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決闘バトルロイヤル @ ウィキ

光芒

最終更新:2025年05月30日 18:29

zombi2baisoku

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◆





――答えのないまま それでも光をさがしている





◆


闇。
前後左右、360度見渡す限り全てが闇。
不安、怯え、絶望。人間が考え得る不吉を運ぶ闇が、一面に広まっている。
足を竦ませ身動きが取れぬ者、我を忘れ行く当ても定められず狂走する者。
言葉に現わせぬ恐怖へ誘う闇を切り裂き、恐れなど知らぬとばかりに駆ける男が一人。
腕に抱えるは、自身が救い上げた命。桜色の髪を揺らし、ほんのり色付いた唇を固く結んだ少女。
彼らが闇を恐れる事は無い。
片や闇を掃う希望の象徴である魔法少女。
片や闇の中でしか生きられない鬼。
正史においては決して出会うはずの無かった二人、環いろはと黒死牟。
今宵語られるのは神の作りし盤上での、ほんの小さなお話。
決闘という名目の殺戮遊戯には何ら大きな変化を齎さない、されど当人達には始まりの一歩となる、そんな話。


◆


追いかけて来る気配は無い、そう判断し速度を徐々に緩めて行く。
殺す寸前だった娘と邪魔をした男、二匹の獲物を逃がすまいと追跡するやもと考えたが、存外拘りは低いらしい。

黒死牟も饒舌な性質ではないが、あの男は群を抜いて寡黙だった。
針金で結ばれたかのように一言も発さない、されど内には抑え切れぬ程の戦意を滾らせた兵士。
言葉を交わさずとも、殺意の応酬で理解した。
男もまた黒死牟と同じ、人の道を外れた化け物。
戦いの中でしか生きられない、戦った果ての死こそに価値を見出す救いようの無さ。
ああしかし、そのような化け物でも今の自分よりは遥かに上等だろうと黒死牟は思う。
望みが自身の終わりとしても、そこに至る為に全身全霊を以て闘争へ臨んでいる。
対して自分はどうだ、方針一つロクに決められていない抜け殻だ。
何故このような男を蘇生させてまで屠り合いに参加させたのか、冥界の魔王の考えにはとんと理解が及ばない。

理解不能なのは己自身に対してもか。
腕の中で小さく身動ぎをする娘。
こちらの言葉を馬鹿正直に受け入れ、運ばれている最中は一度も口を聞かなかった。
黒死牟の手で救った命。
強さを求めて汚してきた己が手で、何故今更になってあのような真似をしでかしたのか。
繰り返される自問自答でも終ぞ答えは得られず、今に至る。

「ここで降ろす……」

短く告げ、言葉の通りにいろはを地面へと降ろす。
草木が茂る森、大木の根元へ腰を落ち着けた。
太い幹に寄り掛かり、無事逃げ切れた事への安堵かふっと息を吐く。
ゆっくりと視線を上げ、命の恩人と言える男を捉える。
月の光に照らされる六眼の浮かんだ貌、男が人間で無い事の証。
真ん中の瞳にそれぞれ浮かび上がる『上弦』『壱』の意味をいろはは知らない。
確かな事は、男がいたからいろはは今も命が繋がったままということ。
もう一度礼を告げようとし、思い出したように左腕が痛んだ。

「ごめんなさい、少しだけ…」

断りを入れ回復魔法を自分へ使う。
淡い光に包まれた左腕は見る見るうちに元の形を取り戻していく。
奇跡のような光景を前に、黒死牟は僅かに目を細める。
この娘は鬼殺隊ではない。
服装、装備、何より鬼の頸を斬る為の鍛え方ではない体付き。
だが力無きただの人間とも違う。
自身の乱入まで持ちこたえた力といい、負傷を治す光といい黒死牟の記憶には存在しない何かを持っているらしい。
そう考えても、別段深く娘の正体を知ろうという気にはならない。
助けておいて無責任なのだろうが、この娘を今後どうするかすら黒死牟には思い付かないのだ。
戦意のみならず思考すら削ぎ落されたかと、己の無様さに辟易しかけたその時である。

『プレイヤー諸君―――君たちに朗報がある』

彼の心を大きく狂わせる放送が始まったのは。


○


巨大なモニターが消え去った上空を、いろはは痛まし気に見上げ続ける。
わずか数分でまたもや死人が出た。それも今度は複数。
知っている者は一人もいなかったが、あんな風に惨たらしく殺されていい理由などあって良い筈が無い。

「酷いよ……」

黎斗と呼ばれた自称神、神に付き従うハ・デスと磯野、黒い狼のような鎧を纏った男。
彼らの所業は完全に理解の範疇外にあった。
マギウスの魔法少女解放は手段こそ決して認められるべきものではなかったが、根底にあるのは他者を救いたいという願いだ。
救いを求めて集まって来た魔法少女達を、何よりいろはを救いたい。
その為に神浜市の一般人を犠牲に計画を成就させようとした。
だが黎斗らの動機は誰かの為なんかじゃない。
既に何人もの死者を出し、この先もっと多くの悲劇が生まれるだろうに、あろうことかゲームの一言で片付けている。

(どうしてあんな事ができるの…?)

黎斗という男は正気とはかけ離れた、神なんかじゃなくもっとおぞましい存在に思えてならない。
己の芸術(アート)の為だけに全人類魔法少女化計画という、狂気に満ちた世界を実現させようとしたアリナ・グレイと同じ。
私欲の為なら世界すらも平然と巻き込む、どこまでも相容れない存在。

怒りと悲しみが混じり合った表情のまま俯き、ふと気付く。
放送が終わってからというもの、傍に居る男がやけに静かなのを。
彼もまた何か思う所があって、それを言葉には出さず胸の内で整理している最中なのだろうか。
何となく気になって、視線を動かし彼の様子を覗き見た。

「…っ」

言葉にならず、小さく息が漏れる。
傍らに立つ男は六つの眼を限界までこじ開けたまま、瞬き一つする事無く呆然と宙を見上げていた。


○○○


冥界の魔王は屠り合いの首謀者にあらず。
神を自称する、傲慢と尊大に溢れた男の部下に過ぎない。
新たに判明した事実へ多少の驚きこそあれど、黒死牟の心を大きく振るわせはしなかった。

黎斗という名の男、神を名乗るにしては俗人的過ぎる気がしないでもないが、まぁどうでもいい事だ。
得体の知れない力を手にし付け上がった人間か、それとも正真正銘の神か。
どちらが真実かなど興味も無い。

奇妙な札遊び、唐突に参戦した銀の鎧武者、またもや首が飛んで殺された者。
それら全てを無感動に眺め、

『継国縁壱―――それが彼の名前だ』

「―――――――――――――――――――――――――――――――――」

何の前触れもなく、唐突に、ソレを告げられた。

その男を見た瞬間、それまでに殺された者達の顔など遥か忘却の彼方へと消え去った。
映像の最後に紹介された人質の存在すら、黒死牟の視界には映らない。

声が、出ない。
言葉が何も見つからない。

男が誰なのか、それは黒死牟が一番よく知っている。
火炎にも似た痣、人間だった頃の自分と瓜二つの容姿。
四百年前、血だまりに浸した色の月の下で再会を果たした、枯れ木のような老爺ではない。
まだ痣が発現せず、呼吸も身に着けていない、鬼の存在を初めて知った夜。
情けなく腰を抜かした己の元へ馳せ参じた時の、鬼殺隊に所属していた若き日の姿。
死者の蘇生すら可能な力を有しているのだ、若返らせる事くらい造作も無いのだろう。

違う。容姿がどうという話はどうだっていい。
何故、何故、何故、何故、何故。
同じ言葉が幾度となく脳髄を駆け巡っている。

――何故お前が、そこにいる?

消滅した鬼を再び現世に舞い戻らせられるのなら、人間にだって同じ事は可能。
だから違う。そんな話ではないのだ。
自称神が自慢気に、腹立たしい笑みで何かを言っていた。
敵きゃら、げえむ、えぬぴいしい、ぷれいやあ。
言葉の意味はどれ一つとして分からない。
戦国の世に産声を上げ、大正にて生を終えた黒死牟の知識にはある筈の無い単語の数々。
だけど分かる。あの男が、あそこにいた理由が。

「っ!!!」

猛烈な吐き気がした。
臓腑を食い破った虫の群れが、喉元まで這いずり回っているような。
割れるような頭痛がした。
脳と骨を纏めて握り潰されているような。
受け入れ難い現実を前に黒死牟の肉体が拒否反応を示す。

肉体の痛みに苛まれようと、逃げられはしない。
瞳を六つ全て潰したとしても、既に脳裏へ焼き付いて離れない。
耳を両方削ぎ落しても、百足のようにするりするりと奥へ奥へ侵入してしまった。
紛れも無い、これが現実なのだと黒死牟は否応なし理解する。

継国縁壱は檀黎斗の手に堕ちた。

神の寵愛を一身に受けた弟は、神を騙る外道の傀儡となった。

(馬鹿な……)

そうだ。
そんな馬鹿げた話があるものか、あってたまるものか。
もしかすると自分は夢を見ているのかもしれない。
本当は生き返ってなどおらず、地獄に落ちる前の僅かな微睡の中、荒唐無稽な夢現の世界に迷い込んだだけなのでは。

そんな風に否定できればどんなに良かっただろう。
弟に追いつくために鍛え、手に入れた肉体が夢ではないと告げている。
五感全てで得られる情報が、これは現実であると黒死牟に突き付けているのだから。

視界が安定しない。まともに立っていられない。
名前も顔も忘れ去った亡者どもが全身に纏わりついているかのよう。
縁壱の存在に動揺しただけでは、ここまで酷くはならなかった。
弟が傀儡にされたという事実に黒死牟の心が悲鳴を上げているからだ。

それもまた、黒死牟に新たな混乱を齎す要因。
弟への感情が好嫌どちらかと問われたら、迷わず後者を選ぶ。
黒死牟…継国巌勝にとって縁壱は常に嫉妬と憎悪の対象だった。
頼むから死んでくれと願った回数など、両手足の指程度では到底足りない。
赤い月の下、縁壱が息絶えた後ですら負の感情は燻り続けていた。
それ程までに憎悪していた男が、あのような外道の手駒に成り下がった。
鬼の始祖ですら叶わぬ剣の腕を持ちながら、他者を傷付ける事を嫌っていた疑いようの無い人格者が汚された。
だというのに、ざまをみろと暗い喜びは微塵も浮かばず、まるで己の心に刃を突き立てられたような痛みが広がっている。
むしろあのような男が縁壱を貶めた事への怒りで、青筋がビキリビキリと浮かび上がる。
天上の光へ己以外が泥を投げ付けたが故の、実に身勝手な理由からか。
或いは、もっと単純な――

「あ、あの……」

控えめな声が、黒死牟を現実に引き戻す。
天へ向けたままの瞳を地上へ下げれば、おずおずといった様子のいろはが自分を見上げていた。
縁壱の存在に意識を完全に奪われ、とんだ阿保面を晒したまま立ち尽くしていたのだ。
気にならない方がおかしい。

「大丈夫、ですか…?今の放送で何か…」

こちらを気遣うような言葉だが、黒死牟には不要でしかない。
むしろ、大き過ぎる混乱から抜け出せずにいる黒死牟からしたら、いろはに構っていられる余裕は無い。
訳も分からず生き返ったが為の動揺からか、らしくもなく助ける真似をした。
が、このまま面倒を見てやる義理など皆無。
それに今は自分自身の心へ整理を付けられるかも怪しい有様だ。

だからこれ以上関わる気は無い。

「お前には……関係の無い話だ……」
「えっ、で、でも……」
「二度も言わせるな……。……お前と共にいる理由も無い……どこへなりとも……消えるがいい……」
「えっと…じゃああなたは、これからどうするんですか…?」

どうするか。聞かれても答えは浮かばなかった。
自分がどうすればいいかなど、こっちが聞きたいくらいだ。
参加者と同じように縁壱もこの地のどこかへいるのなら、探し続ければいつかは会えるのだろう。
だが、会って一体どうするというのか。
縁壱の死後も黒死牟は鍛え続け、多くの人間を喰らい強くなった。
老いさらばえた縁壱にすら一太刀入れる事の叶わなかった自分では無い。
では今の自分ならば縁壱に勝てるのか?
余りにも馬鹿馬鹿しい問いに、失笑すら浮かんでこない。
数百年の鍛錬と取り込んだ血肉。長きに渡って維持し続けた上弦の壱の座。
あぁ、あぁ。何の意味があるのだろうか。
そもそも自分を鬼に変えたあの御方ですら縁壱には勝てなかったのだ。
百年以上の歳月が経って尚もあの御方に及ばない自分が、縁壱に勝てるなど夢物語も良い所だ。
柱三人と鬼喰い一人、歴代の柱よりは力が有ってもかの日輪には遠く及ばぬ連中にすら敗北し、挙句の果てに自壊する始末。
そのような者が、傀儡と化したとはいえ縁壱相手に勝機を見出せる筈が無かろう。

「話す必要など……無い……」

余計な質問をされて思考が更に鬱々とし出す。
いろはの言葉は耳元で羽虫が飛び回るが如く、鬱陶しいだけのもの。
これ以上は話すつもりも無く、背を向け拒絶を態度で表した。

そうだ。
不可思議な力を持っていようと、人間の小娘一人に構っている自分がどうかしていた。
所詮は困惑から生じた気まぐれにより、命を拾っただけの相手。
傍に置く理由など何も無いだろう。
互いに名前を知らないが、教える必要も無い。

だからこの娘とはこれっきりだ。


……その筈だと言うのに、

「…嫌です」

目の前に立ち塞がって、

「あなたを、一人にはしません」

はっきりと言ってのけた。


○


「お前は……」

何を言っているのだろうか。
先程まで控えめな態度を取っていたと言うのに、何故か急に強気になった。
心境の変化があったのかどうかは知らないし、別に知りたいとも思わない。
とはいえ同行を拒否したのにこうして食い下がられるのは、率直に言って目障り。
僅かに顔を顰め、ああと納得がいった。

「私に庇護を求めるか……」

何て事は無い、自分を守ってくれる存在が欲しいだけだろう。
殺そうとしていた男のような好戦的な参加者が相手では、いろはだけでは命が幾つあっても足りない。
故に自分よりも強い者の庇護下に入り安全を確保する。
その為の丁度いい相手として目を付けた黒死牟と、こうもあっさり別れる訳にはいかない。
だからこうして食い下がっているのか。

理由としては納得できるが、承諾するかどうかは別。
そのような面倒を見てやる義理は無い。
冷たく返そうとし、

「違います!私があなたに守ってもらいたいんじゃない。わたしがあなたを助けたいんです」

「…………」

一瞬、自分の耳がおかしくなったのを疑った。
いや、おかしいのはこの娘の方か。
聞き間違いでなければ、こいつは自分を助けると言ったのか。

自分が現れねばそのまま殺されていた小娘が。
こちらの事情をただの一つとして知らぬ小娘が。
人間の小娘一人の手を借りねばならない弱者と、そのように自分を見ているとでも言うのか。
途端に己の内側が冷え切っていくのを実感する。
向こうも察したのか、頬に一筋の汗を垂らしたが今更遅い。

だが続く言葉にまたしても動揺が生まれた。

「継国縁壱、さん。あの人が関係しているんですか?」
「っ!?」

何故それを知っている。
この娘の前で縁壱の名を出してはいないはず。
人間であった頃ならともかく、醜い鬼と人間では容姿もまるで違うだろうに。

が、ややあって気付いた。
顔は違えど自分と縁壱には同じ特徴が存在する。
痣だ。額と顎に浮かび上がる、縁壱のものと酷似した痣。
そこから何らかの関係があると察したのだろう。

それが何だと言うのか。

「貴様は……」

その男と自分に何があったかを知りもせず、軽々しく弟の名を口にし、
そんな程度で助けるなどとほざくのか。

仮にも一度は助けた少女にぶつけるとは思えない、抜き身の刃の如き殺意。
いろはの背を冷たいものが落ちる。
これまで様々な魔法少女と出会い、魔女やウワサと戦って来た。
しかしこれ程の、勝てるかどうかじゃなく生き残る事にすら諦観を抱くような相手は初めてだ。

だけど。

「……撤回、する気なんてないです」

神浜市での戦いで、絶対に引き下がってはならないと言う場面は幾つもあった。
やちよからチーム解散を一方的に告げられた時だったり、ウワサと一体化した鶴乃の本心を知った時と様々。
今だってきっとそう。
相手は名前もまだ聞いていない、多分人間でも無い男。
あと一つ言葉を間違えれば、即座に殺されてもおかしくない状況。
けれどいろはには、男が激情のままに刀を振るうだけの悪鬼とは思えない。
まるであの時と、記憶ミュージアムでのやちよと同じ、一人ぼっちで途方に暮れている迷子の幼子が目の前にいるような気がしてならない。

「あなたを助けたいっていう想いは変わりません」

だったら、絶対に引き下がってなんかやらない。
ある世界線にて七海やちよからは「恐いくらいに真っ直ぐ」と評された頑固さ。
環いろはらしさを貫く時だ。

「縁壱さんのこと…あなたの心の柔らかい部分に無理やり踏み込んだこと、それはごめんなさい」

頭を下げ、でもと続ける。

「知らないままじゃ、あなたをもっと傷つける。だから、知りたいんです」

救えなかった少女がいる。
ういから助けてあげてと言われたのに、それが出来なかった魔法少女が。
希望を与える為の言葉は呪詛であり、差し伸べた手は絶望に突き落とすトドメ。
知らないままでいたから、知った気になっているだけでいたから、自分は黒江を救えなかった。

「今すぐに、全部教えてとは言いません。ただ…」

あの時自分は絶望に陥りかけた。
完全に絶望へ染まり切らなかったのはやちよ達が、チームみかづき荘の皆がいたから。
自分が救えなかった事実を否定する気は無い。
でも救えなかっただけじゃあない。自分がいたから手を繋ぎ合い、環になった人達だっていたのだ。

「あなたが迷ったら、一緒に出口を探します。あなたが立ち止まりたくなったら、休める場所を見つけます。
 あなたが苦しくなったら、手を引いて息のできる所へ連れて行きます。あなたが倒れそうになったら、わたしが後ろから支えます」

結局は諦めたくないんだろう。
ういを、灯花を、ねむを、黒江を救えなかった事実だけを見て膝を付くのではない。
救えなかった人も救った人も、出会い全部をひっくるめて魔法少女となった自分の選択を後悔しない為に。
自分の無力さに屈し、傷ついている人を見ない振りなんてしたくないから。

「あなたが教えても良いって思ってくれるように、頑張りたいんです」

だから、いろはは何度だって手を伸ばしてみせる。

「…………」

本当に、この娘は何を言っているのか。
そもそも前提からして間違っている。
自分は助けなど求めていない、己の胸の内を誰ぞ彼ぞにぶち撒けるなど以ての外。
だというのに一体何を得意気に口にしているのか。

斬ればいい、耳元で囁く声がする。
斬れ、斬ってしまえ。
口で言って黙らぬ相手に何を説いても無駄。ならば斬って黙らせろと言う。
声は自分自身のものであり、主のものにも聞こえた。
既に侍とはかけ離れた化け物へ成り果てた身。
年端も行かぬ娘を斬るという畜生の行いを重ねたとて、今更何が変わるでもない。

黒死牟の力を以てすれば、抜刀と同時に細切れにするのは容易い。
ほんの軽く腕を振るうだけで片が付く、小娘を永久に黙らせられる。

ああけれど、己を助けたいとのたまった声に淀みはまるで無く、憐みなどは小指程も宿っていない。
生温い戯言と、甘ったるい妄言と切り捨てるには、自分を見つめる瞳は余りにも力強くて。
刀を抜くという動作一つに、どういう訳か動けない。

現実を見れていないから、強気な言葉を言えるのではない。
現実に打ちのめされても諦めないから、環いろはは強いのだ。

(私は……何をしている……)

自分自身が呆れ返る程の愚鈍に思えた。
二十年も生きていない娘の言葉に頭を沸騰させ、挙句刀に手を伸ばすとは。
無限城での最期でこれより下は無いくらいに落ちぶれたと思ったが、まさかこの期に及んでまだ落ちるとは。
生き恥ここに極まれり。ほとほと己が惨めでならない。

ああしかし、恨み辛みをぶつける鬼狩りや、見当違いの同情を向ける輩、分かり易い恐怖を露わにする有象無象には見慣れているも、純粋に助けたいと願う奇人はこの娘くらいのものだろう。
だからだろうか、決して娘に心を開いたのでないのに、こう返したのは。

「勝手にしろ……」

投げやりな言葉をどう受け取ったのか、「はい、勝手にします」と微笑んだ娘に今度こそ何も言えなくなった。


◆


魔法少女と鬼のお話は一先ずお終い。
どうにかこうにか血を流さずに済んだ幕切れに、しかし安堵するには気が早過ぎる。
彼らはまだ気付いていないのだから。
信頼する仲間と、救えなかった少女達がいることを。
自身が魂を売り渡した鬼の始祖がいることを。
環いろはも黒死牟も、まだ知らない。

それでも今は、

「あっ!まだ言ってませんでした。わたしは環いろはって言います」
「………………黒死牟だ……」

この出会いは無駄ではないと、きっと意味がある事を願おう。


【D-6/一日目/深夜】

【環いろは@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)】
[状態]:疲労(大)、魔力消費(中)、両腕負傷(ほぼ完治)
[装備]:クロスボウ
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
[思考・状況]
基本方針:殺し合いを止める。
1:黒死牟さんを放って置けない、助けになりたい。
2:軍服の男(大尉)を警戒。
[備考]
※参戦時期はファイナルシーズン終了後。
※ドッペルが使用可能かどうかは後続の書き手に任せます。

【黒死牟@鬼滅の刃】
[状態]:疲労(小)、精神疲労、縁壱への形容し難い感情、黎斗への怒り、いろはへの…?
[装備]:虚哭神去@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品一式、ランダム支給品×1~3
【思考・状況】
基本方針:分からない。
1:この娘は何なのだろうか……。
2:もし縁壱と会ったら……?
[備考]
※参戦時期は死亡後。

※どちらもまだ名簿を確認していません。

003:妖星絢爛 投下順 005:レッド・デーモンズ・タイラント
時系列順
03:ミカヅキ 環いろは 019:ロゴスなきワールド ─戦争の夜に─
黒死牟
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