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クロス第11話

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datui

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ギャバンとユーゼスは、とある大木の根本にいた。
ユーゼスは携帯電話を弄り、ギャバンはその横で鉄パイプを手に周囲を警戒している。

「どうだ、ユーゼス」
「やはり、こちらからは通話もメールの送信もできないように改造されているな。
 あくまで、向こうからの連絡を受け取ることしかできないらしい」
「そうか……。まあ外部に助けを求められちゃ困るわけだから、当然といえば当然か」

口ではそう言いつつも、ギャバンの顔には少なからず落胆の色が浮かんでいた。

「まったく、なんでこんなことになったんだかな……」
「愚痴を言いたくなるのはわかるが、たいがいにしておけ。いくらぼやいても状況はよくならん」
「まあ、それはそうだが……。冷静だな、お前は」
「その方が生き残る可能性は高くなるからな」

眉一つ動かさず、ユーゼスは答える。

「まあ、そんなお前だからこそ頼りにできるんだけどな。それに機械に強いお前なら、この首……」
「よせ!」

ギャバンが言おうとしたことを、ユーゼスは大声と手で制した。

(どこでどうやって監視されているかわからないのだ。うかつなことは言わない方がいい)
(わ、わかった)

急に出された大声に驚きつつ、その後の小声での忠告にギャバンは頷く。

(とりあえず、比較的安全な場所を確保した方がいいな。ここも悪くはないが、できれば建物の中を拠点にしたい)
(わかった。じゃあさっそく移動するか)

言うが早いが、ギャバンは歩き出そうとする。だが、その行動はすぐに中断を余儀なくされた。

「さっそく見つけたぞ、クズども」
「ユーゼス……。どうやら、もう少し早く移動した方がよかったみたいだぜ」

ギャバンたちの正面、そこには、金属バットを手にした相羽シンヤの姿があった。

「殺し合いする気満々です、って面だな、相羽」
「当然さ。お前等クズを殺すのに、何のためらいがある?」

邪悪な笑いを浮かべながら、シンヤは距離を詰めていく。

「もともとうんざりしてたんだよ。僕みたいな優れた人間が、お前等なんかと一緒に生活させられることに。
 僕はお前等を始末して、僕の優秀さを証明してやるんだ!」
「この中二病野郎が……!」

ギャバンは鉄パイプを構え、シンヤの攻撃に備える。

「ユーゼス、お前は逃げろ。どうせ喧嘩はからっきしだろうが、お前」
「だが……」
「いいから逃げろ。俺の代わりはいくらでもいるが、お前の代わりはいないんだ。
 お前こそが、このプログラムをぶち壊すキーマンなんだよ」
「ギャバン……。すまん! 生き延びろよ!」

後ろ髪を引かれる重いを強く感じながらも、ユーゼスは全速力でその場から逃げ出した。

「逃がすと思っているのか!」
「おっと、お前の相手は俺だ!」

ユーゼスを追おうとするシンヤだったが、そこにギャバンが割り込む。
鉄パイプと金属バットがぶつかり合い、耳障りな金属音が響いた。

「そこをどけ、ゴミ!」
「通すわけにはいかないな!」

そこから、二人の激しい戦いが始まった。武器が似たようなものである以上、戦い方も必然的に似たようなものになってくる。
そうなると、勝負を分けるのは身体能力。だがこの面においても、二人の間に劇的な差はなかった。

「くそっ、クズの分際で……。僕を手こずらせるなっ!」

長引く勝負に、シンヤは苛立ちを募らせる。そこには、自然と隙が生じていた。
そして、それを見逃すギャバンではない。

「もらった!」

鉄パイプを頭上で一回転させると、ギャバンはそれを唐竹割りに振り下ろした。
当たればまさに、一撃必殺。だがシンヤは、それを紙一重で回避した。
鉄パイプはシンヤの脳天を砕くことはなく、頬の肉を少し抉っただけで地面に叩きつけられる。

「貴様……。よくも僕に傷をーっ!」

見下していた相手に傷を負わされたことで、シンヤの中から完全に余裕が消える。
逆上した彼は、ギャバンの足を思い切り蹴りつけた。
必殺の一撃を放ったあとで体勢を崩しているギャバンは、それを避けられない。
蹴りをもろに食らったギャバンは、地面に倒れ込んだ。
そこへ、シンヤは容赦なくバットを振り下ろす。
何度も、何度も、執拗に。

(く……ここまでか……。済まない、ユーゼス……。お前だけでも生き延びてくれ……。
 お前の科学の力なら……きっと首輪を外してこのプログラムを……!)

薄れゆく意識の中、ギャバンは最後まで友人のことを考えていた。

◇ ◇ ◇

「くそっ、くそっ、くそっ! 不愉快だ!」

ギャバンを葬ったにもかかわらず、シンヤはおのれの内からこみ上げる激しい怒りに苛まれていた。
クズごときに逃走を許した。クズごときに傷を負わされた。
シンヤのプライドは、それを許せないのだ。

「今に見ていろ……! 皆殺しだ、皆殺しにしてやる! このプログラムを勝ち残るべきなのは、僕なんだ!」

悪魔は吠える。おのれの優位を確認するために。おのれのプライドを満たすために。

【11番 ギャバン 死亡】
残り32人

【1番 相羽シンヤ】
【学年】高3
【状態】右頬負傷
【所持品】金属バット、鉄パイプ
【能力】知力:C 体力:S ブラコン:A

【37番 ユーゼス・ゴッツォ】
【学年】高3
【状態】健康
【所持品】防弾繊維の服
【能力】知力:S 体力:D 機械知識:A



【1番 相羽シンヤ】

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【11番 ギャバン 死亡】

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死亡



【37番 ユーゼス・ゴッツォ】

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