真・女神転生 年代記 伊藤龍太郎インタビュー

プロフィール

昭和39年7月28日生まれ。SFC版『真・女神転生』では企画チーフ、シナリオ・メッセージ担当。以降、『真・女神転生2』『真・女神転生if...』『真・女神転生デビルサマナー』と、シナリオ・メッセージを主に担当する。性格は温厚、やや優柔不断気味で、軽忽。十数年来の阪急=オリックスファンで、95年は上機嫌だった(日本シリーズを除く)。ゲームの嗜好は、実はウォーシミレーション。


――メガテンのシナリオ担当になられた、きっかけを教えてください。

伊藤:いやぁ、きっかけなんてないんですけど……(笑)。お話を書くぐらいしかできないもんで……。やらせていただいております。はい。

――では、セリフやシナリオを制作する際のご苦労などを……。

伊藤:少ない文字で、その場面の臨場感をどれだけ伝えられるかが勝負なので、いつもそこで苦労しています。あと、僕って、キャラクターのセリフを制作しているのを、後ろから見られるのが嫌いなんですよ。ちょっとでも背後に立たれたりすると、もう仕事が進まなくて……。恥ずかしいんですよね、やっぱり(笑)。

――どんなセリフが恥ずかしいですか?

伊藤:そうですねぇ~。セリフって、自分では絶対に言わないようなことも、言わせなきゃいけなかったりするじゃないですか。特に、女の子のセリフなんかは、男の僕が普段言うはずもないんで、自分がキャラクターになったつもりで書かないとだめなんです。で、ブツブツ自分でしゃべりながら作るんですけど、絶対聞かれたくないですから……。

――メガテンの世界観を創る際に、影響を受けた小説や映画などはありますか?

伊藤:そうですねぇ、ないことはないんですが、手の内をあまりバラしたくないので、ナイショです(笑)。まぁ、個人的には、現代ものの小説なんかが好きですけど。

――『デビルサマナー』で、お気に入りのセリフとかってありますか?

伊藤:ええーっ、言わなきゃだめですか?恥ずかしいなぁ……。そうですねぇ……。『サマナー』の主人公ってゲーム序盤で、彼女の久美子にずいぶん引きずり回されますよね。あの時のやりとりが、主人公の性格を決めていくんですけど……。臨海公園にある喫茶アフロで久美子と待ち合わせた後、図書館に行きますよね。で、本を借りてから、彼女が大学に寄りたいっていうところがあるんです。そこで色々と選択肢が出るわけですが、とにかく一緒に行くのを断るんです。そうすると、怒った久美子が「世界はあなた中心で回っているわけじゃないのよ」って言うんです。そりゃ、お前のことやんけーっ!!みたいな(笑)。このやりとりが案外好きですね。

――なんだか、ちょっぴり女王様チックな女の子ですよね。わたくしの言うことをお聞きッ!みたいな。

伊藤:実は、制作初期の久美子は、こんなワガママなお嬢様じゃなかったんです。いいお家柄の娘さんという設定でもありましたし。もっとおしとやかで、控えめで……ああ、これぞ大和撫子ってみたいな女の子になるはずだったんですけど……。

――セリフを作っているうちに、現在のキャラクターができたんですね。

伊藤:彼女がシナリオを進める役を担っていたので、ある程度強引な性格でないと務まらなくなってしまったんですよ。で、できた結果が、典型的なワガママお嬢様(笑)。自分にも何か飲み物が欲しいっていうから頼んであげると、文句を言ったりするし。

――お気に入りのNPCというと、誰になりますか?

伊藤:ん~、『真1』のカオスヒーローかな。イッちゃってるんで、今見るととても恥ずかしいです。若さゆえの過ちみたいな感じ。

――ゲーム内で吉祥寺など、現実にある地名がよく出てきますが、こういう場合に現地取材などもしてらっしゃるんですか?

伊藤:そうですねぇ、やるときもあるし、やらないときもあります。特に吉祥寺は、ウチの社の者が長年住んでいるんで、取材の必要がありませんでした(笑)。土地の名前とか、キャラクターの名前とかって、案外安易ないきさつで付いてたりするんですよ。

――岡田さんもおっしゃってましたが、『真2』の岡本とかですか?

伊藤:そうそう。白状しちゃうと、『真2』の目加田なんか、僕の学生時代に住んでいたアパートの大家さんなんですよ(笑)。

――あの、話は変わりますが、伊藤さんはオリックスブルーウェーブの大ファンとか……。

伊藤:ええ、そうなんですよ。今年(1995年)なんか、リーグ優勝を成し遂げましたからね!

――日本シリーズは残念でしたね……。

伊藤:う~ん、第7戦まで持ち込んで欲しかった……。いやぁ、悔しさあまって、ゲーム内でウサ晴らしをさせていただきました(笑)。

――もしかして、喫茶アフロで見れるスポーツニュースですか?

伊藤:はい。市の名前が初期設定のままだと、平崎ウェーブスと東京スパローズという野球団が対戦してるんですよね。試合結果は5-0でウェーブスの勝ちで、対戦成績はこの試合を含め、ウェーブスがスパローズに3連勝中ってことで、ひいきチームが勝ってます(笑)。

――実は私、スパローズのファンなんです……(双方、気まずい沈黙……)。

伊藤:ははははははは。

――ちょっと悔しかったです……。

伊藤:はは……はははははは……。


最終更新:2020年06月10日 20:43