助手席の窓から見える景色が急に止まった。
流れるように変化し続けていたというのに、今はさして注目する点の無い公園を映すばかり。
どうして運転を止めたのだろうか。
疑問を視線で訴えるねむだが、わざわざ言葉を返されずとも理由は分かった。
運転手である鋼牙がガラス窓越しに見つめるのは、地面に横たわる参加者。
綺麗に並べられたそれらは身動ぎ一つ、瞬き一つしない。
流れるように変化し続けていたというのに、今はさして注目する点の無い公園を映すばかり。
どうして運転を止めたのだろうか。
疑問を視線で訴えるねむだが、わざわざ言葉を返されずとも理由は分かった。
運転手である鋼牙がガラス窓越しに見つめるのは、地面に横たわる参加者。
綺麗に並べられたそれらは身動ぎ一つ、瞬き一つしない。
降りて確かめても良いか。
今度は逆にねむの方が鋼牙からの視線で問い掛けられる。
チラと横たわる二人に目をやり、首を縦に振った。
了解を得て車を降りる鋼牙に倣い、ねむも助手席のドアを開ける。
デイパックから浮遊ポッドを出して乗り移り、鋼牙と並んで目的の二人へ近付く。
今度は逆にねむの方が鋼牙からの視線で問い掛けられる。
チラと横たわる二人に目をやり、首を縦に振った。
了解を得て車を降りる鋼牙に倣い、ねむも助手席のドアを開ける。
デイパックから浮遊ポッドを出して乗り移り、鋼牙と並んで目的の二人へ近付く。
地面に寝かせられているのはどちらも女だった。
片や成人した女性、片や10代半ば程の少女。
多少の乱れこそあるものの制服を着用している少女と違い、女性は一糸纏わぬ裸。
何故かメイクまで施されている理由は分からない。
片や成人した女性、片や10代半ば程の少女。
多少の乱れこそあるものの制服を着用している少女と違い、女性は一糸纏わぬ裸。
何故かメイクまで施されている理由は分からない。
「……」
死体を見下ろす鋼牙の目は自然と険しさを増す。
殺し合いと謳うからには犠牲者が出るのは当たり前。
現に鋼牙はゲームが始まってすぐ、止むを得ない事情とはいえ一人を斬った。
だがこうして死した参加者を見せつけられると、もう少し早くに駆け付けられればという悔しさが湧き上がる。
何より、この二人はホラーに襲われた事による殺され方ではない。
人間の悪意によって命を奪われている。
魔戒騎士の使命はホラーを斬り、人間を守ること。
ではその守る対象が牙を剥いて来たらどうするのか。
古来より多くの魔戒騎士や魔戒法師に突きつけられる問題であり、時にはそれが原因で道を踏み外した騎士も存在したと聞く。
殺し合いにおいてはより重くその問題が圧し掛かるだろう。
殺し合いと謳うからには犠牲者が出るのは当たり前。
現に鋼牙はゲームが始まってすぐ、止むを得ない事情とはいえ一人を斬った。
だがこうして死した参加者を見せつけられると、もう少し早くに駆け付けられればという悔しさが湧き上がる。
何より、この二人はホラーに襲われた事による殺され方ではない。
人間の悪意によって命を奪われている。
魔戒騎士の使命はホラーを斬り、人間を守ること。
ではその守る対象が牙を剥いて来たらどうするのか。
古来より多くの魔戒騎士や魔戒法師に突きつけられる問題であり、時にはそれが原因で道を踏み外した騎士も存在したと聞く。
殺し合いにおいてはより重くその問題が圧し掛かるだろう。
(彼女は確か…)
鋼牙の隣ではねむが首を傾げる。
桃色の髪をした少女をどこかで見たような気がし、ややあって思い出す。
確かキレーション・フェントホープでいろは達と行動を共にしていた魔法少女だ。
神浜聖女のウワサと一体化した巴マミを、元に戻したのも彼女だったか。
ということは、マミと同じく見滝原を活動拠点とする魔法少女の一人。
桃色の髪をした少女をどこかで見たような気がし、ややあって思い出す。
確かキレーション・フェントホープでいろは達と行動を共にしていた魔法少女だ。
神浜聖女のウワサと一体化した巴マミを、元に戻したのも彼女だったか。
ということは、マミと同じく見滝原を活動拠点とする魔法少女の一人。
(神浜市出身ではなくても、いろはお姉さんと関わった人間が集められているのかな?)
いろはの交友関係全てを把握してはいないので、ひょっとすると自分が知らないだけで他にも魔法少女が参加しているのかもしれない。
予選段階で落とされた可能性もあるのだが。
ともかくこの少女に関しては、正直死んでくれて助かったと思う。
恐らくはマギウスの翼へ警戒するようやちよ辺りから伝えられていただろうし、生きて参加者にねむ達の悪評を触れて回られるのは困る。
早々に脱落した彼女には気の毒だが、ねむとしては都合が良い。
内心の利己的な思いを表に出さず眠たげな顔で見下ろし続け、一つ奇妙な点に気が付いた。
予選段階で落とされた可能性もあるのだが。
ともかくこの少女に関しては、正直死んでくれて助かったと思う。
恐らくはマギウスの翼へ警戒するようやちよ辺りから伝えられていただろうし、生きて参加者にねむ達の悪評を触れて回られるのは困る。
早々に脱落した彼女には気の毒だが、ねむとしては都合が良い。
内心の利己的な思いを表に出さず眠たげな顔で見下ろし続け、一つ奇妙な点に気が付いた。
(ソウルジェムが無い?)
桃色の髪の少女の近くには、魔法少女の魂がどこにも見当たらない。
死んだということはソウルジェムが破壊された筈だ。
なのに欠片の一つすら落ちていない。
首には強く絞めた痕が残っており、魔法少女の事を知らない人間が見たら死因は絞殺だと断定するだろう。
しかしねむは有り得ないと言う。
気絶くらいならばまだしも、ソウルジェムが破壊されないなら首を絞めた所で魔法少女は死なない。
もしや彼女を襲った犯人がソウルジェムを持ち去り、パスが切れて抜け殻となっただけなのか。
それを見つけた別の参加者が死んでいると勘違いして、女性の隣に寝かせたのか。
どちらにしても少女からしたら災難である。
死んだということはソウルジェムが破壊された筈だ。
なのに欠片の一つすら落ちていない。
首には強く絞めた痕が残っており、魔法少女の事を知らない人間が見たら死因は絞殺だと断定するだろう。
しかしねむは有り得ないと言う。
気絶くらいならばまだしも、ソウルジェムが破壊されないなら首を絞めた所で魔法少女は死なない。
もしや彼女を襲った犯人がソウルジェムを持ち去り、パスが切れて抜け殻となっただけなのか。
それを見つけた別の参加者が死んでいると勘違いして、女性の隣に寝かせたのか。
どちらにしても少女からしたら災難である。
「あれは…」
ソウルジェムの行方に疑問を抱くねむは、すぐ隣からの声に反応。
目の前の死体とは別の方を見やる鋼牙の視線を追い掛ける。
少女達から少し離れた位置に、もう一体横たわる何者かがいるではないか。
そちらへ近付く鋼牙に倣い、ねむも一旦思考を打ち切って後に続く。
目の前の死体とは別の方を見やる鋼牙の視線を追い掛ける。
少女達から少し離れた位置に、もう一体横たわる何者かがいるではないか。
そちらへ近付く鋼牙に倣い、ねむも一旦思考を打ち切って後に続く。
今度は男だった。
綺麗に並べられた少女達とは違い、無造作に投げ捨てられたという表現がしっくりくる青年。
死体の損壊具合もこちらの方が酷い。
衣服は乾いた血でドス黒く染まり、破れた箇所から顔を覗かせるのはピンクの肉塊。
より暴力性が強く惨たらしい死体。
一体自分達が来るまでに何が起きたのか、どのような人物が殺戮を繰り広げたのか疑問は尽きない。
綺麗に並べられた少女達とは違い、無造作に投げ捨てられたという表現がしっくりくる青年。
死体の損壊具合もこちらの方が酷い。
衣服は乾いた血でドス黒く染まり、破れた箇所から顔を覗かせるのはピンクの肉塊。
より暴力性が強く惨たらしい死体。
一体自分達が来るまでに何が起きたのか、どのような人物が殺戮を繰り広げたのか疑問は尽きない。
恐ろしい事に死体はもう一体転がっているのだ。
先の三体と違って、こちらは人の形すら維持していない。
顔も胴体もバラバラ、辛うじて男性とは分かるも生前の顔は判別不可能。
先の三体と違って、こちらは人の形すら維持していない。
顔も胴体もバラバラ、辛うじて男性とは分かるも生前の顔は判別不可能。
「何があったんだろうね…」
立て続けに見つかる惨劇の痕跡に、さしものねむも少々困惑気味。
だがこの状況はチャンスでもある。
死体がこれだけ転がってるなら、首輪を回収するまたとない機会。
抜け目なく容赦もない灯花なら既に入手しているだろうけど、念の為こっちでも手に入れておいて損は無い。
問題は横にいる青年がそれを良しとするかどうか。
さて何と言おうかと考えつつ鋼牙の方を向くと、既に踵を返し車へ戻ろうとしていた。
鋼牙としてはこのまま死体を野晒しのまま放置するより、埋葬なりをしたいとは思う。
一方でこのような凄惨な光景を生み出す危険人物がうろついているなら、迅速に行動し動かねばならない。
友である零ならば心配はいらないが、ねむの心配するいろは達が危険に晒されてもおかしくはない。
なので既に亡き彼らには申し訳ないが、今は生きている者の安全を優先させてもらう。
首輪にしたって一つ入手しているので、彼らを斬首する気も無かった。
思い通りとはいかずねむは小さくため息を零す。
まぁこれくらいは別に許容範囲内だ、どうせ生きていれば首輪を手に入れる機会など幾らでもやって来る。
だがこの状況はチャンスでもある。
死体がこれだけ転がってるなら、首輪を回収するまたとない機会。
抜け目なく容赦もない灯花なら既に入手しているだろうけど、念の為こっちでも手に入れておいて損は無い。
問題は横にいる青年がそれを良しとするかどうか。
さて何と言おうかと考えつつ鋼牙の方を向くと、既に踵を返し車へ戻ろうとしていた。
鋼牙としてはこのまま死体を野晒しのまま放置するより、埋葬なりをしたいとは思う。
一方でこのような凄惨な光景を生み出す危険人物がうろついているなら、迅速に行動し動かねばならない。
友である零ならば心配はいらないが、ねむの心配するいろは達が危険に晒されてもおかしくはない。
なので既に亡き彼らには申し訳ないが、今は生きている者の安全を優先させてもらう。
首輪にしたって一つ入手しているので、彼らを斬首する気も無かった。
思い通りとはいかずねむは小さくため息を零す。
まぁこれくらいは別に許容範囲内だ、どうせ生きていれば首輪を手に入れる機会など幾らでもやって来る。
小さな体が助手席に腰を下ろしたのを確認し、高級車を再発進。
公園には物言わぬ死体だけが残された。
公園には物言わぬ死体だけが残された。
そうならなかった話ではあるが。
もし鋼牙達がほんの少し移動を遅らせていたら。
死体の埋葬や首輪の回収で公園に留まっていたら、後からやって来た三人組と遭遇しただろう。
打倒主催者を目的に動くL達と行動を共にするか、別行動を取ったとしても情報交換を行い縁を作れた筈だ。
最初に言った通り、これはそうならなかった話。
よって、これより先に起きる展開には世界最高の探偵も、元バリアン七皇の決闘者も、黄金の果実を求めた強者たらんとする青年も参戦しない。
もし鋼牙達がほんの少し移動を遅らせていたら。
死体の埋葬や首輪の回収で公園に留まっていたら、後からやって来た三人組と遭遇しただろう。
打倒主催者を目的に動くL達と行動を共にするか、別行動を取ったとしても情報交換を行い縁を作れた筈だ。
最初に言った通り、これはそうならなかった話。
よって、これより先に起きる展開には世界最高の探偵も、元バリアン七皇の決闘者も、黄金の果実を求めた強者たらんとする青年も参戦しない。
公園を後にし、どれくらい経過しただろうか。
ねむがぼんやり窓の外を眺めていると、またもや景色に変化が現れた。
それも今度は停止など生易しい類では無い、急なスピンで絶叫マシーンに乗っているような衝撃が来たのだ。
脳みそをシェイクされ視界が安定しない。
メガネを元の位置に直しつつ、一体何のつもりと抗議の口を開こうとし、
ねむがぼんやり窓の外を眺めていると、またもや景色に変化が現れた。
それも今度は停止など生易しい類では無い、急なスピンで絶叫マシーンに乗っているような衝撃が来たのだ。
脳みそをシェイクされ視界が安定しない。
メガネを元の位置に直しつつ、一体何のつもりと抗議の口を開こうとし、
運転席を飛び出した鋼牙が抜刀するのが見えた。
「え……」
呆けた声はねむが事態をまだ理解していない証拠。
視界を通して得られた情報により、徐々に緊急事態であると脳が訴える。
視界を通して得られた情報により、徐々に緊急事態であると脳が訴える。
何処より現れた金髪の偉丈夫が突き出した槍を、鋼牙が魔戒剣で防ぐ。
深く考えるまでもない、殺し合いが始まっただけだ。
◆◆◆
「お待たせ!アイスティーしかなかったけど良いかな?」
「……」
「そんなに怒らないでくれよな~頼むよ~(懇願)」
「……」
「……」
「そんなに怒らないでくれよな~頼むよ~(懇願)」
「……」
お馴染みの語録を何度口にしても相手の反応は同じ。
これには「駄目みたいですね(諦め)」とため息を吐くしかない。
青のスーツと白銀の装甲を纏った騎士、仮面ライダーブレイドこと国民的ホモビ男優の野獣先輩は頭を抱える。
これには「駄目みたいですね(諦め)」とため息を吐くしかない。
青のスーツと白銀の装甲を纏った騎士、仮面ライダーブレイドこと国民的ホモビ男優の野獣先輩は頭を抱える。
宝生永夢を殺害後、支給品のカードをポセイドンを対象に発動。
参加者にも効果があるかは賭けだったが、結果は成功と言って良い。
だが支配下に置いたは良いものの、依然として気を抜けない状態だ。
こちらへ襲い掛かりはせず、付いて来いと命令すればその通り黙って後に続く。
しかし忠実な手駒が手に入ったと、素直に喜ぶ気にはなれない。
参加者にも効果があるかは賭けだったが、結果は成功と言って良い。
だが支配下に置いたは良いものの、依然として気を抜けない状態だ。
こちらへ襲い掛かりはせず、付いて来いと命令すればその通り黙って後に続く。
しかし忠実な手駒が手に入ったと、素直に喜ぶ気にはなれない。
何せポセイドンは常に殺意の籠った瞳で野獣先輩を睨み続けるのだ。
洗脳-ブレインコントロール-はある程度効いているが、完全な支配には至っていない。
今もポセイドンの自我は抵抗の真っ最中。
目の前の人間(ゴミクズ)に従えという声が絶えず脳内に訴えかけている。
平時であれば洗脳効果も意思一つで捻じ伏せるだろう、ある種の完成された強靭な神の精神。
されど消耗の大きさ故か幾らかの効力発揮を許す始末。
内の一つとして、ポセイドン自身の殺意とは裏腹に体は野獣先輩殺害に動かない。
洗脳-ブレインコントロール-はある程度効いているが、完全な支配には至っていない。
今もポセイドンの自我は抵抗の真っ最中。
目の前の人間(ゴミクズ)に従えという声が絶えず脳内に訴えかけている。
平時であれば洗脳効果も意思一つで捻じ伏せるだろう、ある種の完成された強靭な神の精神。
されど消耗の大きさ故か幾らかの効力発揮を許す始末。
内の一つとして、ポセイドン自身の殺意とは裏腹に体は野獣先輩殺害に動かない。
「この辺にぃ、美味いラーメン屋の屋台、来てるらしいっすよ」
「……」
「クゥーン…(子犬)」
「……」
「クゥーン…(子犬)」
相変わらずな反応に、子犬の如き声で悲しみを見せても無駄。
むしろ余計、相手からの殺意が大きくなったではないか。
気色悪いからね、しょうがないね。
むしろ余計、相手からの殺意が大きくなったではないか。
気色悪いからね、しょうがないね。
(どうすっかな~俺もな~)
もしポセイドンの洗脳に失敗したら即座に殺すつもりだった。
結果は一応成功したので連れ歩いてはいるも、ストレートに殺気をぶつけられては心臓に悪い。
永続的な下僕が手に入ったならともかく、これでは時限爆弾を抱えているのと一緒。
変身を解除しないのも万が一洗脳が切れた時を警戒しての理由だ。
それなら相手がこちらを殺さない内に始末した方が良いのではと考え、けど折角洗脳した男をあっさり手放すのも惜しい気がする(もったいない精神を大事にする人間の鑑)。
ポセイドンの運用方法に悩んでいると、ブレイドの聴覚センサーが音を拾った。
結果は一応成功したので連れ歩いてはいるも、ストレートに殺気をぶつけられては心臓に悪い。
永続的な下僕が手に入ったならともかく、これでは時限爆弾を抱えているのと一緒。
変身を解除しないのも万が一洗脳が切れた時を警戒しての理由だ。
それなら相手がこちらを殺さない内に始末した方が良いのではと考え、けど折角洗脳した男をあっさり手放すのも惜しい気がする(もったいない精神を大事にする人間の鑑)。
ポセイドンの運用方法に悩んでいると、ブレイドの聴覚センサーが音を拾った。
「ん?」
ホモ特有の鋭敏さで耳聡く反応する。
聞こえたのは自動車を走らせる音。
方向は自分達からそう離れていない。
新しい参加者が訪れたのを察し、こ↑こ↓で天啓のように一つの考えが舞い降りた。
聞こえたのは自動車を走らせる音。
方向は自分達からそう離れていない。
新しい参加者が訪れたのを察し、こ↑こ↓で天啓のように一つの考えが舞い降りた。
(あっ、そうだ(閃き)。こいつぶつけて使い捨てればいいじゃんアゼルバイジャン)
ポセイドンをこの先も連れ歩くのに不安なら、いっそこのタイミングで参加者にぶつけしまえばいい。
首尾よく敵を殺せても良し、相打ちとなっても良し、返り討ちに遭ったとしても敵を消耗させれば問題無し。
どう転んでも自分に損は無い。
我ながら良いアイディアだとしたり顔を浮かべる。
そのゲスさたるや、大地を名にしておきながら清らかさとは程遠い日本ペイントの社員に負けず劣らずであった。
首尾よく敵を殺せても良し、相打ちとなっても良し、返り討ちに遭ったとしても敵を消耗させれば問題無し。
どう転んでも自分に損は無い。
我ながら良いアイディアだとしたり顔を浮かべる。
そのゲスさたるや、大地を名にしておきながら清らかさとは程遠い日本ペイントの社員に負けず劣らずであった。
ポセイドンの使い道は決まった。
後は命令してやるだけ。
後は命令してやるだけ。
「まずうちさぁ、参加者いるんだけど…殺ってかない?」
「……」
「は?(威圧)」
「……」
「は?(威圧)」
何と言うことだろうか、命令してもポセイドンは動かず野獣先輩を睨むばかり。
反抗的な態度に思わずカチンと来るも、これはポセイドンがどっかの大先輩と同じ池沼だからとかではない。
野獣先輩が「○○を殺しに行け」のような具体的な命令を出さず、後輩を日焼けに誘うノリで語録を使ったが故だ。
口を開けば淫夢語録しか話さないこのお喋りうんちはそれに気付かないで、苛立ちを露わに続ける。
反抗的な態度に思わずカチンと来るも、これはポセイドンがどっかの大先輩と同じ池沼だからとかではない。
野獣先輩が「○○を殺しに行け」のような具体的な命令を出さず、後輩を日焼けに誘うノリで語録を使ったが故だ。
口を開けば淫夢語録しか話さないこのお喋りうんちはそれに気付かないで、苛立ちを露わに続ける。
「近くに別の奴が来たからとっとと殺しに行って、どうぞ(催促)」
今度は具体的に言ったのが効いたらしく、踵を返し言われた通りの方へと駆け出した。
「じゃけん追いかけましょうね~」
命令に従ったポセイドンを満足気に見ながら、野獣先輩も後を追う。
頭の中では既に自分の一人勝ちを確信して。
頭の中では既に自分の一人勝ちを確信して。
◆◆◆
迫り来る猛烈な殺気。
襲撃者の姿を目で捉えるより前に、鋼牙は魔戒剣を引き抜き迎え撃った。
頭で、敵が近付いて来たから動こうと決めたのではない。
殺気をぶつけられたと同時に、肉体が反射的に動いたのだ。
魔戒剣を持つ右手の痺れで、ようやっと襲われた事実に理解が追い付く。
襲撃者の姿を目で捉えるより前に、鋼牙は魔戒剣を引き抜き迎え撃った。
頭で、敵が近付いて来たから動こうと決めたのではない。
殺気をぶつけられたと同時に、肉体が反射的に動いたのだ。
魔戒剣を持つ右手の痺れで、ようやっと襲われた事実に理解が追い付く。
「お兄さ「下がっていろ!!!」」
ねむの方を見ずに叫び返す。
両の瞳で捉えた敵の姿、今しがた防いだばかりの一撃。
これだけで鋼牙の敵に対する警戒は最大限に引き上げられた。
守ると決めた少女へ気を遣っていられる余裕は、槍を手にした金髪の偉丈夫相手に抱けない。
意識を逸らせば待ち受けるのは絶対の死。
だからねむには離れているよう、一言伝えるので精一杯。
声色から鋼牙の余裕の無さをねむも察する。
彼女とて素性を隠してはいるものの魔法少女、呆けたまま動かない愚行は晒さず言われた通りに離れた。
両の瞳で捉えた敵の姿、今しがた防いだばかりの一撃。
これだけで鋼牙の敵に対する警戒は最大限に引き上げられた。
守ると決めた少女へ気を遣っていられる余裕は、槍を手にした金髪の偉丈夫相手に抱けない。
意識を逸らせば待ち受けるのは絶対の死。
だからねむには離れているよう、一言伝えるので精一杯。
声色から鋼牙の余裕の無さをねむも察する。
彼女とて素性を隠してはいるものの魔法少女、呆けたまま動かない愚行は晒さず言われた通りに離れた。
(何だこの男は…!?)
襲撃者と対峙する鋼牙は冷汗を抑えられなかった。
鳥肌が立つ美しさを持つ金髪の偉丈夫を、鋼牙は人間とは見れない。
男の存在自体は放送で、条河麻耶なる少女が殺された映像により把握している。
だがこうして実物を目にすれば、否応なしに分かってしまう。
コレはバラゴや布道シグマといった、闇に堕ちた魔戒騎士に匹敵する怪物。
気を引き締めるだけでは到底足りない、嘗ての強敵を前にしたのと同じ心構えで挑まねば勝ちは望めない。
鳥肌が立つ美しさを持つ金髪の偉丈夫を、鋼牙は人間とは見れない。
男の存在自体は放送で、条河麻耶なる少女が殺された映像により把握している。
だがこうして実物を目にすれば、否応なしに分かってしまう。
コレはバラゴや布道シグマといった、闇に堕ちた魔戒騎士に匹敵する怪物。
気を引き締めるだけでは到底足りない、嘗ての強敵を前にしたのと同じ心構えで挑まねば勝ちは望めない。
「っ!!」
それ以上の思考は許されない、次撃が放たれる。
やった事を説明すれば単純明快、手にした得物を突き出した。
長得物を操る戦士ならばやって当然の攻撃方法。
一撃の速さと威力が、常識では有り得ない程に高いというおまけ付きだが。
心臓を狙ったトライデントの突き、肉を貫いた手応えは無く金属に弾かれた感触。
二度目の攻撃もまた魔戒剣での防御に成功。
防がれた苛立ち、防げた喜び。
両者共に無駄な思考を脳内から完全に排除、三撃目へと移行する。
やった事を説明すれば単純明快、手にした得物を突き出した。
長得物を操る戦士ならばやって当然の攻撃方法。
一撃の速さと威力が、常識では有り得ない程に高いというおまけ付きだが。
心臓を狙ったトライデントの突き、肉を貫いた手応えは無く金属に弾かれた感触。
二度目の攻撃もまた魔戒剣での防御に成功。
防がれた苛立ち、防げた喜び。
両者共に無駄な思考を脳内から完全に排除、三撃目へと移行する。
(そこかっ!)
敵が攻撃を繰り出してから動くのでは余りにも遅い。
防御も回避も行う暇なく、血のこびり付いた穂先は鋼牙の命を奪い去るだろう。
故に頼れるは研ぎ澄まされた己の動体視力と直感。
僅かな筋肉の動きを見極め、次にどこを狙って攻撃が来るかを予測し防ぐ。
防御も回避も行う暇なく、血のこびり付いた穂先は鋼牙の命を奪い去るだろう。
故に頼れるは研ぎ澄まされた己の動体視力と直感。
僅かな筋肉の動きを見極め、次にどこを狙って攻撃が来るかを予測し防ぐ。
「オオオオオッ!!!」
首を狙ったトライデントを弾く。
続けて腹部、こちらは最小限の動きで身を捩り回避。
動作が大振りであればある程、次の行動に甚大な支障が生まれる。
この男相手に隙を晒すのは自ら首を差し出すのと同じ。
躱した傍から襲って来るトライデントを防ぐには、動作の無駄を全て削ぎ落さねば不可能。
続けて腹部、こちらは最小限の動きで身を捩り回避。
動作が大振りであればある程、次の行動に甚大な支障が生まれる。
この男相手に隙を晒すのは自ら首を差し出すのと同じ。
躱した傍から襲って来るトライデントを防ぐには、動作の無駄を全て削ぎ落さねば不可能。
敵は片手のみで槍を突き出す、だというのに信じられない重さだ。
両手で魔戒剣の柄をしっかり握り締めないと、弾き落とされてしまう。
一時的だろうと武器を手放しては確実に死へと一直線。
律儀に武器を拾いに行くのを待ってくれる相手では無い。
打ち合う度に両手を襲う痺れも、歯を食い縛って耐える。
ソウルメタル製の武器で無ければ、最初の一撃でとっくに破壊されていた。
両手で魔戒剣の柄をしっかり握り締めないと、弾き落とされてしまう。
一時的だろうと武器を手放しては確実に死へと一直線。
律儀に武器を拾いに行くのを待ってくれる相手では無い。
打ち合う度に両手を襲う痺れも、歯を食い縛って耐える。
ソウルメタル製の武器で無ければ、最初の一撃でとっくに破壊されていた。
顔、首、胴体、両脚。
全身各所をくまなく狙い貫くトライデントは、今だ鋼牙の肉を引き裂くに至っていない。
戦闘が始まってから、互いに打ち合った数は二十に届くと言ったところ。
数時間前に戦った、仮面ライダーを穢す男との打ち合いよりも遥かに少ない。
それでも一撃一撃への対処にて全神経を張りつめねばならず、短時間ながら鋼牙の負担は馬鹿にならなかった。
全身各所をくまなく狙い貫くトライデントは、今だ鋼牙の肉を引き裂くに至っていない。
戦闘が始まってから、互いに打ち合った数は二十に届くと言ったところ。
数時間前に戦った、仮面ライダーを穢す男との打ち合いよりも遥かに少ない。
それでも一撃一撃への対処にて全神経を張りつめねばならず、短時間ながら鋼牙の負担は馬鹿にならなかった。
鋼牙は知る由も無いが金髪の偉丈夫を、ポセイドンを知る者からすれば。
天界の神々からすれば有り得ない光景と目を疑うだろう。
神器を手にしてもいない人間がポセイドンとの戦いを成立させる。
その事実に誰もが驚愕を覚えるに違いない。
天界の神々からすれば有り得ない光景と目を疑うだろう。
神器を手にしてもいない人間がポセイドンとの戦いを成立させる。
その事実に誰もが驚愕を覚えるに違いない。
ゲームにおけるポセイドンの動向は一方的な殺戮だった。
不動遊星のデッキから召喚されるモンスターを条河麻耶諸共蹴散らし。
上級モンスターの召喚に成功した牛尾哲の戦術を嘲笑うかのように瞬殺。
宝生永夢をエグゼイドへの変身すら待たず一撃で沈め。
直接手を下すまでもなく、魔法少女の千代田桃から戦意を奪い去った。
不動遊星のデッキから召喚されるモンスターを条河麻耶諸共蹴散らし。
上級モンスターの召喚に成功した牛尾哲の戦術を嘲笑うかのように瞬殺。
宝生永夢をエグゼイドへの変身すら待たず一撃で沈め。
直接手を下すまでもなく、魔法少女の千代田桃から戦意を奪い去った。
大海の暴君の呼び名に相応しい、絶対的な強さの神。
ゲームバランスを崩壊させかねない男へ、鋼牙がこうも渡り合えるのにも当然理由があった。
ゲームバランスを崩壊させかねない男へ、鋼牙がこうも渡り合えるのにも当然理由があった。
魔戒騎士である鋼牙は生身であってもホラーと渡り合える、超人的な身体能力を有する。
エグゼイドや魔法少女への変身という工程が必要な永夢や桃と違い、ポセイドンの初撃へ対処してみせた事からも分かるだろう。
加えて培ってきた戦闘経験と、今も尚修練により鍛え続ける肉体。
幼少時からホラーとの戦いの渦中に身を置き得た能力は、殺し合いだろうと失われない。
何よりの理由は現在のポセイドンの状態。
エナジーアイテムを駆使した永夢の裏技が原因で、本来ならば受ける筈の無かった甚大な体力消耗に蝕まれているのだ。
如何にポセイドンと言えども、万全とは程遠い疲弊した身に追い込まれては動作の一つ一つに陰りが生じる。
その為人間相手に未だ殺せていないという、彼からしたら到底納得いかない光景を作り出す羽目となった。
エグゼイドや魔法少女への変身という工程が必要な永夢や桃と違い、ポセイドンの初撃へ対処してみせた事からも分かるだろう。
加えて培ってきた戦闘経験と、今も尚修練により鍛え続ける肉体。
幼少時からホラーとの戦いの渦中に身を置き得た能力は、殺し合いだろうと失われない。
何よりの理由は現在のポセイドンの状態。
エナジーアイテムを駆使した永夢の裏技が原因で、本来ならば受ける筈の無かった甚大な体力消耗に蝕まれているのだ。
如何にポセイドンと言えども、万全とは程遠い疲弊した身に追い込まれては動作の一つ一つに陰りが生じる。
その為人間相手に未だ殺せていないという、彼からしたら到底納得いかない光景を作り出す羽目となった。
逆に言うと、そこまで消耗していなければ鋼牙であっても戦いを成立させられない。
歴代最強の魔戒騎士、黄金騎士・牙狼の称号を手にする男だろうと敗北してもおかしくはない。
それ程までにポセイドンは強い。
自称でもなければ比喩表現でも無い、正真正銘の神と人間の間には絶望的な力の差があった。
とはいえ、現実の光景として繰り広げられるのは神の槍を凌ぎ切る人間。
鋼牙とて伊達や酔狂で牙狼を名乗るのではなく、相応の実力を我が物としているのは確か。
鍛えに鍛えた剣術は神の名の下に葬る一撃を決して通さない。
歴代最強の魔戒騎士、黄金騎士・牙狼の称号を手にする男だろうと敗北してもおかしくはない。
それ程までにポセイドンは強い。
自称でもなければ比喩表現でも無い、正真正銘の神と人間の間には絶望的な力の差があった。
とはいえ、現実の光景として繰り広げられるのは神の槍を凌ぎ切る人間。
鋼牙とて伊達や酔狂で牙狼を名乗るのではなく、相応の実力を我が物としているのは確か。
鍛えに鍛えた剣術は神の名の下に葬る一撃を決して通さない。
されど、鋼牙は間違っても自分が有利だとは思えなかった。
このまま生身で対処を続けた所で、先に限界を迎えるのは確実に自分。
今の状態ではどうやったって勝利を手に出来ない。
戦況を変えるには鎧の召喚が必須。
非常に厳しいことに、敵は鎧召喚を行う隙を全く与えてはくれない。
このまま生身で対処を続けた所で、先に限界を迎えるのは確実に自分。
今の状態ではどうやったって勝利を手に出来ない。
戦況を変えるには鎧の召喚が必須。
非常に厳しいことに、敵は鎧召喚を行う隙を全く与えてはくれない。
(隙が作れない…!)
距離を取ろうにも、絶え間なく突き出される穂先が許しはしない。
常に剣を振るい身を捩る以外の動作が叶わず、時間と体力だけが失われていく。
常に剣を振るい身を捩る以外の動作が叶わず、時間と体力だけが失われていく。
鎧召喚の隙を作るのに苦労したのは、白銀の騎士との戦闘時と同じ。
あの時はねむのアシストで無事に鎧を纏ったが、ポセイドン相手に通用するとは思えない。
第一この戦闘にねむを巻き込むこと自体が反対。
相棒が指に填められていれば魔導火を吐き、敵の気を逸らすのに一役買っただろうけれど彼は不在。
鋼牙単独でどうにかするしかなく、現実問題として妙案は何も浮かばず。
無数の突きへの対処以外に思考を割き集中力を乱せば死ぬだけだ。
あの時はねむのアシストで無事に鎧を纏ったが、ポセイドン相手に通用するとは思えない。
第一この戦闘にねむを巻き込むこと自体が反対。
相棒が指に填められていれば魔導火を吐き、敵の気を逸らすのに一役買っただろうけれど彼は不在。
鋼牙単独でどうにかするしかなく、現実問題として妙案は何も浮かばず。
無数の突きへの対処以外に思考を割き集中力を乱せば死ぬだけだ。
ポセイドンの相手だけでもいっぱいいっぱいな現状。
不幸なことに事態はより悪化の一途を辿る。
不幸なことに事態はより悪化の一途を辿る。
「お ま た せ」
聞き覚えのあるクッソ汚らしい声。
よりにもよってこのタイミングで現れた男に、鋼牙は意識を向ける暇がない。
視界の端に映った白銀、誰なのかは知っている。
よりにもよってこのタイミングで現れた男に、鋼牙は意識を向ける暇がない。
視界の端に映った白銀、誰なのかは知っている。
「また君達か壊れるなぁ…(呆れ)」
やれやれとでも言わんばかりに肩を竦める、白銀の騎士。
装甲の下はうんこの擬人化とでも言うべき汚さ。
ポセイドンに少し遅れる形で、野獣先輩が戦場にエントリーを果たした。
装甲の下はうんこの擬人化とでも言うべき汚さ。
ポセイドンに少し遅れる形で、野獣先輩が戦場にエントリーを果たした。
野獣先輩に二人掛かりで鋼牙を殺すつもりはない。
見ただけでもポセイドンの相手で手一杯と分かる。
ならわざわざ自分が加勢しなくても問題無し。
ポセイドンが返り討ちに遭ったとて、相手も相応に消耗しているだろう。
トドメを刺すのは容易い。
それより今の内にもう一人の方をパパパッて殺って、終わりっとする。
見ただけでもポセイドンの相手で手一杯と分かる。
ならわざわざ自分が加勢しなくても問題無し。
ポセイドンが返り討ちに遭ったとて、相手も相応に消耗しているだろう。
トドメを刺すのは容易い。
それより今の内にもう一人の方をパパパッて殺って、終わりっとする。
(やっぱり狙いは僕か…!)
赤いレンズに睨まれねむは内心で舌打ちを零す。
三度目の遭遇に向こうは呆れていたが、こっちだってまたこいつかよと言いたい。
御伽に庇われ鋼牙に助けられ、今度ばかりは都合の良い展開に期待出来そうも無かった。
鋼牙はこちらに気を回す余裕がない、こうなれば自分でなんとかするしかない。
三度目の遭遇に向こうは呆れていたが、こっちだってまたこいつかよと言いたい。
御伽に庇われ鋼牙に助けられ、今度ばかりは都合の良い展開に期待出来そうも無かった。
鋼牙はこちらに気を回す余裕がない、こうなれば自分でなんとかするしかない。
(やるしかないか…)
魔法少女の力はなるべく使いたくないと、この状況では言ってられない。
力を隠していたと後で鋼牙に不審がられるかもしれなが、使わなければ殺されてしまう。
そもそも鋼牙が金髪の偉丈夫相手に生き残れるかも相当不安だ。
力を隠していたと後で鋼牙に不審がられるかもしれなが、使わなければ殺されてしまう。
そもそも鋼牙が金髪の偉丈夫相手に生き残れるかも相当不安だ。
「暴れんなよ…暴れんな…」
小癪な抵抗や逃走される前に速攻で仕留める。
生身でさえネットでホモガキに付与された超人的な身体能力を有するのだ。
ブレイドへの変身も合わさり、メスガキ一匹殺すくらい淫夢くんを殺すのと大差ない。
接近しブレイラウザーを振り被るゲスいホモを前に、ねむは腹を括ってソウルジェムを光らせ、
生身でさえネットでホモガキに付与された超人的な身体能力を有するのだ。
ブレイドへの変身も合わさり、メスガキ一匹殺すくらい淫夢くんを殺すのと大差ない。
接近しブレイラウザーを振り被るゲスいホモを前に、ねむは腹を括ってソウルジェムを光らせ、
「ファッ!?」
何処からか飛来して来た刃がブレイドを切り裂いた。
クッソ間抜けな悲鳴を上げ地面を転がるブレイドへ、追い打ちをかけるように銃弾が殺到。
蜂の巣不可避な弾幕に襲われるも、野獣先輩は淫夢王の名を欲しいままにする猛者。
立ち上がり両手の得物を振り回す。
ブレイラウザーと滅の刀、双剣により弾は全て斬り落とされた。
蜂の巣不可避な弾幕に襲われるも、野獣先輩は淫夢王の名を欲しいままにする猛者。
立ち上がり両手の得物を振り回す。
ブレイラウザーと滅の刀、双剣により弾は全て斬り落とされた。
(随分と都合が良い…)
何が起きたかを冷静に受け止めつつ、ついついねむは呆れる。
危機を迎えた少女の前に、間一髪のタイミングで助けが登場。
創作ではお馴染みの展開が連続で起きるとは。
小説ならばワンパターンと批判されるだろうけれど、これは紛れも無い現実。
魔法少女へ変身せずに済み、自分もとりあえず命の危機は多少遠ざかった。
だというのにねむは手放しで喜べず、むしろ頭を抱えたくなる。
危機を迎えた少女の前に、間一髪のタイミングで助けが登場。
創作ではお馴染みの展開が連続で起きるとは。
小説ならばワンパターンと批判されるだろうけれど、これは紛れも無い現実。
魔法少女へ変身せずに済み、自分もとりあえず命の危機は多少遠ざかった。
だというのにねむは手放しで喜べず、むしろ頭を抱えたくなる。
ブレイドで銃を撃ったのは髑髏を思わせる装甲の戦士。
それは別に良い。
白銀の騎士や放送で殺された青年、果ては檀黎斗のようにベルトを使って姿を変えたと察せる。
問題はもう一人の方。
ブレイドを弾き飛ばした武器を手元に戻し、警戒の目で自分を睨む彼女をよく知っている。
重いため息を我慢して口を開いた。
それは別に良い。
白銀の騎士や放送で殺された青年、果ては檀黎斗のようにベルトを使って姿を変えたと察せる。
問題はもう一人の方。
ブレイドを弾き飛ばした武器を手元に戻し、警戒の目で自分を睨む彼女をよく知っている。
重いため息を我慢して口を開いた。
「久しぶり、と言う程でもないね。みふゆ」
「…ええ、また顔を合わせられるとは思っていませんでしたよ。ねむ」
「…ええ、また顔を合わせられるとは思っていませんでしたよ。ねむ」
梓みふゆ。
マギウスの翼の白羽にして、組織を裏切った魔法少女。
魔法少女の運命に悲観しドッペルに縋りついていたが、元々は七海やちよと同じ善性の強い人間だ。
一般人にまでウワサの被害が出たのに罪悪感を溜め続け、由比鶴乃の一件でとうとう爆発したのだろう。
正直あれに関してはねむも後ろめたさがあるので、灯花程あっけらかんとは振る舞えなかった。
マギウスの翼の白羽にして、組織を裏切った魔法少女。
魔法少女の運命に悲観しドッペルに縋りついていたが、元々は七海やちよと同じ善性の強い人間だ。
一般人にまでウワサの被害が出たのに罪悪感を溜め続け、由比鶴乃の一件でとうとう爆発したのだろう。
正直あれに関してはねむも後ろめたさがあるので、灯花程あっけらかんとは振る舞えなかった。
「梓、その女の子が…?」
「先程説明した柊ねむです。氷室さんにとってのエボルトのような存在と思って頂ければ」
「自己紹介くらい自分で出来るけど、もう説明は済んでるようだね」
「あなた達の事を律儀に黙っていると思いますか?ワタシが」
「先程説明した柊ねむです。氷室さんにとってのエボルトのような存在と思って頂ければ」
「自己紹介くらい自分で出来るけど、もう説明は済んでるようだね」
「あなた達の事を律儀に黙っていると思いますか?ワタシが」
剣呑に返され、そうだろうなと納得する。
こちらを裏切る前ならばまだしも、今のみふゆが素直にマギウスに従う訳が無い。
あなた「達」との言い方からしてねむだけでなく、灯花への警戒も呼び掛けているのだろう。
予想できたとはいえ、全く面倒な真似をしてくれる。
こちらを裏切る前ならばまだしも、今のみふゆが素直にマギウスに従う訳が無い。
あなた「達」との言い方からしてねむだけでなく、灯花への警戒も呼び掛けているのだろう。
予想できたとはいえ、全く面倒な真似をしてくれる。
一方魔法少女達の様子を見る幻徳は驚きを隠せない。
事前にみふゆから説明を受けていたが、こうして本人を見ると正真正銘小学生の女の子だ。
最悪の宿敵であるエボルト並に危険とは、外見だけでは到底思えなかった。
しかしみふゆがこうも警戒する相手だ、気を抜くべきではないだろう。
事前にみふゆから説明を受けていたが、こうして本人を見ると正真正銘小学生の女の子だ。
最悪の宿敵であるエボルト並に危険とは、外見だけでは到底思えなかった。
しかしみふゆがこうも警戒する相手だ、気を抜くべきではないだろう。
驚いているのはみふゆも同じだ。
まさかこんなに早く、マギウスの片割れと再会するとは思わなかった。
キャルと別れてから仲間やゲームに反抗する参加者を探すこと数時間。
やっと見つけた相手は因縁深い魔法少女、しかも今正に殺され掛かっている場面。
警戒はしているし鶴乃にやった事や、イヴを起動させドッペルの暴走を招いた件にも思う所は多々ある。
それでも、無条件で死んで欲しいとまではいかず咄嗟に助けた。
色々と問い詰めたい話はあるが、後回しにするしかない。
まさかこんなに早く、マギウスの片割れと再会するとは思わなかった。
キャルと別れてから仲間やゲームに反抗する参加者を探すこと数時間。
やっと見つけた相手は因縁深い魔法少女、しかも今正に殺され掛かっている場面。
警戒はしているし鶴乃にやった事や、イヴを起動させドッペルの暴走を招いた件にも思う所は多々ある。
それでも、無条件で死んで欲しいとまではいかず咄嗟に助けた。
色々と問い詰めたい話はあるが、後回しにするしかない。
「ふざけんな!(迫真)いきなり出て来て頭に来ますよ!今すぐ犬の真似して詫び入れんだよ、おうあくしろよ(せっかち)」
双剣を振り回し怒り心頭といった様子を見せつけるステハゲ。
またしてもメスガキ殺害を邪魔された挙句、自分に攻撃まで加えたのだ。
メスガキ共々容赦はしない。
またしてもメスガキ殺害を邪魔された挙句、自分に攻撃まで加えたのだ。
メスガキ共々容赦はしない。
「詳しい事情は後で聞くが、アイツは敵で良いんだな?」
「そうだね、ゲームに乗っているのは間違いないよ」
「そうだね、ゲームに乗っているのは間違いないよ」
ねむの返答に頷き、幻徳は銃を構える。
訳ありとはいえ、幼い少女を殺そうとした輩を放っては置けない。
しかも相手は初めて見るが仮面ライダーに変身し、その力を純粋な殺しの手段に使っているではないか。
戦兎や万丈のように真っ当な怒りを抱ける奴ではないと、自覚はしている。
だが全く不快に思うなと言うのも無理な話だ。
訳ありとはいえ、幼い少女を殺そうとした輩を放っては置けない。
しかも相手は初めて見るが仮面ライダーに変身し、その力を純粋な殺しの手段に使っているではないか。
戦兎や万丈のように真っ当な怒りを抱ける奴ではないと、自覚はしている。
だが全く不快に思うなと言うのも無理な話だ。
「それで、君はどうする気だい?」
幻徳が戦闘を開始した一方でねむはもう一人に問い掛ける。
警戒の目を解かない彼女は暫しの沈黙を挟み、静かな口調で答えを返した。
警戒の目を解かない彼女は暫しの沈黙を挟み、静かな口調で答えを返した。
「氷室さんと同じですよ。ゲームに乗った参加者を止めます」
「そうか。まぁ予想通りだね。それなら向こうで戦っているお兄さんの方へ加勢してくれないかい?不利なのは君も分かる筈だ」
「彼は…」
「心配しなくても乗っていないよ。七海やちよと同じタイプかもね」
「そうか。まぁ予想通りだね。それなら向こうで戦っているお兄さんの方へ加勢してくれないかい?不利なのは君も分かる筈だ」
「彼は…」
「心配しなくても乗っていないよ。七海やちよと同じタイプかもね」
何故そこで自分の親友の名を出すのかと疑問に感じるも、理由はすぐに分かった。
つまり真っ当な倫理観と使命感を持つ人間。
心折れてマギウスに縋りついた自分とは違う、そういう男と言いたいのか。
眉間に皺が寄るが、信用できる相手だと分かれば今は良しとする。
ゲームを止める方針が共通しているなら、加勢に入るのとて問題はない。
つまり真っ当な倫理観と使命感を持つ人間。
心折れてマギウスに縋りついた自分とは違う、そういう男と言いたいのか。
眉間に皺が寄るが、信用できる相手だと分かれば今は良しとする。
ゲームを止める方針が共通しているなら、加勢に入るのとて問題はない。
「あなたは戦わないんですか?」
「グリーフシードが手元に無いんだ、気軽に魔法は使えないよ。それに、僕の事情は君も知っているだろう?」
「グリーフシードが手元に無いんだ、気軽に魔法は使えないよ。それに、僕の事情は君も知っているだろう?」
事情、何を指すのかは知っている。
ねむの固有魔法は具現。
灯花、ういと同じようにキュゥべえから奪った力の一つ。
具現の魔法を使い、魔法少女救済の計画に必要なウワサを生み出したのはねむだ。
但し固有魔法は無制限に使える訳ではない。
新たなウワサを創造する度にねむ自身の命を削り、死期を狭めるのである。
神浜中にウワサを生み出してからは死期の近さ故か、灯花やアリナと違ってほとんど人前に姿を見せなかった。
ねむの固有魔法は具現。
灯花、ういと同じようにキュゥべえから奪った力の一つ。
具現の魔法を使い、魔法少女救済の計画に必要なウワサを生み出したのはねむだ。
但し固有魔法は無制限に使える訳ではない。
新たなウワサを創造する度にねむ自身の命を削り、死期を狭めるのである。
神浜中にウワサを生み出してからは死期の近さ故か、灯花やアリナと違ってほとんど人前に姿を見せなかった。
黎斗が用意した舞台でどこまで具現が使えるかは不明だが、叶うなら滅多な時以外は使いたくない。
みふゆにも言いたい事は分かる。
こちらだけに戦わせるのへ少々思う所はあるが、グダグダと文句をぶつけられる場面でもない。
みふゆにも言いたい事は分かる。
こちらだけに戦わせるのへ少々思う所はあるが、グダグダと文句をぶつけられる場面でもない。
「分かりました、でも終わったら色々と話がありますからね?」
眠たげな顔へ釘を刺し、白コートの剣士へと加勢に向かう。
近付けば近づく程、呼吸が止まりかねない重圧が増すのが分かった。
尋常ならざるプレッシャーを放つのは金髪の男。
放送で少女を惨殺した張本人だ。
近付けば近づく程、呼吸が止まりかねない重圧が増すのが分かった。
尋常ならざるプレッシャーを放つのは金髪の男。
放送で少女を惨殺した張本人だ。
「はぁっ!」
両手に持った得物を投擲。
巨大なチャクラムはみふゆ専用の武器だ。
高速回転し迫る刃にポセイドンは目も向けない。
鋼牙へトライデントを突き刺すほんのついでで腕を振るう。
たったそれだけでチャクラムはみふゆの方へと弾き返された。
自分の武器で殺される、なんて末路は当然ながらお断り。
柄を掴み構え直す。
巨大なチャクラムはみふゆ専用の武器だ。
高速回転し迫る刃にポセイドンは目も向けない。
鋼牙へトライデントを突き刺すほんのついでで腕を振るう。
たったそれだけでチャクラムはみふゆの方へと弾き返された。
自分の武器で殺される、なんて末路は当然ながらお断り。
柄を掴み構え直す。
「っ…」
右手を襲う痺れと鈍い痛み。
自分が渾身の力で投擲したのより、向こうが軽く弾き返した方が勢いは上。
今の短い攻防のみで、敵の強大さが嫌でも分かった。
何より、自分達が到着するまでに一人で金髪の男を相手取った剣士もまた凄まじい。
人間性のみならず、持ち得る力もやちよと同じ強者らしい。
自分が渾身の力で投擲したのより、向こうが軽く弾き返した方が勢いは上。
今の短い攻防のみで、敵の強大さが嫌でも分かった。
何より、自分達が到着するまでに一人で金髪の男を相手取った剣士もまた凄まじい。
人間性のみならず、持ち得る力もやちよと同じ強者らしい。
「助太刀します」
それ程の強者であっても此度の敵は苦戦必至。
どこまで自分の力が通用するかは不明なれど、全力を以て戦うのみ。
剣士へ短く告げチャクラムを振り被る。
自己紹介など生きていれば後で幾らでも可能だ。
どこまで自分の力が通用するかは不明なれど、全力を以て戦うのみ。
剣士へ短く告げチャクラムを振り被る。
自己紹介など生きていれば後で幾らでも可能だ。
「助かる」
鋼牙もまた短い言葉で会話を終える。
ねむとの関係やら聞きたい事は山程あっても、それらは全て生き延びてから。
殺し合いをする気は無い、今はそれだけ分かれば十分。
共闘を受け入れ、魔戒騎士と魔法少女が神に挑む。
ねむとの関係やら聞きたい事は山程あっても、それらは全て生き延びてから。
殺し合いをする気は無い、今はそれだけ分かれば十分。
共闘を受け入れ、魔戒騎士と魔法少女が神に挑む。
「……」
みふゆの参戦にポセイドンは無言を貫く。
何も思わない、思う必要がない。
虫が一匹飛んで来たのへ、一体何を思えと言うのか。
冷えた心で苛烈なまでに攻め立てる。
何も思わない、思う必要がない。
虫が一匹飛んで来たのへ、一体何を思えと言うのか。
冷えた心で苛烈なまでに攻め立てる。
魔戒剣とチャクラム、二方向からの斬撃を防ぐはトライデント一本。
得物一つなど不利にはならない、ポセイドン自身の技量で覆せるのだから。
圧倒的な手数の多さを防ぐは、極限まで鍛え上げた魔戒騎士の剣術。
目で追うのではない、名刀の如く研ぎ澄まされた直感を頼りに防ぐ。
次は何処からでは遅いのだ、次の次の次のそもまた次の更に次まで読まねばあっという間に死体が一つ出来上がる。
得物一つなど不利にはならない、ポセイドン自身の技量で覆せるのだから。
圧倒的な手数の多さを防ぐは、極限まで鍛え上げた魔戒騎士の剣術。
目で追うのではない、名刀の如く研ぎ澄まされた直感を頼りに防ぐ。
次は何処からでは遅いのだ、次の次の次のそもまた次の更に次まで読まねばあっという間に死体が一つ出来上がる。
トライデントを防ぎ切るのは鋼牙のみに非ず。
武器の巨大さに見合わぬ速さで、チャクラムが振るわれる。
しなやかで華麗な動きはバレリーナのよう。
魔力減退が起きていても、みふゆもやちよと同じくベテランと呼ぶに相応しい魔法少女。
全盛期よりも劣る力は経験と技量でカバーし、ポセイドンと渡り合う。
しかし軽やかな一挙一動とは裏腹に、浮かぶ貌は険しかった。
武器の巨大さに見合わぬ速さで、チャクラムが振るわれる。
しなやかで華麗な動きはバレリーナのよう。
魔力減退が起きていても、みふゆもやちよと同じくベテランと呼ぶに相応しい魔法少女。
全盛期よりも劣る力は経験と技量でカバーし、ポセイドンと渡り合う。
しかし軽やかな一挙一動とは裏腹に、浮かぶ貌は険しかった。
(いけませんね…)
傍目には二人ともポセイドンの猛攻を耐えていると見えるだろう。
実際に戦っているみふゆには違うと分かる。
時折防ぎ切れない攻撃を鋼牙が弾き、それでどうにか自分の首は繋がっているのだ。
当たり前だが、みふゆへのカバーを行う分鋼牙の負担は増す。
加勢に現れておいてこの様では、却って鋼牙を不利にしてしまう。
ここは戦法を変える必要があるかと、一旦後方へ下がった。
単独ならば下がろうとした瞬間に串刺し死体と化すだろうけれど、鋼牙がそこを防いでくれた。
内心で感謝しつつチャクラムを投擲、狙いはこちらへ見向きもしないポセイドン。
実際に戦っているみふゆには違うと分かる。
時折防ぎ切れない攻撃を鋼牙が弾き、それでどうにか自分の首は繋がっているのだ。
当たり前だが、みふゆへのカバーを行う分鋼牙の負担は増す。
加勢に現れておいてこの様では、却って鋼牙を不利にしてしまう。
ここは戦法を変える必要があるかと、一旦後方へ下がった。
単独ならば下がろうとした瞬間に串刺し死体と化すだろうけれど、鋼牙がそこを防いでくれた。
内心で感謝しつつチャクラムを投擲、狙いはこちらへ見向きもしないポセイドン。
案の定チャクラムはあっさり弾かれる。
しかもトライデントの猛攻に限界を迎えたのか、刃が砕け散った。
武器の破壊は戦力低下に直結、これで一つ鋼牙達が敗北へ近付く。
残酷な現実を否定するように飛来するは巨大なチャクラム。
破壊されたばかりの刃がポセイドンを襲う。
それも一つではない、複数のチャクラムがだ。
しかもトライデントの猛攻に限界を迎えたのか、刃が砕け散った。
武器の破壊は戦力低下に直結、これで一つ鋼牙達が敗北へ近付く。
残酷な現実を否定するように飛来するは巨大なチャクラム。
破壊されたばかりの刃がポセイドンを襲う。
それも一つではない、複数のチャクラムがだ。
チャクラム自体は魔力を消費し補充が可能。
だが今起こっているのは単純な武器の複製ではない。
何故チャクラムが複数一気に投擲されたか、答えはポセイドンの目の前に広がる光景が示していた。
だが今起こっているのは単純な武器の複製ではない。
何故チャクラムが複数一気に投擲されたか、答えはポセイドンの目の前に広がる光景が示していた。
チャクラムを投擲したのは十数人に増えたみふゆ。
これがみふゆの使う固有魔法、幻覚の力だ。
分身と共に放たれたチャクラムは、そこいらの魔女ならば細切れ確定の数の暴力。
尤も神が相手では脅威にはならない。
これがみふゆの使う固有魔法、幻覚の力だ。
分身と共に放たれたチャクラムは、そこいらの魔女ならば細切れ確定の数の暴力。
尤も神が相手では脅威にはならない。
トライデントを豪快に振り回しチャクラムを弾き返す。
投擲した際以上の勢いで返されたチャクラムに切り裂かれ、分身はあえなく霧散。
無事なのは紙一重で刃を躱しどうにか掴んだ本体のみ。
今のだけで倒せるとは毛頭思っていない。
投擲した際以上の勢いで返されたチャクラムに切り裂かれ、分身はあえなく霧散。
無事なのは紙一重で刃を躱しどうにか掴んだ本体のみ。
今のだけで倒せるとは毛頭思っていない。
魔力を消費し分身を生み出す。
先程の倍以上の分身がチャクラムを投擲、或いは直接斬り掛かる。
数をどれだけ増やそうと無意味、そう告げるかのようにポセイドンは全てを薙ぎ払う。
視界を覆い尽くす程の分身を向かわせようと、掠り傷すら付けられない。
先程の倍以上の分身がチャクラムを投擲、或いは直接斬り掛かる。
数をどれだけ増やそうと無意味、そう告げるかのようにポセイドンは全てを薙ぎ払う。
視界を覆い尽くす程の分身を向かわせようと、掠り傷すら付けられない。
「っ!!」
そうだ、攻撃自体は効いていない。
しかしほんの僅かでもポセイドンの気を逸らす事には成功した。
みふゆの分身に視界を遮られたそのタイミングこそ、鋼牙が動く唯一のチャンス。
これを見逃す愚行は犯さない。
掲げた魔戒剣が円を描き、真下の騎士を眩い光が照らす。
暗黒を斬る守りし者が再び顕現する時が来た。
しかしほんの僅かでもポセイドンの気を逸らす事には成功した。
みふゆの分身に視界を遮られたそのタイミングこそ、鋼牙が動く唯一のチャンス。
これを見逃す愚行は犯さない。
掲げた魔戒剣が円を描き、真下の騎士を眩い光が照らす。
暗黒を斬る守りし者が再び顕現する時が来た。
「あれは…!?」
「……」
「……」
黄金の狼にみふゆが息を呑み、ポセイドンは変わらぬ無表情。
しかし一瞬、誰にも気付かせぬ程の一瞬だけ眉を顰めた。
しかし一瞬、誰にも気付かせぬ程の一瞬だけ眉を顰めた。
――99.9――
黄金騎士・牙狼、神を斬るべくここに参戦。
鎧装着と同時に変化した武器、牙狼剣を構える。
豪奢な見た目のみではない、破壊力も増したのは先にブレイドとの戦いからも明らか。
此度の戦闘ではもう一つ変化を見せた。
鎧装着と同時に変化した武器、牙狼剣を構える。
豪奢な見た目のみではない、破壊力も増したのは先にブレイドとの戦いからも明らか。
此度の戦闘ではもう一つ変化を見せた。
ジッポライター型の魔導具を取り出し着火。
ホラー探知や指令書を見る際に使う補助具は、戦闘においても絶大な効果を発揮する。
炎が鎧を覆い尽くし、牙狼剣をも燃え上がらせる。
自滅などではない、修練を積んだ魔戒騎士のみが使える切り札の一つ。
烈火炎装、魔導火を纏い能力を強化する技だ。
ホラー探知や指令書を見る際に使う補助具は、戦闘においても絶大な効果を発揮する。
炎が鎧を覆い尽くし、牙狼剣をも燃え上がらせる。
自滅などではない、修練を積んだ魔戒騎士のみが使える切り札の一つ。
烈火炎装、魔導火を纏い能力を強化する技だ。
「はぁっ!!」
魔導火は一般人にとっては猛毒でも、魔戒騎士には信頼の置ける武器。
急接近し炎を纏った牙狼剣を振り下ろす。
姿形が代わろうと所詮は人間の放つ刃に過ぎない。
これまで同様トライデントで弾き返し、逆にポセイドンが押された。
思わず見開く目、右手の不快な痺れは現実のもの。
急接近し炎を纏った牙狼剣を振り下ろす。
姿形が代わろうと所詮は人間の放つ刃に過ぎない。
これまで同様トライデントで弾き返し、逆にポセイドンが押された。
思わず見開く目、右手の不快な痺れは現実のもの。
「はああああっ!」
続けて振るわれた牙狼剣を、防御では無く回避。
神の肉体には届かず血の一滴も無い。
代わりにハラハラと数本の髪の毛が落ちる。
金の頭髪を踏み付け牙狼は剣を振るい続けた。
神の肉体には届かず血の一滴も無い。
代わりにハラハラと数本の髪の毛が落ちる。
金の頭髪を踏み付け牙狼は剣を振るい続けた。
鎧を纏った上で大剣を振るっているとは、到底信じられない速さ。
ブレイドを相手にした時以上の速さの牙狼剣を、ポセイドンは防ぎ、時には躱す。
先程までとは逆だ、鋼牙が攻めてポセイドンが防ぐ。
同じなのは一撃の対処の度に、得物を持つポセイドンの手に負担が襲い来る事もか。
一度だけでは大した影響はない、だが徐々に大きさを増す痺れは非常に鬱陶しい。
ブレイドを相手にした時以上の速さの牙狼剣を、ポセイドンは防ぎ、時には躱す。
先程までとは逆だ、鋼牙が攻めてポセイドンが防ぐ。
同じなのは一撃の対処の度に、得物を持つポセイドンの手に負担が襲い来る事もか。
一度だけでは大した影響はない、だが徐々に大きさを増す痺れは非常に鬱陶しい。
目障りなのは黄金の狼だけじゃない。
ポセイドンの真横から、背後から、頭上から投擲されるチャクラム。
分身と共に妨害へと動くみふゆはポセイドンにダメージこそ与えていない。
だが万全の状態ならばまだしも、多大に疲弊させられた現状では少しずつだが体力を削らされてしまう。
平時であれば歯牙にもかけないブレイドの殴打で呻いたように、今はみふゆのチャクラムであってもダメージを受けるかもしれない。
故に防ぎ、さっさと殺したくてもそれを邪魔するのが牙狼だ。
ポセイドンの真横から、背後から、頭上から投擲されるチャクラム。
分身と共に妨害へと動くみふゆはポセイドンにダメージこそ与えていない。
だが万全の状態ならばまだしも、多大に疲弊させられた現状では少しずつだが体力を削らされてしまう。
平時であれば歯牙にもかけないブレイドの殴打で呻いたように、今はみふゆのチャクラムであってもダメージを受けるかもしれない。
故に防ぎ、さっさと殺したくてもそれを邪魔するのが牙狼だ。
ポセイドンを相手に食らい付く両者に、今だ余裕は微塵もない。
烈火炎装をしても倒すには至っていないのだ。
改めて敵の強大さを認識、限界を超える勢いで剣を振るう速度を上げる。
こうしている間にも鎧の制限時間は減るばかり、悠長にはしていられない。
烈火炎装をしても倒すには至っていないのだ。
改めて敵の強大さを認識、限界を超える勢いで剣を振るう速度を上げる。
こうしている間にも鎧の制限時間は減るばかり、悠長にはしていられない。
これ程の猛攻を前にしても傷一つ負わない神へ、みふゆも戦慄を隠せない。
幻徳から聞いたエボルトと言い、一体どれだけとんでもない連中が参加しているのだろうか。
幻徳から聞いたエボルトと言い、一体どれだけとんでもない連中が参加しているのだろうか。
『SKULL! MAXIMAM DRIVE!』
戦闘の流れを変える音が響いたのは、直後だった。
◆◆◆
「先輩こいつ弾丸(タマ)とか撃ちましたよ、やっぱ(遠距離戦)好きなんすねぇ」
挑発のつもりか、単に頭がおかしいのか。
誰に向けてか分からない言葉を無視して引き金を引く。
銃声が響き、スカルマグナムは火を吹いた。
破壊光弾は人間以上の耐久力を持つドーパントにすら、効果的なダメージを与える事が可能。
であれば相手が同じ仮面ライダーであっても、体力を削り取れる。
命中するかは別の話と、言うまでもないが。
誰に向けてか分からない言葉を無視して引き金を引く。
銃声が響き、スカルマグナムは火を吹いた。
破壊光弾は人間以上の耐久力を持つドーパントにすら、効果的なダメージを与える事が可能。
であれば相手が同じ仮面ライダーであっても、体力を削り取れる。
命中するかは別の話と、言うまでもないが。
「もっとちゃんと狙ってホラホラホラホラ」
双剣が切り裂くは日の当たらぬ夜の空気だけでない。
破壊光弾がブレイドに与えたダメージはゼロ。
全発防がれ霧散。
刀で銃弾を斬り落とす、どれだけ剣の達人だろうとTDN人間には不可能。
只人には無理でも仮面ライダーなら、余りに容易く可能となる。
兵器として、ヒーローとしても、仮面ライダーの力を身を以て知る幻徳には今更驚く光景でもない。
破壊光弾がブレイドに与えたダメージはゼロ。
全発防がれ霧散。
刀で銃弾を斬り落とす、どれだけ剣の達人だろうとTDN人間には不可能。
只人には無理でも仮面ライダーなら、余りに容易く可能となる。
兵器として、ヒーローとしても、仮面ライダーの力を身を以て知る幻徳には今更驚く光景でもない。
武器の連射性能のみならず、スカルのスペックを用いればより正確無比な射撃を行える。
何せスカルの視覚器官は後年に開発されたダブルの倍。
ゲームでの変身者である幻徳自身もトランスチームガンやネビュラスチームガンなど、拳銃タイプの武器は使い慣れている。
初めて触るスカルマグナムだろうと、扱いに支障はない。
それでも尚銃撃を防ぐとは、単にブレイドのスペックが優れているだけが理由では無いだろう。
銃弾を弾くなど数多の戦場(バトル淫夢)ではありふれた光景。
BB先輩シリーズという名の強化(呪い)を付与された野獣先輩を、銃一丁で止めるなど土台無理な話だ。
何せスカルの視覚器官は後年に開発されたダブルの倍。
ゲームでの変身者である幻徳自身もトランスチームガンやネビュラスチームガンなど、拳銃タイプの武器は使い慣れている。
初めて触るスカルマグナムだろうと、扱いに支障はない。
それでも尚銃撃を防ぐとは、単にブレイドのスペックが優れているだけが理由では無いだろう。
銃弾を弾くなど数多の戦場(バトル淫夢)ではありふれた光景。
BB先輩シリーズという名の強化(呪い)を付与された野獣先輩を、銃一丁で止めるなど土台無理な話だ。
「じゃけん早く死にましょうね~」
「お断りだ」
「お断りだ」
吐き捨て引き金を引き続けるも当たらない。
時には目にも止まらぬラッシュを放ち、時には重火器を撃ち、時には現代アートと化す。
一部クッソ使えないBBもあるが、中でも剣を使うBBは特に豊富。
剣聖の異名を欲しいがままにする虐待おじさんには及ばずとも、常人には決して届かない領域の剣術を我が物にする。
双剣を巧みに操り破壊光弾を防ぎながら、ブレイドは距離を詰める。
ちまちま防御を続けても勝ちは望めないのなら、近付き斬るという基本戦法に移るまで。
スカルマグナムの連射などなんのその、瞬く間に剣の間合いへ入った。
振り下ろすは滅の刀、ヒューマギアをも破壊可能な強度の名刀。
骸骨を模した装甲の強度が如何程かは不明なれど、無傷は有り得ないと確信。
時には目にも止まらぬラッシュを放ち、時には重火器を撃ち、時には現代アートと化す。
一部クッソ使えないBBもあるが、中でも剣を使うBBは特に豊富。
剣聖の異名を欲しいがままにする虐待おじさんには及ばずとも、常人には決して届かない領域の剣術を我が物にする。
双剣を巧みに操り破壊光弾を防ぎながら、ブレイドは距離を詰める。
ちまちま防御を続けても勝ちは望めないのなら、近付き斬るという基本戦法に移るまで。
スカルマグナムの連射などなんのその、瞬く間に剣の間合いへ入った。
振り下ろすは滅の刀、ヒューマギアをも破壊可能な強度の名刀。
骸骨を模した装甲の強度が如何程かは不明なれど、無傷は有り得ないと確信。
「オォン!」
クッソ不快な高音の喘ぎ声は手応えありの喜びを表したが為。
ではなく、攻撃失敗の悔しさから。
振り下ろした刀は、流れるようにスカルが取り出した武器に阻まれた。
左手には軍刀、右手にはスカルマグナム。
銃と剣をそれぞれ構えた、ナイトローグ時代からの戦い慣れたスタイル。
刀を防いだ軍刀はそのままに銃を撃つ。
互いに片方の手は塞がった状態、しかしもう片方が空いているのも同じ。
ブレイラウザーで斬り落とし、後方へと大きく跳ぶ。
ではなく、攻撃失敗の悔しさから。
振り下ろした刀は、流れるようにスカルが取り出した武器に阻まれた。
左手には軍刀、右手にはスカルマグナム。
銃と剣をそれぞれ構えた、ナイトローグ時代からの戦い慣れたスタイル。
刀を防いだ軍刀はそのままに銃を撃つ。
互いに片方の手は塞がった状態、しかしもう片方が空いているのも同じ。
ブレイラウザーで斬り落とし、後方へと大きく跳ぶ。
今度はスカルが攻め込む番だ。
銃を撃ちっ放しにして接近を試みるも、一手早いのはブレイド。
敵がもう一つ武器を出したのには少々苛立った。
だがそれだけだ、刀一本で勝敗を覆せると思っているなら大間違い。
ブレイドの力は闇雲に剣を振るうだけではない。
真価を発揮するべくブレイラウザーのカードホルダーを展開。
引き抜いた一枚をリーダーに読み込ませた。
銃を撃ちっ放しにして接近を試みるも、一手早いのはブレイド。
敵がもう一つ武器を出したのには少々苛立った。
だがそれだけだ、刀一本で勝敗を覆せると思っているなら大間違い。
ブレイドの力は闇雲に剣を振るうだけではない。
真価を発揮するべくブレイラウザーのカードホルダーを展開。
引き抜いた一枚をリーダーに読み込ませた。
『TACKLE』
「行きますよーイクイク」
突進力を強化するボアアンデットのカード。
スカル目掛けて肩を突き出しタックルを仕掛ける。
破壊光弾を真っ向から受けても止まらない勢いだ。
ショルダーアーマーがスカルの胴体に叩きつけられ、くぐもった声と共に吹き飛ばされる。
スカル目掛けて肩を突き出しタックルを仕掛ける。
破壊光弾を真っ向から受けても止まらない勢いだ。
ショルダーアーマーがスカルの胴体に叩きつけられ、くぐもった声と共に吹き飛ばされる。
『THUNDER』
続けてリードし得た能力はディアーアンデットのもの。
電撃属性をブレイラウザーに付加し、切っ先から青い電気を放った。
立ち上がる暇も無く地面を転がり避けるスカル、直撃は回避するも幾らかの被弾を許してしまう。
装甲から火花が散り、その間にもブレイドはカードを読み込む。
電撃属性をブレイラウザーに付加し、切っ先から青い電気を放った。
立ち上がる暇も無く地面を転がり避けるスカル、直撃は回避するも幾らかの被弾を許してしまう。
装甲から火花が散り、その間にもブレイドはカードを読み込む。
『SLASH』
「邪剣・【夜】、逝きましょうね」
勝手に名付けたブレイラウザーは切れ味が強化済みだ。
電撃を浴びた時以上に火花を散らし、スカルは膝を付く。
呻き声すら聞こえないが、僅かに身動ぎしているので息はまだある。
と言っても見ての通り時間の問題。
自分の勝利は決まったも同然と、ブレイドは機嫌を良くする。
電撃を浴びた時以上に火花を散らし、スカルは膝を付く。
呻き声すら聞こえないが、僅かに身動ぎしているので息はまだある。
と言っても見ての通り時間の問題。
自分の勝利は決まったも同然と、ブレイドは機嫌を良くする。
「気持ちいいか~KMR~?」
ここにはいない空手部の後輩の名を口にしながら、ブレイラウザーをゆっくりと振り被った。
双剣で滅多切りにしてやるのも悪くないが、あえて焦らすようにして恐怖を煽ってやろうと笑う。
仮にも最初は打倒主催者を決意したとは思えぬ、変態マゾ筋肉奴隷のキメションカクテル並にクッソ汚い笑みだ。
仮面越しからでも汚さが鮮明に伝わって来そうである。
双剣で滅多切りにしてやるのも悪くないが、あえて焦らすようにして恐怖を煽ってやろうと笑う。
仮にも最初は打倒主催者を決意したとは思えぬ、変態マゾ筋肉奴隷のキメションカクテル並にクッソ汚い笑みだ。
仮面越しからでも汚さが鮮明に伝わって来そうである。
『SKULL!MAXIMAM DRIVE!』
「ヌッ!?」
「ヌッ!?」
ゲスいホモの汚い笑みを崩すのは無慈悲な電子音声。
まだ動けたのかと右手を振り下ろせば、オリハルコン製の刃がスカルの肩に命中。
このまま切り裂こうとし、ガッチリと刀身を掴まれた。
まだ動けたのかと右手を振り下ろせば、オリハルコン製の刃がスカルの肩に命中。
このまま切り裂こうとし、ガッチリと刀身を掴まれた。
「この距離ならお前でも無理だろ」
慌ててもう片方の武器を振るうも時既に遅し。
スカルマグナムはとっくにブレイドの装甲へと添えられている。
引き金を引いてやれば破壊光弾が次から次へと命中し、大量の火花がスカルの仮面を照らす。
マキシマムドライブで放つ以上、威力はこれまでの比ではない。
ドーパントが相手ならメモリブレイクは確実、そればかりかメモリ使用者を死に至らしめん程だ。
スカルマグナムはとっくにブレイドの装甲へと添えられている。
引き金を引いてやれば破壊光弾が次から次へと命中し、大量の火花がスカルの仮面を照らす。
マキシマムドライブで放つ以上、威力はこれまでの比ではない。
ドーパントが相手ならメモリブレイクは確実、そればかりかメモリ使用者を死に至らしめん程だ。
「逝き過ぎィ!逝く逝く…ンアーッ! (≧Д≦)」
休む暇も無く襲い来る痛みに堪らず絶叫。
耳が腐る野獣の咆哮を発し、とうとう変身は解除された。
オリハルコンの装甲は消え失せ、曝け出されたのは見るからに臭くて汚そうな男。
地面へ大の字になり喘ぐ様は、ホモセックス後の余韻にも似ていた。
実際は痛くて動けないだけである。
耳が腐る野獣の咆哮を発し、とうとう変身は解除された。
オリハルコンの装甲は消え失せ、曝け出されたのは見るからに臭くて汚そうな男。
地面へ大の字になり喘ぐ様は、ホモセックス後の余韻にも似ていた。
実際は痛くて動けないだけである。
(痛みは無いが…流石に無傷って訳でもないか)
立ち上がると足がふらつく、しかし痛みはない。
スカルメモリの効果は骨格強化による超人的な身体能力の付与だけではない。
仮面ライダースカルに変身中は体温と痛覚が失われ、死体と同じ状態と化す。
ブレイドの攻撃を受けても、痛みを感じないが故に反撃へと出れた。
あくまで痛みが無いだけでダメージ自体は健在、変身解除後の苦痛を考えると少々憂鬱だ。
スカルメモリの効果は骨格強化による超人的な身体能力の付与だけではない。
仮面ライダースカルに変身中は体温と痛覚が失われ、死体と同じ状態と化す。
ブレイドの攻撃を受けても、痛みを感じないが故に反撃へと出れた。
あくまで痛みが無いだけでダメージ自体は健在、変身解除後の苦痛を考えると少々憂鬱だ。
「アーイキソイキソ…」
取り敢えず一人は戦闘不能に追い込んだ。
もう一人は未だ健在、こっちからでも只者では無いのがハッキリと分かる。
力を取り戻したエボルトを前にしたのと同じ緊張感、そのような男を相手にみふゆと白コートの剣士は必死に食らい付いている。
倒した汚い男をこのままにするのは不安なれど、今すぐには動けない筈。
念の為にこいつが使っていたバックルは回収しておく。
もう一人は未だ健在、こっちからでも只者では無いのがハッキリと分かる。
力を取り戻したエボルトを前にしたのと同じ緊張感、そのような男を相手にみふゆと白コートの剣士は必死に食らい付いている。
倒した汚い男をこのままにするのは不安なれど、今すぐには動けない筈。
念の為にこいつが使っていたバックルは回収しておく。
絶対安全とは言えないがみふゆ達への加勢が優先。
スカルメモリをスロットに叩き込み駆け出した。
スカルメモリをスロットに叩き込み駆け出した。
○
胸部装甲が光を発し、エネルギーが形を作る。
等身大程もある巨大な髑髏。
パープルに輝き歯を打ち鳴らすエネルギー体は、スカルの意のままに動く。
スカルが跳躍すれば髑髏も浮遊し、必殺の準備は整った。
等身大程もある巨大な髑髏。
パープルに輝き歯を打ち鳴らすエネルギー体は、スカルの意のままに動く。
スカルが跳躍すれば髑髏も浮遊し、必殺の準備は整った。
「大義の為の、犠牲となれ…!!」
地上のポセイドン目掛けて髑髏を蹴り付ける。
嘗てスカルの本来の変身者が、道を誤った友を下したマキシマムドライブ。
喰らい殺さんと頭上より来る髑髏に、やはりと言うべきかポセイドンはチラリともくれてやらない。
トライデントが無数の突きを放ち、髑髏はあえなく霧散。
防御のみで許してはやらない、神を見下すその不敬は死を以て償わせる。
嘗てスカルの本来の変身者が、道を誤った友を下したマキシマムドライブ。
喰らい殺さんと頭上より来る髑髏に、やはりと言うべきかポセイドンはチラリともくれてやらない。
トライデントが無数の突きを放ち、髑髏はあえなく霧散。
防御のみで許してはやらない、神を見下すその不敬は死を以て償わせる。
「させません!」
仲間への攻撃を指を咥えて見ている者はいない。
魔力集中は大技(マギア)を放つ予兆。
ポセイドンの足元に魔法陣が出現、次の瞬間には奈落の底へと突き落とす。
まだ終わりではない、四方八方から襲い来るチャクラムをトライデントを振り回して防ぐ。
鼓膜が破れん程の音を響かせ、互いの得物が幾度も激突。
攻撃が止むと現れるは五体満足の神。
スカルとみふゆの高火力の技も効果が無い。
魔力集中は大技(マギア)を放つ予兆。
ポセイドンの足元に魔法陣が出現、次の瞬間には奈落の底へと突き落とす。
まだ終わりではない、四方八方から襲い来るチャクラムをトライデントを振り回して防ぐ。
鼓膜が破れん程の音を響かせ、互いの得物が幾度も激突。
攻撃が止むと現れるは五体満足の神。
スカルとみふゆの高火力の技も効果が無い。
『SKULL!MAXIMAM DRIVE!』
だったら何度でも放つまでだ。
スカルマグナムにメモリを装填、威力を高めた破壊光弾を連続で撃つ。
別方向からは十数体のみふゆが斬り掛かった。
片や分身を使い数に物を言わせ、片や連射性能を活かし弾幕を張る。
スカルマグナムにメモリを装填、威力を高めた破壊光弾を連続で撃つ。
別方向からは十数体のみふゆが斬り掛かった。
片や分身を使い数に物を言わせ、片や連射性能を活かし弾幕を張る。
それら全てを槍一本で捻じ伏せるのがポセイドン。
数の差など関係無い。
絶対的な大海の覇者を前に、小魚が群れを成して何になるのか。
分身を切り刻む、破壊光弾を切り捨てる。
ただの一つも届かない。
数の差など関係無い。
絶対的な大海の覇者を前に、小魚が群れを成して何になるのか。
分身を切り刻む、破壊光弾を切り捨てる。
ただの一つも届かない。
だがそれでいい、スカルもみふゆも自分達の役目を自覚している。
届かせるのは自分達ではない、道を作る事こそが為すべき役目なのだから。
届かせるのは自分達ではない、道を作る事こそが為すべき役目なのだから。
大一番を任された男が動く。
燃え盛る魔導火は津波に呑まれようとも決して消えない。
刀身を輝かせる牙狼剣は折れず、砕けず、暗黒を切り裂く。
燃え盛る魔導火は津波に呑まれようとも決して消えない。
刀身を輝かせる牙狼剣は折れず、砕けず、暗黒を切り裂く。
黄金騎士・牙狼が駆ける。
闇を照らす黄金の矢と化し、一直線に神の元へと斬り掛かる。
己へ牙を剥く金色を、ポセイドンも見ていた。
視線を寄越さず虫(にんげん)を踏み潰す神が、しかと両目で牙狼を見たのだ。
最早逃げる術は無い、神が目を付けた以上逃げられるのは断じて不可能。
自ら蜘蛛の巣へと向かって来る蝶の如き愚者を、慈悲の宿らぬ一撃で以て沈めるのみ。
闇を照らす黄金の矢と化し、一直線に神の元へと斬り掛かる。
己へ牙を剥く金色を、ポセイドンも見ていた。
視線を寄越さず虫(にんげん)を踏み潰す神が、しかと両目で牙狼を見たのだ。
最早逃げる術は無い、神が目を付けた以上逃げられるのは断じて不可能。
自ら蜘蛛の巣へと向かって来る蝶の如き愚者を、慈悲の宿らぬ一撃で以て沈めるのみ。
「……!」
それを許さぬ者達がいる。
激しさを増すスカルと魔法少女の妨害に僅か、本当に僅かながら牙狼へ向けた意識が逸れた。
若き小児科医が齎した神攻略の傷痕はこの期に及んでも健在。
絶大な消耗が足枷となり、人間の足掻きは遂に神を捉えた。
激しさを増すスカルと魔法少女の妨害に僅か、本当に僅かながら牙狼へ向けた意識が逸れた。
若き小児科医が齎した神攻略の傷痕はこの期に及んでも健在。
絶大な消耗が足枷となり、人間の足掻きは遂に神を捉えた。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!!」
トライデントが牙狼剣を弾き返せ、ない。
刃が奔る、彫刻のように美しき神の肉体へ傷を付ける。
人間如きが決して触れてはならぬ禁忌、知った事かと牙狼剣が押し込まれた。
斜めに描かれた赤い一本線。
刃が胴体を放れた直後、噴き出た赤い雨が地面へと降り注ぐ。
刃が奔る、彫刻のように美しき神の肉体へ傷を付ける。
人間如きが決して触れてはならぬ禁忌、知った事かと牙狼剣が押し込まれた。
斜めに描かれた赤い一本線。
刃が胴体を放れた直後、噴き出た赤い雨が地面へと降り注ぐ。
ようやく一撃入った。
しかし勝利には未だ程遠い、安堵感は抱けず勝利の余韻など以ての外。
流れは自分達の方へと来ている、ならばこのまま攻め続ける他ない。
牙狼剣が、チャクラムが、スカルマグナムが。
三者三様の得物が神を死へ追い込まんとし、
しかし勝利には未だ程遠い、安堵感は抱けず勝利の余韻など以ての外。
流れは自分達の方へと来ている、ならばこのまま攻め続ける他ない。
牙狼剣が、チャクラムが、スカルマグナムが。
三者三様の得物が神を死へ追い込まんとし、
瞬間、ポセイドンの中で何かがキレた。