其れは、闇の狭間よりこの現世へと滲み這い出た煙であり。
其れは、奈落の底より湧きいづる泥水の如き流動であり。
其れは、正しく人の世に降り立った、歪みであった。
魔族でもなければ、人間でもない。昏き闇そのものが人の形を為して跋扈している。
薄白い肌も、虚空の如く深い漆黒の眼も、その細腕も、何もかもが人に見えながらも恐るべき怪異にも思える。
薄白い肌も、虚空の如く深い漆黒の眼も、その細腕も、何もかもが人に見えながらも恐るべき怪異にも思える。
その禍々しき黒曜が、見ている。
たった一人の少女を見ている。
たった一人の少女を見ている。
「ンンン――?」
『男』は笑っている。品定めのように、その眼球で見つめながら。
大きなカブトムシを見つけて興味を示し喜ぶ幼子のような好奇心で。
この時少女に過った思考は「自分の命が今此処でなくなる」ということぐらい。
だが、この『男』の目的は等に厳密には、只の殺戮・蹂躙ではない。
大きなカブトムシを見つけて興味を示し喜ぶ幼子のような好奇心で。
この時少女に過った思考は「自分の命が今此処でなくなる」ということぐらい。
だが、この『男』の目的は等に厳密には、只の殺戮・蹂躙ではない。
「……ふむ。確かにこれは、『当たり』ですなぁ。」
「……ぁ、いや……。」
「……ぁ、いや……。」
舐め回すような、男の声色。粘り湿った音階が、少女の耳に入り込む。
少女にとっての眼前の男はもはや死の恐怖そのもの。
少女にとっての眼前の男はもはや死の恐怖そのもの。
「いや、だ。殺さない、で。」
振り絞って出した言葉は生存欲求、悪く言えば命乞い。
非日常にぬるま湯浸かった程度の日常しか過ごさなかった彼女にとって、この悍ましさの化身は正しく恐怖でしかない。
男がそれを見下ろし
非日常にぬるま湯浸かった程度の日常しか過ごさなかった彼女にとって、この悍ましさの化身は正しく恐怖でしかない。
男がそれを見下ろし
「いえいえ、拙僧はそなたを殺しはしませぬ。少しばかり、用事に付き合ってもらえれば、と思いまして。」
少女が安堵の息を吐く隙間すら無く、男が無造作に空に描くは血色の光条で編まれた五芒の星。
忌まわしき方陣は少女が反応する余裕すら与えず彼女の身体に刻まれる。
忌まわしき方陣は少女が反応する余裕すら与えず彼女の身体に刻まれる。
「―――――――――――______!?」
少女の身体に赤い紋様が、大海に侵食される土砂の如き速さ刻まれる。
激痛と不快感に声を張り上げようと其れすら許されず。
時が止まったかのように少女の身体が倒れ込む。
そこからは、男の残酷な観察だ。
少女の身体が、心が、異形の術式染まっていき、まるで魔族のような身体属性の要素が生えてくる様を。
男は、キャスター・リンボと称されるかつて異星の神の使徒だった英霊は、上機嫌に薄ら笑っていた。
激痛と不快感に声を張り上げようと其れすら許されず。
時が止まったかのように少女の身体が倒れ込む。
そこからは、男の残酷な観察だ。
少女の身体が、心が、異形の術式染まっていき、まるで魔族のような身体属性の要素が生えてくる様を。
男は、キャスター・リンボと称されるかつて異星の神の使徒だった英霊は、上機嫌に薄ら笑っていた。
「__________________!!!!!!!!」
悲鳴すら上げられず、苦悶の叫びも存在しない。
煮え滾る熱さ、虫が体中を這いずるような不快感。そしてその四肢を引き裂かんとする程の激痛。
それだけが、少女の身体を新たなる"何か"に変化させる為の工程として少女の思考を蹂躙する。
そして――吉田良子という少女がその震えすら止めたその時には、既にあらたなる『魔族』が誕生してしまったのである。
煮え滾る熱さ、虫が体中を這いずるような不快感。そしてその四肢を引き裂かんとする程の激痛。
それだけが、少女の身体を新たなる"何か"に変化させる為の工程として少女の思考を蹂躙する。
そして――吉田良子という少女がその震えすら止めたその時には、既にあらたなる『魔族』が誕生してしまったのである。
○ ○ ○
どうして、こうなったんだろう。と良は思う。
あんな怖い人、初めて見た。忘れたくなるほど恐ろしかった。
突然知らない誰かが殺されて、殺し合いをしろと言われて。
あんな怖い人、初めて見た。忘れたくなるほど恐ろしかった。
突然知らない誰かが殺されて、殺し合いをしろと言われて。
殺すことなんて、したくない。
だって、そうしたらずっとその選択と、罪悪感から逃げられなくなるから。
お姉やみんなに、二度と顔を向けられなくなるかもしれないから。
でも、それでも怖かったんだと思う。誰だって、死ぬのは怖いんだから仕方ないのかもしれない。
だって、そうしたらずっとその選択と、罪悪感から逃げられなくなるから。
お姉やみんなに、二度と顔を向けられなくなるかもしれないから。
でも、それでも怖かったんだと思う。誰だって、死ぬのは怖いんだから仕方ないのかもしれない。
だから、あの男の人に何かされたんだと、そう気づいた時には私は私じゃ無くなってしまった。
頭が痛くて、痛くてどうしようもなくて、だれかみつけて、しりあいだったようで。
頭が痛くて、痛くてどうしようもなくて、だれかみつけて、しりあいだったようで。
たたいて、たたいて、たたいて、たたいて、つぶして、つぶして、つぶして。
つぶして、つぶして――――。
あれ、わたし。なにしてたんだろ。
きがついたら、わたしのめのまえにまっかなおはながさいていて。
われためがねが、つぶれていて。
きがついたら、わたしのめのまえにまっかなおはながさいていて。
われためがねが、つぶれていて。
あれ? わたしなにしてたんだろ。
わたし、なにしてるんだろ。
そうだ、おねえだ。おねえのためにわたしはこんなことしてるのかな?
おねえをいきのこらせるために、わたしはわたしでわたしをわたしわたしわたしわたしわたし―――。
わたし、なにしてるんだろ。
そうだ、おねえだ。おねえのためにわたしはこんなことしてるのかな?
おねえをいきのこらせるために、わたしはわたしでわたしをわたしわたしわたしわたしわたし―――。
うん、そうだ。おねえをいきのこらせるために、わたしはあのひとにしたがって、ころしあいにのってたんだっけ?
たぶんそうだ、そうだよね。
【小倉しおん@まちカドまぞく 死亡】
――――――――――――
「……趣味が悪い。」
「ンンン――――お気に召されなかったようで?」
「ンンン――――お気に召されなかったようで?」
眼の前の、吉田良子だったナニカによる殺人処女卒業をキャスター・リンボは興味深いと嗤う一方で。
その傍らにいる女子高生――否、霊能力者こと最上啓示は只々不愉快だった。
職業柄、たちの悪い依頼者に出会うことは度々あった。そういう輩は世のためにならないから何処かでくたばろうがどうでも良かった話ではある。
だが、キャスター・リンボと名乗った"これ"は違う。
鴉ですら啄むのを躊躇う、むしろ逆にその鴉を貪り喰らうであろう生きた死肉。
恐らく自分が出会った悪霊の中で桁違いの、そもそもこの現実に存在してはならないであろう化け物だ。
それでいて、ただ混沌と恐怖と絶望と狂乱を振りまく道化師のような男だ。
なので、最初は始末しようと思った。
思っていたのだが。どうにもこうにも自分に興味を示し、手伝ってやるなんて言い出した。
その傍らにいる女子高生――否、霊能力者こと最上啓示は只々不愉快だった。
職業柄、たちの悪い依頼者に出会うことは度々あった。そういう輩は世のためにならないから何処かでくたばろうがどうでも良かった話ではある。
だが、キャスター・リンボと名乗った"これ"は違う。
鴉ですら啄むのを躊躇う、むしろ逆にその鴉を貪り喰らうであろう生きた死肉。
恐らく自分が出会った悪霊の中で桁違いの、そもそもこの現実に存在してはならないであろう化け物だ。
それでいて、ただ混沌と恐怖と絶望と狂乱を振りまく道化師のような男だ。
なので、最初は始末しようと思った。
思っていたのだが。どうにもこうにも自分に興味を示し、手伝ってやるなんて言い出した。
「……いや、俺でもここまではしない。そう思っただけだ。お前にどれこれ言った所で無駄だろうからな。」
なのでこうして、利用するつもりで協力者として引き入れた。
証明の為に適当なことをしてもらったが、いくら指定していないとは言えここまで醜悪な事をしてくるとは思わなかったが。
リンボが言うには、「素質があった」だとか「薄いが血筋からどうにもなる」だとか。
さっきこの女に使ったのは、英霊剣豪とやらを作るのに使用した術式と同じものらしい。それに『RUM-バリアンズ・フォース』なるカードを使った、だとか。
話に聞けばこの首輪とやらの力で出力どうこうが落ちている。それは自分にも共通することだが、それを補うがためにカードを使い。で、結果がこれということらしい。
証明の為に適当なことをしてもらったが、いくら指定していないとは言えここまで醜悪な事をしてくるとは思わなかったが。
リンボが言うには、「素質があった」だとか「薄いが血筋からどうにもなる」だとか。
さっきこの女に使ったのは、英霊剣豪とやらを作るのに使用した術式と同じものらしい。それに『RUM-バリアンズ・フォース』なるカードを使った、だとか。
話に聞けばこの首輪とやらの力で出力どうこうが落ちている。それは自分にも共通することだが、それを補うがためにカードを使い。で、結果がこれということらしい。
「いやはや残念。拙僧としては稚拙ながらいい仕上がりとなったと自負しておりまする。かの娘、魔に属する血を引いていながら素質は未開花。薄すぎるとも言うべきでしたが、こうもあっさり出来上がったのは不幸中の幸い。」
最上の思考などそっちのけで、リンボはリンボで語り始める。
リンボとしても吉田良子という女は一種の珍種。
闇の一族を血筋ながらその素質が目覚めてすらおらず、逆に光の一族に類する魔法少女の素質を持っているのだ。最もこれをリンボが知る由もないが、結果はこの有様というべきか。
心優しき、魔族の姉を支える妹はその願い諸共捻じ曲げられたのだから。
リンボとしても吉田良子という女は一種の珍種。
闇の一族を血筋ながらその素質が目覚めてすらおらず、逆に光の一族に類する魔法少女の素質を持っているのだ。最もこれをリンボが知る由もないが、結果はこの有様というべきか。
心優しき、魔族の姉を支える妹はその願い諸共捻じ曲げられたのだから。
「ええ、ええ。つまるところ、勿体ないので無理やり開花させてもらいました。」
「いまいち理解できないが、要するに無理やり魔の力とやらを目覚めさせたってことでいいのか?」
「そう受け取って貰えれば。」
「いまいち理解できないが、要するに無理やり魔の力とやらを目覚めさせたってことでいいのか?」
「そう受け取って貰えれば。」
魔の力、とやらは最上啓示としては余り理解できていないが、要するにそれを無理やり目覚めさせたとのことらしい。
当人にそれが宿っていないかもしれないらしいから、無理やり外部から四則演算してあげた、という形で。
当人にそれが宿っていないかもしれないらしいから、無理やり外部から四則演算してあげた、という形で。
「……お前の趣味に関しては、質は悪いが使えるなら俺は特に追求はしない。ただ俺の邪魔はなるべくはするな。」
「承知しまして、ンフフフフ―――。ではそちらの御方も共に参りましょうか。」
「わかった。おねえのためだもんね。」
「承知しまして、ンフフフフ―――。ではそちらの御方も共に参りましょうか。」
「わかった。おねえのためだもんね。」
リンボを名乗る陰陽師。そしてそれの被害にあってついさっき誰かを殺した女。
利用できるならそれでいい。リンボが一番の要警戒であるが、この手の輩は手綱さえしっかりしていれば有能だ。
最上啓示にとって、リンボも、哀れな彼女も、世界を変える『世直し』の為の必要な道具にすぎないのだから。
利用できるならそれでいい。リンボが一番の要警戒であるが、この手の輩は手綱さえしっかりしていれば有能だ。
最上啓示にとって、リンボも、哀れな彼女も、世界を変える『世直し』の為の必要な道具にすぎないのだから。
【キャスター・リンボ@Fate/Grand order】
[状態]:健康、上機嫌
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2、RUM-バリアンズ・フォース@遊戯王ZEXALシリーズ
[思考]
基本:ただ、己の衝動と欲望の赴くままに
1:最上啓示、悪霊の集合体であろうかの御方の行く末、見届けて差し上げましょう
2:かの少女、どう利用してやりましょうか……ンンンンン
[備考]
※参戦時期は地獄界曼荼羅、退場後
※式神の最大召喚数は1名までとなります。
[状態]:健康、上機嫌
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~2、RUM-バリアンズ・フォース@遊戯王ZEXALシリーズ
[思考]
基本:ただ、己の衝動と欲望の赴くままに
1:最上啓示、悪霊の集合体であろうかの御方の行く末、見届けて差し上げましょう
2:かの少女、どう利用してやりましょうか……ンンンンン
[備考]
※参戦時期は地獄界曼荼羅、退場後
※式神の最大召喚数は1名までとなります。
【吉田良子@まちカドまぞく】
[状態]:疑似英霊剣豪化?
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:おねえちゃんとこのひと(リンボ)のためにみんなころす
1:???
[備考]
※リンボの術式とバリアンズ・フォースの影響で、擬似的な英霊剣豪の様なものとなっております。
英霊剣豪特有の不死性は存在しませんが、バリアンズ・フォースの影響もあって身体能力その他が強化されております。もしかしたら魔術等を使用できるかも知れません。
[状態]:疑似英霊剣豪化?
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:おねえちゃんとこのひと(リンボ)のためにみんなころす
1:???
[備考]
※リンボの術式とバリアンズ・フォースの影響で、擬似的な英霊剣豪の様なものとなっております。
英霊剣豪特有の不死性は存在しませんが、バリアンズ・フォースの影響もあって身体能力その他が強化されております。もしかしたら魔術等を使用できるかも知れません。
【最上啓示@モブサイコ100】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:世界の『世直し』を為す。
1:リンボはいい具合に手綱を握って利用する。裏切るなら殺す。
2:あの娘(良子)は哀れであるが、別にどうでもいい。
[備考]
※参戦時期はモブ達と出会う前。
※ボディは浅桐美乃莉のものです。ボディの入れ替えは不可能となっております。
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品1~3
[思考]
基本:世界の『世直し』を為す。
1:リンボはいい具合に手綱を握って利用する。裏切るなら殺す。
2:あの娘(良子)は哀れであるが、別にどうでもいい。
[備考]
※参戦時期はモブ達と出会う前。
※ボディは浅桐美乃莉のものです。ボディの入れ替えは不可能となっております。
『支給品紹介』
【RUM-バリアンズ・フォース@遊戯王ZEXALシリーズ】
キャスター・リンボに支給。エクシーズモンスターをカオス化させランクアップさせる他、バリアンの力による洗脳じみた利用方法も可。
ただし洗脳に関しては最大対象は一人まで。再度使用には現状の洗脳された対象の洗脳が解除されるか死亡するかとなる。
【RUM-バリアンズ・フォース@遊戯王ZEXALシリーズ】
キャスター・リンボに支給。エクシーズモンスターをカオス化させランクアップさせる他、バリアンの力による洗脳じみた利用方法も可。
ただし洗脳に関しては最大対象は一人まで。再度使用には現状の洗脳された対象の洗脳が解除されるか死亡するかとなる。