王を失い、迷走を続けた男が居た。
黒川イザナ――それは彼にとって唯一の王だったはずだ。
王は稀咲鉄太の凶弾からその身を呈して下僕であるカクチョーを庇い、命を散らせた。
黒川イザナ――それは彼にとって唯一の王だったはずだ。
王は稀咲鉄太の凶弾からその身を呈して下僕であるカクチョーを庇い、命を散らせた。
『イザナ……なんでオレなんか庇った!?オマエは王だ。オレをゴミのように捨ててでも、オマエの時代を創らなきゃいけないんだ!!
――それが王だろ!?イザナぁ』
――それが王だろ!?イザナぁ』
カクチョーにとってイザナとは、過去に死のうと思っていた生きる理由をくれた大切な王だ。
身寄りのない奴らに居場所を与える――そんな最強の国を創ろうとした国王だ。
だからカクチョーはイザナが時代を創らなきゃいけないと――そう思っていた。
身寄りのない奴らに居場所を与える――そんな最強の国を創ろうとした国王だ。
だからカクチョーはイザナが時代を創らなきゃいけないと――そう思っていた。
『……”オレら”の時代……だよ』
だがイザナは――死を間際にして過去のやり取りを思い出していたのかもしれない。
イザナとカクチョーがカマクラを作った時、イザナはオレらの国の城といった。一人で時代を創ろうとしていたわけじゃなかった。
イザナとカクチョーがカマクラを作った時、イザナはオレらの国の城といった。一人で時代を創ろうとしていたわけじゃなかった。
イザナが三蔵法師だったらカクチョーは孫悟空だ。だからイザナは王国を”天竺”という名前にした。イザナとカクチョー達が時代を創るための王国の名を。
『ゴメンな鶴蝶。……でもオレにはオマエしかいないから』
カクチョーは孤独がイザナの強さ。他人に興味のない人間だと言っていたが――そうじゃない。
イザナは天竺にあるのは恐怖と利害のみで、信頼や友情なんて実のない幻想だと言っていたが――そうじゃない。
イザナは天竺にあるのは恐怖と利害のみで、信頼や友情なんて実のない幻想だと言っていたが――そうじゃない。
天竺という王国は元々、身寄りのない人々の居場所になるはずだった。それがいつの間にか歪んでしまっただけなのだ。
それにイザナは孤独じゃなかった。何故なら彼には、カクチョーという下僕が居るのだから。
それにイザナは孤独じゃなかった。何故なら彼には、カクチョーという下僕が居るのだから。
だからイザナは死ぬ間際――カクチョーに『オマエしかいない』と言った時、不思議と彼は笑顔だった。
大切だからこそ体が勝手に動き、いつの間にかカクチョーを庇うという行動を取っていた。
大切だからこそ体が勝手に動き、いつの間にかカクチョーを庇うという行動を取っていた。
イザナは血の繋がりにこそ恵まれなかったが――そんなものよりも大切な繋がりを、手に入れていたのだ。
『イザナ……。寂しい思いはさせねぇよ……。オレも……今……そっち逝くから……』
だからカクチョーはイザナを孤独になんてさせやしない。何発もの凶弾をイザナが庇ってくれたが、それでも初撃は受けたのだ。
あの世へ先に旅立ったイザナの後を追うつもりで、下僕は今は亡き王の隣へ横たわる。
あの世へ先に旅立ったイザナの後を追うつもりで、下僕は今は亡き王の隣へ横たわる。
――だがカクチョーはこの一連の騒動では死ぬことなく、生き延びてしまった。
イザナという王の犠牲がカクチョーという下僕の命を生きながらえさせたのだろう。
その後カクチョーは無双のサウスに遭遇し、交渉という名の一方的な暴力で配下にされた。たとえ喧嘩屋の名を持つカクチョーでも、暴力に愛された男――寺野サウスには手も足も出ない。それほどまでにサウスという存在は圧倒的な強さを持っていたのだ。
自らが王と認めていた男が死に、今度は暴力によって強引に配下に加えられる。
――これを迷走と言わずして、なんと呼ぶというのだろうか。
自らが王と認めていた男が死に、今度は暴力によって強引に配下に加えられる。
――これを迷走と言わずして、なんと呼ぶというのだろうか。
『なんでテメェがサウスの下につく?”王”が死んだら鞍替えか?』
明石武臣がカクチョーに対して放ったその言葉が、迷走していた時期のカクチョーをよく表している。
無双のサウスは無敵のマイキーによって敗れた。かつてイザナを救おうとした男は六破羅単代の総長を殺害することで、組織を吸収。皮肉にも今度はマイキーに従うことになった。
一度はイザナを救おうとした男が黒い衝動によって殺人者となってしまい、更には彼の暴走を止めようとも出来ず付き従うのみ。
その頃のカクチョーはあまりにも滑稽な道化だ。
無双のサウスは無敵のマイキーによって敗れた。かつてイザナを救おうとした男は六破羅単代の総長を殺害することで、組織を吸収。皮肉にも今度はマイキーに従うことになった。
一度はイザナを救おうとした男が黒い衝動によって殺人者となってしまい、更には彼の暴走を止めようとも出来ず付き従うのみ。
その頃のカクチョーはあまりにも滑稽な道化だ。
『……こんな廃人生かすためにアイツは死んだのか?』
花垣武道にぶっ飛ばされ、呆然としていたカクチョーを眺めてマイキーは語り掛ける。
廃人。イザナを失ってからのカクチョーには相応しい言葉だろう。
そもそもカクチョーに生きる理由を与えてくれたのがイザナという王だ。彼を失い、サウスに襲撃され、サウスを殺したマイキーの部下になり――ひたすら周りに流されてきた。
廃人。イザナを失ってからのカクチョーには相応しい言葉だろう。
そもそもカクチョーに生きる理由を与えてくれたのがイザナという王だ。彼を失い、サウスに襲撃され、サウスを殺したマイキーの部下になり――ひたすら周りに流されてきた。
だがしかし――ガキの頃に憧れていたヒーローの帰還により状況は一転する。
『オレはもう誰も死なせたくないんだ』
涙を浮かべ、それでも必死に前を向いて進もうとする泣き虫のヒーローの姿に――カクチョーの心は揺れ動いた。
だからカクチョーはタケミチを信じ、彼と共に進み――その先で仲間諸共マイキー以外を皆殺しにしようとする三途をぶっ飛ばすことに決める。
だからカクチョーはタケミチを信じ、彼と共に進み――その先で仲間諸共マイキー以外を皆殺しにしようとする三途をぶっ飛ばすことに決める。
敵も味方も関係なく、マイキー以外はノイズだと三途は言い切った。ムーチョすらもノイズとして殺害した狂人。マイキーという王だけに尽くし、それ以外をノイズ扱いする狂信者。
カクチョーも三途も特定の誰かを王として認めている。そういう意味では似た者同士と言えるかもしれないが、しかしその在り方はあまりにも違っている。
だからお互いがお互いを気に入らない。
カクチョーも三途も特定の誰かを王として認めている。そういう意味では似た者同士と言えるかもしれないが、しかしその在り方はあまりにも違っている。
だからお互いがお互いを気に入らない。
それに状況が状況だ。
必然的に戦闘が始まり、カクチョーと三途がぶつかり合う。
喧嘩をしているというのに。相手は刀を持った危険人物だというのに、タケミチの為に戦えたことにカクチョーは満足しているようでもあった。
しかしそんな時間も長くは続かず、三途の刀が真正面からカクチョーを切り裂いた。真っ二つにされた――なんてことはないが、明らかに致命傷だ。この時、カクチョーは既に自分の死を悟っていた。
必然的に戦闘が始まり、カクチョーと三途がぶつかり合う。
喧嘩をしているというのに。相手は刀を持った危険人物だというのに、タケミチの為に戦えたことにカクチョーは満足しているようでもあった。
しかしそんな時間も長くは続かず、三途の刀が真正面からカクチョーを切り裂いた。真っ二つにされた――なんてことはないが、明らかに致命傷だ。この時、カクチョーは既に自分の死を悟っていた。
だがタケミチを心配させないために浅い傷だと嘘をつき、僅かに残された命の灯火を燃やして三途を電車の外へ追いやることに成功。同時にカクチョーの肉体への負担もまた限界が迫っていた。
そして走り出した電車は未だ止まらない。
このままでは脱線するように仕組まれており、自分達も含めて全滅してしまう。
『絶ッ対ェみんなを助けるんだ!!諦めねぇぞ!!』
自分のことは二の次に考えてみんなを助けようとするヒーローを見て――カクチョーは最後の力を振り絞り、立ち上がる。
そしてタケミチだけでも死なないように電車から降ろすと、自分一人で止めようと奮闘する。
そしてタケミチだけでも死なないように電車から降ろすと、自分一人で止めようと奮闘する。
『絶ッ対ェ止めてやる!!!』
カクチョーは気合いを入れてブレーキを掛けるが、なかなか止まらない。
あまりにも絶望的な状況に『駄目か!?』と涙を流した時――
あまりにも絶望的な状況に『駄目か!?』と涙を流した時――
――カ ラ ン
何度も聞いた覚えのある、懐かしい音が聞こえた。
『相変わらず無茶ばっかりする』
そして王の声が――イザナの声が聞こえた気がする。
それはもしかしたら、ただの幻聴なのかもしれない。だがそれでもカクチョーの心は燃え上がり、そして何より――。
それはもしかしたら、ただの幻聴なのかもしれない。だがそれでもカクチョーの心は燃え上がり、そして何より――。
『まあそれがオマエらしさか』
カクチョーの手の上にイザナの手が重なり、死にかけだというのに不思議と力が漲る。
『手伝うぜ、カクチョー』
怒りや憎しみの感情が抜け落ちた、澄んだ声で――イザナはカクチョーの名を呼んだ。
それはまるで色々とおかしくなる前のイザナのようで。もしかしたらただの都合の良い幻聴幻覚を見ているだけなのかもしれないが――それでもカクチョーはイザナから力を貰った。
それはまるで色々とおかしくなる前のイザナのようで。もしかしたらただの都合の良い幻聴幻覚を見ているだけなのかもしれないが――それでもカクチョーはイザナから力を貰った。
――そして一人の王とその下僕により、大多数の命が救われた。
三蔵法師と孫悟空の王国――”天竺”が人々の命を助けたのだ。
全てをやり切ったカクチョーは安らかに眠り、その魂は王・イザナの元へ――。
三蔵法師と孫悟空の王国――”天竺”が人々の命を助けたのだ。
全てをやり切ったカクチョーは安らかに眠り、その魂は王・イザナの元へ――。
――辿り着く前に冥界の魔王に捕らえられた。
〇
「オレは……生き返ったのか……?」
自分の身に起こった出来事が理解出来ず、カクチョーは呆然とする。
彼は不良の世界で”喧嘩屋”という異名を持つ程の実力を誇る男だ。これまでも何度か抗争を経験してきた。人が死ぬ瞬間を見たことだってある。
だがそれらは所詮、普通の現実世界で起こった出来事だ。カクチョーの世界には悪魔のような異形なんて存在しないし、死者を蘇生するような技術もない。
彼は不良の世界で”喧嘩屋”という異名を持つ程の実力を誇る男だ。これまでも何度か抗争を経験してきた。人が死ぬ瞬間を見たことだってある。
だがそれらは所詮、普通の現実世界で起こった出来事だ。カクチョーの世界には悪魔のような異形なんて存在しないし、死者を蘇生するような技術もない。
悪魔のような妙な格好をした男が自分達を拉致して爆破装置が埋め込まれた首輪をつけ、決闘を強制させる。――それだけならばまだ理解は出来ただろう。
だが一番引っ掛かることは自分がこうして生き返っていることだ。……カクチョーの場合は過去に死亡するつもりが生き延びていたという事例もあるが、それにしても傷一つないというのはおかしい。
刀で斬られた痛みは今でも鮮明に思い出せる。それなのに自分の体には傷一つない。そんな状況に違和感を覚える。
だが一番引っ掛かることは自分がこうして生き返っていることだ。……カクチョーの場合は過去に死亡するつもりが生き延びていたという事例もあるが、それにしても傷一つないというのはおかしい。
刀で斬られた痛みは今でも鮮明に思い出せる。それなのに自分の体には傷一つない。そんな状況に違和感を覚える。
「どういうことだ?なんでオレの体から傷まで消えてんだ……?」
考えれば考える程にわけがわからず、カクチョーは困惑する。
あの”冥界の魔王”はマジで超常的な存在だとでもいうのか?
一枚のカードより生まれた存在とか、世界は無数に存在するとか――そんなことを急に言われてもカクチョーには理解出来ない。
カクチョーの世界にはマイキーやイザナなど人外染みた強さを持つ不良こそいるが、超能力なんて存在しないのだ。
あの”冥界の魔王”はマジで超常的な存在だとでもいうのか?
一枚のカードより生まれた存在とか、世界は無数に存在するとか――そんなことを急に言われてもカクチョーには理解出来ない。
カクチョーの世界にはマイキーやイザナなど人外染みた強さを持つ不良こそいるが、超能力なんて存在しないのだ。
――ある例外的な存在を除いて。
「もしかしたら……タケミチなら何か知ってるかもしれねぇな」
花垣武道。
未来の世界から過去を変えるためにやってきたタイムリーパー。
カクチョーは彼の秘密を知らない。タケミチがタイムリーパーだと知る存在は、この世に数人しかいない。
だがタイムリーパーである彼が得た能力――未来視。これについてはその目で確かに見ている。
厳密には未来視ではなく未来予知だと思っているが――タケミチは味方のカクチョーですら知らなかった三途の計画を何故か知っていた。
あの時は状況が状況だから三途と戦い、電車を止めることに必死でそこまで考えていなかったが……アレは未来予知という他ない。
そんな能力がタケミチに秘められていると本気で考えるのは、バカバカしいことかもしれない。だが偶然とは思えないし、三途はカクチョーやタケミチがやってきたことに驚いていた。よってタケミチに計画を教えていたわけでもないだろう。
未来の世界から過去を変えるためにやってきたタイムリーパー。
カクチョーは彼の秘密を知らない。タケミチがタイムリーパーだと知る存在は、この世に数人しかいない。
だがタイムリーパーである彼が得た能力――未来視。これについてはその目で確かに見ている。
厳密には未来視ではなく未来予知だと思っているが――タケミチは味方のカクチョーですら知らなかった三途の計画を何故か知っていた。
あの時は状況が状況だから三途と戦い、電車を止めることに必死でそこまで考えていなかったが……アレは未来予知という他ない。
そんな能力がタケミチに秘められていると本気で考えるのは、バカバカしいことかもしれない。だが偶然とは思えないし、三途はカクチョーやタケミチがやってきたことに驚いていた。よってタケミチに計画を教えていたわけでもないだろう。
「本当にタケミチが未来予知でもできんなら、何か知ってるはずだ。それにタケミチ……オマエはこんな喧嘩、絶ッ対ェに止めようとするよな」
カクチョーの知る花垣武道は自分の事は二の次にして、仲間を――みんなを助けようとするヒーローだ。もしもタケミチがこの決闘を止めるために奔走しているなら、力を貸すつもりである。
「それとオレが生き返ったってことは――」
下僕は王の姿を思い浮かべる。
黒川イザナ。カクチョーに生きる理由を与えてくれた存在。
もしも彼が自分のように生き返ったのなら――イザナには生き延びてほしい。
憑き物が落ちた今のイザナなら、きっとタケミチとも上手くやれるだろう。……今のマイキーを見て、複雑な気持ちになるかもしれないが。
黒川イザナ。カクチョーに生きる理由を与えてくれた存在。
もしも彼が自分のように生き返ったのなら――イザナには生き延びてほしい。
憑き物が落ちた今のイザナなら、きっとタケミチとも上手くやれるだろう。……今のマイキーを見て、複雑な気持ちになるかもしれないが。
もちろんイザナが蘇る――という展開はあくまで理想に過ぎない。それでも下僕は王の生還を願う。ハ・デスに頼ってまで復活させる気はないが、もしもイザナがこの決闘で生き返っているならハ・デスをぶっ倒して今度こそ”天竺”が他の奴らを助けてやろう。
『身寄りのない奴らをみんな国民にして、居場所を作ってやるんだ』
それが幼い頃にイザナが口にしていた夢。
他の奴らを助ける――とはまた違うが、それでもあの時のイザナなら。そして憑き物が落ちた今のイザナなら、きっと自分と同じ結論に至るだろう。
だからカクチョーは幼なじみのヒーローと自分に生きる理由を与えてくれた王と協力して、ハ・デスを倒そうと決意した。
他の奴らを助ける――とはまた違うが、それでもあの時のイザナなら。そして憑き物が落ちた今のイザナなら、きっと自分と同じ結論に至るだろう。
だからカクチョーは幼なじみのヒーローと自分に生きる理由を与えてくれた王と協力して、ハ・デスを倒そうと決意した。
「ハ・デスの野望はオレらが絶ッ対ェ止めてやる!!」
自分一人ではなく”オレら”で――。
【鶴蝶@東京卍リベンジャーズ】
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:ハ・デスをぶっ倒す
1:タケミチが参加してたら探す
2:イザナも生き返ってるのか……?
[備考]
※参戦時期は死亡後です
[状態]:健康
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:ハ・デスをぶっ倒す
1:タケミチが参加してたら探す
2:イザナも生き返ってるのか……?
[備考]
※参戦時期は死亡後です