野獣先輩がポセイドンの洗脳に成功したのは綱渡りも良い所だ。
永夢の手で大幅に消耗させられていなかったら、もしカードの効果発動に成功しても即座に洗脳を打ち破られていただろう。
これは何も、洗脳-ブレインコントロール-が脆弱な効果しか発揮しないのではない。
ポセイドンという男の精神が、強靭を通り越し異常と言えるレベルで完成されているからである。
永夢の手で大幅に消耗させられていなかったら、もしカードの効果発動に成功しても即座に洗脳を打ち破られていただろう。
これは何も、洗脳-ブレインコントロール-が脆弱な効果しか発揮しないのではない。
ポセイドンという男の精神が、強靭を通り越し異常と言えるレベルで完成されているからである。
完全無欠な神には仲間も謀も不要。
同じ神々からも恐れられる程に、ブレる事の無い在り方。
たとえ制限により力を削がれようと、決して揺るがぬ精神。
だからこそ消耗した身で洗脳効果のカードを使われて尚、完全な支配には至らなかった。
同じ神々からも恐れられる程に、ブレる事の無い在り方。
たとえ制限により力を削がれようと、決して揺るがぬ精神。
だからこそ消耗した身で洗脳効果のカードを使われて尚、完全な支配には至らなかった。
そして現在、目を見開いたポセイドンは何を感じたのか。
人間達の持つ強さへの驚愕か?
自身の消耗を加味しても、一太刀入れた黄金騎士と食らい付いたその仲間への称賛か?
佐々木小次郎相手には終ぞ抱かなかった、人間を好敵手と認めるというのか?
人間達の持つ強さへの驚愕か?
自身の消耗を加味しても、一太刀入れた黄金騎士と食らい付いたその仲間への称賛か?
佐々木小次郎相手には終ぞ抱かなかった、人間を好敵手と認めるというのか?
そんな訳が無い。
もし仮にポセイドンが鋼牙達を強者として認めるようなら、正史にて勝利を掴み取った小次郎へもっと違う言葉を向けただろう。
もし仮にポセイドンが鋼牙達を強者として認めるようなら、正史にて勝利を掴み取った小次郎へもっと違う言葉を向けただろう。
ポセイドンが抱いたのは、怒りだ。
人間が神の肉体へ傷を付け汚した怒り。
神に勝てるなどと思い上がった連中への怒り。
そのような愚か極まる振る舞いをここまで許してしまった、自分への怒り。
神に勝てるなどと思い上がった連中への怒り。
そのような愚か極まる振る舞いをここまで許してしまった、自分への怒り。
ポセイドンは笑う。
口の両端を大きく吊り上げ、怖気の走る残虐な笑みを浮かべる。
表情とは裏腹に喜びは微塵も無い。
抱く感情を懇切丁寧に説明してやるつもりもない。
ただ一言告げる。
神に勝てると驕りを抱いた人間どもへ、最早洗脳効果などあっさり塗り潰す程の怒りを籠めて。
口の両端を大きく吊り上げ、怖気の走る残虐な笑みを浮かべる。
表情とは裏腹に喜びは微塵も無い。
抱く感情を懇切丁寧に説明してやるつもりもない。
ただ一言告げる。
神に勝てると驕りを抱いた人間どもへ、最早洗脳効果などあっさり塗り潰す程の怒りを籠めて。
「雑魚(カス)が」
◆
ポセイドンへ続けて剣が振るわれはしなかった。
二太刀目のチャンスを自ら捨て、後方へと飛び退いた牙狼を誰が責められるというのか。
神と対峙する三人だけではない。
離れた場所で様子を見守るねむも、倒れて呻く野獣先輩も。
その場にいる誰もがハッキリと感じた。
金髪の偉丈夫が纏う空気が、明らかに変化したのを。
二太刀目のチャンスを自ら捨て、後方へと飛び退いた牙狼を誰が責められるというのか。
神と対峙する三人だけではない。
離れた場所で様子を見守るねむも、倒れて呻く野獣先輩も。
その場にいる誰もがハッキリと感じた。
金髪の偉丈夫が纏う空気が、明らかに変化したのを。
外見は変わらない。
しかしこれは、このプレッシャーは何だ。
立っているだけで心臓が握り潰されると錯覚する、このおぞましい気配は一体何だと言うのだ。
しかしこれは、このプレッシャーは何だ。
立っているだけで心臓が握り潰されると錯覚する、このおぞましい気配は一体何だと言うのだ。
「っ!!」
復帰が最も早かったのは幻徳だ。
彼は知っている、人間の足掻きを蹂躙する化け物を。
星を喰らう地球外生命体の脅威を、近くで見続けて来た。
規格外の化け物の相手は今に始まった事ではないのだ、それなら一々戦慄するだけ時間の無駄。
右腕を跳ね上げスカルマグナムを撃つ。
彼は知っている、人間の足掻きを蹂躙する化け物を。
星を喰らう地球外生命体の脅威を、近くで見続けて来た。
規格外の化け物の相手は今に始まった事ではないのだ、それなら一々戦慄するだけ時間の無駄。
右腕を跳ね上げスカルマグナムを撃つ。
「――――」
が、気付いたら倒れていた。
体へすさまじい衝撃が襲って来た気がするが、どうにも曖昧なのは何故だろうか。
遅れて自分が生身に戻っていると気付く。
目を横にやればスカルメモリが落ちており、妙に思いながら手を伸ばし、
体へすさまじい衝撃が襲って来た気がするが、どうにも曖昧なのは何故だろうか。
遅れて自分が生身に戻っていると気付く。
目を横にやればスカルメモリが落ちており、妙に思いながら手を伸ばし、
「――っ!?がっ……」
強烈な痛みが来た。
指一本動かし、呼吸するだけでも全身が悲鳴を上げる。
変身中に受けたダメージが生身になって響いているのだとしても、異常としか言えない痛み。
何をされてこうなったかを説明すれば、一言で足りる内容。
ポセイドンに攻撃された。
スカルの視覚センサーでも視認不可能な速度でだが。
指一本動かし、呼吸するだけでも全身が悲鳴を上げる。
変身中に受けたダメージが生身になって響いているのだとしても、異常としか言えない痛み。
何をされてこうなったかを説明すれば、一言で足りる内容。
ポセイドンに攻撃された。
スカルの視覚センサーでも視認不可能な速度でだが。
トリガーを引く動作すら許されずに、幻徳は変身解除へ追い込まれた。
痛ましい仲間の姿に残る者達も各々動きに出る。
痛ましい仲間の姿に残る者達も各々動きに出る。
「氷室さ――」
ポセイドンがそれを見逃すかどうかは別。
咄嗟に駆け寄ろうとしたみふゆの腹部をトライデントが抉る。
腹を刺されたと理解する暇すら無い、軽く腕を振るえば血と臓物がビチャビチャと撒き散らされた。
咄嗟に駆け寄ろうとしたみふゆの腹部をトライデントが抉る。
腹を刺されたと理解する暇すら無い、軽く腕を振るえば血と臓物がビチャビチャと撒き散らされた。
「貴様っ!!」
泡のような血を吐き倒れたみふゆを心底冷え切った目で見下ろす神へ、怒れる黄金騎士が迫る。
仲間がやられるのまで動けなかった自分への怒りも乗せた牙狼剣を前に、ポセイドンは慌てない。
否、慌てる必要がどこにある。
振り向き見据える瞳に牙狼を映し、相手の憤怒を波のように受け流した。
仲間がやられるのまで動けなかった自分への怒りも乗せた牙狼剣を前に、ポセイドンは慌てない。
否、慌てる必要がどこにある。
振り向き見据える瞳に牙狼を映し、相手の憤怒を波のように受け流した。
――怒れる波濤(アムヒトリテ)
全身を大袈裟に動かすのは無駄。
片腕だけで事足りる。
トライデントが放つ無数の突き、一度に数百の穂先が襲い掛かると錯覚する速さ。
牙狼剣を以て防ぎ、受け流し、時折掠るも鎧を着こんでいる為に問題は無い。
第一トライデントを用いた攻撃はこの戦闘でとうに見慣れている。
片腕だけで事足りる。
トライデントが放つ無数の突き、一度に数百の穂先が襲い掛かると錯覚する速さ。
牙狼剣を以て防ぎ、受け流し、時折掠るも鎧を着こんでいる為に問題は無い。
第一トライデントを用いた攻撃はこの戦闘でとうに見慣れている。
「ぐっ…!」
にも関わらず対処がまるで追い付かない。
防ぎ漏らした穂先が鎧の下の肉体を痛め付ける。
手を抜いたつもりは無い、ただポセイドンの攻撃の勢いがこれまで以上に激し過ぎるのだ。
片手で槍を突き出すという単純な動作でありながら、悪夢のような速度と威力。
牙狼の鎧の恩恵で致命傷こそ防いではいても、無視できない痛みに集中力が切れそうになる。
防ぎ漏らした穂先が鎧の下の肉体を痛め付ける。
手を抜いたつもりは無い、ただポセイドンの攻撃の勢いがこれまで以上に激し過ぎるのだ。
片手で槍を突き出すという単純な動作でありながら、悪夢のような速度と威力。
牙狼の鎧の恩恵で致命傷こそ防いではいても、無視できない痛みに集中力が切れそうになる。
ポセイドンがどう変わったかを説明するのは実に単純。
少しばかり本気を出した、それだけだ。
少しばかり本気を出した、それだけだ。
更に鋼牙を窮地へと追い詰めるのは、鎧の召喚時間。
99.9秒が過ぎる前に鎧を解除しなければ待ち受ける末路は一つ。
心滅獣身、嘗てバラゴへの怒りと焦りで道を踏み外した苦い過去の再現。
解除方法を知る零が近くにいない状況で心を闇に呑まれれば、敵味方関係なしに暴れる魔獣が生まれてしまう。
共闘した者も、守ると誓った少女すら理性を失い喰らい殺す怪物だ。
そのような悲劇を起こす訳にはいかない、だが鎧を解除し生身で対抗できる相手でもない。
刻一刻と迫るタイムリミットには鋼牙と言えども、焦りを抱かずにはいられなかった。
99.9秒が過ぎる前に鎧を解除しなければ待ち受ける末路は一つ。
心滅獣身、嘗てバラゴへの怒りと焦りで道を踏み外した苦い過去の再現。
解除方法を知る零が近くにいない状況で心を闇に呑まれれば、敵味方関係なしに暴れる魔獣が生まれてしまう。
共闘した者も、守ると誓った少女すら理性を失い喰らい殺す怪物だ。
そのような悲劇を起こす訳にはいかない、だが鎧を解除し生身で対抗できる相手でもない。
刻一刻と迫るタイムリミットには鋼牙と言えども、焦りを抱かずにはいられなかった。
そして焦りは防御の遅れと言う形で鋼牙に降りかかる。
防げもせず、受け流すにも遅過ぎた。
一撃入ればそこから先はもう、流れは完全にポセイドンのもの。
たった数秒の内に百へ届く突きが牙狼へ叩き込まれた。
防げもせず、受け流すにも遅過ぎた。
一撃入ればそこから先はもう、流れは完全にポセイドンのもの。
たった数秒の内に百へ届く突きが牙狼へ叩き込まれた。
「ぐああああああああっ!!」
重厚な鎧を纏った騎士が紙吹雪よりも呆気なく吹き飛ぶ。
叩きつけられ小さく呻くが、鋼牙には本当に時間が無い。
時間切れまで残り2秒を切り、歯を食い縛ってどうにか鎧を解除。
白コート姿へ戻った途端、体の至る所が激痛に泣き叫んだ。
鎧を纏っていてもこれ程のダメージ、生身ならば確実に死んでいただろう。
叩きつけられ小さく呻くが、鋼牙には本当に時間が無い。
時間切れまで残り2秒を切り、歯を食い縛ってどうにか鎧を解除。
白コート姿へ戻った途端、体の至る所が激痛に泣き叫んだ。
鎧を纏っていてもこれ程のダメージ、生身ならば確実に死んでいただろう。
つまり今こうして生身のままでいては非常にマズい。
再召喚すべく魔戒剣を頭上に掲げ、
再召喚すべく魔戒剣を頭上に掲げ、
「ノロマめ」
既にポセイドンは鋼牙を仕留めに掛かっていた。
突き出されるトライデント、ほとんど反射的に魔戒剣を防御へ翳したのは見事と言う他無い。
ソウルメタルの刃に狙いを逸らされ、心臓の位置から外れる。
しかし足りない、神の一撃を防ぐのにそれだけでは駄目だ。
三本の穂先が肉を抉り、鋼牙に深い傷を与えた。
白いコートは瞬く間に鋼牙自身の血で染められ、とうとう彼ですら地に伏す。
急速に意識を薄れさせ、それでも魔戒剣を手放さないのは魔戒騎士のプライド故か。
立派だと褒め称える者はいない、いるのは見下し殺す神だけだ。
突き出されるトライデント、ほとんど反射的に魔戒剣を防御へ翳したのは見事と言う他無い。
ソウルメタルの刃に狙いを逸らされ、心臓の位置から外れる。
しかし足りない、神の一撃を防ぐのにそれだけでは駄目だ。
三本の穂先が肉を抉り、鋼牙に深い傷を与えた。
白いコートは瞬く間に鋼牙自身の血で染められ、とうとう彼ですら地に伏す。
急速に意識を薄れさせ、それでも魔戒剣を手放さないのは魔戒騎士のプライド故か。
立派だと褒め称える者はいない、いるのは見下し殺す神だけだ。
「やべぇよやべぇよ…」
耳障りな声が鼓膜へと届いた。
神の耳を腐らせるこの不愉快極まりない声は、ポセイドンが最も殺意を抱く相手。
今この時に限っては主催者以上に殺してやりたい男。
睨みつけた先には、生まれたての小鹿のように脚を震わせるクッソ汚いホモビ男優。
神の耳を腐らせるこの不愉快極まりない声は、ポセイドンが最も殺意を抱く相手。
今この時に限っては主催者以上に殺してやりたい男。
睨みつけた先には、生まれたての小鹿のように脚を震わせるクッソ汚いホモビ男優。
神の眼光に射抜かれ、クッソ情けない程に野獣先輩は震え上がる。
さしずめ蛇に睨まれた蛙、ピンキーに捕食寸前の淫夢くんといった所か。
本当についさっき、自分がボコボコにパンチを食らわしてやった男と同じなのか。
体力はロクに回復していないだろうに、感じる威圧感は先程の比では無い。
シュワちゃんから強力なパワーを貰ったウルトラマンタクヤなど、比べる事すら烏滸がましい。
このような化け物の相手などしていられない、ブレイバックルは取られたが武器ならまだある。
永夢が使っていたガシャットギアデュアルを取り出し、パラドクスに変身すればいい。
強化された身体能力で逃げようと、急ぎガシャットを起動させる。
さしずめ蛇に睨まれた蛙、ピンキーに捕食寸前の淫夢くんといった所か。
本当についさっき、自分がボコボコにパンチを食らわしてやった男と同じなのか。
体力はロクに回復していないだろうに、感じる威圧感は先程の比では無い。
シュワちゃんから強力なパワーを貰ったウルトラマンタクヤなど、比べる事すら烏滸がましい。
このような化け物の相手などしていられない、ブレイバックルは取られたが武器ならまだある。
永夢が使っていたガシャットギアデュアルを取り出し、パラドクスに変身すればいい。
強化された身体能力で逃げようと、急ぎガシャットを起動させる。
この時野獣先輩は失念していた。
生前の永夢が変身を実行しようとした際、どうなったのかを。
生前の永夢が変身を実行しようとした際、どうなったのかを。
「ファッ!?」
変身するまでの間すら、ポセイドン相手には致命的な隙となる。
トライデントが振るわれ、最早抵抗は無意味。
なのに間一髪で滅の刀を翳し防御した。
BB先輩シリーズとはホモガキが無駄に丁寧に動作を切り抜き生まれた素材だが、細かい動作の一つ一つ全てを再現しているとは限らない。
素材によっては動作が幾つか抜けているものも珍しくはない。
此度はそれが有利に働いた。
刀を持った腕を跳ね上げると言う一つ分の動作をすっ飛ばし、迫るトライデントへ刀を翳し防御が間に合ったのである。
トライデントが振るわれ、最早抵抗は無意味。
なのに間一髪で滅の刀を翳し防御した。
BB先輩シリーズとはホモガキが無駄に丁寧に動作を切り抜き生まれた素材だが、細かい動作の一つ一つ全てを再現しているとは限らない。
素材によっては動作が幾つか抜けているものも珍しくはない。
此度はそれが有利に働いた。
刀を持った腕を跳ね上げると言う一つ分の動作をすっ飛ばし、迫るトライデントへ刀を翳し防御が間に合ったのである。
「イキスギィイイイイイイイイイイッ!!!」
かといって無事で済んではいないが。
淫夢最強と名高い、かの武神にも匹敵する腕力で得物を振るったのだ。
吹き飛ばされた野獣先輩へ追撃を仕掛け確実に殺す。
淫夢最強と名高い、かの武神にも匹敵する腕力で得物を振るったのだ。
吹き飛ばされた野獣先輩へ追撃を仕掛け確実に殺す。
「待て…!」
無謀にも神を制止する声に、侮蔑をこれでもかと籠めた瞳で振り返る。
魔戒剣を杖代わりにし、ポセイドンを睨み付ける鋼牙。
死にかけの身でありながら戦意は一切失われていない。
呼吸は荒く、額に汗が浮かんでも、立ち上がらんと両足へ力を入れる。
戦いを決して諦めない戦士、他の神々ならば好敵手と認めたのかもしれないがポセイドンは違う。
魔戒剣を杖代わりにし、ポセイドンを睨み付ける鋼牙。
死にかけの身でありながら戦意は一切失われていない。
呼吸は荒く、額に汗が浮かんでも、立ち上がらんと両足へ力を入れる。
戦いを決して諦めない戦士、他の神々ならば好敵手と認めたのかもしれないがポセイドンは違う。
「雑魚(カス)が。大人しく死んでいろ」
神が与えた死を受け入れず、余計な抵抗を重ねこちらの手を煩わせる。
害虫や雑草と呼ぶに相応しい見苦しさ。
さっさと踏み潰すに限る。
どうせ全員殺すのならば、多少順番が変わったとて結末に変化はない。
くたばりぞこないの分際で睨み付ける両目を貫き、一気に脳も串刺しだ。
網から逃れた瀕死の小魚を刺すように、トライデントを振り被った。
害虫や雑草と呼ぶに相応しい見苦しさ。
さっさと踏み潰すに限る。
どうせ全員殺すのならば、多少順番が変わったとて結末に変化はない。
くたばりぞこないの分際で睨み付ける両目を貫き、一気に脳も串刺しだ。
網から逃れた瀕死の小魚を刺すように、トライデントを振り被った。
「なに…?」
またしても人間の命を刈り取る瞬間は訪れない。
ポセイドンを阻むように突如舞い散る無数の紙片。
よく見れば本のページだ。
一枚一枚に魔力が宿ったページが紙吹雪のように戦場のそこかしこを舞う。
ポセイドンを阻むように突如舞い散る無数の紙片。
よく見れば本のページだ。
一枚一枚に魔力が宿ったページが紙吹雪のように戦場のそこかしこを舞う。
トライデントの餌食になった連中は、こんな攻撃をして来なかった。
であれば誰がやったかの答えは明白。
この場にいる人間どもの中で、最も取るに足らない下らない小蝿。
小細工をした張本人を睨み付けると、眠たげな表情を逆に向けられた。
尤も額に汗を浮かべている辺り、彼女と言えども神相手には緊張を隠せない様子。
であれば誰がやったかの答えは明白。
この場にいる人間どもの中で、最も取るに足らない下らない小蝿。
小細工をした張本人を睨み付けると、眠たげな表情を逆に向けられた。
尤も額に汗を浮かべている辺り、彼女と言えども神相手には緊張を隠せない様子。
アカデミックドレスに角帽。
メガネを外したこの姿こそねむの魔法少女衣装。
里見灯花、アリナ・グレイと並び羽の魔法少女を率いる三人のマギウスの一人。
幼い身でありながら並の魔法少女を凌駕するねむだが、ポセイドンを前にしては体中を戦慄が駆け巡る。
怯えた所で加減する相手で無いとは承知済みだ。
速攻で決めるのみ。
メガネを外したこの姿こそねむの魔法少女衣装。
里見灯花、アリナ・グレイと並び羽の魔法少女を率いる三人のマギウスの一人。
幼い身でありながら並の魔法少女を凌駕するねむだが、ポセイドンを前にしては体中を戦慄が駆け巡る。
怯えた所で加減する相手で無いとは承知済みだ。
速攻で決めるのみ。
「盛大に暴れて堪能しておいで…」
ねむの固有武装は分厚い本だ。
開かれたページが輝きを発し、無数の異形を出現させる。
百鬼夜行もかくやという人ならざる者の群れ。
これらはウワサ、ねむが創造しストックしたウワサを一斉に呼び出すマギア。
好きに暴れろ、その言葉を待ってましたとばかりにウワサ達はポセイドンに殺到。
自らの巨体をぶつけ、或いは周囲で渦を作り魔力の竜巻を巻き起こす。
開かれたページが輝きを発し、無数の異形を出現させる。
百鬼夜行もかくやという人ならざる者の群れ。
これらはウワサ、ねむが創造しストックしたウワサを一斉に呼び出すマギア。
好きに暴れろ、その言葉を待ってましたとばかりにウワサ達はポセイドンに殺到。
自らの巨体をぶつけ、或いは周囲で渦を作り魔力の竜巻を巻き起こす。
「雑魚(カス)の操り人形どもが」
だがそれが何だという。
魔法少女数人掛かりでも苦戦するウワサも混じっている。
だから何だと言う話だ。
所詮は人に創られた家畜ですらないミジンコ。
百や千、万匹の数を揃えようと神の足元すら拝めない。
貫かれ、引き千切られ、悲鳴すら許されずに蹂躙される末路以外にあるものか。
魔法少女数人掛かりでも苦戦するウワサも混じっている。
だから何だと言う話だ。
所詮は人に創られた家畜ですらないミジンコ。
百や千、万匹の数を揃えようと神の足元すら拝めない。
貫かれ、引き千切られ、悲鳴すら許されずに蹂躙される末路以外にあるものか。
「分かってはいたけど…」
これ程までに化け物とは。
この男に比べたら魔女など可愛い愛玩動物も同然ではないか。
この男に比べたら魔女など可愛い愛玩動物も同然ではないか。
ウワサを全て消され、トライデントが次の狙うのはねむ本人。
女子供だろうと見逃す理由にはならない。
女子供だろうと見逃す理由にはならない。
「っの…!」
後方から飛来する物体を察知、視線は前方に向けたまま払い除ける。
金属同士がぶつかり合った音にも関心は示さない。
標的であるねむを睨む視線の先に、見覚えのある女が複数出現。
揃いも揃って黙って死ぬ事すら出来ないゴミクズども。
何度目になるか分からない人間への侮蔑を勢いに乗せ、トライデントが女達を粉砕。
金属同士がぶつかり合った音にも関心は示さない。
標的であるねむを睨む視線の先に、見覚えのある女が複数出現。
揃いも揃って黙って死ぬ事すら出来ないゴミクズども。
何度目になるか分からない人間への侮蔑を勢いに乗せ、トライデントが女達を粉砕。
分身が何体やられようと、みふゆへダメージはやって来ない。
腹部を赤く染めながらねむへと駆け寄る。
ソウルジェムが無事ならまだ動ける、気絶しそうな痛みは歯を砕けん程に噛み締め耐えるのだ。
腹部を赤く染めながらねむへと駆け寄る。
ソウルジェムが無事ならまだ動ける、気絶しそうな痛みは歯を砕けん程に噛み締め耐えるのだ。
「ねむ!」
「…!了解したよ」
「…!了解したよ」
差し出された掌に意図を察知。
小さな手をみふゆと重ね、自身の魔力を分け与える。
魔法少女同士が使えるコネクトだ。
小さな手をみふゆと重ね、自身の魔力を分け与える。
魔法少女同士が使えるコネクトだ。
一回り巨大化したチャクラムを手にみふゆが突撃。
見上げる程の魔女だろうと一撃で沈める刃を叩き込むも、ポセイドンには児戯も同然。
トライデントで弾き返した直後、チャクラムが砕け散る。
否、無数のページへと変化しポセイドンを覆い隠した。
完全に姿が見えなくなる程のページが群がり、ポセイドンを切り刻む。
魔力の許す限り攻撃を続け、後には肉を失い骨だけと化した死体が完成。
見上げる程の魔女だろうと一撃で沈める刃を叩き込むも、ポセイドンには児戯も同然。
トライデントで弾き返した直後、チャクラムが砕け散る。
否、無数のページへと変化しポセイドンを覆い隠した。
完全に姿が見えなくなる程のページが群がり、ポセイドンを切り刻む。
魔力の許す限り攻撃を続け、後には肉を失い骨だけと化した死体が完成。
相手がポセイドンでなければ、そうなっただろう。
「……」
縦横無尽に振るわれたトライデントにページが吹き飛ばされた。
現れたポセイドンに今のが堪えた様子は皆無。
細かい切り傷こそ刻まれてはいるものの、戦闘続行に支障は全く無い。
愚かを通り越し憐れにすら思える虫けらの些細な悪足掻き。
しかし神の肉体に傷を付けた代償は、ちっぽけな命で支払う以外に認めない。
現れたポセイドンに今のが堪えた様子は皆無。
細かい切り傷こそ刻まれてはいるものの、戦闘続行に支障は全く無い。
愚かを通り越し憐れにすら思える虫けらの些細な悪足掻き。
しかし神の肉体に傷を付けた代償は、ちっぽけな命で支払う以外に認めない。
「悪い夢だと思いたいね…」
「残念ですがこれは現実ですよ、気持ちは分かりますけど」
「檀黎斗の頭にはゲームバランスという言葉が欠けているんじゃないのかい」
「自称神様に公平さを期待するだけ無駄でしょう」
「残念ですがこれは現実ですよ、気持ちは分かりますけど」
「檀黎斗の頭にはゲームバランスという言葉が欠けているんじゃないのかい」
「自称神様に公平さを期待するだけ無駄でしょう」
軽口を叩き合う声色もお互い乾いている。
そういえば灯花やうい、いろは以外とこんな風に気安く話すのは滅多に無かったな。
緊迫した状況とは不釣り合いの呑気な思考に、ついつい苦笑いが浮かぶ。
そういえば灯花やうい、いろは以外とこんな風に気安く話すのは滅多に無かったな。
緊迫した状況とは不釣り合いの呑気な思考に、ついつい苦笑いが浮かぶ。
(何をしているんだろうね、僕は…)
温存しておきたかった魔法少女の力を結局使ってしまった。
見ているだけで震えが走る金髪の男相手では、魔法少女になったとて敵わないと見て分かるだろうに。
そもそも戦闘に加わった選択こそが間違いだ。
自分の目的は主催者の力を奪って魔法少女を救済すること。
だったら自身の生存を優先し逃げて、灯花と合流してから改めて金髪の男への対策を考える方がずっと合理的だ。
なのに現実はこの有様、いろはと灯花以外の参加者なら見捨てるのに抵抗はない筈なのに。
見ているだけで震えが走る金髪の男相手では、魔法少女になったとて敵わないと見て分かるだろうに。
そもそも戦闘に加わった選択こそが間違いだ。
自分の目的は主催者の力を奪って魔法少女を救済すること。
だったら自身の生存を優先し逃げて、灯花と合流してから改めて金髪の男への対策を考える方がずっと合理的だ。
なのに現実はこの有様、いろはと灯花以外の参加者なら見捨てるのに抵抗はない筈なのに。
(……恨むよ、お兄さん)
彼が、自分の心を揺さぶった黄金の狼が、守ると約束してくれた青年が。
冴島鋼牙が殺され掛かった光景を見てしまったせいで、気付けばソウルジェムを光らせた。
助けてもらったのは事実、使える駒だと思ったのも本当。
でもそれだけで自分の命をも危険に晒す必要がどこにあるというのか。
ねむからしたら全く持って馬鹿馬鹿しい妄想としか思えないが、黄金騎士という希望がここで潰えるのに我慢ならなかった。
そんな有り得ない理由が己の中にあるとでも?
冴島鋼牙が殺され掛かった光景を見てしまったせいで、気付けばソウルジェムを光らせた。
助けてもらったのは事実、使える駒だと思ったのも本当。
でもそれだけで自分の命をも危険に晒す必要がどこにあるというのか。
ねむからしたら全く持って馬鹿馬鹿しい妄想としか思えないが、黄金騎士という希望がここで潰えるのに我慢ならなかった。
そんな有り得ない理由が己の中にあるとでも?
この期に及んで下らない考えを抱く自分がおかしくて仕方ない。
「…ねむ」
意識を引き戻したのは、自分を呼ぶ声。
二文字の名前を口に出したみふゆを見上げると、何を考えているかを即座に察した。
ああこの顔は見覚えがある。
幸せが詰まった病室で、魔法少女の契約を決意した時。
記憶を取り戻した灯花が自分と共に、ういとの約束を果たそうとした時。
大好きなあの人を生かす為に、三人でアリナを止めようとした時と一緒。
覚悟を決めた顔だ。
二文字の名前を口に出したみふゆを見上げると、何を考えているかを即座に察した。
ああこの顔は見覚えがある。
幸せが詰まった病室で、魔法少女の契約を決意した時。
記憶を取り戻した灯花が自分と共に、ういとの約束を果たそうとした時。
大好きなあの人を生かす為に、三人でアリナを止めようとした時と一緒。
覚悟を決めた顔だ。
「…言いたい事は分かるよ。その役目を君が引き受けてくれるなら僕も文句はない」
「なら話は早いですね。…氷室さん」
「なら話は早いですね。…氷室さん」
ねむにデイパックを渡し、声を掛けるのはこの地で最初に出会った男。
償いの為に二度目の生を使おうと決めた、自分と似たものを感じた彼。
共有した時間は短くて、けれどどうしても伝えておきたい。
彼と話せるのはこれが最後だろうから。
償いの為に二度目の生を使おうと決めた、自分と似たものを感じた彼。
共有した時間は短くて、けれどどうしても伝えておきたい。
彼と話せるのはこれが最後だろうから。
「梓…?何を……」
「後はお願いします。氷室さんならきっと、償いの為だけじゃなくて、本当のヒーローとして誰かを救えるはずです」
「後はお願いします。氷室さんならきっと、償いの為だけじゃなくて、本当のヒーローとして誰かを救えるはずです」
彼と出会えたから、彼と言葉を交わしたから、もう一度戦う気になれた。
もう少しだけ頑張ってみようと、そう思う事が出来た。
地球を滅ぼすエイリアンを倒すとか、魔法少女を全て救うだとか大きなものではない。
ちっぽけかもしれないけれど、幻徳は確かにみふゆの助けとなったのだ。
もう少しだけ頑張ってみようと、そう思う事が出来た。
地球を滅ぼすエイリアンを倒すとか、魔法少女を全て救うだとか大きなものではない。
ちっぽけかもしれないけれど、幻徳は確かにみふゆの助けとなったのだ。
「あなたに助けられたワタシが言うんですから、ね?」
「梓…!!」
「梓…!!」
そう言い見せた微笑みが、幻徳が見たみふゆの最後の顔。
さぁ別れの挨拶は済んだ。
多くの間違いを犯したこの命で、もう一度皆を助けてみせよう。
魂が黒く染まる。
絶望の色、魔法少女を終わりへと誘う穢れ。
しかし生まれ落ちるは魔女に非ず。
多くの間違いを犯したこの命で、もう一度皆を助けてみせよう。
魂が黒く染まる。
絶望の色、魔法少女を終わりへと誘う穢れ。
しかし生まれ落ちるは魔女に非ず。
舌は布に、両手は紐に。
上半身を幾重にも巻いたカーテンで、しなやかながら豊満さを併せ持った肢体を覆い隠す。
顔すら隠したその形は、悲惨な現実から目を逸らす為か。
生業のドッペル。
奪われ続け、失い続け、魔法少女の運命に悲観した梓みふゆにとっての救い。
上半身を幾重にも巻いたカーテンで、しなやかながら豊満さを併せ持った肢体を覆い隠す。
顔すら隠したその形は、悲惨な現実から目を逸らす為か。
生業のドッペル。
奪われ続け、失い続け、魔法少女の運命に悲観した梓みふゆにとっての救い。
舌を変化させた生業のドッペルは放つ言葉を持たない。
言わなくたって、彼女が何をするつもりか理解出来ない者はここにおらず。
両腕を揺らし出現させるは、白いペンキで描いたような歪な鳥。
死肉を啄むハゲワシの如くどう猛さでポセイドンに殺到。
トライデントで片っ端から蹴散らすも、如何せん数が尋常でないくらいに多い。
傷の一つも刻めはしないが足止めという役目は果たせた。
言わなくたって、彼女が何をするつもりか理解出来ない者はここにおらず。
両腕を揺らし出現させるは、白いペンキで描いたような歪な鳥。
死肉を啄むハゲワシの如くどう猛さでポセイドンに殺到。
トライデントで片っ端から蹴散らすも、如何せん数が尋常でないくらいに多い。
傷の一つも刻めはしないが足止めという役目は果たせた。
「梓っ!?」
駆け寄ろうとした幻徳を阻む無数のページ。
この期に及んでねむが牙を剥いたのでない事は、幻徳の視界に映る汚い男の存在が証明している。
この期に及んでねむが牙を剥いたのでない事は、幻徳の視界に映る汚い男の存在が証明している。
「調子こいてんじゃねぇぞメスガキの癖にオォン!?」
怒り心頭の最悪うんこ、野獣先輩だ。
どうにか復帰したらしく、半分に折れた刀を振り回しねむを憤怒の形相で睨む。
だがすぐにしたり顔へと早変わり。
殺害こそ失敗したが目的の物は手に入れた。
どうにか復帰したらしく、半分に折れた刀を振り回しねむを憤怒の形相で睨む。
だがすぐにしたり顔へと早変わり。
殺害こそ失敗したが目的の物は手に入れた。
「それは俺の…!?」
「何のこったよ(すっとぼけ)」
「何のこったよ(すっとぼけ)」
野獣先輩が手に持つデイパックは幻徳のもの。
ポセイドンの攻撃を受け変身解除された際に吹き飛んだのを回収したらしい。
中を漁り奪われた変身ツール、ブレイバックルを取り戻す。
ポセイドンの攻撃を受け変身解除された際に吹き飛んだのを回収したらしい。
中を漁り奪われた変身ツール、ブレイバックルを取り戻す。
「変身!(迫真)」
『TURN UP』
再度ブレイドへの変身を終えると、急いで目当てのカードを引き抜く。
自分にふざけた真似をした汚物を殺したくても、無数の鳥が邪魔で反応が遅れる。
結果、忌々しい限りだがポセイドンはブレイドの行動を許す羽目となった。
自分にふざけた真似をした汚物を殺したくても、無数の鳥が邪魔で反応が遅れる。
結果、忌々しい限りだがポセイドンはブレイドの行動を許す羽目となった。
『MACH』
「逃げるが勝ちってハッキリ分かんだね」
ジャガーアンデットの能力を己に付与し、高速移動を可能に。
脇目も振らずに一目散に駆け出す様は、鋼牙との戦闘時と同様。
背中にぶつけられる殺気立った視線も無視して、野獣先輩は戦場を後にした。
脇目も振らずに一目散に駆け出す様は、鋼牙との戦闘時と同様。
背中にぶつけられる殺気立った視線も無視して、野獣先輩は戦場を後にした。
あの汚い男がまたしても生き延びたのは腹立たしいが、今は自分達の身を優先するべき。
生業のドッペルとていつまで持つかは分からないのだ。
生業のドッペルとていつまで持つかは分からないのだ。
「僕たちも逃げよう。お兄さんを運んでくれると助かる」
「だが梓は…」
「まごついているのをみふゆが望んでいないことくらい分かるだろう?」
「だが梓は…」
「まごついているのをみふゆが望んでいないことくらい分かるだろう?」
淡々と正論を返されれば何も言えない。
急ぎ動かねば、本当に手遅れになるだろう。
自分がモタついてるせいで、彼女の決意に泥を塗る事へ繋がる。
ならば幻徳自身も決断せねばなるまい。
激痛に苛まれる体を酷使して鋼牙に肩を貸す。
自分も酷いが彼は更に重傷だ。
急ぎ動かねば、本当に手遅れになるだろう。
自分がモタついてるせいで、彼女の決意に泥を塗る事へ繋がる。
ならば幻徳自身も決断せねばなるまい。
激痛に苛まれる体を酷使して鋼牙に肩を貸す。
自分も酷いが彼は更に重傷だ。
「お前達だけで行け…残るなら俺も…」
「梓が…っ!どんな想いで決めたと思っている…!!」
「梓が…っ!どんな想いで決めたと思っている…!!」
血を吐く想いで紡がれた言葉は、黙らせるのに十分だった。
鋼牙とて分かっている、みふゆが望むのは自分達が無事に逃げ延びること。
だからここで鋼牙まで残るのは彼女の決意に唾を吐くに等しい。
そう理解はしても、納得など出来るものか。
本当ならば自分が引き受けねばならない役目を、守るべき者に背負わせた。
魔戒騎士にあるまじき大失態、苦い敗北の味に歯軋りをする。
鋼牙とて分かっている、みふゆが望むのは自分達が無事に逃げ延びること。
だからここで鋼牙まで残るのは彼女の決意に唾を吐くに等しい。
そう理解はしても、納得など出来るものか。
本当ならば自分が引き受けねばならない役目を、守るべき者に背負わせた。
魔戒騎士にあるまじき大失態、苦い敗北の味に歯軋りをする。
「飛ばすぞ!掴まってろ!」
放置してあった黒塗りの高級車に鋼牙を押し込む勢いで乗せ、エンジンを掛ける。
後部座席には既にねむが乗り込んでいた。
バックミラーに映る生業のドッペルに、後ろ髪を引かれる思いが湧き上がるも振り切らねばならない。
アクセルを踏み猛スピードで発進、彼女の姿はあっという間に見えなくなる。
後部座席には既にねむが乗り込んでいた。
バックミラーに映る生業のドッペルに、後ろ髪を引かれる思いが湧き上がるも振り切らねばならない。
アクセルを踏み猛スピードで発進、彼女の姿はあっという間に見えなくなる。
「雑魚(カス)どもが…」
まんまと逃げおおせた連中への苛立ちを吐き捨てる。
口やかましい眼鏡の小僧や、桃色髪の小娘などに続きまたもや逃走を許す始末。
羽虫のように鬱陶しく飛び回ったと思えば、みっともなくひぃひぃ逃げ出す。
目障りなことこの上ない。
だがまずは目の前のゴミを片付けるのが先だ。
口やかましい眼鏡の小僧や、桃色髪の小娘などに続きまたもや逃走を許す始末。
羽虫のように鬱陶しく飛び回ったと思えば、みっともなくひぃひぃ逃げ出す。
目障りなことこの上ない。
だがまずは目の前のゴミを片付けるのが先だ。
白い鳥の群れを蹴散らし、続けて頭上から迫る殺意を察知。
ポセイドン目掛けて落とされるチャクラム、見飽きた攻撃だがこれまでとは大きく違う点が一つ。
大型の魔女に匹敵する巨大さだ、人間大の相手など押し潰されてマトモな死体も残らない。
相手の持ち得る最大威力の攻撃を、ポセイドンは鼻で笑いすらしない。
無感動に見上げる神を地面諸共切り裂き叩き潰す。
ポセイドン目掛けて落とされるチャクラム、見飽きた攻撃だがこれまでとは大きく違う点が一つ。
大型の魔女に匹敵する巨大さだ、人間大の相手など押し潰されてマトモな死体も残らない。
相手の持ち得る最大威力の攻撃を、ポセイドンは鼻で笑いすらしない。
無感動に見上げる神を地面諸共切り裂き叩き潰す。
仕留めて――いない。
それどころか当たってすらいない。
生業のドッペルの遥か頭上、一跳びで地上の獲物を大きく見下ろす位置へと移動した。
大した威力だと感心は抱かない、惜しかったなと慰めてやりもしない。
姿を変えた、手数を増やした、威力を増した。
だからなんだ、無意味な光景に一体全体何を感じろと言う。
それどころか当たってすらいない。
生業のドッペルの遥か頭上、一跳びで地上の獲物を大きく見下ろす位置へと移動した。
大した威力だと感心は抱かない、惜しかったなと慰めてやりもしない。
姿を変えた、手数を増やした、威力を増した。
だからなんだ、無意味な光景に一体全体何を感じろと言う。
人間(カス)ですらない化け物(ダニ)が神を倒せる道理など、天地の果てにすら存在しない。
――荒海に降る神雷(キオネ・テュロ・デーメテール)
雷雨が降り注ぐ。
祝福と恵みの雨にも似た輝きが生業のドッペルを包み込み、やがて何も見えなくなった。
祝福と恵みの雨にも似た輝きが生業のドッペルを包み込み、やがて何も見えなくなった。
◆◆◆
遥か後方より轟音が鳴り響く。
誰が何をして、結果どうなったかは考えるまでも無い。
自分が取るべき行動は一つ、スピードを上げ少しでもあの場から遠ざかる。
それが正解だと理解しており、感情任せに引き返す愚行に出るつもりはない。
第一戻ったところで既に手遅れだろう。
誰が何をして、結果どうなったかは考えるまでも無い。
自分が取るべき行動は一つ、スピードを上げ少しでもあの場から遠ざかる。
それが正解だと理解しており、感情任せに引き返す愚行に出るつもりはない。
第一戻ったところで既に手遅れだろう。
(俺は何をしている…!)
理解しても納得はできない。
あの場に残るべきは自分だったのではないのか。
無様に倒れていないでもっと早くに立ち上がり決断していたら、逃げ延びたのはみふゆの方だった筈だ。
自分も彼女も本来ならば死人。
だが彼女はまだ19歳で、本当だったら未来がある人間だろうに。
大義の為の犠牲では無い、己の不甲斐なさでみふゆを犠牲にしたのが幻徳には許せなかった。
あの場に残るべきは自分だったのではないのか。
無様に倒れていないでもっと早くに立ち上がり決断していたら、逃げ延びたのはみふゆの方だった筈だ。
自分も彼女も本来ならば死人。
だが彼女はまだ19歳で、本当だったら未来がある人間だろうに。
大義の為の犠牲では無い、己の不甲斐なさでみふゆを犠牲にしたのが幻徳には許せなかった。
――『これ以上仲間の死体を持って帰るぐらいなら!悪魔に魂を売ったってかまわない』
数時間前に出会った少女の言葉が思い起こされる。
もし自分にもっと力があれば。
金髪の男やエボルトをも倒せるだけの力があれば、仲間も父親も死なずに済んだのだろうか。
もし自分にもっと力があれば。
金髪の男やエボルトをも倒せるだけの力があれば、仲間も父親も死なずに済んだのだろうか。
力が欲しい、強くなりたいとどうしようもなく願う。
前の席の重苦しさをひしひしと感じながら、ねむも一人考える。
戦場へ置いて来た魔法少女のことを。
逃げる時、みふゆはねむにだけ言葉を残した。
舌を変化させた生業のドッペルは言葉を発せないが、魔法少女同士のテレバシーなら可能。
ねむだけに聞こえる声でこう告げたのだ、「どうか、灯花と共に皆と協力して欲しい」と。
マギウスが相容れないと分かった上で、やちよやいろはとの協力を望んだ。
戦場へ置いて来た魔法少女のことを。
逃げる時、みふゆはねむにだけ言葉を残した。
舌を変化させた生業のドッペルは言葉を発せないが、魔法少女同士のテレバシーなら可能。
ねむだけに聞こえる声でこう告げたのだ、「どうか、灯花と共に皆と協力して欲しい」と。
マギウスが相容れないと分かった上で、やちよやいろはとの協力を望んだ。
(すまないみふゆ、それは無理だ)
自分も、そして灯花も最優先するのはいろはだ。
もし先程の場にいろはがいて、鋼牙達を犠牲にすれば助かるというなら迷わずそうしただろう。
都合都合でやちよ達と共闘する場面が無いとは言い切れない。
しかし最終的にはいろはを救う為に、必要とあらばそれ以外の全てを切り捨てるのに躊躇は無かった。
もし先程の場にいろはがいて、鋼牙達を犠牲にすれば助かるというなら迷わずそうしただろう。
都合都合でやちよ達と共闘する場面が無いとは言い切れない。
しかし最終的にはいろはを救う為に、必要とあらばそれ以外の全てを切り捨てるのに躊躇は無かった。
みふゆの願いは叶えられない。
彼女の想いを裏切る事に、後ろめたさを抱いたからだろうか。
もう届かないと分かっても、謝罪の言葉を内心で向けたのは。
彼女の想いを裏切る事に、後ろめたさを抱いたからだろうか。
もう届かないと分かっても、謝罪の言葉を内心で向けたのは。
みふゆについて考えねばならないのがもう一つ。
何故彼女はドッペルが使えたのか。
何故彼女はドッペルが使えたのか。
魔法少女がドッペルを使うにはエンブリオ・イヴの存在が必要不可欠。
穢れを回収したイヴが被膜を展開した領域内、つまり神浜市のみで発動可能なのがドッペル・システム。
本来ならばワルプルギスの夜をイヴに喰らわせて、被膜範囲を拡大するのがねむと灯花の計画だった。
しかし、いろはの決死の説得を受けた直後に起きたアリナの暴挙。
あろうことかイヴと一体化した挙句、全人類魔法少女化計画という狂気の世界を創り出そうとしたのだ。
アリナを止める為にねむは灯花と共にドッペルを出現させ相打ちに持ち込んだ。
ゲーム以前の記憶でねむが最後に覚えているのはそこまでで、以降どうなったかは知らない。
自分達の特攻でアリナを倒せたのか、若しくは倒し切れなかったのか。
だがいろはとやちよ、フェリシアも参加している事から自分達が倒せなかったとしても、きっといろは達が片を付けたとは察せられる。
ということはつまりイヴは融合したアリナ諸共消滅したのだろう。
穢れを回収したイヴが被膜を展開した領域内、つまり神浜市のみで発動可能なのがドッペル・システム。
本来ならばワルプルギスの夜をイヴに喰らわせて、被膜範囲を拡大するのがねむと灯花の計画だった。
しかし、いろはの決死の説得を受けた直後に起きたアリナの暴挙。
あろうことかイヴと一体化した挙句、全人類魔法少女化計画という狂気の世界を創り出そうとしたのだ。
アリナを止める為にねむは灯花と共にドッペルを出現させ相打ちに持ち込んだ。
ゲーム以前の記憶でねむが最後に覚えているのはそこまでで、以降どうなったかは知らない。
自分達の特攻でアリナを倒せたのか、若しくは倒し切れなかったのか。
だがいろはとやちよ、フェリシアも参加している事から自分達が倒せなかったとしても、きっといろは達が片を付けたとは察せられる。
ということはつまりイヴは融合したアリナ諸共消滅したのだろう。
だからこそ分からない。
イヴが倒され被膜は崩壊したにも関わらず、何故未だにドッペルを使えるのかが。
檀黎斗は死んだ魔法少女も蘇生可能な力を有している。
マギウスですら理解の及ばない何らかの方法で、ドッペルを使えるようにした。
その可能性もなくはない。
イヴが倒され被膜は崩壊したにも関わらず、何故未だにドッペルを使えるのかが。
檀黎斗は死んだ魔法少女も蘇生可能な力を有している。
マギウスですら理解の及ばない何らかの方法で、ドッペルを使えるようにした。
その可能性もなくはない。
或いは、もう一つの可能性。
黎斗は死者の蘇生が可能、それは何も参加者のみを生き返らせた訳ではない。
主催者側にいる連中もまた、黎斗の手で蘇生させられた存在なのかもしれない。
ならば、『彼女』が黎斗の元にいないとは言い切れなかった。
黎斗は死者の蘇生が可能、それは何も参加者のみを生き返らせた訳ではない。
主催者側にいる連中もまた、黎斗の手で蘇生させられた存在なのかもしれない。
ならば、『彼女』が黎斗の元にいないとは言い切れなかった。
(君もいるのかい?うい……)
各々の苦い思いを乗せて車が走る。
余談であるが、ねむは撤退の際に一つの支給品を手に入れていた。
ガシャットギアデュアル、野獣先輩の手から零れ落ちたパラドクスへの変身ツール。
具体的な使い方は知らないが残しておく理由も無い為、自分の手で確保した。
余談であるが、ねむは撤退の際に一つの支給品を手に入れていた。
ガシャットギアデュアル、野獣先輩の手から零れ落ちたパラドクスへの変身ツール。
具体的な使い方は知らないが残しておく理由も無い為、自分の手で確保した。
片桐章馬に始まり現在はねむの手に渡ったガシャット。
今後みふゆの願った通り皆と協力で使われるのか、それともあくまで己の為に使われるのか。
或いは力を欲する悪党(ローグ)だった男の手に渡るのか。
語る機会はまだ先の話だ。
今後みふゆの願った通り皆と協力で使われるのか、それともあくまで己の為に使われるのか。
或いは力を欲する悪党(ローグ)だった男の手に渡るのか。
語る機会はまだ先の話だ。
【A-4/一日目/早朝】
【氷室幻徳@仮面ライダービルド】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(極大)、無力感と力への渇望(大)、運転中
[装備]:ロストドライバー+スカルメモリ@仮面ライダーW、軍刀@ゴールデンカムイ、黒塗りの高級車@真夏の夜の淫夢
[道具]:
[思考・状況]
基本方針:黎斗たちを倒して殺し合いを止める。
1:今は金髪の男(ポセイドン)から逃げる。
2:梓…すまない……。
3:エルフの少女(コッコロ)とユウキを知る者にキャルの伝言を伝える。
4:エボルト、里見灯花、柊ねむ、カイザーインサイトを警戒。柊をどうするか…。
5:俺にもっと力があればこうならなかったのか…?
[備考]
※参戦時期はTV版で死亡後。
[状態]:疲労(大)、ダメージ(極大)、無力感と力への渇望(大)、運転中
[装備]:ロストドライバー+スカルメモリ@仮面ライダーW、軍刀@ゴールデンカムイ、黒塗りの高級車@真夏の夜の淫夢
[道具]:
[思考・状況]
基本方針:黎斗たちを倒して殺し合いを止める。
1:今は金髪の男(ポセイドン)から逃げる。
2:梓…すまない……。
3:エルフの少女(コッコロ)とユウキを知る者にキャルの伝言を伝える。
4:エボルト、里見灯花、柊ねむ、カイザーインサイトを警戒。柊をどうするか…。
5:俺にもっと力があればこうならなかったのか…?
[備考]
※参戦時期はTV版で死亡後。
【冴島鋼牙@牙狼-GARO-シリーズ】
[状態]:疲労(極大)、ダメージ(極大)、胸部から出血中、自分への強い怒り、乗車中
[装備]:冴島鋼牙の魔戒剣@牙狼-GARO-、魔導火のライター@牙狼-GARO-、
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~4、首輪(星合翔李)
[思考・状況]
基本方針:守りし者として人々を守る。この決闘も終わらせる。
1:ねむを守り、彼女の友人を探す。
2:逃げた男(野獣先輩)から必ず仮面ライダーの力を取り戻す。
3:首輪の解析が出来そうな参加者を探し、この首輪を託す。
4:零との合流を目指す。
5:葛葉紘汰、あの男の事は忘れない。
6:あの黒い騎士(葉霧)は何者だ…?
7:ねむに僅かな疑念。さっきの力は何だ?
[備考]
※参戦時期は牙狼-GARO- ~MAKAISENKI~終了後
[状態]:疲労(極大)、ダメージ(極大)、胸部から出血中、自分への強い怒り、乗車中
[装備]:冴島鋼牙の魔戒剣@牙狼-GARO-、魔導火のライター@牙狼-GARO-、
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~4、首輪(星合翔李)
[思考・状況]
基本方針:守りし者として人々を守る。この決闘も終わらせる。
1:ねむを守り、彼女の友人を探す。
2:逃げた男(野獣先輩)から必ず仮面ライダーの力を取り戻す。
3:首輪の解析が出来そうな参加者を探し、この首輪を託す。
4:零との合流を目指す。
5:葛葉紘汰、あの男の事は忘れない。
6:あの黒い騎士(葉霧)は何者だ…?
7:ねむに僅かな疑念。さっきの力は何だ?
[備考]
※参戦時期は牙狼-GARO- ~MAKAISENKI~終了後
【柊ねむ@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版)】
[状態]:健康、魔力消費(中)、いろはの存在へ動揺、黄金騎士への複雑な感情、乗車中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式×2、フリーザの小型ポッド@ドラゴンボール、ガシャットギアデュアル@仮面ライダーエグゼイド、ランダム支給品×1~4(みふゆの分含む)
[思考・状況]
基本方針:手段を問わずに主催者の力を奪って魔法少女を救済する。
1:今は逃げるしかない。みふゆの頼みは……。
2:鋼牙お兄さんと行動。荒事に関しては彼に任せよう。
3:魔法少女への変身はなるべく控える。つもりだったけど…。
4:灯花とも合流しておきたい。
5:七海やちよと深月フェリシアは邪魔になるなら排除。
6:もしいろはお姉さんと会ったら僕は……。
7:希望…馬鹿馬鹿しいよ……。
8:ドッペルが使えたのは何故だろう?
[備考]
※参戦時期は死亡後。
[状態]:健康、魔力消費(中)、いろはの存在へ動揺、黄金騎士への複雑な感情、乗車中
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式×2、フリーザの小型ポッド@ドラゴンボール、ガシャットギアデュアル@仮面ライダーエグゼイド、ランダム支給品×1~4(みふゆの分含む)
[思考・状況]
基本方針:手段を問わずに主催者の力を奪って魔法少女を救済する。
1:今は逃げるしかない。みふゆの頼みは……。
2:鋼牙お兄さんと行動。荒事に関しては彼に任せよう。
3:魔法少女への変身はなるべく控える。つもりだったけど…。
4:灯花とも合流しておきたい。
5:七海やちよと深月フェリシアは邪魔になるなら排除。
6:もしいろはお姉さんと会ったら僕は……。
7:希望…馬鹿馬鹿しいよ……。
8:ドッペルが使えたのは何故だろう?
[備考]
※参戦時期は死亡後。
※どの方向へ車を走らせているかは後続の書き手に任せます。
◆◆◆
地面が大きく削り取られた戦場跡に一人佇む神。
これでまた一人参加者を始末した。
されどポセイドンには喜びも達成感もない。
当たり前だ、虫を踏み潰してそこに大きな感動がある筈ない。
これでまた一人参加者を始末した。
されどポセイドンには喜びも達成感もない。
当たり前だ、虫を踏み潰してそこに大きな感動がある筈ない。
人間どもの殲滅など取るに足らない些事に過ぎない。
しかしどうだ、悉く逃げられ、いらぬ消耗を背負わされ、一時は支配下に置かれる始末。
人間が神を梃子摺らせる、無視できない事実を理解して尚もポセイドンは不変。
彼は人間を認めない、ただ少しばかりに思考に変化は表れた。
しかしどうだ、悉く逃げられ、いらぬ消耗を背負わされ、一時は支配下に置かれる始末。
人間が神を梃子摺らせる、無視できない事実を理解して尚もポセイドンは不変。
彼は人間を認めない、ただ少しばかりに思考に変化は表れた。
「驕りが過ぎる…」
神を騙る主催者共はもとより、参加者共も相当につけ上がっているらしい。
人の分際で神に勝てるなどと血迷い、阿保のように牙を剥くのが何よりの証拠。
のぼせ上った雑魚(カス)の過ちは、死を以て償わせねばならない。
それを果たすのは神を自称する人間ではない。
正真正銘の神であるこの自分だけだ。
人の分際で神に勝てるなどと血迷い、阿保のように牙を剥くのが何よりの証拠。
のぼせ上った雑魚(カス)の過ちは、死を以て償わせねばならない。
それを果たすのは神を自称する人間ではない。
正真正銘の神であるこの自分だけだ。
神は再び解き放たれた。
全ての命を無に帰すまで、彼が止まる事は絶対にない。
全ての命を無に帰すまで、彼が止まる事は絶対にない。
【A-4/一日目/早朝】
【ポセイドン@終末のワルキューレ】
[状態]:内臓にダメージ、疲労(絶大)、打撲(超軽微)、胴体に裂傷(中)、全身に切り傷(超軽微)
[装備]:トライデント@終末のワルキューレ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]基本方針:偽りの神共とのぼせ上った人間共を殺す。
1:一刻も早く雑魚(カス(参加者))共を殺し、殺し合いに優勝して雑魚(ハ・デスと黎斗)の元へたどり着く。
2:あの不敬極まる汚物(野獣先輩)は必ず殺す。
[備考]
※参戦時期は本編登場前。
※通常の兵器でもポセイドンにダメージは与えられます。
※野獣先輩によって<<洗脳ーブレインコントロール>>を使用されましたが、自力で解除しました。
[状態]:内臓にダメージ、疲労(絶大)、打撲(超軽微)、胴体に裂傷(中)、全身に切り傷(超軽微)
[装備]:トライデント@終末のワルキューレ
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]基本方針:偽りの神共とのぼせ上った人間共を殺す。
1:一刻も早く雑魚(カス(参加者))共を殺し、殺し合いに優勝して雑魚(ハ・デスと黎斗)の元へたどり着く。
2:あの不敬極まる汚物(野獣先輩)は必ず殺す。
[備考]
※参戦時期は本編登場前。
※通常の兵器でもポセイドンにダメージは与えられます。
※野獣先輩によって<<洗脳ーブレインコントロール>>を使用されましたが、自力で解除しました。
◆◆◆
「ぬわあああああああああああん疲れたもおおおおおおおおおおおおん」
こいついっつも疲れてんな。
お馴染みのツッコミを口に出したい読者兄貴達の気持ちは最もだが、まま、そう焦んないでよ(神のお言葉)。
ライダーバトルでクッソ情けない敗北を晒した挙句に、本物の神から攻撃を受けたのだ。
さしもの野獣先輩と言えども今回ばかりは本当に疲れている。
皆もっと労わって差し上げろ(慈悲)。
お馴染みのツッコミを口に出したい読者兄貴達の気持ちは最もだが、まま、そう焦んないでよ(神のお言葉)。
ライダーバトルでクッソ情けない敗北を晒した挙句に、本物の神から攻撃を受けたのだ。
さしもの野獣先輩と言えども今回ばかりは本当に疲れている。
皆もっと労わって差し上げろ(慈悲)。
「痛いですね、これは痛い…」
当初の予定ではポセイドンが白コートの剣士を殺し、その後で自分がポセイドンを始末するつもりだった。
そう上手く事は運ばず、剣士もメガネのメスガキも結局殺せていない。
おまけにポセイドンまでもっと危険な雰囲気となり、洗脳を脱け出してしまったではないか。
何やら自分の妨害に出たどこぞのメスはくたばったようなので、それだけは良しとする。
そう上手く事は運ばず、剣士もメガネのメスガキも結局殺せていない。
おまけにポセイドンまでもっと危険な雰囲気となり、洗脳を脱け出してしまったではないか。
何やら自分の妨害に出たどこぞのメスはくたばったようなので、それだけは良しとする。
他に収穫があると言えば、手に入れた支給品の数々。
公園で死体の傍に置かれていたのを見逃す手は無く、全て回収しておいた。
ついでに骸骨頭の仮面ライダーが持っていたデイパックもだ。
刀は折られ、白衣を着た青年から奪った道具を落としたのは残念ではあるものの、ブレイバックルを取り戻せたなら後を引く程悔やみはしない。
氷室とか何とか呼ばれてた奴のデイパックを開き、中身を確認する。
公園で死体の傍に置かれていたのを見逃す手は無く、全て回収しておいた。
ついでに骸骨頭の仮面ライダーが持っていたデイパックもだ。
刀は折られ、白衣を着た青年から奪った道具を落としたのは残念ではあるものの、ブレイバックルを取り戻せたなら後を引く程悔やみはしない。
氷室とか何とか呼ばれてた奴のデイパックを開き、中身を確認する。
「ん?」
参加者共通の支給品以外に一つ、見覚えの無い物があった。
取り出しマジマジ見ている内に、野獣先輩の顔がより汚いものと化す。
後輩の体にロックオンした時のような、さながら野獣の眼光とも言うべきおぞましさ。
取り出しマジマジ見ている内に、野獣先輩の顔がより汚いものと化す。
後輩の体にロックオンした時のような、さながら野獣の眼光とも言うべきおぞましさ。
「良いねぇ~Foo~↑」
上機嫌で眺めるソレはきっと、正しき心の持ち主が手にしたならゲームを止める心強い戦力となっただろう。
残念ながらブレイバックル共々所持するのは、優勝以外に目もくれない邪悪なホモ。
果たして野獣先輩がこの力を手にしたのは偶然なのか、それとも神の思し召しなのか。
残念ながらブレイバックル共々所持するのは、優勝以外に目もくれない邪悪なホモ。
果たして野獣先輩がこの力を手にしたのは偶然なのか、それとも神の思し召しなのか。
全ては神のみぞ知るが、神であるポセイドンはこんなおはぎうんこの事なんて知ったこっちゃないので知っているのはGOしかいない。
GO is GOD
【A-4/一日目/早朝】
【野獣先輩@真夏の夜の淫夢】
[状態]:疲労(極大)、ダメージ(極大)
[装備]:ブレイバックル+ラウズアブゾーバー@仮面ライダーブレイド
[道具]:基本支給品一式×5、デュエルディスク+デッキ@???、ホームランバット@大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ、緑へものスタンガン@おちこぼれフルーツタルト、風間大介のギターケース@仮面ライダーカブト、ランダム支給品×0~5
[思考・状況]
基本方針:勝ち残り遠野を生き返らせる。
1:殺りますねぇ!(尚も衰えぬ殺意)
2:白コートの剣士(鋼牙)や厄介そうな参加者は悪評を流して同士討ちを狙う。
3:仮面ライダーブレイドの名を利用する。
4:後でデッキの力も試しておきたい。
5:遠野を殺した奴は絶対に許さない。
[備考]
※バトル淫夢みたいな戦闘力があります。
※滅の日本刀@仮面ライダーゼロワンは破壊されました。
[状態]:疲労(極大)、ダメージ(極大)
[装備]:ブレイバックル+ラウズアブゾーバー@仮面ライダーブレイド
[道具]:基本支給品一式×5、デュエルディスク+デッキ@???、ホームランバット@大乱闘スマッシュブラザーズシリーズ、緑へものスタンガン@おちこぼれフルーツタルト、風間大介のギターケース@仮面ライダーカブト、ランダム支給品×0~5
[思考・状況]
基本方針:勝ち残り遠野を生き返らせる。
1:殺りますねぇ!(尚も衰えぬ殺意)
2:白コートの剣士(鋼牙)や厄介そうな参加者は悪評を流して同士討ちを狙う。
3:仮面ライダーブレイドの名を利用する。
4:後でデッキの力も試しておきたい。
5:遠野を殺した奴は絶対に許さない。
[備考]
※バトル淫夢みたいな戦闘力があります。
※滅の日本刀@仮面ライダーゼロワンは破壊されました。
※どの方向へ逃げたかは後続の書き手に任せます。
【軍刀@ゴールデンカムイ】
近接戦闘で用いられる軍人の刀。
作中では主に第七師団の鯉登音之進が使用。
近接戦闘で用いられる軍人の刀。
作中では主に第七師団の鯉登音之進が使用。
【ラウズアブゾーバー@仮面ライダーブレイド】
烏丸所長が開発したブレイド・ギャレン専用の強化メカ。
本体中央にQのカードをセットし、JかKのカードをリード部分に読み込ませる事でカードに応じた強化フォームに変身する。
これはブレイド用として剣崎一真に渡された方であり、♠のJ・Q・Kのカード三枚とのセットで支給。
本ロワ独自の制限としてジャックフォームは10分、キングフォームは5分で強制的に変身解除。
再変身はそれぞれ2時間経過しなければ不可能。
烏丸所長が開発したブレイド・ギャレン専用の強化メカ。
本体中央にQのカードをセットし、JかKのカードをリード部分に読み込ませる事でカードに応じた強化フォームに変身する。
これはブレイド用として剣崎一真に渡された方であり、♠のJ・Q・Kのカード三枚とのセットで支給。
本ロワ独自の制限としてジャックフォームは10分、キングフォームは5分で強制的に変身解除。
再変身はそれぞれ2時間経過しなければ不可能。
○○○
微睡から目を覚ます。
ガタンゴトンと奏でられる汽車の音が耳には心地良かった。
ガタンゴトンと奏でられる汽車の音が耳には心地良かった。
窓の外には満天の星空。
見ているだけで胸の高鳴りを抑えられない。
ずっと昔、まだ何も知らない女の子だった頃へ戻ったかのよう。
二度と味わえないと思っていた気持ちに心が満たされ、ふとそんな場合で無いと我に返る。
見ているだけで胸の高鳴りを抑えられない。
ずっと昔、まだ何も知らない女の子だった頃へ戻ったかのよう。
二度と味わえないと思っていた気持ちに心が満たされ、ふとそんな場合で無いと我に返る。
まだやることが残っている。
まだ戦わなければいけない理由がある。
戻らなきゃ。
そう呟いて席を立ち、
まだ戦わなければいけない理由がある。
戻らなきゃ。
そう呟いて席を立ち、
「無理だよ、みふゆ」
懐かしい声がした。
いつの間にか、目の前の席に座る彼女。
頬杖を突き窓の外を眺める少女と、笑みを浮かべてじっとこちらを見つめる少女。
二人をワタシは知っている、知らない筈がない。
頬杖を突き窓の外を眺める少女と、笑みを浮かべてじっとこちらを見つめる少女。
二人をワタシは知っている、知らない筈がない。
「ここに来たって事は、言わなくても分かるだろ」
ストンと、不思議なくらい自然に言葉の意味を受け取れた。
ああそうか。
彼女達にこうしてまた会えたのは、つまりそういうことなんだろう。
彼女達にこうしてまた会えたのは、つまりそういうことなんだろう。
彼らが無事に逃げられたどうか心配ではある。
もう一度くらいは親友の顔を見たかったと、未練だってある。
でも後悔は無い。
自分があの場に残った選択を、間違いだったとは思わない。
もう一度くらいは親友の顔を見たかったと、未練だってある。
でも後悔は無い。
自分があの場に残った選択を、間違いだったとは思わない。
「かっこよかったぞ、みふゆさん!」
ワタシの肩にポンと手を置き、元気よく言う少女。
かっこよかった、か。
結局、こんなに早くここへ戻ってきてしまったけれど。
大切な仲間で後輩の彼女にそう言ってもらえたなら、胸を張って良いのかもしれない。
かっこよかった、か。
結局、こんなに早くここへ戻ってきてしまったけれど。
大切な仲間で後輩の彼女にそう言ってもらえたなら、胸を張って良いのかもしれない。
残して来た皆はどうなるのだろうか。
自分よりも強い人達ばかりでも、やっぱり心配する気持ちはある。
自分よりも強い人達ばかりでも、やっぱり心配する気持ちはある。
――大丈夫ですよ、七海先輩達を信じましょう。
ワタシを見つめる笑みはそう言っているようで、コクリと頷き返す。
信じる。
以前の自分には出来なかったこと、彼女が傷付くと分かって離れて行ったワタシには。
けれど今なら、もう一度信じられる。
出会った人たちを、大好きな親友を。
信じる。
以前の自分には出来なかったこと、彼女が傷付くと分かって離れて行ったワタシには。
けれど今なら、もう一度信じられる。
出会った人たちを、大好きな親友を。
「やっちゃん……」
約束破ってごめんなさい。
もう一度会いたかった。
ポンポン浮かぶ言葉は、今本当に言いたいことではない。
もう一度会いたかった。
ポンポン浮かぶ言葉は、今本当に言いたいことではない。
ワタシが彼女に伝えたいのは、きっとこれだ。
「頑張って」
窓から見えた三日月は、ワタシ達を見守ってくれるような優しい色をしていた。
【梓みふゆ@マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝(アニメ版) 死亡】
048:グレイブ・スクワーマー | 投下順 | 050:贈【のろい】 |
047:彼と彼女の情景 | 時系列順 | 052:■滅の刃(前編) |
041:失くした君のいま | 冴島鋼牙 | 103:それから目を逸らすな |
柊ねむ | ||
014:POWER to TEARER | 氷室幻徳 | |
梓みふゆ | GAME OVER | |
035:敗者に捧げるliner high | 野獣先輩 | 081:刃骸魔境(前編) |
ポセイドン | 079:偽りの神 |