「クソッ! どこまでも俺を嘗めてくれる……!!」
黒を基調にしつつ赤も混じったデザインのコートを身に纏った男が、怒りのあまり己の拳を近くにある建物の壁に叩きつける。
彼の名前は駆紋戒斗。かつては己の為に強さを追い求め、弱者が犠牲にならない世界を望んだ不器用な男だ。
そんな彼は今、猛烈な怒りを覚えていた。
彼の名前は駆紋戒斗。かつては己の為に強さを追い求め、弱者が犠牲にならない世界を望んだ不器用な男だ。
そんな彼は今、猛烈な怒りを覚えていた。
戒斗の怒りの理由は、この殺し合いが気に入らないから、というのもある。
元々彼は「弱者は強者に踏みつけられるしかない」と嘯きながらも、何よりもそんな世界を憎んだ男なのだ。
しかし殺し合いの主催者は、力を武器に参加者達を脅しつけ、そして願いが叶うという餌で参加者達を釣ろうとしている。
こんな振る舞いを戒斗が気に入る筈もない。
かつての彼なら、殺し合いを真っ向から叩き潰し、主催者が持つであろう願いを叶える力を奪い取るべく行動しただろう。
だが今は違う。
元々彼は「弱者は強者に踏みつけられるしかない」と嘯きながらも、何よりもそんな世界を憎んだ男なのだ。
しかし殺し合いの主催者は、力を武器に参加者達を脅しつけ、そして願いが叶うという餌で参加者達を釣ろうとしている。
こんな振る舞いを戒斗が気に入る筈もない。
かつての彼なら、殺し合いを真っ向から叩き潰し、主催者が持つであろう願いを叶える力を奪い取るべく行動しただろう。
だが今は違う。
今はもう、願いを叶える力にすら興味はない。
なぜならば
なぜならば
「俺を蘇らせれば、お前達の考えた通りに動くとでも思ったのか……!!」
戒斗は一度、既に死んだからだ。
この殺し合いに呼ばれる少し前、彼はある戦いに挑んでいた。
それは黄金の果実を求める戦いだ。
黄金の果実とは、手に入れれば今の世界を己の願うままに作り変えることができるとされる、凄まじい力を持った果実。
彼はその果実を手に入れ今の人類を滅ぼし、彼が望む命で地球を満たそうと考えていた。
それは黄金の果実を求める戦いだ。
黄金の果実とは、手に入れれば今の世界を己の願うままに作り変えることができるとされる、凄まじい力を持った果実。
彼はその果実を手に入れ今の人類を滅ぼし、彼が望む命で地球を満たそうと考えていた。
しかしその野望に正面から立ちはだかった男がいた。
その男の名前は葛葉紘汰。彼は今の人類を守るべく戒斗に戦いを挑んだ。
その男の名前は葛葉紘汰。彼は今の人類を守るべく戒斗に戦いを挑んだ。
互いに死力を尽くした戦い。その戦いに勝利したのは紘汰だった。
戒斗は己とは違う強さを持った紘汰に敗北した。
強くなるにつれて優しさを失うと思っていた戒斗に、紘汰は否を叩きつけたのだ。
そして戒斗はこの世を去った。
戒斗は己とは違う強さを持った紘汰に敗北した。
強くなるにつれて優しさを失うと思っていた戒斗に、紘汰は否を叩きつけたのだ。
そして戒斗はこの世を去った。
はずだったが、彼はここにいる。
彼はそれが腹立たしくて仕方ない。
彼はそれが腹立たしくて仕方ない。
もともと彼は、どれだけ叩きのめされようとも、己が屈さない限り負けではないと考える男である。
裏を返せば、己が負けたと思えばそれを素直に認める男だ。
敗者復活戦があったとしても、参加する気など毛頭ない。
人類を滅ぼそうなどとは、もう考えていない。
にも関わらず主催者は生き返らせたのだ。ならもうこれ以外の道は、彼の中には存在しない。
裏を返せば、己が負けたと思えばそれを素直に認める男だ。
敗者復活戦があったとしても、参加する気など毛頭ない。
人類を滅ぼそうなどとは、もう考えていない。
にも関わらず主催者は生き返らせたのだ。ならもうこれ以外の道は、彼の中には存在しない。
「冥界の魔王ハ・デスなどと言っていたな。オーバーロードとは違うようだが……
だがまあいい。貴様が何者であろうとも、俺が必ず叩き潰す!!」
だがまあいい。貴様が何者であろうとも、俺が必ず叩き潰す!!」
戒斗は主催者に向けて、真っ向から宣戦布告を叩きつけた。
もしこれに怯え首輪を爆破するなら奴らは所詮その程度。
今更惜しむものでもない命一つで、主催者の底の浅さを露呈するだけだ。
もしこれに怯え首輪を爆破するなら奴らは所詮その程度。
今更惜しむものでもない命一つで、主催者の底の浅さを露呈するだけだ。
しかし、戒斗の叫びから幾分か過ぎても首輪が爆発する気配はまるで見えない。
ならばいい、とばかりに彼は歩き出そうとするが、そこに別の参加者から声がかかる。
ならばいい、とばかりに彼は歩き出そうとするが、そこに別の参加者から声がかかる。
「すいません。少しいいですか?」
戒斗が声のした方に振り向くと、そこには彼と同じく殺し合いの参加者である男が、猫背で立っている。
男の外見はボサボサの髪。目の下に濃い隈。そして裸足でヨレヨレの白Tシャツに、ダルダルのジーパン。
戒斗には、目の前の男の外見が酷く異様に見えた。
だが同時に、男の瞳には強い意志が備わっているように戒斗は感じた。
男の外見はボサボサの髪。目の下に濃い隈。そして裸足でヨレヨレの白Tシャツに、ダルダルのジーパン。
戒斗には、目の前の男の外見が酷く異様に見えた。
だが同時に、男の瞳には強い意志が備わっているように戒斗は感じた。
もし自分を利用して甘い蜜を啜るような奴ならば無視して立ち去るつもりだったが、そうではないらしい。
そう思った戒斗は話を聞くことにした。
そう思った戒斗は話を聞くことにした。
「俺に、何か用か?」
「はい。あなたが発した主催者への宣戦布告が聞こえまして、よかったら私も一緒に戦わせてもらえませんか」
「はい。あなたが発した主催者への宣戦布告が聞こえまして、よかったら私も一緒に戦わせてもらえませんか」
男の語る言葉は、戒斗にとっては予想通りだった。
だからこそ、一つ聞かねばならないことがある。
だからこそ、一つ聞かねばならないことがある。
「共に戦うか。それはいいだろう。
だがお前に何ができる。俺には戦う力があるが、お前にはあるのか」
だがお前に何ができる。俺には戦う力があるが、お前にはあるのか」
戒斗は目の前の男を鋭い目つきで睨む。
これは彼の試金石。この程度で怯むなら、目の前の男に用などない。
これは彼の試金石。この程度で怯むなら、目の前の男に用などない。
「何ができるか、ですか……
私は多少の格闘技ができますが、この殺し合いでどこまで通用するか分かりません。
かつては世界一の探偵と呼ばれたこともありましたが、私の頭脳が役に立つ保証もありません」
私は多少の格闘技ができますが、この殺し合いでどこまで通用するか分かりません。
かつては世界一の探偵と呼ばれたこともありましたが、私の頭脳が役に立つ保証もありません」
男は目を伏せ、自信なさげに戒斗の問いに答えていく。
「ですが」
だがここで男は目を見開き、戒斗を真っすぐに見つめる。
その眼差しは、戒斗に勝るとも劣らないほどに強かった。
その眼差しは、戒斗に勝るとも劣らないほどに強かった。
「何もできないからと言って、諦めるつもりもありません。
私、こう見えても結構負けず嫌いなので」
「そうか」
私、こう見えても結構負けず嫌いなので」
「そうか」
男の答えに、戒斗は満足気に返事をする。
彼はこの瞬間、目の前の相手を強いと認めたのだ。
彼はこの瞬間、目の前の相手を強いと認めたのだ。
◆
行動を共にすることを決めた二人は、近くにある喫茶店に来ていた。
互いのことを何も知らないので、まずは自己紹介を兼ねて情報交換することにしたのだ。
お互い喫茶店にあるテーブルを挟んで席に着く。
その時、Lが椅子の上で体育座りで座るという変わった座り方を見せ、戒斗が訝し気にそれを見るが
互いのことを何も知らないので、まずは自己紹介を兼ねて情報交換することにしたのだ。
お互い喫茶店にあるテーブルを挟んで席に着く。
その時、Lが椅子の上で体育座りで座るという変わった座り方を見せ、戒斗が訝し気にそれを見るが
「この座り方でないと推理力が40%ほど落ちるので」
と言い、そのまま特に直すことも無いまま自己紹介を始める。
「ではまずは私から名乗りましょう。
私はLです」
「……ふざけているのか?」
私はLです」
「……ふざけているのか?」
しかしいきなり躓いた。
いきなり自分をアルファベット一文字で呼称させようとすれば、戒斗の不信感も当然ともいえる。
Lもそれに気づいたのか「すみません」と言いながらも釈明する。
いきなり自分をアルファベット一文字で呼称させようとすれば、戒斗の不信感も当然ともいえる。
Lもそれに気づいたのか「すみません」と言いながらも釈明する。
「私は仕事の都合上、いくつか名前を持っていまして。その中で一番通りがいいものを選びました」
「……そういえば探偵とか言っていたな」
「はい。まあ、通称ですが本名よりは知られています。ですが意外でした」
「……そういえば探偵とか言っていたな」
「はい。まあ、通称ですが本名よりは知られています。ですが意外でした」
Lの心底予想外だったと思わせるような言動に、戒斗が疑問を示す。
「何がだ?」
「私の名前はキラ事件を捜査する都合で、結構知られてしまったと思っていたので」
「……キラ事件? 何だそれは?」
「私の名前はキラ事件を捜査する都合で、結構知られてしまったと思っていたので」
「……キラ事件? 何だそれは?」
戒斗が続けて放った疑問に、Lは言葉を失った。
Lからすれば、キラ事件ほど世界に知れ渡った事件は存在しないと言ってもいい。日本人ならなおさらだ。
しかし戒斗は知らないと言う。
Lからすれば、キラ事件ほど世界に知れ渡った事件は存在しないと言ってもいい。日本人ならなおさらだ。
しかし戒斗は知らないと言う。
キラ事件。
ある日突然、世界中の犯罪者を心臓麻痺で抹殺する謎の存在『キラ』。
Lはキラの正体を探り、法で裁かせるべく警察と協力し捜査していた。
その結果、キラは日本人であることと、死神が落とした、名前が書かれるとその人を殺すデスノートを用いて、キラとして活動していることを突き止める。
そして、ノートの持ち主もほぼ確信していた。
ある日突然、世界中の犯罪者を心臓麻痺で抹殺する謎の存在『キラ』。
Lはキラの正体を探り、法で裁かせるべく警察と協力し捜査していた。
その結果、キラは日本人であることと、死神が落とした、名前が書かれるとその人を殺すデスノートを用いて、キラとして活動していることを突き止める。
そして、ノートの持ち主もほぼ確信していた。
「キラ事件はさくらTVを筆頭に、テレビでも盛り上がっている筈ですが」
「そんなTV局を俺は知らん」
「そんなTV局を俺は知らん」
ここまで話して、二人は互いに前提がおかしいことを察した。
そこで二人はお互いが持つ情報を晒しあう。
そこで二人はお互いが持つ情報を晒しあう。
戒斗はアーマードライダー、インベス、オーバーロード、ヘルヘイムの森、黄金の果実について。
Lはキラ事件、デスノート、死神について。
更に――
Lはキラ事件、デスノート、死神について。
更に――
「俺だけではなく、お前も既に死んでいるか……」
「驚きです。
それだけでなく、お互いに時代が違うことも」
「驚きです。
それだけでなく、お互いに時代が違うことも」
二人とも、既に死んでいることが発覚した。
Lはキラの正体をほぼ確信していたが、証拠を掴み切れず、先に殺されてしまったのだ。
そして時代の違い。
戒斗は2013年に死亡したが、Lは2004年に死亡していた。実に9年も時間の差が開いている。
Lはキラの正体をほぼ確信していたが、証拠を掴み切れず、先に殺されてしまったのだ。
そして時代の違い。
戒斗は2013年に死亡したが、Lは2004年に死亡していた。実に9年も時間の差が開いている。
最後に、二人とも違う世界の住人であることも。
Lが戒斗の話す情報を知らないのは、ある種当然だ。
何せ未来の話である上に、アーマードライダー以外はある時まで秘匿されていたのだから。
しかし、Lの話は戒斗からすれば過去の話。
その辺りの時期は戒斗にとって忌まわしい出来事もあり、世間の事情どころではなかったが、いくらなんでもそれほどの事件ならば知らない方がおかしい。
何せ未来の話である上に、アーマードライダー以外はある時まで秘匿されていたのだから。
しかし、Lの話は戒斗からすれば過去の話。
その辺りの時期は戒斗にとって忌まわしい出来事もあり、世間の事情どころではなかったが、いくらなんでもそれほどの事件ならば知らない方がおかしい。
故に、二人はお互いを異世界の住人と断じたのだ。
「考えてみれば、ヘルヘイムは世界を渡り歩く存在。
ならば、ヘルヘイムに浸食されていない世界があってもおかしくはない」
「ヘルヘイムですか。
私の知識ではギリシャ神話に伝わる死者の国の一つなのですが、実情とはかなり異なるようですね」
「死者の国か。言い得て妙だな」
ならば、ヘルヘイムに浸食されていない世界があってもおかしくはない」
「ヘルヘイムですか。
私の知識ではギリシャ神話に伝わる死者の国の一つなのですが、実情とはかなり異なるようですね」
「死者の国か。言い得て妙だな」
戒斗から見て、ヘルヘイムに浸食されたあの世界は、世界として死んだと言っても過言ではなかった。
王は民を導く気など無く、強者が好き勝手に暴れまわり、最期には全滅したのだから。
王は民を導く気など無く、強者が好き勝手に暴れまわり、最期には全滅したのだから。
「ところで戒斗さんは、主催者がなぜ殺し合いを開いたと考えますか?」
「どんな理由があろうと俺には関係ない」
「ええ、どんな理由であろうと止めるつもりです。
ですが私達は知らねばなりません。それが主催者を倒す一助となるはずですから」
「どんな理由があろうと俺には関係ない」
「ええ、どんな理由であろうと止めるつもりです。
ですが私達は知らねばなりません。それが主催者を倒す一助となるはずですから」
Lの問いに戒斗は素気無く返答してしまったが、Lはそれに負けじと強く言い切った。
とはいえ、これ以上ここで顔を突き合わせても何かができるわけでは無い。
なので、お互いどちらともなく立ち上がり、店の外にでようとするが、ここでLが戒斗に声をかける。
とはいえ、これ以上ここで顔を突き合わせても何かができるわけでは無い。
なので、お互いどちらともなく立ち上がり、店の外にでようとするが、ここでLが戒斗に声をかける。
「すみません戒斗さん。
よろしければ、武器を譲ってもらえませんか。私の支給品には武器になりそうなものはなかったので」
「……これを使え」
よろしければ、武器を譲ってもらえませんか。私の支給品には武器になりそうなものはなかったので」
「……これを使え」
そう言って戒斗はLにある物と、その説明書を渡す。
それは戦極ドライバーとロックシード。アーマードライダーに変身するために必要なアイテムだ。
それは戦極ドライバーとロックシード。アーマードライダーに変身するために必要なアイテムだ。
「……ありがとうございます。しかし戒斗さんには――」
「俺にはもう必要ない」
「俺にはもう必要ない」
それだけ言って戒斗は地面を踏みしめ先に進み、Lもまた横に並ぶ。
殺し合いに抗う二人の死者の、進撃が始まった。
【駆紋戒斗@仮面ライダー鎧武】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを力で叩き潰す
1:殺し合いに乗っている参加者は潰す
2:首輪を外せる参加者を見つける
[備考]
参戦時期は死亡後です。
クラックを開き、インベスを呼び出すことは禁止されています。
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2(確認済み)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを力で叩き潰す
1:殺し合いに乗っている参加者は潰す
2:首輪を外せる参加者を見つける
[備考]
参戦時期は死亡後です。
クラックを開き、インベスを呼び出すことは禁止されています。
【L@DEATH NOTE】
[状態]:健康
[装備]:量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、バナナロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3(確認済み、武器の類はなし)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める
1:駆紋戒斗と行動する
2:他の参加者を探し、情報交換をする
[備考]
参戦時期は死亡後です
[状態]:健康
[装備]:量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武、バナナロックシード@仮面ライダー鎧武
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3(確認済み、武器の類はなし)
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める
1:駆紋戒斗と行動する
2:他の参加者を探し、情報交換をする
[備考]
参戦時期は死亡後です
【量産型戦極ドライバー@仮面ライダー鎧武】
駆紋戒斗に支給。
仮面ライダー鎧武における変身ベルト。
ロックシードと合わせて使うことで変身可能。
量産型とついているのは、このタイプだと所有者認定など無く、誰でも使用可能となる為。
駆紋戒斗に支給。
仮面ライダー鎧武における変身ベルト。
ロックシードと合わせて使うことで変身可能。
量産型とついているのは、このタイプだと所有者認定など無く、誰でも使用可能となる為。
【バナナロックシード@仮面ライダー鎧武】
駆紋戒斗に支給。
エナジーロックシードの一種。
戦極ドライバーに装填し、使用することでバロンアームズへと変身可能となる。
上記の量産型戦極ドライバーと合わせて一つの支給品として扱われる。
駆紋戒斗に支給。
エナジーロックシードの一種。
戦極ドライバーに装填し、使用することでバロンアームズへと変身可能となる。
上記の量産型戦極ドライバーと合わせて一つの支給品として扱われる。