光あるところに、漆黒の闇ありき。
古の時代より、人類は闇を恐れた。
しかし、暗黒を断ち切る騎士の剣によって、
人類は希望の光を得たのだ。
◆
随分と喧しい男だった。
眠たげな瞳の中に呆れを滲ませ、モニターが浮かんでいた上空から視線を落とす。
冥界の魔王の次は神ときたか。
絶対的な自身に満ち溢れ傲慢さを絵に描いたような男、それがねむの黎斗に対する印象。
眠たげな瞳の中に呆れを滲ませ、モニターが浮かんでいた上空から視線を落とす。
冥界の魔王の次は神ときたか。
絶対的な自身に満ち溢れ傲慢さを絵に描いたような男、それがねむの黎斗に対する印象。
「魔王も悪い神様も最後は必ず報いを受ける、というのが物語のセオリーだけど彼らはどうなんだろうね」
黎斗は如何にも悪役らしく自分を倒せるものなら倒してみろと言わんばかりに、参加者へ挑戦を叩きつけた。
王道ストーリーならば勇気ある者達が一致団結し悪い神様を打倒するのだが、現実はそう都合良くいかない。
心意気は立派でもあっさり返り討ちに遭うかもしれないし、団結どころか参加者同士の不和で瓦解の可能性もある。
神に辿り着くか、挑戦者の全滅か、ただ一人の優勝者が生まれるのか。
結末何であれゲームが盛り上がるのなら満足なのだろう。
ねむとしては主催者の持つ力さえ手に入れられれば、どんな過程だろうと問題無い。
実はハ・デスも傀儡に過ぎないのには多少の驚きこそあったが、方針を変える程重大な事実でも無かった。
王道ストーリーならば勇気ある者達が一致団結し悪い神様を打倒するのだが、現実はそう都合良くいかない。
心意気は立派でもあっさり返り討ちに遭うかもしれないし、団結どころか参加者同士の不和で瓦解の可能性もある。
神に辿り着くか、挑戦者の全滅か、ただ一人の優勝者が生まれるのか。
結末何であれゲームが盛り上がるのなら満足なのだろう。
ねむとしては主催者の持つ力さえ手に入れられれば、どんな過程だろうと問題無い。
実はハ・デスも傀儡に過ぎないのには多少の驚きこそあったが、方針を変える程重大な事実でも無かった。
黎斗に関して考えるのもそこそこに、タブレットを取り出す。
テストプレイが終了し、名簿が完成した。
つまり自分は主催者のお眼鏡に叶い、改めて殺し合いへの参加を認められたのだ。
運試しの名目で行われた無差別首輪爆破も生き残り、正式な参加者の資格を得ている。
あれが本当に参加者の運のみに左右されたのかは分からないが。
ひょっとすると黎斗が特別視している人物だけは首輪爆破の対象から外していた、何て考えられなくもないが別にどうでもいい。
それより名簿が見れるようになったのだから、そっちを確認しておく方が大事。
テストプレイが終了し、名簿が完成した。
つまり自分は主催者のお眼鏡に叶い、改めて殺し合いへの参加を認められたのだ。
運試しの名目で行われた無差別首輪爆破も生き残り、正式な参加者の資格を得ている。
あれが本当に参加者の運のみに左右されたのかは分からないが。
ひょっとすると黎斗が特別視している人物だけは首輪爆破の対象から外していた、何て考えられなくもないが別にどうでもいい。
それより名簿が見れるようになったのだから、そっちを確認しておく方が大事。
表示された名簿に目を通し終えると、無言でタブレットを仕舞う。
暫しの沈黙、やがて俯いたまま重苦しいため息を吐いた。
暫しの沈黙、やがて俯いたまま重苦しいため息を吐いた。
「薄々予感はしてたんだけどね……」
知っている名前は、あった。
予測出来た事だ。
黎斗は殺し合いをゲームと称していた。ゲームを盛り上げる為の参加者…魔法少女が自分一人なのは不自然。
正直に言って、自分よりもゲームに向いている魔法少女には心当たりがある。
だから彼女達も参加しているのに驚きは抱かない。
予測出来た事だ。
黎斗は殺し合いをゲームと称していた。ゲームを盛り上げる為の参加者…魔法少女が自分一人なのは不自然。
正直に言って、自分よりもゲームに向いている魔法少女には心当たりがある。
だから彼女達も参加しているのに驚きは抱かない。
灯花を参加させたのは分かる。
魔法少女の解放を実現させる為に、ねむ以上にブレない精神の持ち主だ。
同胞のマギウスであり、親友の一人でもある彼女が巻き込まれていて素直には喜べない。
しかし同じ目的を持った者同士で心強さを覚えるのも事実。
出来れば早めに合流しておきたい。
魔法少女の解放を実現させる為に、ねむ以上にブレない精神の持ち主だ。
同胞のマギウスであり、親友の一人でもある彼女が巻き込まれていて素直には喜べない。
しかし同じ目的を持った者同士で心強さを覚えるのも事実。
出来れば早めに合流しておきたい。
七海やちよと深月フェリシアの参加も分かる。
マギウスの翼と敵対していた彼女達が、殺し合いに乗るとは考えにくい。
きっとあの二人の役目は、他の参加者と協力し黎斗を倒そうとする挑戦者だろう。
黎斗を排除したいという点はねむと一致しているが、元々敵対していたのもあって協力は難しい。
むしろ他の参加者にマギウスの警戒を促されれば、こっちは非常に動き辛くなる。
場合によっては纏めて始末した方が良いのかもしれない。
マギウスの翼と敵対していた彼女達が、殺し合いに乗るとは考えにくい。
きっとあの二人の役目は、他の参加者と協力し黎斗を倒そうとする挑戦者だろう。
黎斗を排除したいという点はねむと一致しているが、元々敵対していたのもあって協力は難しい。
むしろ他の参加者にマギウスの警戒を促されれば、こっちは非常に動き辛くなる。
場合によっては纏めて始末した方が良いのかもしれない。
みふゆには思う所がある。
彼女はマギウスの翼を裏切ったが、その理由はねむからしても分からんでもない。
羽の中にはマギウスへの忠誠よりも、みふゆ個人への信頼が大きい者も少なくなかった。
そういった魔法少女達を、神浜市の一般人に犠牲を出すやり方に巻き込み続けている罪悪感。
更に以前の仲間だった鶴乃をウワサと融合させられた事による、マギウスへの不信感。
遅かれ早かれみふゆとは決別していたと思う。
あの時はみふゆへの罪悪感もあったが、今更許しを請う気も考えを改める気もない。
邪魔をするならやちよ達と同様の対処を取らせてもらう。
彼女はマギウスの翼を裏切ったが、その理由はねむからしても分からんでもない。
羽の中にはマギウスへの忠誠よりも、みふゆ個人への信頼が大きい者も少なくなかった。
そういった魔法少女達を、神浜市の一般人に犠牲を出すやり方に巻き込み続けている罪悪感。
更に以前の仲間だった鶴乃をウワサと融合させられた事による、マギウスへの不信感。
遅かれ早かれみふゆとは決別していたと思う。
あの時はみふゆへの罪悪感もあったが、今更許しを請う気も考えを改める気もない。
邪魔をするならやちよ達と同様の対処を取らせてもらう。
意外にもアリナは参加していないらしい。
狂人と言う他ない三人目のマギウスは、こういった残酷な催しに打って付けの人材のはず。
とはいえ不参加なら、それはそれで問題ない。
また前のような暴挙に出て邪魔をされるよりなら、いない方が遥かにマシだ。
狂人と言う他ない三人目のマギウスは、こういった残酷な催しに打って付けの人材のはず。
とはいえ不参加なら、それはそれで問題ない。
また前のような暴挙に出て邪魔をされるよりなら、いない方が遥かにマシだ。
そして最後に一人。
一番参加して欲しくなかった人の名前も、間違いなく載っていた。
一番参加して欲しくなかった人の名前も、間違いなく載っていた。
「やっぱり、いろはお姉さんも……」
理解はできる。
自分と灯花がいて、七海やちよ達もいるなら、環いろはが参加していない方が不自然。
それにいろはの参加を全く想定していなかった訳ではない。
もし黎斗が神浜市の魔法少女を集中して参加させたなら、いろはの存在は無視できないだろう。
だが理解はできても、あの人にだけは参加して欲しくなかった。
自分と灯花がいて、七海やちよ達もいるなら、環いろはが参加していない方が不自然。
それにいろはの参加を全く想定していなかった訳ではない。
もし黎斗が神浜市の魔法少女を集中して参加させたなら、いろはの存在は無視できないだろう。
だが理解はできても、あの人にだけは参加して欲しくなかった。
「会いたいけど、同じくらい会いたくないよ…お姉さん……」
いろはがどう動くかなんて考えるまでもない。
魔法少女の力を人助けの為に使う、やちよ達と同じく殺し合いを止める為に奔走する。
ねむや灯花がやろうとしている事を知ったら、反対するに決まっている。
だから会いたくないのだ。
もう一度いろはに止められたら、涙ながらに説得されたら決意がブレてしまいそうだから。
魔法少女の解放が叶わず、ういがもう戻って来ないとしても、いろはの傍にいられる幸福へ逃げてしまいそうだから。
魔法少女の力を人助けの為に使う、やちよ達と同じく殺し合いを止める為に奔走する。
ねむや灯花がやろうとしている事を知ったら、反対するに決まっている。
だから会いたくないのだ。
もう一度いろはに止められたら、涙ながらに説得されたら決意がブレてしまいそうだから。
魔法少女の解放が叶わず、ういがもう戻って来ないとしても、いろはの傍にいられる幸福へ逃げてしまいそうだから。
(でも……それじゃあ駄目なんだ…)
そうだ、自分は決めたんだ。
どれだけの屍を積み重ねる事になろうと、どれだけ大勢に怨まれようと、いろはを救ってみせると。
ういとの約束は自分と灯花が絶対に果たすと誓ったのを、忘れるつもりはない。
いろはの傍に自分達がいられないとしても、いろはが救われるのならそれで良い。
どれだけの屍を積み重ねる事になろうと、どれだけ大勢に怨まれようと、いろはを救ってみせると。
ういとの約束は自分と灯花が絶対に果たすと誓ったのを、忘れるつもりはない。
いろはの傍に自分達がいられないとしても、いろはが救われるのならそれで良い。
僅かに潤んだ目を擦り、眼鏡を掛け直して思考を切り替える。
いろはが参加していると分かった以上、優勝を目指すという方針は有り得ない。
やはりまずは、荒事を引き受けてくれる人材を確保すべきだろうか。
並行して灯花との合流も目指したい。
いろはが参加していると分かった以上、優勝を目指すという方針は有り得ない。
やはりまずは、荒事を引き受けてくれる人材を確保すべきだろうか。
並行して灯花との合流も目指したい。
考えを纏めながら俯けていた顔を上げ、
「お ま た せ」
直ぐ近くに野獣がいた。
「――っ!?」
この見るからに臭くて汚そうな男には見覚えがある。
放送の前、御伽と一緒にいた自分を殺そうとした危険人物だ。
右手には鞘から抜いた一本の刀。刀身には赤い汚れがベッタリと付着しているのが確認できた。
予想はしていたが、やはり御伽は殺されたらしい。
それにしたってこうも早くに追いつかれるとは思わなかった。
いろはが参加している事に気を取られ過ぎたか。
否定はしない。それくらい心を激しく揺さぶる存在なのだから。
放送の前、御伽と一緒にいた自分を殺そうとした危険人物だ。
右手には鞘から抜いた一本の刀。刀身には赤い汚れがベッタリと付着しているのが確認できた。
予想はしていたが、やはり御伽は殺されたらしい。
それにしたってこうも早くに追いつかれるとは思わなかった。
いろはが参加している事に気を取られ過ぎたか。
否定はしない。それくらい心を激しく揺さぶる存在なのだから。
(全く…僕も運が無い…!)
声には出さずに愚痴り、搭乗中のポッドを動かす。
なるべく魔法少女の戦闘を控えたいねむとしては、この汚物に手足が生えたような男とマトモに相手などしていられない。
急発進すべく方向転換させる。
なるべく魔法少女の戦闘を控えたいねむとしては、この汚物に手足が生えたような男とマトモに相手などしていられない。
急発進すべく方向転換させる。
が、相手はねむの逃亡を許しはしなかった。
「逃げんなよ…逃げんな…」
何と言う速さだろうか。
男はねむの目の前へ立ち塞がるように急接近、右手を真っ直ぐ突き出した。
刃が迫る。
男はねむの目の前へ立ち塞がるように急接近、右手を真っ直ぐ突き出した。
刃が迫る。
このまま轢いてやろうか、駄目だ向こうの方が速い。
何か別の支給品を、いやそれより四の五の言わずに魔法少女へなるしか。
どっちも無理だ、もう間に合わない。
何か別の支給品を、いやそれより四の五の言わずに魔法少女へなるしか。
どっちも無理だ、もう間に合わない。
「♰悔い改めて♰」
あっ
まずい
僕
死――
まずい
僕
死――
○
「え、なにあいつは…(困惑)」
ハ・デスとか言う化け物を押し退けて、我こそが頂点と猛アピールする自称神。
真の黒幕と思しき男の出現には野獣先輩も幾分かの困惑を隠せずにいた。
尤も野獣先輩からしたら誰が黒幕か何てどうでもいい。
神だろうと魔王だろうとホモビ製作会社の社長だろうと、淫夢くんだって構わない。
重要なのは一つ、遠野を蘇生できるか否か。
何やらどっかのメスガキが金髪のイケメンに殺されたり、乱入して来た鎧武者が返り討ちに遭ったり、また別のメスガキが人質になったりと目まぐるしく変わる映像。
それら全てがどうでもいい。強いて言えば金髪のイケメンの肉体美に己のイチモツが反応を見せたくらいか。
真の黒幕と思しき男の出現には野獣先輩も幾分かの困惑を隠せずにいた。
尤も野獣先輩からしたら誰が黒幕か何てどうでもいい。
神だろうと魔王だろうとホモビ製作会社の社長だろうと、淫夢くんだって構わない。
重要なのは一つ、遠野を蘇生できるか否か。
何やらどっかのメスガキが金髪のイケメンに殺されたり、乱入して来た鎧武者が返り討ちに遭ったり、また別のメスガキが人質になったりと目まぐるしく変わる映像。
それら全てがどうでもいい。強いて言えば金髪のイケメンの肉体美に己のイチモツが反応を見せたくらいか。
自称神が幾つかルールを追加していたが、優勝したら願いを叶えられるという点は同じ。
ならやる事は変わらない。
ならやる事は変わらない。
「殺りますよー殺る殺る(サイコ)」
既に少年を一人殺した為か、皆殺しにも抵抗は皆無。
次の獲物を狩るべく駆け抜けた先で、早速一人の参加者を発見。
よく見ればそいつは先程逃がしたメガネのメスガキ。
さっき殺した少年はメスガキだけは逃がせたと思っていたようだが、結局は無意味に終わる。
名前も知らない少年の無駄な努力を嘲笑い、メスガキへ接近。
こちらに気付いたようだがもう遅い。
愛する後輩の為に、そのちっぽけな命を刈り取らせてもらう。
次の獲物を狩るべく駆け抜けた先で、早速一人の参加者を発見。
よく見ればそいつは先程逃がしたメガネのメスガキ。
さっき殺した少年はメスガキだけは逃がせたと思っていたようだが、結局は無意味に終わる。
名前も知らない少年の無駄な努力を嘲笑い、メスガキへ接近。
こちらに気付いたようだがもう遅い。
愛する後輩の為に、そのちっぽけな命を刈り取らせてもらう。
「♰悔い改めて♰」
メスガキの薄い胸を一突き。
心臓を串刺しにして終わりっ!閉廷っ!のはずだった。
心臓を串刺しにして終わりっ!閉廷っ!のはずだった。
ならこの手応えは何だ?
柔らかな肉を貫いたのではない、硬い何かにぶつかったような感触は。
柔らかな肉を貫いたのではない、硬い何かにぶつかったような感触は。
「えっ?」
メスガキが間の抜けたような声を出す。
それを鼻で笑えはしない。
自分もまた困惑している真っ最中だから。
それを鼻で笑えはしない。
自分もまた困惑している真っ最中だから。
メスガキと自分の間に割って入った、この男は何者だ?
○
鞘に収めたままの魔戒剣で刀を防ぎつつ、もう片方の手を汚らしい男の眼前に翳す。
カチリと乾いた金属音。
幻想的な緑色の炎が、男の顔を照らし皺やイボの汚さがより鮮明となった。
だが冴島鋼牙が見たいのは男の容姿などではない。
瞳に浮かび上がる、己が倒すべき魔界の住人の証だ。
カチリと乾いた金属音。
幻想的な緑色の炎が、男の顔を照らし皺やイボの汚さがより鮮明となった。
だが冴島鋼牙が見たいのは男の容姿などではない。
瞳に浮かび上がる、己が倒すべき魔界の住人の証だ。
「ホラーでは無いようだな」
ジッポライターの形状をした装備、魔導火が照らし出したのは汚い以外は普通の瞳。
男がホラーに憑依されてはいない証拠。
しかし純粋な人間というには何かが引っ掛かる。
男がホラーに憑依されてはいない証拠。
しかし純粋な人間というには何かが引っ掛かる。
ホラーの探知を得意とする相棒は、己の指に填められていない。
旧魔界語で友を意味する名の彼ならば、この男の正体にも気付いたかもしれないが、いない者を頼っても意味は無し。
長年の修練と実戦で鍛え上げられた五感のみならず第六感、戦士の直感とも言うべきものが告げている。
目の前の男をただの人間として見るべきではないと。
旧魔界語で友を意味する名の彼ならば、この男の正体にも気付いたかもしれないが、いない者を頼っても意味は無し。
長年の修練と実戦で鍛え上げられた五感のみならず第六感、戦士の直感とも言うべきものが告げている。
目の前の男をただの人間として見るべきではないと。
歴戦の魔戒騎士だろうと、男の正体に気付くのは不可能だろう。
まさかネットミームを実体化させられたホモビデオ男優など、理解しろと言う方が無茶だ。
まさかネットミームを実体化させられたホモビデオ男優など、理解しろと言う方が無茶だ。
膠着状態を嫌ったのか、野獣先輩が一度距離を取る。
いきなり現れメスガキ殺害の邪魔をし、何故かライターを翳してきた。
挑発のつもりか?表情が憤怒に染まっていく。
いきなり現れメスガキ殺害の邪魔をし、何故かライターを翳してきた。
挑発のつもりか?表情が憤怒に染まっていく。
「あ、お前さ初対面の癖にさ、流石に失礼過ぎィ!お母さんごめんなさい、お婆ちゃんごめんなさい、僕を死刑にしてください!って言ってみろよホラホラホラホラ」
意味不明の言いがかりを付けるステハゲを前に、鋼牙は油断なく睨み付ける。
相手がホラーに憑依された者でないからと言って、殺し合いに賛同しているのならこのまま見逃すつもりはない。
鞘から魔戒剣を抜き構えを取る。
本来ならば人間相手に魔戒剣を使う気は無いが、この男相手にそれは悪手であると本能で理解した。
鋼牙の戦意に応えるかのように、野獣先輩もまた得物を収め抜刀の姿勢を取る。
相手がホラーに憑依された者でないからと言って、殺し合いに賛同しているのならこのまま見逃すつもりはない。
鞘から魔戒剣を抜き構えを取る。
本来ならば人間相手に魔戒剣を使う気は無いが、この男相手にそれは悪手であると本能で理解した。
鋼牙の戦意に応えるかのように、野獣先輩もまた得物を収め抜刀の姿勢を取る。
「下がっていろ」
破裂寸前の風船のように緊張感が高まる中、浮遊する壺らしき物に乗った少女へ短く告げ、
それを合図に激突した。
それを合図に激突した。
先手を取ったのは野獣先輩。
足元が陥没する程の勢いで急接近し抜刀、横薙ぎに振るわれた一閃を以て首を落とし、早急に決着を付ける算段だ。
刀身から柄を握り締めた手へ伝わるのは先程同様、金属に当たった感触。
見なくとも防がれたと分かる。
足元が陥没する程の勢いで急接近し抜刀、横薙ぎに振るわれた一閃を以て首を落とし、早急に決着を付ける算段だ。
刀身から柄を握り締めた手へ伝わるのは先程同様、金属に当たった感触。
見なくとも防がれたと分かる。
「邪剣・【夜】、逝きましょうね」
死刑宣告を言い切るより早く、刀を振るう。
刃が当たったのは生身の体では無く、敵の剣。
二度目の防御に顔を歪め、三度四度と更に振るわれる刀。
直立不動の体勢なのに、右腕だけが目にも止まらぬ速さで動いている。
真っ当な剣士とは思えぬ型を前にしても、鋼牙に動揺は無い。
野獣先輩に負けじと振るわれる魔戒剣。
自身を狙う殺意の嵐を一つ残らず捌き切った。
刃が当たったのは生身の体では無く、敵の剣。
二度目の防御に顔を歪め、三度四度と更に振るわれる刀。
直立不動の体勢なのに、右腕だけが目にも止まらぬ速さで動いている。
真っ当な剣士とは思えぬ型を前にしても、鋼牙に動揺は無い。
野獣先輩に負けじと振るわれる魔戒剣。
自身を狙う殺意の嵐を一つ残らず捌き切った。
「は?(威圧)」
己の刀が届いていない、掠り傷すら付けられていない。
ビキリと額に浮かぶ青い血管。ホモは短気、ハッキリ分かんだね。
馬鹿の一つ覚えのような打ち合いを中断、身を屈め足元を狙う。
いきなり命を奪えなくとも、まずは機動力を奪ってやれば有利は自分に傾く。
下衆の発想、とは言い切れまい。殺し合いにルールを持ち出す方が悪い。
ビキリと額に浮かぶ青い血管。ホモは短気、ハッキリ分かんだね。
馬鹿の一つ覚えのような打ち合いを中断、身を屈め足元を狙う。
いきなり命を奪えなくとも、まずは機動力を奪ってやれば有利は自分に傾く。
下衆の発想、とは言い切れまい。殺し合いにルールを持ち出す方が悪い。
「ハッ!」
脚を貫かれる前に鋼牙は跳躍、空しく空気を裂いた刀には見向きもしない。
敵の頭部より高い位置まで跳び、顔面目掛けて蹴りを放つ。
刺し貫いてやるつもりだった脚は頬を直撃。
硬い靴底による痛みに一瞬視界が暗転、背中から地面に倒れた。
敵の頭部より高い位置まで跳び、顔面目掛けて蹴りを放つ。
刺し貫いてやるつもりだった脚は頬を直撃。
硬い靴底による痛みに一瞬視界が暗転、背中から地面に倒れた。
だが倒れたままでいるのもまた一瞬のみ。
立ち上がり刀を滅茶苦茶に振り回す。
ロクに狙いを定めてもいないが、牽制の役目は十分果たした。
追い打ちを掛けようとした鋼牙の動きを止め、こちらもすぐさま構え直す。
立ち上がり刀を滅茶苦茶に振り回す。
ロクに狙いを定めてもいないが、牽制の役目は十分果たした。
追い打ちを掛けようとした鋼牙の動きを止め、こちらもすぐさま構え直す。
「頭に来ますよ!」
よりにもよって敵は自分の顔を蹴り付けた。
自慢の顔に傷が付いたらどうするつもりだ、折角遠野を生き返らせても拒絶されたら意味が無い。
ただ斬り殺すだけでは気が済まない、相手の顔に穴をあけてそこにブチ込んでやる。
空手部の後輩に無理やりペニスをしゃぶらせている時のような、クッソゲスい顔へと変わった。
自慢の顔に傷が付いたらどうするつもりだ、折角遠野を生き返らせても拒絶されたら意味が無い。
ただ斬り殺すだけでは気が済まない、相手の顔に穴をあけてそこにブチ込んでやる。
空手部の後輩に無理やりペニスをしゃぶらせている時のような、クッソゲスい顔へと変わった。
「ハァッ!」
クッソ汚いホモのクッソおぞましい考えなど鋼牙には知る由も無いし、知ろうとも思わない。
ハッキリしているのは、この男は超人的な能力を人殺しの為に使っていること。
自分が現れねば殺されていただろう少女のような幼子でも、お構いなしに殺す気なのだろう。
たった一つのその事実に心を奮い立たせ、力強く踏み込んだ。
ハッキリしているのは、この男は超人的な能力を人殺しの為に使っていること。
自分が現れねば殺されていただろう少女のような幼子でも、お構いなしに殺す気なのだろう。
たった一つのその事実に心を奮い立たせ、力強く踏み込んだ。
「死んで、どうぞ(無慈悲)」
迎え撃つべく四方八方からの斬撃が鋼牙へ殺到。
出鱈目なようでいて、その実こちらの急所を確実に狙った攻撃。
このままでは人参しりしりならぬ人間しりしりとなってしまう。
だが無数の刃など鋼牙には珍しくも無い。
両目だけではなく、研ぎ澄まされた感覚により防ぐべき刃を全て捉える。
各部を狙った斬撃が悉く弾かれた。
出鱈目なようでいて、その実こちらの急所を確実に狙った攻撃。
このままでは人参しりしりならぬ人間しりしりとなってしまう。
だが無数の刃など鋼牙には珍しくも無い。
両目だけではなく、研ぎ澄まされた感覚により防ぐべき刃を全て捉える。
各部を狙った斬撃が悉く弾かれた。
「ふざけんな!(声も迫真)」
怒声を放ち刀を振るう速度を上げれば、鋼牙もそれに追いついて来る。
互いの得物が絶えずぶつかり合い、金属音は鳴り止まない。
刀身同士が火花を散らすも、使い手の体には未だ刃は奔らず。
常人ならばとっくに限界を迎えただろう互角の剣戟は、遂に片方へと傾いた。
互いの得物が絶えずぶつかり合い、金属音は鳴り止まない。
刀身同士が火花を散らすも、使い手の体には未だ刃は奔らず。
常人ならばとっくに限界を迎えただろう互角の剣戟は、遂に片方へと傾いた。
「ファッ!?」
刀が野獣先輩の手から弾かれ宙を舞う。
袈裟斬りを防いだと思えば、次の瞬間には魔戒剣の斬り上げ。
ほんの少しだけ力が入り切らないまま防御、ダメージこそ無いが手元から刀が離れてしまった。
跳躍し掴み取る隙は与えてくれそうもない。
重力に従い落ちて来るまで待ってる余裕などある訳がない。
一時的とはいえ、武器の損失は圧倒的な不利を意味する。
だというのに野獣先輩に焦りは無い、むしろ不敵な笑みさえ浮かべているではないか。
袈裟斬りを防いだと思えば、次の瞬間には魔戒剣の斬り上げ。
ほんの少しだけ力が入り切らないまま防御、ダメージこそ無いが手元から刀が離れてしまった。
跳躍し掴み取る隙は与えてくれそうもない。
重力に従い落ちて来るまで待ってる余裕などある訳がない。
一時的とはいえ、武器の損失は圧倒的な不利を意味する。
だというのに野獣先輩に焦りは無い、むしろ不敵な笑みさえ浮かべているではないか。
「ホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラホラ!」
「ぐっ!」
「ぐっ!」
刀を手放してしまったと認識した直後、野獣先輩は素手で殴りかかった。
ヤケクソで拳を振るったのではない、機関銃の掃射に等しい速さで拳を放っているのだ。
参加者の一人である空条承太郎、彼のスタンド「スタープラチナ」のラッシュにも負けず劣らずの勢い。
でもホラホラだとJUTRUじゃなくてPLNRHなんだよなぁ。
ヤケクソで拳を振るったのではない、機関銃の掃射に等しい速さで拳を放っているのだ。
参加者の一人である空条承太郎、彼のスタンド「スタープラチナ」のラッシュにも負けず劣らずの勢い。
でもホラホラだとJUTRUじゃなくてPLNRHなんだよなぁ。
刀と同じく、敵の拳もまた甘んじて受け入れる気は鋼牙に無し。
魔戒剣と鞘を交差させ防御、殴打の嵐を己が身に一撃たりとも食らわせない。
防ぎ続けている間、魔戒剣は元より鞘も軋み一つ上げず使い手を守っている。
魔戒剣と鞘を交差させ防御、殴打の嵐を己が身に一撃たりとも食らわせない。
防ぎ続けている間、魔戒剣は元より鞘も軋み一つ上げず使い手を守っている。
拮抗を崩すべく一際力を込めた拳を放つ野獣先輩。
拳は正確に鋼牙の顔面を捉えるも、数ミリの間を開けて止まった。
野獣先輩の意図した行為ではない、低く呻き己の腹部へ視線を落とす。
赤い棒、いや魔戒剣の鞘が腹を突き拳を強制的に止めたのだ。
拳は正確に鋼牙の顔面を捉えるも、数ミリの間を開けて止まった。
野獣先輩の意図した行為ではない、低く呻き己の腹部へ視線を落とす。
赤い棒、いや魔戒剣の鞘が腹を突き拳を強制的に止めたのだ。
一瞬の硬直後、頭上から落ちて来る刀の存在が野獣先輩を動かす。
鞘を蹴り上げ鋼牙の左腕もまた跳ね上がる。
腹部の痛みは無視、死ぬ程でも無ければ耐えられない程でも無い。
視線は鋼牙から逸らさずに刀を掴み、そのまま振り下ろした。
鞘を蹴り上げ鋼牙の左腕もまた跳ね上がる。
腹部の痛みは無視、死ぬ程でも無ければ耐えられない程でも無い。
視線は鋼牙から逸らさずに刀を掴み、そのまま振り下ろした。
互いにすっかり聞き慣れてしまった、甲高い金属音。
野獣先輩の刀は相手を押し切れず、鋼牙の魔戒剣も相手を押し返せない。
鍔迫り合いでは埒が明かない、両者共通の判断で足を伸ばす。
互いの胴を蹴り飛ばし、距離が開けば二度目の仕切り直し。
野獣先輩の刀は相手を押し切れず、鋼牙の魔戒剣も相手を押し返せない。
鍔迫り合いでは埒が明かない、両者共通の判断で足を伸ばす。
互いの胴を蹴り飛ばし、距離が開けば二度目の仕切り直し。
(この男……)
野獣先輩を睨み付ける鋼牙の瞳に油断は一切ない。
ここまでの攻防で敵の正体が一層分からなくなった。
この男は強い。魔戒騎士である自分とここまで渡り合う事からも、強さそのものに疑う余地は無い。
だからこそ余計に分からないのだ、男のどこかチグハグな力に。
男が剣を振るい拳を放つ一連の動作、それらは鍛えた達人の洗練された動きとは違う。
まるで人形に無理やり動きをさせているような、そんな歪さ。
幼少時より魔戒騎士の修行に明け暮れ、現在でも鍛錬を怠らない鋼牙だからこそ気付いた不自然さが相手にはあった。
ここまでの攻防で敵の正体が一層分からなくなった。
この男は強い。魔戒騎士である自分とここまで渡り合う事からも、強さそのものに疑う余地は無い。
だからこそ余計に分からないのだ、男のどこかチグハグな力に。
男が剣を振るい拳を放つ一連の動作、それらは鍛えた達人の洗練された動きとは違う。
まるで人形に無理やり動きをさせているような、そんな歪さ。
幼少時より魔戒騎士の修行に明け暮れ、現在でも鍛錬を怠らない鋼牙だからこそ気付いた不自然さが相手にはあった。
檀黎斗が登場した二度目のOPを読んだ読者兄貴達は既に知っていると思うが、野獣先輩とは厳密に言えば人間ではない。
真夏の夜の淫夢というホモビデオに出演した男優が、膨大なネットミームにより歪められた偶像。
現実世界には存在しないソレを実体化させ、「野獣先輩」という便宜上の名を与えられた参加者こそ、このおはぎうんこの正体だ。
当然元となったホモビ男優に超人的な戦闘能力など無いが、「野獣先輩」は違う。
ヴォー動画サイトでの彼の異名の一つにこんなものがある。
BBの数だけ強くなる男。
ホモビデオの場面を切り抜き、ホモビ男優のクッソ汚い人形劇の素材として使うクッソおぞましいホモガキの遊びが発端となり、野獣先輩のみならず淫夢ファミリーの大半がTDNホモ以上の戦闘力を得るに至った。
ステロイドで得た偽りの肉体ならぬ、BBで得た偽りの強さである。
真夏の夜の淫夢というホモビデオに出演した男優が、膨大なネットミームにより歪められた偶像。
現実世界には存在しないソレを実体化させ、「野獣先輩」という便宜上の名を与えられた参加者こそ、このおはぎうんこの正体だ。
当然元となったホモビ男優に超人的な戦闘能力など無いが、「野獣先輩」は違う。
ヴォー動画サイトでの彼の異名の一つにこんなものがある。
BBの数だけ強くなる男。
ホモビデオの場面を切り抜き、ホモビ男優のクッソ汚い人形劇の素材として使うクッソおぞましいホモガキの遊びが発端となり、野獣先輩のみならず淫夢ファミリーの大半がTDNホモ以上の戦闘力を得るに至った。
ステロイドで得た偽りの肉体ならぬ、BBで得た偽りの強さである。
(こいつちょっと強過ぎィ!)
鋼牙が野獣先輩を強く警戒する一方で、野獣先輩もまた鋼牙への警戒を数段引き上げていた。
最初に殺した御伽(名前は知らない)とは比べ物にならない強さ。
向こうが振るう剣でまだ一度も斬られていないが、こちらもロクにダメージを与えられていない。
本人の強さだけでなく、使う武器も厄介だ。
あれだけの打ち合いをしたのに軋み一つ上げない程に頑丈。
苦も無くメガネのメスガキを殺す予定だったのに、とんだ労力を使う羽目になってしまった。
最初に殺した御伽(名前は知らない)とは比べ物にならない強さ。
向こうが振るう剣でまだ一度も斬られていないが、こちらもロクにダメージを与えられていない。
本人の強さだけでなく、使う武器も厄介だ。
あれだけの打ち合いをしたのに軋み一つ上げない程に頑丈。
苦も無くメガネのメスガキを殺す予定だったのに、とんだ労力を使う羽目になってしまった。
冴島鋼牙は魔戒騎士最上位の称号を得た青年である。
幼少時に父を奪われ、同じ釜の飯を食った同胞(はらから)を奪われ、その無念さえも強くなりたいという決意に変え鍛え続けて来た。
強大なホラーや暗黒騎士との戦いにも打ち勝つ力、心の弱さへつけ込む闇の誘惑を完全に払い除ける精神。
心身共に決してブレる事のない強さは、黎斗主催のゲームにおいても健在。
黎斗にとっては葉霧宵刹の反対を押し切ってでも、参加させる価値のあったプレイヤーだ。
また魔戒騎士の武器や鎧は、ソウルメタルと呼ばれる特殊な金属を加工した物。
野獣先輩が使う刀もヒューマギアを破壊する程の強度を持つとはいえ、対ホラー用に生み出された武器の破壊はほぼ不可能だろう。
幼少時に父を奪われ、同じ釜の飯を食った同胞(はらから)を奪われ、その無念さえも強くなりたいという決意に変え鍛え続けて来た。
強大なホラーや暗黒騎士との戦いにも打ち勝つ力、心の弱さへつけ込む闇の誘惑を完全に払い除ける精神。
心身共に決してブレる事のない強さは、黎斗主催のゲームにおいても健在。
黎斗にとっては葉霧宵刹の反対を押し切ってでも、参加させる価値のあったプレイヤーだ。
また魔戒騎士の武器や鎧は、ソウルメタルと呼ばれる特殊な金属を加工した物。
野獣先輩が使う刀もヒューマギアを破壊する程の強度を持つとはいえ、対ホラー用に生み出された武器の破壊はほぼ不可能だろう。
鋼牙の強さの秘密を知る由が無くとも、厄介な敵なのは確か。
このまま刃物を振るい合った所で、無駄に体力を消耗するだけ。
ならばここいらで別の武器を使わせてもらおう。
説明書通りなら、いやさっきの映像でコレが単なる玩具でないと理解した。
このまま刃物を振るい合った所で、無駄に体力を消耗するだけ。
ならばここいらで別の武器を使わせてもらおう。
説明書通りなら、いやさっきの映像でコレが単なる玩具でないと理解した。
「(俺の変身)見とけよ見とけよ~」
野獣先輩が新たに取り出した箱と一枚のカード。
カブトムシのような姿が描かれたカードを箱へ挿入、腹部へと当てる。
すると箱からは無数のトランプが現れ、野獣先輩の腰に巻き付いたではないか。
トランプに見えたのはベルト、箱はどうやらバックルらしい。
カブトムシのような姿が描かれたカードを箱へ挿入、腹部へと当てる。
すると箱からは無数のトランプが現れ、野獣先輩の腰に巻き付いたではないか。
トランプに見えたのはベルト、箱はどうやらバックルらしい。
ソレの正体が何なのか。
橘朔也がこの場に居たなら、愕然とした表情になっただろう。
橘朔也がこの場に居たなら、愕然とした表情になっただろう。
「変身!」
『TURN UP』
バックルの前面部を回転させると、スペードマークが露わとなる。
同時に青い壁らしきナニカが出現。
挿入したカードと同じ、ヘラクレスオオカブトが浮かび上がった壁を突き抜けた。
同時に青い壁らしきナニカが出現。
挿入したカードと同じ、ヘラクレスオオカブトが浮かび上がった壁を突き抜けた。
そこにいるのはさっきまでの汚いステハゲではない。
排泄物のような色の体は青いスーツで覆われ、更にその上から白銀の装甲を纏う。
西洋の騎士にも見える胴体、顔には天を突く角のようにも剣のようにも見える仮面。
ベルトの左部分に差した剣が、キラリと反射する。
排泄物のような色の体は青いスーツで覆われ、更にその上から白銀の装甲を纏う。
西洋の騎士にも見える胴体、顔には天を突く角のようにも剣のようにも見える仮面。
ベルトの左部分に差した剣が、キラリと反射する。
名は仮面ライダーブレイド。
不死の生物と戦い、世界と親友の両方を守った青年のもう一つの姿。
不死の生物と戦い、世界と親友の両方を守った青年のもう一つの姿。
「良いねぇ~Foo~↑」
それが神主催のゲームにおいては、クッソ汚いホモの暴力として顕現した。
○
刃が幾度もぶつかり合い、火花が散って夜闇を照らす。
滅亡迅雷.netのリーダー格、滅の愛刀。
仮面ライダーブレイドの専用武器、ブレイラウザー。
得物を増やし、より勢いを増した斬撃に対抗するは冴島鋼牙の魔戒剣。
数多のホラーを一刀両断の下に浄化、魔界へ送り返して来た名剣である。
互いの得物は引けを取らない。では使い手の技量は?
滅亡迅雷.netのリーダー格、滅の愛刀。
仮面ライダーブレイドの専用武器、ブレイラウザー。
得物を増やし、より勢いを増した斬撃に対抗するは冴島鋼牙の魔戒剣。
数多のホラーを一刀両断の下に浄化、魔界へ送り返して来た名剣である。
互いの得物は引けを取らない。では使い手の技量は?
「イクイクイクイク!」
掛け声は非常に汚いが、振るわれる武器の威力は本物。
神秘の金属・オリハルコンプラチナを極限まで研磨して作り上げた刃だ。
ブレイドに限らず、仮面ライダーの武器とはどれもが容易く壊せない強度を持つ。
だが当たれば人体を紙の様に切り裂く刃だろうと、そもそも当たらないなら無意味。
右手には魔戒剣、左手には赤い鞘を持ちブレイドの猛攻を防ぐ。
神秘の金属・オリハルコンプラチナを極限まで研磨して作り上げた刃だ。
ブレイドに限らず、仮面ライダーの武器とはどれもが容易く壊せない強度を持つ。
だが当たれば人体を紙の様に切り裂く刃だろうと、そもそも当たらないなら無意味。
右手には魔戒剣、左手には赤い鞘を持ちブレイドの猛攻を防ぐ。
休む暇もなく剣を振るう鋼牙の表情は自然と険しさを増していく。
誰が変身しようとブレイド自体の基本的なスペックは変わらない。
しかし変身者が元々高い身体能力を持っていれば、その分変身後に発揮可能な力はより高くなるだろう。
ならば生身の状態でも超人的な力を持つ男が白銀の鎧姿に変身、それは当然更なる脅威と化す。
加えて振るう武器の数も一本増え、単純な手数も増した。
元より敵を前に油断や慢心を抱く性質でないとはいえ、僅かでも気を抜けばあっという間に細切れだ。
ブレイドの一挙一動を見逃さず、鋼牙は両腕を振るい続ける。
誰が変身しようとブレイド自体の基本的なスペックは変わらない。
しかし変身者が元々高い身体能力を持っていれば、その分変身後に発揮可能な力はより高くなるだろう。
ならば生身の状態でも超人的な力を持つ男が白銀の鎧姿に変身、それは当然更なる脅威と化す。
加えて振るう武器の数も一本増え、単純な手数も増した。
元より敵を前に油断や慢心を抱く性質でないとはいえ、僅かでも気を抜けばあっという間に細切れだ。
ブレイドの一挙一動を見逃さず、鋼牙は両腕を振るい続ける。
表情が険しいのは野獣先輩も同様。
今の自分は生身の時より強くなっているのは、軽くなった肉体からも明らか。
だというのに敵は未だ倒れる事無く食らい付き、二振りの剣を完璧に捌いている。
これまた野獣先輩が知らぬ事だが、鋼牙は双剣使いとの戦闘は初めてではない。
鋼牙が思い浮かべるは自身とは反対に黒衣を纏った魔戒騎士。
銀牙騎士・涼邑零。
プレイヤーとして会場のどこかにいるだろう男。
今でこそ互いに信頼を置く友だが、出会った当初は零が鋼牙を仇と勘違いしていたのもあって険悪な関係だった。
時には禁じられている魔戒騎士同士の戦闘に発展した事もある。
今の自分は生身の時より強くなっているのは、軽くなった肉体からも明らか。
だというのに敵は未だ倒れる事無く食らい付き、二振りの剣を完璧に捌いている。
これまた野獣先輩が知らぬ事だが、鋼牙は双剣使いとの戦闘は初めてではない。
鋼牙が思い浮かべるは自身とは反対に黒衣を纏った魔戒騎士。
銀牙騎士・涼邑零。
プレイヤーとして会場のどこかにいるだろう男。
今でこそ互いに信頼を置く友だが、出会った当初は零が鋼牙を仇と勘違いしていたのもあって険悪な関係だった。
時には禁じられている魔戒騎士同士の戦闘に発展した事もある。
あの時の戦いは決して称賛されるべきでは無いが、さりとて無駄でもない。
現に鋼牙は零との戦闘を糧とし、ブレイドの双剣に渡り合っていた。
現に鋼牙は零との戦闘を糧とし、ブレイドの双剣に渡り合っていた。
体は休めず、心は熱く、されど思考は冷静に戦況を見る。
鋼牙の知る限り、最も優れた双剣の使い手は零。
ブレイドからは零程の苛烈ながら研ぎ澄まされた剣術を感じない。
とはいえブレイドが脅威にならないという事には断じてならず、鋼牙も警戒度は変わらない。
今は食らい付いているものの、やはり身体能力を急激に強化した分有利なのはブレイド。
いずれ敵の双剣で血祭りにあげられるのは、時間の問題やもしれぬ。
鋼牙の知る限り、最も優れた双剣の使い手は零。
ブレイドからは零程の苛烈ながら研ぎ澄まされた剣術を感じない。
とはいえブレイドが脅威にならないという事には断じてならず、鋼牙も警戒度は変わらない。
今は食らい付いているものの、やはり身体能力を急激に強化した分有利なのはブレイド。
いずれ敵の双剣で血祭りにあげられるのは、時間の問題やもしれぬ。
「ぬわあああああああああああああん飽きてきたもおおおおおおおおおおおおん」
馬鹿みたいな声を出しながらブレイドが後退。
意外にも、優勢を保っていた相手の方から距離を離した。
理由は何であれ今が鋼牙にとってのチャンス、魔戒剣を頭上に掲げる。
意外にも、優勢を保っていた相手の方から距離を離した。
理由は何であれ今が鋼牙にとってのチャンス、魔戒剣を頭上に掲げる。
『THUNDER』
「で、出ますよ…」
が、必要な動作を中断し即座に回避へと移った。
地面を転がる鋼牙、その真横へと放たれたのは青い電撃。
ブレイラウザーから放たれたものだ。
急ぎ立ち上がる鋼牙へブレイドは次の手に出る。
地面を転がる鋼牙、その真横へと放たれたのは青い電撃。
ブレイラウザーから放たれたものだ。
急ぎ立ち上がる鋼牙へブレイドは次の手に出る。
『TACKLE』
すかさずブレイラウザーのカードホルダーを展開し、必要なカードを抜き取る。
ブレイラウザーは単に切れ味が良いだけの武器ではない。
その真価は不死の生物アンデットが封印されたラウズカードを読み込み、能力を発動するカードリーダーとしての機能にある。
電撃を放ったのはスペードの6、ディアーアンデットの力によるものだ。
今リードしたカードはスペードの4。封印されたボアアンデットの能力がブレイドに付与される。
ブレイラウザーは単に切れ味が良いだけの武器ではない。
その真価は不死の生物アンデットが封印されたラウズカードを読み込み、能力を発動するカードリーダーとしての機能にある。
電撃を放ったのはスペードの6、ディアーアンデットの力によるものだ。
今リードしたカードはスペードの4。封印されたボアアンデットの能力がブレイドに付与される。
「ほらいくどー」
肩を突き出し、突進力を強化したタックルを仕掛ける。
ブレイドの装甲に使われているのは、ブレイラウザーと同じオリハルコンプラチナ。
120tもの衝撃にも耐える硬度で激突されれば、幾ら魔戒騎士でも無事では済まない。
クッソ気の抜けた声と正反対の、大型トラックにも匹敵する勢いでブレイドが迫る。
ブレイドの装甲に使われているのは、ブレイラウザーと同じオリハルコンプラチナ。
120tもの衝撃にも耐える硬度で激突されれば、幾ら魔戒騎士でも無事では済まない。
クッソ気の抜けた声と正反対の、大型トラックにも匹敵する勢いでブレイドが迫る。
対する鋼牙はここで回避ではなく防御を選択。
魔戒剣を前面に翳し構え、剣諸共粉砕しようと突撃するブレイドと真正面から激突。
強化されたタックルには敵わなかったのか呆気なく吹き飛ぶ。
否、鋼牙は衝突の勢いに逆らわず自ら後方へと跳んだのだ。
魔戒剣を前面に翳し構え、剣諸共粉砕しようと突撃するブレイドと真正面から激突。
強化されたタックルには敵わなかったのか呆気なく吹き飛ぶ。
否、鋼牙は衝突の勢いに逆らわず自ら後方へと跳んだのだ。
「フンッ!」
背後にある大木へ叩きつけられはせず、蹴り付けブレイドの元へと斬り掛かった。
手には当然魔戒剣。勢いを付けた上で剣を振り下ろす。
これをブレイド、新たなカードをリードする暇は無いと判断。
交差させた刀とブレイラウザーで防ぎ、キリキリと鳥肌が立つ音を鳴らしながら至近距離で睨み合う。
手には当然魔戒剣。勢いを付けた上で剣を振り下ろす。
これをブレイド、新たなカードをリードする暇は無いと判断。
交差させた刀とブレイラウザーで防ぎ、キリキリと鳥肌が立つ音を鳴らしながら至近距離で睨み合う。
「折角仮面ライダーとかってのに変身したのにしぶと過ぎィ!早く死んでくれよな~頼むよ~(懇願)」
「何…?」
「何…?」
仮面ライダー、聞き覚えのある言葉だ。
ホラーに憑依された青年を斬り少し経った後に始まった放送。
神を名乗った男と対峙した鎧武者がそう呼ばれていた。
ホラーに憑依された青年を斬り少し経った後に始まった放送。
神を名乗った男と対峙した鎧武者がそう呼ばれていた。
この男も鎧武者の青年も、腰にベルトを巻いて姿を変えていた。
魔戒騎士の鎧召喚とは違う、科学技術の産物だろうか。
鎧武と呼ばれた仮面ライダーと目の前の白銀の装甲では見た目が違うが、それは魔戒騎士の鎧も同じか。
とにかく特殊なベルトを用いて変身する、という点が共通した戦士だろう。
魔戒騎士の鎧召喚とは違う、科学技術の産物だろうか。
鎧武と呼ばれた仮面ライダーと目の前の白銀の装甲では見た目が違うが、それは魔戒騎士の鎧も同じか。
とにかく特殊なベルトを用いて変身する、という点が共通した戦士だろう。
「俺は仮面ライダーとやらを詳しくは知らんが……」
放送の内容を鋼牙は決して忘れないよう脳裏に刻み込んだ。
平然と人々の命を踏み躙る、断じて許してはならない巨悪への怒りを。
手の届かぬ場所で命を散らされた者達の無念と悲しみを。
嘗てこの手で斬った暗黒騎士・バラゴとは違うが、映像越しにもその邪悪さを感じ取った黒い鎧への警戒を。
平然と人々の命を踏み躙る、断じて許してはならない巨悪への怒りを。
手の届かぬ場所で命を散らされた者達の無念と悲しみを。
嘗てこの手で斬った暗黒騎士・バラゴとは違うが、映像越しにもその邪悪さを感じ取った黒い鎧への警戒を。
そして、檀黎斗を倒すべくたった一人で立ち向かった戦士を。
戦う為の力を失って尚も立ち上がった、葛葉紘汰という男の名を決して忘れまいと刻んだのだ。
戦う為の力を失って尚も立ち上がった、葛葉紘汰という男の名を決して忘れまいと刻んだのだ。
神に逆らった罪への見せしめのように殺され、それでも紘汰が口にしたのは後悔や命乞いではない。
同じ志を持った者達へ託す言葉。
鋼牙は仮面ライダーではない、だが守りし者として紘汰の願いは聞き入れた。
ホラーに憑依された名も知らぬ青年の願いに、力強く応えたように。
同じ志を持った者達へ託す言葉。
鋼牙は仮面ライダーではない、だが守りし者として紘汰の願いは聞き入れた。
ホラーに憑依された名も知らぬ青年の願いに、力強く応えたように。
「その力は、お前が持っていて良いものではない!」
○
(さて、どうするべきかな)
鋼牙とブレイドが戦闘を続けている場所より少し離れた位置。
宇宙の帝王専用の小型ポッドからぴょこりと可愛らしく顔を覗かせ、ねむは自分がどうすべきかを考えていた。
宇宙の帝王専用の小型ポッドからぴょこりと可愛らしく顔を覗かせ、ねむは自分がどうすべきかを考えていた。
危うく殺されそうになった所を、突如現れた白コートの男に救われた。
自己紹介の暇もなく彼は自分に短く警告し、臭そうな男と戦闘を開始。
巻き込まれては堪ったものじゃないので、言われた通りに退避。
戦闘の余波がギリギリ届かない位置で二人の戦いを観察していたのだ。
自己紹介の暇もなく彼は自分に短く警告し、臭そうな男と戦闘を開始。
巻き込まれては堪ったものじゃないので、言われた通りに退避。
戦闘の余波がギリギリ届かない位置で二人の戦いを観察していたのだ。
(それにしても彼らは一体何者なんだろうね)
表情こそ普段と余り変わらないが、これでも内心は驚いている。
戦っている真っ最中の二人はどちらも男。どこをどう見ても魔法少女には見えない。
だというのに彼らの力は並の魔法少女を軽く凌駕しているではないか。
敵対者として見るなら紛れも無い脅威、だが荒事担当の人材としては文句なしだ。
汚そうな男は確実にゲームに乗っているが、白コートは違う。
戦っている真っ最中の二人はどちらも男。どこをどう見ても魔法少女には見えない。
だというのに彼らの力は並の魔法少女を軽く凌駕しているではないか。
敵対者として見るなら紛れも無い脅威、だが荒事担当の人材としては文句なしだ。
汚そうな男は確実にゲームに乗っているが、白コートは違う。
悪い男に襲われている女の子を助けた剣士様。
使い古された展開を身を以て体験するとは思わなかった。
使い古された展開を身を以て体験するとは思わなかった。
観察を続けていて一つ気付いた事がある。
白コートの剣士は先程から何かの機会を窺っているように見えた。
例えば青い電撃を避けた時。
回避の直前に剣を頭上へ掲げており、その後も隙を見ては同じような動作に移りかけていた。
しかし相手も気付いているのか偶然かは知らないけど、その度に攻撃を仕掛けて妨害されている。
白コートの剣士は先程から何かの機会を窺っているように見えた。
例えば青い電撃を避けた時。
回避の直前に剣を頭上へ掲げており、その後も隙を見ては同じような動作に移りかけていた。
しかし相手も気付いているのか偶然かは知らないけど、その度に攻撃を仕掛けて妨害されている。
(彼にとって勝負を変える何かをしようとしてるのかな?)
魔法少女で言う所の大技(マギア)に該当するだろうモノ。
それの発動に少々梃子摺っている、そんなところか。
正体が何であれ茶色い男が死ぬのならそれに越したことはない。
あんな汚物を生かしておいていろはに危害を加えられるなど、決して許されない。
それに白コートの剣士はここいらで手に入れておきたい人材でもある。
いざとなったら面倒ごと全部を押し付ける駒として、申し分ない戦力だろう。
もしこの場で白コートの剣士が殺されるとしてもだ、その前に出来るだけ相手を疲弊させるないし相打ちに持ち込んで欲しい。
それの発動に少々梃子摺っている、そんなところか。
正体が何であれ茶色い男が死ぬのならそれに越したことはない。
あんな汚物を生かしておいていろはに危害を加えられるなど、決して許されない。
それに白コートの剣士はここいらで手に入れておきたい人材でもある。
いざとなったら面倒ごと全部を押し付ける駒として、申し分ない戦力だろう。
もしこの場で白コートの剣士が殺されるとしてもだ、その前に出来るだけ相手を疲弊させるないし相打ちに持ち込んで欲しい。
そうと決まれば白コートの剣士を援護する必要がある。
手っ取り早いのは魔法少女に変身して戦うものだが、極力魔力は使わずにいたいねむとしては本当に最後の手段だ。
となると後は支給品に頼る方法。
現在搭乗中の小型ポッド以外にも支給された物はある。
正直自分に寄越されても使い道に困るのだが、こういう使い方なら良いかもしれない。
デイパックの口を全開にし、戦闘中の男達の元へ接近。
余り大きな声は出したくないけど、今だけは仕方ないと大きく息を吸い込む。
手っ取り早いのは魔法少女に変身して戦うものだが、極力魔力は使わずにいたいねむとしては本当に最後の手段だ。
となると後は支給品に頼る方法。
現在搭乗中の小型ポッド以外にも支給された物はある。
正直自分に寄越されても使い道に困るのだが、こういう使い方なら良いかもしれない。
デイパックの口を全開にし、戦闘中の男達の元へ接近。
余り大きな声は出したくないけど、今だけは仕方ないと大きく息を吸い込む。
「お兄さん避けて!!」
こんな風に叫ぶなんて自分らしくないかも、胸中で思わずむふっと独自の笑い方。
背後を見ないまま弾かれたように飛び退く白コートの剣士を見送らず、デイパックを思いっきり振り被る。
標的は不潔そうな男、どう考えてもデイパックに入る大きさではない、鉄の塊が飛び出した。
背後を見ないまま弾かれたように飛び退く白コートの剣士を見送らず、デイパックを思いっきり振り被る。
標的は不潔そうな男、どう考えてもデイパックに入る大きさではない、鉄の塊が飛び出した。
○
「ファッ!?」
野獣先輩独特の高音で驚きを口に出す。
胸にかけてと懇願したのに顔にかけられた時よりも、驚きの度合いは強い。
メガネのメスガキが何かを叫んだ次の瞬間、持っていたデイパックから黒い物体が飛び出たのだ。
胸にかけてと懇願したのに顔にかけられた時よりも、驚きの度合いは強い。
メガネのメスガキが何かを叫んだ次の瞬間、持っていたデイパックから黒い物体が飛び出たのだ。
それは車、黒塗りの高級車。
参加者に渡されたデイパックは基本的に大きさや重量関係なく収容可能。
小型ポッドが入っていたなら、それより大きい物が入っていても何ら不思議はない。
成人した参加者なら移動手段として当たりの部類に入るのだろうが、小学生のねむにはかさばるだけで邪魔。
よって特に躊躇もせず、ブレイド目掛けて中身を放り投げた。
参加者に渡されたデイパックは基本的に大きさや重量関係なく収容可能。
小型ポッドが入っていたなら、それより大きい物が入っていても何ら不思議はない。
成人した参加者なら移動手段として当たりの部類に入るのだろうが、小学生のねむにはかさばるだけで邪魔。
よって特に躊躇もせず、ブレイド目掛けて中身を放り投げた。
迫り来る鉄の塊にブレイドもまた慌てて飛び退く。
幸い直撃は避けたものの、ブレイドの意識は黒塗りの高級車へと向けられた。
彼自身にも理由は分からない、だがどうしてかこの車からは自分と近いナニカがビンビンに感じ取れる。
旧知の仲の友に出会ったような、何とも言えぬ懐かしさ。
幸い直撃は避けたものの、ブレイドの意識は黒塗りの高級車へと向けられた。
彼自身にも理由は分からない、だがどうしてかこの車からは自分と近いナニカがビンビンに感じ取れる。
旧知の仲の友に出会ったような、何とも言えぬ懐かしさ。
奇妙な感覚に酔いしれる野獣先輩だが、この状況では最大級の失敗だ。
ブレイドが黒塗りの高級車に気を取られている間、ねむはそれを見ていた。
自分を助けた剣士、冴島鋼牙が剣を掲げる姿を。
掲げられた剣が円を描き、天からの祝福の如き光を一身に浴びる様を。
遅れてブレイドがようやく敵の異変に気付くも、既に遅い。
自分を助けた剣士、冴島鋼牙が剣を掲げる姿を。
掲げられた剣が円を描き、天からの祝福の如き光を一身に浴びる様を。
遅れてブレイドがようやく敵の異変に気付くも、既に遅い。
魔戒騎士による鎧召喚は、たった今完了した。
「っ!!?!」
「ファッ!?ファッ!?ファッ!?(ビーストドライバー)」
「ファッ!?ファッ!?ファッ!?(ビーストドライバー)」
光が晴れる、否、更なる輝きを以て姿を現わす。
目も眩むほどの黄金。
豪奢だとか俗物的な感想を抱ける者など、誰一人としていまい。
目も眩むほどの黄金。
豪奢だとか俗物的な感想を抱ける者など、誰一人としていまい。
闇を照らす希望の証。
悪しき魂を浄化し、生ける者の為に剣を振るう守護者。
その姿はまさしく――
悪しき魂を浄化し、生ける者の為に剣を振るう守護者。
その姿はまさしく――
「黄金の、狼……?」
感嘆か、畏怖か、或いは別の感情か。
ねむ自身にも判別不能な呟きへ応えるが如く、勇ましい咆哮を上げる。
ねむ自身にも判別不能な呟きへ応えるが如く、勇ましい咆哮を上げる。
黄金騎士・牙狼。
旧魔界語で希望を意味する名を冠した最高位の魔戒騎士。
神の仕組んだ殺戮遊戯の地においても、その輝きに翳り無し。
旧魔界語で希望を意味する名を冠した最高位の魔戒騎士。
神の仕組んだ殺戮遊戯の地においても、その輝きに翳り無し。
――99.9――
「あ、頭に来ますよ!(二回目)」
我に返ったブレイドが動揺を誤魔化すように怒声を放つ。
穢れた魂の持ち主を問答無用で浄化しそうな牙狼の輝きへ、本能的に恐怖を抱いたのだろうか。
うんこの擬人化だからね、しょうがないね。
穢れた魂の持ち主を問答無用で浄化しそうな牙狼の輝きへ、本能的に恐怖を抱いたのだろうか。
うんこの擬人化だからね、しょうがないね。
「爆砕かけますね~」
一瞬とはいえ自分を戦慄させた相手への怒りを乗せた剣。
巧みに操った双剣を前にしても、牙狼に避ける素振りは無い。
巧みに操った双剣を前にしても、牙狼に避ける素振りは無い。
そんなもの必要ない。
ガキンと、これまで以上に大きく鳴り響いた。
ブレイドの振るった剣は両方とも黄金の鎧へと直撃。
それだけだ。切り裂けもしない、掠り傷すら付けられない。
剣を握る手にどれだけ力を込めても、牙狼は微動だにせず悪足掻きを見つめるだけ。
ブレイドの振るった剣は両方とも黄金の鎧へと直撃。
それだけだ。切り裂けもしない、掠り傷すら付けられない。
剣を握る手にどれだけ力を込めても、牙狼は微動だにせず悪足掻きを見つめるだけ。
不意に衝撃がブレイドの胸部へと走った。
オリハルコンプラチナ製の、アンデットの攻撃も耐える装甲。
脆弱な威力では痒いとすら感じられ無い装甲でも殺し切れない、鈍い痛み。
突き出された黄金を纏った右腕、ブレイドが殴られたと理解した時には地面を転がっていた。
ブレイドに変身してからは初めて受けるダメージ。
痛みはそうすぐには消えないが、戦闘不能になる程でもない。
だから直ぐに立ち上がる。
体力、まだ余裕あり。武器、両方とも破損無し。戦意、確認するまでもない。
オリハルコンプラチナ製の、アンデットの攻撃も耐える装甲。
脆弱な威力では痒いとすら感じられ無い装甲でも殺し切れない、鈍い痛み。
突き出された黄金を纏った右腕、ブレイドが殴られたと理解した時には地面を転がっていた。
ブレイドに変身してからは初めて受けるダメージ。
痛みはそうすぐには消えないが、戦闘不能になる程でもない。
だから直ぐに立ち上がる。
体力、まだ余裕あり。武器、両方とも破損無し。戦意、確認するまでもない。
素手でラッシュを放った時のように、今度は双剣で突きを繰り出す。
向こうが生身のままであれば、砂へ指を突っ込むよりも容易く風穴まみれだ。
そんな簡単にいかない事くらいブレイドにも分かるが。
向こうが生身のままであれば、砂へ指を突っ込むよりも容易く風穴まみれだ。
そんな簡単にいかない事くらいブレイドにも分かるが。
――91.2――
黄金騎士の剣が抜き放たれる。
魔戒剣よりも幅が広く両刃、紋様の刻まれた牙狼剣に、ブレイドの姿が反射した。
魔戒剣よりも幅が広く両刃、紋様の刻まれた牙狼剣に、ブレイドの姿が反射した。
「オオッ!」
ブレイドの突きに劣らぬ速度で振るわれる。
より長く、大きさを増した剣。だが速さもまた、生身の時より上がっていた。
首を、左胸を、脇腹を狙った切っ先が悉く弾き返される。
その度にブレイドの腕を襲う痺れ。徐々に剣を握る力が緩められていく。
より長く、大きさを増した剣。だが速さもまた、生身の時より上がっていた。
首を、左胸を、脇腹を狙った切っ先が悉く弾き返される。
その度にブレイドの腕を襲う痺れ。徐々に剣を握る力が緩められていく。
「オォン!アォン!」
非常に不快な声で自身の劣勢をアピール。
牙狼は聞く耳持たず。気のせいか剣の勢いが強まった気さえする。
このまま突きを繰り返しても勝機は見えてこない。
判断してからの行動は迅速だ、数度目となる後方への跳躍。
ただ剣を振り回すだけがブレイドの力ではない。
牙狼は聞く耳持たず。気のせいか剣の勢いが強まった気さえする。
このまま突きを繰り返しても勝機は見えてこない。
判断してからの行動は迅速だ、数度目となる後方への跳躍。
ただ剣を振り回すだけがブレイドの力ではない。
「こ↑れ↓とこ↑れ↓」
ブレイラウザーのカードホルダーを展開、二枚を抜き取る。
ラウズカードをリードする事で、固有の能力を発動するのは既に試してある。
だがラウズカードの使い道とはそれだけに留まらない。
複数のカードを組み合わせる事で、より高威力の技へと繋げられるのだ。
ラウズカードをリードする事で、固有の能力を発動するのは既に試してある。
だがラウズカードの使い道とはそれだけに留まらない。
複数のカードを組み合わせる事で、より高威力の技へと繋げられるのだ。
――80.4――
ブレイドが選択したのは先程電撃を出したカード。
もう一枚はまだ使っていないが、その効果は把握している。
素早く二枚をリードした。
もう一枚はまだ使っていないが、その効果は把握している。
素早く二枚をリードした。
『SLASH』
『THUNDER』
『LIGHTING SLASH』
二枚のラウズカードがそれぞれ力を解放、やがて一つの技へと成る。
鋼牙へ放った青い電撃をブレイラウザーに纏わせ、更に切れ味も強化。
アンデットの硬い外皮だろうと切り裂く刃と化した。
鋼牙へ放った青い電撃をブレイラウザーに纏わせ、更に切れ味も強化。
アンデットの硬い外皮だろうと切り裂く刃と化した。
ラウズカードを使わずともブレイドは驚異的な速度を発揮。
頭にあるのは、相も変わらず優勝への道を阻む邪魔者の排除。
そして全てが終わり、取り戻した愛しの後輩との熱く幸福な口づけ。
悪だ外道だと罵るのなら好きにしろ、遠野の死で自分の何かが壊れた事くらい理解している。
帯電する剣を前に牙狼もまた迎え撃つべく構える。
瞳が捉えるは邪な想いを隠そうともしない白銀の騎士。
元の持ち主がどんな人物なのか、今の鋼牙が知る術は無い。
しかし、葛葉紘汰のような勇気ある戦士と同じ信念の持ち主ならば、その者の生き様を穢す非道な行いを見過ごせはしない。
殺し合いに乗った男を止めるだけの戦いに非ず、悪しき者に囚われた魂を取り戻す戦いでもある。
頭にあるのは、相も変わらず優勝への道を阻む邪魔者の排除。
そして全てが終わり、取り戻した愛しの後輩との熱く幸福な口づけ。
悪だ外道だと罵るのなら好きにしろ、遠野の死で自分の何かが壊れた事くらい理解している。
帯電する剣を前に牙狼もまた迎え撃つべく構える。
瞳が捉えるは邪な想いを隠そうともしない白銀の騎士。
元の持ち主がどんな人物なのか、今の鋼牙が知る術は無い。
しかし、葛葉紘汰のような勇気ある戦士と同じ信念の持ち主ならば、その者の生き様を穢す非道な行いを見過ごせはしない。
殺し合いに乗った男を止めるだけの戦いに非ず、悪しき者に囚われた魂を取り戻す戦いでもある。
黄金騎士と仮面ライダーブレイド。
互いの距離は瞬きの間に狭まり、交差。
キィンという音が、森の中へ木霊する。
どちらも動かない。互いの得物を振るった体勢のまま微動だにせず。
互いの距離は瞬きの間に狭まり、交差。
キィンという音が、森の中へ木霊する。
どちらも動かない。互いの得物を振るった体勢のまま微動だにせず。
時間にすればたった数秒の硬直、先に動いたのは白銀の騎士。
胸部装甲に大きく散る火花。
膝を付き、武器まで取り落としそうになるもどうにか握り直す。
仮面の下では苦悶の表情が浮かんでいた。
膝を付き、武器まで取り落としそうになるもどうにか握り直す。
仮面の下では苦悶の表情が浮かんでいた。
――73.1――
「ハァ、ハァ、アァ…アァン……」
汚い。
それはそれはとても汚い声だった。
何もホモセックスの快感を訴えているのではない、斬られた痛みに呻いているのだ。
オリハルコンプラチナの装甲越しにも感じた一閃。
派手な技ではない、しかし鋼牙の意思を乗せた何よりも重く鋭い刃。
それはそれはとても汚い声だった。
何もホモセックスの快感を訴えているのではない、斬られた痛みに呻いているのだ。
オリハルコンプラチナの装甲越しにも感じた一閃。
派手な技ではない、しかし鋼牙の意思を乗せた何よりも重く鋭い刃。
「アーイキソイキソ……」
先程から非常に汚い声で痛みをアピールしているが、ブレイドはまだ変身を解除されていない。
震える手付きで新たなカードを取り出し、ブレイラウザーに読み込ませる。
これまで使ったのとはまた別のカードだ。
震える手付きで新たなカードを取り出し、ブレイラウザーに読み込ませる。
これまで使ったのとはまた別のカードだ。
『MACH』
カードを剣に通し、異なる効果を発揮する。
原理こそ不明だが敵の力の発動方法は把握した。
次なる攻撃に備えブレイドに向き直る牙狼。
原理こそ不明だが敵の力の発動方法は把握した。
次なる攻撃に備えブレイドに向き直る牙狼。
「何!?」
直後、その警戒は全くの無意味と嘲笑われる。
ブレイドの姿がブレたかと思えば、疾風の如き速さで駆け抜けた。
牙狼へ高速接近しての攻撃、ではない。
何せブレイドが駆け出した先は牙狼とは正反対の方向。草木が広がる森の中へと姿を眩ませたのだ。
ブレイラウザーにリードしたカードはスペードの9。
ジャガーアンデットが封印されたカードの効果は、今ブレイドが見せた通り高速移動。
此度はそれを逃走の為に使ったのだろう。
ブレイドの姿がブレたかと思えば、疾風の如き速さで駆け抜けた。
牙狼へ高速接近しての攻撃、ではない。
何せブレイドが駆け出した先は牙狼とは正反対の方向。草木が広がる森の中へと姿を眩ませたのだ。
ブレイラウザーにリードしたカードはスペードの9。
ジャガーアンデットが封印されたカードの効果は、今ブレイドが見せた通り高速移動。
此度はそれを逃走の為に使ったのだろう。
咄嗟に追跡しようとし、だが実際に駆け出しはしなかった。
逃げ足は速いが今ならまだ追い付けるかもしれない。ならグズグズしている暇では無い。
ここにいるのが鋼牙一人ならばそうしただろうが、今はもう一人いる。
殺されかけた場面で救出、先程は鎧を召喚する隙を作ってくれた少女。
自分が逃げた男にかまけている間、騒ぎを聞きつけた危険人物に襲われないと何故言い切れるのか。
危険人物の対処は最もだが、その為に誰かの犠牲を容認はできない。
逃げ足は速いが今ならまだ追い付けるかもしれない。ならグズグズしている暇では無い。
ここにいるのが鋼牙一人ならばそうしただろうが、今はもう一人いる。
殺されかけた場面で救出、先程は鎧を召喚する隙を作ってくれた少女。
自分が逃げた男にかまけている間、騒ぎを聞きつけた危険人物に襲われないと何故言い切れるのか。
危険人物の対処は最もだが、その為に誰かの犠牲を容認はできない。
逃げた男から仮面ライダーの力はいずれ取り戻す。
今すぐに出来ない事を胸中で謝罪し、鎧を解除。
剣を鞘に収め、これまで自己紹介すらしていない(そんな余裕も無かったので当然だが)少女の元へと歩く。
今すぐに出来ない事を胸中で謝罪し、鎧を解除。
剣を鞘に収め、これまで自己紹介すらしていない(そんな余裕も無かったので当然だが)少女の元へと歩く。
襲撃者が逃げた為、戦いは一先ず終わった。
そう判断したねむだが、内心は落ち着きがなくざわざわとした感覚を覚えていた。
そう判断したねむだが、内心は落ち着きがなくざわざわとした感覚を覚えていた。
(さっき僕は…)
デイパックから自動車を吐き出させた直後だ。
白コートの剣士が、目も眩むような黄金の鎧を纏ったのは。
あの姿を目の当たりにした時、ねむは久しく感じる事の無かった感情が自分の中に宿るのを実感した。
全身に電流が走ったかのような衝撃、体の内側から熱を帯び高揚を隠せない。
白コートの剣士が、目も眩むような黄金の鎧を纏ったのは。
あの姿を目の当たりにした時、ねむは久しく感じる事の無かった感情が自分の中に宿るのを実感した。
全身に電流が走ったかのような衝撃、体の内側から熱を帯び高揚を隠せない。
あれは、あれは自分には、魔法少女には無縁のモノ。
『希望』ではないだろうか。
『希望』ではないだろうか。
(っ、何を馬鹿な……)
今浮かんだのが余りにも馬鹿馬鹿しくて、いっそ嫌悪感すら覚える程だ。
確かにあの黄金の狼は不思議な力強さに溢れている気がしないでもない。
けど、だから何だと言うのだ。
どこからともなく現れた剣士様が、誰も悲しまない優しい世界へ導いてくれるとでも?
ふざけている、本当にふざけた考えとしか言いようが無い。
確かにあの黄金の狼は不思議な力強さに溢れている気がしないでもない。
けど、だから何だと言うのだ。
どこからともなく現れた剣士様が、誰も悲しまない優しい世界へ導いてくれるとでも?
ふざけている、本当にふざけた考えとしか言いようが無い。
現実は絵本とは違う。
そんなもの自分が一番よく分かっているだろうに。
何の疑いも抱かず無邪気にハッピーエンドを信じて、その結果どうなったかを忘れた訳ではないだろう。
あの日、里見メディカルセンターの屋上で何が起きたか。
希望を打ち砕かれた瞬間を、取り返しの付かない失敗を思い出せ。
夢物語に酔っていては魔法少女は解放されない、ういとの約束は果たせない、いろはは永久に救われない。
そんなもの自分が一番よく分かっているだろうに。
何の疑いも抱かず無邪気にハッピーエンドを信じて、その結果どうなったかを忘れた訳ではないだろう。
あの日、里見メディカルセンターの屋上で何が起きたか。
希望を打ち砕かれた瞬間を、取り返しの付かない失敗を思い出せ。
夢物語に酔っていては魔法少女は解放されない、ういとの約束は果たせない、いろはは永久に救われない。
内心の苦々しい想いは表情に出さず、傍まで来た剣士を見上げる。
「さっきは助かった」
簡潔に告げられた礼の言葉。
話す表情はお世辞にも愛想が良いとは言えず、整った顔立ちながら近寄り難いしかめっ面。
けど別に怒っているとかではなくて、こういう顔しかできない不器用な人なんだろうとは、初対面のねむにも何となく分かった。
話す表情はお世辞にも愛想が良いとは言えず、整った顔立ちながら近寄り難いしかめっ面。
けど別に怒っているとかではなくて、こういう顔しかできない不器用な人なんだろうとは、初対面のねむにも何となく分かった。
【C-6(北部)/一日目/深夜】
【冴島鋼牙@牙狼-GARO-シリーズ】
[状態]:疲労(中)
[装備]:冴島鋼牙の魔戒剣@牙狼-GARO-、魔導火のライター@牙狼-GARO-
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~4、首輪(星合翔李)
[思考・状況]基本方針:守りし者として人々を守る。この決闘も終わらせる。
1:少女(ねむ)を保護する。
2:逃げた男(野獣先輩)から必ず仮面ライダーの力を取り戻す。
3:首輪の解析が出来そうな参加者を探し、この首輪を託す。
4:零との合流を目指す。
5:葛葉紘汰、あの男の事は忘れない。
6:あの黒い騎士(葉霧)は何者だ…?
[備考]
※参戦時期は牙狼-GARO- ~MAKAISENKI~終了後
【冴島鋼牙@牙狼-GARO-シリーズ】
[状態]:疲労(中)
[装備]:冴島鋼牙の魔戒剣@牙狼-GARO-、魔導火のライター@牙狼-GARO-
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~4、首輪(星合翔李)
[思考・状況]基本方針:守りし者として人々を守る。この決闘も終わらせる。
1:少女(ねむ)を保護する。
2:逃げた男(野獣先輩)から必ず仮面ライダーの力を取り戻す。
3:首輪の解析が出来そうな参加者を探し、この首輪を託す。
4:零との合流を目指す。
5:葛葉紘汰、あの男の事は忘れない。
6:あの黒い騎士(葉霧)は何者だ…?
[備考]
※参戦時期は牙狼-GARO- ~MAKAISENKI~終了後
【柊ねむ@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)】
[状態]:健康、いろはの存在へ動揺、黄金騎士への複雑な感情
[装備]:フリーザの小型ポッド@ドラゴンボール
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1
[思考・状況]
基本方針:手段を問わずにハ・デスの力を奪って魔法少女を救済する。
1:代わりに荒事を引き受けてくれる駒が欲しい。その為にこのお兄さん(鋼牙)と話す。
2:魔法少女への変身はなるべく控える。
3:灯花とも合流しておきたい。
4:七海やちよと深月フェリシアは邪魔になるなら排除。みふゆにも容赦はしない。
5:もしいろはお姉さんと会ったら僕は……。
6:希望…馬鹿馬鹿しいよ……。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
[状態]:健康、いろはの存在へ動揺、黄金騎士への複雑な感情
[装備]:フリーザの小型ポッド@ドラゴンボール
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×0~1
[思考・状況]
基本方針:手段を問わずにハ・デスの力を奪って魔法少女を救済する。
1:代わりに荒事を引き受けてくれる駒が欲しい。その為にこのお兄さん(鋼牙)と話す。
2:魔法少女への変身はなるべく控える。
3:灯花とも合流しておきたい。
4:七海やちよと深月フェリシアは邪魔になるなら排除。みふゆにも容赦はしない。
5:もしいろはお姉さんと会ったら僕は……。
6:希望…馬鹿馬鹿しいよ……。
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※近くに黒塗りの高級車@真夏の夜の淫夢が放置されています。
◆◆◆
「ぬわあああああああああああああん疲れたもおおおおおおおおおおおおおおおん」
こいついっつも疲れてんな。
逃走に無事成功した先輩は変身を解除、誰に向けたのか疲労を全力でアピールしている。
校庭114514周と腕立て伏せ364364回をやらねばならない迫真空手の部活とどっちが辛いかはさておいて、命は助かっても野獣先輩の顔は浮かない。
白コートのイケメンとメガネのメスガキ、そのどちらも殺せなかった。
流石に自分一人で残りの参加者を皆殺しにできるとは思っていないが、折角の殺せるチャンスをふいにしてしまったのは納得がいかない。
校庭114514周と腕立て伏せ364364回をやらねばならない迫真空手の部活とどっちが辛いかはさておいて、命は助かっても野獣先輩の顔は浮かない。
白コートのイケメンとメガネのメスガキ、そのどちらも殺せなかった。
流石に自分一人で残りの参加者を皆殺しにできるとは思っていないが、折角の殺せるチャンスをふいにしてしまったのは納得がいかない。
「痛いですね、これは痛い…」
神妙な顔つきで顎を擦り、今後の立ち回りを考える。
最初に殺した少年のように楽勝な相手ばかりではない、狂犬のように暴れ回っても優勝は遠のくだけ。
ならばもっと頭を使うべきだ。
ある時は言葉巧みに後輩を屋上に誘い睡眠薬入りのアイスティーを飲ませ、またある時は言い負かされそうな池沼タコ坊主を援護したように。
ホモセックスの為に働かせた悪知恵を総動員させる。
最初に殺した少年のように楽勝な相手ばかりではない、狂犬のように暴れ回っても優勝は遠のくだけ。
ならばもっと頭を使うべきだ。
ある時は言葉巧みに後輩を屋上に誘い睡眠薬入りのアイスティーを飲ませ、またある時は言い負かされそうな池沼タコ坊主を援護したように。
ホモセックスの為に働かせた悪知恵を総動員させる。
「あっ、そうだ(閃き)。よく考えれば俺が無理して殺さなくてもいいじゃんアゼルバイジャン」
さっきの白コートの剣士。
わざわざ自分が殺さなくとも、他の参加者を煽って殺し合わせるという手があるではないか。
実はあの剣士は殺し合いに乗っていて、自分が出会った少年(御伽)も奴に殺されてしまった。
そういう悪評を流して、無駄に正義感に熱い連中を焚き付ける。
後は勝手に殺し合って両方死ぬなら良し、生き残っても無傷では済まないだろう。改めて自分が始末してやるだけ。
恐らくメガネのメスガキを保護するだろうが、ノンケのロリコンでよからぬ目的の為に連れ回しているとでも言っておけば良い。
わざわざ自分が殺さなくとも、他の参加者を煽って殺し合わせるという手があるではないか。
実はあの剣士は殺し合いに乗っていて、自分が出会った少年(御伽)も奴に殺されてしまった。
そういう悪評を流して、無駄に正義感に熱い連中を焚き付ける。
後は勝手に殺し合って両方死ぬなら良し、生き残っても無傷では済まないだろう。改めて自分が始末してやるだけ。
恐らくメガネのメスガキを保護するだろうが、ノンケのロリコンでよからぬ目的の為に連れ回しているとでも言っておけば良い。
他に仮面ライダーという存在も利用価値がある。
放送を見る限り、仮面ライダーとは所謂正義のヒーローのような連中を指すのだろう。
なら自分に仮面ライダーの変身道具が支給されたのは実に好都合。
正義のヒーローのフリをしておけば、馬鹿なノンケはホイホイこちらの言う事を信じるに違いない。
機を見て殺すか、何かに利用するかはその時その時で考えよう。
放送を見る限り、仮面ライダーとは所謂正義のヒーローのような連中を指すのだろう。
なら自分に仮面ライダーの変身道具が支給されたのは実に好都合。
正義のヒーローのフリをしておけば、馬鹿なノンケはホイホイこちらの言う事を信じるに違いない。
機を見て殺すか、何かに利用するかはその時その時で考えよう。
「それと、『コレ』の効果も後で試しておきたいっすねぇ~」
新たにデイパックから取り出したのは、このゲームの肝と言ってもいいアイテム。
デュエルディスクとデッキ。
放送の後、何故か御伽から奪った拳銃が消失し落としてしまったのかと慌てた。
が、落ち着いてデイパックの中身を確認しデッキを発見。
黎斗の言っていた新ルールの通り、デッキ以外の支給品は没収されたのだった。
デュエルディスクとデッキ。
放送の後、何故か御伽から奪った拳銃が消失し落としてしまったのかと慌てた。
が、落ち着いてデイパックの中身を確認しデッキを発見。
黎斗の言っていた新ルールの通り、デッキ以外の支給品は没収されたのだった。
余談ではあるが殺された御伽もデッキの存在は把握していた。
だが城之内克也が危惧した通り、ルールこそ把握しているものの遊戯など歴戦の決闘者のようなタクティクスを発揮できない彼には宝の持ち腐れ。
御伽自身もその点は自覚しており、使いこなせるか微妙なデッキよりも拳銃という分かり易い武器を装備していたのだ。
だが城之内克也が危惧した通り、ルールこそ把握しているものの遊戯など歴戦の決闘者のようなタクティクスを発揮できない彼には宝の持ち腐れ。
御伽自身もその点は自覚しており、使いこなせるか微妙なデッキよりも拳銃という分かり易い武器を装備していたのだ。
「遠野、すぐにお前を生き返らせてやるから待ってろよな~」
汚くゲスい、同時に決定的な何かが壊れてしまった笑みを浮かべる。
檀黎斗の気まぐれにより選ばれた偶像が殺し合いの果てに手にするのは遠野との愛か、それとも救いのない地獄か。
結末を知っているのはただ一人、本物の神であるGOだけだ。
檀黎斗の気まぐれにより選ばれた偶像が殺し合いの果てに手にするのは遠野との愛か、それとも救いのない地獄か。
結末を知っているのはただ一人、本物の神であるGOだけだ。
GO is GOD
KRT is NOT GOD
KRT is NOT GOD
【B-6/一日目/深夜】
【野獣先輩@真夏の夜の淫夢】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)
[装備]:滅の日本刀@仮面ライダーゼロワン、ブレイバックル@仮面ライダーブレイド
[道具]:基本支給品一式×2、デュエルディスク+デッキ@???、ランダム支給品×0~1
[思考・状況]
基本方針:勝ち残り遠野を生き返らせる。
1:殺りますねぇ!(溢れ出る殺意)。
2:白コートの剣士(鋼牙)や厄介そうな参加者は悪評を流して同士討ちを狙う。
3:仮面ライダーの名を利用する。
4:後でデッキの力も試しておきたい。
5:遠野を殺した奴は絶対に許さない。
[備考]
※バトル淫夢みたいな戦闘力があります。
※御伽のランダム支給品の一つはデュエルディスクとデッキでした。デッキの種類は後続の書き手に任せます。
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)
[装備]:滅の日本刀@仮面ライダーゼロワン、ブレイバックル@仮面ライダーブレイド
[道具]:基本支給品一式×2、デュエルディスク+デッキ@???、ランダム支給品×0~1
[思考・状況]
基本方針:勝ち残り遠野を生き返らせる。
1:殺りますねぇ!(溢れ出る殺意)。
2:白コートの剣士(鋼牙)や厄介そうな参加者は悪評を流して同士討ちを狙う。
3:仮面ライダーの名を利用する。
4:後でデッキの力も試しておきたい。
5:遠野を殺した奴は絶対に許さない。
[備考]
※バトル淫夢みたいな戦闘力があります。
※御伽のランダム支給品の一つはデュエルディスクとデッキでした。デッキの種類は後続の書き手に任せます。
【魔導火のライター@牙狼-GARO-】
魔界の火であり、魔戒騎士の携行するライター状の魔導具に貯えられている。
番犬所からの指令書の解読、ホラーの探知、傷の治療など用途は様々。
但し魔戒騎士の修行を受けた人間しか扱うことはできず、常人が扱おうとすれば瞬時に焼き尽くされる。
剣や全身に纏うことにより攻撃力・防御力を高める必殺奥義、烈火炎装の使用にも必須。
魔界の火であり、魔戒騎士の携行するライター状の魔導具に貯えられている。
番犬所からの指令書の解読、ホラーの探知、傷の治療など用途は様々。
但し魔戒騎士の修行を受けた人間しか扱うことはできず、常人が扱おうとすれば瞬時に焼き尽くされる。
剣や全身に纏うことにより攻撃力・防御力を高める必殺奥義、烈火炎装の使用にも必須。
【ブレイバックル@仮面ライダーブレイド】
BOARDが開発した仮面ライダーブレイドの変身ベルト。
♠のエース~10までのラウズカードとのセット。
ラウズアブゾーバー及び♠のJ~Kのラウズカードは無い。誰かに支給されているかは不明。
BOARDが開発した仮面ライダーブレイドの変身ベルト。
♠のエース~10までのラウズカードとのセット。
ラウズアブゾーバー及び♠のJ~Kのラウズカードは無い。誰かに支給されているかは不明。
【黒塗りの高級車@真夏の夜の淫夢】
暴力団員谷岡俊一が搭乗していたトヨタ・センチュリー。
恐らくは組の所有車と思われるが疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。
後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員谷岡が言い渡した示談の条件とは…。
暴力団員谷岡俊一が搭乗していたトヨタ・センチュリー。
恐らくは組の所有車と思われるが疲れからか、不幸にも黒塗りの高級車に追突してしまう。
後輩をかばいすべての責任を負った三浦に対し、車の主、暴力団員谷岡が言い渡した示談の条件とは…。
011:アウトローの三方陣 | 投下順 | 013:受け継がれるクロスファイアと黄金の意志 |
時系列順 | ||
17:夢物語は語りはしない | 野獣先輩 | 035:敗者に捧げるliner high |
柊ねむ | 041:失くした君のいま | |
41:黄金騎士はデュエルの終幕を決意する | 冴島鋼牙 |