真・女神転生デビルサマナー スタッフインタビュー

メガテンクリエイターの新たなる試み

 初代デビルサマナーから10年以上もの時間が経った現在も、『葛葉ライドウ』として広がりを見せるデビルサマナー・ワールド。これからも続いていくであろうデビルサマナーの世界観は、一体どのような経緯で生まれてきたのだろうか。そして、これからどこへ向かっていくのだろうか?『真・女神転生デビルサマナー公式ガイドブック・ファイナル』に掲載されているスタッフインタビューを改めて読み直してみることで、デビルサマナーの「これから」に、想いをはせてみようではないか。ゲームをプレイしただけでは読み取れないデビルサマナーの「真実」と、そしてデビルサマナーのこれからを暗示する「キーワード」が、そこにはあるかもしれない――

岡田耕始 Cozy Okada

  • 担当:ディレクション。
  • 苦労談:主人公からデビルサマナーに変わるまでの設定。
  • 好きな悪魔:ジャック兄弟(カワイイから)。
  • 注目点:主人公=プレイヤーとキョウジ=デビルサマナーとの立場。
  • 音楽と映画:R&B。洋画全般。
  • 本と作家:推理全般。ジェフリー・アーチャー等。

金子一馬 Kazuma Kaneko

  • 担当:世界観設定。キャラクター及びモンスターデザイン。
  • 苦労談:MACのメモリー不足。
  • 好きな悪魔:グレンデル(シンプル&ヒネリ)、キュベレ(M7星雲アレンジ)、オバリヨン(カワイイ)。
  • 注目点:ズッコケハードボイルド的なイメージコンセプト。
  • 音楽と映画:BLACK、FUNK、DANCE系。B級ホラーやカンフー映画。
  • 本と作家:クラーク、ブラッドベリ、ラヴクラフト。「探偵渡邊文男の怨霊調査報告書」は最近読んだオススメの本。

伊藤龍太郎 Ryutaro Ito

  • 担当:シナリオ、イベントメッセージ等。
  • 苦労談:新ハードに変わったこと。
  • 好きな悪魔:忠誠度4~5の悪魔(時々見せる効果的な行動がうれしい)。
  • 注目点:ハードの違いによる、従来との違い。
  • 音楽と映画:カラオケで歌える歌ならなんでも。バリー・レビントン監督のケレン味のない演出。
  • 本と作家:司馬遼太郎、池波正太郎、隆慶一郎、ジェフリー・アーチャー、トム・クランシー、レン・デントン等。


Nothing succeeds like success.
成功は成功に通ず。
これまでも成功を重ねてきた『メガテン』シリーズ。そこには、方向性の異なる信念を持つ人々と悪魔たちとの共棲関係があり、多くのプレイヤーを魅了してやまない悪魔合体などの重要なファクターが存在している。
だが、『メガテン』クリエイターたちは、そうした成功の要因に自縛されることなく、常に新たな「成功」のための試みを絶やさない。キャラクター立てによるドラマ仕立てのシナリオも、新たな成功を重ねるためのひとつの冒険であり、これまでの「成功」を踏まえた上でのひとつの跳躍なのかもしれない。

プライベートで幽体離脱の話をしてね。

――今回『if...』の後に、『真・女神転生デビルサマナー(以下『デビルサマナー』)』を制作したきっかけは?

岡田:『真・女神転生2(以下『2』)』のときの壮大なイメージからそのまま『3』という壮大な方向へいく路線もあるけれど、もうちょっと身近な線を狙いたいというのがあって、そこで『if...』の発想があったんです。『if...』のときには、本当に受け入れられるのか、という心配があったんですが、結果として「結構面白い」という反応があったので、そういった考えをしてもいいんだなと。前々から“パラレルワールド”という考え方は持っていたんですが、それが結構いけることがわかったんですね。それで『if...』の延長上を考えたいということがあったんです。それから、主人公とは違った部分で、キャラクターをもっと立てていきたいというのもあったんです。『if...』は、ああいったパートナーという環境があったので、それなりに色は出せたとは思うんですが、『1』や『2』でのパートナーはただ横にいて一緒に戦闘に参加しているだけだったでしょ。そういう意味で、悪魔は今まで通り合体の要素があっていい、でもそれとは別に、パートナーや周りのサブキャラクターたちも人間臭さを出していきたいと思ったんです。そういう発想から、デビルサマナーと主人公は違いますよ、という部分を全面に出していこうと考えたわけです。

飯田:確かに『デビルサマナー』は、ドラマ仕立てですよね。

岡田:金子と話していたのだけれど、一番最初は「主人公=プレイヤー」という概念はあるものの、スタートボタンを押した段階で、いきなり「あなたはもうサマナーですよ」という形にするつもりもあったんです。「あなたは勇者です」じゃないですけれど、それでいこうと。だけど、俺の中でね……。

飯田:「とにかくサマナーになるまでが大事だ」って、岡田さんは言ってましたね。

金子:「偶然」というものをうまく表現できないかと、結局偶然ではないのだけれどね。考え始めた頃は、空港で擦れ違いに荷物を間違えるとか……。

飯田:それ、『北北西に進路をとれ』みたいじゃないですか。

金子:ヒッチホック的な感じ。そこで運命の歯車が狂う……ってね。

岡田:その辺は、プライベートでの話があるんですよ。平気でエクトプラズムを出す奴が知人にいたり、大病で死にかけて臨死体験して、天井から自分を見下ろした奴とかいたりして、プライベートで幽体離脱の話をしてね。「あ、こういうのって結構いいな」と。

飯田:それが、サマナーと主人公の、幽体離脱ネタのきっかけ?

金子:映画にも『天国からきたチャンピオン』や『ゴースト』とかあったでしょ。そんな話から“イイよそれ”ということになって。

岡田:完全に川を渡ってしまうのではなく、渡れない、という。あくまでゲーム上だけど、自然に持って行けるんじゃないかな、と。そうすれば、スタートボタンを押して、イキナリ「あなたがヒーローです」というのよりは、もっと入り込めるんじゃないかなと思ったんです。それに、今回は「(既に作られている)主人公=プレイヤー」は、やめようと考えたんです。『2』は「アレフ」という名前で出していたし、『1』はコーヒー豆(1000円也)を買いに行ったっきりだし。そこで、今回は何もなくしてしまおうと。若くもなく歳をとっているわけでもない男性、というだけで、イラストも描かずに全てプレイヤーに委ねてしまおうと。

飯田:「主人公はあなただよ」と。

岡田:広報的には、それがないとどうしてもデビルサマナー(葛葉)が主人公だって思われてしまうから基本的にそれは違うんだよという意味で、シルエットだけ出したんです。あとは、プレイして理解してもらおう、と。サターンになって、文章だけでなく、グラフィックやサウンドといった部分でそれを表現できるだろうと思ったんです。ハードを駆使して、とにかくポリゴンで何かやらなくちゃいけないとか、そういうのは一切ないんですよ。単純に「どう表現できるのかな?」というところで「ああ、ここまで出来るんだったら、こういう表現をしちゃおう」という感じですね。

寝たきりでエンディングにしちゃおう。

岡田:エンディングがらみでも、主人公が「(元の自分の身体に)戻れる」かどうかで、随分話したんだよね。

金子:戻す選択肢があってもいいんじゃないか……って。

岡田:まあ、あとで考えたら、ただ間違えられただけじゃ面白くないんで、最初だけわざと(間違えられただけのように)見せておいて、実はカロンが仕組んでいたんだよ、と。で、戻るときには結局サマナーの身体にね。最後にあんまり分岐をやるよりも、サマナーで通した方がストレートというか、伝える方も楽じゃないか、と。

飯田:それって、次のことも考えて?

岡田:……え?(笑)

金子:ま、正直言うと、俺は考えていたけどね(笑)。レイ・レイホゥの神降ろしってのは、その対策もあったんです。

飯田:伊藤さんは、元の身体に戻したかったの?

伊藤:いや、戻す分岐もあっていいかなって。で、主人公の身体に戻るとなると、その身体は病院で寝たきりの状態でしょ。じゃあ、寝たきりのエンディングにしちゃおう。一種のバッドエンディング的なもので。そうすると、サマナーが元に戻るわけで、奴は奴なりに事件を解決するだろうから、そのあとで病院に見舞いに来て「安心しろ、お前のお陰で解決したから」って言って、スタッフロールが病院の窓で、外の木に枯葉が一枚残っているというエンディング。

飯田:うわぁ、すげぇエンディング。ダークだなぁ(笑)。

全部で9つあったけれど、削っちゃったんです。

飯田:工藤勇作って、“工藤俊作”を狙ったパロディ?

岡田:他にないじゃん。

金子:街のイメージは、基本的に横浜なんですけど、あとは「傷だらけの天使」をミックスしたイメージ。

岡田:雑多な、無国籍な、オリエンタルな、という部分もあるけれど、平穏な平凡な部分も出していきたい、というのがあったんです。

飯田:フィクションなんだけど、どこにでもありそうな街。

伊藤:その辺りは難しかったですよね。

飯田:平崎市の地形は?

岡田:全部モデル(作り)ですよ。

金子:基本は鬼をイメージして……「鬼の顔」に見えないですか?

岡田:平崎市は、風水に基づいて作ったんですよ。氷川神社が鬼門にあたるんです。本当はエリアの数がもっと多かったんです。

伊藤:全部で9つあったんですけど、削っちゃったんです。

飯田:話が長くなっちゃうから?

伊藤:密度とか物理的な作業の問題もありますけどね。でも、削っちゃったんで、9つの内6つ(中心も入れて、魔法陣に関係するところ)しか残らなくなってしまったんです。それだと、(魔法陣の存在が)バレバレかなと心配していたんですよ。

――プレイしていても、気付きませんでした。星座を全く知らない人が星を眺めても(星座の繋がりが)わからないのと一緒ですね。

伊藤:ああ、いい喩えかもね。スタッフでも、実際やってみたら全然わかんなかったと言っていたし。僕らなんかは、わかっててやっているから、あからさまかな?……って感じるんでしょうね。

元ネタとして読んだ本がかなり重なっている。

――ダークサマナーが言っていた組織というのは?

伊藤:謎です。謎なもの、未知なるものの方が怖いじゃないですか。

金子:イメージとしては、あるんですが……。

伊藤:組織の名前を「イルミナティ」ってつけたら……。

金子:いや、「光明結社」ですよ、あれは(笑)。

飯田:続編以降で明らかになる?

金子:ええ、次々と刺客が……。

伊藤:……かもしれない(笑)。シド・デイビスにしても、本当に死んだかどうかも、定かではない。

飯田:そのシド・デイビスのイメージは?

金子:モロに黒人キャラクターを出したかったんですよ。星マークは、五芒星です。仇名は、シューティングスターとか。

飯田:金子さんに聞いてみたかったんですが、よく悪魔の肩口にシリアルナンバーみたいな数字が入ってますが、あれは?

伊藤:未来の管理社会を……。

金子:……とかね。昔は元のイメージを守っていたけれど、最近は壊し系に入っていますから。

岡田:シド・デイビスあたりは、国籍をどうしようか、と。

金子:個人的には、イタリア系ですね。カポエラの名手なんです。彼の足技には気を付けなければならない、とかいうのを入れて欲しかったですよね(笑)。

飯田:今回は、変な外人が多いですよね。

伊藤:環境のせいなんです。僕が住んでいるところは、夜12時を過ぎると、日本語が全然聞こえてこないんですから(豊島区大塚)。

飯田:ネーミングに関しても、秦氏とか入っているし……。

伊藤:まあ、声高には言ってないので、わかる人はニヤリとしてくれるんじゃないか、と。

金子:シュメールも流れてますからね。古代のイナルナ姫あたりの。あれも、最初はタキヤシャ姫だったんですよ。

伊藤:マサカドの娘の怨霊ね。でも、某小説で全く一緒の設定が見つかって、これはきっと元ネタにして読んだ本がかなり重なっているだろうな、というんで全面架空にしたんです。

金子:でも、キャラクター的には、タキヤシャ姫ももっと扱っていきたいよね。

飯田:それから、Tシャツの磯野刑事は礒貝さん(『if...』のアキラ編シナリオ作成、今回は悪魔設定などを担当)がモデルだとか。

伊藤:そのまんまです。先週まで(11月末まで)Tシャツ1枚で会社に来てたんですよ(笑)。

実はMCハマーだったんだよ。

飯田:シナリオ部分で苦労しているなぁ、と思ったんですよ。

金子:普通の人の会話が面白いよね。夫婦ものとか、いい味出してるよ。「実は4人なの」ってのには、知っていても、笑ったよ。

伊藤:最初のところだけ、僕が作って、あとは若いスタッフに任せたんですよ。そしたら、どんどん人数を増やしやがって(笑)。

飯田:喫茶アフロはやめる予定だったんですよね。最初は、寿司屋みたいな店だったし、髪型も変える予定だった。

金子:でもモヒカンを10回頼んだら、モヒカンになって欲しかった。

岡田:改名しましたって。「喫茶モヒカン」ってね(笑)。

伊藤:喫茶店で失敗したのは、テレビネタ。あれは、本当はもっとさり気なくしたかった。あれ作ったのは日本シリーズの前だもん。

――ドクタースリルと造魔に関しては?

伊藤:ドクタースリルの元ネタは手塚先生ですから……。

金子:それが違うんだよ。実は、MCハマーのビデオで、ボビー・ブラウンが出てきて、マイケル・ジャクソンのことを「奴はスリルで酔わせた」って言うじゃん。『スリラー』のことなんだけど、それでスリル博士っていいなって思って。あとで本屋で見たら、「スリル博士」ってあって……。

伊藤:てっきり最初からそれだと思ってた。

金子:実はMCハマーだったんだよ。でも逆に嬉しかったけどね。

岡田:造魔の持つ成長要素っていうのは、前からずっとやりたかったことだったんです。

金子:「育てゲー」ですよね。

岡田:ただ、それだとメインの合体要素を、否定とは言わないまでも、壊してしまう危険性もあったんです。かといって、全く使えないんじゃ意味がないし、と、バランス的には難しかったですね。

伊藤:造魔はコストパフォーマンス悪いですよ。造魔の内は使えないから、どんどんレベルアップして英雄にまで持っていかないと。その代わり、英雄はかなり使える奴みたいです。

――前作までは、悪魔の対立構造に自分が組み込まれていく「悪魔のドラマ」だったけれど、今回は「人間のドラマ」だと感じたんです。そこでの造魔というものは、すごく象徴的に思えました。

飯田:今までの壮大なストーリーに比べて、今回は最初から足が地についていた感じがありましたよね。「俺は葛葉なんだ」って。

――ただ、最後に「どう呼んでほしい?」ってレイに聞かれたときには、悩みましたよ。

岡田:いいなぁ。ハマってくれてるなぁ(笑)。

伊藤:いやもう、意図した通り。嬉しいなぁ(笑)。

あれにはちょっと我慢がならなかった。

――今回は、パーティーの仲魔がいきいきしていましたよね。

岡田:造魔も、戦闘中の性格づけ(ヴァイスシステム)も、ストーリーの人間性とは別に、前々から息を吹き込みたいというのがあったんです。A+B=Cという合体のネタとしての物扱いは、『メガテン』としては、もうやりたくなかった。バランスが大変かな、という心配はあったものの、最終的には、あの“言うことを聞かない”というのも、いい感じに出たと思いますね。

金子:「足首いたーい」にはちょっと我慢がならなかった(笑)。

飯田:中ボス戦で言うことを聞いてくれると、嬉しいですよね。

岡田:あそこで言うことを聞いてくれるところが、イイんですよ。

――ボス戦とそれ以外で、思考的には変わっているんですか?

岡田:変わってないです。

金子:あれは不思議なマジックですね。

飯田:悪魔と言えば、イッちゃってる系の会話がすごいですね。

岡田:今回の関西弁は地元出身者がやってますしね。今回は、悪魔のリアクションもこちらのスタンスも、身近な臨場感というのが出せたと思うんです。

――会話した相手が次に再び出会うと、前回会ったことを覚えているのはすごいですね。

岡田:鬼ごっこやデートの約束などの前の情報をちゃんと持っているんです。今までは戦闘の中の会話で終わっていたものを、全体を通して引きずっている。また、今回はダーク系の悪魔ともかなり話せて、何か物を貰えるようになったし。

飯田:でも、ぎりぎりまでダークって気付かない相手もいますよ。

岡田:そこも迷ったところなんだよね。ある程度気付いてもらわないといけないし。でもセリフで苦労したのは、タカシにサマナーの魂が乗り移っているのをレイが気付くというシーンなんです。サマナーの口癖でそれを気付かせようとしたけれど、なかなか粋なのができなくて。実は、「あばよ、あばよ」って口癖はタカシのものだったんですが、急遽これをサマナーの口癖にしようとマスターぎりぎりになって、全部「あばよ」を入れ替え。スケジュール的にも大変でしたね。それから“久美子との会話”ですね。

吾妻教授って強いんだ!?

飯田:今、スケジュールの話も出ましたが、ガイドブックの1冊目は簡単なデータを見せるところまでしかできなかったんです。そこで、ここはこうした方がいいよ、といったヒントみたいなものは?

伊藤:ボスとかも一発で殺せる技もいっぱいありますからね。魔晶変化で造ることのできる剣なんかは、最後のボスに近い中ボスを2回で倒せるし。でもそれを造るには、シヴァを造って、忠誠度を最高にしなければならないので……(笑)。

飯田:それだったら、もうクリアしてますよ(笑)。

岡田:今回は、地下水道とか笠置山の森が、解放エリアになっているので、そこで合体材料を探すとか。

金子:笠置山の異界化は、レイが神降ろしをして地脈を乱したために、異界化したという噂が……。

伊藤:実は、異界化したのは吾妻教授という噂も。吾妻教授が自分の身を守るために異界化して悪魔を放って……。

岡田:悪魔放てるのか!?(笑)

飯田:レッドマンって誰ですか?もしかして、スティーブン?

金子:むむ……。

伊藤:レッドマンは、車椅子に乗っているんだろうなぁ、とかね。

――「今度会いましょう」と彼からメールが来ますよね。あとのダンジョンに出てくるのかなって……。

伊藤:期待するでしょ(笑)。

――で、地下水道にいるのか、と思って捜していたら、デビルバスターバスターズに出会ってしまって(笑)。

飯田:あれが、あの企画(週刊ファミ通・メガテンネットでのアイデア募集企画)で唯一、見た目で採用されたものですよね。

金子:面白かったですよね。

岡田:ランタンが可愛いよね。

――ディスコ・エゼキエルに踊りに来ているのも奴等ですよね?

伊藤:やっぱりね、自分のアイデンティティがしっかりしていない奴は、とり憑かれちゃうんですよ。それから、「エゼキエル」って名前も象徴的ですよね。「預言者」って意味ですね。

金子:うん。あれは我ながらカッコイイなって思ってる。

シリーズ化という可能性もありますね。

――では、最後に総括を。

伊藤:ちょっと時間的な問題もあって、伏線張りまくり状態になってしまったところは申し訳ないとは思いますね。まぁ、想像の余地を残したということで(笑)。今までの壮大な路線がイイと感じている人には、志が低いと思われるかもしれませんが、今回は肩の力を抜いて楽しんでもらえるものを狙って作ったんです。最初はビデオ屋さんから『探偵物語』を借りてきて観たりとか。あとで『Xファイル』観て“ああ、こういうやり方もあったかな”とか。自分が制作期間の前半頃に観ていたものが全部そのまま出ていて、見る人が見れば「これはアレだな」というのがバレバレなんで、すごく恥ずかしいんですよ。今に始まったことじゃないですけど。

飯田:俺は『メガテン』のパロディ精神は好きだな。パロディっていうのを隠そうとしないところがいいと思うんです。悪魔も『メガテン』なりの解釈だけど、キャラとして立たせているでしょ。元の悪魔にも興味を持ったりして、知識を深めるのにも役立つゲーム。

金子:何年かして「ああ、女神転生でみたよ」なんて言われると嬉しいですね。まぁ、ライトなノリのヒーロー像というのを描いてみたんで、「こんなのがいるんだな」と思ってプレイしてもらえればいいと思うし、伏線も張りまくりで作ってるんで、次をお楽しみに。

岡田:今回の最大のコンセプトであるキャラクター性や臨場感、人間性というのは、出せたと思うんです。これはこれからも出していきたいし、そういう意味では、まだ可能性を秘めています。ハード的な問題ではなく「ああ、ここまでできるんだ」というのが今回あったんで、表現とかの部分でももっとできるかなというのもあるし。

金子:ビジュアル的にもやりたいよね。

岡田:次は、ただお話が違いますよ、っていうだけじゃなくて、いろんな試みも今から考えています。合体とかも、簡素化っていうのが、あっさりし過ぎちゃうかな、とか思ったんだけど、自由度の高いパーティー編成が作れるような、高いレベルにまで仕上がったなと思っています。そういう意味では、今回やろうと思っていたことは方向性としては間違えていなかったなという感じがするんで、今後はそこらへんをもっと突き詰めていきたい。

飯田:シナリオ的には?今回のような身近な話?

岡田:そこらへんは、もっとやっていきたい。もちろん壮大な方の『3』の構想もありますよ。それとは別に、『if...』からの流れの、サマナー路線というのも面白いと思っていますから、シリーズ化という可能性もありますね。

――楽しみですね。では、本日はありがとうございました。

メガテンクリエイター

自信と不安は背中合わせだ。だがそれは成功と失敗を意味するものではない。単なる続編物を拒絶し、パラレルワールド的な世界観によって、新たな世界を構築し成功する『メガテン』シリーズは、また新しい成功を生み出すだろう。


最終更新:2019年04月21日 19:08
添付ファイル