プロの仲間とて、情けは無用なのだ~!」
「むむむ、世知辛いですなぁ~亜美どの」
「もし裏切れば、真美とはいえ許さないかんね!こう、ぱららららーって」
「むむむ、世知辛いですなぁ~亜美どの」
「もし裏切れば、真美とはいえ許さないかんね!こう、ぱららららーって」
軽口の応酬の流れで、あまりにも簡単に、そのトリガーは引かれた。
「え?」
誕生日のクラッカーよりも大きな破裂音と同時に、真美は身体を尋常でない力で押された。
押された、というのは真美がそう感じただけで、実際には数発の銃弾を胸に浴びていたのだが、そのことを真美が自覚することはなかった。
押された、というのは真美がそう感じただけで、実際には数発の銃弾を胸に浴びていたのだが、そのことを真美が自覚することはなかった。
(亜美……)
仕事終わりに睡魔に襲われたときのような、急激な意識の混濁に、真美は抵抗できない。
親指を立てることも、言葉を発することもないままに背中から倒れた。
そして、そのまま双海真美は死んだ。
親指を立てることも、言葉を発することもないままに背中から倒れた。
そして、そのまま双海真美は死んだ。
【双海真美@ぷちます!】死亡
■
「え……真美?」
「真美!?真美ってばー!?」
「ちょ、ジョーダンきついっしょ~?」
「だってこれ、オモチャじゃ……」
「……うそ、だよね?」
「真美」
■
まだ幼いアイドルたちの多くは、無邪気さを売りにしている。
ただ純粋に歌やダンスを楽しむ汚れのない姿こそ、ファンの求めるものである。
それでは、そのアイドルに“死”という穢れが生じた場合、どうなるのだろうか。
確実に言えることはひとつだけ。
これは、双海亜美にとっての「おとなのはじまり」なのだ。
ただ純粋に歌やダンスを楽しむ汚れのない姿こそ、ファンの求めるものである。
それでは、そのアイドルに“死”という穢れが生じた場合、どうなるのだろうか。
確実に言えることはひとつだけ。
これは、双海亜美にとっての「おとなのはじまり」なのだ。
【双海亜美@ぷちます!】
[状態]:混乱
[装備]:オモチャの兵隊(トイソルジャー)@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:???
1:混乱中。真美はどうしちゃったの?
[備考]
※参戦時期は未定。
[状態]:混乱
[装備]:オモチャの兵隊(トイソルジャー)@とある魔術の禁書目録
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:???
1:混乱中。真美はどうしちゃったの?
[備考]
※参戦時期は未定。
※双海真美の支給品は、手つかずのまま遺体の付近に放置されています。
【オモチャの兵隊(トイソルジャー)@とある魔術の禁書目録】
双海亜美に支給。
銃器としての正式名称はF2000R。本編では<妹達>が使用した。
材質は積層プラスチックであり、まるでオモチャの鉄砲にも見える。
赤外線により標的を補足し、電子制御で『最も効率良く弾丸を当てるように』リアルタイムで弾道を調整する機能を持つ。
銃身を覆う衝撃吸収用の特殊ゴムと炭酸ガスにより、射撃の反動は極限まで軽減されており、その反動は『卵の殻すら割らない』と評される。
双海亜美に支給。
銃器としての正式名称はF2000R。本編では<妹達>が使用した。
材質は積層プラスチックであり、まるでオモチャの鉄砲にも見える。
赤外線により標的を補足し、電子制御で『最も効率良く弾丸を当てるように』リアルタイムで弾道を調整する機能を持つ。
銃身を覆う衝撃吸収用の特殊ゴムと炭酸ガスにより、射撃の反動は極限まで軽減されており、その反動は『卵の殻すら割らない』と評される。